弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人中川種治郎の上告趣意について。
 所論は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当らない。(こ
の点に関する原判決の判断は相当であり、所論の事実誤認、量刑不当は存しない。)
 被告人B、同C、同Dの弁護人八並達雄の上告趣意について。
 所論は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当らない。(こ
の点に関する原判決の判断は相当であり、所論の事実誤認、量刑不当は存しない。)
 被告人Eの弁護人小崎恭人の上告趣意について。
 所論は、違憲をいう点もあるが、実質は事実誤認、単なる訴訟法違反、量刑不当
の主張であつて、適法な上告理由に当らない。(この点に関する原判決の判断は相
当であり、所論の事実誤認、訴訟法違反、量刑不当は存しない。)
 被告人Fの弁護人小崎恭人の上告趣意について。
 所論は、単なる訴訟法違反、事実誤認、量刑不当の主張であつて、適法な上告理
由に当らない。(この点に関する原判決の判断は相当であり、所論の訴訟法違反、
事実誤認、量刑不当は存しない。)
 被告人G、同Eの弁護人岡利夫の上告趣意について。
 所論は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。(この点に関す
る原判決の判断は相当であり、所論の事実誤認は存しない。)
 被告人Hの弁護人中野留吉の上告趣意について。
 所論は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当らない。(こ
の点に関する原判決の判断は相当であり、所論の事実誤認、量刑不当は存しない。)
 被告人Iの弁護人服部恭敬の上告趣意について。
 所論は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。(この点に関す
る原判決の判断は相当であり、所論の事実誤認は存しない。)
 被告人Jの弁護人斎藤悠輔の上告趣意第一点について。
 所論は、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。(所論第
一点の(イ)の主張について検討するに、所論の点に関する第一審判決の判示部分
は、「被告人Jは……被告人Hに対し、右仲裁話を態よく断わりK会幹部を襲撃し
て殺傷するように命令し、被告人Jと同HはK会々員を殺害するも止むを得ないと
の共謀を遂げ、細いことは一切被告人Hに任せることになつた。そこで被告人Hは、
同日夕刻頃、前記L組事務所で被告人M等前記L組々員に被告人Jの右意向を伝え、
共にK会幹部を襲撃殺傷する旨の共謀を遂げた上、兇器の準備を命じた。」という
のであるが、右事実は第一審判決挙示の証拠、ことに被告人H、同Mの各検察官調
書により充分認められるところであり、第一審判決の右判示は所論のごとく被告人
Jの被告人Hに対する一方的命令行為のみを表現したものではなく、被告人J、同
Hの具体的な共謀を判示するものとして理由不備ということはできない。所論第一
点の(ロ)の主張について検討するに、所論の点に関する第一審判決の判示部分は
第一審判決挙示の証拠により充分認められるところであるが、右判示は被告人Jと
被告人Mら組員との共謀の成立の過程を判示するものであることが明らかであつて、
第一審判決は結局被告人Jと他のL組員との間にK会幹部の殺傷につき共謀が成立
したことを判示しているから理由不備ということはできない。所論第一点の(ハ)
の主張について検討するに、第一、二審判決は被告人Jが被告人Bに対しK会幹部
の殺傷を命じたとは認定していないから、被告人Jがその乾分でもない被告人Bに
命令をすることはあり得ない旨の主張は的をそれた議論に帰し採用できない。最後
に所論第一点の(ニ)の主張について検討するに、被告人Jの被告人Hに対する命
令の内容は、「K会幹部を襲撃して殺傷する」ことであり、これに基づく被告人H
と被告人Bとの共謀の内容は、「K会幹部の所在を探索し、身柄を拉致し、もしこ
れに応じないときはその場で殺傷するもやむを得ない」というものであるから、被
告人Hと被告人Bとの共謀の内容が被告人Jの被告人Hに対する右包括的な命令に
添わないものということはできないし、所論の判示部分は、被告人J、同H、同B
の順次共謀の判示として必ずしも理由不備ということはできない。また第一審判決
が殺人未遂の犯行の日時について正確な判示をしていないのは所論のとおりである
が、それが昭和三五年八月一二日午前六時の後であることが判示されているし、右
同日中であることは判文上推測しうるから、理由不備ということはできない。
 同第二点について。
