弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人中原保、同中原康雄、同坂田和夫、同南里和廣の上告理由について。
 論旨は、被上告人らは実質において本件各建物所有者らの個人企業にすぎずその
法人格はまつたくの形骸であり、また強制執行の回避等の目的をもつて設立された
ものであつてその法人格を濫用するものであると主張し、その事実を前提として原
判決の違法をいうが、原判決は、所論のような事実は認められない旨を判示してい
るのであつて、この点の原判決の認定・判断は、挙示の証拠に照らして肯認するこ
とができる。また、建物を占有する者は、他人に対する債務名義に基づく建物収去
土地明渡の強制執行に対しては、占有の侵害を受忍すべき理由のないかぎり、対抗
しうる本権の有無を問わず、占有権に基づき第三者異議の訴を提起し執行の不許を
求めることができるものと解すべきところ、原判決が、その確定した事実関係のも
とにおいて、被上告人らの占有権に基づく本件訴を認容すべきものとした判断は、
正当として是認することができる。原判決の認定判断の過程に所論の違法はなく、
論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断および右事実の認定を非
難し、さらに、原判決の認定しなかつた事実関係を前提にしまたは独自の見解に立
脚して、原判決の違法をいうものであつて、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   川   信   雄
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    村   上   朝   一
            裁判官    岡   原   昌   男

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