弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人野間彦蔵の上告理由第一点について。
 被上告人らがEと上告人との婚姻を無効とすることを訴求する法律上の利益を有
する旨の原判決(その引用する第一審の判決を含む。以下同じ。)の判断は、その
挙示する証拠関係に照らして首肯することができるから、原判決に所論の違法はな
い。論旨引用の判例は、いずれも本件と事案を異にして本件に適切でない。したが
つて、論旨は採用しえない。
 同第二点について。
 原判決の確定した事実によれば、本件婚姻届は、訴外Dが昭和四〇年四月五日午
前九時一〇分前後に盛岡市役所に持参し、係員に交付して受理されたものであり、
一方、Eは、昭和三九年九月頃より肝硬変症で入院していたが、昭和四〇年四月三
日頃より病状が悪化し、同月四日朝から完全な昏睡状態に陥り、同月五日午前一〇
時二〇分死亡するに至つたというのであつて、原審は右の状態の下における届出は
意思能力ない者の届出として無効であるとしたのである。しかしながら、本件婚姻
届がEの意思に基づいて作成され、同人がその作成当時婚姻意思を有していて、同
人と上告人との間に事実上の夫婦共同生活関係が存続していたとすれば、その届書
が当該係官に受理されるまでの間に同人が完全に昏睡状態に陥り、意識を失つたと
しても、届書受理前に死亡した場合と異なり、届出書受理以前に翻意するなど婚姻
の意思を失う特段の事情のないかぎり、右届書の受理によつて、本件婚姻は、有効
に成立したものと解すべきである。もしこれに反する見解を採るときは、届書作成
当時婚姻意思があり、何等この意思を失つたことがなく、事実上夫婦共同生活関係
が存続しているのにもかゝわらず、その届書受理の瞬間に当り、たまたま一時的に
意識不明に陥つたことがある以上、その後再び意識を回復した場合においてすらも、
右届書の受理によつては婚姻は有効に成立しないものと解することとなり、きわめ
て不合理となるからである。しかるに、原判決は、婚姻届受理当時、Eが完全な昏
睡状態に陥り意思能力がなかつたことが明らかであるといい、その一事を前提とし
て同人には婚姻をなす合意があつたとはいえず、本件婚姻は無効であると判示した
ものであるから、原判決は、所論のように、法律の解釈適用を誤つた違法があるも
のといわなければならない。したがつて、原判決は、破棄を免れず、本件婚姻届が
Eの婚姻の意思に基づいて作成されたか、その後届書が受理されるまでに翻意する
など婚姻の意思を失う特段の事情があつたかどうか等の各点につき、さらに審理の
必要あるものと認め、本件を原審に差し戻すのを相当とする。
 よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