弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1被告は,別紙3「認容額一覧表」の「請求の相手方」欄記載
の者に対し,それぞれ,同「認容額」欄記載の各金員を支払えと
請求をせよ。
2原告らのその余の請求を棄却する。
3訴訟費用は,①原告らと被告との間で生じたものは,これを
5分して,その1を被告の負担,その余を原告らの負担とし,②
補助参加によって生じた費用は,被告補助参加人A26,同A2
9,同A30,同A31,同A34及び同A36と原告らとの間
で生じたものは,それぞれ原告らの負担とし,その余の被告補助
参加人らと原告らとの間で生じたものは,それぞれ各被告補助参
加人の負担とする。
事実及び理由
第1請求
被告は,別紙2「請求額一覧表」の「請求の相手方」欄記載の
者に対し,同「請求額」欄記載の各金員及びこれに対する平成1
9年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
と請求をせよ。
第2事案の概要
本件は,福岡市の住民である原告らが,平成18年度(平成1
8年4月1日から平成19年3月31日まで。以下,特に断らな
い限り同様。)当時,同市市議会議員ないし同議員らにより構成
される会派であった別紙2「請求額一覧表」の「請求の相手方」
欄記載の者(以下「相手方ら」という。)が,同年度に同市から
交付された政務調査費の一部を使途基準に反して違法に支出し,
不当に利得を得ているが,被告が不当利得返還請求権の行使を怠
っていると主張して,被告に対し,地方自治法242条の2第1
項4号に基づき,相手方らに対して上記違法支出相当額(別紙2
「請求額一覧表」の「請求額」欄記載の各金額)の不当利得の返
還及びこれに対する平成18年度の政務調査費に係る収支報告書
の提出期限の翌日である平成19年5月1日から支払済みまで民
法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するよう求
める住民訴訟である。
1関係法令の定めの要旨
別紙4「関係法令の定めの要旨」記載のとおり。
2前提事実(争いのない事実及び証拠等により容易に認定できる
事実)
⑴当事者(争いなし)
ア原告らは,福岡市の住民である。
イ被告は,福岡市の執行機関である。
ウ相手方らのうち,A1福岡市議団,A2福岡市議団,A3
福岡市議団,A4福岡市議団,A5,A6福岡市議団,A7
及びA8は,いずれも平成18年度当時,福岡市議会議員に
より構成される市議会内の会派(これは,いわゆる「権利能
力なき社団」に当たる。)であった者であり,その余の個人
は,いずれも同年度当時,福岡市議会議員であった者である。
エ相手方らのうち,A11は,平成23年5月26日に死亡
した。
A37は,A11の妻であり,A38及びA39は,A1
1の子であって,法定相続分に従いそれぞれA11を相続し
た。同人らは,本訴において,A11の補助参加人の地位を
承継した。
⑵政務調査費の交付,支出及び返還(争いなし)
相手方らは,地方自治法(平成20年法律第69号による改
正前のもの。以下,同改正前のものを「法」という。)100
条13項並びに福岡市政務調査費の交付に関する条例(平成2
0年条例第28号による改正前のもの。以下「本件条例」とい
う。)2条1項,同3条1項及び同条2項に基づき,福岡市か
ら,平成18年度分の政務調査費として別紙5「交付額一覧表」
記載の各金額の交付を受け,これに対する預金利息と合わせて,
それぞれ別紙6「収支一覧表」の「収入」欄記載の各金額の収
入を得た。
そして,相手方らは,福岡市議会議長に対し,収支報告書を
提出するとともに,交付された政務調査費から支出額を控除し
た残余金を被告に返還する義務を負っているところ(本件条例
11条1項,13条),それぞれ福岡市議会議長に対して収支
報告書を提出し,上記別紙6「収支一覧表」の「支出」欄記載
の各金額を上記収入から控除した「残余金」欄記載の各金額を,
それぞれ被告に返還した。
⑶住民監査請求及び本訴提起(争いなし)
ア原告らは,平成19年10月3日,福岡市監査委員に対し,
相手方らの平成18年度分の政務調査費の支出について,使
途基準に反する違法な支出が含まれているので,被告は,相
手方らに対して,当該支出相当額の不当利得返還請求権を有
するにもかかわらず,この行使を怠っているとして,法24
2条1項に基づき,住民監査請求を行った。
これに対し,同市監査委員は,同年11月28日付けで,
当該住民監査請求には理由がないので棄却するとの決定を
し,原告らにその旨通知した。
イ原告らは,平成19年12月28日,本訴を提起した。
⑷「政務調査費の手引き」の運用開始
福岡市議会は,平成20年4月1日から,「政務調査費の手
引き」(以下「本件手引き」という。)の運用を開始したが,
その中には,「会派(議員)の活動は,本会議などの会議に出
席することは勿論,政務調査活動以外にも,政党活動,後援会
活動等と多面的であり,その境界が必ずしも明確に区分できる
とは限りません。こうした場合には,実態に合った(政務調査
活動に要した部分の時間割合や面積割合など,実績や実情を考
慮した)按分による算定方法を用います。」との記載がある(乙
6)。
3争点及び当事者の主張
⑴総論
ア政務調査費の性質と違法支出の判断枠組み
(原告らの主張)
政務調査費は,法232条の2を根拠に交付される一種の
補助金であるので,「公益上必要がある場合」でなければ支
出することができない。また,政務調査費は,「議員の調査
研究に資するため必要な経費」(法100条13項)である
から,当該年度において支出された市政の調査研究に資する
ため必要な経費に限って支出が許されるものであり,具体的
には,法100条13項及び本件条例8条を受けた福岡市政
務調査費の交付に関する条例施行規程(平成20年3月27
日議会規程第1号による改正前のもの。以下「本件規程」と
いう。)3条及び同別表で定める使途基準(以下「本件使途
基準」という。)に合致する場合のみ支出が許されるのであ
るが,ある政務調査費の支出が本件使途基準に合致するか否
かは厳格に判断すべきである。
そして,個別の支出が本件使途基準に合致するか否かの判
断においては,政務調査費の交付対象である市議会の会派及
び交付対象議員(本件条例3条2項参照。以下,会派及び交
付対象議員を合わせて「会派等」という。)の政治活動は,
政務調査活動とそれ以外の活動に区分できるところ,①全
体が政務調査活動に当たる活動の経費の支出は全額本件使
途基準に合致する支出であり,②全体が政務調査活動以外
の活動に当たる活動の経費の支出は全額本件使途基準に合
致しない支出(以下「目的外支出」という。)であるが,③
ある活動に係る経費を政務調査活動の経費に当たる部分と
それ以外の活動の経費に当たる部分とに合理的に区分でき
るにもかかわらず,これを区分せずにその全体を政務調査費
から支出している場合で,その金額や使途から見て大半が政
務調査活動以外の活動の経費に当たると社会通念上推認さ
れる場合には,当該支出全体が目的外支出に当たる。また,
④政治活動は,様々な要素を併せ持っているのが通常であ
り,政務調査活動とそれ以外の政治活動とを合理的に区分で
きない活動(以下「区分不可能な活動」という。)もあるが,
そのような活動の経費であっても,政務調査費からの支出が
許されるのは本件使途基準に合致する部分のみであるので,
その活動内容から政務調査活動に当たる部分の割合を特定
できるものは当該割合により按分し,政務調査活動に当たる
部分の割合を特定できないものについては,その半分程度は
政務調査活動の経費に当たると考えて,その余の部分(5割
を超える部分)は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及び被告補助参加人ら(以下,被告及び被告補助参加人
ら全員を「被告ら」という。)の主張)
政務調査費は,法100条13項を根拠とするものであ
って,補助金ではない。たしかに,政務調査費は公金から
支出されるので,その使途の透明性を確保する必要がある
が,政務調査費の使途が詳細に明らかになると,会派等の
政策意図や具体的な調査対象が他者に知られることとな
って,調査目的の達成に支障を来すおそれもあるので,そ
の密行性への配慮が必要である。
また,上記に加えて,地方公共団体においては,首長と
議会議員を共に住民が選挙する二元代表制がとられてい
て,首長と議会が牽制しあう立場にあること,そのため議
会の役割には首長に対する監視も含まれること,その表れ
として法100条14項が収支報告書の提出先を地方公
共団体の首長ではなく議長としていることなどを考慮す
れば,首長がみだりに政務調査費の使途を調査できると解
するべきではなく,政務調査費の適正支出の確保は,第一
次的には会派等の,第二次的には議長の責任において行わ
れるものであり,その判断を尊重すべきである。
会派等の行うべき市政の調査の範囲は,幅広く多岐にわ
たるので,ある活動が政務調査活動に当たるか否かは緩や
かに判断するべきである。原告らが主張する,会派等の活
動を政務調査活動,それ以外の活動及び区分不可能な活動
に区分した上,純粋な政務調査活動に限って政務調査費か
らの支出を許すという考え方は,わずかでも政務調査活動
以外の性質を有する活動が混在している活動については政
務調査費から経費を支出することができなくなって,会派
等が政務調査費を十分に生かすことが困難となり,会派等
の調査能力を高めることによる議会の役割の強化という政
務調査費制度の趣旨を没却することになるので,採ること
ができない。
また,上記で述べたとおり,政務調査費の適正支出の
確保においては,第一次的には会派等の,第二次的には議
長の判断を尊重すべきであるところ,福岡市の政務調査費
制度においては,政務調査費の交付を受ける会派等は,そ
の経理を明確に行わなければならないとされ(本件条例9
条1項,2項),さらに議長において,適正支出の確保の
ために福岡市政務調査費取扱要領(平成18年度当時のも
の。以下「本件要領」という。)を定めている。これらに
よって,政務調査費の交付を受ける会派等には,年間執行
計画書の作成,保管が義務付けられているほか(本件要領
2条),使途項目ごとに各支出の具体的使途が明確になる
ような資料の作成・保管が義務付けられ,使途項目によっ
ては議長への届出が必要とされており(同3条各号),さ
らに,これら関係書類等を5年間保存する義務が課されて
いるところ(同8条),議長は,収支報告書及び領収書等
の写しの内容を検査した上必要があると認めるときには,
政務調査費の支出に関する関係書類等の提出を求めるこ
とができるとされている(同6条1項)。なお,議長に提
出された関係書類等は,福岡市情報公開条例に基づいて市
民に開示される。
本件で原告らが目的外支出であると主張する後述の各
支出(以下「本件支出」という。)については,相手方ら
において上記各規定に基づく管理がされた上,本件条例1
1条1項及び12条2項に基づいて提出された収支報告
書及び領収書等の証拠書類によって,議長による確認,検
査が行われている。さらに,上記で述べたとおり,首長
の関与は制限されるべきであるものの,被告は,政務調査
費の確認,検査を,議長による確認,検査を実際に行って
いる福岡市議会事務局長に補助執行させており,上記議長
による確認,検査は,被告による確認,検査の意味をも持
っているので,本件支出には,二重の確認,検査が行われ
ているということができる。
以上のとおり,本件支出については,第一次的には相手
方らによる適正な管理が行われ,第二次的に議長による確
認,検査が行われた上,さらに被告による確認,検査も行
われて適法であると判断されているのであるから,目的外
支出に当たることはない。
さらに,原告らは,区分不可能な活動に係る支出につい
て,按分額が目的外支出に当たると主張しているが,福岡
市では,平成20年4月1日の本件手引きの運用開始をも
って初めて,政務調査費制度に按分支出の考え方を取り入
れたのであるから,平成18年度当時,福岡市議会の会派
等にとって,按分で政務調査費を支出するということはお
よそ想定し得ないことであった。
したがって,平成18年度当時,区分不可能な活動に係
る経費について,相手方らが按分して政務調査費から支出
することはおよそ期待できなかったので,その全額を政務
調査費から支出していても違法とはいえない。
以上より,平成18年度の相手方らの政務調査費からの
支出については,福岡市議会議長及び被告による確認,検
査が行われていることから,目的外支出が含まれているこ
とはないし,区分不可能な活動の経費があるとしても,違
法な支出とはならない。
(被告補助参加人A6福岡市議団,被告補助参加人A31,被
告補助参加人A32,被告補助参加人A33,被告補助参加
人A34の主張)
地方議員の職責は,本来的な議会における政策の立案,審
議にとどまらず,この本来的職責を果たすためには,付随す
る種々の活動が欠かせない。この付随する活動には,いわゆ
る後援会活動として地域選挙民とのパイプを通じて住民の
意向,苦情及び希望を吸い上げ,政策の基礎資料とすること
や,政党に所属して,その政党の目標となる政治理念の実現
のために党員や党友らと協同し,様々な意見や資料の収集,
交渉をすることが含まれ,さらに,日常的な地域の諸団体,
組織,個人らとの接触も重要な活動である。
以上のことから,議員にとって,後援会活動,政党活動,
地域活動は,三位一体として職責を果たすための不可欠な活
動であるので,議員の政治活動を支える政務調査費は,これ
らの活動の経費として幅広い見地から支出することが許さ
れるというべきである。
イ主張・立証責任の所在
(原告らの主張)
原告らは,個別の支出につき,政務調査活動以外の活動の
経費が混在していることを推認させる一般的,外形的な事実
を主張立証すれば足り,これに対して,被告が,当該支出が
適法であること,すなわち本件使途基準に合致する「調査研
究に資するため必要な経費」であることを立証しなければな
らない。ここで,上記政務調査活動以外の経費が混在してい
ることを推認させる一般的,外形的な事実とは,①政務調
査費に該当するとして政務調査費が支出されていること,②
会派等が,議会本会議への出席等の議会活動,政党活動及び
後援会活動等の政務調査活動以外の活動をも行っているこ
と,③当該支出が会派等の多面的な活動の経費として支出
されているにもかかわらず,専ら政務調査活動に該当すると
して政務調査費の支出がされていることの3点であるとこ
ろ,①及び②の事実は,会派等が議長に提出した収支報告書
や社会通念に従って容易に認められ,③の事実は通常①の事
実から推認できる。
したがって,後記各論のとおりの原告らの主張立証に対
し,被告及び被告補助参加人の側で,当該支出が適法である
ことを立証しなければならない。
(被告らの主張)
本件は,原告らが,被告に不当利得返還請求権の行使を怠
る事実があるとして,法242条の2第1項4号に基づく請
求をするものであるから,原告らが,不当利得返還請求権の
発生原因事実たる,法律上の原因がないという要件について
主張立証責任を負っている。この点,原告らは,相手方らが
政務調査費として支出したものが違法支出すなわち目的外
支出であることを理由として,不当利得返還請求権が発生す
ると主張しているところ,上記法律上の原因がないという要
件に当たる具体的事実は,個別の支出が目的外支出に当たる
ことであるから,原告らにおいて,本件支出が目的外支出で
あることの主張立証責任を負う。
また,その立証の程度については,上記アで述べたとおり,
政務調査費の使途を明らかにすることについては調査の密
行性にも配慮する必要があるので,原告らの立証の程度が低
くても被告の反証が必要であると解することはできず,原告
らは,一般的・外形的にせよ,個別の支出が本件使途基準に
合致しないことの具体的な立証をしなければならず,また,
原告らの主張立証の程度が低ければ,被告側の反証も低い程
度のもので足りる。
ウ個別の支出項目に係る争点のうち共通性の高いもの
会派控室に係る経費
(原告らの主張)
一般的に,会派控室においては専ら政務調査活動が行わ
れるということはなく,会派控室では議会対策としての会
派内及び他会派との協議,会派の人事や事務,各選挙に向
けた対応協議やその準備活動,陳情及びマスコミ等への対
応並びに後援会活動等の政務調査活動以外の活動が行わ
れるのが通常である。したがって,会派控室に係る経費に
は,政務調査活動以外の活動の経費が混在していると推認
されるが,そのうち政務調査活動が占める割合は明らかで
はない。
よって,上記アで述べた判断枠組みに従い,会派控室に
係る経費については,そのうち5割を超える部分が目的外
支出に当たるものと推認される。
(被告らの主張)
上記アで述べたとおり,政務調査活動の範囲は緩やかに
解するべきであることに鑑みれば,原告らが会派控室で行
われている政務調査活動以外の活動として主張する活動の
中にも,政務調査活動に当たる部分が相当存在し,会派控
室での活動には通常政務調査活動以外の活動が含まれてい
るという一般論のみから,目的外支出が混在していると推
認することはできない。
飲食を伴う会合等の経費
(原告らの主張)
飲食を伴う会議,研修などの会合等の経費は,政務調査
費から支出することに根本的になじまないし,飲食を伴う
懇親会は,参加者の懇親のために行われるものであるので,
政務調査活動に必要でない。
よって,飲食を伴う会合等に係る経費又はそうであると
推認される経費は,飲食費部分が特定できる場合はその部
分が,特定できない場合には全額が目的外支出に当たる。
(被告らの主張)
上記アで述べたとおり,目的外支出に当たるか否かは本
件使途基準等に基づいて判断すべきであるところ,政務調
査活動の範囲は緩やかに解するべきであることに鑑みれ
ば,飲食を伴う研究研修であるというだけで目的外支出が
含まれると推認することはできない。
書籍の購入費用
(原告らの主張)
本件使途基準は,資料購入費を,単に「調査研究のため
に必要な図書の購入に要する費用」としているが,社会通
念上,政務調査費からの支出が許されるのは,調査研究に
必要な専門的知識を得るために有益な書籍に限られ,単な
る知識や教養の習得のための書籍の購入費用は,目的外支
出に当たる。
また,会派が政務調査活動に必要な書籍を購入する場合
であっても,1冊購入すれば足りるから,同一の書籍を複
数購入した場合には,1冊を超える部分の購入費は目的外
支出に当たる。
(被告らの主張)
本件使途基準は,資料購入費につき,「調査研究のため
に必要な図書の購入に要する経費」と定めるのみであって,
専門的知識を得るために有益であるとの条件を付していな
い。市政に携わる会派及び議員の政務活動は多岐にわたる
ので,その基礎資料あるいは調査資料としての書籍も,当
然極めて広範にわたる。よって,原告らが主張するような
限定を加えることはできない。
なお,会派によっては平成18年度当時の所属議員数が
10名程度に上ったのであるから,政務調査活動に必要な
書籍が会派で1冊しかないと活動に支障を来す場合もある
ので,書籍によっては複数部購入する必要があり,複数購
入が許されないとはいえない。
広報広聴費全般について
(原告らの主張)
本件使途基準は,広報広聴費について,「市民に報告し
広報するために要する経費」と定めているが,法100条
13項に照らせば,この範囲は調査研究のために必要な範
囲に限定される。また,一般的な広報活動に政務調査活動
を支出することを許せば,政務調査費で選挙活動をも助成
することになりかねず,新たに議員になろうとする者に比
べて現職議員を不当に優遇する結果となる。
したがって,市民の意思の収集及び把握と関係ない,会
派及び所属議員の活動の実績紹介,宣伝など一般的な広報
活動の経費を政務調査費から支出することは許されない
ので,市政報告などの経費は,①政務調査活動に当たる
部分,すなわち,住民の意見を議会活動に反映させること
を目的とする部分と,②それ以外の部分とを区別して,
①についてのみ政務調査費からの支出を認めるべきであ
るが,上記①と②の区別は,実際には困難である。
そこで,市政報告などの経費については,原則として,
上記②の部分が混在していると推認されるので,少なくと
もその5割に当たる部分は目的外支出であるというべき
であり,例外的に全部が上記①に当たるものは全額適法,
全部が上記②に当たるものは全額目的外支出である。
(被告らの主張)
原告らは,会派及び所属議員の活動の実績紹介,宣伝が
含まれることを理由に,市政報告等に係る経費が目的外支
出である旨主張するが,会派及び議員の活動は常に宣伝の
側面を有するといえるので,このことを理由に目的外支出
であるというならば,会派及び議員の活動のほとんどは,
その経費を政務調査費から支出することができなくなっ
てしまい,政務調査費の活用を萎縮させ,制度趣旨を没却
しかねない。
原告らは,市民の意思の収集及び把握に係る経費のみ,
政務調査費から支出することが許される旨主張するが,市
民の意思を市政に反映するためには,市民からの意見を聴
取するだけではなく,市政に関する情報提供や,聴取した
意見をどのように市政に反映させたかについての報告な
どをすることが必要であり,そのような双方向性を持った
活動によって初めて,幅広く市民の意思を市政に取り入れ
ることが可能になるのであるから,市政報告等の広報活動
は重要な政務調査活動である。
したがって,その経費は当然に本件使途基準に合致する
適法な支出である。
エ被告は不当利得返還請求権の行使を怠っているといえる

