弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人河上丈太郎、同美村貞夫の上告趣意第一点について、
 所論は刑訴四〇五条所定の適法な上告理由に当らない。また原判決の認定した事
実によれば、被告人は判示各汽船の各司厨長等と共に船舶運営会所有の精米を業務
上保管中(被告人は直接占有、司厨長等はそれぞれ各間接占有)、右精米の一部を
各司厨長等より統制額を超えて被告人が買受けもつて物価統制令違反の所為を犯し
た事実、並びに右買受けて業務上横領したものである事実を認定し、そして、右両
所為は一所為数法に当るものとして刑法五四条一項前段の規定を適用し、もつて重
い物価統制令違反罪の刑をもつて処断しているのである。そこで原審擬律中の所論
物価統制令三条所定の「契約」とは、その物に関し処分権限ある者より適法に買受
けたる場合のみに限らず、広く価格の統制ある物につき、そのものの、処分行為に
関する契約を指すものであることは、同令の立法精神(同第一条参照)に照し疑の
ないところであるから、本件司厨長等に本件精米につき適法な処分権限のあるなし
にかゝわらず、苟しくもその統制価格を超過してこれが売買契約をするときは同令
三三条違反の罪を構成することは多言を要しないところといわねばならない。次に
右買受はその買受けと同時に被告人がその物につき所有者と同様な処分行為をなす
ことを意味するものであるから、それが業務上保管占有中の物につき行われたもの
である以上、刑法二五三条の業務上横領罪を構成することは言を俟たないところで
ある。それ故原審の認定事実並びにその擬律には何等所論の違法はないから、論旨
は刑訴四一一条一号の法令違反の場合にも該当しないものである。
 同第二点について、
 所論はまた適法な上告理由に当らない。しかのみならず、原審採証の被告人に対
する検事の第一回聴取書(記録二一六丁以下)中の供述記載によれば、本件精米の
所有権者である船舶運営会と被告人間には直接の信任関係があつたことが明らかに
窺われるから、論旨は実質的に見るも理由がない。
 同第三点について、
 記録に徴するに、A丸に関する分以外の事実に関する原審断罪の資料は、差戻後
の原審公廷における被告人の供述のみであることは所論指摘のとおりである。しか
し当該判決裁判所の公判廷における自白は、所論憲法三八条三項中の自白に包含さ
れないことは、既に当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第一六八号同年七月二九日
大法廷判決、集二巻九号一〇一二頁。昭和二三年(れ)第一五四四号、同二四年四
月二〇日大法廷判決、集三巻五号五八一頁。)とするところであるから、論旨は採
るを得ない。
 同第四点について、
 所論は適法な上告理由に当らないばかりでなく、所論の点に関する原審の事実の
認定及びその擬律には何等の違法のないことは、まことに明瞭である。
 以上のとおり、論旨は何れも理由がなく、また記録を調べても、本件につき刑訴
四一一条各号の事由あることを認めることができない。
 よつて、刑訴施行法三条の二、刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。
 この判決は論旨第三点につき裁判官小谷勝重の反対意見を除き、その他は裁判官
全員一致の意見によるものである。
 論旨第三点に対する裁判官小谷勝重の反対意見は前示判例中に掲げてあるとおり
である。
  昭和二七年三月一四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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