弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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              主文  
被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数中360日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,
第1(平成13年12月27日付け起訴状記載の公訴事実第1) 
   暴力団A組B組C会D組若頭であるが,かねてから,神戸市a区bc丁目c
番d号所在の神戸市立b保育所の所長であるE(当時51歳)らに対し,「保育所
の入口に車停めんようにしてくれ。隣りの市営住宅に住んでいる車椅子生活の親父
が車に轢かれそうになった。保育所の東側門周辺の壁が邪魔で走ってくる車が見え
ないから,壊してくれ。」などと申し向け,嫌がらせを加えていたところ,平成1
3年9月11日午前10時30分ころ,同区bc丁目c番c号所在の市営b住宅南
西出入口付近において,前記Eに対し,胸元を開けて同所の入れ墨が見える状態の
まま,「停まっとる車壊してもうたろか。若い衆,保育所の前にずらっと立たしと
こか。くそガキの命より親父の命の方が大事や。かーっとしたら,何するかわから
へんからな。」など
と申し向け,同人の身体等にいかなる危害を加えるかも知れない気勢を示して脅迫
し,もって団体の威力を示して脅迫した
第2(平成13年11月9日付け起訴状記載の公訴事実) 
   暴力団A組B組C会D組若頭であるが,分離前の共同被告人Fと共謀の上,
前記Fの内妻Gの妹Hがピザの配達用のバイクに接触されそうになったことに言い
掛かりをつけ,いわゆるみかじめ料名下に金員を喝取しようと企て,平成13年1
0月7日午後8時ころ,神戸市a区e町d丁目d番d号所在の前記Gらの実家であ
るI方に,株式会社KL事業部Lf店店長J(当時33歳)を呼び出し,同所にお
いて,そのころから同日午後9時50分ころまでの間,運転していた奴を出せと要
求して順次同店アルバイト従業員4名を同所に呼び出し,前記Fにおいて前記Jに
殴りかかろうとする気勢を示し,被告人において上着をはだけて入れ墨を示しなが
ら,こもごも,前記Jに対し,「お前のところのバイクの運転が危なくて接触しか
けた。どういう教育
してるんや。」「埋めたろか。筋者なめとったらあかんぞ。」などと申し向け,さ
らに,被告人において,所携の数珠を,前記の経過で呼び寄せられ,前記Jのそば
で正座していた同店の従業員の一人であるM目掛けて投げつけた上,前記Jに対
し,「あんたの誠意見せてくれたらええだけや。100万円200万円用意せえ言
うてるんちゃうぞ。盆と正月になぁ,品物持って行くから3万円で買うてくれたら
いいねん。お前,警察にチクッたら殺すぞ。わしら,人殺すことなんて何とも思っ
てないからのう。」などと申し向けて金員を要求し,もしこの要求に応じなけれ
ば,前記Jの身体等にいかなる危害を加えるかも知れない気勢を示して脅迫し,そ
の旨同人を畏怖させ,同人から金員を喝取しようとしたが,同人が警察官に被害を
届け出たため,その目的
を遂げなかった
第3(平成13年11月22日付け起訴状記載の公訴事実) 
平成13年10月13日午前1時35分ころ,神戸市a区g町h丁目i番c
号先路上でかがんでいたところにN(当時54歳)運転のタクシーが後退してきて
接触した旨最寄りの交番に交通事故被害の申告をしたものであるが,同日午前2時
5分ころ,同所付近歩道上において,前記申告に基づき被告人及び前記Nの両名が
立会の上,警察官による実況見分が行われた際,前記Nの警察官に対する説明が気
に入らないとして激高し,前記Nの胸倉を掴んで揺さぶって,同所南側の壁に同人
の背中を数回押し付けるなどの暴行を加えた
第4(平成13年12月27日付け起訴状記載の公訴事実第2)
   平成13年10月22日午前3時30分ころ,神戸市a区bc丁目d番所在
の県営住宅西側出入口において,普通乗用自動車に乗車中のO(当時42歳)に対
