弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴はいずれもこれを棄却する。
     当審における各被告人に対する未決勾留日数中各九十日を原審が言渡し
た懲役刑に夫々算入する。
         理    由
 本件控訴の趣意は末尾添附の弁護人為成養之助作成名義及び各被告人作成名義の
控訴趣意書のとおりであり、なお、被告人等の控訴趣意の要点は、
 被告人Aの分は
 第一点 原判決にけ事実の誤認が存する。
 第二点 原判決は被告人の所為を住居侵入、公務執行妨害と認めているが、被告
人等が、川口市議会議場に入つたのは警祭官から一方的解散命令がなされ、検束の
緊迫せる空気が労働者側をして恐怖心と混乱に陷れ、不当な検束をさけるため止む
を得ずなされたものであり、議場に入つた後も切迫した事態の収拾を市長に訴え警
察側に検束の不当を訴えたにすぎない正当のものである。
 元来本件は最低の生活すら保障されない労働者がこれを求める唯一の道である団
体交渉権の行使とこれに伴う大衆行動であつて正当な労働行為である。
 同Bの分は
 第一点 本件被告人等の行為は労働者としての団体交渉で正当な行為である。
 第二点 昭和二四年埼玉県条例第四三号は憲法の規定に違反する無効のものであ
る。
 第三点 原判決は原審裁判官の偏頗な裁判の結果である。
 第四点 原判決には事実の誤認が存する
 第五点 原審は被告人等の弁護権を圧迫制限をしたものである。
 第六点 原審判決は憲法に違反する無効のものである。
 同Cの分は
 第一点 本件は被告人等の労働者としての止むにやまれぬ行為で正当な行為であ
る。
 第二点 右条例は憲法違反の規定で無効である。
 第三点 原判決は事実を誤認したものである。
 同Dの分は
 第一点 原判決は原審裁判官が職権を濫用して為した独裁裁判であつて無効のも
のである
 第二点 原判決には採証法則違反が存する。
 第三点 原判決は事実を誤認したものである。
 第四点 右条例は憲法の規定に違反する無効のものである。
 第五点 日本国の戦時経済復活は国民生活を破壊したもので、本件被告人等の行
為はこの圧迫政策に抗し生活の保障を要求した当然な正当行為である。
 同Eの分は
 第一点 本件は労働者が基本的権利に基づいてした正当な行為である。
 第二点 原判決には事実の誤認が認められる。
 というに帰する。
 これらに対し当裁判所は次のとおり判断する。
 弁護人論旨第六点及び被告人等の同趣旨について。
 <要旨>昭和二四年埼玉県条例第四三号が、道路その他の公共の場所で集団行進や
示威運動をするときは主催者は事前四八時間前迄に当該公安委員会に日時進
路等を届け出なければならないと規定し、届出をせず、又は届出事項に違反して行
われた場合はその主催者又は指導者は六月以下の懲役若くは禁錮又は三万円以下の
罰金に処する旨定めたのは、憲法第九四条による地方自治法第一四条により普通地
方公共団体(都道府県及び市町村)は法令に違反しない限り、地方公共の秩序を維
持し、住民及び滞在者の安全、健康、福祉を保持すること、公園、運動場、道路等
の設置、管理又はこれを使用する権利を規制することなど、公共団体の区域内にお
ける行政事務で国の事務に属しない事務に関し条例を制定し、その中に罰則を定め
ることができる旨の規定に基づき制定されたものであることは明白である。
 而して集団行進又は示威運動の自由が憲法第二一条及び第二八条の規定によつて
保障されていることは所論のとおりであるが、一方国民は同法第一二条によつてそ
の自由の濫用は禁止されているのである。思うに集団行進又は示威運動を行う場合
には、普通はその主催者において準備等のために相当の日時を必要とするのであ
り、他面これらの者が使用する道路その他公共の場所を管理する公共団体として
は、四八時間位の時間的猶予を存しておくこと及び行進の時間、進路等を知つてお
くことは右行政事務の面から必要であるから、この程度の制限は、これらを行う為
めには公安委員会の許可を必要とすると規定し或に公共の場所以外の場所における
ものも届出を必要とすると規定するのとは異り、何らこれらを行なおうとする国民
の自由を制限すろものとは認められない。しかし所論のように必要に応じ二日の間
に急に行なおうとする場合には出来ないことになるのを目してこの自由の制限であ
ると解しても、このように突如として集団行進や示威運動を行なおうとするような
場合は、往々にして不測の事態を引き起し易い虞のあるものであること即ち自由の
濫用に亘る虞のあるものであることは、この種運動の性質上からも亦古今東西の事
例から見て顕著なことであるのでこのような危険を予め防ぐ目的も自から包含する
ものであると認められ、この程度の制限は公共の福祉に反するものではなく寧ろ公
共の福祉のため必要なことであるから、本条例の規定は憲法第一三条の生命、自由
及び幸福追求に対する国民の権利については公共の福祉に反しない限り、立法その
他の国政の上で最大の尊重を必要とするという規定の趣旨には反するものとは認め
られない。
 論旨はすべて理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 吉田常次郎 判事 石井文治 判事 鈴木勇)

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