(原告らの主張)
被告は,公金を管理するものとして,当然に公金たる政務
調査費の支出が適正であったかをいつでも審査し得るので
あるから,本件条例が相手方らに対して整理保管することを
義務付けている会計帳簿や領収書等の提出を求めるなどし
て政務調査費の支出の適否を審査すべきであったのに,これ
を怠り,不当利得返還請求をしないので,被告は不当利得返
還請求権の行使を怠っているといえる。
(被告らの主張)
上記アで述べたとおり,首長がみだりに政務調査費の使途
を調査できると解するべきではないことに加え,特に福岡市
においては,政務調査費の適正化,透明化に議会が積極的に
関与しており,本件使途基準も被告の定める規則ではなく議
会規程の中で定めているなど,議会が自律的に政務調査費制
度の適正化等に取り組んでいるので,政務調査費に対する被
告の関与の程度は相対的に小さくなると解するべきである。
したがって,被告は,収支報告書の記載から見てその使途に
疑問を抱くべき明らかな事由がある場合のみ,その使途につ
き調査をすることができる。
本件においては,上記のような事由はないので,仮に原告
ら主張の支出が目的外支出に当たるとしても,被告は,これ
を調査することはできず,不当利得返還請求権の発生を知ら
なかったから,被告が不当利得返還請求権の行使を怠ってい
るとはいえない。
オ附帯請求について
(原告らの主張)
本件条例には,政務調査費の残余金を返還すべき期限につ
いての定めはないが,収支報告書の提出により返還額が確定
すること,返還額が確定した以上は速やかに返還すべきであ
ることからすれば,相手方らは,平成18年度の政務調査費
に係る支出報告書の提出期限である平成19年4月30日
までに残余金の返還をすべきであったといえるので,その翌
日である同年5月1日から遅滞に陥るというべきであり,同
日からの遅延損害金の支払義務を負う。
(被告らの主張)
上記で述べたとおり,不当利得返還請求権は発生していな
いので,当然遅延損害金は発生しない。
⑵各論
個別の支出に関する争点及び当事者の主張は,以下のとおり
である(全体に共通する総論的な主張は前記3ウのとお
り。)。
なお,相手方らが,以下の各項に記載する支出項目で,各記
載の金額を各記載の期間に政務調査費から支出したことにつ
いては,特記なき限り争いがない。
ア被告補助参加人A1福岡市議団の支出について
資料購入費(新聞代,本代等)30万8136円(平
成18年4月27日から平成19年3月30日)
(原告らの主張)
上記支出は,A1の会派控室に備え置き又は同控室で利
用する新聞,本等の購入費用等であるところ,前記総論で
述べたとおり,会派控室の活動には,政務調査活動以外の
活動が混在しているので,上記支出の5割である15万4
062円は,目的外支出に当たる。
(被告及びA1の主張)
上記支出に固有の主張はないが,原告らの主張から上記
支出に目的外支出が混在していると推認することはでき
ず,按分して支出すべきという根拠もない。
研究研修費
a会議費68万6230円(平成18年5月23日か
ら平成19年2月13日)
(原告らの主張)
上記支出は,D1ホテルという場所,支払金額及び「会
場借上」,「会場借上料他」,「会議費」,「会議費他,
会場借上他」等の領収書の記載内容から,飲食を伴う会
合が行われたことが推認されるところ,飲食を伴う会
議,研修等の費用が目的外支出に当たることは前記総論
で述べたとおりである。
また,会派の会合には,会派内の懇親,会派の人事や
議会対策など政務調査活動以外の目的で開催される会
合があるから,上記支出には,政務調査活動以外の活動
の経費が混在していると推認される。よって,被告及び
A1において,上記支出が適法であること,すなわち,
上記支出に係る会合が,目的,時期,性質,支出の内容,
程度から見て,専ら市政の調査研究を目的としたもので
あり,支出額全体が本件使途基準に合致すると認めるに
足りる特段の事情の主張,立証をしなければならない
が,これらの主張,立証はない。
したがって,上記支出のうち,その5割である34万
3115円は,目的外支出に当たる。
(被告及びA1の主張)
上記支出に係る領収書の「4/27会場借上他」等の
記載は,本件使途基準の「研究研修費」に当たるものと
して政務調査費使途基準の取扱について(平成18年度
当時のもの。以下「本件取扱」という。)に例示されて
いる「会場借上費」に該当するので,本件使途基準に合
致し適法な支出である上,前記総論で述べたとおり,原
告らの主張から上記支出に目的外支出が混在している
と推認することはできず,按分して支出すべきという根
拠もない。
b会議費等10万1025円(平成18年8月17日
から平成19年1月25日)
(原告らの主張)
上記支出は,支出金額等から,飲食を伴う会合のもの
であることが明らかであるから,同支出のうち,その5
割である5万0512円は目的外支出に当たる。
(被告及びA1の主張)
上記支出に固有の主張はないが,原告らの主張から上
記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
c役員会等食事代76万6128円
(原告らの主張)
⒜朝食会の食事代4万8030円
A1は,平成18年7月31日,同年11月21日,
平成19年1月22日,同月25日,同年2月25日
に行われた会派の朝食会の費用として,それぞれ82
80円,1万1999円,1万0150円,1万08
57円,6744円の合計4万8030円を研究研修
費として政務調査費から支出した。
会派の朝食会は,会派内の親睦や議会対策,各種選
挙への対応等の協議を内容とするものであり,政務調
査活動とはいえないし,そもそも前記総論で述べたと
おり,会議中に食事をした場合でも,食事代を政務調
査費から支出することは許されないので,全額目的外
支出に当たる。
⒝役員会等食事代71万8098円(平成18年5
月30日から平成19年3月2日)
上記食事代は,食事をとりながら政務調査活動を行
ったものとは認められないので,政務調査活動と関係
のない単なる飲食費であるばかりか,上記⒜と同様に
食事代を政務調査費から支出することは許されない
ので,全額目的外支出に当たる。
(被告及びA1の主張)
上記各支出に固有の主張はないが,原告らの主張から
上記各支出に目的外支出が混在していると推認するこ
とはできず,按分して支出すべきという根拠もない。
d議会開催日の昼食代金104万4045円(平成1
8年5月30日から平成19年2月26日)
(原告らの主張)
上記昼食代金は,議員が日常生活上当然に負担しなけ
ればならないものであるので,政務調査費から支出する
ことは許されない上,議会開催日の昼食代金は,議員の
正規の活動たる議会活動の経費として,議員報酬により
賄われるべきであるから,これを政務調査費から支出す
ることは明らかに違法であるので,これは全額が目的外
支出に当たる。
(被告及びA1の主張)
上記支出に固有の主張はないが,原告らの主張から上
記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
広報広聴費(切手代)1084万1280円(平成1
9年1月23日から同年3月14日)
(原告らの主張)
aA1は,以下のとおり,切手代として上記金額を政務
調査費から支出した(いずれも平成19年内の支出であ
る。なお,同じ日に複数の購入があるのは,購入先が異
なるもの。)。
1月23日60万円
同日60万円
同月24日60万円
同日16万円
同日16万円
同日16万円
同月25日60万円
同日60万円
同日60万円
同日60万円
同日12万円
同日28万円
同月26日60万円
同日60万円
同月30日60万円
2月2日20万円
同月5日60万円
同月13日10万円
同日10万円
同日10万円
同日10万円
同日10万円
同日60万円
同月14日10万円
3月2日30万円
同月5日20万円
同日20万円
同月9日60万円
同月12日6万1280円
同月14日60万円
bこのような大量の切手を必要とする活動としては,活
動レポート等の郵送が想定されるところ,活動レポート
等の郵送など同一のものを大量に送付する場合には,切
手を貼付するのではなく料金別納郵便によるのが通常
であるので,上記支出は,活動レポート等の郵送に使用
されていないものと認められる。また,上記支出には,
額面が1000円,500円,200円及び100円の
切手の購入費が含まれるところ,通常,このような額面
の切手を郵便物に貼付して郵送することはないので,こ
れらの切手が活動レポート等の郵送に使用されていな
いことは明らかである。そうであるとすれば,大量の切
手が何に使用されたか不明であるので,その購入費用は
目的外支出に当たる。
この点,料金別納郵便を利用して活動レポート等を郵
送したが,その料金の支払をあらかじめ購入しておいた
切手で行ったというならば,当該切手の購入費は,結局
のところ政務調査活動の経費に当たるといえる。しか
し,あらかじめ切手を大量に購入しておく必然性がない
ことや,他方で,大量の切手は,換金した上,政務調査
活動以外の活動の経費として流用することが容易であ
ることに照らせば,あらかじめ大量購入した切手を料金
別納郵便の支払に充てたという場合には,そのような事
実及びそのような取扱いをした理由について,A1が合
理的な説明をすべきであるところ,A1は合理的な説明
をしないので,切手購入に係る上記支出は,目的外支出
であると推認される。
cさらに,料金別納郵便を利用する場合,1通の平均料
金は,67.24円であるところ,A1における活動レ
ポートの印刷部数が16万5000通であること,1通
当たり4枚のレポートであるとすれば,4万1250通
となることに照らすと,活動レポートの郵送費用は,約
277万3650円(67.24円×41250通=2
77万3650円)となり,A1が平成18年度の切手
代及び広報費として支出した1309万7200円(A
1が切手代及び広報費として同額を支出したことに争
いはない。)と上記支出(1084万1280円)との
差額と概ね一致する。このことから,真実活動レポート
の郵送費用として支出されたのは,広報費全体のうち上
記支出を除いた部分であり,上記支出は活動レポートの
郵送費用でないことが明らかである。
d仮に,上記支出が活動レポートの郵送費用であるとし
ても,当該活動レポートの内容及び平成19年4月の市
議会議員選挙目前という配布時期からすれば,政務調査
活動以外の活動が混在しているというべきである。
eしたがって,上記支出は,目的外支出に当たる。
(被告及びA1の主張)
上記支出に係る領収書の「切手600,000円」等の
記載は,本件使途基準の「広報広聴費」に当たるものとし
て本件取扱に例示されている「広報誌等の配布経費(封筒,
切手等)」に該当するので,上記支出は,本件使途基準に
合致する適法な支出である上,原告らの主張から上記支出
に目的外支出が混在していると推認することはできず,按
分して支出すべきという根拠もない。
補助員等雇用費
aバイト代3万7640円(平成18年12月7日)
(原告らの主張)
上記支出は,A1が雇用し,会派控室での業務に従事
させた者に対し支払ったアルバイト代であるところ,前
記総論で述べたとおり,会派控室で行われる活動には,
政務調査活動以外の活動が混在しているので,当該補助
員が従事した業務にも政務調査活動以外の活動が含ま
れていたと推認される。
よって,上記支出のうち,その5割である1万882
0円は,目的外支出に当たる。
(被告及びA1の主張)
上記支出に固有の主張はないが,原告らの主張から上
記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
b議会開催時のアルバイト代4万6250円(平成1
8年6月29日から同年9月8日)
(原告らの主張)
上記支出は,議会開催時に議会活動のために臨時的に
雇用されたアルバイトに支払われた費用であり,正規の
議会活動に要する経費であるので,上記dで述べた議
会開催時の昼食代金と同様に政務調査費からの支出は
許されず,全額が目的外支出に当たる。
(被告及びA1の主張)
上記支出に固有の主張はないが,原告らの主張から上
記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
調査旅費
aタクシー代等の移動経費及びその支払手数料12
万1455円(平成18年6月29日から平成19年1
月29日)
(原告らの主張)
上記支出は,会派で使用するタクシー代等の交通費で
あるところ,会派は,通常,政務調査活動以外の活動を
も行うものであるにもかかわらず,政務調査活動の経費
とそれ以外の活動の経費とに区分して支出されていな
いので,目的外支出が混在していると推認される。
特に,平成19年1月29日に支払われた交通費10
万2800円は,高額であり,政務調査活動以外の活動
の経費の混在が強く推認される。
よって,上記支出のうち,その5割である6万072
7円は目的外支出に当たる。
(被告及びA1の主張)
上記支出に固有の主張はないが,原告らの主張から上
記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
b北九州視察日当4万2900円(平成18年6月2
6日)
(原告らの主張)
A1は,平成18年6月26日,所属議員13名が北
九州を視察した際に,1人当たり3300円の日当を政
務調査費から支給することとし,北九州市D2区D3別
館にて食事をした際の食事代金5万0715円のうち,
4万2900円(3300円×13名分)の支払に上記
日当を充てた。
この食事の際に,政務調査の実質を有する会議及び協
議が行われたとは認められず,実質的には単なる飲食代
金を政務調査費から支出したものであるので,全額目的
外支出に当たる。
さらに,政務調査費は,実費につき支出すべきもので
あるから,日当の支出は許されない。
(被告及びA1の主張)
上記支出に固有の主張はないが,原告らの主張から上
記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
諸事務費及びその他
a会派控室に係る経費
⒜電話料金及びその支払手数料6万0198円(平
成18年4月27日から平成19年3月30日)
⒝事務機器購入,リース代金及びその支払手数料等
37万2330円(平成18年4月16日から平成1
9年3月20日)
⒞事務機器のランニングコスト等及びその支払手数
料等10万9231円(平成18年9月25日から
平成19年3月30日)
⒟事務用品消耗品等57万4007円(平成18年
4月27日から平成19年3月30日)
⒠医薬品,茶器購入費用等1万6720円(平成1
8年8月17日から平成19年3月30日)
⒡茶菓購入費用とその支払手数料等40万561
0円(平成18年5月30日から平成19年3月30
日)
(原告らの主張)
上記⒜から⒡の支出(合計153万8096円)は,
A1が会派控室で使用する事務機器,備品及び消耗品等
の購入費,維持費等の会派控室に係る経費であるとこ
ろ,前記総論で述べたとおり,会派控室での活動には,
通常,政務調査活動以外の活動が混在するので,A1の
会派控室における活動にも,政務調査活動以外の活動が
混在しており,その経費にも政務調査活動以外の活動の
経費が混在していると推認されるが,政務調査活動が占
める割合は明らかではないので,その5割が目的外支出
に当たると認められる。
よって,上記⒜から⒡の支出のうち,その5割の部分,
すなわち,⒜につき3万0096円,⒝につき18万6
165円,⒞につき5万4615円,⒟につき28万6
992円,⒠につき8360円,⒡につき20万280
4円の合計76万9032円は,目的外支出に当たる。
(被告及びA1の主張)
上記支出に固有の主張はないが,原告らの主張から上
記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
b控室観葉植物リース代金等9万4710円(平成1
8年5月30日から平成19年3月30日)
(原告らの主張)
A1は,有限会社D4に対し,A1の会派控室に置く
観葉植物(中鉢2個及び小鉢6個)のリース代金1か月
当たり7875円及びその振込手数料合計9万471
0円を支払い,これを諸事務費及びその他(控室観葉植
物リース代)として政務調査費から支出した。会派控室
に観葉植物を置くことは,政務調査活動に通常必要であ
るとはいえないので,上記支出は全額目的外支出であ
る。
(被告及びA1の主張)
上記支出に固有の主張はないが,原告らの主張から上
記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
c古紙回収費用1万3500円
(原告らの主張)
A1は,平成18年10月3日から平成19年3月3
0日までの間に,その他(古紙回収費用)として,1万
3500円を政務調査費から支出した。
古紙回収は,政務調査活動と関連性がないので,全額
目的外支出に当たる。
(被告及びA1の主張)
上記支出に固有の主張はないが,原告らの主張から上
記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
イ被告補助参加人A2福岡市議団の支出について
資料作成費(カメラ代,コピー使用料,紙代,紙代振込
料)62万1913円(平成18年4月18日から平成
19年3月29日)
(原告らの主張)
上記支出は,会派控室に備え置くコピー機に係る費用及
び会派で使用するカメラの購入費用であるところ,前記総
論で述べたとおり,会派控室での活動及び会派の活動に
は,政務調査活動以外の活動が混在するのが通常であるの
で,A2の会派控室での活動についても,政務調査活動以
外の活動が混在しており,会派控室で使用する電話の使用
料金にも政務調査活動以外の活動に使用した経費が混在
していると推認されるが,政務調査活動が占める割合は明
らかではないので,その5割が政務調査活動に当たると認
めるべきである。
よって,上記支出のうち,その5割である31万095
1円は目的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
a上記支出のうち,62万0098円は,政務調査に関
連する資料を複写するために,A2の会派控室に備え付
けたコピー機を使用したことに伴う支出であるところ,
A2の会派控室は,福岡市役所議会棟内にあり,行政担
当者からの情報収集や意見交換,会派所属議員間の議会
質問に関する討議,他会派との意見交換,政務調査活動
の集約や整理,議会便りの作成等を効率よく行うために
設置されており,実際にこれらの作業が行われている。
これらの議会活動と密接に結び付く活動は,まさしく政
務調査活動そのものである。
一方,A2主催の時局講演会等の準備,選挙活動,災
害復旧対策本部設置等の党務活動は,会派控室とは別の
「A2福岡県本部」(福岡市B28区D5丁目D6番D
7号)にて行われているので,会派控室でこれらの活動
を行うことはない。
原告らは,議会対策としての会派内あるいは他会派と
の協議は政務調査活動ではないと主張するが,政務調査
費制度は,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活
動の基盤の充実化を図るものであるから,政務調査活動
は,最終的に議会の審議に集約されるべきものであり,
そのための会派内あるいは他会派との協議は政務調査
活動に当たる。
また,原告らは,A2が会派控室において,会派が属
する政党の人事や事務,各選挙に向けた対応協議やその
準備活動を行っていると主張するが,これらは,上記A
2福岡県本部で行っており,会派控室では行っていな
い。後援会活動についても,会派控室では行っていない。
A2は,会派の人事や事務については,原告らの主張
するとおり,会派控室で行っているが,議会における審
議は会派を中心に進行するのであるから,議会の審議能
力強化という政務調査費制度の趣旨からすれば,議会の
審議の中心たる会派の人事や事務に係る経費を政務調
査費から支出することは許される。
原告らは,会派控室で行われる陳情やマスコミ対応に
ついても政務調査活動でないと主張するが,それぞれ,
市民の声を市政に集約させるため,市政に関して市民に
広く情報提供するための活動であり,政務調査活動に当
たる。
したがって,A2の会派控室ではまさしく政務調査活
動が行われているのであって,政務調査活動以外の活動
は行われていないから,会派控室に備え付けられたコピ
ー機の使用に係る経費に政務調査活動以外の活動の経
費が混在していることはない。
b上記支出のうち,1815円は,政務調査活動に当た
って現場の状況を写真に残しておく必要があったこと
から,現地にてレンズ付きフィルムを購入した費用であ
る。
資料購入費
a資料代,時刻表代,書籍代20万2051円(平成
18年4月1日から平成19年3月27日)
(原告らの主張)
A2は,別紙7「書籍一覧表(A2)」の「日付」欄
記載の各日に,同「書籍名」欄記載の各書籍を購入する
ため,同「支出額」欄記載の各金額を,資料購入費とし
て政務調査費から支出した。
前記総論で述べたとおり,政務調査費から支出するこ
とが許されるのは,調査研究に必要な専門的知識を得る
ために有益な書籍の購入費に限られるところ,これらの
書籍名から推認される当該書籍の内容は,いずれも市政
の調査研究に必要な専門的知識を得るために有益なも
のとは認められないので,これらの購入費を政務調査費
から支出することは許されず,上記支出は全額が目的外
支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
原告らが主張する,調査研究に必要な専門的知識を得
るために有益な書籍のみ政務調査費によって購入する
ことが許されるとの本件使途基準を狭める解釈が不当
であることは前記総論で述べたとおりである。
そして,福岡市政が国内外の情勢や市民の暮らしと関
係し,歴史や文化とも深い関わりを持っていること,政
務調査活動は市政全般に及ぶことからすれば,A2が購
入した別紙7記載の書籍は,いずれも調査研究のために
必要な図書に当たる。たとえば,別紙7の番号1「C1」
(正確な書籍名は,C55である。)については,平成
18年9月から11月にかけて,福岡市が景観フェステ
ィバルin福岡(C1)を開催したところ,この書籍は,
写真を通じて自然保護を訴えているD8氏の書籍であ
り,景観や環境保護に向けた我が市の取り組みを検討す
る資料として必要であったし,同記載の番号2「C2」
は,主に英,仏,伊の各国の主要な歴史をまとめたもの
であるが,アジアの中の日本,そして我が国にとってア
ジアへの玄関の歴史を持つ福岡の位置付けの確認や,福
岡市のこれからの文化,観光行政の取り組みについて検
討するために必要であったなど(丙ホ4),それぞれ調
査研究のために必要な書籍であった。
したがって,上記支出に目的外支出は含まれない。
bその他の書籍代22万2612円(平成18年4月
4日から平成19年3月23日)
(原告らの主張)
上記支出のうち,7771円は,これにより購入した
書籍名が明らかでない。その余の書籍は,書籍名は明ら
かになっていても,調査研究との関連性が不明確で合理
的な説明がない。よって,上記支出には目的外支出が混
在していると推認でき,その5割である11万1298
円は目的外支出に当たる。
なお,A2は,当該書籍と調査研究との関連性を説明
しているが,その内容は抽象的であり,会派所属議員が
単なる知識,教養を身に付けるためのものであったこと
を否定できないし,具体的に特定の調査研究の必要な書
籍であったとはいえないので,この説明をもって,調査
研究との関連性につき合理的説明があったということ
はできない。
また,書籍名が明らかでない書籍については,A2が
平成20年11月15日に作成した支出一覧表にも書
籍名の記載がないが,このように平成18年度に近接し
た時点でも書籍名が明らかにされていないことから,調
査研究との関連性がなかったことが推認される。
(被告及びA2の主張)
上記支出に係る書籍は,たとえば①「C56」(D
9)や,②「C57」(D10著D11)等の書籍
であるが,これらは,①については,IT産業育成と福
岡市行政のIT化要請のためのパソコン関連(IT)用語
の正確な確認のために必要であり,②は,文明の生態史
などの視点から論じる,D10氏の21世紀の日本を見
通した文明論であるところ,時代の転換期に当たっての
我が国の未来像,福岡市の未来像などを考えるための参
考文献として必要であり,代表質問,新年度予算要望作
成に向けての構想作りのために活用したものであるな
ど(丙ホ4),それぞれ調査研究のために必要な書籍で
あった。また,上記aでも述べたとおり,福岡市政が国
内外の情勢や市民の暮らしと関係し,歴史や文化とも深
い関わりを持っていること,政務調査活動は市政全般に
及ぶことからすれば,これら書籍の購入費用が目的外支
出に当たらないことは明らかである。
また,書籍名が明らかでないものは,支出全体のうち
4件にすぎないが,これは支出一覧表を作成した時点で
当該書籍の確認が困難となっていたためであって,支出
当時は調査研究に必要であることを確認して支出して
いたので,目的外支出は含まれていない。
c福岡市職員録11冊のうち10冊の購入費用1万
1000円(平成18年7月6日)
(原告らの主張)
A2は,平成18年7月6日,福岡市職員録を11冊
購入し,その代金を政務調査費から支出したが,そのう
ち10冊分の代金が上記1万1000円である。
福岡市職員録は,福岡市の行政担当者の氏名や連絡先
電話番号等を記載したものであって,政務調査活動との
関連性は乏しいので,社会通念上会派で1冊購入すれば
足り,それを超える支出は目的外支出になる。よって,
10冊分の1万1000円が目的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
福岡市職員録は,行政担当者やその連絡先を検索する
ツールであり,調査研究のために各議員が個別に備え置
いて使用する必要がある。
また,原告らは,社会通念上妥当な範囲は,会派で1
冊にとどまると主張するが,本件使途基準にはそのよう
な限定はなく,各議員が個別に使用するものであれば,
会派で複数冊購入することも許される。
したがって,上記支出は目的外支出に当たらない。
dD12新聞代,D13新聞代,D14新聞代,D15
新聞代,D16新聞代94万4574円(平成18年
4月1日から平成19年3月31日)
(原告らの主張)
これらは,会派控室用の新聞代金であるところ,会派
控室用の一般商業紙は,調査研究活動との関連性が乏し
いので,その5割の部分は目的外支出に当たる。また,
会派控室用の新聞代として政務調査費から支出できる
のは,社会通念上,各紙につき1部にとどまるので,2
部以上の部分は,全額が目的外支出に当たる。
したがって,各紙につき各1部の代金のうち5割を超
える部分と2部以上の代金全額との合計額83万63
13円は目的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
本件使途基準では,資料購入費の内容として,新聞の
購入に要する経費を挙げているので,新聞代が本件使途
基準に合致することは明らかである。
また,原告らは,会派控室用の新聞として購入するこ
とが許されるのは各紙1部にとどまると主張するが,新
聞は,国内外の情勢や時事など政務調査活動に必要な情
報を迅速かつ正確に入手できる重要な手段であること
から,会派での購読のほか,所属議員の購読分について
も政務調査費からの支出を認めているのであって,会派
控室用を複数部購入しているわけではないし,本件使途
基準は,購入部数を制限していないので,調査研究のた
めに必要であれば,同一の新聞を複数部購入していても
目的外支出として違法になることはない。
eD17代,D18代,書籍(D19)代83万54
31円(平成18年4月1日から平成19年3月31
日)
(原告らの主張)
上記支出は,A2の会派所属議員が所属し又は支援を
受ける政党や団体等が発行する新聞,運動誌等の購入費
用であるところ,このような新聞,運動誌等の購入は,
政務調査活動ではなく政党活動であるので,その購入費
用を政務調査費から支出することは許されず,全額が目
的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
D17,D18及びD19には,全国の政治状況や各
地で行われている特色ある政治的取組などに関する記
事が掲載されているので,先進的な地方行政を知る上で
極めて有益な情報が得られる。そのため,A2は,これ
らの新聞等が調査研究のために必要であることから,そ
の購入費用につき政務調査費からの支出を認めている
のであって,これは政党活動ではない。
したがって,上記支出は本件使途基準に合致し,目的
外支出に当たらない。
fD20デジタル版の購入費4万1160円(平成1
9年1月25日)
(原告らの主張)
D20は,その性質上,政務調査活動との関連性が乏
しく,社会通念上,選挙活動など政務調査活動以外の政
治活動に供されるものと認められるので,その購入費用
は,全額目的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
A2が購入したD20デジタル版は,市民相談におい
て,道路,下水道及び河川に関する相談を受けるたびに,
その地図上に相談を受けた箇所を記録,保存することに
よって,地域的な検証や検索を容易にするなどして,政
務調査活動に利用しているものであって,選挙活動など
政務調査活動以外の活動に使用していない。
よって,この購入費用は本件使途基準に合致し,目的
外支出に当たらない。
研究研修費
a研究研修費として支出された自治会,子供会,同窓会
等の参加費用27万6120円(平成18年4月1日
から平成19年3月17日)
(原告らの主張)
上記支出は,別紙8「会合等一覧表①(A2)」記載
のとおり,校区自治総会,子供会総会及び公民館落成式
などの総会及び式典の参加に関連する支出であるとこ
ろ,これらの総会及び式典に参加するに当たって参加費
用が必要であるとは考えられないので,祝い金や寸志と
して支出された交際費的なものであることが明らかで
ある。なお,これらの会合は,議員等の調査研究の場と
して開催されたものではないので,そこでたまたま市民
の意見や要望を見聞きすることがあったとしても,その
参加費が交際費的な経費であることには変わりはない。
よって,上記支出は全額が目的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
地方行政,特に市町村における行政は,住民の暮らし
に密着しているので,住民の身近なところに政策的課題
があるのが通常であり,地方議員は,住民と行政のパイ
プ役を担うものである。よって,地方議員は,そのよう
な職責を果たすために,地域における自治会や子供会等
の各種会合や中小企業の集まり等に積極的に参加して
地方行政への要望等の集積を図る必要がある。
そして,自治会や子供会は,地域に根差した公的な会
合であり,会合のテーマが福岡市政に関連することもあ
るし,そうでなくとも,参加者から福岡市政に対する意
見及び要望を聞いたり,福岡市政に関する広報を行った
りするよい機会であるので,A2の所属議員は,これら
の機会をとらえて政務調査活動を行っているのである。
たとえば,別紙8「会合等一覧表①(A2)」記載の番
号1「B1校区子ども会総会」は,B1校区子ども会の
年度予算及び行事等の審議,役員及び担当者決めの総会
であるが,A2の所属議員は,この会合で,小学生の子
供会への入会率減少に対する対策として,保護者の協力
が必要であること,学校長,PTA役員や自治連合会へ
の働きかけが重要であるとの要望を受け,また,犯罪に
巻き込まれない地域にするための対策を聞き,区役所と
の連携を図っていくことなどにつき意見交換を行った
し,同記載の番号3の「B3中学校協議会」は,福岡市
立B3中学校における年度予算,行事,役員等の承認や
生徒指導のあり方等に関する学校及び保護者との連絡
会であるが,この会合は,自治団体役員も参加しての意
見交換の場であり,学校施設の様々な問題点も提起さ
れ,校舎の死角で窓ガラスが割られたりしたことを受け
て,教育委員会に水銀灯や防犯カメラ等の設置を申請し
てほしいとの要望を聞き取り,申請手続きを行うなど,
保護者だけでなく教育関係者を交えて有意義な協議を
行ったなど(丙ホ5),上記支出に係る会合は,私的活
動,交際などというものではなく,政務調査活動に当た
ることが明らかである。
A2の所属議員らは,議員という立場がなければこれ
らの会合に参加することはないので,これを議員個人の
私的な活動及び交際であるということはできない。そし
て,原告らは,校区自治総会,子供会総会,公民館落成
式等への参加には参加費用は必要ないと主張するが,参
加者自身及び自治団体が参加費を負担するのが一般的
であり,原告らの主張は誤っている。
なお,原告らは,同窓会の会費等が支出されていると
も主張するが,別紙8「会合等一覧表①(A2)」から
明らかなとおり,A2は,政務調査費から同窓会の会費
を支出していない。
bお茶代,コーヒー代,菓子代,研修教材費,勉強会食
事代,来客用コーヒー代108万1468円(平成1
8年4月5日から平成19年3月30日)
(原告らの主張)
上記支出のうち,研修教材費,勉強会食事代について
は,研修及び勉強会の内容が不明確であり,政務調査活
動と関連性のない経費が含まれると推認されるので,そ
の5割の部分は目的外支出に当たる。また,前記総論で
述べたとおり,飲食を伴う勉強会の費用を政務調査費か
ら支出することは許されないし,会派内の勉強会は,専
ら政務調査活動であるとはいえず,議会対策等の政務調
査活動以外の活動が混在していると認められるので,勉
強会食事代の少なくとも5割は目的外支出に当たる。
上記支出のうち,お茶代,コーヒー代,菓子代,来客
用コーヒー代については,前記総論で述べたとおり,会
派控室における活動には,政務調査活動以外の活動が混
在しているので,会派控室で提供される茶菓の費用にも
政務調査活動以外の活動に使用される部分が混在して
いると推認されるので,その5割である54万0731
円は目的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
⒜勉強会食事代について
A2は,会派所属議員が集まり,それぞれが市民相
談や市政懇談会で得た調査内容について意見交換し
たり,専門家や行政関係者を招いて勉強会を行ったり
して,市政に関する会派としての意思を決定するため
の会議ないし勉強会を日常的に行っているところ,平
成18年度中にも,放射線病院の専門家を講師として
重粒子線病院誘致に関する勉強会や障害者施設長を
招いて障害者自立支援法の今後のあり方に関する勉
強会などを行っており,これらは政務調査活動に当た
ることは明らかであるので,研修及び勉強会と政務調
査活動との関連性が不明確であるとの原告らの主張
は失当である。
また,研究研修に伴う飲食費が直ちに目的外支出に
当たらないことは,前記総論で述べたとおりである
し,上記支出に係る勉強会で食事が必要となったの
は,参加議員や講師等のスケジュール調整の結果,食
事の時間帯に勉強会を開催せざるを得なかったから
であるとともに,食事代の金額にしても,A2の所属
議員が当時12名であったこと,さらに講師等を加え
れば総勢15名程度にはなることからすれば,1人当
たりの金額は社会通念上適切な範囲にとどまるので,
上記支出が目的外支出に当たるということはない。
⒝研修教材費について
A2では,他の自治体の先進的な取組につき教材を
取り寄せて研修活動を行っているところ,上記支出に
係る研修教材費は,会派所属議員が市民と共に各地の
地方行政における様々な取組に関して研究研修を行
うための教材費である。このような研修が政務調査活
動に当たることは明らかであるから,上記支出は目的
外支出に当たらない。
⒞茶菓代等について
上記で述べたとおり,A2は,会派控室を専ら政
務調査活動のために使用しているので,会派控室で提
供する茶菓等は政務調査活動の経費に当たるし,その
金額も平均すれば月額1万円程度にすぎず,社会通念
上相当な範囲での茶菓子の提供にとどまるので,目的
外支出に当たらない。
広報広聴費
aプロバイダー料,ホームページ管理料54万078
3円(平成18年3月30日から平成19年3月6日)
(原告らの主張)
上記支出は,会派控室におけるインターネット接続の
プロバイダー料金及び会派のホームページの管理料で
あるところ,前記総論で述べたとおり会派控室での活動
には政務調査活動以外の活動が混在しており,会派控室
のインターネットも政務調査活動のみに使用されるこ
とはないので,その接続のための経費には政務調査活動
以外の活動の経費が混在し,その5割の部分は目的外支
出に当たる。
また,会派のホームページには,会派所属議員の紹介
や会派及び所属議員に関する様々な情報が掲載されて
おり,その全てが政務調査活動に当たるとはいえないの
で,その管理料のうち,その5割である27万0380
円は目的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
⒜プロバイダー料金について
上記支出は,会派控室のインターネット接続に係る
プロバイダー料金であるが,上記で述べたとおり,
A2は,会派控室を専ら政務調査活動に使用している
のであるから,会派控室におけるインターネットも専
ら政務調査活動に使用されているのであって,その経
費に目的外支出は含まれていない。
⒝ホームページ管理料について
ホームページの作成は,A2及び所属議員による福
岡市政に関する広報活動であり政務調査活動に当た
るし,A2のホームページの掲載内容からみても,後
援会,政党の広報,私的な活動の広報は含まれていな
いので,政務調査費からホームページ管理料の全額を
支出することに問題はない。原告らは,会派のホーム
ページに所属議員の紹介が掲載されていることを問
題視する主張をするが,市民の声を福岡市政に反映さ
せるためには,その橋渡しをする議員の経歴,人柄及
び活動について多くの市民に知ってもらう必要があ
るので,上記情報を会派ホームページに掲載すること
は政務調査活動に必要なことである。
したがって,ホームページ管理料に係る支出は,目
的外支出に当たらない。
b議会だより,広報誌に係る費用72万0250円
(平成18年4月2日から平成19年3月16日)
(原告らの主張)
A2が発行する議会だよりには,議会報告など政務調
査活動以外の活動が混在しているので,議会だより発行
に係る経費の5割は目的外支出に当たる。また,A2の
広報誌がA2及び所属議員の宣伝等の意味を持つこと
は容易に推認される。
会派及び議員の活動は多面的であるから,議会だより
や広報誌の内容も多面的になるのであり,原則としてそ
の発行に係る経費は按分支出すべきところ,A2は,議
会だより及び広報誌の内容が政務調査活動のみである
ことの立証をしないので,原則どおり按分支出によるべ
きであり,上記支出のうち,その5割である36万01
25円は目的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
前記総論で述べたとおり,議会活動及び福岡市の政策
を市民に広報する活動は,政務調査活動に当たるとこ
ろ,A2は,議会だより及び広報誌を通じて議会活動及
び福岡市の政策の広報を行っており,これらの発行に係
る経費は当然に本件使途基準に合致する適法な支出で
ある。また,政務調査活動のためには,A2及び所属議
員を紹介することも必要であることは,上記a⒝で述べ
たと同様であるし,A2の広報誌には,政党活動等の政
務調査活動以外の情報は掲載されていない。
c広報広聴費又は諸事務費として支出された,公民館等
の落成式,公立学校の開校記念式典等の各種会合の参加
費用22万4500円(平成18年4月8日から平成
19年3月15日)
(原告らの主張)
上記支出は,別紙9「会合等一覧表②(A2)」記載
のとおり,公民館等の落成式,公立学校の開校記念式典
等への参加費用であるところ,これらは交際費的な経費
あるいは私的活動に要する経費であり,政務調査費から
支出することは許されないので,全額が目的外支出に当
たる。
また,上記支出には,校区自治総会及び子供会総会な
どの総会及び式典の参加に関連する支出も含まれると
ころ,これらの総会及び式典に参加するに当たって参加
費用が必要であるとは考えられないので,上記支出は,
祝い金や寸志として支出された交際費的なものである
ことが明らかである。なお,これらの会合は,議員等の
調査研究の場として開催されたものではないので,そこ
でたまたま市民の意見や要望を見聞きすることがあっ
たとしても,その参加費が交際費的な経費であることに
は変わりはない。
(被告及びA2の主張)
自治会や子供会の総会等の会合に参加することが政
務調査活動に当たることは,上記aで述べたとおりで
あり,具体的にも,たとえば,別紙9「会合等一覧表②
(A2)」記載の番号1「B2区子ども会懇親会費」に
係る会合は,2部形式で行われる年1回の総会であり,
D21ホテルで開催され,B2区子ども会の活動の反省
と今後の方向性について発表があった後,約40から5
0名の関係者で懇談をしながらの立食をしたところ,こ
の懇親会では,幅広い人脈を通じて,近年の子育連から
の脱退増加に対する対応を求める意見や,体育指導員の
方からの補助会の見直し,活動のあり方についての話な
どを聞くことができたし,他の会合についてもそれぞれ
同様に政務調査活動に役立つ情報を得ることができた
(丙ホ5)。このように,上記支出に係る会合が政務調
査活動と関連性を有することは明らかである。
また,公民館等の落成式等に関して,公民館や小学校
は,地域の自治会活動等の中心となる場であり,その落
成式や開校記念式典には自治会活動に関与し,地方行政
に高い関心を持った人々が集うので,地方議員は,これ
らに参加することによって,市民の意見及び要望等を聴
取することができるので,これは政務調査活動に当た
る。
d各種会議費126万2095円(平成18年4月2
5日から平成19年3月31日)
(原告らの主張)
A2は,上記支出に係る各種会議が「正式な議会や常
任委員会と同等の内容の会議」であると主張するが,そ
うであれば,当該各種会議への参加は,議員の正規の活
動たる議会活動そのものであり,政務調査活動ではな
い。
また,上記支出が,誰に対してどのような理由で支払
われたものか不明であるし,会議に出席すること自体に
参加費は不要であることからすれば,上記支出が経費で
あるかすら疑わしい。したがって,単に各種会議費とし
て政務調査費を支出していること自体から,目的外支出
が混在していると推認されるので,A2は,上記支出が
いかなる経費であって,なぜ本件使途基準に合致するの
かを明らかにすべきであり,この点につき主張立証がな
い限り,上記支出のうち,その5割である63万454
7円は目的外支出に当たると推認される。
(被告及びA2の主張)
上記支出は,市当局が要請する会議やそれに準じた会
議,例えば正副委員長説明会,議会活性化会議,議運理
事会及び政策勉強会などの正式な議会や常任委員会と
同等の内容の会議の経費であるところ,これらの会議
は,市議会の審議のために必要な会議であって,政務調
査活動と関連する会議である。したがって,上記支出に
目的外支出は含まれていない。
e市民相談に係る費用892万3798円(平成18
年4月28日から平成19年3月31日)
(原告らの主張)
市民相談が政務調査活動に当たらないことは,前記総
論で述べたとおりである。
なお,A2は,市民相談から浮かび上がった問題が市
の政策に結び付いた例を示して,市民相談が個人的な生
活相談にとどまらない政務調査活動である旨主張する
が,A2が実施している市民相談の3割につき,1回当
たり1500円を支給していると主張していること,A
2が市民相談の費用として平成18年度中に720万
円以上を支出していることからすれば,A2は,年間4
800回以上の市民相談を行っているにもかかわらず,
報告書(丙ホ7)に挙げられた市民相談が市の政策に結
び付いた例が少ないことに照らすと,これらは,市民相
談が市の政策に結び付いた極めてまれなケースを集め
たものにすぎない。
市民相談等を会派として集約し,検討する中で,市の
政策と結び付く課題が浮上したり,市の施策や運用上の
問題点が判明したりすることはあるかもしれないが,こ
の場合の会派としての集約及び検討作業が政務調査活
動といえるとしても,市民相談が政務調査活動に当たる
わけではない。
また,政務調査費からの支出は実費に限られるとこ
ろ,A2は,市民相談の回数に応じて一律の金額を所属
議員に支払っているが,これは実費の支払ではなく,実
質的には市民相談に従事した所属議員への報酬として
支払われたものであるし,事後的な実費との差額の精算
も行われていないので,明らかに目的外支出に当たる。
したがって,上記支出は,全額が目的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
市民相談は,単なる個人の生活レベルの相談にとどま
るものではない。報告書(丙ホ7)に挙げられた事例か
ら明らかなとおり,A2所属議員が市民相談で直接聞い
た市民等の実生活,活動に根差した生の声を,会派とし
て集約,検討する中で,市の政策に結び付く課題が浮上
したり,既に実施している市の施策上及び運用上の問題
点が判明したり,市民全体の世論や方向性を見出したり
することが可能であることから,市民相談は,重要な政
務調査活動である。
本件使途基準も,広報広聴費の項目の中で「市民相談
に要する経費」を挙げており,市民相談に要する経費が
本件使途基準に合致することは明らかである。
そして,市民相談は,議員が会派控室において相談を
受け付けるのみならず,議員自ら現地に赴いて相談を受
け,現地の調査,行政機関からの事情聴取,意見交換,
担当者に対する陳情,相談者との再度の面接による事実
確認及び他の自治体の実態調査などを行って,市民等か
ら受けた要望を市政へ反映させる活動を含んでいる。こ
れらの活動においては,相談者等との面接の場所に応じ
て,飲食費が必要となることもあるし,書類等のコピー
が必要になることもあり,これらの経費を議員が負担す
ることもあるところ,A2は,長年にわたって市民相談
に携わってきた議員の経験から,全市民相談の3割程度
の件数において,1回当たり1000円から2000円
程度の経費がかかると算出し,これを政務調査費から支
出することとして,各議員が市民相談としての上記諸活
動を行った回数を数え,その3割について1回当たり1
500円を政務調査費から支給したのであり,この算出
方法も妥当である。
よって,上記支出が目的外支出に当たることはない。
原告らは,市民相談が市の政策に結び付くのは極めて
まれなケースであるなどと主張するが,実際の事例は膨
大であり,上記報告書に記載されているのはその一部に
すぎない。また,原告らは,市民相談等を会派として集
約,検討する作業は政務調査活動に当たるとしても,市
民相談自体は政務調査活動に当たらないと主張するが,
施策立案の基礎となる事象を集める作業があってはじ
めて政策立案ができるのであるから,原告らのこの主張
は誤りである。
f部屋当番費用115万2000円(平成18年4月
28日から平成19年3月29日)
(原告らの主張)
上記支出は,A2の主張によれば,A2が市民相談
への対応のために会派控室に待機させた議員に対し
て1日当たり1人3000円を支給したものである
が,市民相談に係る経費が目的外支出に当たることは
上記eで述べたとおりであるし,実費でもないので,
上記支出は全額目的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
A2が市民相談を重要な政務調査活動と位置付け
ていることは,上記eで述べたとおりであるが,A2
は,市民相談を充実させる目的で,会派控室を訪れ又
は会派控室に電話を架けてきた市民等の相談及び要
望等に対して即座に対応するために,会派控室に常時
2名の議員を待機させる「部屋当番制」を採用してい
る。議員は,部屋当番に当たった日の午前10時から
午後6時過ぎまで,会派控室において市民等からの相
談及び要望等に対応することになるが,昼食及び夕食
時をまたぐことから,部屋当番議員の昼食及び夕食の
食事代として,1人当たり3000円をA2が負担す
ることとして,これを政務調査費から支出している。
したがって,上記支出は,市民相談のために必要な
経費であり,金額も食事代として妥当な範囲内である
から,目的外支出に当たらない。
調査旅費
a会議出席に係るタクシー代,バス代,地下鉄代,運転
代行代金,高速道路使用料,駐車場使用料,通行料,勉
強会食事代,D22まちづくり講座に係る費用145
万2890円(平成18年3月23日から平成19年3
月29日)
(原告らの主張)
上記支出は,政務調査活動との関連性が不明確であ
り,政務調査活動以外の活動のための移動経費等が混在
していると推認されるので,その5割である72万64
45円は目的外支出に当たる。
A2は,市域外出張旅費を除く旅費について,市民相
談,現地調査,会議及び会合参加のための交通費である
と主張するが,会派及び所属議員の活動の多面性に照ら
せば,これらの活動には政務調査活動以外の活動が混在
しているので,A2の主張によっても,上記支出と政務
調査活動の関連性は不明である。
(被告及びA2の主張)