し,車がぶつかったなどと因縁を付け,同車の窓から両手を差し入れ,同人の胸倉
を両手で掴んで引っ張るなどの暴行を加えた
ものである。
(証拠の標目)-括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号
省略
(補足説明)
第1 弁護人は,判示第2につき,被告人は,Lf店店長Jからみかじめ料名下に
金員を恐喝する意図はなかったし,その旨分離前の共同被告人Fと共謀したことも
ない,また,胸元の入れ墨を殊更誇示していないし,手にしていた数珠を投げ付け
ていないなどと主張し,被告人もこれに沿う供述をするところ,前掲関係各証拠に
よれば,弁護人主張の点を含め,判示第2の犯罪事実は疑いの余地なく認定できる
のであるが,その理由につき,補足して説明を加える。
 1 前掲関係各証拠によれば,次の事実が認められる。
 (1)被告人は暴力団A組B組C会D組若頭であるが,平成13年10月7日,
同組舎弟であるFの内妻Gらの実家であるI方において,F,前記G及び同女の実
妹Hらとともに飲食中,外出しようとしたHが戻ってきて,被告人らに対し,家の
前でピザの配達用のバイクに接触されそうになった上暴言を浴びせられたと訴える
や,同日午後8時ころ,株式会社KL事業部Lf店に電話して,被告人において,
同店店長であるJを呼び出し,ほどなく同人が前記I方に来て,同所6畳和室に上
がった。
 (2)同所において,被告人らはJに対し「お前のところのバイクの運転が危な
くて接触しかけた。どういう教育してるんや。」「運転していた奴を出せ。」など
と怒鳴り,Jは正座してひたすら謝罪しつつ,配達員を呼ぶことはできない旨返答
していたが,Fにおいて何度か,殴る,蹴る等の仕草をするなどしつつ,「筋者な
めとったらあかんぞ。埋めたろか。」などと怒鳴り,そのたびに被告人ら周囲の者
がこれを制止するような状態が続き,ついには,被告人において着ていたジャージ
をはだけて入れ墨を見せつけながら,「早う電話して犯人連れて来い。」と怒鳴っ
た。
 (3)やむなく,Jは,同日午後8時20分ころ,Lf店に電話して,配達中前
記I宅付近をバイクで走行したというアルバイト従業員Mを呼び出し,前記6畳和
室において,Mは被告人らから犯人はお前ではないかと追求されたが,前記HがM
ではなかったというに及んで,被告人らは,犯人はいないはずがないとして,店の
者全員を呼べと要求し,その結果,さらにPら3名の同店のアルバイト従業員が順
次I宅に呼び出され,全員が正座させられた上,被告人及びFらから,犯人は誰や
などと怒鳴りつけられたが,Hにおいていずれも違うと述べたため,被告人におい
て,前記Mに対し,「後は店長と話するから,お前が認めればええやないか。」旨
述べ,これに応じないMの態度に苛ついて,所携の数珠を,同人目掛けて投げつ
け,前記3名の従業員
が帰ることを許された後,Mが土下座して謝罪させられた。
 (4) 被告人は,Mに対し,後は店長と大人の話をするので帰ってええわと述
べ,Mが帰った後,Jとの間で,要旨「あんたの誠意見せてくれ」(被告人),
「お金ですか」(J),「そうや。でも100万円200万円用意せえ言うてるん
ちゃうぞ。盆と正月に品物持って行くから3万円で買うてくれたらええだけの話
や。」(被告人)「分かりました。」(J)とのやりとりがなされた後,被告人は
Jに対し,「これからええつき合いしていこな。」「もう分かっとると思うけど,
警察にちくったら殺すぞ。わしら殺すことなんて何とも思っていないからのう。」
と述べ,さらに,台所にいたFに対し,「金の話の件もう済みました。」と述べ
た。
 (5) 前記I方6畳和室とその奥の台所とは85センチメートル幅の廊下を挟ん
で見通しのきく位置関係にあり,Fはその間台所にいたことはあるものの,ほとん
どの間和室にいた。
 2 以上のとおり認められる。Lf店長及び同店のアルバイト従業員3名の当公
判廷における証言の信用性は十分であり,これに反する被告人の公判供述や各供述
調書並びにFの公判供述は信用しがたい。
   これらの事実によれば,被告人において被害者を恐喝する意図で被害者らを
