弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役4年に処する。
未決勾留日数中170日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,平成14年6月11日午前10時25分ころ,岡山県総社市A町a番
地所在の株式会社Bにおいて,同社所有に係るくん煙殺虫剤,大人用紙おむつ等合
計4点(販売価格合計7120円)を窃取し,同店北側駐車場に駐車中の普通乗用
自動車に乗車し,逃走しようとしたところ,これを目撃した同店店長甲から被告人
の逃走防止を依頼された同店の客である乙(当時26歳)に同車の前に立ちはだか
って進行を妨害されるや,逮捕を免れるため,同車直前に立っている同人に向けて
同車を発進させ,いったん停止した後,同人がけがをしてもかまわないと考え,さ
らに同人の左足を同車前部バンパー下方に巻き込みながら約15メートルにわたり
走行させ,同人を同所に転倒させる暴行を加え,その際,前記暴行により,同人に
安静加療約2週間を要する左足関節捻挫,左膝関節捻挫等の傷害を負わせたもので
ある。
(証拠の標目)
省略
なお,弁護人は,被告人が傷害結果の発生を予見していなかった旨主張し,被告
人もこれに沿う供述をするので検討する。
関係各証拠によれば,被告人の本件犯行当時,被害者乙は,本件自動車前部に身
体を密着させた状態であり,被告人はこの点を十分認識していたにもかかわらず,
そのままの状態で約15メートルにわたって走行させたこと,当初,約30センチ
メートル自動車を走行させ,いったん停止しながら,さらに自動車を走行させて傷
害結果を発生させたこと等の事実が認められることなどからすれば,被告人は,少
なくとも,被害者乙がけがをする可能性を認識しながら,それでもかまわないとい
,,う意思を有していたことは明らかでありこれに反する被告人の供述は信用できず
弁護人の主張は採用できない。
(法令の適用)
被告人の判示所為は240条前段(238条)に該当するところ,所定刑中有期
懲役刑を選択し,なお犯情を考慮し,同法66条,71条,68条3号を適用して
酌量減軽をした刑期の範囲内で被告人を懲役4年に処し,同法21条を適用して未
決勾留日数中170日をその刑に算入することとする。
(量刑の理由)
本件は,万引きを見とがめられた被告人が,盗品を持ったまま自動車に乗り込ん
で逃走しようとしたところ,店長の求めに応じて被告人の逃走を阻もうと前に立ち
ふさがった店の客に対し,同人の足を同車下部に巻き込んだまま同車を走行させ負
傷させたという事後強盗致傷の事案である。
被告人は,乗車していた自動車の前方に前記客が立ちふさがっていたにもかかわ
らず,自動車を発進させ,さらに同人が同車前部にしがみついているのにもかかわ
らず,約15メートルにわたり同車を走行させたもので,同人が素早く転倒して身
をかわしたために死亡や重大な傷害を負うまでには至らなかったものの,そのまま
同人らを振り切って逃走したもので,自動車による身体の侵襲という極めて危険で
悪質な犯行である。また,被告人には,万引きの前歴が3件あり,大きな商品を抱
えて店から出る大胆な本件手口からしても万引きの常習性と計画性が認められるこ
と等の点も併せ考えると,犯情は悪く,被告人の刑責は重い。
しかしながら,被告人は,前記客に対し示談金等として合計55万円を支払い,
また万引きの被害会社に被害弁償をしており,前記客は寛大な判決を望んでいるこ
と,致傷結果は重いとはいえず,万引き被害金額も比較的少額であること,犯行の
背景には,一人で苦しい家計をやりくりしながら,持病を抱えた実母の生活費等の
援助を行っていた事情もあり,本件万引き被害品も実母に購入を依頼されたもので
あったこと,前科はないこと,写経をするなど,被告人なりに一応反省の努力をし
ていること,夫が更生に協力することを約束しており,子らも被告人が早く更生し
て早く帰ってくることを希望していること,多数の地域住民等により寛大な処分を
望む旨の嘆願書が作成されたこと等被告人に有利に斟酌すべき事情も認められる。
以上の点を総合考慮し,主文の刑が相当であると判断した。
平成15年2月5日
岡山地方裁判所第2刑事部
裁判長裁判官榎本巧
裁判官中川綾子
裁判官足立堅太

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