上記支出の内訳は,タクシー代,高速使用料,通行料,
駐車場代,運転代行代,電車賃などの旅費と,旅費以外
の5件の支出である。
このうち,前者の旅費については,政務調査活動であ
る市民相談,現地調査,会議や会合参加のための交通費
の実費であり,各支出の都度,A2は政務調査活動のた
めの交通費であることを確認しながら支出してきたの
であって,それ以外の目的での交通費は含まれていない
ので,目的外支出は含まれていない。
また,後者の5件の支出については,D22まちづく
り講座参加費,障害者研修会研修費,入場料,勉強会食
事代及び印刷代金であるところ,D22まちづくり講座
参加費及び障害者研修会研修費は,それぞれ上記aで
研究研修費について述べたと同様の理由で本件使途基
準に合致し,勉強会食事代も上記bで述べたと同様の
理由で本件使途基準に合致する。印刷代金は,政務調査
に関する報告書の印刷に要した費用であり,入場料は,
市域外視察の際の視察先の入場料である。いずれも,政
務調査活動に係る経費であり,目的外支出には当たらな
い。
b市民相談に係るタクシー代,都市高速道路使用料,バ
スカード代,フィルム現像代,通行料,茶菓子代,駐車
場使用料187万0972円(平成18年3月24日
から平成19年4月12日)
(原告らの主張)
上記支出は,市民相談に係る支出であるところ,市民
相談が政務調査活動に当たらないことは,前記総論で述
べたとおりであるので,上記支出は全額が目的外支出に
当たる。
(被告及びA2の主張)
市民相談が政務調査活動に当たることは,上記eで
述べたとおりであるので,市民相談に係る交通費等の経
費は,本件使途基準の調査旅費中,「調査研究のために
必要な市域内での会議への出席,調査活動等に要する交
通費」に当たり,本件使途基準に合致する。
cタクシーチケット代,プリペイドカード代,都市高速
回数券代139万6900円(平成18年3月24日
から平成19年3月22日)
(原告らの主張)
上記支出は,タクシーチケット,よかネットカード,
バスカード及び都市高速回数券の購入費用であるが,こ
のように一括購入される交通チケットは,政務調査活動
との関連性が不明確であるし,議員の活動が多面性を有
することからすれば,A2が,政務調査活動以外の活動
の移動に当たっては使用するタクシーチケット等を別
途用意して管理していたなどの事情がない限り,一括購
入された交通チケットが政務調査活動以外の活動にも
使用されたと推認される。よって,政務調査活動以外の
活動の経費が混在していると推認され,その5割である
69万8450円は,目的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
A2は,政務調査費で購入したタクシーチケット,プ
リペイドカード,回数券等を,政務調査活動以外の活動
で使用しないよう厳に戒めてきたのであり,政務調査活
動以外の活動には使用していない。これらのカード及び
回数券には割引があり,支出を節約できることと,切符
購入の手間が省けることから使用してきたものである。
d菓子代12万1966円(平成18年4月11日か
ら同年12月13日)
(原告らの主張)
政務調査活動に菓子は必要ないので,上記支出は,全
額目的外支出に当たる。
A2は,政務調査活動を円滑に進めるために菓子が必
要であったと主張するが,上記のとおり,A2は市民相
談に係る費用については一律で支給していたというの
であるから,これは市民相談の際のものではないので,
いかなる政務調査活動に必要であったのか不明確であ
る。
(被告及びA2の主張)
上記支出に係る菓子は,会派控室の来客に提供された
茶菓子であり,これは市政に関する要望や意見を聴取す
るに当たって,和やかな雰囲気を醸成し,会議及び面談
等を円滑に進めるために提供されたものである。支出し
た金額をみても,平均して月額1万円程度にすぎず,社
会通念上相当な範囲での茶菓子の提供である。よって,
上記支出は目的外支出に当たらない。
諸事務費
a文具,ブックスタンド,製本機,紙折機,パソコン,
文具書棚の購入費111万9666円(平成19年3
月7日から同月31日)
(原告らの主張)
上記支出は,物品の購入時期が年度末に集中してお
り,予算消化のための購入であると推認される。また,
購入した物品も,政務調査活動に必要であるとはいえな
いので,上記支出は,全額が政務調査活動との関連性の
ない目的外支出に当たる。A2は,年度末に残余金28
6万円余りを返還していることから,予算消化のための
支出などない旨主張するが,年度末に不必要な支出をし
てもなお予算を消化できなかったにすぎない。
また,本件使途基準は,事務用品,事務機器,その他
備品の購入を諸事務費の支出対象としているが,政務調
査費からの支出が許されるのは,社会通念上妥当な範囲
における備品の購入費用であり,高額な備品等の購入費
用は目的外支出に当たる。このことは,本件手引きが,
資産形成につながる可能性の高い高額の備品の購入は
政務調査費の対象外と定めていることからも明らかで
ある。そして,A2の備品購入費は,余りに高額である
ので,全額が目的外支出である。
(被告及びA2の主張)
上記支出は,いずれも効率的な政務調査活動を行うた
めに必要であったから購入したものであって,予算消化
などではない。現に,A2は,平成18年度の政務調査
費の残余金として,286万円余りを福岡市に返還して
おり,予算消化などしていないことは明らかである。
また,本件使途基準では,諸事務費につき金額の多寡
を問題とはしておらず,高額であっても,調査研究のた
めに必要で,適正な金額であれば何ら問題はない。原告
らは,本件手引きの定めからも高額な支出は目的外支出
に当たる旨主張するが,本件手引きは,原告ら主張の記
載に続いて,「ただし,政務調査活動に直接必要と認め
られる備品(パソコン,印刷機,プリンター,コピー機
等)については,その限りではありません」と定めてい
るので,政務調査活動に直接必要な備品であれば,高額
であっても本件使途基準に合致することは明らかであ
る。
上記支出の内訳は,以下のとおりであり,本件使途基
準に合致している。
⒜文具,ブックスタンド,製本機
A2は,平成19年3月7日,上記物品の購入費用
として13万8256円を支出したが,これは,同年
2月に発注した文具等の代金を同月末に締めて,翌月
である3月に支払ったものであり,年度末購入ではな
い。文具とは,再生紙,封筒,修正テープ等であり,
ブックスタンドは,各議員の卓上において使用するた
め,単価6900円のブックスタンドを14個購入し
たものであり,いずれも高額ではない。
⒝紙折機
A2は,平成19年3月14日,紙折機の購入費用
として43万6695円を支出したが,これは数万枚
にわたる議会だよりの発送に当たって,作業効率を向
上させるために購入したものであり,政務調査活動に
必要である。
⒞パソコン代
A2は,平成19年3月14日,会派控室用のパソ
コンの購入費用として14万円を支出したが,これは
それまで会派控室で使用していたパソコンが使用で
きなくなったことから,新しく購入したものである。
A2は,会派控室を政務調査活動にのみ使用している
ので,このパソコンも政務調査活動に使用されるもの
である。
⒟文具,書棚
A2は,平成19年3月26日,文具及び書棚の代
金として,22万4915円を支出したが,これは,
単価6900円のブックスタンド10個の代金,単価
2万8800円のスチール製書棚4個の代金及び耐
震工事費1万0500円及び単価2万9900円の
重要書類保管のための耐火性金庫1個の購入費用で
あり,それぞれの単価は高額でない。
⒠パソコン代
A2は,平成19年3月31日,パソコンの購入費
用として17万9800円を支出したが,これは,そ
れまで会派控室で使用していたパソコンが老朽化し
たことから新しく購入したものであり,政務調査活動
以外の活動には使用していない。
bファックス通信料,NHK受信料,インターネット接
続料,コピートナー代,コピー機リース代,コピー代,
パソコンのメンテナンス料金,プリンターの補償代金,
プロバイダー料,ページセッターの修理代金,印刷代,
議会だより及び市政報告会案内状の発送費用,市政報告
会のためのパネル作成料,市政報告会横断幕作成費用,
写真撮影料,自動車の借上費用,送料,地域福祉を考え
る会会費,資料代,入場料,事務用品及び括弧内の物品
の購入費用(シロップ,スープ,デジタルカメラ,ノー
ト,はがき,パソコン用インク,便箋,ファックス用イ
ンク,プリンター,会議録再生のためのプレイヤー,携
帯電話のアダプター,災害用携帯ラジオ,市政報告会用
放送備品,視察用備品,図書カード,切手,茶菓子,電
池,備品)472万9807円(平成18年3月24
日から平成19年4月30日)
(原告らの主張)
⒜上記支出には,会派控室のファックス通信料,NH
K受信料,コピー機リース代,茶菓子代,事務用品代,
修繕代が含まれるところ,会派控室に係る経費には目
的外支出が含まれることは前記総論で述べたとおり
であるから,少なくともその5割を超える部分は目的
外支出である。
⒝また,上記支出には,A2所属議員の自宅事務所の
インターネット接続料等の経費が含まれるが,自宅事
務所では,通常,政務調査活動以外の活動や個人の私
的な活動がされるので,インターネットも政務調査活
動以外の活動に使用されることは明らかであるから,
その経費のうち5割は目的外支出に当たる。
この点,A2は,自宅事務所に係る経費については,
もともと按分した金額を支出していると主張するが,
按分したこと及びその内容を示す証拠はないので,5
割を超える部分が目的外支出であることを覆すには
足りない。また,A2は,D23議員の個人事務所は,
自宅とは別であり,専ら政務調査活動を行うために設
置している旨主張するが,自宅とは別であったとして
も,議員の個人事務所は,政務調査活動以外の多面的
な議員の活動に使用されるのが通常であり,また,同
人の事務所が政務調査活動のみに使用されているこ
とを示す証拠はないので,当該事務所に係る経費に
は,政務調査活動以外の活動の経費が混在している。
⒞上記支出には,郵便料,コピー代,写真現像代が含
まれるが,これらが政務調査活動のみに使用されたこ
とを示す証拠はない。会派及び議員の活動の多面性に
照らせば,政務調査活動以外の活動の経費が混在して
いると推認されるので,その5割は目的外支出に当た
る。
⒟上記支出には,車借上料が含まれるところ,A2の
主張によれば,これは,各所属議員に一律月3万円を
支払ったものであるところ,前記総論で述べたとお
り,政務調査費は実費についてのみ支出することが許
されるのであるから,支給額が実費を上回った場合に
事後的に精算がされるなどの事情がない限り,一律の
定額支給は違法であり,目的外支出に当たる。
この点,A2は,各議員が政務調査活動に自家用車
を利用していることから,車借上料を支給したものと
主張するが,A2が調査旅費としてタクシー代等の交
通費やタクシーチケット等の購入費用を支出してい
ることからすれば,A2所属議員がほかに自家用車を
利用して移動する必要はないので,車借上料の5割は
目的外支出に当たる。
⒠したがって,上記支出には,目的外支出が混在して
いるので,その5割である236万4811円は,目
的外支出に当たる。
(被告及びA2の主張)
⒜上記支出に含まれるのは,大別すると,①会派控
室のファックス通信料,NHK受信料,コピー機リー
ス代,茶菓子代,事務用品代,備品代,②所属議員
の自宅事務所のインターネット接続料,プロバイダー
料,パソコンメンテナンス料等のパソコン関連経費,
茶菓子代,事務用品代,備品代,ガス代,電話代,③
D23議員の政務調査事務所におけるファックス通
信料,④郵送費,⑤コピー代,写真代,⑥車借
上料,⑦入場料,⑧駐車場代である。
⒝このうち,上記①は,会派控室に係る経費であるが,
上記で述べたとおり,A2は,会派控室を専ら政務
調査活動に使用しているので,これが本件使途基準に
合致することは明らかである。
⒞上記②は,議員の自宅事務所に係る経費であるが,
A2所属議員は,自宅事務所を政務調査活動の拠点と
していることから,その経費の一部につき政務調査費
から支出したものである。
電話代,ファックス通信料及びインターネット接続
料は,電話,ファックス及びインターネットが主に政
務調査活動に使用されるが,一部それ以外の活動にも
使用されている実態があることを踏まえて,料金のう
ち9割を政務調査費から支出することとしている。
また,所属議員は,市民相談,調査研究の整理,検
討作業,議会における質問内容の検討作業等の多くを
自宅事務所で行っていることから,自宅事務所に係る
光熱費のうち,各議員において,政務調査活動に使用
するスペースの自宅全体に対する割合や,政務調査活
動とそれ以外の活動との割合などにより合理的に按
分した額を請求できるものとし,この請求額を政務調
査費から支出している。
NHK受信料については,その2分の1を政務調査
費から支出している。
⒟上記③については,D23議員が自宅とは別に専ら
政務調査活動に利用するための事務所を設置してい
ることから,そこで使用するファックス通信料の全額
を支出したものである。
⒠上記④は,A2及び所属議員が,政務調査活動に際
して支出した郵送料であり,本件使途基準に定める諸
事務費のうち,調査研究のために必要な切手代その他
の通信費に該当する。
⒡上記⑤は,政務調査活動に際して必要となったコピ
ー代及び写真現像代であって,本件使途基準に定める
諸事務費のうち,調査研究のために必要な事務執行に
要する経費に該当する。
⒢上記⑥は,所属議員が政務調査活動に自家用車を利
用していることから,一般的に車両リース代が月額6
万円程度であること及び民間企業における車両借上
費の金額を参考に,各議員に対して,月額3万円の車
借上料を支給したものである。
⒠上記⑦は,D25博物館を視察した時の入場料であ
るため本来は研究研修費に当たり,上記⑧は,本来調
査旅費に計上すべき支出であるが,それぞれ研究研修
費,調査旅費としては本件使途基準に合致する支出で
あり,目的外支出ではない。
c花代7万円(平成18年5月9日から平成19年3
月6日)
(原告らの主張)
花が政務調査活動に通常必要であるとはいえないの
で,上記支出は政務調査活動との関連性がなく,全額目
的外支出である。
(被告及びA2の主張)
上記支出は,A2の会派控室に飾る花の代金で,月額
3000円程度の支出である。政務調査活動においては
様々な来客があるので,来客時に和やかな雰囲気の中で
活動を行うために花を飾る必要があり,金額も社会通念
上相当な範囲内であるので,目的外支出に当たらない。
ウ被告補助参加人A3福岡市議団の支出について
資料作成費(市政報告印刷代,市政報告会案内葉書印刷
代)105万6175円(平成18年5月16日から平
成19年2月15日)
(原告らの主張)
市政報告及び市政報告会は,所属議員の活動実績の宣伝
を内容に含むものであり,会派及び議員の活動の多面性に
照らせば,これらにも政務調査活動以外の活動が混在して
いるといえる。実際にA3の市政報告をみても,政務調査
活動に基づかない議会での活動報告や市の事業の紹介な
ど,市政の調査研究とはいえない内容が半分以上を占めて
いる(丙ニ10ないし15)。
したがって,上記支出には政務調査活動以外の活動の経
費が混在しており,その5割である52万8085円は目
的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
上記支出は,市政報告に関する印刷代及び葉書代である
ところ,A3の市政報告は,例えばヒートアイランド現象
に関する緑の重要性,福岡市学童保育無料化問題,オリン
ピック招致問題等につき問題提起したり,市議会における
質問を具体的に紹介するものであり,また,市政報告会に
ついても入札制度や学校給食の問題及びオリンピック招
致問題等につき専門家等の意見を聞いたり,市民の意見を
聴取したりする機会を設けているものであって,市民に問
題提起や情報提供をするとともに,市民からの意見を収集
する契機や材料となっているので,政務調査費制度の趣旨
に合致することは明らかであり,目的外支出には当たらな
い。
資料購入費
a書籍代46万5934円(平成18年4月1日から
平成19年2月21日の間,110回にわたって)
(原告らの主張)
前記総論で述べたとおり,政務調査費で購入すること
が許されるのは,調査研究に必要な専門的知識を得るた
めに有益な書籍に限られるところ,上記支出に係る書籍
は,書籍名が明らかでないか,書籍名が明らかであって
も調査研究との関連性が不明確で,合理的説明がない。
A3は,一部の書籍につき書籍名及び調査研究との関連
性を説明するが,当該説明によっても調査研究との関連
性は抽象的であり,A3の所属議員が単に知識,教養を
身に付けるためのものであったことは否定できない。し
たがって,これらの書籍が専ら政務調査活動のために購
入されたとはいえず,政務調査活動以外の活動のための
購入が混在していると推認されるので,上記支出のうち,
その5割である23万2946円は目的外支出に当た
る。
(被告及びA3の主張)
A3では,所属議員が領収書を提出して政務調査費か
らの精算を求める場合には,総務担当の議員が領収書を
チェックする態勢をとっていたことに加え,A3は,政
務調査費で購入した書籍については,会派控室に保管し
ているので,例えば週刊誌や娯楽雑誌等の明らかに政務
調査活動と関連しない書籍の購入費用につき政務調査
費が支出されたということはあり得ない。
上記支出に係る書籍は,「C58」,「C59」,「C
60」及び「C61」等であって(丙ニ17),個人的
趣味,興味をテーマにした娯楽性の高い読み物に該当せ
ず,政務調査活動に関連性を有することは明らかである
ので,上記支出が目的外支出に当たることはない。
b会派控室用の新聞代9万4200円(平成18年4
月26日から平成19年3月27日)
(原告らの主張)
会派控室用の新聞は,会派の所属議員や来客等の閲覧
に供されるものであり,政務調査活動との関連性が乏し
いし,このような新聞の購入が認められるとしても1部
につき5割の按分支出が限度である。したがって,上記
支出のうち,その5割である4万7088円は目的外支
出に当たる。
(被告及びA3の主張)
上記支出は,会派控室用のD12新聞の購読費用であ
って,政務調査活動との関連性が明らかであるし,金額
も社会通念上相当な範囲での支出であるので,目的外支
出に当たらない。
c職員録の購入費2万3100円(平成18年8月1
7日)
(原告らの主張)
A3は,平成18年8月17日,福岡市職員録を8冊
購入し,その購入費用を政務調査費から支出したとこ
ろ,7冊分の代金が2万3100円である。
福岡市職員録は,福岡市の行政担当者の氏名や連絡先
電話番号等を記載したものであって,政務調査活動との
関連性は乏しいので,社会通念上会派で1冊購入すれば
足り,それを超える支出は目的外支出になる。よって,
7冊分の2万3100円が目的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
必要があれば,同一書籍を複数購入することも許され
ることは前記総論で述べたとおりであるところ,A3
は,所属議員が10名に上るので,職員録についても複
数購入する必要があった。よって,上記支出が目的外支
出に当たることはない。
dD20代13万6710円(平成18年9月20日
から平成19年2月26日)
(原告らの主張)
上記イA2の支出のfで述べたとおり,D20の購
入費用は目的外支出に当たるので,上記支出は全額目的
外支出である。
(被告及びA3の主張)
D20は,住宅地図と並んで,該当地区の地理及び地
形の実情,距離又は交通等の状況を最もよく表した資料
であるので,地域政策や環境政策を検討する際の資料と
なるものである。原告らは,D20の主たる用途は個別
訪問にあるなどと主張するが,地方議員の活動に対する
偏見にすぎない。
したがって,上記支出は目的外支出に当たらない。
研究研修費
a委託費,会場費44万6000円(平成18年8月
22日から平成19年1月30日)
(原告らの主張)
A3は,平成18年8月22日に15万円,同年12
月20日に20万円,平成19年1月30日に9万60
00円を,委託費及び会場費として政務調査費から支出
した。
A3の主張によれば,これらは,一般市民を対象にし
た市政報告会を開催した際の会場設営の企画等を依頼
した際の支出であるが,A3作成の「研究研修費領収
書添付分」と題する書面(丙ニ1)によれば,これらは
それぞれ,市政報告に係る会報の企画,作成及び配布業
務の委託費,市政報告会の案内状の配布業務の委託費並
びに会場費(清掃費及び備品代)であって,配布業務等
の個人への委託であるから,被告及びA3の「大学や民
間調査機関等への調査委託」(本件取扱)として研究研
修費に該当するとの主張は採り得ない。
そして,上記支出が市政報告会に係る経費であること
からすれば,上記支出が適法な支出であるか否かを判断
するに当たっては,当該市政報告会が政務調査活動に当
たるかが問題となるところ,この点につき被告及びA3
は何ら具体的な主張立証をしない。市政報告会は,一般
的に,会派及び所属議員の宣伝等,政務調査活動以外の
活動を相当に含むものであるので,上記支出には,目的
外支出が混在している。
よって,上記支出のうち,その5割である22万30
00円は目的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
上記支出は,A3の所属議員が,平成18年夏と冬の
2回,一般市民を対象とする市政報告会を開催した際
に,会場設営の企画等を委託した際の支出であるとこ
ろ,これらは,本件使途基準の研究研修費に該当する例
として本件取扱が例示する「大学や民間調査機関等への
調査委託,広報企画料」に該当し,本件使途基準に合致
する支出である。なお,原告らは,個人への委託が上記
項目に該当しない旨の主張をするが,大学や民間調査機
関等というのは飽くまで例示にすぎない。
上記支出に係る市政報告会は,市民を集めて,市民の
重大関心事,市政の重要課題及び市議会における議論の
状況等を報告するとともに,そのテーマに関する市民と
の意見交換や情報収集を目的とするものであるところ,
政務調査費制度の趣旨からすれば,地方議会の会派及び
議員は,単に議場に座しているのではなく,直接市民か
ら意見や情報を収集し,市民と意見交換を行うことを求
められているといえるので,上記市政報告会は,正に政
務調査費制度の趣旨に合致する。したがって,上記支出
は,本件使途基準に合致し,目的外支出には当たらない。
bホームページ更新料,情報処理料等59万0600
円(平成18年4月3日から平成19年3月19日)
(原告らの主張)
インターネット及びホームページは,政務調査活動の
みに使用されるものではないので,上記支出には政務調
査活動以外の活動の経費が混在していると推認され,そ
の5割である29万5296円は目的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
現代の情報化社会においては,効率的かつ広範囲な調
査を行うためにはインターネットが最良の手段である
ので,インターネットに係る経費が本件使途基準に該当
しないということはない。
また,A3では,会派控室のパソコンをインターネッ
トに接続して使用しているが,A3の会派控室にはA3
が雇用する事務員や他の議員が常駐しているので,所属
議員がそのような中で私的な趣味,興味のためにインタ
ーネットを使用すれば,閲覧履歴や他の議員等の証言を
基にA3の総務会で問題とされる可能性が高い。よっ
て,私的な目的でインターネットを使用することは現実
的には不可能である。
A3の所属議員は,例えば視察目的の出張の際に視察
先の行政庁が行っている施策の内容及び所在地,視察す
る場所に関する情報,視察先までの交通手段などを調査
するためであるとか,地方自治体が新たに取り入れよう
とする制度に関する情報や議会の議事録等を入手し調
査するために当該インターネットを使用しており,政務
調査活動と関連する。
また,ホームページについては,市政の重要なテーマ
や市民の重大関心事について問題提起し,情報提供する
とともに,市民からの意見を集約しこれを市政に反映さ
せるためのツールであり,上記で述べた市政報告会や
市政報告と同様の機能を果たすものであるので,これに
係る経費が本件使途基準に合致することは明らかであ
る。
cソフトボール大会会費5000円(平成18年9月
10日)
(原告らの主張)
ソフトボール大会は,私的な活動あるいは交際の実質
を有するものであり,その経費である上記支出は,全額
目的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
一般市民が集まるソフトボール大会への参加は,市民
との市政の重要なテーマ等について率直な意見交換,情
報収集をするという,市政報告会と同様の目的を含むも
のであるから,単なる私的な活動ではなく,政務調査活
動の一環である。運動会やソフトボール大会などは,選
挙区を超えて多様な市民が集まるので,批判的な意見
や,地域の実情などを聴取する絶好の機会である。
したがって,上記支出は目的外支出に当たらない。
d市政報告資料配布料39万5574円(平成18年
7月14日から平成19年3月22日)
(原告らの主張)
上記で述べたとおり,市政報告には政務調査活動以
外の活動が混在しているので,上記支出のうち,その5
割である19万7786円は目的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
市政報告が政務調査活動に当たることは,上記で述
べたとおりであり,上記支出は目的外支出に当たらな
い。
e勉強会,研究会の参加費,会費等9万0643円(平
成18年10月18日から平成19年2月27日)
(原告らの主張)
上記支出に係る研究会等と政務調査活動との関係は
不明確であり,この関係を示す主張立証もないので,政
務調査活動以外の活動が混在していると推認でき,上記
支出のうち,その5割である4万5321円は目的外支
出に当たる。
(被告及びA3の主張)
上記支出のうち,例えば,平成18年10月18日付
けのE1研究会の会費(10月分)との支出に係る研究
会は,福岡市の老人問題に関わる施策について,外部か
ら講師を招いて講演をしてもらい,一般市民の意見も聞
いた上で,議員が福岡市の担当者に対して意見を述べる
ことで市政への反映を図るという研究会で,毎月一度,
第三水曜日に開催されていた。このような研究会が政務
調査活動に当たることは明らかであり,講師を招くため
などに費用が必要であったために会費を徴収していた
ので,この会費は研究研修費として本件使途基準に合致
する。その余の研究会に係る経費についても同様に,政
務調査活動に当たる活動の経費である。
また,上記支出のうち,勉強会に係る経費については,
例えば,平成18年10月21日付けの市民勉強会(1
/10の分)の1600円の支出に係る勉強会は,E2
において,毎月第二水曜日の夜行っていた勉強会で,市
役所の課長がその担当分野の政策を説明し,市民からの
質問,意見を求めるという形の勉強会であった。A3の
所属議員は,当該勉強会に参加し,市民に対して担当課
長の説明を補足したり,市民の問題提起を聴取して市政
に反映させることに努めたりするという活動を行って
おり,これは,政務調査活動に当たる。そして,上記1
600円の支出は,会場であるE2の使用料に充てられ
たので,本件使途基準に合致する。その余の勉強会に係
る経費についても同様に,政務調査活動に係る経費であ
る。
したがって,上記支出に目的外支出は含まれていな
い。
広報広聴費(市政報告資料作業代,市政報告資料作成費,
市政報告資料制作費,市政報告資料整理代,市政報告資料
配布料,市政報告資料発送準備代,市政報告発送準備・シ
ール貼り・袋詰め代,市政報告封筒シール貼り代,パソコ
ンタックシール操作料)489万0354円(平成18
年4月1日から平成19年2月12日)
(原告らの主張)
これらは,市政報告に関する支出であるところ,会派及
び議員の活動の多面性に照らせば,市政報告にも政務調査
活動以外の活動が混在しているといえるので,上記支出に
も政務調査活動以外の活動の経費が含まれており,その5
割である244万5171円は目的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
市政報告が政務調査活動に当たることは,上記で述べ
たとおりであり,上記支出は目的外支出に当たらない。
補助員等雇用費
a制服代17万5770円(平成18年7月20日か
ら同年10月6日)
(原告らの主張)
A3が雇用する補助員は,A3の会派控室又はA3の
事務所に勤務したと考えられるところ,会派控室での活
動には政務調査活動以外の活動が混在していることは
前記総論で述べたとおりであり,このことは会派事務所
でも同様であるといえるので,当該補助員は政務調査活
動以外の活動にも従事したものと推認される。したがっ
て,そのような補助員の制服代に係る支出には政務調査
活動以外の活動の経費が混在しているといえるので,上
記支出のうち,その5割である8万7885円は目的外
支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
本件使途基準は,政務調査費の支出対象に補助員等雇
用費として,「調査研究のために必要な補助員等の雇用
に要する経費」を挙げており,本件要領も,「調査研究
を行う議員を補助する職員の雇用」を補助員等雇用費と
して支出対象に挙げている。
A3の雇用する補助員は,所属議員が調査研究活動の
ために出張する際の出張手配,市政報告配布のための切
手及び葉書,書籍並びに文具等の購入等の事務を行って
いるものであり,上記「調査研究を行う議員を補助する
職員」に該当することは明らかであるので,上記支出は,
本件使途基準に合致し,目的外支出には当たらない。
b補助員賃金4万6500円(平成18年5月19
日)
(原告らの主張)
これは,A3の会派控室に勤務する補助員の賃金であ
るところ,上記総論で述べたとおり,会派控室での活動
には政務調査活動以外の活動が混在しているため,上記
支出にも政務調査活動以外の活動の経費が含まれてお
り,上記支出のうち,その5割である2万3250円は
目的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
上記aと同様,上記支出は目的外支出に当たらない。
調査旅費
afカード代,JR券,JR乗車券代,タクシー代,駐
車場代,都市高速道路回数券代,都市高速道路代,渡船
代,有料道路代,よかネットカード代,ワイワイカード
代,西九州道路代,E3カード代等165万0054
円(平成18年4月2日から平成19年3月27日)
(原告らの主張)
これらは,議員の活動に伴う移動経費であることは明
らかであるが,議員の活動には多面性があるにもかかわ
らず,移動経費が政務調査活動とそれ以外の活動で区分
して支出されているとの事情はないので,上記支出が専
ら政務調査活動に係る移動経費であるとはいえず,その
5割である82万5025円は目的外支出に当たると
推認される。
(被告及びA3の主張)
タクシー代等の領収書には行先等が記載されないの
が通常であるので,現在,全ての領収書につき用途を確
定することは不可能であるが,A3では,平成18年度
当時,5万円未満の支出についても,担当職員が領収書
等を確認の上,政務調査費からの支出を認めていたので
あり,それぞれの支出の金額を見ても,タクシー代は概
ね1000円前後の金額であるなど,一見して不必要,
不合理な支出とはいえず,本件使途基準に合致する支出
である。
b出張における日当8万4350円(平成18年5月
22日から平成19年1月22日)
(原告らの主張)
政務調査費の性質上,日当を支払うことは許されてい
ないので,全額が目的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
上記支出は,調査研究に必要な市域外への出張に要す
る旅費や調査活動等に要する交通費に当たり,本件使途
基準に合致するし,1件当たり数千円程度の支出であっ
て金額が一見して不必要,不合理であるともいえない。
よって,上記支出は目的外支出に当たらない。
諸事務費
a切手代,葉書代996万円
(原告らの主張)
⒜A3は,以下のとおり,平成18年4月12日から
平成19年3月12日までの間に,切手代又は葉書代
として,30回にわたり合計996万円を政務調査費
から支出した。
平成18年4月12日30万円
同年7月5日9万円
同年7月18日20万円
同日20万円
同日20万円
同月20日50万円
同日30万円
同日30万円
同日30万円
同日50万円
同日30万円
同日30万円
同日30万円
同日10万円
同日10万円
同年10月11日15万円
同月13日10万円
同年11月13日20万円
同年12月15日50万円
同日50万円
同日10万円
平成19年1月22日50万円
同日50万円
同年2月2日45万円
同月7日10万円
同日10万円
同月15日50万円
同日50万円
同年3月12日88万5000円
同日88万5000円
⒝A3の主張からすれば,これらは活動レポート等の
郵送の経費として支出されているが,活動レポートな
ど同一のものを大量に送付する場合には,切手を貼付
するのではなく料金別納郵便によるのが通常である。
また,上記支出には,額面が1000円,500円,
200円及び100円の切手の購入費が含まれると
ころ,通常,このような額面の切手を郵便物に貼付し
て郵送することはない。したがって,これらの切手が
活動レポート等の郵送に使用されていないことは明
らかであり,使用目的が不明である切手等の購入費用
である上記支出は,目的外支出に当たる。
この点,料金別納郵便を利用して活動レポート等を
郵送したが,その料金の支払をあらかじめ購入してお
いた切手で行ったというならば,当該切手の購入費
は,結局のところ政務調査活動の経費に当たるといえ
る。しかし,あらかじめ切手を大量に購入しておく必
然性がないことや,他方で,大量の切手は,換金した
上,政務調査活動以外の活動の経費として流用するこ
とが容易であることに照らせば,あらかじめ大量購入
した切手を料金別納郵便の支払に充てたという場合
には,そのような事実及びそのような取扱いをした理
由について,A3が合理的な説明をすべきであるとこ
ろ,合理的な説明はないので,上記支出は,目的外支
出であると推認される。
⒞仮に,上記支出が活動レポートの郵送費用であると
しても,当該活動レポートの内容及び平成19年4月
の市議会議員選挙目前という配布時期からすれば,政
務調査活動以外の活動が混在しているというべきで
ある。
⒟したがって,上記支出は,目的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
⒜上記支出は,本件使途基準の諸事務費に該当する経
費として例示されている「切手代その他通信費」に該
当し,上記支出に係る切手は,A3の所属議員が市政
報告等の資料を一般市民に対して郵送する際に使用
された。各切手が具体的に何の郵送に使用されたか
は,切手代の内訳と資料の一覧表(丙ニ6ないし12)
から明らかである。
⒝原告らは,大量購入であることから目的外支出の混
在が推認されると主張するが,平成18年度当時,A
3の所属議員数は10名であったところ,上記支出額
996万円を10名で頭割りすれば1人当たり99
万6000円にすぎないが,普通郵便を1万人に郵送
すれば80万円が必要であることからすれば,上記金
額は高額とはいえない。実際,A3の所属議員は,政
務調査費によって購入し支給される切手では不足し
ていた。
また,1回当たりの購入量が大量であることについ
ては,A3は,あらかじめ購入した切手を所属議員に
現物で支給する取扱いをしていたので,切手を配達し
てくれる店舗に依頼して一度にまとめて購入してい
たことによる。
⒞また,原告らは,1000円切手など通常使用しな
い額面の切手を購入していることをもって,目的外支
出が混在している旨主張するところ,これらの切手
は,所属議員が,手持ちの現金に余裕のあるときに1
000円切手をシートで購入し,その領収書と引き換
えに政務調査費を支出したものであるが,当該議員
は,この切手を,後日郵便物を発送する際の郵送料の
支払に充てた。
例えば,平成18年7月5日付けの切手代9万円の
支出は,A3所属のA35の「E4平成18年7月号」
の郵送費に充てられたものであるが,このことは,同
支出と平成18年7月31日付けの「市政報告印刷代
(E47月号)」との標目での4万2000円の支出,
「市政報告ポスティング代(E47月号)」との標目
での1万円の支出等及び平成18年8月15日付け
の「市政報告郵便代」との標目での支出とを関連付け
ることによって明らかにすることができる。その余の
支出も同様である。
⒟したがって,上記支出に目的外支出は含まれない。
bパソコンその他,事務用品,プリンター,パソコン周
辺機器,ラベル,紙折り機,レーザープリンター,ノー
トパソコン購入費249万8179円(平成18年8
月19日から平成19年3月20日)
(原告らの主張)
これらは,会派控室又は所属議員の個人事務所で使用
され,かつ,保管されている事務機器及び同所で消費さ
れた消耗品の購入費用である。パソコン,プリンター等
の事務機器は,政務調査活動にも使用されるであろう
が,それ以外の活動や個人的な目的にも使用され得るも
のである。また,前記総論で述べたとおり,会派控室で
の活動には,政務調査活動以外の活動が混在しているの
で,会派控室で使用する事務機器等の購入費用には,目
的外支出が混在していると推認される。
A3は,上記支出に係る事務機器等が専ら政務調査活
動に使用されていることを示す具体的な主張立証をし
ないので,上記支出のうち,その5割である124万9
089円は目的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
上記支出は,本件使途基準の諸事務費に該当するもの
として例示されている「事務機器その他の備品購入費」
に該当する。また,A3は,上記支出に係る事務機器に
ついて,型番まで特定して管理しており,会派控室で保
管するか又は所属議員に貸し出して保管させており(丙
ニ3),政務調査に関する報告書の作成等に使用されて
いる。したがって,上記支出は,本件使途基準に合致す
る。
cE5インターネット利用料,NHK受信料,NTT電
話料金,PCケーブル代,PCソフト代,USBメモリ
代,飲料代,ウイルスバスター更新料,切手代,コーヒ
ー豆代,コピー機使用料,コピー代,市政報告郵便代,
事務用品代,写真代,デジカメ代,デジカメプリント代,
デジカメメモリーカード代,葉書交換手数料,葉書代,
パソコン部品一式代,パソコン備品代,パソコン保守契
約代,パネル代,備品代,フィルム代,プログラム変更・
コピートナー代,郵便代,ラミネート加工代,往復葉書
代,市政報告葉書代,市政報告資料配布料,市政報告切
手代,市政勉強会案内葉書代,紙折機代,資料作成のた
めのコピー機リース料,資料郵送代,D12新聞記事デ
ータベース料,電池代,文具代359万5834円(平
成18年4月2日から平成19年1月8日)
(原告らの主張)
これらは,A3やその所属議員が使用する事務用品等
の購入費用等であるが,会派及び議員の活動の多面性に
照らせば,その活動に供される事務用品等の経費には政
務調査活動以外の活動の経費が混在していると推認さ
れるにもかかわらず,A3がこれを区分して支出したと
の事情はないので,上記支出には,政務調査活動以外の
活動の経費が含まれていると推認され,その5割である
179万7855円は目的外支出に当たる。
(被告及びA3の主張)
上記支出のうち,大半は事務用品に係る経費である
が,これらは具体的にはコピー用紙,ファイル及びボー
ルペン等の文具代であるので,本件使途基準に合致し,
著しく高額なものもないので,社会通念上相当な範囲で
の支出である。
また,上記支出のうち,パソコン関係の事務用品に係
る経費については上記bで述べたとおり,インターネッ
ト関係の経費については上記bで述べたとおりであ
り,いずれも目的外支出に当たらない。
エ被告補助参加人A4福岡市議団の支出について
資料作成費
a名刺印刷代21万9000円(平成18年5月17
日から平成19年3月23日)
(原告らの主張)
政務調査活動に従事するために名刺を作成する場合
など,政務調査活動との関連性が明らかな場合を除い
て,議員の名刺は政務調査に必要ではないので,全額が
目的外支出に当たる。
(被告及びA4の主張)
名刺代を政務調査費から支出できないことは,仙台高
裁平成19年4月26日判決において初めて明らかに
なり,これを受けて,福岡市議会は,平成20年に作成
した本件手引きに名刺代を目的外支出と明記したので
あり,平成18年度当時,名刺代は目的外支出とされて
いなかった。
したがって,上記支出が名刺代であることのみから直
ちに目的外支出であるとはいえず,当該名刺の使用目的
と実態に即して判断する必要がある。
A4の所属議員の名刺は,市政に関する調査を目的と
した訪問や現地での聞き取り,市民からの要望の聞き取
り及び市政報告などの調査研究活動の際に,身分を明ら
かにして相手方の連絡先等を把握するために名刺交換
をする目的で使用した。当該名刺には,「福岡市議会議
員」との肩書の外,その議員が所属する委員会名や特別
委員会を記載し,連絡先としては,会派控室の住所,電
話番号を記載していた。
このような当時の状況,名刺の使用実態に鑑みれば,
上記支出は目的外支出に当たらない。
bコピー機消耗品代17万5989円(平成18年1
0月13日から平成19年3月28日)
(原告らの主張)
上記支出は,会派控室に備え置かれたコピー機に係る
経費と思われるところ,前記総論で述べたとおり,会派
控室に係る経費には目的外支出が混在していると推認
されるので,その5割である8万7993円は目的外支
出であるといえる。
(被告及びA4の主張)
上記支出に係るコピー機は,会派控室に設置したもの
である。
A4は,会派控室を専ら政務調査活動に使用してお
り,政党活動はA4F1地区委員会,同F2地区委員会
及び同F3地区委員会の3つの地区委員会事務所で行
い,後援会活動や選挙活動は各議員の後援会事務所で行
っている上に,補助員についても,会派控室常勤の補助
員が政務調査活動に従事し,地区委員会には別の専従補
助員を配置して政党活動を行っており,各活動の財政も
別になっているので,会派控室での活動に政務調査活動
以外の活動が混在することはない。
原告らが指摘する「議会対策としての他会派との協
議」は,会派控室ではなく委員会室で,選挙活動及び後
援会活動は上記のとおり地区委員会事務所で行ってい
るし,「会派内の人事や事務」は公務の一部である。ま
た,マスコミ対応については,会派控室で市政に関する
取材を受けることはあるが,議員がマスコミを通じて広
く市民に市政の問題を伝えることは,政務調査活動とし
ての広報活動の一環である。
よって,上記支出に目的外支出が混在することはな
い。
資料購入費
aF4,F5代6万1200円(平成18年4月21
日から同年12月25日)
(原告らの主張)
上記支出は,A4の所属議員が所属し又は支援を受け
る政党,団体等の発行する新聞及び運動誌等の購入費用
であり,議員個人の政治的社会的信条又は個人的関心に
基づくものであるので,政務調査活動の経費には当たら
ず,全額が目的外支出である。
(被告及びA4の主張)
A4は,平成18年度当時,全国の8割の自治体にお
いて,3500名を超える地方議員を擁していた。これ
らの各議員は,住民の福祉向上のため,各自治体でそれ
ぞれ創意工夫した活動を行っているところ,F4にはそ
のような活動が日常的に掲載されているが,他の一般紙
では知り得ない。したがって,A4の所属議員にとって,
F4及びF5は,全国各地で活動している地方議員の先
進的活動を知る上で重要な,代替性のないものである。
そこで,A4は,調査研究のために必要な資料として,
保存用と切り抜き・スクラップブック用の2部を購読し
たものであるので,上記支出は政務調査に係る経費であ
り,目的外支出は含まれない。
b一般商業紙代29万8701円(平成18年4月2
1日から平成19年3月26日)
(原告らの主張)
上記支出は,A4の会派控室に備え置いて利用する一
般商業紙の購読代金であるところ,会派控室での活動に
政務調査以外の活動が混在していることは,前記総論で
述べたとおりであるので,上記支出にも政務調査活動以
外の活動の経費が混在していると推認でき,その5割で
ある14万9325円は目的外支出に当たるといえる。
(被告及びA4の主張)
上記支出に係る一般商業紙は,会派控室において利用
したものである。A4の会派控室では政務調査活動のみ
が行われていることは,上記bで述べたとおりである
ので,上記支出に目的外支出は混在していない。
c職員録購入費2万0900円
(原告らの主張)
職員録は,政務調査活動との関連性が乏しく,また,
会派で使用するためには1冊購入すれば足りるので,そ
の購入費のうち1冊分を超える1万0450円は目的
外支出に当たる。
(被告及びA4の主張)
職員録は,福岡市役所のすべての部署の職員の氏名,
役職,住所,電話番号,内線番号及び所管内容が記載さ
れているものであり,市の事業につき調査する際に,市
の担当者に関係資料を求めたり,直接聞き取りをしたり
する時に欠かせないので,政務調査活動との関連性が乏
しいなどということはないし,会派での使用も1冊では
足りないから,上記支出は目的外支出に当たらない。
d書籍,地図,雑誌代2万6760円(平成18年8
月7日から平成19年3月20日)
(原告らの主張)
上記支出は,それにより購入した書籍名が明らかでな
いので,政務調査活動との関連性が不明確で,目的外支
出が混在すると推認される。よって,その5割である1
万3380円は,目的外支出に当たる。
(被告及びA4の主張)
書籍名が不明であると原告らが主張する支出に係る
書籍名は,別紙10「書籍一覧表(A4)」に記載のと
おりである(丙ロ13別添C)。A4が購入した書籍は,
福祉,教育,保育,雇用,地域経済,中小企業,まちづ
くり及び地方自治に関わるもので,議員の調査研究活動
に必須のものであるので,その購入費用である上記支出
に目的外支出は含まれない。
広報広聴費
aホームページ更新料,ビラ印刷代14万4348円
(平成18年5月17日から平成19年3月28日)
(原告らの主張)
会派及び議員の活動の多面性に照らせば,上記支出に
は政務調査活動以外の活動の経費が混在していると推
認されるので,その5割である7万2174円は目的外
支出である。
(被告及びA4の主張)
A4のホームページは,議会報告の媒体の一つである
ところ,本件条例及び本件規程は,議会報告を広報活動
の一環として認めているので,その経費が目的外支出に
当たらないことは明らかである。原告らは,政務調査活
動以外の活動が混在していると主張するが,A4は,ホ
ームページに後援会の活動紹介や会員募集,政党主催の
演説会の告知など政務調査活動以外の活動は掲載して
いないし,原告らからそのような掲載があるとの具体的
主張もない。よって,上記支出は目的外支出に当たらな
い。
b広聴費,広報相談事務費27万4020円(平成1
8年5月1日から平成19年3月30日)
(原告らの主張)
「広報相談事務費」は,その名称からは,いかなる経
費で,誰に対してどのような理由で支払われたのかが明
らかでなく,政務調査活動との関連性が不明確であるの
で,目的外支出が混在していると推認される。また,会
派及び議員の活動の多面性に照らせば,「広聴費」にも
目的外支出が混在していると推認される。
したがって,上記支出のうち,その5割である13万
7010円は目的外支出に当たる。
(被告及びA4の主張)
上記支出は,A4の広報活動及び市民相談に係る事務
の一部に従事した者で,後述の政務調査補助員とは別
の補助員に対して,議員の指示を受けて会派控室で市民
の相談や要望を受けたり,市民のもとへ出向いて聞き取
り調査を行ったりしたことに対する手当として支払っ
た正当なものであり,金額も実際の業務量に従って算出
したので,目的外支出が混在することはない。
補助員等雇用費
a補助員等雇用費640万7825円(平成18年4
月20日から平成19年3月20日)
b通勤地下鉄代,通勤定期代,社会保険料,検診料1
7万2036円(平成18年5月15日から平成19年
11月22日)
(原告らの主張)
上記a及びbの支出は,会派及び議員が雇用する補助
員等に関する支出である。
会派が雇用する補助員が勤務する場所は,会派控室又
は会派事務所であるところ,会派控室及び会派事務所に
おける活動に政務調査活動以外の活動が混在している
ことは前記総論で述べたとおりであるので,そこでの業
務に従事した補助員は当然に政務調査活動以外の活動
にも従事していると推認される。よって,当該補助員の
雇用費には目的外支出が含まれる。
また,議員が雇用する補助員等についても,議員が多
様な活動を行うことに照らせば,政務調査活動以外の活
動にも従事していると推認されるので,その雇用費には
目的外支出が混在している。
したがって,上記各支出の5割の部分,すなわち,a
につき320万3913円,bにつき8万6018円の
合計328万9931円は目的外支出に当たる。
(被告及びA4の主張)