呼び出したものと優に認められるし,被告人が被告人の意図を了知したFとの間
で,少なくとも,暗黙のうちに意思を相通じて本件犯行に及んだものと認めるに十
分である。
   被告人は,金員を恐喝する意図はなかったし,Fとの間でその旨共謀したこ
ともない,入れ墨を殊更誇示して威嚇したことも,数珠を投げ付けたこともないな
どというが,被告人の供述は,個々の具体的な挙動や脅迫文言については極めて曖
昧な供述に終始し,あるいはそのような事実はなかった旨強弁するものであって,
到底信用できるものではない。
 3 以上のとおり,被告人が判示第2の犯行を行ったことにつき証明は十分であ
り,弁護人の主張は理由がない。
第2 弁護人は,判示第3につき,被告人は左手で被害者Nの襟首を掴んで揺さぶ
ったことはあるが,その胸倉を右手で掴み揺さぶって壁に同人の背中を押し付けた
ことはないなどと主張し,被告人もこれに沿う供述をするが,証人N及び同牧誠司
の当公判廷における各供述の信用性はいずれも十分であり,同各証言を含む前掲関
係各証拠によれば,弁護人主張の点を含め,判示第3の犯罪事実は疑いの余地なく
認定できるから,弁護人の主張は理由がない。
(累犯前科)
 被告人は,①平成8年7月18日神戸地方裁判所で暴力行為等処罰に関する法律
違反の罪により懲役1年2月(4年間刑の執行猶予,平成10年5月26日その猶
予取消し)に処せられ,後記②の刑の執行に引き続きその刑の執行を受け,平成1
2年10月14日その刑の執行を受け終わり,②平成9年12月15日同裁判所で
競馬法違反の罪により懲役1年4月に処せられ,平成11年8月14日その刑の執
行を受け終わったものであって,これらの事実は,検察事務官作成の前科調書(検
察官請求証拠番号73)及び判決書謄本3通(同79ないし81。ただし,79は
調書判決)によって認める。
(法令の適用)
 罰   条 第1 暴力行為等処罰に関する法律1条(刑法222条1項)
第2 刑法60条,250条,249条1項
第3及び第4
   各刑法208条
 刑種の選択 懲役刑選択(第1,第3,第4につき)
 再犯加重 各刑法56条1項,57条
 併合罪加重 刑法45条前段,47条本文,10条(最も重い判示第2の罪の刑
に同法14条の制限内で法定の加重)
 宣 告 刑 懲役3年
 未決勾留 刑法21条(360日算入)
 訴訟費用 刑事訴訟法181条1項ただし書(負担させない。)
(量刑の理由)
 本件は,被告人が保育園園長に対し暴力団の威力を示して脅迫した暴力行為等処
罰に関する法律違反の事案(第1),被告人が共犯者と共謀の上,配達員の運転態
度がよくないなどと因縁を付け,Lf店長を脅迫して金員を恐喝しようとしたが,
被害者が警察官に届け出たため未遂に終わった恐喝未遂の事案(第2),いずれ
も,被告人が交通事故の被害を受けたなどとして車の運転者に因縁を付け暴行を加
えた各暴行の事案(第3,第4)であるが,いずれも犯行の動機に斟酌すべき事情
は何ら認められない暴力団員特有の陰湿で卑劣な犯行であり,ことに第2の犯行
は,暴力団員であることを誇示し執拗に脅迫を続けたもので,その犯行態様は無法
で悪質であること,第4の犯行の被害者を除き,いずれの被害者の被害感情も厳し
いこと,被告人には累犯
前科欄記載のものを含め懲役前科が5犯あること,加えて,被告人は,審理の終盤
においては,第2の事実以外は概ね事実を争わない態度をとるに至ったとはいうも
のの,捜査段階から公判段階において,本件各犯行につき不合理かつ不可解な弁解
に終始して恥じるところがなかったこと等に徴すると,被告人の刑事責任はかなり
重いというべきであるが,第2の犯行が未遂に終わったこと,第4の犯行の被害者
に対し金10万円を支払って示談が成立し,同被害者の宥恕を得たこと,被告人な
りの反省服罪の態度等被告人のために酌むべき事情も十分に考慮した上,主文のと
おり量定した次第である。
 よって,主文のとおり判決する。
平成15年3月12日
神戸地方裁判所第11刑事係甲
裁 判 官   杉 森 研 二

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