弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人栄木忠常、同豊田泰介、同森勇、同赤木巍の上告理由第一点について。
 原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の確定したところによれ
ば、訴外Dと亡E、亡F夫婦(以下、E夫婦という。)とは、かねてから親交があ
つて、相互に自動車の貸し借り、融通をしていた関係にあつたこと、本件事故当日、
Dはその所有の本件事故車をE夫婦に貸与したが、その目的は休日のドライブとい
う一時的なもので、Dの都合次第でいつでも返還を求めうる状況にあつたこと、そ
して、E夫婦は、その子亡G(当時六才)および被上告人B(旧姓E、当時四才)
を同乗させ、被用者の訴外Hに運転させて家族全員でドライブに出かけたところ、
Hの過失により本件事故が発生したものであること、以上の事実が認められるとい
うのである。右事実関係によれば、Dは、本件事故車をE夫婦に貸し渡していても、
なお、その運行に対する支配を失わず、かつ、その運行による利益を享受していた
ものと認めるべきであつて、Dが、本件事故により他人の被つた損害につき、自動
車損害賠償保障法三条所定の自己のために自動車を運行の用に供する者(以下、運
行供用者という。)として、その責任を負うべき旨ならびに事故車の同乗者にすぎ
ないGおよびBがDに対する関係において同条にいう他人にあたる旨の原判決の判
断は、正当として是認することができる。事故車の借主であるE夫婦も運行供用者
にあたるものと解されること、GおよびBがE夫婦の親権に服する子であることな
ど所論の事情は、右の判断を左右するに足りないものというべきである。原判決の
認定・判断に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 同第二点について。
 Dが自動車損害賠償保障法三条所定の運行供用者にあたり、GおよびBが同条に
いう他人にあたるものと解すべきことは、右に説示したとおりであり、被上告人ら
の本訴請求は、Dが同条に基づく損害賠償責任を負担したことを前提として、同法
一六条一項に基づき、保険会社である上告人に対し、右損害賠償額の支払を求める
ものである。このような被害者の直接請求権の行使に対しては、所論のようなDと
E夫婦および被上告人らとの関係をもつて上告人の免責の事由となしうるものとは
解されないばかりでなく、上告人の責任を認めることによつて、ただちにBがDに
対し所論の求償債務ないし損害賠償債務を負うに至るものとは解されず、原審も、
E夫婦またはBが右債務を負担したという事実を確定していないのである。したが
つて、上告人の被上告人らに対する支払義務を認めた原審の判断に所論の違法はな
く、論旨は、その前提を欠くものであつて、採用することができない。
 同第三点について。
 原判示のように、本件事故車の運行につき、Dとともに、E夫婦もまた運行供用
者の地位にあるとしても、両者の運行供用者としての責任は、各自の立場において
別個に生じ、ただ同一損害の填補を目的とする限度において関連するにすぎないの
であつて、いわゆる不真正連帯の関係に立つものと解される。そして、不真正連帯
債務の債務者相互間には右の限度以上の関連性はないのであるから、債権を満足さ
せる事由以外には、債務者の一人について生じた事項は他の債務者に効力を及ぼさ
ないものというべきであつて、不真正連帯債務には連帯債務に関する民法四三八条
の規定の適用はないものと解するのが相当である。したがつて、E夫婦とBとの間
に混同を生じ、E夫婦の債務が消滅したとしても、Dの債務にはなんら影響を及ぼ
さないものと解すべきであつて、Dの責任を前提として上告人の支払義務を認めた
原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    天   野   武   一
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    関   根   小   郷
            裁判官    坂   本   吉   勝

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