A4の会派控室では専ら政務調査活動のみが行われ
ていることは,上記bで述べたとおりである。
それに加えて,A4が雇用する補助員は,政党活動,
後援会活動及び選挙活動には原則として関与しておら
ず,臨時的に選挙活動に参加する場合には,その従事期
間に対応する給与及び社会保険料は政務調査費から支
出せず,代わってA4の機関が負担している。
補助員の雇用費等は,本件使途基準が掲げるものであ
り,目的外支出に当たらないことは当然である。A4の
補助員は,A4福岡市議団勤務規定(丙ロ8)に従って
勤務しているところ,その職務は,所属議員の指示の下
で議員のあらゆる調査研究活動を補助することであり,
具体的には,新聞やインターネットなどのメディアから
の情報収集の外,市民から寄せられる市政に対する要
望,情報提供及び行政相談を受け付ける,議員の調査活
動や会議への同行と記録作成,各種調査の補助などであ
るが(丙ロ13),これらの業務は膨大で,補助員等は
超過勤務をせざるを得ないのが実情であるので,政務調
査活動以外の活動が入り込む余地はない。
また,原告らの主張は,具体性を欠き,A4の雇用す
る補助員の雇用費等に目的外支出が混在するとの疑い
を生じさせるに足りないから,上記支出に目的外支出が
混在していると推認することはできない。
調査旅費
a市域内交通費(都市高速料金,バス代,タクシー代,
ガソリン代,駐車料金,渡船料,地下鉄運賃,F6運賃)
74万2417円(平成18年4月12日から平成19
年3月30日)
b市域外交通費(都市高速料金,都内移動タクシー代)
1万8760円
⒜平成18年4月26日(都市高速料金)1200
円(各600円の支出2件)
⒝同年7月10日(都内移動タクシー)1万756
0円
(原告らの主張)
上記a並びにbの⒜及び⒝の支出は,議員の移動に伴
う経費であることは明らかであるが,それぞれの支出の
政務調査活動との関連性は不明確であり,会派及び議員
の活動の多面性に照らせば,政務調査活動以外の活動に
おける移動費が混在していることが推認される。よっ
て,上記支出のうち,その5割である37万1194円
及び9380円の合計38万0574円は,目的外支出
に当たる。
(被告及びA4の主張)
⒜aの市域内交通費については,市内で現地調査,市
政報告及び市民相談に出向く際の交通費であるが,そ
の具体的な日時,行き先及び目的は,「支出一覧表の
うち,調査旅費の目的,行き先など詳細説明」(丙ロ
13の別添A)から明らかであり,すべての支出が調
査研究及び広報広聴活動の際の支出である。また,ガ
ソリン代については,その性質上,政党活動や議会へ
の登庁のための使用が混在することが避けられない
ので,A4では,ガソリン代のうち7割を政務調査費
から支出することと内規で定め,実際にもそのように
運用していた。このことは,「支出一覧表のうち,調
査旅費(ガソリン代)の支払金額と領収日についての
説明」(丙ロ13の別添B)から明らかである。
⒝bの市域外交通費のうち,⒜は,A4が,平成18
年4月11日から12日までの間,宮若市所在の研修
会の会場まで議員の自家用車2台で移動した際に,F
7からF8インターチェンジの区間で都市高速道路
を使用したことによる経費である。
bの市域外交通費のうち,⒝は,共産党が同年7月
6日から7日にかけて,東京都内の各省庁に赴き調査
を行った際に,都内の移動に使用したタクシーの料金
18件分である。具体的には,所属議員6名と補助員
1名の計7名が,タクシーに分乗して,国土交通省,
参議院議員会館,JOC日本オリンピック委員会及び
宿舎の間を行き来した。国土交通省では,住宅耐震化
や道路整備について,事業の改善や促進などを陳情す
るとともに,事業の進捗状況や制度,法解釈などにつ
いて説明を受けた。JOC日本オリンピック委員会で
は,福岡オリンピック招致問題に関して詳細な説明を
受けた。このように,移動の目的が政務調査活動にあ
ることは明白である。
⒞以上より,上記支出a及びbのいずれにも,目的外
支出は混在していない。
諸事務費
a事務用品代(OA消耗品(CDRW),色上質紙,ペ
ン,カセットテープ,ビデオテープ,乾電池,コピー用
紙,文具,荷造り紐,封筒,付箋,パソコンソフト(ウ
イルス対策用,写真編集用),ファイル,プリント用紙,
プリンタラベル,インクトナー,マジックペン,ボール
ペン替芯及びガムテープ他の購入費,コピー代,写真デ
ータCD書込料)41万6001円(平成18年5月
2日から平成19年3月29日)
b備品購入代(カメラレンズ,パソコン周辺機器及びワ
イヤレスマイクの購入費)6万9464円(平成18
年9月1日から同年11月20日)
c事務機器リース料49万7805円(平成18年4
月18日から平成19年3月7日)
d電話・通信代・振込手数料(F9メール&ウェブ料金,
携帯電話料金(ドコモ),携帯電話解約手数料,電話料
金(NTT),ADSL回線使用料(NTT),NHK
受信料,切手代,小包料金,郵便料金,F10利用料,
写真現像代)51万9756円(平成18年4月18
日から平成19年3月30日)
e雑費(ティッシュペーパー,茶葉,乾電池,洗剤他,
茶及び花の購入費,写真現像代,ごみ搬出代,ごみ搬出
駐車料)5万0133円(平成18年5月16日から
平成19年3月30日)
(原告らの主張)
上記aからeの支出は,会派控室に係る経費であると
ころ,会派控室での活動に政務調査活動以外の活動が混
在することは,前記総論で述べたとおりであるので,上
記支出にも政務調査活動以外の活動の経費が含まれて
いると推認される。
よって,上記支出のうち,その5割の部分,すなわち,
a20万7990円,b3万4732円,c24
万8902円,d25万9766円,e2万506
5円は,目的外支出に当たる。
(被告及びA4の主張)
A4の会派控室では専ら政務調査活動のみ行われて
いることは,上記bで述べたとおりであるので,上記
支出にも目的外支出は混在しない。
オ被告補助参加人A5の支出について
資料作成費(封筒印刷代)9万9750円(平成18
年6月19日)
(原告らの主張)
封筒は,政務調査活動に使用されることもあるとはい
え,政党活動や政務調査活動以外の会派の活動にも使用さ
れ得るものであるところ,上記支出に係る領収書の記載か
らは,政務調査活動との関連性が明らかではなく,ほかに
政務調査活動との関連性を示す具体的な主張立証はない
ので,上記支出に係る封筒が政務調査活動以外の活動にも
使用されたことが推認される。よって,上記支出のうち,
その5割である4万9875円は目的外支出に当たる。
(被告及びA5の主張)
上記支出は,平成18年度のA5の会報の発送用封筒の
印刷代として支払われたものであり,目的外支出に当たら
ない。
研究研修費(調査費)5万円(平成18年10月30
日)
(原告らの主張)
上記支出は,会報の配布代であり,本件使途基準に例示
される「大学や民間調査機関等への調査委託」に該当しな
い。
配布された会報の内容は不明であるが,一般に会派が発
行する会報は,政務調査活動のみを内容とするものではな
く,多くは政党の政策の広報や会派及び所属議員の実績の
紹介など宣伝を内容とするものである。したがって,その
ような会報の配布代である上記支出には,目的外支出が混
在していると推認され,その5割である2万5000円は
目的外支出に当たるといえる。
(被告及びA5の主張)
上記支出は,費目は調査費とされているが,実際は,A
5の発行する会報の一部を支持者等によって手配りする
際の委託手数料である。会報の配布は,政務調査活動であ
るので,上記支出は目的外支出に当たらない。
事務所費(家賃)187万9839円(平成18年4
月26日から平成19年2月26日)
(原告らの主張)
会派又は所属議員個人の事務所は,政務調査活動のみを
行うための事務所を設けたなどの事情がない限り,政務調
査活動以外の活動にも使用されるのが通常である。A5の
ホームページ等を見ても,事務所が政務調査活動に使用さ
れている形跡はなく,むしろ,大半が議員個人の後援会事
務所などとして政務調査活動以外の目的に使用されてい
るから,その全額が目的外支出に当たる。
また,A5は,事務所の家賃以外の経費を議員個人が負
担していたので,事務所の経費は実質的には按分支出され
ていたといえる旨主張するが,この事実は,むしろ,事務
所に会派の政務調査活動の拠点という実態がなかったこ
とを推認させるというべきである。したがって,仮に当該
事務所で政務調査活動が行われることがあったとしても,
その割合は5割程度にとどまると推認される。
(被告及びA5の主張)
a上記支出は,いずれも,A5が会派のB22区の出張
所として設置した事務所の家賃である。
b当該事務所は,もともとは議員の個人事務所として設
置されたものであったが,A5に会派独自の出張所を設
ける資金的余裕がなかったことから,会派内で申し合わ
せを行い,当該事務所に会派の出張所としての機能も持
たせることとした。なお,このように会派の出張所を設
けることについては,議会事務局に問い合わせの上,会
派内の申し合わせによって可能であるとの回答を得て
いる。
そして,平成18年度当時は,福岡市の政務調査費制
度に按分支出の考え方は取り入れられていなかったの
であるから,家賃の全額を政務調査費から支出したこと
に問題はない。
cまた,上記事務所では,B22区に限らず,各区の市
民相談や陳情の受け付けも行っていたほか,会派全体の
政策勉強会も行っており,上記事務所の使用の7割を会
派の政務調査活動が占めている状態であった。また,上
記事務所での消耗品費,郵送費,光熱費等の家賃以外の
経費を合計すると,家賃とほぼ同程度の金額に上り,そ
のうち少なくとも5割は,政務調査活動に係る経費であ
った。
A5は,このような実情を踏まえて,家賃を全額政務
調査費から支出する代わりに,その他の経費を全額議員
個人に負担させることで,結果的には家賃,その他の経
費共に按分支出したのと同様の処理をしていたのであ
る。
このような取扱いは,家賃は5万円を超えるのに対し
て消耗品費等の大半は5万円未満の支出であること,福
岡市では5万円以上の支出についてのみ領収書の提出
が義務付けられていたことから,領収書を提出する家賃
の方を政務調査費から支出することによって,使途の透
明性を確保しようとしたことによる。
d以上より,上記支出に目的外支出は含まれない。
1件当たり5万円未満の支出540万3241円(平
成18年4月1日から平成19年3月31日)
a資料購入費(新聞代,本代等)
b広報広聴費又は資料作成費(印刷代)
c調査旅費(タクシー代,fカード代,バスカード代,
駐車場代及びガソリン代等の移動経費)
d研究研修費(会議室代)
e諸事務費(電話料金,事務機器購入費及びリース代金,
事務機器のランニングコスト等,事務用消耗品代,食品
代,食糧代及びその他物品の購入費用)
(原告らの主張)
a上記aの資料購入費については,会派控室に備え置
き利用する新聞,本等の購入費用であるところ,会派
控室での活動には政務調査活動以外の活動が混在す
ることは前記総論で述べたとおりであるので,上記a
の支出には目的外支出が含まれていると推認される。
b上記bの広報広聴費(印刷代)については,何を印
刷した代金であるか不明であり,政務調査活動との関
連性が不明確である。また,これらが会派の会報,議
会だより又は市政報告等の印刷代であるとしても,会
派及び議員の活動の多面性に照らせば,これらの印刷
物には政務調査活動以外の活動に関する事項が記載
されているのが通常であるので,その印刷代には目的
外支出が混在していると推認される。
c上記cの調査旅費については,議員の移動に伴う経
費であるが,議員の活動の多面性に照らせば,目的外
支出が混在していると推認される。
d上記dの研究研修費については,どのような会議の
室料かが不明で,政務調査活動との関連性が不明確で
ある。会派や所属議員の活動の実態からすれば,政務
調査活動以外の目的でも会議は開催されるものであ
るから,政務調査活動との関連性が明らかにされてい
ない会議室代には,目的外支出が混在していると推認
される。
e上記eの諸事務費については,会派控室において使
用する事務機器に係る経費や通信費,備品代等であ
り,会派控室の経費といえるところ,会派控室での活
動には政務調査活動以外の活動が混在していること
は前記総論で述べたとおりであるので,上記eの支出
には目的外支出が含まれている。
f以上より,上記aからeの支出には,いずれにも目
的外支出が混在していると推認でき,その割合は特定
不能であるから,その5割である270万1620円
が目的外支出に当たるといえる。
(被告及びA5の主張)
a5万円未満の支出は,800件以上にも上るので,
その適法性を逐一主張立証するまでもなく,支出項目
ごとの月々の支出金額が政務調査費からの支出とし
て合理的な範囲に収まっていれば,全体が適法な支出
であると推認されるというべきである。
b上記aの資料購入費については,A5は,平成18
年度当時,新聞を5紙購入しており,その代金は月額
約2万円であった。そして,A5の事務職員が作成し
た手控え(丙ハ2)によれば,月々の資料購入費の支
出は2万円から多い月でも5万円程度であり,ここに
上記新聞代が含まれることを考慮すれば,政務調査費
からの資料購入費として合理的な範囲にとどまって
いるといえる。
c上記bの印刷代につき,上記手控えでは印刷代は資
料作成費又は広報広聴費の項目で計上されていると
ころ,資料作成費は,A5が会派として作成する行政
資料や議会質問の資料等のコピー代,封筒の印刷代で
あり,広報広聴費は,年4回発行されるA5の会報の
印刷代及び配布代である。
ここで,資料作成費としての支出は,月々3万円前
後であり,その他には,6万円余りの月,10万円余
りの月,12万円余りの月が各1回あるだけで,高額
な支出が続いているわけではなく,政務調査活動のた
めの資料作成費として支出するのに合理的な範囲に
とどまっている。広報広聴費も合理的な範囲での支出
である。
d上記cの調査旅費につき,上記手控えによれば,
月々の調査旅費の支出額は,4万円から25万円であ
り,合理的な範囲にとどまっている。
e上記dの研究研修費につき,研究研修費として計上
される経費は,会派の会議のために使用した会議室の
使用代,会議の際の茶菓子代及び調査費等を含むとこ
ろ,上記手控えによれば,月々の支出額は少ない時で
0円,多い時でも16万円にとどまっており,合理的
な範囲内での支出である。また,研究研修費の支出が
0円の月があることからすれば,A5が政務調査費を
厳格に運用していたことは明らかである。
f上記eの諸事務費につき,上記手控えによれば,
月々の諸事務費の支出額は,おおむね6万円から10
万円程度にとどまり,最高額でも19万円であるの
で,合理的な範囲にとどまっている。
g以上より,上記aないしdの支出は,いずれもその
項目の支出全体として合理的な範囲内にとどまって
いるのであるから,上記支出に目的外支出が含まれる
とは推認できず,適法な支出であるといえる。
カ被告補助参加人A6福岡市議団の支出について
広報広聴費
aG1発足10周年記念誌への祝賀広告代2万円
bベトナムチャリティーコンサート協賛金2万円
(原告らの主張)
上記a及びbの支出は,会派の支援団体又は協力団体
への支援のための支出であり,政務調査活動の経費では
なく,交際費的な支出である。よって,全額が目的外支
出に当たる。
(被告及びA6の主張)
会派及び議員の活動においては,地域の諸団体,組織,
個人らとの接触を介して住民らの苦情,注文,提言を受
け止め,これを議会及び行政の場へとつなげていくこと
が重要な職責であり,そのためには,広く日常的な議員
活動を支える経費を政務調査費から支出できると解す
るべきであるところ,連携,協力関係にある諸団体との
日常の交流は,豊富な政務活動を行うために重要であ
り,特に会派として親交がある団体,労働組合の行事に
対し,応分の協力をすることは,協力関係を維持し,ひ
いては諸政策の立案及び実現につながるものとして重
要である。
したがって,上記支出は,政務調査活動として必要な
支出であり,目的外支出に当たらない。
諸事務費(古紙回収費)1万円(平成18年7月3日,
同年8月28日,同年11月1日,平成19年1月26日,
同年3月22日)
(原告らの主張)
古紙回収が会派控室の維持運営に必要であるとしても,
古紙回収の委託そのものが政務調査活動に当たるわけで
はないので,その費用は,全額が目的外支出に当たる。
(被告及びA6の主張)
会派控室は,議員の活動の拠点ないし中心といえるもの
で,その維持に伴う費用は,議員の活動を支えるための経
費として幅広く政務調査費からの支出が許されるべきで
ある。会派控室においては,日々膨大な破棄すべき資料等
が発生するので,この破棄は会派控室の維持運営に不可欠
の作業であり,これを専門業者に委託する費用は目的外支
出に当たらない。
1件当たり5万円未満の支出362万6496円(平
成18年4月3日から平成19年3月30日)
(原告らの主張)
上記支出は,A6の平成18年度における1件5万円未
満の支出額合計415万2691円から,上記及びの
支出並びに全額が本件使途基準に合致すると認められる
別紙11「適正な支出一覧(A6)」記載の各支出(合計
47万6195円)を除いたものである。
会派及び議員の活動の多面性に照らせば,これらの支出
には政務調査活動以外の活動の経費が混在していると推
認されるので,その5割である181万3248円は目的
外支出に当たる。
(被告及びA6の主張)
上記で述べたとおり,広く日常的な議員活動を支える
経費を政務調査費から支出できると解するべきであり,活
動別に按分ができるものでもないので,上記支出はすべて
政務調査費からの支出が許されるべきであり,目的外支出
は含まれない。
キ被告補助参加人A7の支出について
資料作成費(コピー代)26万9011円
(原告らの主張)
上記支出は,会派控室で作成された資料等のコピー代で
あるところ,前記総論で述べたとおり,会派控室での活動
には政務調査活動以外の活動が混在するので,上記支出に
は目的外支出が含まれ,その5割である13万4505円
は目的外支出に当たる。
(被告及びA7の主張)
a原告らは,A7の会派控室での活動に政務調査活動以
外の「会派活動」,「後援会活動」,「議会活動」など
が混在している旨主張する。
A7は,「H1生協」という消費生活協同組合の運動
の中から生まれた政治団体であり,「市民自治,市民に
よる政治」の実現を目指して活動している。A7では,
ローテーションで福岡市議会に議員を輩出することと
し,その活動を支える組織として議員経験者を中心とす
る政策調査室を設けている。このような,創設の経緯及
び活動内容から,A7が行う政治活動は,市民による生
活に根差した手作りの政治活動といえる。
したがって,同様の志を持つ仲間と全国的に連携をと
ってはいるが,綱領を要した政党のような組織は存在せ
ず,支援者である市民と後援会活動と称して会食を重ね
たり,慰安旅行をしたりするようなこともないので,A
7は,原告らが主張するような政務調査活動以外の「会
派活動」や「後援会活動」をそもそも行っていない。ま
た,原告らが政務調査活動以外の活動として主張する
「議会活動」は,議会での質疑や政策立案のための取り
まとめ作業であり,まさに政務調査活動である。
よって,A7の会派控室での活動に政務調査活動以外
の活動が混在しているということはない。
b上記のコピー代は,いずれも会派控室のコピー機に関
するコピー代であるが,会派控室でのコピーは,議会で
の質疑資料を作成するため,アンケート結果やインター
ネットで調査した他の地方自治体の資料などの政務調
査活動の成果物をコピーしたのであって,政務調査活動
そのものかこれと密接不可分のものであり,会派所属議
員同士の打ち合わせなどの際に議会の運営に係る申し
合わせ事項などをコピーしたこともあるが,その数は1
議会につき約10部で,全体の0.19パーセント程度
にすぎない。なお,選挙活動に必要なコピーは,地域事
務所のコピー機を使用しており,会派控室ではコピーし
ていない。
したがって,上記支出に政務調査活動以外の活動の経
費が混在しているとはいえない。
広報広聴費(市議会レポート配布手数料,市議会レポー
ト郵送料)12万1230円
(原告らの主張)
上記支出に係る市議会レポートは,A7の所属議員が行
った一般質問等の議会活動の報告であり,会派及び所属議
員の活動の実績紹介,宣伝にもなるものである。したがっ
て,政務調査活動以外の活動が混在しているので,上記支
出にも目的外支出が含まれ,その5割である6万0615
円は目的外支出に当たる。
(被告及びA7の主張)
上記支出に係る市議会レポートは,議会活動の報告を内
容としており(丙イ第24ないし26),議会活動の報告
が政務調査活動に当たることは前記総論で述べたとおり
である。なお,A7には後援会がないので,後援会活動に
関する記事は掲載し得ない。
したがって,上記支出に目的外支出は含まれない。
調査旅費(平成18年5月16日から平成19年2月2
7日までの交通費及び旅費)71万4640円
(原告らの主張)
議員の活動の多面性に照らせば,上記支出には政務調査
活動以外の活動のための移動経費が含まれていると推認
されるので,上記支出には目的外支出が含まれ,その5割
である35万7320円は目的外支出に当たる。
(被告及びA7の主張)
A7は,平成18年6月19日に合計15万2500
円,同年9月7日に4万4300円,同年10月10日に
4万2800円という比較的まとまった金額の支出をし
ているが,これらは,H2ネットワークの全国集会等に出
席するための旅費である。これらの集会は,全国の自治体
において各地域に根差し活動する市民政治団体が集まり,
どのような政治活動を行っていくかという議論や,様々な
政策課題の実践例の報告及び意見交換等が行われている
ので,これに参加することは,当然政務調査活動に当たる。
その余は,「交通費」との標目での少額の支出及び「プ
リペイドカード」との標目での支出であるが,これらは,
アンケート調査や様々な市民の会合への出席のための交
通費である。現時点でこれらすべての支出につき,その行
き先を特定することは困難であるが,A7は,政務調査費
からの支出が許されない,議員が議会へ出席するための交
通費については,A7がバスの定期券を購入して使用する
こととしており(丙イ42から51),上記で述べたと
おり後援会活動は行っていないので,上記交通費はすべて
政務調査活動のための交通費である。
したがって,上記支出に目的外支出は含まれない。
諸事務費
a名刺代8万4000円
(原告らの主張)
名刺の印刷費は,政務調査費からの支出が許されな
い。上記支出の金額から,大量の名刺が印刷されたこと
が推認されるので,その大半は政務調査と関係しない日
常の政党活動,議員活動等に使用されたものと推認され
る。よって,上記支出の全額が目的外支出に当たる。
(被告及びA7の主張)
⒜A7は,市民の声を聞き取るための活動として,た
とえば福岡市の家庭ごみ処理の一部有料化がごみの
減量につながったかなどのテーマでアンケート調査
を実施してきた。
しかし,平成18年4月にそれまでのアンケート調
査を振り返って検討したところ,初対面の市民に調査
の趣旨,目的を理解した上でアンケートに協力しても
らうことは,単に文書を交付するだけでは難しいとい
う課題が判明した。
そこで,A7では,平成18年4月以降に実施した
アンケートでは,A7の所属議員が市政のための調査
を行っているということを一見して明らかにし,協力
をしてもらうために,議員の顔写真入りの名刺をアン
ケートに添えて手渡すこととした(丙イ14)。上記
支出は,このようにアンケートに使用するために作成
した名刺の増刷に係る経費である。
このようなアンケートの例としては,平成18年9
月から平成19年3月にかけて,税金の使いみちとい
うテーマでアンケート調査を行ったが,この際,アン
ケートのための訪問をした戸数は,各区約5000か
ら9000世帯に上り,この各世帯に名刺を添えたア
ンケート用紙を配布した(丙イ15から18)。A7
は,このアンケートの結果を各種のニュースやレポー
トで報告し,政策提言の基礎としている(丙イ19,
20)。
したがって,A7は,名刺をアンケート調査という
政務調査活動に使用しているので,その印刷費は目的
外支出に当たらない。
⒝また,平成18年度当時A7に所属していた議員2
名の名刺の印刷状況を調査したところ,上記支出に係
る印刷の次は,1名が平成19年8月,もう1名は平
成20年3月に,それぞれ200枚の名刺を代金52
50円で印刷しており,その後は平成21年6月の時
点でも新たな名刺の印刷はしていない(丙イ27から
29)。
してみると,A7所属の各議員は,200枚の名刺
を使い切るのに2年以上かかるということになり,1
年で100枚程度の名刺を使用する計算となるが,そ
のうち大半は,H3調査室の活動(丙イ6から9)や
「H4」(丙イ10)で報告されているような政策課
題の調査,整理,立案のために個人や団体と面談をす
る際の使用であるので,政務調査活動と無関係な単な
る名刺交換のような使用は,年間で1人当たり10枚
程度,多くても30枚を超えないといえる。
よって,仮に上記支出に目的外支出が含まれるとし
ても,多くて2名で60枚までであるから,1枚当た
り25円の60枚分に当たる1500円までである。
bリース料,通信費,事務用品購入代94万8433
円(平成18年4月3日から平成19年3月26日)
(原告らの主張)
上記支出は,会派控室の事務機器等に係る経費であ
り,前記総論で述べたとおり会派控室の経費には目的外
支出が混在しているので,上記支出のうち5割である4
7万4216円は目的外支出に当たる。
(被告及びA7の主張)
⒜上記支出は,会派控室での経費であるが,上記で
述べたとおり,A7の会派控室での活動に政務調査活
動以外の活動は混在していない。
⒝また,上記支出には「切手代」,「カートリッジ」,
「テレビショッピング」,「H5」,「H6」,「地
図」及び「H7」という項目の支出が含まれる。
このうち,切手代は,市議会レポート等を調査協力
者や専門家に単発で送付する場合や,書店には置いて
いない市民グループやNPO発行の冊子を注文する
際の送料込み冊子代金として切手を同封したりする
場合に使用した切手の代金である。
カートリッジ及びテレビショッピングというのは,
いずれも同一の空気清浄器の交換用カートリッジの
購入費用である。A7は,会派控室の室内が非常に乾
燥するため,接客用として,会派控室に主に加湿機能
を有する小型の空気清浄器を設置していた。
H5及びH6というのは,いずれも事務機器の販売
店の名称であり,事務用品の購入費用である。
地図及びH7というのは,アンケート調査のために
購入したアンケート調査対象地域の地図の購入費用
である。
⒞このように,上記支出は,会派控室に係る経費であ
るということのみから目的外支出が含まれていると
いうことはできないし,いずれも政務調査活動のため
に必要な支出であり,目的外支出は含まれていない。
その他(コーヒー豆代,振込手数料,消耗品代,空気清
浄機カートリッジ代,お茶代)2万4108円(平成
18年5月1日から平成19年3月13日)
(原告らの主張)
上記支出は,会派控室に係る経費であるので,前記総論
で述べたとおり,目的外支出が混在していると推認され
る。よって,その5割である1万2054円は目的外支出
に当たるといえる。
(被告及びA7の主張)
上記支出は,会派控室での経費であるが,上記で述べ
たとおり,A7の会派控室での活動に政務調査活動以外の
活動は混在していない。
上記支出のうち,コーヒー豆代,お茶代は,接客用のコ
ーヒー,お茶のための支出であるところ,このような支出
は,本件手引きにおいても認められている。
また,空気清浄機カートリッジ代は,上記bで述べた
と同様の空気清浄器の経費であるが,その他の経費に該当
する消耗品と同時に処理したためその他に計上されてし
まったものである。これが目的外支出に当たらないこと
は,上記で述べたと同様である。
以上に述べたとおり,そもそもA7の会派控室に係る経
費には目的外支出が混在していないばかりか,個別の支出
を見ても目的外支出に当たらないので,上記支出に目的外
支出は含まれていない。
クA8の支出について
(原告らの主張)
A8は,平成18年4月1日から平成19年3月31日ま
での間,1件5万円未満の支出として,合計30万4327
円を政務調査費から支出した。
上記支出は,政務調査活動との関連性が明らかでないばか
りか,会派や議員の活動の多面性に照らせば,その活動には
政務調査活動以外の政治活動や後援会活動等が混在してい
ると推認されるし,会派控室の活動に政務調査活動以外の活
動が混在していることは前記総論で述べたとおりである。
したがって,上記支出には,目的外支出が混在していると
推認でき,その5割である15万2163円は目的外支出に
当たるといえる。
(被告の主張)
原告らの主張から上記支出に目的外支出が混在している
と推認することはできず,按分して支出すべきという根拠も
ない。
ケ議員の1件当たり5万円未満の支出について
(原告らの主張)
相手方らのうち,別紙12「1件当たり5万円未満の支出
一覧(議員)」の「議員名」欄記載の各議員は,平成18年
4月1日から平成19年3月31日までの間に,同「1件当
たり5万円未満の支出額」欄記載の金額を政務調査費から支
出した。
これらの支出の内訳は,各議員により異なるが,次の全部
又はいくつかが含まれる。
⒜議員が設置している事務所に備えられている,あるいは
議員が自宅等で利用する新聞及び書籍等の購入費用等
⒝議員が設置している事務所の賃料,借地料及び水道光熱
費等
⒞議員が設置している事務所に勤務する職員等の雇用費
⒟議員が設置している事務所の事務機器のランニングコ
スト等
⒠議員が使用する事務用品等の購入費用等
⒡議員の移動経費等
⒢議員が参加した研究会,会合及び催し等の室料及び参加
費等
⒣議員の活動等を報告するレポート等の作成及び配布に
係る経費
前記総論で会派控室について述べたと同様,議員が設置し
ている事務所では,政務調査活動のみが行われるものではな
く,後援会活動等政務調査活動以外の活動も行われているの
が通常である。よって,上記⒜ないし⒟の事務所に係る経費
には,政務調査活動以外の活動の経費すなわち目的外支出に
当たる部分が含まれていると推認される。
また,議員の活動には多面性があり,政務調査活動以外の
活動も行っているのが通常であるので,⒠ないし⒣の支出に
ついても,政務調査活動以外の活動の経費に当たる部分が含
まれていると推認でき,被告及び議員が当該支出が専ら政務
調査活動に係る経費であること又は議員の活動の経費を政
務調査活動の経費に当たる部分とそれ以外の部分とに区分
して支出していたことなど,当該支出が目的外支出に当たら
ないとの特段の事情を主張立証しない限り,目的外支出が含
まれているといえる。
したがって,上記⒜ないし⒣を含む上記各支出には,目的
外支出が混在していると推認されるが,その割合を特定する
ことはできないので,少なくとも5割の部分は政務調査活動
の経費に当たると考えて,上記各支出のうち,その5割であ
る別紙12「1件当たり5万円未満の支出一覧(議員)」の
「目的外支出」欄記載の金額は,それぞれ目的外支出に当た
るというべきである。
(被告の主張)
原告らの主張から上記支出に目的外支出が混在している
と推認することはできず,按分して支出すべきという根拠も
ない。
(被告補助参加人A36の主張)
A36の1件当たり5万円未満の支出のうち,
資料作成費5万8017円は,議会訪問用の写真や陳情
現場の写真,市の工事現場の写真,J1下水工事現場の写
真,議会質問のための調査資料の印刷,コピー代などであ
る。
資料購入費26万6059円には,J2・グループの購
読料が含まれるが,これは元J3大学政治学講師J4氏を
中心とするシンクタンクが発行しているレポートの年間
購読料であり,政務調査に役立つものである。その他は,
新聞購読費,書籍代,職員録の購入費用である。
研究研修費5万3154円は,オリンピック福岡誘致に
反対するための研修会や勉強会に参加するために必要と
なった諸経費である。
広報広聴費41万4515円は,市政の状況を調査し,
市議会の報告書を作成して,有権者に対して市政報告を行
った際の郵送切手代等である。
補助員等雇用費15万1050円は,オリンピック福岡
誘致に反対する活動のために,事務量が増大したことか
ら,各種データの調査研究,情報収集のために臨時の補助
員として黒田康介を雇用した費用である。なお,これは,
A36が支出した人件費の一部にすぎない。
調査旅費17万9504円は,オリンピック福岡誘致の
反対活動に関する調査のため,日本オリンピック協会に出
張した際の交通費,同調査研究のために福岡市内やJ5を
現地調査した際の交通費,研究会に参加するために要した
交通費等である。
諸事務費17万7326円は,調査研究のために必要と
なる,コピー機関連費用,インターネット接続費用,電話
代,ファックス費用,事務用品代である。
その他420円は,印章代である。
したがって,いずれも,本件使途基準に合致する。なお,
A36は,事務所費を支出していない。
コ被告補助参加人A9の支出について
補助員等雇用費165万円
(原告らの主張)
補助員を雇用した事実を確認できず,政務調査活動のた
めに補助員を雇用したと認められない。また,A9は,上
記支出が1件当たり5万円以上の支出であるにもかかわ
らず,各支出に係る領収書を福岡市議会議長に提出してい
ないので,適法な支出であると認めることができない。よ
って,全額が目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA9の主張)
上記支出に固有の主張はないが,前記総論で述べたとお
り,原告らの主張から上記支出に目的外支出が混在してい
ると推認することはできず,按分して支出すべきという根
拠もない。
1件5万円未満の支出57万1200円
(原告らの主張)
aA9は,政務調査費の収支を明らかにする会計帳簿も
領収書等の証拠書類も提出しない。よって,もともと領
収書が添付されていない1件当たり5万円未満の支出
は,政務調査活動との関連性が明らかでないところ,議
員の活動は,政務調査活動とそれ以外の活動が混在して
おり,区別できないのが通常であることに照らせば,上
記支出にも目的外支出が混在していると推認される。
bまた,前記ケで他の議員の支出について述べたと同様
に,A9の1件当たり5万円未満の支出にも目的外支出
が混在していると推認される。
c上記a,bで述べたところから,上記支出に目的外支
出が含まれていることは明らかであるが,その割合を特
定することはできないので,少なくとも5割の部分は政
務調査活動の経費に当たると考えて,上記支出のうち5
割である28万5600円は目的外支出に当たるとい
うべきである。
(被告及びA9の主張)
上記支出に固有の主張はないが,前記総論で述べたとお
り,原告らの主張から上記支出に目的外支出が混在してい
ると推認することはできず,按分して支出すべきという根
拠もない。
サ被告補助参加人A10の支出について
(原告らの主張)
A10は,平成18年4月21日から平成19年3月20
日の間に,22回にわたって,補助員等雇用費として,合計
156万円を政務調査費から支出した。
議員の個人事務所では,会派控室と同様,政務調査活動以
外の議員活動や後援会活動が行われているのが通常である
ので,議員が雇用する補助員も政務調査活動以外の活動にも
従事していると推認される。したがって,その雇用費には目
的外支出が混在していると推認されるが,その割合を特定す
ることは困難であるので,前記総論で述べたとおり,その5
割である78万円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA10の主張)
上記支出に固有の主張はないが,前記総論で述べたとお
り,原告らの主張から上記支出に目的外支出が混在している
と推認することはできず,按分して支出すべきという根拠も
ない。
シ被告補助参加人A11の支出について
広報広聴費105万円
(原告らの主張)
A11は,平成18年4月18日に15万円,同年6月
9日に25万円,同年7月27日に10万円,同年10月
24日に20万円,同年11月16日に10万円,同年1
2月6日に25万円を,K1ホテルに対して支払い,合計
105万円を政務調査費から支出したところ,これらの支
出に係る領収書には「会議費等」との記載がある。
K1ホテルという場所,支払金額及び「会議費等」との
領収書の記載から,上記各支出は飲食を伴う会合の経費で
あることが推認される。飲食を伴う会合の経費が目的外支
出に当たることは前記総論で述べたとおりであり,上記支
出にも目的外支出が混在していると推認されるが,その割
合を特定することは困難であるので,前記総論で述べたと
おり,その5割である52万5000円は目的外支出に当
たるというべきである。
(被告及びA11の主張)
上記支出は,「会場費等」等の領収書の記載が本件使途
基準の広報広聴費に当たる支出として本件取扱に例示さ
れている「報告会等の開催に係る諸経費」に該当し適法で
ある上,前記総論で述べたとおり,原告らの主張から上記
支出に目的外支出が混在していると推認することはでき
ず,按分して支出すべきという根拠もない。
補助員等雇用費120万円
(原告らの主張)
A11は,平成18年度中の各月に10万円ずつ,合計
120万円を補助員等雇用費として政務調査費から支出
した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には
政務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での
活動に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在し
ていると推認されるが,その割合を特定することは困難で
あるので,前記総論で述べたとおり,その5割である60
万円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA11の主張)
上記支出は,領収書の「H18.4-H19.3月分」
との記載が,本件使途基準の補助員等雇用費に当たる支出
として本件取扱に例示されている「調査研究を行う議員を
事務的に補助する職員の雇用」に該当し適法である上,前
記総論で述べたとおり,原告らの主張から上記支出に目的
外支出が混在していると推認することはできず,按分して
支出すべきという根拠もない。
ス被告補助参加人A12の支出について
補助員等雇用費120万円
(原告らの主張)
A12は,平成18年度中の各月に10万円ずつ,合計
120万円を補助員等雇用費として政務調査費から支出
した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には
政務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での
活動に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在し
ていると推認されるが,その割合を特定することは困難で
あるので,前記総論で述べたとおり,その5割である60
万円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA12の主張)
上記支出は,領収書の「市政活動補助員雇用経費」との
記載及び収支報告書摘要欄の「雇用費H18.4-H19.
3月分」との記載が,本件使途基準の補助員等雇用費に当
たる支出として本件取扱に例示されている「調査研究を行
う議員を事務的に補助する職員の雇用」に該当し適法であ
る上,前記総論で述べたとおり,原告らの主張から上記支
出に目的外支出が混在していると推認することはできず,
按分して支出すべきという根拠もない。
事務所費(L1支払分)66万円
(原告らの主張)
A12は,L2号室の平成18年5月から平成19年3
月分までの賃料として,月額6万円を株式会社L1に支払
い,これを政務調査費から支出したが,このL2号室は,
事務所として使用するために賃借されたものである。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には
政務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所に係
る経費には目的外支出が混在していると推認されるが,そ
の割合を特定することは困難であるので,前記総論で述べ
たとおり,その5割である33万円は目的外支出に当たる
というべきである。
(被告及びA12の主張)
上記支出は,領収書の「H18.5月-H19.3月分」
との記載が,本件使途基準の事務所費に当たる支出として
本件取扱に例示されている「事務所賃借料,共益費等」に
該当し適法である上,前記総論で述べたとおり,原告らの
主張から上記支出に目的外支出が混在していると推認す
ることはできず,按分して支出すべきという根拠もない。
セ被告補助参加人A13の支出について
(原告らの主張)
A13は,平成18年度中に,月額10万円を11か月分
及び月額9万円を1か月分の合計119万円を補助員等雇
用費として政務調査費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には政
務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での活動
に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在している
と推認されるが,その割合を特定することは困難であるの
で,前記総論で述べたとおり,その5割である59万500
0円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA13の主張)
上記支出は,領収書の「H18.4-H19.3月分」と
の記載及び収支報告書摘要欄の「雇用費」との記載が,本件
使途基準の補助員等雇用費に当たる支出として本件取扱に
例示されている「調査研究を行う議員を事務的に補助する職
員の雇用」に該当し適法である上,前記総論で述べたとおり,
原告らの主張から上記支出に目的外支出が混在していると
推認することはできず,按分して支出すべきという根拠もな
い。
ソ被告補助参加人A14の支出について
(原告らの主張)
A14は,平成18年度中の各月に24万6750円ず
つ,合計296万1000円を補助員等雇用費(M1支払分)
として政務調査費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には政
務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での活動
に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在している
と推認されるが,その割合を特定することは困難であるの
で,前記総論で述べたとおり,その5割である148万05
00円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA14の主張)
上記支出は,領収書の「H18.4-H19.3月分秘書
人材派遣料」との記載が,本件使途基準の補助員等雇用費に
当たる支出として本件取扱に例示されている「調査研究を行
う議員を事務的に補助する職員の雇用」に該当し適法である
上,前記総論で述べたとおり,原告らの主張から上記支出に
目的外支出が混在していると推認することはできず,按分し
て支出すべきという根拠もない。
タ被告補助参加人A15の支出について
(原告らの主張)
A15は,平成18年4月から平成19年3月分までの家
賃として合計120万円を支払い,これを事務所費として政
務調査費から支出し,A15市政相談事務所宛の領収書があ
る。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には政
務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所に係る経
費には目的外支出が混在していると推認されるが,その割合
を特定することは困難であるので,前記総論で述べたとお
り,その5割である60万円は目的外支出に当たるというべ
きである。
(被告及びA15の主張)
上記支出は,領収書の「H18.4月-H19.3家賃」
との記載が,本件使途基準の事務所費に当たる支出として本
件取扱に例示されている「事務所賃借料,共益費等」に該当
し適法である上,前記総論で述べたとおり,原告らの主張か
ら上記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
チA16の支出について
(原告らの主張)
A16は,平成18年6月23日に13万0420円,同
年7月21日に12万4060円をN1ホテルに対し,同年
10月31日に29万6463円をD1ホテルに対し,それ
ぞれ支払い,これを研究研修費として政務調査費から支出し
た。
N1ホテル,D1ホテルという場所,支払金額から,上記
各支出は飲食を伴う会合の経費であることが推認される。飲
食を伴う会合の経費が目的外支出に当たることは前記総論
で述べたとおりであり,上記支出にも目的外支出が混在して
いると推認されるが,その割合を特定することは困難である
ので,前記総論で述べたとおり,その5割である27万54
72円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告の主張)
上記支出は,領収書の「研修会費」との記載が,本件使途
基準の研究研修費に当たる支出として本件取扱に例示され
ている「会場借上料」に該当し適法である上,前記総論で述
べたとおり,原告らの主張から上記支出に目的外支出が混在
していると推認することはできず,按分して支出すべきとい
う根拠もない。
ツA17の支出について
補助員等雇用費234万円
(原告らの主張)
A17は,平成18年度中の各月に,月額19万500
0円の合計234万円を補助員等雇用費として政務調査
費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には
政務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での
活動に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在し
ていると推認されるが,その割合を特定することは困難で
あるので,前記総論で述べたとおり,その5割である11
7万円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告の主張)
上記支出は,収支報告書摘要欄の「補助員雇用費」との
記載が,本件使途基準の補助員等雇用費に当たる支出とし
て本件取扱に例示されている「調査研究を行う議員を事務
的に補助する職員の雇用」に該当し適法である上,前記総
論で述べたとおり,原告らの主張から上記支出に目的外支
出が混在していると推認することはできず,按分して支出
すべきという根拠もない。
事務所費78万円
(原告らの主張)
A17は,平成18年4月から平成19年3月分までの
各月に家賃として月額6万5000円の合計78万円を
個人に対して支払い,これを事務所費として政務調査費か
ら支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には
政務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所に係
る経費には目的外支出が混在していると推認されるが,そ
の割合を特定することは困難であるので,前記総論で述べ
たとおり,その5割である39万円は目的外支出に当たる
というべきである。
(被告の主張)
上記支出は,収支報告書の「事務所賃借料」との記載が,
本件使途基準の事務所費に当たる支出として本件取扱に
例示されている「事務所賃借料,共益費等」に該当し適法
である上,前記総論で述べたとおり,原告らの主張から上
記支出に目的外支出が混在していると推認することはで
きず,按分して支出すべきという根拠もない。
テA18の支出について
(原告らの主張)
A18は,平成18年度中の各月に,月額9万円の合計1
08万円を補助員等雇用費として政務調査費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には政
務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での活動
に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在している
と推認されるが,その割合を特定することは困難であるの
で,前記総論で述べたとおり,その5割である54万円は目
的外支出に当たるというべきである。
(被告の主張)
上記支出は,収支報告書摘要欄の「補助員雇用費」との記
載が,本件使途基準の補助員等雇用費に当たる支出として本
件取扱に例示されている「調査研究を行う議員を事務的に補
助する職員の雇用」に該当し適法である上,前記総論で述べ
たとおり,原告らの主張から上記支出に目的外支出が混在し
ていると推認することはできず,按分して支出すべきという
根拠もない。
