弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士林百郎の上告理由は、末尾添附の別紙記載のとおりである。
 記録によれば、昭和二五年五月一八日午前一〇時の原審における口頭弁論期日に
おいて、原裁判所が、控訴(上告)代理人の期日変更申請を却下し、控訴人におい
て控訴状の記載に基き陳述したものとみなし、出頭した相手方被控訴代理人に弁論
を命じた上、同期日に弁論を終結したことが認められる。論旨は右期日は原審にお
ける最初の期日であることを前提として原判決を非難するが、民訴第一五二条第三
項にいわゆる口頭弁論における最初の期日とは、原審において最初に指定された口
頭弁論期日を指すものと解すべきであつて、記録によれば、原審において口頭弁論
期日として最初に指定された期日は昭和二五年四月一三日午前一〇時であつて、右
最初の期日において原裁判所が弁論を延期し、右延期した弁論をなすべき期日とし
て指定されたのが所論の期日であること明らであるから、所論の期日は同条にいわ
ゆる原審の口頭弁論における最初の期日には当らない。しかも控訴(上告)代理人
が原審に提出している口頭弁論期日変更申請書には、申請の事由として単に「当日
代理人において都合悪く出頭できざるにつき」と記載してあるだけであつて、右事
由は顕著な事由に当るものとは認められないのみならず、所論の期日において、相
手方被控訴代理人が控訴代理人の期日変更申請に同意しないと述べていること亦記
録上明らかであるから(相手方の右不同意を原判決に判示する必要のないこという
をまたない)原審が期日の変更を為さず上告人不出頭のまま結審して判決をしたこ
とは少しも違法でない。又民訴第一三八条は控訴審にも適用されるものと解すべき
であり、所論の期日において原審における最初の口頭弁論が行われたことも亦記録
上明らかであるから、右期日は同条にいわゆる最初になすべき口頭弁論期日に当る
ものである。従つて、原裁判所が右期日において出頭しない控訴人において控訴状
の記載に基き陳述したものと看做し、出頭した相手方代理人に弁論を命じたこと及
び控訴人(上告人)が事実上の答弁を記載した答弁書その他の準備書面を提出せず、
控訴状にも事実上の記載がないこと記録上明らかな本件について所論のように判示
した原判決は、たとえ第一、二審共上告人不出頭のまま終結された口頭弁論に基い
て言渡されたものであっても原判決には審理不尽その他所論のような違法があると
はいない。
 よつて民訴第四〇一条、第九五条、第八九条により主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官全員の一致した意見である。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
 裁判官河村又介は差支えにつき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎

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