弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人Bの弁護人海野普吉、同甘糟勇雄、同小田成光の上告趣意第一点は、経済
関係罰則ノ整備ニ関スル法律二条の解釈を誤つたことを前提として、原判決の憲法
三一条違反をいうものである。しかし、同法律二条にいう「其ノ職務」とは、同条
の定める会社、組合またはこれらに準ずるものの役職員の職務であれば、同条のい
う事業または業務にかかわりなく、すべてを含むと解すべきではないが、本来の独
占的または統制的性質をもつ業務に局限すべきものでなく、本来の事業または業務
を行なうために必要な関係にある事務をも含むものと解するを相当とすることは当
裁判所の判例とするところである(昭和二八年(あ)第四三八一号、同三〇年五月
一〇日第三小法廷判決、刑集九巻六号九七三頁、昭和二八年(あ)第四〇六四号、
同三一年三月九日第二小法廷判決、裁判集一一二号六三五頁、昭和三一年(あ)第
一五四号、同三三年九月一二日第二小法廷判決、裁判集一二七号一七九頁参照)。
ところで、右法律二条が、独占的事業または統制的業務を営む同条所定の会社、組
合またはこれに準ずるものの役職員がその職務に関し賄賂を収受しまたはこれを要
求しもしくは約束する行為を処罰することとしたのは、これらの独占的事業または
統制的業務の公共的性質に鑑み、その運営の公正を確保することを目的とするもの
である。しからば、前記の本来の事業または業務を行なうために必要な関係にある
事務というのも、右法律二条の法意に照らし、その範囲はおのずから限定を受ける
べきものであり、何がそれに当るかは、個々具体の事案ごとに、社会通念に照らし、
これを決すべきものというべきであつて、その範囲は、決して所論のように広義に
過ぎ恣意的解釈を許す無制限なものではない。前記当裁判所の判例の見解は、これ
を変更すべき理由はない。
 これを本件について見るに、本件A株式会社は、右法律二条別表乙号三〇にいう
「地方鉄道法第十二条ノ規定ニ依ル免許ヲ受ケ地方鉄道業ヲ営ム者」である。従つ
て、そのような会社が、線路の一部を電化するためその架線工事を請負わせる場合
において、もし、その請負の事務に関し賄賂が行なわれるとするならば、同会社の
本来の事業たる公共的性質を有する地方鉄道事業そのものの運営に好ましからざる
影響を及ぼすおそれがあり、公共の利益を害するに至る危険の存することを否定で
きない。しからば、右架線工事を請負わせることは、右会社の本来の事業たる運輸
事業自体とはいえないが、前記法律二条の適用については、右運輸事業を行なうた
めに必要な関係にある事務であると解するのが相当であり、右会社の役職員がこの
ような事務を担当している場合には、その事務は右法律二条のいう職務に当るとい
うべきであつて、これと同趣旨に出でた原判決には所論の違法は認められない。そ
れ故、所論違憲の主張は結局前提を欠くものであつて、採るを得ない。
 同第二点は事実誤認、同第三点は量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告
理由に当らない。
 被告人Bの弁護人佐伯千仭、同井戸田侃の上告趣意第一点は憲法三一条違反をい
うが、論旨の採ることのできないことは、被告人Bの弁護人海野普吉、同甘糟勇雄、
同小田成光の上告趣意第一点に対する前記説示のとおりである。
 同第二点は事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Cの弁護人溝上脩一の上告趣意第一は憲法三一条違反をいうが、論旨の採
ることのできないことは、被告人Bの弁護人海野普吉、同甘糟勇雄、同小田成光の
上告趣意第一点に対する前記説示のとおりである。
 同第二は事実誤認、同第三は単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴四〇五条の
上告理由に当らない。
 記録を調べても、所論の点につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められな
い。
 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
  昭和三九年六月四日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    斎   藤   朔   郎
            裁判官    長   部   謹   吾

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