ト被告補助参加人A19の支出について
補助員等雇用費150万円
(原告らの主張)
A19は,平成18年度中の各月に,月額12万500
0円の合計150万円を補助員等雇用費として政務調査
費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には
政務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での
活動に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在し
ていると推認されるが,その割合を特定することは困難で
あるので,前記総論で述べたとおり,その5割である75
万円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA19の主張)
上記支出は,領収書の「派遣請負代金H18.4-H1
9.3月分」との記載が,本件使途基準の補助員等雇用費
に当たる支出として本件取扱に例示されている「調査研究
を行う議員を事務的に補助する職員の雇用」に該当し適法
である上,前記総論で述べたとおり,原告らの主張から上
記支出に目的外支出が混在していると推認することはで
きず,按分して支出すべきという根拠もない。
諸事務費80万円
(原告らの主張)
前記アにおいてA1の切手代について述べたと同様,
議員の任期が目前に迫った時期における大量の切手の購
入費用は,全額が目的外支出であると推認される。
(被告及びA19の主張)
上記支出は,領収書の「切手800.000円」との記
載が,本件使途基準の諸事務費に当たる支出として本件取
扱に例示されている「電話料金,切手代,インターネット
等の通信費」に該当し適法である上,前記総論で述べたと
おり,原告らの主張から上記支出に目的外支出が混在して
いると推認することはできず,按分して支出すべきという
根拠もない。
ナ被告補助参加人A20の支出について
(原告らの主張)
A20は,平成18年度中に,267万5421円を補助
員等雇用費として政務調査費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には政
務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での活動
に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在している
と推認されるが,その割合を特定することは困難であるの
で,前記総論で述べたとおり,その5割である133万77
11円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA20の主張)
上記支出は,収支報告書摘要欄の「補助員給与」との記載
及び領収書の「H18.4.2799.789円」,「H
18.5.31220.671円」等の記載が,本件使途
基準の補助員等雇用費に当たる支出として本件取扱に例示
されている「調査研究を行う議員を事務的に補助する職員の
雇用」に該当し適法である上,前記総論で述べたとおり,原
告らの主張から上記支出に目的外支出が混在していると推
認することはできず,按分して支出すべきという根拠もな
い。
ニ被告補助参加人A21の支出について
広報広聴費6万3000円
(原告らの主張)
A21は,平成18年8月31日,写真撮影料として6
万3000円を政務調査費から支出した。被告及びA21
は,これが市議会ニュース等の広報誌の発行経費に該当す
ると主張するが,広報誌に議員の顔写真を掲載することは
政務調査活動ではなく,議員の宣伝活動であるので,全額
が目的外支出である。
(被告及びA21の主張)
上記支出は,市議会ニュース等の発行経費に該当して適
法である上,前記総論で述べたとおり,原告らの主張から
上記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
補助員等雇用費138万円
(原告らの主張)
A21は,平成18年度中に,138万円を補助員等雇
用費として政務調査費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には
政務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での
活動に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在し
ていると推認されるが,その割合を特定することは困難で
あるので,前記総論で述べたとおり,その5割である69
万円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA21の主張)
上記支出は,領収書の「補助員等雇用費H18.4-H
19.3月分」との記載が,本件使途基準の補助員等雇用
費に当たる支出として本件取扱に例示されている「調査研
究を行う議員を事務的に補助する職員の雇用」に該当し適
法である上,前記総論で述べたとおり,原告らの主張から
上記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
ヌ被告補助参加人A22の支出について
補助員等雇用費205万1000円
(原告らの主張)
A22は,平成18年度中に,205万1000円を補
助員等雇用費として政務調査費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には
政務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での
活動に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在し
ていると推認されるが,その割合を特定することは困難で
あるので,前記総論で述べたとおり,その5割である10
2万5500円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA22の主張)
上記支出は,収支報告書摘要欄の「補助員の雇用費」と
の記載及び領収書の「合計2.051.000円P15
31.000円P2720.000円P3800.
000円」との記載が,本件使途基準の補助員等雇用費に
当たる支出として本件取扱に例示されている「調査研究を
行う議員を事務的に補助する職員の雇用」に該当し適法で
ある上,前記総論で述べたとおり,原告らの主張から上記
支出に目的外支出が混在していると推認することはでき
ず,按分して支出すべきという根拠もない。
諸事務費(紙折り機)23万9400円
(原告らの主張)
A22は,紙折り機購入費用として,平成19年2月7
日に内金13万9400円,同年3月30日に2月分支出
として残額10万円の合計23万9400円を,P4株式
会社に支払い,その全額を政務調査費から支出した。
上記支出に係る紙折り機は,A22の後援会事務所も兼
ねる事務所に設置されているので,政務調査活動以外の後
援会活動にも使用されていることは明らかであるので,上
記支出には目的外支出が混在しているといえるが,その割
合を特定することは困難であるので,前記総論で述べたと
おり,上記支出のうち5割である11万9700円が目的
外支出に当たるというべきである。
(被告及びA22の主張)
上記支出は,領収書の「紙折機」との記載が,本件使途
基準の諸事務費に当たる支出として本件取扱に例示され
ている「事務機器購入費」に該当し適法である上,前記総
論で述べたとおり,原告らの主張から上記支出に目的外支
出が混在していると推認することはできず,按分して支出
すべきという根拠もない。
ネ被告補助参加人A23の支出について
補助員等雇用費192万5500円
(原告らの主張)
A23は,平成18年度中に,192万5500円を補
助員等雇用費として政務調査費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には
政務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での
活動に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在し
ていると推認されるが,その割合を特定することは困難で
あるので,前記総論で述べたとおり,その5割である96
万2750円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA23の主張)
上記支出は,収支報告書摘要欄の「雇用職員経費」との
記載が,本件使途基準の補助員等雇用費に当たる支出とし
て本件取扱に例示されている「調査研究を行う議員を事務
的に補助する職員の雇用」に該当し適法である上,前記総
論で述べたとおり,原告らの主張から上記支出に目的外支
出が混在していると推認することはできず,按分して支出
すべきという根拠もない。
諸事務費58万7000円
(原告らの主張)
前記アにおいてA1の切手代について述べたと同様,
議員の任期が目前に迫った時期における大量の切手の購
入費用は,全額が目的外支出であると推認される。
(被告及びA23の主張)
上記支出は,収支報告書摘要欄の「2/2切手代347.
000円」との記載及び領収書の「80円切手2.500
枚50円切手800枚」との記載が,本件使途基準の諸
事務費に当たる支出として本件取扱に例示されている「電
話料金,切手代,インターネット等の通信費」に該当し適
法である上,前記総論で述べたとおり,原告らの主張から
上記支出に目的外支出が混在していると推認することは
できず,按分して支出すべきという根拠もない。
ノ被告補助参加人A24の支出について
(原告らの主張)
A24は,平成18年度中の各月に,月額7万1000円
の合計85万2000円を補助員等雇用費として政務調査
費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には政
務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での活動
に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在している
と推認されるが,その割合を特定することは困難であるの
で,前記総論で述べたとおり,その5割である42万600
0円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA24の主張)
上記支出は,収支報告書摘要欄の「雇用経費」との記載が,
本件使途基準の補助員等雇用費に当たる支出として本件取
扱に例示されている「調査研究を行う議員を事務的に補助す
る職員の雇用」に該当し適法である上,前記総論で述べたと
おり,原告らの主張から上記支出に目的外支出が混在してい
ると推認することはできず,按分して支出すべきという根拠
もない。
ハA25の支出について
(原告らの主張)
A25は,平成18年度中の各月に,月額18万円の合計
216万円を補助員等雇用費として政務調査費から支出し
た。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には政
務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での活動
に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在している
と推認されるが,その割合を特定することは困難であるの
で,前記総論で述べたとおり,その5割である108万円は
目的外支出に当たるというべきである。
(被告の主張)
上記支出は,領収書の「補助員等雇用費」との記載が,本
件使途基準の補助員等雇用費に当たる支出として本件取扱
に例示されている「調査研究を行う議員を事務的に補助する
職員の雇用」に該当し適法である上,前記総論で述べたとお
り,原告らの主張から上記支出に目的外支出が混在している
と推認することはできず,按分して支出すべきという根拠も
ない。
ヒ被告補助参加人A27の支出について
(原告らの主張)
A27は,平成18年度中の各月に,月額8万円の合計9
6万円を補助員等雇用費として政務調査費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には政
務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での活動
に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在している
と推認されるが,その割合を特定することは困難であるの
で,前記総論で述べたとおり,その5割である48万円は目
的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA27の主張)
上記支出は,収支報告書摘要欄の「調査研究のため必要な
補助員の雇用費」との記載及び領収書の「調査費として」と
の記載が,本件使途基準の補助員等雇用費に当たる支出とし
て本件取扱に例示されている「調査研究を行う議員を事務的
に補助する職員の雇用」に該当し適法である上,前記総論で
述べたとおり,原告らの主張から上記支出に目的外支出が混
在していると推認することはできず,按分して支出すべきと
いう根拠もない。
フ被告補助参加人A28の支出について
(原告らの主張)
A28は,平成18年度中に,101万1000円を補
助員等雇用費として政務調査費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には
政務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での
活動に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在し
ていると推認されるが,その割合を特定することは困難で
あるので,前記総論で述べたとおり,その5割である50
万5500円は目的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA28の主張)
上記支出は,収支報告書摘要欄の「補助員給与」との記
載が,本件使途基準の補助員等雇用費に当たる支出として
本件取扱に例示されている「調査研究を行う議員を事務的
に補助する職員の雇用」に該当し適法である上,前記総論
で述べたとおり,原告らの主張から上記支出に目的外支出
が混在していると推認することはできず,按分して支出す
べきという根拠もない。
ヘ被告補助参加人A32の支出について
(原告らの主張)
A32は,平成18年度中の各月に,月額5万円の合計6
0万円を補助員等雇用費として政務調査費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には政
務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所での活動
に従事する補助員の雇用費には目的外支出が混在している
と推認されるが,その割合を特定することは困難であるの
で,前記総論で述べたとおり,その5割である30万円は目
的外支出に当たるというべきである。
(被告及びA32の主張)
議員の個人事務所の設置は広く行われており,議員活動の
地元の拠点として不可欠なものであるから,ここに常駐の事
務員(補助員)を置くことも必然的に要請される。この事務
員の活動も,議員の活動と同様に広範,多岐にわたるもので
あり,これを狭く調査活動のみに限るとすることは,議員の
活動全体への制約となり,かえって議員としての責務を狭め
ることとなって不当である。よって,個人事務所の事務員の
活動が多岐にわたることをもって,その雇用費が目的外支出
に当たるということはできない。
また,上記支出は,収支報告書摘要欄の「補助員の雇用に
要する経費」との記載及び領収書の「補助員等雇用費H18.
4-H19.3月分」との記載が,本件使途基準の補助員等
雇用費に当たる支出として本件取扱に例示されている「調査
研究を行う議員を事務的に補助する職員の雇用」に該当し適
法である。
以上に述べたところからすれば,原告らの主張から上記支
出に目的外支出が混在していると推認することはできず,按
分して支出すべきという根拠もない。
ホ被告補助参加人A33の支出について
(原告らの主張)
A33は,平成18年5月から平成19年3月分までの各
月にQ1の賃料として月額6万5100円の合計71万6
100円を有限会社Q2に対して支払い,これを事務所費と
して政務調査費から支出した。
前記ケで述べたとおり,議員の個人事務所での活動には政
務調査活動以外の活動が混在しているので,事務所に係る経
費には目的外支出が混在していると推認されるが,その割合
を特定することは困難であるので,前記総論で述べたとお
り,その5割である35万8050円は目的外支出に当たる
というべきである。
(被告及びA33の主張)
議員が自宅に閉じこもっていれば,地域社会への目配りを
欠くこととなり,政策の立案,提言,審査活動への支障とな
りかねないので,個人事務所の設置は,議員活動にとって不
可欠なものである。このような事務所の多岐にわたる機能,
目的のために,当該事務所の家賃の支払は政務調査活動に必
要な支出であり,これを事務内容別に区分して按分で支出す
ることも不可能である。
また,上記支出は,領収書の「H18.5月-H19.3
月分」との記載が,本件使途基準の事務所費に当たる支出と
して本件取扱に例示されている「事務所賃借料,共益費等」
に該当し適法である上,前記総論で述べたとおり,原告らの
主張から上記支出に目的外支出が混在していると推認する
ことはできず,按分して支出すべきという根拠もない。
第3当裁判所の判断
1総論
⑴政務調査費の性質と違法支出の判断枠組みについて
ア法100条13項は,普通地方公共団体は,条例の定める
ところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要
な経費の一部として,その議会の会派又は議員に対し,政務
調査費を交付することができると規定し,これに基づき制定
されている本件条例は,政務調査費の交付を受けた会派等
は,政務調査費を使途基準に従って使用するものとし,市政
に関する調査研究のため必要な経費以外のものに充てては
ならないと定めた上(8条),会派の代表者及び交付対象議
員に対し,その年度において交付を受けた政務調査費の総額
から,当該会派等がその年度において市政の調査研究に資す
るため必要な経費として支出した総額を控除して残余があ
る場合は,これを速やかに市長に返還しなければならないも
のとしている(13条)。
以上のとおり,政務調査費が使途を限定して交付される公
金であり,残余金があればこれを返還しなければならないこ
とに鑑みれば,本件条例に基づき政務調査費の交付を受けた
会派等が,当該年度において交付を受けた政務調査費を市政
の調査研究に資するため必要な経費以外のもの(目的外支
出)に充てた場合には,当該会派等は,目的外支出相当額に
ついて,福岡市に対し,不当利得返還債務を負うものと解さ
れる。
イそして,法100条13項が政務調査費の交付の対象,額
及び交付の方法を条例で定めることとしていること,福岡市
において本件条例,本件規程が制定されて本件使途基準が定
められていることに鑑みると,個別の支出が目的外支出に当
たるか否かの具体的判断は,当該支出が本件使途基準に合致
するか否かにより行うべきであり,後述のとおり議員の自主
性,自立性を尊重すべきであることを考慮すれば,特段不合
理であると認めるべき事情もない本件要領及び会派代表者の
合意により策定された本件取扱をも参考にすべきである。
ウそこで,本件使途基準に合致するか否かの具体的判断の枠
組みにつき検討する。
政務調査費制度は,平成12年の法改正により創設された
制度であり,その趣旨は,地方分権の推進を図るための関係
法律の整備等に関する法律の施行により,地方公共団体の自
己決定権や自己責任が拡大し,その議会の担う役割がますま
す重要なものとなってきていることに鑑み,議会の審議能力
を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図るため,議
会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を
制度化し,併せてその使途の透明性を確保しようとしたもの
である(最高裁判所平成17年(行フ)第2号同年11月1
0日第一小法廷決定・民集59巻9号2503頁参照)。
そして,議会の役割とは,地方自治体の運営に関わる審
議・議決,条例の策定,執行機関の監視など多岐にわたるも
のであるから,そのための調査研究である政務調査活動も必
然的に広範な事項にわたるものとなり,会派等がそのように
広範な役割において,十分に役割を果たすためには,会派等
の自主性,自立性が尊重されなければならない。このことは,
平成24年法律第72号による改正において,同改正前の地
方自治法100条14項(法100条13項に対応する。)
に定める「政務調査費」の名称が「政務活動費」に改められ,
交付目的が「議員の調査研究に資するため必要な経費」から
「議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費」に
改められたことにも表れている。
原告らは,前記第2の3⑴アに記載した①ないし④のよう
な一般的な判断枠組みを提示するが,上記で述べた会派等の
活動の広範さ及び会派等の自主性,自立性を尊重すべきこと
を考慮すれば,会派等の活動の性質を抽象的一般的に論じて
も当該活動が政務調査活動に当たるか否かを確定すること
はできず,結局は,ある支出が目的外支出に当たるか否かの
判断の中で,当該支出の対象となった活動の性質を個別に判
断するしかない。
エ会派や議員の活動は多面的であるから,政務調査活動とそ
れ以外の活動とが区分不可能な場合があり得るが,そのよう
な場合は,政務調査活動とそれ以外の活動が占めるそれぞれ
の割合に応じて政務調査費からの支出を認めるのが相当で
あって,このことは,平成20年4月1日に運用が開始され
た本件手引きが,「会派(議員)の活動は,本会議などの会
議に出席することは勿論,政務調査活動以外にも,政党活動,
後援会活動等と多面的であり,その境界が必ずしも明確に区
分できるとは限りません。こうした場合には,実態に合った
(政務調査活動に要した部分の時間割合や面積割合など,実
績や実情を考慮した)按分による算定方法を用います。」と
して,按分支出の考え方を取り入れたことにも表れている。
しかしながら,政務調査活動とそれ以外の活動が区分不可
能な場合といっても,特定の活動が政務調査活動としての側
面とそれ以外の活動としての側面を表裏一体的に有すると
いう場合と,政務調査活動とそれ以外の活動とが事実上混在
している場合とでは,同じく区分不可能であるとしても,こ
れに按分支出の考え方をどのように反映させるかという点
で異なる配慮が必要である(詳細は,会派控室に係る経費の
項(後記⑶ア)で論ずる。)。
なお,被告及び被告補助参加人は,平成18年度当時,福
岡市の政務調査費制度には按分支出の制度が取り入れられ
ていなかったから,区分不可能な活動に係る経費を全額政務
調査費から支出することも違法ではないと主張するが,本件
条例8条に照らせば,按分支出の制度がなくても,区分不可
能な活動の経費のうち政務調査活動以外の活動に係る部分
は政務調査費からの支出が許されないことは明らかであっ
たといえる上,議会が定める制度に不備があることによっ
て,本来違法な支出が適法な支出になるとすれば,恣意的な
制度設計を招きかねず著しく不当であるから,被告及び被告
補助参加人の上記主張には理由がない。
オ原告らは,政務調査費が補助金に当たるので,目的外支出
に当たるか否かは厳格に判断すべきであると主張するが,政
務調査費は,法100条13項を根拠として交付されるもの
であって補助金ではないので,原告らの主張は失当である。
一方,本件支出については,会派等による管理並びに議長
及び市長による確認,検査が行われているから目的外支出は
含まれていないとの被告及び被告補助参加人の主張につい
ては,本件ではまさにその管理及び確認,検査の当否が問わ
れているのであるから,理由がないことは明らかである。
また,広く後援会活動や政党活動にも政務調査費を支出す
ることが許される旨のA6の主張については,上記アで述べ
た政務調査費制度の趣旨や,政務調査費とは別に議員報酬が
支給されることなどに照らし,採用できない。
⑵主張・立証責任の所在
ア上記⑴で述べたとおり,会派等が政務調査費を目的外支出
に充てた場合には,目的外支出相当額の不当利得返還義務を
負うところ,本件は,原告らが,福岡市が相手方らに対して
不当利得返還請求権を有することを前提として,被告にその
行使を求めるものであるから,不当利得返還請求権の発生原
因事実たる具体的事実,すなわち,会派等が政務調査費を目
的外支出に充てたという事実は,本来,原告が主張立証責任
を負う。
イしかし,上記⑴ウで述べたとおり,政務調査費制度の趣旨
にはその使途の透明性の確保が含まれること,そのため法1
00条14項が収支報告書の提出を義務付けていること,本
件条例もこれを受けて会派には経理責任者を定める義務を
課した上,会派等は経理を明確に行うものとしていること
(本件条例9条1項,2項),会派の代表者及び経理責任者
並びに交付対象議員は,会計帳簿及び領収書等の証拠書類を
5年間保管するものとしていること(同12条1項),議長
は,提出された収支報告書及び領収書等の証拠書類の写しを
5年間保存するものとし,さらに上記収支報告書を何人も閲
覧できることとしていること(同14条1項,2項)などを
考慮し,他方で,福岡市の住民が領収書等の有無及び具体的
内容を逐一把握することには一定の困難が伴うことや個別
の支出の内実に関する証拠が会派等の側に偏在しているこ
となどをも併せ考えると,原告において,収支報告書に計上
された個別の支出が目的外支出であると疑うに足りる事情
について一応の主張立証をした場合には,被告及び被告補助
参加人の側において,当該支出が目的外支出ではないことを
主張立証する必要があり,的確な反論,反証をしない場合に
は,当該支出が目的外支出であることが事実上推認されると
解するべきである。
ただし,上記のとおり,本来的には原告らが個別の支出が
目的外支出であることにつき主張立証責任を負うこと,政務
調査費の使途を明らかにするに際し,政務調査活動の密行性
にも配慮する必要があることなどに照らすと,①政務調査
費に該当するとして政務調査費が支出されていること,②
会派等が,議会本会議への出席等の議会活動,政党活動及び
後援会活動等の政務調査活動以外の活動を行っていること,
③当該支出が会派等の多面的な活動の経費として支出さ
れているにもかかわらず,専ら政務調査活動に該当するとし
て政務調査費の支出がされていることという一般的な主張
立証をすれば足りると解することはできず,原告らにおい
て,個別の支出が目的外支出である又は目的外支出が含まれ
ると疑うに足りる事情について,一定の客観的資料に基づい
て合理的な主張立証をする必要があると解するのが相当で
ある。
したがって,原告らが,上記のような主張立証をした場合
には,被告及び被告補助参加人の側において,当該支出が目
的外支出ではないことを主張立証する必要があり,的確な反
論,反証をしない場合には,当該支出が目的外支出であるこ
と又は目的外支出が含まれていることが事実上推認される
ものと解する。
⑶個別の支出項目に係る争点のうち共通性の高いもの
ア会派控室に係る経費
会派等が行う活動には,たとえば純粋に市政に関する報告
の目的で街頭演説を行うという場合であっても,当該演説に
よって当該議員の知名度が上がり後々の選挙活動に役立つと
いうことがあり得る。また,調査研究活動を通じて得られた
データ等を集約し,その資料を基に会派内で政策を立案し,
また他の会派とも連携を図りながら当該政策を議案の形にま
とめ,議会での可決を目指すという活動の中で,政務調査活
動と,議会における議員活動との境界線は曖昧である。この
ように,会派等が行う活動は多面的であって,これを政務調
査活動とそれ以外の活動とに必ずしも明確に区分できるとは
限らないし,むしろ両方の側面を表裏一体的に有する場合が
ほとんどであるとすらいえる。
しかしながら,会派等の行う活動が,政務調査活動として
の側面とそれ以外の側面を表裏一体的に有するという場合,
これが政務調査活動としての側面を有するという以上は,そ
もそも,そのような活動に要する経費の一定割合を「市政に
関する調査研究のため必要な経費以外のもの」(本件条例8
条)と評価できるかについて疑問がある上,仮にこれが可能
であるとしても,その評価の在り方によっては,自主性や自
立性を尊重すべき会派等の活動に対して不当な制約を課する
結果となるおそれがある。したがって,当該活動が,その目
的や態様等に照らし,専ら政務調査活動以外の側面を有する
と評価できる場合には,「市政に関する調査研究のため必要
な経費以外のもの」として,これに係る経費全額を政務調査
費として支出することは許されないが,そのように評価する
ことができない場合には,これに係る費用全額を政務調査費
として支出することが許されるものと解するのが相当であ
る。
そして,原告らの一般的な主張からして,会派控室におい
て純粋な選挙活動など,政務調査活動以外の活動が行われて
いると推認することはできないものの,上記のような会派活
動の多面性に鑑みると,専ら政務調査活動以外の側面を有す
る活動が行われている可能性までは完全に排除することはで
きないところであるから,当事者から特段の主張立証がない
限り,その1割が目的外支出に当たるものと認めるのが相当
である。原告らは,その5割が目的外支出に当たる旨主張す
るが,按分割合が明らかでないからといって,機械的にその
5割を目的外支出と認定するのは,本来政務調査費としての
支出が認められるべきものについて広範囲に目的外支出と認
定する危険性があるので,原告の上記主張は採用できない。
また,議員の個人事務所に係る経費についても,これが議
員の政治活動の拠点であるという面があるとはいえ,議員活
動の多面性をいう原告らの一般的な主張をもって,1割を超
える部分を目的外支出に当たるものとまで推認することはで
きないから,会派控室に係る経費と取扱いを異にする必要は
ない。
イ飲食を伴う会合等の経費
政務調査活動は,前記のとおり,広範囲にわたるものであ
り,調査手法も多岐にわたると考えられるから,研究又は会
議の目的達成の上で関係者との会食等を要する場合や,当該
研究や会議を行う日時について,食事時以外の日程をとるこ
とが困難である場合等もあり得る。このような場合の飲食は,
政務調査活動に伴うものとして,議員個人が日常私的に行う
飲食とは異なる性質のものといえる。
また,本件要領は,研究研修費の主な使途項目として,「食
料費」を挙げており,上記のような場合に飲食費を政務調査
費から支出することを認めているといえる。
したがって,飲食を伴う会合であるからといって,飲食費
の部分が直ちに目的外支出となるものではなく,個々の会合
が政務調査と関係のない単なる宴会であるとか,政務調査活
動に伴う飲食として社会通念上許される限度を超えて高額で
あるなどといった事情がある場合にはじめて目的外支出に当
たるというべきである。
ウ書籍の購入費用
上記⑴で述べた政務調査費制度の趣旨に照らすと,会派及
び議員に要求される役割は多岐にわたるので,そのための調
査研究の対象も必然的に広範囲に及ぶものといえる。したが
って,一般的に,書籍が広範囲にわたる知識を得るために有
益な媒体であることに鑑みれば,およそ政務調査活動には役
立たないことが明らかな書籍を除いて,書籍の購入費用は,
政務調査費から支出することが許されるというべきである。
原告らは,政務調査費で購入することが許されるのは,調
査研究に必要な専門的知識を得るために有益な書籍に限られ
ると主張するが,上記述べたところに反するので,採用でき
ない。
また,原告らは,会派が同一の書籍を複数購入した場合に
は,1冊を超える部分が目的外支出に当たると主張するが,
会派には複数の議員が所属していることを考慮すれば,書籍
によっては複数冊必要となることもあり得るので,一般的に
1冊を超える部分が目的外支出に当たるとはいえない。
エ広報広聴費全般について
本件使途基準が広報広聴費を「市民に報告し,広報するた
めに要する経費」とし,本件要領が市議会ニュース等の広報
誌の発行経費,広報誌等の配布経費(封筒,切手等)を広報
広聴費の主な使途項目として例示していることからすれば,
政務調査活動に基づく政策や,議会での活動を広報誌等によ
って市民に報告することが,福岡市における政務調査費制度
において政務調査活動と捉えられていることは明らかであ
る。実質的にも,市民の意思を市政に反映させるためには,
市民からの意見の集約のみならず,既に集約した意見がどの
ように市政に反映されたかということや,市政における問題
点などを市民に伝えることが必要であるといえる。たしかに,
会派及び議員の活動の多面性に照らせば,市政報告等によっ
て会派及び議員の活動を紹介することが,選挙の際に役立つ
こともあり得るところではあるが,これはいわば副次的な効
果であるので,専らこれを目的として市政報告等がされてい
るなどの事情がない限り,このような側面があることのみを
理由として市政報告等の経費を目的外支出に当たるないし目
的外支出が含まれると認めることはできない。
したがって,市政報告等は,その内容に選挙活動や後援会
活動など明らかに政務調査活動でない内容が含まれていると
か,専ら選挙活動等のために行われたなどの具体的な事情が
ない限り,目的外支出に当たるないし目的外支出が含まれて
いるとは認められない。
原告らの主張は,上記述べたところに反するので,採用で
きない。
⑷被告は不当利得返還請求権の行使を怠っているといえるか
地方公共団体が有する債権の管理について定める地方自治法
240条,地方自治法施行令171条から171条の7までの
規定によれば,地方公共団体の長が,当該地方公共団体の有す
る債権を理由もなく放置することは許されないから,被告が,
不当利得返還請求権の存在に関する客観的な証拠資料を入手
し又は容易に入手し得るにもかかわらず,その行使をしないと
きは,不当利得返還請求権の行使を怠っているというべきであ
る。
そして,後述のとおり,本件支出の一部について,不当利得
返還請求権が発生することは,本訴において提出された証拠資
料から客観的に認めることができるので,被告は,少なくとも
本訴の口頭弁論終結時において,不当利得返還請求権の存在に
関する客観的な証拠資料を入手していたものといえるから,被
告は,本判決が認める限度の不当利得返還請求権について,そ
の行使を怠っているものと認められる。
⑸附帯請求について
原告らは,平成19年5月1日を起算日とする遅延損害金を
請求するよう求めている。その根拠は,本件条例11条2項が
収支報告書の提出期限を同年4月30日と定めているところ,
会派等は,同日までに残余金を返還すべきであったので,その
翌日から遅延損害金が発生するというものである。
しかし,本件条例11条2項は,収支報告書の提出期限に関
する定めであって残余金の返還期限を定めたものではないし,
ほかに残余金の返還期限を定めた規定はないばかりか,同条が
定める残余金の返還義務は,会派等が適正な支出であるとして
支出報告書に記載した金額を交付額から控除した額の返還義
務であって,目的外支出があった場合に会派等が負う不当利得
の返還義務とは性格を異にするというべきである。
したがって,上記規定等から目的外支出に係る不当利得につ
いても平成19年4月30日が弁済期であったと解すること
はできないところ,不当利得返還請求権は,期限の定めのない
債務であるから,相手方らが同年5月1日の時点で遅滞に陥っ
たというためには,同日までに福岡市が相手方らに請求した事
実が必要であるが,そのような事実の主張立証はない。また,
同日以降に相手方らが遅滞に陥ったという事実の主張立証もな
い。
よって,相手方らが遅滞に陥っているとは認められないので,
原告らは,被告に対し,相手方らに遅延損害金の支払を請求す
ることを求めることはできない。
2各論
前記のとおり,個別の支出が目的外支出に当たるかの具体的判
断においては,本件要領及び本件取扱を参考に,本件使途基準に
合致するかを判断すべきであるので,前記総論で述べたことを前
提として,個別の支出が本件使途基準に合致するかどうかにつき
検討する。
なお,特記なき限り,以下の各項目において,各項記載の金額
が政務調査費から支出されたことには争いがないか,弁論の全趣
旨から認められる。
また,個別の支出に関する当事者の主張のうち,前記総論にお
いて述べたものについては,重ねて判断を示すことはしない。
⑴A1の支出について
ア資料購入費(新聞代,本代等)30万8136円
上記支出は,資料購入費(新聞代,本代等)であるところ,
原告らは,会派控室での活動には政務調査活動以外の活動が
混在しているので,会派控室に備え置く新聞及び本等の購入
費用等には目的外支出が混在していると主張する。
しかし,新聞及び本等は,一般的に,その性質上政務調査
活動に資するものと認められるので,会派控室に備え置くと
いう事実のみからこれが政務調査活動以外に使用されたと
推認することはできず,他に目的外支出が混在していると疑
わせるに足りる事情もないので,上記支出に目的外支出が含
まれているとは認められない。
イ研究研修費
会議費68万6230円
前記総論で述べたとおり,原告らは,個別の支出が目的
外支出であるというためには,当該支出が目的外支出であ
ると疑うに足りる事情について,一定の客観的資料に基づ
いて合理的な主張立証をする必要があるところ,原告ら
は,上記支出につき,上記事情の十分な主張立証をしない
ので,これを目的外支出であると認めることはできない。
すなわち,原告らは,D1ホテルという場所及び支払金
額,領収書の記載内容からして,飲食を伴う会合が行われ
たことが推認されると主張するが,支払先が料亭等飲食を
伴わないことがおよそ想定できない場所であれば格別,支
払先がホテルであるということのみから,そこで行われた
飲食を伴う会合であったと推認することはできないし,ほ
かに飲食を伴う会合であったことを推認させるに足りる
証拠はない。そもそも,前記総論で述べたとおり,研究研
修費として飲食費を支出することが直ちに目的外支出に
当たるわけではないので,原告らは,個々の会合が政務調
査と関係のない単なる宴会であるとか,政務調査活動に伴
う飲食として社会通念上許される限度を超えて高額であ
るなどといった,政務調査活動に伴う飲食として許される
範囲を超えるものであるとの事情につき主張立証すべき
であるが,これをしないので,上記支出に目的外支出が含
まれると認めることはできない。
なお,原告らは,会派の会合には,会派内の懇親等の政
務調査活動以外の活動が混在しているとも主張するが,上
記支出にそのような会合が含まれているという具体的な
事情の主張立証はない。
したがって,原告らの主張は採用できず,上記支出が目
的外支出であると認めることはできない。
会議費等10万1025円
上記支出に目的外支出が混在していると認めるに足り
る事情はない。
原告らは,これらは支出金額等から飲食を伴う会合のも
のであることが明らかであり,政務調査活動以外の活動の
経費が混入していると主張するが,原告らは,具体的に
個々の支出につき支払先,金額及び当該会議の目的等飲食
を伴う会合のものであることという根拠につき主張立証
することなく,単に,会議費等につき一律に支出金額等か
ら飲食を伴う会合のものであることが明らかであると主
張するのみであって,なぜ目的外支出が含まれると推認さ
れるのか根拠を明らかにしないばかりか,飲食を伴うから
といって直ちに目的外支出に当たるとはいえないことは
総論で述べたとおりであるので,原告らの主張は採用でき
ない。
よって,上記支出につき,目的外支出が混在していると
認めることはできない。
役員会等食事代76万6128円
a朝食会の食事代4万8030円
A1は,平成18年7月31日,同年11月21日,
平成19年1月22日,同月25日,同年2月25日に
行われた会派の朝食会の費用として,それぞれ8280
円,1万1999円,1万0150円,1万0857円,
6744円の合計4万8030円を研究研修費として
政務調査費から支出したものと認められるところ(弁論
の全趣旨),原告らは,単に飲食費であることから直ち
に目的外支出に当たるとのみ主張するが,会議等に伴う
飲食費が直ちに目的外支出にあたるとはいえないこと
は前記総論で述べたとおりであるので,原告らの主張の
みからこれらが目的外支出であると認めることはでき
ない。
bその余の支出71万8098円
A1は,平成18年5月30日から平成19年3月2
日までの間に,研究研修費(役員会等食事代)として7
1万8098円を政務調査費から支出した。原告らは,
これらが食事をとりながら政務調査活動を行ったもの
ではないと主張するが,その根拠は明らかでなく,また,
飲食費であるからといって直ちに目的外支出に当たる
わけではないことは前述のとおりであるから,上記支出
が目的外支出であるとは認められない。
議会開催日の昼食代金104万4045円
上記支出は,議会開催日の昼食代金であるところ,議会
開催日の昼食時に特に政務調査活動を行う必要があった
などの事情の主張はないので,これは議会参加のための経
費と認められるが,政務調査費は,議会の審議能力を高め
るために会派等の調査研究の基盤を強化するためのもの
であって,議会での審議そのものの経費に充てることを予
定していないのであるから,議会参加のための経費である
議会開催日の昼食代金を政務調査費から支出することは
目的外支出に当たる。
よって,上記支出は全額目的外支出に当たる。
ウ広報広聴費(切手代)1084万1280円
政務調査費は,調査研究に資するため必要な経費に充て
られるものであって(法100条13項,本件条例1条),
剰余金は返還することが予定されていること(本件条例1
3条)からすれば,調査研究に要した実費のみ政務調査費
からの支出が許されるところ,政務調査費の使途の透明性
を確保するという制度趣旨や,切手は,その性質上換金が
極めて容易であることなどに照らすと,会派等は,切手を
大量に購入する場合には,どのような目的にいくらに当た
る切手を使用したかが明確になるよう,適切な管理を行わ
なければならない。
また,大量の郵便物を発送する場合,料金別納郵便を利
用するのが通常であるという原告らの主張の当否は措く
としても,あらかじめ購入した切手を使用して料金別納郵
便の支払をすることに必然性はないし,このような取扱い
を許すならば,切手購入に係る領収書と料金別納郵便の支
払の際の領収書を使用することによる政務調査費の二重
取りの危険が生じるので,より厳格な管理を要するという
べきである。
してみると,切手を大量に購入する場合には,管理者を
定めて一律に管理した上,使用の際には使用目的と使用枚
数を記録に残すなどの厳格な管理が求められるべきであ
るし,特に,将来料金別納郵便の支払に充てる目的で切手
を大量購入するという場合には,大量購入した切手が最終
的にどのような目的で使用されたかを,事後的な検証が可
能な程度に明らかにしておく必要があるというべきであ
る。
したがって,切手の購入費については,原告らが大量購
入の事実を主張立証すれば,被告及び被告補助参加人にお
いて,購入した切手について適切な管理をしていたことな
いし当該切手がいつどのような目的で使用されたかとい
うことについて反証を行うべきであり,的確な反証がない
場合には,当該支出には目的外支出が混在すると推認され
ると解するべきである。
上記支出は,いずれも10万円を超える大量購入(1回
のみ6万1280円。)であることから,郵便物に直接貼
付するのではなく将来の支払に備えて購入しているもの
も含まれていると推認されるところ,被告及びA1から,
当該切手がいつどのような目的で使用されたか及び切手
の管理に関する具体的主張はなく,目的外支出が含まれる
と推認されるが,その割合を特定することはできないの
で,上記支出のうち5割である542万0640円は目的
外支出に当たると認めるのが相当である。
なお,原告らの,広報費全体と表記の支出との差額に基
づく主張及び市議会議員選挙目前の時期であるとの主張
については,合理的な根拠があるとは認められない。また,
上記述べたところに反する被告及びA1の主張は採用で
きない。
エ補助員等雇用費
アルバイト代3万7640円
上記支出は,A1が雇用し,会派控室での業務に従事し
た補助員に対して支払うアルバイト代であるから,前記1
総論の⑶アで述べたとおり,その1割である3764円が
目的外支出に当たるものと認定するのが相当である。
議会開催時のアルバイト代4万6250円
上記支出は,平成18年6月29日から同年9月8日ま
での間の補助員等雇用費(議会開催時のアルバイト代)で
あるところ,上記支出に係るアルバイトは議会開催時の臨
時的雇用であることから,当該被用者らは議会参加時の業
務のために雇用され,当該業務に従事したものと推認され
るので,これは議会参加のための経費であると認められ
る。議会参加の経費が目的外支出に当たることは前述イ
で述べたとおりであるので,上記支出は,全額目的外支出
に当たる。
オ調査旅費
タクシー代等の移動経費及びその支払手数料12万
1455円
上記支出につき,目的外支出が混在すると推認するに足
りる事情はない。
原告らは,これが会派で使用するタクシー代等の交通費
であるが,会派は,通常,政務調査活動以外の活動をも行
うものであるのに,そのような活動に係る経費が区分して
支出されていないので,目的外支出が混在していると主張
する。
たしかに,一般論としては,会派等の活動には多面性が
あるといえるが,そうであるとしても,およそ会派等は,
移動目的を考慮せずに政務調査活動以外の活動に係る交
通費を全て政務調査費から支出しているものであり,それ
が常態であるということはできないから,当該会派が移動
の目的にかかわらず全ての交通費を政務調査費から支出
しているとか,個別の移動の目的が政務調査活動以外の活
動であったと疑わせるに足りる具体的事情が認められな
い限り,上記一般論のみから直ちに,上記支出に目的外支
出が混在していると推認することはできない。
上記支出に係る移動につき,上記具体的事情の主張立証
はないので,上記支出に目的外支出が混在していると認め
ることはできない。
なお,原告らは,平成19年1月29日の交通費10万
2800円の支出が高額であるので,政務調査活動以外の
活動の経費が混在すると推認されると主張するが,平成1
9年当時,A1には複数の議員が所属していたこと,交通
手段によっては1人当たりの交通費が数万円かかること
も稀ではないことに照らせば,必ずしも高額であるとはい
えず,このことのみから目的外支出が混在していると推認
することはできないので,原告らの上記主張は失当であ
る。
北九州視察日当4万2900円
上記支出は,平成18年6月26日にA1が北九州視察
を行った際に,調査旅費(北九州視察日当)として,1人
当たり3300円の13名分合計4万2900円を支出
し,北九州市D2区D3別館での食事代金に充てたもので
あるところ,前記総論で述べたとおり,研究研修に伴う飲
食費の支出が直ちに目的外支出となるわけではないが,上
記の食事代金は,調査旅費として支出されているために食
事と政務調査費の関係が不明であり,飲食費が一般的に政
務調査費から支出することが当然に許される性質の費用
ではないことからすれば,目的外支出であると推認される
ので,この食事の際に政務調査活動たる研究研修及び会議
等が行われたなど,当該食事代金を政務調査費から支出す
ることを正当化する事情がない限り,政務調査活動に係る
経費とは認められない。本件取扱も,研究研修費の項目に
おいては「食料費」を列挙している一方,調査旅費の項目
においてはこれに対応するものを列挙していないのであ
り,福岡市の政務調査費制度は,調査旅費としては,通常,
交通費及び宿泊費を想定しており,移動の際の飲食費を政
務調査費から支出することを予定していないものといえ
る。もちろん,調査旅費による移動後に,移動先で飲食を
伴う研究研修に参加したという場合には,それが研究研修
費として支出を許される限りにおいて,政務調査費から支
出することが可能であるが,本件要領3条3号が研究研修
費につき関係書類の作成,整理及び保管を義務付けて,事
後的な検証を可能にしていることを考慮すれば,上記のよ
うな場合にも,当該飲食費は調査旅費ではなく研究研修費
として支出すべきであり,会派等は,少なくとも当該飲食
費が調査旅費以外の項目で政務調査費としての支出が許
されるべき経費に当たることについて説明をすべきであ
る。
したがって,上記支出については,A1が政務調査活動
に係る経費に当たることにつき反証すべきであるが,A1
は何ら具体的主張立証をしないので,これは全額目的外支
出に当たる。
カ諸事務費及びその他
会派控室に係る経費
a電話料金及びその支払手数料6万0198円
b事務機器購入,リース代金及びその支払手数料等3
7万2330円
c事務機器のランニングコスト等及びその支払手数料
等10万9231円
d事務用品消耗品等57万4007円
e医薬品,茶器購入費用等1万6720円
f茶菓購入費用とその支払手数料等40万5610

