弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
本件控訴を棄却する。1
控訴費用は,控訴人の負担とする。2
事実及び理由
第1控訴の趣旨
原判決を取り消す。1
被控訴人が平成15年11月12日付け総指令第93号で行った宗教法人2
「Aα分教会」の規則変更認証処分を取り消す。
(略語等は,原則として,原判決に従う。)第2事案の概要
本件は,被控訴人訴訟参加人(当時の名称「Aα分教会」)が,そ1参加人。
本件規の包括宗教法人であった控訴人との包括関係を廃止し,名称及び法人規則(
)を変更したことに関し,控訴人が,本件規則の変更を認証する旨の本件処分を則
した被控訴人に対し,本件規則の変更は,①参加人の責任役員全員及びA甲府大
教会代表役員のいずれの同意もなくして行われたから,宗教法人法28条1項2号
の手続要件に違反し,②参加人が控訴人との被包括関係廃止後も名称の一部に控
訴人の名称を使用することは,控訴人の人格権を侵害し,また,不正競争防止法2
条1項1号,2号に違反するから,宗教法人法28条1項1号の法令適合性の要件
を欠いており,これらを看過してされた本件処分は違法であると主張して,その取
消しを求めた事案である。
原審は,控訴人の請求を棄却した。2
当裁判所も,原審と同様に,控訴人の請求を棄却すべきものと判断した。
前提事実及び当事者の主張は,原判決の事実及び理由の第2の「1前提事3
実」及び「2当事者の主張」(原判決2頁3行目から16頁13行目まで)に記
載のとおりであるから,これを引用する。
第3当裁判所の判断
当裁判所の判断は,次のとおり改めるほかは,原判決の事実及び理由の「第3
当裁判所の判断」1から3まで(原判決16頁15行目から25頁7行目まで)に
記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決18頁10行目から20頁3行目の「文面上明らかである。」までを,1
次のとおり改める。
「①宗教法人法は,宗教法人には,3人以上の責任役員を置き,そのうち1人を
代表役員とする(18条1項),責任役員は,規則で定めるところにより,宗教法
人の事務を決定する(同条4項),規則に別段の定めがなければ,宗教法人の事務
は,責任役員の定数の過半数で決し,その責任役員の議決権は,各々平等とする
(19条)と定める。これらの規定によれば,「議決」が予定されているところか
らみて,個々の責任役員は,合議体の構成員として,事務に関して宗教法人の意思
決定に関与することが宗教法人法の予定するところであり,責任役員は,全体とし
て,宗教法人の合議制の議決機関として,その権能と職責を有するというべきであ
る。
②宗教法人法26条1項前段が,宗教法人は,規則を変更しようとするときは,
規則で定めるところによりその変更のための手続をしなければならないと定めてい
るのは,規則変更に関する宗教法人の意思決定手続を経ていることを要求するもの
であり,同法27条が,「規則の変更の決定について規則で定める手続を経たこと
を証する書類」(同条1号)の添付を義務づけているのは,所轄庁が,当該書類によ
って,上記意思決定がされていることを確認,審査するためであると解される。
③宗教法人法の前記規定に照らすと,参加人の本件旧規則28条1項の「この
規則を変更しようとするときは,責任役員全員・・・の同意を得」なければならな
いとする定めは,同法19条にいう「別段の定め」に当たり,参加人の規則を変更
するには,合議制の議決機関としての責任役員が,個々の責任役員全員の賛意(同
意)の下に宗教法人としての意思を決定することを要すると解するのが相当であり,
これとは別に,個々の責任役員の個別の同意を要するとする趣旨ではないと解され
る。
④本件認証申請に際し,参加人が被控訴人に提出した「規則の変更の決定につ
いて規則で定める手続を経たことを証する書類」である本件会議録(甲5号証)に
よれば,本件規則の変更につき,個々の責任役員全員の賛意(同意)により,参加
人の合議制の議決機関としての責任役員において,規則変更に係る同意の議決がさ
れ,当該同意の下に参加人の意思として,本件規則を変更することが決定されたこ
とが文面上明らかである。」
原判決24頁15行目から25頁4行目までを,次のとおり改める。2
「また,不正競争防止法違反の主張についてみるに,不正競争防止法は,営業の自
由の保障の下で自由競争が行われる取引社会を前提に,経済活動を行う事業者間の
競争が自由競争の範囲を逸脱して濫用的に行われ,あるいは,社会全体の公正な競
争秩序を破壊するものである場合に,これを不正競争として防止しようとするもの
にほかならないと解される。そうすると,同法の適用は,上記のような意味での競
争秩序を維持すべき分野に広く認める必要があり,社会通念上営利事業といえない
ものであるからといって,当然に同法の適用を免れるものではないが,他方,そも
そも取引社会における事業活動と評価することができないようなものについてまで,
同法による規律が及ぶものではないというべきである。これを宗教法人の活動につ
いてみるに,宗教儀礼の執行や教義の普及伝道活動等の本来的な宗教活動に関して
は,営業の自由の保障の下で自由競争が行われる取引社会を前提とするものではな
く,不正競争防止法の対象とする競争秩序の維持を観念することはできないもので
あるから,取引社会における事業活動と評価することはできず,同法の適用の対象
外であると解するのが相当である。また,それ自体を取り上げれば収益事業と認め
られるものであっても,教義の普及伝道のために行われる出版,講演等本来的な宗
教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業についても,本来的な宗教活動
と切り離してこれと別異に取り扱うことは適切でないから,同法の適用の対象外で
あると解するのが相当である(最高裁平成17年(受)第575号同18年1月20
日第二小法廷判決参照)。
そうすると,宗教法人の宗教活動も不正競争防止法の「営業」に含まれることを
前提に,「Aα教会」という名称を使用することが同法に違反し,違法であるとの
控訴人の主張は,理由がない。」
第4結論
以上によれば,原判決は相当であるから,本件控訴を棄却することとして,主文
のとおり判決する。
東京高等裁判所第1民事部
裁判長裁判官江見弘武
裁判官生野考司
裁判官植垣勝裕

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