弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人Aに関する部分を破棄する。
     被告人Aを懲役四月に処する。
     原審における被告人Aの未決勾留日数のうち二〇日を右本刑に算入す
る。
     被告人Bに関する各控訴を棄却する。
     当審における訴訟費用中、証人Cに支給した分は被告人両名の連帯負担
とし、その余は被告人Aの負担とする。
         理    由
 本件各控訴の趣意は、福島地方検察庁郡山支部検察官検事外山林一名義および被
告人Bの弁護人田島勇名義の各控訴趣意書に記載されたとおりであるから、これを
引用する。
 一、 弁護人の控訴趣意第一点(事実誤認の主張)について
 原判決挙示の関係各証拠を総合すると、原判示第二の事実は、被告人Bが、原判
示D、Eおよび被告人Aを原判示F方事務所まで案内し、同人に紹介して拳銃およ
び拳銃用実包(以下拳銃等と略称する)購入の斡旋をし、その結果、原判示のよら
に、Dら三名をして拳銃等をそれぞれ購入させ、同人らの原判示拳銃等所持の各犯
行を容易ならしめたとの点を含めて、十分にこれを認めることができる。ことに、
右証拠のうち、被告人Bの検察官に対する供述調書(計二通)によれば、被告人B
は、原判示Gから拳銃等の購入斡旋方を依頼され、Fにその売却方を交渉し、同人
の了解をとりつけたうえ、その交渉結果をGに連絡し、同人のもとから拳銃等購入
のため差し向けられて来たDら三名をF方事務所まで案内するに先立ち、同人に
「買手を三人連れて行くが用意ができているか」との旨を電話で問い合わせその了
承を得たうえ、同人方事務所まで案内して同人にDら三名を紹介したことが明らか
であつて、被告人Bが拳銃等の取引現場に立ち会わず、あるいは拳銃等の所持につ
いて精神的な奨励もしくは携帯に便宜な容器の給与等の行為をしなかつたとして
も、前説示のように、Dら三名がそれぞれ拳銃等を所持するに至るべきことを認識
しこれを認容して同人らをF方事務所まで案内し、同人に紹介して拳銃等購入の斡
旋をしその結果、Dら三名をして同所で同人より拳銃等をそれぞれ購入するに至ら
しめた以上、右所為については、同人ら三名の原判示拳銃等所持の実現を容易なら
しめたものとして、その幇助罪が成立することはいうまでもないところである(な
お、東京高等裁判所昭和二六年(う)第五三一四号、同二七年四月五日言渡判決、
高裁刑特報第二九号一一六頁参照)。論旨は理由がない。
 二、 弁護人の控訴趣意第二点(法令適用の誤りの主張)について
 <要旨>被告人Bが斡旋をしてDら三名をしてそれぞれFから拳銃等を購入するに
至らしめた経過顛末は、前段で説明したとおりである。しかして、幇助犯の
成立には正犯の成立を必要とし、その意味で幇助犯は構成要件的には幇助行為と正
犯の行為との結合類型であるとの観点に立つて、右事実関係を観察すると、被告人
BのDら三名に対する拳銃等購入についての斡旋行為は、包括的な一回の行為では
あるが、右三名が拳銃等を購入してこれを所持するについて、個別的にこれを容易
ならしめたものとみるべきであり、したがつて、右斡旋行為は一個の拳銃等所持の
幇助罪を構成するにすぎないものと解すべきではなく、これを可分的に評価し、三
個の右幇助罪を構成するものと解するのが相当である。原判決が被告人Bの原判示
所為を併合罪として処断したのは正当である。論旨は理由がない。
 (その余の控訴趣意に関する部分は省略する。)
 そこで、本件各控訴のうち、被告人Bに関する検察官および弁護人の各控訴はい
ずれも理由がないから、刑事訴訟法第三九六条によりこれを棄却し、当審における
訴訟費用中証人Cに支給した分は、同法第一八一条第一項本文、第一八二条により
同被告人をして被告人Aと連帯してこれを負担させることとする。次に被告人Aに
関する検察官の控訴は理由があるから、同法第三九七条、第三八一条により原判決
中同被告人に関する部分を破棄し、同法第四〇〇条但書に則り、右部分につきさら
に次のとおり判決する。
 原判決の確定した被告人Aの罪となるべき事実に原判決摘示の各該当本条および
観念的競合に関する規定を適用したうえ、重い銃砲刀剣類等所持取締法違反罪の刑
に従い、所定刑中懲役刑を選択し、同被告人に関する前科照会回答書により明らか
であるとおり同被告人には前示の各懲役刑による前科があるから、刑法第五六条、
第五九条、第五七条により累犯の加重をし、その刑期範囲内で同被告人を懲役四月
に処し、同法第二一条により原審における同被告人の未決勾留日数のうち二〇日を
右本刑に算入し、当審における訴訟費用については刑事訴訟法第一八一条第一項本
文、第一八二条により同被告人をして証人Cに支給した分は被告人Bと連帯して、
その余は単独でこれを負担させることとし、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 有路不二男 判事 寺島常久 判事 西村法)

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