弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人樫田忠美の上告趣意第一点について
 司法警察員Aが被疑者であるBを取調べるのに、刑事Cが立会つて所論のような
事実を告げたとしても、之を以て誘導に基く強制があつたと解することはできない。
されば論旨は採用できない。
 同第二点について
 被告人が現行犯として逮捕されたことは原判決摘示の証人D、同Eの供述で明か
である。論旨は「被疑者(被告人)は任意に降車し歩行し立去りたる後にて(即ち
非現行犯事件となりたる後にて)曲げてこれを現行犯事件なりと為し逮捕したので
ある。」 と主張するけれども、被告人の逮捕は前記証人の供述に照し刑訴二一二
条にいう現に罪を行い終つた場合に該当するものと認むべきであるから論旨は採用
できない。
 同第三点について
 論旨は事実誤認の主張であるから刑訴四〇五条に該当しない。又記録を精査して
も刑訴四一一条を適用すべき場合とは認められない。
 弁護人草野豹一郎の上告趣意について
 刑訴三五一条に基く検事上訴の適憲性については当裁判所の判例とするところで
あるから論旨は採用できない。 (最高裁判所判例集四巻九号一八〇五頁以下参照)
 よつて刑訴四〇八条により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和二七年四月四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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