弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件訴訟を青森地方裁判所に移送する。
         理    由
 本件訴訟(注・旧被告青森市)については、昭和四三年一月二四日当審において
被告の変更を許す旨の決定をしたので、地方自治法二四二条の二の五、六項、行政
事件訴訟法四三条三項、四〇条二項、一五条七項により、青森市役所の所在地を管
轄する原審裁判所に移送すべきである。
 <要旨>ところで行政事件訴訟法一五条七項による移送の裁判は判決、決定のいず
れをもつてすべきかについてなんら規定するところがないが、同条が上訴審
において被告変更の決定をした場合、訴訟を管轄裁判所に移送しなければならない
ことと定めたのは、被告の変更は、これによつて従前の被告に対する訴えの取下げ
があつたものとみなされる(同条四項)と同時に変更後の被告に対しては、新たな
訴えの提起があつたものとみるべきところ(同条三項参照)、右新たな訴えを上訴
審に提起することは、審級管轄に反することとなることを考慮したためにほかなら
ないものと解される。とすると同条所定の移送は、管轄違いに基づく移送の一場合
であるというべきところ、民訴法三〇条所定の管轄違いによる移送は、ひとり上地
管轄、事物管轄違背の訴訟のみについて適用すべき規定であると狭く解する必要は
なく、右のような審級管轄違背の訴訟についても、その適用があるものと解するの
が相当であるから、行政事件訴訟法一五条七項の移送は、民訴法三〇条の移送の規
定の適用のあることを明らかにしたにすぎないものと解される。
 よつて右裁判は決定をもつてすべきものとし、主文のとおり決定する。
 (裁判長判事 鳥羽久五郎 判事 松平晃平 判事 飯沢源助)

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