弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人に関する部分を破棄する。
     被告人は無罪。
         理    由
 本件控訴趣意は、弁護人阿部一雄名義の控訴趣意書、同鍜冶良道名義の控訴趣意
書、同弁護人名義の控訴趣意書訂正の申立と題する書面、右両弁護人連名の昭和三
九年六月一五日付、同年一一月一六日付各控訴趣意書補充申立書各記載のとおりで
あるから、各これを引用する(右のほか当裁判所の職権調査の発動を求めるものと
して同年八月一九日付控訴趣意書補充申立書がある)。
 職権をもつて、原判決の事実認定の当否につき調査するに、本件起訴状記載の公
訴事実は、「被告人は汽船A丸(四九・五四トン)を所有し漁業を営むものである
が、原審相被告人Bと共謀のうえ農林大臣の許可を受けないで、昭和三七年九月一
四日から同年一〇月一日までの間、右Bが漁撈長として同船に乗り組み漁夫を指揮
し本邦東方海上において延縄を使用し、まぐろ類約八トン水揚金一九〇万円相当を
採捕し、もつて中型かつお・まぐろ漁業を営んだものである」というのであつて、
原判決もその挙示の証拠により右公訴事実のとおりの事実を認定している。すなわ
ち、公訴事実も原判決も、被告人個人が漁業を営むものであつて、その所有のA丸
を使用し同船の漁撈長Bと共謀していわゆる無許可漁業をしたのは、被告人個人の
業務としてしたものである、というのである。そして原判示の期間内にA丸によつ
てなされたまぐろ類の漁業が所定の許可なしに営まれたものであることは原判決挙
示の証拠によつて認められるところであるが、当審における事実取り調べの結果、
特に被告人の当審公判延での供述、当審証人Bの証言、当審において検察官提出の
売買仕切書、弁護人提出の弁第一号証売買仕切書写、弁第四号証漁業許可(権利)
賃貸契約書写、弁第五号証漁船賃貸契約書写、弁第六号証C水産株式会社の登記簿
謄本等に徴すれば、被告人は従前は個人で漁業を営んでいたが、昭和三二年三月一
二日漁業を目的とするC水産株式会社を設立し、爾来自らその代表取締役となつて
同会社の業務一切を掌理していたものであつて、少なくとも昭和三三年以降は個人
としては漁業を営まず、被告人所有の漁船およびこれに附帯する漁業権はすべて同
会社に賃貸し、被告人は専ら同会社の業務に関し同会社代表取締役として関与して
いるに過ぎないこと、本件A丸の本件操業についても同様であつて、すなわら被告
人は同会社に対し、A丸については昭和三七年四月二五日付漁船賃貸契約書をもつ
て同日から昭和三八年四月二四日まで賃貸し(弁第五号証漁船賃貸契約書写)、同
船に附帯する漁業権については昭和三七年四月二九日付漁業許可(権利)賃貸契約
書をもつて同日から昭和三八年三月三一日まで賃貸し(弁第四号証漁業許可(権
利)賃貸契約書写)、右にもとづき同会社が同船を使用して本件漁業を営み、これ
による漁獲物も同会社が売却処分したものであつて、被告人は同会社の代表取締役
としてその業務に関して前記違反行為をしたものであること(当審における検察官
提出の売買仕切書、弁護人提出の弁第一号証売買仕切書写、被告人の当審公判廷に
おける供述)が明らかに認められる。そうすると、原判決が、原判示のいわゆる無
許可漁業を被告人個人が営んだものであるとして、被告人個人に右違反行為の刑事
上の責任<要旨>があるものと認定判示したのは、刑事責任の帰属につき事実を誤認
したものといわなければならない(なお、指定漁業の許可及び取締り等に関
する農林省令附則二条一六条による中型かつお・まぐろ漁業取締規則二条違反の罪
(同取締規則一八条一項一号)においては、個人経営者みずからが自己の業務に関
し違反行為をした場合と、たとえ同一人であつても、その者が法人の代表者として
法人の業務に関し違反行為をした場合(同取締規則二〇条参照)とでは、その行為
の効果の帰属する主体を異にするし、没収、追徴等のいわゆる附帯の処分にも影響
するのであるから、両者は基本たる事実関係を異にし、公訴事実の同一性を認める
ことはできないものと解すべきであるから、本件においては、前者から後者への訴
因の変更も許される余地はないものといわなければならない)。そして、原判決の
右事実の誤認が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、原判決中被告人に関
する部分はこの点において全部破棄を免れない。
 よつて、各弁護人の各控訴趣意(被告人に追徴を命じたことの法令適用の誤りと
量刑不当)に対する判断はこれを省略し(破棄の理由が前記のとおりである以上、
被告人から漁獲物の価額を追徴し得ないことは自明の理である)、刑訴法三九七条
一項三九二条二項三八二条により原判決中被告人に関する部分を破棄し、同法四〇
〇条但書により当裁判所においてさらにつぎのとおり判決する。
 本件公訴事実は前記摘示のとおりであるが、前記説示の理由により被告人に対す
る本件被告事件は罪とならないことに帰するから同法三三六条前段により被告人に
対しては無罪を言い渡すべきものとし、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 斎藤寿郎 判事 小嶋弥作 判事 杉本正雄)

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