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平成16年(行ケ)第148号 特許取消決定取消請求事件
平成16年9月29日口頭弁論終結
     判    決
 原 告 株式会社ニコン
 訴訟代理人弁理士 渡辺隆男,芝山みゆき
 被 告 特許庁長官 小川洋
 指定代理人 神崎孝之,西川惠雄,小曳満昭,大橋信彦,井出英一郎   
     主    文
 1 特許庁が異議2003-70726号事件について平成16年3月1日にし
た決定中,請求項1及び8に関する部分を取り消す。
 2 訴訟費用は各自の負担とする。
     事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 主文第1項と同旨の判決(原告は,当初,決定中,請求項1ないし13に関する
部分すべての取消しを求めたが,後に主文第1項と同旨の請求に減縮して,訴えの
一部を取り下げた。)。
第2 事案の概要
 本件は,後記本件発明の特許権者である原告が,特許異議の申立てを受けた特許
庁により本件特許を取り消す旨の決定がされたため,同決定の取消しを求めた事案
である。
 1 前提となる事実等
 (1) 特許庁における手続の経緯
(1-1) 本件特許
 特許権者:株式会社ニコン(原告)
 発明の名称:「検知部及びこの検知部を具えたウェハ研磨装置」
 特許出願日:平成9年7月18日(特願平9-193995号)
 設定登録日:平成14年7月12日
 特許番号:第3327175号
 (1-2) 本件手続
 特許異議事件番号:異議2003-70726号
 訂正請求日:平成15年11月11日
 異議の決定日:平成16年3月1日
 決定の結論:「訂正を認める。特許第3327175号の請求項1ないし13に
係る特許を取り消す。」
 決定謄本送達日:平成16年3月17日(原告に対し)
 (2) 決定は,上記訂正請求は適法であるとして,その訂正後の請求項1ないし1
3に記載された発明(請求項番号に対応して,それぞれの発明を「本件発明1」な
どという。)を対象に検討し,本件発明1ないし5,8ないし12は,刊行物1
(特開平7-4921号公報)記載の発明及び刊行物2(特開平9-7985号公
報)記載の事項に基づいて,本件発明6,7,13は,刊行物1記載の発明並びに
刊行物2及び刊行物3(特開平8-174411号公報)記載の事項に基づいて,
それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明1ないし1
3についての特許は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから,
取り消すべきものであると判断した。
 (3) 本件発明の設定登録時における特許請求の範囲の請求項1及び10の記載内
容は,別紙①欄に記載のとおりである。
 上記訂正請求により,上記請求項1及び10は,それぞれ請求項1及び8とされ
た(請求項4及び5が削除されて繰り上がった。)。すなわち,決定が判断対象と
した特許請求の範囲の請求項1及び8の記載は,別紙②欄に記載のとおりである。
 2 原告主張の決定取消事由
 決定は,本件発明1及び8の要旨を別紙②欄のとおり認定し,これに基づき,本
件発明1及び8は特許法29条2項により特許を受けることができないものである
とした。しかし,本訴係属中に特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を認める審
決が確定し,本件発明1の要旨(別紙①欄の請求項1=別紙②欄の請求項1)が別
紙③欄の請求項1のとおりに,本件発明8の要旨(別紙①欄の請求項10=別紙②
欄の請求項8)が別紙③欄の請求項10のとおりに訂正されたことにより,決定
は,結果的に本件発明1及び8の要旨の認定を誤ったことになり,瑕疵があるもの
として取消しを免れない。よって,決定中,請求項1及び8に関する部分を取り消
すことを求める。
第3 当裁判所の判断
 本件証拠及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本訴係属中の平成16年4月20
日,本件特許につき,特許請求の範囲の減縮を目的として,訂正審判の請求をした
こと(甲5,訂正2004-39079号。なお,同年7月1日付けで同審判請求書
を補正,甲6),その請求内容のうち,特許請求の範囲に関するものは,別紙①欄
に記載の請求項1及び10を同③欄に記載の請求項1及び10にそれぞれ訂正する
というものであること(甲5,6),別紙①及び③欄の請求項1記載に係る発明
は,別紙②欄の請求項1記載に係る発明と同一であり,別紙①及び③欄の請求項1
0記載に係る発明は,別紙②欄の請求項8記載に係る発明と同一であること(甲1
ないし3,5ないし7),同年7月28日,上記訂正を認める旨の審決があり(甲
7),その謄本は同年8月7日に原告に送達され,訂正審決は確定したことが認め
られる。
 以上の事実関係に照らせば,原告主張の事由により,決定中,請求項1及び8に
関する部分は取り消されるべきものである。
 よって,原告の請求は理由があるからこれを認容し,訴訟費用の負担につき行訴
法7条,民訴法62条を適用して,主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所知的財産第4部
        裁判長裁判官     塚  原  朋  一
           裁判官     田  中  昌  利
           裁判官     佐  藤  達  文
(別紙)

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