上記支出は,会派控室に係る諸経費であるから,前記
1総論の⑶アで述べたとおり,その1割が目的外支出に
当たるというべきである。
したがって,上記支出のうち,a6020円,b3
万7233円,c1万0923円,d5万7401
円,e1672円,f4万0561円は目的
外支出に当たると認めるのが相当である。
控室観葉植物リース代金等9万4710円
上記支出は,会派控室に置く観葉植物のリース代金であ
るところ,観葉植物は,通常政務調査活動に必要であると
はいえないので,被告及びA1は,観葉植物が政務調査活
動に必要であるとか,政務調査活動に資するという事情に
つき,反証をするか,少なくとも何らかの説明をする必要
がある。しかし,被告及びA1は,何らの説明および反証
を行わないので,当該観葉植物が政務調査活動に必要ない
し有益であったとは認めることができず,上記支出は全額
目的外支出に当たると認められる。
古紙回収費用1万3500円
上記支出は,その他(古紙回収費用)であるところ,古
紙回収そのものが政務調査活動に当たらないことはもち
ろんであるが,政務調査活動において古紙の処理が必要と
なることは容易に想定できるし,前記総論で述べた政務調
査活動の密行性に照らせば,政務調査活動に関する機密書
類を業者等に依頼して処理する必要があることも想定さ
れる。したがって,原告らが主張するように,古紙回収費
用であるというだけでは政務調査活動と関連性がないと
即断することはできず,政務調査とは全く関係のない書類
についての回収費用であることを疑わせる事情などがな
い限り,目的外支出であると推認することはできない。
よって,上記支出を目的外支出であると認めることはで
きない。
キまとめ
以上より,A1の支出のうち,680万6119円は,目
的外支出に当たると認められるので,A1は,被告に対し,
同額の不当利得返還義務を負う。
⑵A2の支出について
ア資料作成費(カメラ代,コピー使用料,紙代,紙代振込料)
62万1913円
上記支出のうち62万0098円は,A2が会派控室に
備え置いたコピー機を使用したことに伴う支出であるか
ら,前記1総論の⑶アで述べたとおり,その1割が目的外
支出に当たるというべきである。
この点,被告及びA2は,A2が選挙活動,党務活動等
はA2福岡県本部で行っていた旨及び原告らが主張する
政務調査活動以外の活動が政務調査活動に当たる旨主張
するが,コピー機の性質上,ひとたび備え置かれれば多様
な用途に使用することができること,議員の活動は多面性
を有することなどに鑑みれば,単に政務調査活動以外の活
動は会派控室以外の場所で行っていたと主張するのみで
は足りず,たとえば会派が会派控室の備品が政務調査活動
のみに使用されていることを確認できるように管理して
いたなどの事情が必要であるというべきである。
したがって,被告及びA2の反論によって上記推認を覆
すことはできないので,上記支出の1割である6万201
0円は目的外支出に当たると認めるのが相当である。
上記支出のうち1815円は,弁論の全趣旨からレンズ
付きフィルムの購入費用であると認められるが,政務調査
活動において,レンズ付きフィルムが必要になることは通
常想定されるので,上記支出に目的外支出が含まれるとは
推認できない。
イ資料購入費
資料代,時刻表代,書籍代20万2051円
A2は,別紙7「書籍一覧表(A2)」の「日付」欄記
載の各日に,同「書籍名」欄記載の各書籍を購入するため,
同「支出額」欄記載の各金額を資料購入費として上記支出
をしたものである。
前記総論で述べたとおり,書籍の一般的性質に照らせ
ば,およそ政務調査活動には役立たないことが明らかな書
籍の購入費用を除いて,書籍の購入費は目的外支出に当た
らないというべきであるが,原告らの主張によっても,こ
れら書籍がおよそ政務調査活動に役立たないということ
はできないので,上記支出が目的外支出に当たると認める
ことはできない。
その他の書籍代22万2612円
a上記支出のうち,7771円は,これによって購入し
た書籍名が明らかでない。
この点,前記総論で述べたとおり,政務調査費制度の
趣旨には,その使途の透明性の確保も含まれること,法
100条13項を受けた本件条例等が会派等に収支報
告書の提出及び証拠書類等の保管等を義務付けて,政務
調査費の使途を事後的に検証できるようにしているこ
と,本件要領においても,会派等に対して資料購入費を
支出した時は,購入した資料を整理,保管することを義
務付けていること(本件要領3条2号)などに鑑みれば,
書籍名が明らかでない支出は,全額が目的外支出に当た
るというべきである。
被告及びA2は,支出一覧表を作成した時点で確認が
困難になっていたにすぎない旨主張するが,本訴が平成
19年12月28日に提起されていること,本件条例
は,領収書等の証拠書類の保管期間を5年間と定めてい
ること(本件条例12条1項)を考慮すれば,支出一覧
表を作成した時点で書籍名を明らかにできないことが
やむを得ないとはいえない。
したがって,上記支出は全額目的外支出に当たる。
b上記支出のうち,aの7771円を控除した21万4
841円は,書籍名が明らかな書籍の購入費用であると
ころ,これは上記と同様,目的外支出が混在している
と推認することができない。
福岡市職員録11冊のうち10冊の購入費用1万1
000円
政務調査活動において,福岡市の行政担当者の連絡先等
が必要になることはあり得るので,上記支出に目的外支出
が混在すると認めるに足りる事情はない。
原告らは,政務調査活動との関連性が乏しいと主張する
が,上記認定を覆すに足りる具体的事情の主張立証はな
く,また,1冊を超える部分の購入費用が目的外支出に当
たると認めるに足りる具体的事情の主張立証もない。
よって,上記支出に目的外支出が含まれるとは認められ
ない。
D12新聞代,D13新聞代,D14新聞代,D15新
聞代,D16新聞代94万4574円
本件使途基準は,新聞代を資料購入費に挙げており,一
般的に新聞代は本件使途基準に合致するというべきであ
るところ,上記支出につき目的外支出が混在すると推認さ
せるべき事情はない。
原告らは,会派控室用の一般商業紙は政務調査活動との
関連性が乏しい旨主張するが,上記認定を覆すに足りる具
体的事情の主張立証はないし,また,政務調査費からの支
出が許されるのが各紙につき1部に限られるとの主張に
根拠がないことは前記総論で書籍について述べたと同様
であるので,原告らの主張は採用できない。
したがって,上記支出に目的外支出が混在するとは認め
られない。
D17代,D18代,書籍(D19)代83万543
1円
上記支出は,A2が属する政党の発行する政党雑誌及び
政党新聞等であるところ,会派等が自らの所属する政党の
政党雑誌や政党新聞を購入する場合,そこから得られる情
報が政務調査活動に役立つことがあるとしても,当該政党
に所属しているからこそ購入するという意味合いが強い
と考えられるので,他党のものも併せて購入し,比較検討
しているなどの事情がない限り,社会通念上,政党活動と
同視すべき活動に当たるというべきである。
そして,上記に述べたような事情もない以上,上記支出
は,政党活動に係る経費と認められるから,全額が目的外
支出に当たる。
D20デジタル版の購入費4万1160円
政務調査活動において,地図が必要になることも通常あ
り得ると考えられるところ,市民相談において,道路,下
水道及び河川に関する相談を受けるたびに,当該地図上に
相談を受けた箇所を記録,保存することによって地域的な
検証,検索を可能にするなどの用途で政務調査活動に使用
していたとの被告及びA2の説明に不合理な点はなく,上
記支出が目的外支出に当たると認めるに足りる事情はな
い。
原告らは,D20がその性質上政務調査活動との関連性
が乏しいとか,社会通念上,選挙活動等政務調査活動以外
の活動に供されるものと認められるなどと主張するのみ
で,上記支出に係る地図が政務調査活動以外の活動に使用
されたことを推認させるに足りる具体的な主張立証をし
ないので,上記支出が目的外支出に当たるとの主張は採
用できない。
ウ研究研修費
研究研修費として支出された自治会,子供会,同窓会等
の参加費用27万6120円
上記支出に係る会合には,別紙8「会合等一覧表①(A
2)」記載の番号1「B1校区子ども会総会会費」,番号
17「B9公民館落成式会費」等の支出が多数含まれると
ころ,子供会や公民館の落成式等は,政務調査そのものを
目的とした会合ではないので,そこで政務調査活動に役立
つ情報を得られることがあったとしても,それは極めて副
次的な効果というべきであり,専ら交際的な意味合いの強
い会合であると認められる。
一方,上記支出には,同一覧表の番号4「会費(B4研
究会)」のような支出も一部含まれるところ,これは上記
の子供会や公民館落成式とは異なり,明らかに政務調査そ
のものを目的とした会合でないとはいえないので,上記支
出には政務調査活動の経費に当たる部分とそうでない交
際費的な部分が表裏一体のものとして不可分に混在して
いるといえる。
してみると,本来的には,政務調査活動に当たると評価
し得る会合とそうでない会合を特定して,後者の経費に当
たる部分を目的外支出というべきであるが,当事者の主張
立証からは個々の会合の内容を十分に特定することはで
きず,上記支出のうち政務調査活動の経費に当たる部分が
占める割合を特定することができないので,上記支出のう
ち5割が目的外支出に当たると認めるのが相当である。
したがって,上記支出のうち,その5割である13万8
060円が目的外支出に当たる。
なお,被告及びA2は,自治会や子供会は,地域に根差
した公的な会合であり,住民と行政のパイプ役というべき
地方議員の職責を考えたときに政務調査活動の好機であ
る旨主張するが,そのような側面があるとしても,一般的
な費用の性格として,社会通念上交際費と目される場合が
多いことは否定し難いというべきであるから,上記支出に
係る会合で市政に関連を有する情報を得たことが認めら
れる(丙ホ5)としても,なお上記認定を覆すには足りな
い。
お茶代,コーヒー代,菓子代,研修教材費,勉強会食事
代,来客用コーヒー代108万1468円
a上記支出のうち,勉強会食事代56万8292円につ
いて,飲食を伴う勉強会であるというだけで,その経費
が目的外支出であるといえないことは前記総論で述べ
たとおりであり,その他に上記支出が目的外支出に当た
ると認めるべき事情もない。
bまた,上記支出のうち,研修教材費22万5000円
について,目的外支出に当たると推認させるに足りる事
情はない。原告らは,研修の内容が不明確であるので目
的外支出が混在している旨主張するが,この主張のみか
ら目的外支出が混在していると推認することはできな
い。
c一方,上記支出から上記a及びbの支出を控除した2
8万8176円については,会派控室で提供される茶菓
子等の経費であると認められるから(弁論の全趣旨),
前記総論で述べたとおり,その1割に当たる2万881
8円が目的外支出に当たると認めるのが相当である。
エ広報広聴費
プロバイダー料,ホームページ管理料54万0783