 所論は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であつて、適法な上告理由に当らな
い。(この点に関し被告人Jの共謀を認めた原判決の判断は相当であり、所論の事
実誤認、訴訟法違反は存しない。)
 同第三点について。
 所論は、単なる訴訟法違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。(この
点につき原判決に判断遺脱のあることは所論のとおりであるが、原判決の右判断遺
脱の違法は結局判決に影響を及ぼさないと認められるから、刑訴四一一条を適用す
べきかぎりでない。)
 同第四点について。
 所論は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 被告人Jの弁護人下飯坂潤夫の上告趣意第一、二点について。
 所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であり、適法な上告理由に当らない。
(これらの点に関する原判決の判断は相当であり、所論の事実誤認、法令違反は存
しない。)
 同第三点について。
 所論は、判例違反をいうが、原判決は被告人Jと同Hとの間にK会会員の殺傷に
つき共謀が遂げられた事実を具体的に認定しているのであつて、所論のごとく単に
被告人Jが被告人Hに「やつてしまえ。」と命じた事実のみを認定しているわけで
はないから、所論は原判決の認定に副わない事実を前提とする判例違反の主張であ
つて、適法な上告理由に当らない。
 被告人Jの弁護人下飯坂常世の上告趣意について。
 所論は、判例違反をいう点もあるが、所論引用の判例は事案を異にし本件に適切
でなく、その他は事実誤認の主張(この点に関する原判決の判断は相当であり、所
論の事実誤認は存しない。)であつて、すべて適法な上告理由に当らない。
 被告人Jの弁護人佐伯千仭、同伊達秋雄の上告趣意第一点について。
 所論は、憲法三七条一、二項違反をいうが、憲法三七条一項の「公平な裁判所」
とは、構成その他において偏頗のおそれのない裁判所をいうことは当裁判所の判例
(昭和二二年(れ)第一七一号同二三年五月五日大法廷判決、刑集二巻五号四四七
頁)であるところ、原裁判所がかような偏頗な裁判所であると認めるべき証跡は全
くないから、憲法三七条一項違反の主張は理由がなく、また裁判所は当該事件の審
理に必要と認められる証拠を取調べれば足り、弁護人から申請のあつた証人は悉く
訊問しなければならないものでないことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第二
三〇号同二三年七月二九日大法廷判決、刑集二巻九号一〇四五頁)であるところ、
原裁判所が所論弁護人申請の証人の一部を取調べなかつたのは、記録により窺える
訴訟の経過に徴し必ずしも不適切とは認められないから、憲法三七条二項違反の主
張も理由がない。
 同第二点について。
 所論は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。(この点に関す
る原判決の判断は相当であり、所論の事実誤認は存しない。)
 被告人卞栄俊の弁護人森島忠三の上告趣意について。
 所論第一点は事実誤認、同第二点は量刑不当の主張であつて、いずれも適法な上
告理由に当らない。(これらの点に関する原判決の判断は相当であり、所論の事実
誤認、量刑不当は存しない。)
 被告人Dの弁護人西畑肇の上告趣意について。
 所論は、量刑不当、量刑に関する事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当
らない。(この点に関する原判決の判断は相当であり、所論の量刑本当、量刑に関
する事実誤認は存しない。)
 被告人埜口清美の弁護人西畑肇の上告趣意について。
 所論は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。(この点に関す
る原判決の判断は相当であり、所論の事実誤認は存しない。)
 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。(被告人
Jの弁護人垂水克己の上告趣意補充書、被告人B、同C、同Dの各上申書及び右被
告人三名の弁護人藤井五一郎、同八並達雄連名の上申書は、いずれも上告趣意書提
出期間経過後に提出されたものであるから判断をしない。)
 よつて同四一四条、三九六条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す
る。
 検祭官 米田之雄公判出席
  昭和三九年一一月二〇日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