上記支出は,会派控室のインターネット接続に係るプロ
バイダー料金及びA2のホームページに係る経費である
と認められるところ(弁論の全趣旨),インターネットは,
その性質上,政務調査活動に有益であると認められるし,
ホームページについては前記総論で広報広聴費全般につ
いて述べたとおり,会派及び議員の宣伝等の効果を持つと
してもそれは副次的な効果といえるので,選挙活動や政党
活動など政務調査活動に当たらない部分が掲載されてい
ることの具体的主張立証がない限り,目的外支出が含まれ
ると推認することはできないが,原告らからそのような具
体的事情の主張立証はない。
したがって,上記支出のうち,前年度(平成18年3月
30日及び同月31日)の支出である3万6105円につ
いては目的外支出であると認められるが,その余について
は目的外支出に当たるとはいえない。
議会だより,広報誌に係る費用72万0250円
A2が発行する議会だより,広報誌に政務調査活動以外
の活動のための部分があると認めるべき事情はないので,
上記支出に目的外支出が混在しているとは認められない。
原告らは,議会だよりや広報誌の内容が会派及び議員の
活動と同様多面性を有するので,被告及びA2がその内容
が政務調査活動のみであることを立証しない以上,目的外
支出が含まれると推認される旨主張するが,前記総論で述
べたところに反するので採用できない。
広報広聴費として支出された,公民館等の落成式,公立
学校の開校記念式典等の各種会合の参加費用22万4
500円
前記ウで述べたのと同様,上記支出のうち,その5割
である11万2250円は目的外支出に当たると認める
のが相当である。
各種会議費126万2095円
本件使途基準が,広報広聴費として「市民に対して行う,
市政及び政策等に対する要望や意見等を聴取するための
会議の開催…に要する経費」を挙げていることからすれ
ば,会議費の支出が目的外支出に当たるというためには,
原告らにおいて当該支出に係る会議が政務調査活動とは
関連性がなく,当該支出に目的外支出が含まれると疑わせ
るに足りる具体的な事情を,一定の客観的資料に基づいて
主張立証すべきであるが,そのような主張立証はない。
したがって,上記支出に目的外支出が含まれるとは認め
られない。
市民相談に係る費用892万3798円
a市民相談は,市民個人の相談の解決の端緒という面を
有するとしても,市民から直接市政に関する情報を得ら
れる好機であり,会派等が市政に関する調査研究に用い
る手段の選択には裁量があるといえる上,本件使途基準
においても,広報広聴費として「市政相談等に要する経
費」が挙げられているので,市民相談が政務調査活動に
当たらないということはできない。ある会派等が行う市
民相談が市政に結び付いているか否かという点は,政治
的な責任の問題であるというべきである。
したがって,市民相談の費用であるというだけでは,
目的外支出に当たるとはいえない。
bしかし,市民相談に係る経費を政務調査活動から支出
することができるとしても,その費用を市民相談に従事
した議員に対して一律に支給することの当否はまた別
論であって,これが一般的な経費として相当な金額の範
囲内にあると認められる場合に,はじめて政務調査費か
らこれを支出することが許されるというべきであるが,
本件において経費として支給された金額は,市民相談に
従事した回数の3割に当たる件数について1件当たり
1500円であり(弁論の全趣旨),同金額は,上記相
当な金額の範囲内にあると認められるから,これら支出
が目的外支出であるということはできない。
部屋当番費用115万2000円
上記支出は,市民相談のために会派控室に待機させた議
員に対する日額3000円の支払に係る支出であると認
められるところ(弁論の全趣旨),その支出目的及び支出
金額に照らし,このような一律支給は,その全額が目的外
支出に当たるというべきである。
オ調査旅費
会議出席に係るタクシー代,バス代,地下鉄代,運転代
行代金,高速道路使用料,駐車場使用料,通行料,勉強会
食事代,D22まちづくり講座に係る費用
aD22まちづくり講座に係る費用3000円
上記支出は,本来,研究研修費ないし広報広聴費とし
て支出されるべきであるにもかかわらず調査旅費とし
て支出されていることがうかがわれるが,その支出内容
からして,研究研修費ないし広報広聴費としての支出が
認められる蓋然性が高いと考えられるから,上記支出が
目的外支出に当たるいうことはできない。
bその余の支出144万9890円
その余の支出について,目的外支出が混在すると推認
させるに足りる事情はなく,原告らの主張が採用できな
いことは前記⑴オでA1の調査旅費について述べた
のと同様である。
c以上より,上記支出に目的外支出が混在しているとは
認められない。
市民相談に係るタクシー代,都市高速道路使用料,バス
カード代,フィルム現像代,通行料,茶菓子代,駐車場使
用料187万0972円
aフィルム現像代,茶菓子代
上記aで述べたと同様,上記支出も調査旅費として
の支出は適切でないが,このことのみをもって目的外支
出に当たるとはいえない。
bその余の支出
その余の支出に目的外支出が混在すると推認させる
に足りる事情はない。
原告らは,上記支出が市民相談に係る交通費であるこ
とから,目的外支出に当たる旨主張するが,市民相談の
経費であることのみから目的外支出に当たるといえな
いことは,上記エで述べたとおりである。
c以上より,上記支出に目的外支出が混在しているとは
認められない。
タクシーチケット代,プリペイドカード代,都市高速回
数券代139万6900円
上記支出につき目的外支出が混在すると推認するに足
りる事情はない。議員の活動の多面性から,上記支出に目
的外支出が混在することが推認されるとの原告らの主張
が採用できないことは,前記⑴オでA1の調査旅費につ
いて述べたとおりである。
菓子代12万1966円
a本件使途基準の調査旅費の項目及び本件要領等をみ
ても,調査旅費に食料費等は挙げられていないので,菓
子代は,本来調査旅費が想定する支出ではなく,上記支
出は,本来,他の項目の費用として支出されるべきであ
ることがうかがわれるところ,使途の透明性の確保とい
う政務調査費の制度趣旨も考慮すれば,被告及びA2が
政務調査費から支出することが許される事情について
主張立証すべきである。
bそして,上記支出は,会派控室で来客に提供された茶
菓子の購入費用であると認められるから(弁論の全趣
旨),前記総論で述べたとおり,そのうち1割に当たる
1万2197円が目的外支出に当たると認めるのが相
当である。
カ諸事務費
文具,ブックスタンド,製本機,紙折機,パソコン,文
具書棚の購入費111万9666円
上記支出に係る物品は,いずれも政務調査活動のために
使用され得るものであり,この購入費が目的外支出に当た
ると推認するに足りる事情もないので,目的外支出には当
たらない。
この点,原告らは,上記支出について,物品の購入時期
が年度末に集中しているので予算消化目的と推認できる
とか,購入した物品が政務調査活動に必要であるとはいえ
ないなどと主張するが,同一の物品を必要と考えられる数
量を超えて購入しているなどの事情もないので,年度末に
集中しているといえるか疑問であり,年度末の購入である
ことのみをもって目的外支出に当たるとはいえない。ま
た,上記支出に係る物品が政務調査活動に必要ないとの主
張は,上記認定に反し採用できない。
また,原告らは,A2の備品購入費が高額に過ぎるので,
目的外支出に当たる旨主張するが,特定の物品を購入する
際に,政務調査活動に必要な範囲を超えて,社会通念上不
相当と考えられるような高価な物品を購入しているとい
うような具体的事情があれば格別,上記支出についてその
ような具体的事情は認められないので,原告らの主張は採
用できない。
したがって,上記支出に目的外支出が含まれるとは認め
られない。
ファックス通信料,NHK受信料,インターネット接続
料,コピートナー代,コピー機リース代,コピー代,パソ
コンのメンテナンス料金,プリンターの補償代金,プロバ
イダー料,ページセッターの修理代金,印刷代,議会だよ
り及び市政報告会案内状の発送費用,市政報告会のための
パネル作成料,市政報告会横断幕作成費用,写真撮影料,
自動車の借上費用,送料,地域福祉を考える会会費,資料
代,入場料,事務用品及び括弧内の物品の購入費用(シロ
ップ,スープ,デジタルカメラ,ノート,はがき,パソコ
ン用インク,便箋,ファックス用インク,プリンター,会
議録再生のためのプレイヤー,携帯電話のアダプター,災
害用携帯ラジオ,市政報告会用放送備品,視察用備品,図
書カード,切手,茶菓子,電池,備品)472万980
7円
上記支出に含まれるのは,大別すると,①会派控室の
ファックス通信料,NHK受信料,コピー機リース代,茶
菓子代,事務用品代,備品代,②所属議員の自宅事務所
のインターネット接続料,プロバイダー料,パソコンメン
テナンス料等のパソコン関連経費,茶菓子代,事務用品代,
備品代,ガス代,電話代,③D23議員の政務調査事務
所におけるファックス通信料,④郵送費,⑤コピー代,
写真代,⑥車借上料,⑦入場料,⑧駐車場代である
と認められる(弁論の全趣旨)。
このうち,上記①の支出は,会派控室に係る経費であり,
これに目的外支出が混在すると推認されることは前記総
論で述べたとおりであるし,上記②及び上記③の所属議員
の自宅事務所に係る経費についても,議員の活動の多面性
に照らせば,議員個人の事務所においても会派控室と同様
多面性を有する活動が行われるのが通常であると認めら
れるので,②にも目的外支出が混在すると推認できる。ま
た,⑤のコピー代についても,会派控室のコピーに係る経
費との区別はされておらず,目的外支出が混在している疑
いがある。
上記⑥の車借上料については,A2の所属議員に対し
て,自家用車を政務調査活動に使用していることから月額
3万円の車借上料を支給したものであると認められるが
(弁論の全趣旨),具体的に所属議員がどの程度自家用車
を政務調査活動に使用していたかは明らかでなく,また,
その金額や支給方法についても,上記エで述べたとお
り,一律支給の方法をとる場合には,一律支給によること
に合理性がなければならないが,被告及びA2は,一般的
な車両リース代及び民間企業における車両借上費に照ら
して月額3万円とした旨主張するのみで,一律に車借上料
を支給することの合理性につき十分な説明がされている
とは必ずしもいい難い。
さらに,上記⑦及び上記⑧の支出は,本来,それぞれ研
究研修費及び調査旅費として計上されるべき支出である
ことがうかがわれるが,諸事務費として計上されており,
目的外支出と推認する余地がある。
以上に述べたことに照らすと,上記支出については,会
派控室に係る経費に準じて,そのうち1割に当たる47万
2981円が目的外支出に当たると認めるのが相当であ
る。
なお,被告及びA2は,議員の事務所に係る経費を按分
している旨主張するが,これを裏付ける証拠はないし,そ
の余の被告及びA2の主張によっても,上記認定は覆らな
い。
花代7万円
花は,一般的に政務調査活動に必要であるとはいえない
ので,被告及びA2が,花がA2の政務調査活動に必要で
あるとの事情につき合理的な説明をしない限り,目的外支
出であると推認されるというべきである。
この点,被告及びA2は,政務調査活動においては様々
な来客があるので,来客時に和やかな雰囲気の中で活動を
行うために花を飾る必要があった旨主張するが,社会通念
に照らして,花があることが和やかな雰囲気作りに役立つ
ことがあるとしても,それが政務調査活動を行う上で必要
であるとまではいえないので,会派控室に飾る花の購入費
用を政務調査費から支出することは相当でない。
したがって,A2の政務調査活動に特に花が必要であっ
たとの事情はないので,上記支出は目的外支出であると認
められる。
キまとめ
以上より,A2の支出のうち,292万7622円は,目
的外支出に当たると認められるので,A2は,被告に対し,
同額の不当利得返還義務を負う。
⑶A3の支出について
ア資料作成費(市政報告印刷代,市政報告会案内葉書印刷代)
105万6175円
A3が発行した市政報告及びA3が行った市政報告会に
政務調査活動以外の活動のための部分があると認めるべき
事情はないので,上記支出に目的外支出が混在しているとは
認められない。
原告らは,市政報告及び市政報告会は,所属議員の活動実
績の宣伝を含むものであって,会派及び議員の活動と同様多
面性を有するので,目的外支出が含まれると主張するが,前
記総論⑶エで述べたところに反するので採用できない。
また,原告らは,A3の市政報告には政務調査活動に基づ
かない議会での活動報告や市の事業の紹介など,市政の調査
研究とはいえない内容が半分以上を占めていると主張する
が,議会での活動報告や市の事業の紹介などが直ちに政務調
査活動に当たらないとはいえないことは前記総論⑶エで述
べたとおりであり,他に特定の記載が政務調査活動以外の選
挙活動や後援会活動等に当たるといった具体的主張もない
ので,原告らの主張は採用できない。
イ資料購入費
書籍代46万5934円
A3が購入した書籍のうち,81冊については,「C5
8」,「C59」等の書籍名が明らかにされている(丙ニ
17。なお,これらの書籍名が上記支出に係る書籍である
ことは原告らも明示的に争っていない。)ところ,上記支
出は,110回にわたる支出であり(弁論の全趣旨),1
回につき1冊の購入とは限らないことも考慮すれば,書籍
名が明らかにされていない書籍が相当数存在することは
明らかである。書籍名が明らかにされない場合に,当該書
籍の購入費用が目的外支出に当たることは,前記⑵イで
A2の書籍代について述べたのと同様であるので,上記支
出には目的外支出が混在しているが,A3の説明によって
も個別の支出と書籍名が明らかにされている書籍の関連
性が明らかではないので,その金額を特定することはでき
ない。
したがって,上記支出の5割である23万2967円が
目的外支出に当たると認めるのが相当であるが,そのうち
原告らが目的外支出であると主張する23万2946円
の限度で目的外支出であると認める。
会派控室用の新聞代9万4200円
会派控室用の新聞代に目的外支出が混在するとは認め
られないことは,前記⑵イでA2の新聞代について述べ
たのと同様である。
職員録の購入費2万3100円
職員録の購入費に目的外支出が混在すると認められな
いことは,前記⑵イでA2の支出について述べたのと同
様である。
D20代13万6710円
政務調査活動において,地図が必要になることも通常あ
り得ると考えられるところ,地域政策や環境政策を検討す
る際の資料として使用していたとの被告及びA3の説明
に不合理な点はなく,上記支出が目的外支出に当たると認
めるに足りる事情はないし,原告らの主張が採用できない
ことは前記⑵イでA2の支出について述べたのと同様
である。
ウ研究研修費
委託費,会場費44万6000円
上記支出は,A3の所属議員が平成18年夏と冬の2
回,一般市民を対象とする市政報告会を開催した際に,会
場設営等の企画等を委託した際の支出であり,具体的には
市政報告に係る会報の企画,作成及び配布業務の委託費,
市政報告会の案内状の配布業務の委託費並びに会場費(清
掃費及び備品代)であると認められる。
市民に対する市政報告会は,それが専ら選挙活動等のた
めに開催されたなどの事情がない限り,政務調査活動に当
たる広報広聴活動であることは前記総論で述べたとおり
であるが,上記支出は,その経費であると認められ,目的
外支出であることを推認させる事情もない。
この点,原告らは,配布業務等の個人への委託は,本件
使途基準の広報広聴費に該当する支出として本件取扱が
例示する「大学や民間調査機関等への調査委託」に該当し
ない旨主張するが,そうであるからといって直ちに上記支
出が目的外支出に当たるというわけではない。
ホームページ更新料,情報処理料等59万0600円
ホームページは,通常情報の発信のためのものであるの
で,上記支出は本来広報広聴費として計上すべきことがう
かがわれ,被告及びA3において,上記支出が政務調査費
から支出することが許される支出に当たることを主張立
証する必要があることは,前記⑴オでA1の支出につき
述べたのと同様であるが,ホームページが一般的に政務調
査活動としての広報のために有益なものであることを考
慮すれば,ホームページに係る経費であることで上記主張
立証としては足りると解される。そして,上記支出に目的
外支出が含まれていると推認できないことは,前記⑵エ
でA2の支出について述べたのと同様であるので,被告及
びA3の主張立証を検討するまでもなく,上記支出に目的
外支出が含まれるとは認められない。
ソフトボール大会会費5000円
ソフトボール大会は,専ら政務調査活動のために行われ
るとは認められず,その機会に市政に関する情報を得られ
ることがあったとしても,それは副次的な効果にすぎない
といえる。よって,上記支出は,全額目的外支出に当たる。
市政報告資料配布料39万5574円
A3の市政報告資料に政務調査活動以外の活動のため
の部分があると認めるべき事情はないので,上記支出に目
的外支出が混在しているとは認められない。
勉強会,研究会の参加費,会費等9万0643円
前記⑵エでA2の各種会議費について述べたのと同
様に,一般的に研究研修費として想定される支出項目であ
る勉強会,研究会の参加費,会費等が目的外支出に当たる
というためには,原告らにおいて当該支出に係る会議が政
務調査活動とは関連性がなく,当該支出に目的外支出が含
まれると疑わせるに足りる具体的な事情を,一定の客観的
資料に基づいて主張立証すべきであるが,上記支出につい
てそのような主張立証はない。
したがって,被告及びA3の主張を検討するまでもな
く,上記支出に目的外支出が含まれるとは認められない。
エ広報広聴費(市政報告資料作業代,市政報告資料作成費,
市政報告資料制作費,市政報告資料整理代,市政報告資料配
布料,市政報告資料発送準備代,市政報告発送準備・シール
貼り・袋詰め代,市政報告封筒シール貼り代,パソコンタッ
クシール操作料)489万0354円
A3が行った市政報告に政務調査活動以外の活動のため
の部分があると認めるべき事情はないので,上記支出に目的
外支出が混在しているとは認められない。
原告らは,会派及び議員の活動の多面性に照らせば,市政
報告にも政務調査活動以外の活動が混在しており,被告及び
A3がその内容が政務調査活動のみであることを立証しな
い以上,目的外支出が含まれると推認される旨主張するが,
前記総論で述べたところに反するので採用できない。
オ補助員等雇用費
制服代17万5770円
上記支出がA3の会派控室等においてA3の活動に従
事する補助員を雇用するための経費に当たることには特
段の争いがないところ,会派控室での活動に従事した補
助員は,政務調査活動以外の側面を有する活動にも従事
したものと認められることは,前記⑴エでA1の補助
員等雇用費について述べたのと同様であり,被告及びA
3からこれを覆すに足りる反証はないので,上記支出に
も目的外支出が混在していると推認されるが,その割合
を特定することはできないので,上記支出の1割である
1万7577円が目的外支出に当たると認めるのが相当
である。
補助員賃金4万6500円
上記支出についても,上記と同様,その1割である4
650円が目的外支出に当たると認めるのが相当である。
カ調査旅費
fカード代,JR券,JR乗車券代,タクシー代,駐車
場代,都市高速道路回数券代,都市高速道路代,渡船代,
有料道路代,よかネットカード代,ワイワイカード代,西
九州道路代,E3カード代等165万0054円
上記支出につき目的外支出が混在すると推認するに足
りる事情はない。議員の活動の多面性から,上記支出に目
的外支出が混在することが推認されるとの原告らの主張
が採用できないことは,前記⑴オでA1の調査旅費につ
いて述べたのと同様である。
出張における日当8万4350円
前記⑵エで述べたとおり,日当として一律の額を支給
するという場合には,それが一般的な経費として相当な金
額の範囲内にあることを被告及びA3が主張立証しなけ
ればならないと解されるところ,被告及びA3は,上記支
出について,どのような出張に対していくらの日当を支払
ったのかなどの具体的な算定方法を明らかにしない。
したがって,上記支出について日当を支払う合理性は認
められないので,上記支出は全額が目的外支出に当たると
認められる。
キ諸事務費
切手代,葉書代996万円
大量の切手及び葉書の購入費用について,その5割が目
的外支出に当たると推認できることは,前記⑴ウでA1の
切手代について述べたのと同様であるから,上記支出のう
ち498万円は目的外支出に当たる。
なお,被告及びA3は,例えば,平成18年7月5日付
けの切手代9万円の支出は,A3所属のA35の「E4平
成18年7月号」の郵送費に充てられたものであるが,こ
のことは,同支出と平成18年7月31日付けの「市政報
告印刷代(E47月号)」との標目での4万2000円の
支出,「市政報告ポスティング代(E47月号)」との標
目での1万円の支出等及び平成18年8月15日付けの
「市政報告郵便代」との標目での支出とのように,切手代
と印刷代及び配布に係る経費を関連付けることによって,
上記支出に係る切手が政務調査活動に使用されたことが
明らかになる旨主張するが,上記の切手購入と印刷代等の
支出との間には,1か月弱から1か月以上の間隔があり,
その関連性は明らかでないし,被告及びA3の説明によっ
てこれらを関連付けることもできない。よって,被告及び
A3の上記主張から,上記支出に係る切手が政務調査活動
に使用されたものと認めることもできない。
会派控室等に係る経費
aパソコンその他,事務用品,プリンター,パソコン周
辺機器,ラベル,紙折り機,レーザープリンター,ノー
トパソコン購入費249万8179円
bE5インターネット利用料,NHK受信料,NTT電
話料金,PCケーブル代,PCソフト代,USBメモリ
代,飲料代,ウイルスバスター更新料,切手代,コーヒ
ー豆代,コピー機使用料,コピー代,市政報告郵便代,
事務用品代,写真代,デジカメ代,デジカメプリント代,
デジカメメモリーカード代,葉書交換手数料,葉書代,
パソコン部品一式代,パソコン備品代,パソコン保守契
約代,パネル代,備品代,フィルム代,プログラム変更・
コピートナー代,郵便代,ラミネート加工代,往復葉書
代,市政報告葉書代,市政報告資料配布料,市政報告切
手代,市政勉強会案内葉書代,紙折機代,資料作成のた
めのコピー機リース料,資料郵送代,D12新聞記事デ
ータベース料,電池代,文具代359万5834円
上記各支出がA3の会派控室又は所属議員の事務所に
係る経費であることに争いはないから,その1割の部分,
すなわち,a24万9818円,b35万9583円
は目的外支出に当たると認めるのが相当である。
クまとめ
以上より,A3の支出のうち,593万3954円は,目
的外支出に当たると認められるので,A3は,被告に対し,
同額の不当利得返還義務を負う。
⑷A4の支出について
ア資料作成費
名刺印刷代21万9000円
名刺は,一般的に様々な用途に使用されるものであり,
特に政務調査活動に有益であるとの事情もないので,政務
調査活動に限らず通常の議員活動にも使用されたことが
推認され,被告及び補助参加人において,特定の支出に係
る名刺が政務調査活動のみに使用されたことを反証しな
い限り,当該名刺の作成費用には目的外支出が混在すると
認めるべきである。
この点,被告及びA4は,上記支出に係る名刺は,調査
研究活動の際に身分を明らかにして相手方の連絡先等を
把握するために名刺交換をする目的で使用した旨主張す
るが,これを裏付ける証拠はなく,また,「福岡市議会議
員」との肩書の外,その議員が所属する委員会名や特別委
員会を記載し,連絡先として会派控室の住所及び電話番号
を記載していたとの被告及びA4の主張も,そのような記
載がある名刺を政務調査活動以外の活動に使用すること
も通常あり得るといえるので,政務調査活動のみに使用さ
れたとの十分な反証にならない。
したがって,上記支出には目的外支出が混在すると推認
されるが,その割合を特定することはできないので,上記
支出の5割である10万9500円が目的外支出に当た
ると認めるのが相当である。なお,原告らは,上記支出の
全額が目的外支出に当たると主張するが,名刺印刷代を政
務調査費から支出することができるか否かは,名刺印刷代
という支出項目から当然に結論が導かれるものではなく,
個々のケースにおける当事者の主張立証により判断され
るものであるから,A4が上記支出に係る名刺のすべてを
政務調査活動以外に使用したことを認めるに足りる主張
立証がない以上,原告らの上記主張は採用できない。
コピー機消耗品代17万5989円
上記支出は,A4の会派控室に設置されたコピー機に係
る経費であることに争いがないから,上記支出の1割であ
る1万7599円が目的外支出に当たると認めるのが相
当である。
イ資料購入費
F4,F5代6万1200円
会派及びその所属議員が属する政党の発行する政党雑
誌及び政党新聞等の購入費が目的外支出であると推認さ
れることは,前記⑵イでA2の支出について述べたのと
同様であるところ,被告及びA4から上記支出が上記推認
を覆すに足りる反証はないので,上記支出は全額目的外支
出に当たると認められる。
一般商業紙代29万8701円
上記支出につき,目的外支出が混在すると推認させるに
足りる事情はなく,原告らの主張が採用できないことは,
前記⑵イでA2の新聞代について述べたのと同様であ
る。
職員録購入費2万0900円
職員録の購入費に目的外支出が混在すると認められな
いことは,前記⑵イでA2の支出について述べたのと同
様である。
書籍,地図,雑誌代2万6760円
a上記支出のうち,2万5020円が書籍,雑誌代であ
り,1740円が地図の購入費用であると認められる
(弁論の全趣旨)。
このうち,書籍及び雑誌代2万5020円について,
書籍名が明らかでないものが目的外支出に当たること
は前記⑵イで述べたとおりであるが,A4による説明
(別紙10)によっても,説明のない920円,説明そ
のものが推測に基づく6280円分(別紙10の番号1
ないし4)及び「他」と付記されていて書籍名がすべて
明らかではない支出1万4770円分(別紙10の番号
7及び9)の合計2万1970円は,書籍名が十分明ら
かにされていないので,目的外支出に当たると認めるの
が相当である。
なお,上記支出のうち,地図の購入費について,目的
外支出が混在していると推認するに足りる事情がない
ことは,前記⑵イでA2の支出について述べたのと同
様である。
以上より,上記支出のうち,2万1970円は目的外
支出に当たると認められるので,このうち原告が目的外
支出であると主張する1万3380円の限度で目的外
支出であると認める。
ウ広報広聴費
ホームページ更新料,ビラ印刷代14万4348円
前記⑵エでA2の支出について述べたのと同様,上記
支出についても,原告らの主張のみから目的外支出が混在
していると推認することはできないので,被告及びA4の
主張を検討するまでもなく,上記支出に目的外支出が含ま
れると認めることはできない。
広聴費,広報相談事務費27万4020円
上記支出につき,目的外支出が混在すると推認させるに
足りる事情はない。
原告らは,広報相談事務費という名称から,政務調査活
動との関連性が明らかでないので,目的外支出が混在して
いると推認されると主張するが,市政相談が政務調査活動
に当たることは前記⑵エでA2の市民相談について述
べたのと同様であり,これに関する経費は本件使途基準に
合致するので,原告らの主張は,上記支出に目的外支出が
混在していると推認させるに足りない。
エ補助員等雇用費
補助員等雇用費640万7825円
通勤地下鉄代,通勤定期代,社会保険料,検診料17
万2036円
a上記及びの支出は,A4の会派控室での活動に従
事した補助員の雇用に係る経費である。
会派控室の活動に従事した補助員等の雇用費には目
的外支出が混在すると推認されることは,前記⑴エで
A1の補助員等雇用費について述べたのと同様である。
この点,被告及びA4は,A4の会派控室では専ら政
務調査活動のみが行われている旨主張するので,以下検
討する。
b証拠(丙ロ4,同8,同9)及び弁論の全趣旨によれ
ば,以下の事実が認められる。
⒜A4は,「A4福岡市議団勤務規定」を定めている
ところ,その中で,「勤務員」とは「調査研究のため
に必要な補助員」であるとしている。そして,同規定
は,勤務員の勤務時間を午前9時30分から午後6時
までとし,間に1時間の休憩がある。また,同規定に
は,A4の他機関へ異動するなど,勤務員の任務を解
かれた場合には解任するとの定めがある。(丙ロ8)
⒝A4の会派控室には,平成18年4月から6月まで
は3名,同年7月以降は,2名の勤務員が雇用されて
いた。各勤務員の給与額は,勤務員により異なるが,
おおむね月額20万円強であり,勤務員のうちF11
の給与額は月額21万9200円(平成19年1月か
らは月額22万3400円)であった。(丙ロ9)
⒞A4は,平成18年度中,以下のとおり,勤務員の
給与を政務調査費から支出した。
平成18年4月20日(4月分)64万1200

同年5月19日(5月分)64万1200

同年6月20日(6月分)64万1200

同年7月14日(夏季手当)43万4100

同年7月20日(7月分)43万4100

同年8月18日(8月分)43万4100

同年9月20日(9月分)43万4100

同年10月20日(10月分)43万4100

同年11月20日(11月分)21万4900

同年12月8日(冬季手当)43万4100

同年12月20日(12月分)43万4100

平成19年1月19日(1月分)44万7500

同年2月20日(2月分)44万7500

同年3月20日(3月分)33万5625

(丙ロ4,弁論の全趣旨)
⒟F11は,同年11月の1か月間と平成19年3月
26日から同月31日までの期間,A4の党事務所に
出向し,政党活動,選挙活動に従事した(丙ロ9)。
⒠A4の主に会派控室において,A4の勤務員は,日
常的に,①新聞5紙の朝刊及び夕刊に目を通して,
所属議員の議会論戦に役立つと思われる記事を抜き
出してコピーし,所属議員に配布する,②その内容
に関連して必要と思われる資料や情報及び他に市政
に関する情報を収集する中で必要と思われた資料や
情報を,関係機関への問い合わせやインターネット,
文献等を通じて収集し,整理,保管する,③会派控
室を来室し又は電話による市民からの情報提供や相
談に対応する,④所属議員の現地調査等に同行し記
録化する,⑤A4が開催する市政懇談会の案内ビラ
を作成,印刷,発送したり,市政懇談会で使用する資
料を作成したりする,⑥会派控室の備品を管理する
などの業務を行う他,1週間に1度会派控室で行われ
る団会議の準備や,議会の開会時には議案に関する調
査,質問の準備のための調査等に加え,傍聴者への対
応等の業務を行い,さらに市民アンケートや各省庁へ
の調査,陳情等に関する業務等を行っていた。
(丙ロ9)
c上記認定事実によれば,①A4の会派控室に勤務す
る勤務員は,そもそも調査研究のために必要な補助員と
して雇用されていたこと,②各月の給与の支払額を見
ると,F11がA4の事務所に出向していた平成18年
11月は,政務調査費からの支出が直近の4か月と比べ
て21万9200円減っているが,これはF11の当時
の給与額の月額と対応すること,③同じくF11が出
向していた平成19年3月の給与の支出額も通常より
11万1875円程度減っていることが認められる。こ
れらからすれば,A4が,その会派控室に勤務する勤務
員を,調査研究活動のために雇用していたことが認めら
れ,かつ,調査研究活動以外の業務に従事させる場合に
は,その給与は政務調査費から支出しない取扱いにして
いたこと,実際に勤務員が行っていた上記b⒠の業務は
政務調査活動に当たるといえるが,その量は相当の量で
あったことも認められるので,A4の雇用する勤務員
は,専ら政務調査活動のみに従事したものと認められ
る。
したがって,一般的にA4の会派控室で専ら政務調査
活動のみが行われているとまでは認定できないものの,
共産党の補助員等の雇用に係る経費については,目的外
支出が混在していると認めることはできない。
オ調査旅費
市域内交通費(都市高速料金,バス代,タクシー代,ガ
ソリン代,駐車料金,渡船料,地下鉄運賃,F6運賃)7
4万2417円
市域外交通費(都市高速料金,都内移動タクシー代)1
万8760円
上記及びの支出について,目的外支出が混在すると
推認するに足りる事情がなく,原告らの主張が採用できな
いことは,前記⑴オでA1の調査旅費について述べたの
と同様であるので,被告及びA4の主張を検討するまでも
なく,上記各支出に目的外支出が含まれると認めることは
できない。
カ諸事務費
事務用品代(OA消耗品(CDRW),色上質紙,ペン,
カセットテープ,ビデオテープ,乾電池,コピー用紙,文
具,荷造り紐,封筒,付箋,パソコンソフト(ウイルス対
策用,写真編集用),ファイル,プリント用紙,プリンタ
ラベル,インクトナー,マジックペン,ボールペン替芯及
びガムテープ他の購入費,コピー代,写真データCD書込
料)41万6001円
備品購入代(カメラレンズ,パソコン周辺機器及びワイ
ヤレスマイクの購入費)6万9464円
事務機器リース料49万7805円
電話・通信代・振込手数料(F9メール&ウェブ料金,
携帯電話料金(ドコモ),携帯電話解約手数料,電話料金
(NTT),ADSL回線使用料(NTT),NHK受信
料,切手代,小包料金,郵便料金,F10利用料,写真現
像代)51万9756円
雑費(ティッシュペーパー,茶葉,乾電池,洗剤他,
茶及び花の購入費,写真現像代,ごみ搬出代,ごみ搬出
駐車料)5万0133円
上記ないしの支出が会派控室に係る経費であるこ
とに争いはないから,上記各支出の1割の部分,すなわち,
4万1600円,6946円,4万9781
円,5万1976円,5013円は目的外支出に
当たると認めるのが相当である。
キまとめ
以上より,A4の支出のうち,35万6995円は,目的
外支出に当たると認められるので,A4は,被告に対し,同
額の不当利得返還義務を負う。
⑸A5の支出について
ア資料作成費(封筒印刷代)9万9750円
封筒は,政務調査活動に必要となり得るものであり,A5
が上記支出に係る封筒を政務調査活動以外の活動に使用し
たと疑わせる事情もないので,上記支出に目的外支出が混在
しているとは認められない。
原告らは,封筒は政党活動等政務調査活動以外の活動にも
使用され得るものであるから,上記支出に目的外支出が混在
すると推認できる旨主張するが,政務調査活動以外の活動に
も使用され得るということのみから,目的外支出が混在する
と推認することはできないので,原告らの主張は採用できな
い。
イ研究研修費(調査費)5万円
上記支出が,A5が発行する会報を配布する際の委託手数
料であることには争いがない。
してみると,上記支出は,研究研修費(調査費)には当た
らず,広報広聴費であると認められるところ,会報の配布の
委託手数料は,広報広聴費として本件使途基準に該当する項
目であるといえるので,原告らは,さらに上記支出が広報広
聴費としても支出が許されない,目的外支出に当たることを
推認させる事情につき主張立証する必要がある。しかし,原
告らは,一般に会派が発行する会報は,政党の政策の広報や
会派及び所属議員の実績の紹介など宣伝を内容とするので,
目的外支出が混在すると主張するのみで,A5が発行する会
報に政務調査活動以外の活動の記載があるとの具体的な主
張立証をしない。このような主張のみから目的外支出が混在
すると推認できないことは,前記総論⑶エで述べたとおりで
ある。
したがって,上記支出に目的外支出が混在すると認めるこ
とはできない。
ウ事務所費(家賃)187万9839円
上記支出は,議員の個人事務所で会派の出張所としての機
能も有する事務所の家賃であるところ,議員の個人事務所で
の活動に政務調査活動以外の活動が混在すると推認される
ことは前記⑵カで述べたとおりであるし,会派の出張所と
しての活動についても,前記総論で述べた会派控室の活動と
同様に政務調査活動以外の活動が混在すると推認されるの
で,その1割である18万7984円が目的外支出に当たる
と認めるのが相当である。
この点,被告及びA5は,上記事務所に係る家賃以外の経
費を合計すると家賃とほぼ同額に上るので,それらの経費に
ついては政務調査費から支出せず,家賃を政務調査費から支
出することによって実質的に按分で支出していた旨主張す
るが,家賃以外の経費の金額を裏付ける証拠はないし,使途
の透明性を確保するという政務調査費制度の趣旨に照らせ
ば,そのような取扱いに合理性があるとはいえないので,上
記主張は採用できない。
エ1件当たり5万円未満の支出540万3241円
上記支出に会派控室に係る経費が含まれることに争いは
なく,前記総論で述べたとおり,会派控室の活動には政務調
査活動以外の活動が混在していると推認できるので,上記支
出には目的外支出が混在しているものと推認される。
しかし,上記支出に含まれるものの中には,資料購入費と
しての新聞代,本代や,広報広聴費としての印刷代,研究研
修費としての会議室代等,特に政務調査活動以外の活動に使
用されたと疑わせる事情がない限り本件使途基準に合致す
ると考えられる支出も混在しており,これらの支出につい
て,目的外支出が混在していると疑わせるに足りる事情はな
い。
そもそも,本件使途基準上で異なる項目にされている支出
については,本件使途基準に合致するか否かの判断において
当然に異なる考慮が必要であるから,原告らは,使途項目ご
とに支出額を特定した上で目的外支出に当たる理由を主張
すべきであり,異なる使途項目をまとめてその全額について
目的外支出が混在しているとの主張しかしない場合には,た
とえその一部に目的外支出が含まれていると推認されると
しても,その額が認定できないので,目的外支出があるとの
認定をすることはできない。このことは,原告らのような主
張を許せば,政務調査費からの支出を精査せずとも,目的外
支出に当たる支出をひとつ見つければ,政務調査費からの支
出全体につき一定の割合で目的外支出が混在するとの主張
をすることが可能となり,不当であることからも明らかであ
る。
したがって,上記支出には,その一部に目的外支出が混在
していると推認する余地はあるものの,特定の額が目的外支
出に当たると認定することはできないし,また,その一定割
合が目的外支出に当たると評価することも相当ではない。
オまとめ
以上より,A5の支出のうち,18万7984円は,目的
外支出に当たると認められるので,A5は,被告に対し,同
額の不当利得返還義務を負う。
⑹A6の支出について
ア広報広聴費
G1発足10周年記念誌への祝賀広告代2万円
ベトナムチャリティーコンサート協賛金2万円
上記及びの支出に係る記念誌及びコンサートは,い
ずれも明らかに政務調査そのものを目的とした活動では
ないので,これらに対する援助が政務調査活動に役立つこ
とがあったとしても,それは副次的な効果というべきであ
り,上記各支出は,専ら交際費ないし単なる宣伝活動の経
費という意味合いの強い支出であると認められる。
この点,被告及びA6は,議員の職責に照らせば,広く
日常的な議員活動を支える経費のすべてについて政務調
査費を支出することが許されるべき旨主張するが,このよ
うな主張が採用できないことは,前記総論⑴で述べたとお
りである。
よって,上記各支出は,全額目的外支出と認められる。
イ諸事務費(古紙回収費)1万円
古紙回収費用であるということのみからは,上記支出が目
的外支出に当たるといえないこと,他に上記支出に目的外支
出が混在すると推認するに足りる事情がないことは,前記⑴
カでA1の古紙回収費用について述べたのと同様である。
ウ1件当たり5万円未満の支出362万6496円
原告らは,A6の1件当たり5万円未満の支出から,適正
な支出を除いた額が上記362万6496円であり,会派及
び議員の活動の多面性に照らせば,上記支出にも目的外支出
が混在すると推認できる旨主張する。
しかし,このような概括的な主張では,なぜ上記支出に目
的外支出が混在するといえるのか不明であるし,複数の使途
項目にわたる支出をまとめて目的外支出であるとする主張
から特定の額や総支出額の一定割合を目的外支出に当たる
と認定できないことは,前記⑸エで述べたとおりであるか
ら,上記支出に目的外支出が含まれると認めることはできな
い。
エまとめ
以上より,A6は,福岡市に対して,4万円の不当利得返
還義務を負う。
⑺A7の支出について
ア資料作成費(コピー代)26万9011円
上記支出に目的外支出が混在していると認めるに足りる
事情はない。
この点,原告らは,上記支出が会派控室で作成された資料
等のコピー代であることから,政務調査以外の活動が混在
し,目的外支出が含まれると推認できる旨主張する。しかし,
一般的には会派控室での活動に政務調査活動以外の活動が
混在するとしても,資料作成費を支出した場合には,資料の
整理,保管が義務付けられていること(本件要領3条1号)
からすれば,事務用品等,ひとたび備え置かれればどのよう
な活動にも使用され得るものに係る経費と,支出ごとに目的
が明確であり,それについて資料の整理,保管がされる資料
作成費とは区別して考えるべきであり,会派控室で作成され
た資料に係る資料作成費について,会派控室に係る経費と同
様に,目的外支出が混在すると推認することはできない。資
料作成費に目的外支出が混在するというためには,原告ら
は,上記支出に係る資料に政務調査活動以外の活動のための
ものが含まれることや,少なくとも会派控室で政務調査活動
以外の活動の資料が作成されたことを疑わせるに足りる具
体的な事情について主張立証すべきである。
したがって,原告らの主張から上記支出に目的外支出が混
在すると推認することはできないので,被告及びA7の主張
を検討するまでもなく,上記支出に目的外支出が含まれると
は認められない。
イ広報広聴費(市議会レポート配布手数料,市議会レポート
郵送料)12万1230円
上記支出に目的外支出が混在すると認めるに足りる事情
はない。
原告らは,上記支出に係る市議会レポートは,会派及び所
属議員の活動の実績紹介,宣伝にもなるものであるから目的
外支出が混在する旨主張するが,このような主張が採用でき
ないことは,前記総論⑶エで述べたとおりである。
ウ調査旅費71万4640円
上記支出に目的外支出が混在すると認めるに足りる事情
はない。
原告らは,議員の活動の多面性に照らせば上記支出に目的
外支出が含まれると推認できる旨主張するが,このような一
般論から目的外支出が混在すると推認できないことは,前記
⑴オで述べたのと同様である。
エ諸事務費
名刺代8万4000円
a名刺の一般的な性質から,名刺の作成費用には目的外
支出が混在すると推認されることは,前記⑷アでA4
の名刺印刷代について述べたのと同様である。
被告及びA7は,上記支出に係る名刺は,政務調査活
動たるアンケート調査の際に使用されたものであり,目
的外支出に当たらない旨主張するので,この点につき検
討する。
b証拠(丙イ13ないし18)及び弁論の全趣旨によれ
ば,以下の事実が認められる。
⒜A7は,ごみ減量などをテーマに,アンケートによ
る調査を行っていたところ,平成18年度中にも税金
の使い道に関するアンケート調査を行った(丙イ13
ないし18,弁論の全趣旨)。
⒝アンケート調査の際,A7では,調査者の身分を明
らかにするために,所属議員の名刺を持参して渡すこ
ととしていた(丙イ14)。
c上記認定事実に加え,A7は,名刺の印刷代が1枚当
たり25円(税抜き)であると主張するところ,名刺代
に係る領収書からは何枚分の印刷代か不明ではあるが,
社会通念に照らして合理的な範囲の金額であるので,こ
れを疑うに足りる事情はない。してみると,上記支出で
印刷できるのは,3360枚ということになり,福岡市
内の戸数を考えれば,アンケート調査にこのすべてを使
用したという被告及びA7の主張には合理性があるの
で,A7は,上記支出に係る名刺をすべて政務調査活動
たるアンケート調査に使用したものである可能性が高
く,上記aで述べた名刺の一般的性質からする推認には
疑いが生じると言わざるを得ない。
したがって,上記支出に目的外支出が混在していると
推認することはできない。
リース料,通信費,事務用品購入代94万8433円
上記支出が会派控室に係る経費であることに争いはな
いから,上記支出の1割である9万4843円が目的外
支出当たると認めるのが相当である。
この点,A7は,そもそも会派活動や後援会活動を行っ
ておらず,選挙活動は地域事務所で行っていた旨,原告ら
が政務調査活動以外の活動として主張する議会活動は,議
会での質疑や政策立案のための取りまとめ作業であり,ま
さに政務調査活動に当たる旨述べて,会派控室において専
ら政務調査活動のみを行っていたと主張する。
しかし,原告らが議会活動として主張する活動は,上記
のような取りまとめ作業のみにとどまるものではなく,他
会派との調整等,議案可決に向けた活動も含むと解される
ところ,このような活動をA7がどのように行っていたの
かに関するA7の主張はないし,政党のような綱領が存在
しないとしても,会派たる組織として活動していた以上,
それを政党と呼ぶかどうかは措くとしても,組織としての
活動が必要であることは明らかであるので,会派活動や後
援会活動を行っていないとのA7の主張のみから,直ち
に,A7が,原告らが主張するところの政党活動や後援会
活動を行っていなかったと認めることはできない。また,
A7は,専ら政務調査活動のみを行っていた旨主張するの
みで,会派控室での活動実態を明らかにしていない。
してみると,A7の主張から,A7が会派控室では専ら
政務調査活動のみを行っていたと認めることはできず,上
記推認は覆らないので,上記支出には目的外支出が混在す
ると推認される。なお,A7は,上記支出の一部について,
政務調査活動に必要であった理由を具体的に主張するが,
これらが政務調査活動に使用されたことを裏付ける証拠
はないし,そもそも上記支出のうち一部についてのみ政務
調査活動に必要であることが立証されたとしても,上記推
認を覆すには足りない。
オその他(コーヒー豆代,振込手数料,消耗品代,空気清浄
機カートリッジ代,お茶代)2万4108円
上記支出が会派控室に係る経費であることに争いはない
から,その1割である2411円が目的外支出に当たると認
めるのが相当である。
カまとめ
以上より,A7は,福岡市に対して,9万7254円の不
当利得返還義務を負う。
⑻A8の支出について
A8が,平成18年度中に,1件当たり5万円未満の支出合
計30万4327円を政務調査費から支出したことに争いは
ない。そして,上記支出に目的外支出が混在すると推認するに
足りる事情はない。
原告らは,上記支出は政務調査活動との関連性が明らかでな
く,会派及び議員の活動の多面性に照らせば,目的外支出が混
在すると推認できる旨主張する。しかし,このような概括的か
つ使途項目ごとに区別しない主張では,特定の額や総支出額の
一定割合が目的外支出に当たると推認できないことは,前記⑹
ウでA6の支出について述べたのと同様である。
したがって,A8は,福岡市に対して不当利得返還義務を負
わない。
⑼議員の1件当たり5万円未満の支出について
別紙12「1件当たり5万円未満の支出一覧(議員)」記載
の各支出について,特定額の目的外支出が混在すると認めるこ
とはできない。
原告らは,上記各支出には,議員が設置している事務所の賃
料,借地料及び水道光熱費や,当該事務所に勤務する職員等の
雇用費等が含まれているので,目的外支出が混在する旨主張す
る。たしかに,議員が設置する事務所に係る経費には目的外支
出が混在すると推認できることは前記のとおりであるが,この
ような使途項目ごとに区別しない主張から,特定の額や総支出
額の一定割合が目的外支出に当たると推認できないことは,前
記⑸エで述べたのと同様である。
したがって,上記各支出のいずれにも,目的外支出が含まれ
ると認めることはできない。
⑽各議員の支出
アA9の支出について
補助員等雇用費165万円
A9から,福岡市議会議長に対して,領収書等の証拠書
類の提出がないことには争いがなく,本訴提起後も証拠書
類の提出はない。前記総論で述べた福岡市における政務調
査費制度の仕組みに照らせば,本件条例12条2項に違反
して,5万円以上の支出に係る領収書を提出しない場合に
は,会派等が自ら当該支出について事後的な検証を不可能
にしているのであるから,そのことをもって,当該支出は
目的外支出に当たると推認されるというべきである。
したがって,上記支出は,全額が目的外支出に当たると
認められる。
1件5万円未満の支出57万1200円
上記支出についても,上記の支出と同様,領収書等の
証拠書類の提出がないが,1件当たり5万円未満の上記支
出は,もともと本件条例で領収書の提出が義務付けられて
いない。
そこで,領収書の提出が義務付けられていない上記支出
について,上記と同様に目的外支出に当たると認められ
るか問題となるが,本件条例12条1項は,提出を義務付
けていない1件当たり5万円未満の支出に係る領収書に
ついても,5年間保管することを義務付けており,これは
個別の支出について本件使途基準に合致するか否かが問
題となったときに事後的な検証を可能とするためである
から,会派等が証拠書類の管理を怠り,又はこれを提出す
ることを拒んで事後的な検証を不能ならしめる場合には,
当該支出は目的外支出に当たると評価するのが相当であ
る。
したがって,A9が領収書等を提出しない上記支出は,
全額目的外支出に当たるが,原告らが目的外支出であると
主張する28万5600円の限度で目的外支出であると
認めるのが相当である。
なお,上記支出については,前記⑹ウのA6の支出と同
様に,複数の使途項目にわたる支出が混在して主張されて
いるものとうかがわれるが,証拠書類の提出がなければ,
原告らにおいて使途項目ごとに目的外支出に当たる理由
及び額を特定して主張することは不可能であるので,上記
主張で足りるというべきである。
まとめ
以上より,A9の支出のうち193万5600円は目的
外支出に当たるので,A9は,福岡市に対し,同額の不当
利得返還義務を負う。
イA10の支出について
A10は,平成18年4月21日から平成19年3月20
日まで,22回にわたって,個人事務所に勤務する補助員等
の雇用費として合計156万円を政務調査費から支出した
と認められる(弁論の全趣旨)。上記支出は議員の個人事務
所に係る経費であるから,その1割である15万6000円
が目的外支出に当たると認めるのが相当である。
したがって,A10は,福岡市に対し,15万6000円
の不当利得返還義務を負う。
ウA11の支出について
広報広聴費105万円
上記支出に目的外支出が混在すると認めるに足りる事
情はない。
上記支出は飲食を伴う会合の経費であると推認できる
との原告らの主張のみから,上記支出に目的外支出が混在
すると推認できないことは,前記⑴イでA1の会議費に
ついて述べたのと同様である。
補助員等雇用費120万円
上記支出は議員議員の個人事務所に係る経費であるから,
その1割である12万円が目的外支出に当たると認める
のが相当である。
したがって,A11は,福岡市に対し,12万円の不当
利得返還義務を負っていたところ,これを妻であるA37
並びに子であるA38及びA39が法定相続分に従い相
続したので,福岡市に対し,A37は6万円,A38及び
A39はそれぞれ3万円の不当利得返還義務を負う。
エA12の支出について
補助員等雇用費120万円
事務所費(L1支払分)66万円
上記及びの支出は,いずれもA12の個人事務所に
係る経費であると認められるから(弁論の全趣旨),そ
の1割である12万円及び6万6000円が目的外支出
に当たると認めるのが相当である。
したがって,A12は,福岡市に対し,合計18万60
00円の不当利得返還義務を負う。
オA13の支出について
A13は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補助
員等の雇用費として合計119万円を政務調査費から支出
したと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は,議員の個人事務所に係る経費であるから,そ
の1割である11万9000円が目的外支出に当たると認
めるのが相当である。
したがって,A13は,福岡市に対し,11万9000円
の不当利得返還義務を負う。
カA14の支出について
A14は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補助
員等の雇用費として合計296万1000円を政務調査費
から支出したと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,その
1割である29万6100円が目的外支出に当たると認め
るのが相当である。
したがって,A14は,福岡市に対し,29万6100円
の不当利得返還義務を負う。
キA15の支出について
A15は,平成18年度中に,個人事務所の家賃として合
計120万円を政務調査費から支出したと認められる(弁論
の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,その
1割である12万円が目的外支出に当たると認めるのが相
当である。
したがって,A15は,福岡市に対し,12万円の不当利
得返還義務を負う。
クA16の支出について
A16は,平成18年6月23日に13万0420円,同
年7月21日に12万4060円をN1ホテルに対し,同年
10月31日に29万6463円をD1ホテルに対し,それ
ぞれ支払い,これを研究研修費として政務調査費から支出し
たと認められるが(弁論の全趣旨),上記支出に目的外支出
が混在すると認めるに足りる事情はない。
上記支出は飲食を伴う会合の経費であると推認できると
の原告らの主張のみから,上記支出に目的外支出が混在する
と推認できないことは,前記⑴イでA1の会議費について
述べたのと同様である。
よって,A16は,不当利得返還義務を負わない。
ケA17の支出について
補助員等雇用費234万円
事務所費78万円
上記及びの支出は,いずれもA17の個人事務所に
係る経費であると認められるから(弁論の全趣旨),その
1割である23万4000円及び7万8000円が目的外
支出に当たると認めるのが相当である。
したがって,A17は,福岡市に対し,合計31万20
00円の不当利得返還義務を負う。
コA18の支出について
A18は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補助
員等の雇用費として合計108万円を政務調査費から支出
したと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,その
1割である10万8000円が目的外支出に当たると認める
のが相当である。
したがって,A18は,福岡市に対し,10万8000円
の不当利得返還義務を負う。
サA19の支出について
A19は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補
助員等の雇用費として合計150万円を政務調査費から
支出したと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,
その1割である15万円が目的外支出に当たると認める
のが相当である。
諸事務費80万円
上記支出は,すべて切手代であるところ,切手を大量に
購入した場合には,適切な管理が求められること,したが
って,被告及び会派等が切手の管理方法や当該切手の使途
について適切な主張立証をしない場合には,目的外支出が
混在すると推認されることは,前記⑴ウで述べたのと同様
であるところ,A19から切手の管理方法及び上記支出に
係る切手の使途に関する主張立証はないから,上記支出の
5割である40万円が目的外支出に当たると認めるのが
相当である。
以上に述べたところより,A19は,福岡市に対して,
55万円の不当利得返還義務を負う。
シA20の支出について
A20は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補助
員等の雇用費として合計267万5421円を政務調査費
から支出したと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,その
1割である26万7542円が目的外支出に当たると認める
のが相当である。
したがって,A20は,福岡市に対し,26万7542円
の不当利得返還義務を負う。
スA21の支出について
広報広聴費6万3000円
A21は,平成18年8月31日,市議会ニュース等の
広報誌に掲載するための顔写真の撮影料として6万30
00円を政務調査費から支出したことが認められる(弁論
の全趣旨)。市議会ニュース等の広報誌を発行することは,
前記総論で述べたとおり政務調査活動に該当するところ,
これに顔写真を掲載することは,必要不可欠とまではいえ
ないものの,情報を効果的,効率的に伝えるためには発行
主体を明確にし,その紹介となる情報をも提供する必要が
あると認められ,顔写真の掲載が効果的な場合もあると考
えられる。してみると,広報誌に顔写真を掲載することが
直ちに目的外支出に当たるのではなく,当該顔写真と一緒
に掲載された記事の内容や,掲載方法等をも併せて検討
し,当該顔写真が専ら選挙活動等のための宣伝効果のみを
狙って掲載されたものといえる事情がある場合に初めて,
顔写真の掲載経費が目的外支出に当たるというべきであ
る。
原告らは,顔写真の掲載は議員の宣伝活動であるので,
その経費は目的外支出に当たる旨主張するが,上記述べた
ところに反するし,原告らは他に上記支出が目的外支出に
当たるというべき具体的事情を主張立証しないので,上記
支出が目的外支出に当たると認めることはできない。
補助員等雇用費138万円
A21は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補
助員等の雇用費として合計138万円を政務調査費から
支出したと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,そ
の1割である13万8000円が目的外支出に当たると認
めるのが相当である。
まとめ
以上に述べたところより,A21は,福岡市に対し,1
3万8000円の不当利得返還義務を負う。
セA22の支出について
補助員等雇用費205万1000円
A22は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補
助員等の雇用費として合計205万1000円を政務調
査費から支出したと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所にかかる経費であるから,
その1割である20万5100円が目的外支出に当たると
認めるのが相当である。
諸事務費(紙折り機)23万9400円
上記支出は,A22の後援会事務所も兼ねる事務所に設
置された紙折り機の購入費用であると認められるから(弁
論の全趣旨),その支出の1割である2万3940円は目
的外支出に当たると認めるのが相当である。
まとめ
以上に述べたところより,A22は,福岡市に対して,
22万9040円の不当利得返還義務を負う。
ソA23の支出について
補助員等雇用費192万5500円
A23は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補
助員等の雇用費として合計192万5500円を政務調
査費から支出したと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,そ
の1割である19万2550円が目的外支出に当たると認
めるのが相当である。
諸事務費58万7000円
上記支出は,すべて切手代であり,34万7000円と
24万円との2回に分けて支出されたものと認められる
(弁論の全趣旨)。
切手を大量に購入した場合には,適切な管理が求められ
ること,したがって,被告及び会派等が切手の管理方法や
当該切手の使途について適切な主張立証をしない場合に
は,目的外支出が混在すると推認されることは,前記⑴ウ
で述べたのと同様であるところ,A23から切手の管理方
法及び上記支出に係る切手の使途に関する主張立証はな
いから,上記支出の5割である29万3500円が目的外
支出に当たると認めるのが相当である。
以上に述べたところより,A23は,福岡市に対して,
48万6050円の不当利得返還義務を負う。
タA24の支出について
A24は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補助
員等の雇用費として合計85万2000円を政務調査費か
ら支出したと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,その
1割である8万5200円が目的外支出に当たると認めるの
が相当である。
したがって,A24は,福岡市に対し,8万5200円の
不当利得返還義務を負う。
チA25の支出について
A25は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補助
員等の雇用費として合計216万円を政務調査費から支出
したと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,その
1割である21万6000円が目的外支出に当たると認める
のが相当である。
したがって,A25は,福岡市に対し,21万6000円
の不当利得返還義務を負う。
ツA27の支出について
A27は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補助
員等の雇用費として合計96万円を政務調査費から支出し
たと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所にかかる経費であるから,そ
の1割である9万6000円が目的外支出に当たると認める
のが相当である。
したがって,A27は,福岡市に対し,9万6000円の
不当利得返還義務を負う。
テA28の支出について
A28は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補助
員等の雇用費として合計101万1000円を政務調査費
から支出したと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,その
1割である10万1100円が目的外支出に当たると認める
のが相当である。
したがって,A28は,福岡市に対して,10万1100
円の不当利得返還義務を負う。
トA32の支出について
A32は,平成18年度中に,個人事務所に勤務する補助
員等の雇用費として合計60万円を政務調査費から支出し
たと認められる(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,その
1割である6万円が目的外支出に当たると認めるのが相当で
ある。
したがって,A32は,福岡市に対して,6万円の不当利
得返還義務を負う。
ナA33の支出について
A33は,平成18年度中に,個人事務所の賃料として合
計71万6100円を政務調査費から支出したと認められ
る(弁論の全趣旨)。
上記支出は議員の個人事務所に係る経費であるから,その
1割である7万1610円が目的外支出に当たると認めるの
が相当である。
したがって,A33は,福岡市に対して,7万1610円
の不当利得返還義務を負う。
第4結論
以上によれば,原告らの請求は,被告に対し,別紙3「認容額
一覧表」の「請求の相手方」欄記載の各相手方に対し,同「認容
額」欄記載の各金額の不当利得返還請求をするよう求める限度で
理由があるから,これを認容し,その余はいずれも理由がないか
ら棄却することとして,主文のとおり判決する。
福岡地方裁判所第6民事部
裁判長裁判官山之内紀行
裁判官石山仁朗
裁判官清水淑江
(別紙2)
請求額一覧表
番号請求の相手方請求額
1A1福岡市議団1424万5081円
2A2福岡市議団2170万2715円
3A3福岡市議団1820万6957円
4A4福岡市議団519万7492円
5A5465万6334円
6A6福岡市議団186万3248円
7A7112万2710円
8A8(※)15万2163円
9A9193万5600円
10A10147万9928円
11A11(A37らが承継)149万7680円
12A12133万4037円
13A13116万7260円
14A14148万0500円
15A15156万0056円
16A16(※)60万9095円
17A17(※)156万0000円
18A18(※)156万0071円
19A19184万4614円
20A20153万9532円
21A21139万6019円
22A22142万0450円
23A23168万2337円
24A24100万0906円
25A25(※)111万7961円
26A26116万1545円
27A27136万8383円
28A2879万0215円
29A2995万3421円
30A30132万8576円
31A31141万7685円
32A32146万8472円
33A33149万9938円
34A34156万0002円
35A35(※)12万6997円
36A3650万1623円
※補助参加なし
以上
(別紙3)
認容額一覧表
番号請求の相手方認容額
1A1福岡市議団680万6119円
2A2福岡市議団292万7622円
3A3福岡市議団593万3924円
4A4福岡市議団35万6995円
5A518万7984円
6A6福岡市議団4万0000円
7A79万7254円
9A9193万5600円
10A1015万6000円
11
A376万0000円
A383万0000円
A393万0000円
12A1218万6000円
13A1311万9000円
14A1429万6100円
15A1512万0000円
17A1731万2000円
18A1810万8000円
19A1955万0000円
20A2026万7542円
21A2113万8000円
22A2222万9040円
23A2348万6050円
24A248万5200円
25A2521万6000円
27A279万6000円
28A2810万1100円
32A326万0000円
33A337万1610円
(注)上記番号は,別紙2「請求額一覧表」のものである。
以上
(別紙4)
関係法令の定めの要旨
第1地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)
1普通地方公共団体は,その公益上必要がある場合においては,
寄附又は補助をすることができる(232条の2)。
2普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の
議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会
における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができ
る。この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交
付の方法は,条例で定めなければならない(100条13項)。
3前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定め
るところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を
議長に提出するものとする(同条14項)。
第2福岡市政務調査費の交付に関する条例(平成20年条例第28
号による改正前のもの)
1趣旨
この条例は,地方自治法(昭和22年法律第67号)第100
条第13項及び第14項の規定に基づき,福岡市議会議員の調査
研究に資するため必要な経費の一部として,議会における各会派
及び議員に対し政務調査費を交付することに関し,必要な事項を
定めるものとする(1条)。
2交付対象
政務調査費は,福岡市議会の会派(以下「会派」という。)並
びに次条第1項の規定により90,000円の額を選択した会派
に所属する議員及びいずれの会派にも所属しない議員に対して交
付する(2条1項)。
3政務調査費の月額
会派に対し交付する政務調査費の月額は,350,000円又
は90,000円の額のうちから各会派が選択した額に,当該会
派の所属議員数を乗じて得た額とする(3条1項)。
前条第1項に規定する議員(以下「交付対象議員」という。)
に対し交付する政務調査費の月額は,260,000円とする(同
条2項)。
4使途基準
会派及び交付対象議員は,政務調査費を別に定める使途基準に
従って使用するものとし,市政に関する調査研究のため必要な経
費以外のものに充ててはならない(8条)。
5経理責任者等
会派は,交付を受けた政務調査費の経理を明確に行うため,経
理責任者を定めなければならない(9条1項)。
交付対象議員は,交付を受けた政務調査費の経理を明確に行わ
なければならない(同条2項)。
6収支報告書の提出
政務調査費の交付を受けた会派の代表者及び経理責任者並びに
交付対象議員は,別に定める様式により,政務調査費に係る収入
及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を作成し,議
長に提出しなければならず,その提出期限は,前年度の交付に係
る政務調査費について,毎年4月30日までとする(11条1項,
2項)。
7会計帳簿及び領収書等の証拠書類の保管等
政務調査費の交付を受けた会派の代表者及び経理責任者並びに
交付対象議員は,政務調査費の収支を明らかにした会計帳簿を備
えるとともに,領収書等の証拠書類を整理し,これらの書類を当
該政務調査費に係る収支報告書の提出期限の日の翌日から起算し
て5年を経過する日まで保管しなければならない(12条1項)。
政務調査費の交付を受けた会派の代表者及び経理責任者並びに
交付対象議員は,前項の領収書等の証拠書類であって1件当たり
5万円以上の支出に係るものの写しを,上記6記載の第11条第
1項の規定により提出する収支報告書と併せて提出しなければな
らない(12条2項)。
8政務調査費の返還
会派の代表者及び交付対象議員は,その年度において交付を受
けた政務調査費の総額から,当該会派及び交付対象議員がその年
度において市政の調査研究に資するため必要な経費として支出し
た総額を控除して残余がある場合は,これを速やかに市長に返還
しなければならない(13条)。
9保存及び閲覧
議長は,上記6記載の第11条第1項の規定により提出された
収支報告書及び上記7記載の第12条第2項の規定により提出さ
れた領収書等の証拠書類の写しを,提出期限の日の翌日から起算
して5年を経過する日まで保存しなければならない(14条1
項)。
何人も,議長に対し,前項の収支報告書の閲覧を請求すること
ができる(同条2項)。
第3福岡市政務調査費の交付に関する条例施行規程(平成20年3
月27日議会規程第1号による改正前のもの)
1本件条例8条に規定する政務調査費の使途基準は,別表に定め
るとおりとする(3条)。
2別表(政務調査費使途基準)
項目内容
資料作成費調査研究のために必要な印刷物等の作成に要する経

資料購入費調査研究のために必要な図書,新聞,雑誌,ビデオ
テープ等の購入に要する経費
研究研修費1研究会,研修会等の開催に要する経費
2他の団体が開催する研究会,研修会等への参加
に要する経費
3研究会等の調査に要する経費
4外部団体等への調査の委託に要する経費
広報広聴費1調査研究活動,議会活動等について市民に報告
し,広報するために要する経費
2市民に対して行う,市政及び政策等に対する要
望や意見等を聴取するための会議の開催,情報収
集に係る活動並びに市政相談等に要する経費
補助員等雇用費調査研究のために必要な補助員等の雇用に要する経

調査旅費1調査研究のために必要な市域外への出張に要す
る旅費
2調査研究のために必要な市域内での会議への出
席,調査活動等に要する交通費
事務所費調査研究のために必要な事務所の設置,管理に要す
る経費
諸事務費調査研究のために必要な事務用品,事務機器その他
の備品購入費,電話料金,切手代その他の通信費,
その他事務執行に要する経費
その他その他市政に関する調査研究のために必要な経費
第4福岡市政務調査費取扱要領(平成18年度当時のもの)
福岡市議会では,議長において,福岡市政務調査費取扱要領を
定めており,その要旨は以下のとおりである。
1年間執行計画書の作成等
会派及び本件条例3条2項に定める交付対象議員は,政務調査
費の計画的な執行に資するため,毎年度当初に当該年度の年間執
行計画書を作成し,保管する(2条)。
2支出基準等
⑴会派及び議員は,資料作成費及び資料購入費を支出したとき
は,作成及び購入した資料を整理,保管する(3条1号,2号)。
⑵会派及び議員は,研究研修費を支出したときは,以下のアな
いしウの場合に応じて,それぞれに定める関係書類を作成,整
理及び保管する(同条3号)。
ア研究会,研修会等を開催したときは,当該会議に係る案内,
要領,記録等の書類
イ他の団体が開催する研究会,研修会等に参加したときは,
当該会議に係る案内,記録等の書類
ウ調査を委託するときは,委託先,調査事項,委託期間及び
委託金額を記載した調査委託書及び調査の成果物
⑶会派及び議員は,広報広聴費を支出したときは,広報広聴活
動に係る記録及び資料等を整理,保管する(同条4号)。
⑷会派及び議員は,補助員等を雇用したときは,補助員等雇用
届を議長に提出する(同条5号)。
⑸会派が調査研究のため所属議員に対し市外への出張を依頼す
るときは,会派代表者は,出張者の氏名,用務先,用務内容,
出張期間及び出張費の額を記載した出張依頼書を作成するもの
とし,依頼により出張した議員は,速やかに出張報告書を作成
し,これを会派において保管する。議員が自己の調査研究によ
り出張したときは,速やかに出張報告書を作成し,保管する。
(同条6号)
⑹会派代表者及び議員は,事務所を設置したときは,事務所設
置届を議長に提出する(同条7号)。
⑺諸事務費の支出の対象となる事務機器その他の備品は,会派
控室,会派事務所及び議員事務所に設置するものに限る。電源
を使用する事務機器その他の備品を会派控室に設置するとき
は,会派代表者は,事前に備品設置届を議長に提出する。(同
条8号)
3収支報告書の検査等
議長は,本件条例11条1項及び12条2項の規定により提出
された収支報告書及び領収書等の写しの内容を検査し,必要があ
ると認めるときは,会派代表者又は議員に対し,関係書類等の提
出を求めることができ,その処理に不適切なものがあると認めた
ときは,修正を命ずることができる(6条1項,2項)。
4関係書類等の保管
この要領で定める書類及びこの要領により保管が義務付けられ
ている領収書等は,本件条例11条2項に規定する収支報告書の
提出期限の日の翌日から5年を経過する日まで保管しなければな
らない(8条)。
5この要領に定めるもののほか政務調査費の取扱に関し必要な事
項は,代表者会議に諮って議長が決定する(9条)。
第5政務調査費使途基準の取扱について(平成18年度当時のもの)
福岡市では,会派代表者の合意のもとに,以下のような政務調
査費使途基準の取扱についての定めがある。
政務調査費使途基準主な使途項目(例示)
⑴資料作成費○印刷製本代(パンフレット,調
調査研究のために必要な印刷物
等の作成に要する経費
査資料,報告書等)
○コピー代
○翻訳料
⑵資料購入費
調査研究のために必要な図書,
新聞,雑誌,ビデオテープ等の購
入に要する経費
○図書,新聞,雑誌購入費
○ビデオテープ等の視聴覚教材
⑶研究研修費
1研究会,研修会等の開催に
要する経費
○会場借上料○食料費
○講師謝金
2他の団体が開催する研究
会,研修会への参加に要する
経費
○会費,参加料,資料代
○出席者負担金
3研究会等の調査に要する経

○研究グループ等の活動に要する
事務的経費(資料作成及び購入
費,会場借上料,講師謝金等)
4外部団体等への調査の委託
に要する経費
○大学や民間調査機関等への調査
企画,広報企画料
⑷広報広聴費
1調査研究活動,議会活動等
について市民に報告し,広報
するために要する経費
○報告会頭の開催に係る諸経費
○市議会ニュース等の広報誌の発
行経費
○広報誌等の配布経費(封筒,切
手等)
2市民に対して行う,市政及
び政策等に対する要望,意見
等を聴取する会議の開催,情
○市民の意識調査等に係る経費
○市民との対話集会や市政相談会
等の開催に係る経費
報収集に係る活動及び市政相
談等に要する経費
⑸補助員等雇用費
調査研究のために必要な補助
員等の雇用に要する経費
○市政に関する情報収集や研究活
動に直接的に従事する職員の雇
用(政務調査員等)
○調査研究を行う議員を事務的に
補助する職員の雇用
⑹調査旅費
1調査研究のために必要な市
域外への出張に要する旅費
○先進的事業や先進的施設の調査
を目的とした国内または国外旅
行に係る経費
○他都市で開催される研究会やシ
ンポジウム等の参加のための国
内または国外旅行に係る経費
(ガソリン代も可)
2調査研究のために必要な市
域内への会議への出席,調査
活動等に要する交通費
○市域内の現地調査や施設見学に
係る交通費
○市域内で開催される研究会,講
演会等の参加に要する交通費
(バス,タクシー代,ガソリン
代等)
⑺事務所費
調査研究のために必要な事務
所の設置,管理に要する経費
調査研究活動の拠点として庁舎外
に設置する事務所の維持管理に要
する諸経費
○事務所賃借料,共益費等
○光熱水費
⑻諸事務費○文具類等の事務用品購入費
調査研究のために必要な事務
用品,事務機器,その他備品購
入費,電話料金,切手代その他
通信費,その他事務執行に要す
る経費
○コピー機,パソコン等事務機器
の賃借料
○電話料金,切手代,インターネ
ット等の通信費
⑼その他
その他市政に関する調査研究
のために必要な経費
上記の項目に分類できない調査研
究に係る経費
○銀行振込手数料
以上
(別紙5)
交付額一覧表
番号請求の相手方交付額
1A1福岡市議団2376万円
2A2福岡市議団5040万円
3A3福岡市議団4130万円
4A4福岡市議団2520万円
5A51680万円
6A6福岡市議団432万円
7A7840万円
8A870万円
9A9312万円
10A10312万円
11A11(A37らが承継)312万円
12A12312万円
13A13312万円
14A14312万円
15A15312万円
16A16312万円
17A17312万円
18A18312万円
19A19312万円
20A20312万円
21A21312万円
22A22312万円
23A23312万円
24A24312万円
25A25312万円
26A26312万円
27A27312万円
28A28312万円
29A29312万円
30A30312万円
31A31312万円
32A32312万円
33A33312万円
34A34312万円
35A3526万円
36A36130万円
以上
(別紙6)
収支一覧表
相手方収入支出残余金
A1福岡市議

2376万42
47円
2367万51
40円
8万9107円
A2福岡市議

5040万36
70円
4753万61
33円
286万753
7円
A3福岡市議

4130万37
95円
4129万34
07円
1万0388円
A4福岡市議

2520万13
26円
2335万81
98円
184万312
8円
A51680万08
82円
1675万72
00円
4万3682円
A6福岡市議

432万019
9円
431万989
1円
308円
A7840万042
3円
787万049
3円
52万9930

A870万円69万9987

13円
A9312万002
6円
222万120
0円
89万8826

A10312万056
6円
311万897
2円
1594円
A11312万円311万896
0円
1040円
A12312万003305万6996万3038円
6円8円
A13312万038
5円
233万452
0円
78万5865

A14312万022
7円
296万100
0円
15万9227

A15312万011
1円
312万011
1円
0円
A16312万002
3円
311万662
3円
3400円
A17312万028
7円
312万円287円
A18312万014
2円
312万014
2円
0円
A19312万052
5円
312万022
8円
297円
A20312万037
8円
307万906
3円
4万1315円
A21312万023
8円
309万275
7円
2万7481円
A22312万円312万円0円
A23312万026
9円
310万947
4円
1万0795円
A24312万004
8円
312万004
8円
0円
A25312万007
9円
311万991
7円
162円
A26312万004310万4951万5085円
0円5円
A27312万019
3円
312万001
6円
177円
A28312万018
7円
311万986
5円
322円
A29312万045
0円
309万830
1円
2万2149円
A30312万000
7円
312万000
7円
0円
A31312万014
4円
304万067
0円
7万9474円
A32312万019
0円
311万954
4円
646円
A33312万012
2円
311万987
5円
247円
A34312万000
4円
312万000
4円
0円
A3526万円25万3993

6007円
A36130万004
5円
130万004
5円
0円
以上
(別紙7)
書籍一覧表(A2)
日付書籍名支出額
1平成18年4月1日C1580円
24月10日C21420円
34月18日C35000円
44月21日C41680円
54月21日C51985円
64月21日C63150円
74月22日C7620円
84月25日C85000円
94月25日C96000円
104月25日C101年分9000円
114月25日C11ほか16冊1万807
8円
125月26日C121050円
136月3日C13800円
146月3日C142000円
156月10日C152000円
166月19日C16680円
176月30日C17等7550円
187月1日C18等6038円
197月24日C121050円
207月25日C191050円
217月25日C201500円
227月25日C213000円
237月25日C223200円
247月25日C233395円
258月4日C241575円
268月7日C253669円
278月13日C261418円
288月29日C271995円
298月30日C28480円
309月18日C29540円
319月20日C302828円
329月22日C121050円
339月26日C131575円
3410月25日C32579円
3510月30日C33全10巻2万520
0円
3611月9日C34810円
3711月14日C351470円
3811月21日C121050円
3912月21日C36ほか1万979
0円
40平成19年1月5日C32ほか3438円
411月11日C37758円
421月12日C381570円
431月12日C391890円
441月12日C40ほか5214円
451月12日C415310円
461月12日C411万075
0円
471月15日C42866円
481月15日C43等1857円
491月21日C445100円
501月25日C453800円
511月26日C121050円
522月9日C46ほか2000円
532月17日C471860円
542月26日C481050円
553月14日C121050円
563月27日C494633円
以上
(別紙8)
会合等一覧表①(A2)
日付会合名支出額
1平成18年4月1日B1校区子ども会総会会

3000円
24月8日B2区子ども会総会会費5000円
34月10日B3中学校協議会会費3000円
44月22日会費(B4研究会)1万円
54月23日B1校区体育協会総会会

5000円
64月23日B5総会会費7000円
74月29日会費(B6公民館)3000円
84月29日B7校区自治会総会会費3000円
95月7日B7校区体育協会総会会

5000円
105月14日会費(B4研究会)1万700
0円
115月20日高校総会会費1万円
125月26日会費(B8会費)1万円
136月4日B3中学校協議会会費3000円
146月11日B1校区子ども会会費3000円
156月24日B1校区自治協議会会費3000円
167月4日会費(B8会費)1万円
177月8日B9公民館落成式会費5000円
187月8日会費(B4研究会)1万円
198月4日B10会費5000円
208月26日会費(B11校区)3000円
218月29日会費(B12懇親会)5000円
229月16日会費(B4研究会)1万円
239月19日会費(B13校区)3000円
249月21日B2区自治組織等連絡協
議会会費
5000円
259月29日B3中学校会費3120円
2610月1日B14福祉会会費3000円
2710月6日会費(B8会費)1万円
2810月8日B1体育協会会費3000円
2910月29日B1公民館文化祭会費3000円
3011月4日会費(B4研究会)1万円
3111月5日B1子ども会会費3000円
3211月11日B11小学校式典会費5000円
33平成19年1月4日B1校区自治協議会会費3000円
341月5日意見交換会(B15区新春
の集い)
4000円
351月5日B2区新年交歓会費4000円
361月7日B11校区新年会費3000円
371月9日B16区新春の集い会費4000円
381月9日B17区新春の会費5000円
391月13日B7校区自治会会費3000円
401月15日B18同業組合祝賀会費1万円
411月27日B19会費5000円
421月27日会費(B4研究会)1万円
431月29日B20支部祝賀会費(美容1万円
組合)
442月2日B13会会費(PTAOB
会/教育協議)
6000円
452月21日会費(B8会費)1万円
463月15日B3中学校協議会会費3000円
473月17日会費(B4研究
会)
1万円
以上
(別紙9)
会合等一覧表②(A2)
日付会合名支出額
1平成18年4月8日B2区子ども会懇親会費5000円
24月10日入学式会費5000円
34月11日入学式会費2000円
44月18日B21後援会費4万800
0円
54月22日公民館落成式会費5000円
64月23日B22区子ども会育成連
合会歓送迎会会費
5000円
75月13日B23育成連合会3000円
85月14日B24公民館落成式祝賀
会会費
3000円
95月18日B21後援会費2万600
0円
105月18日B21後援会費2万600
0円
115月20日B25公民館B26落成
祝賀会会費
3000円
125月27日B27公民館落成式祝賀
会会費
3000円
135月27日会議費(公民館落成会費)5000円
146月17日B25校区自治連合会歓
送迎会会費
5000円
157月2日会議費(B28区ソフトボ5000円
ール大会会費)
167月8日公民館落成式・B29会費5000円
179月21日B2区自治組織連合会懇
談会費
5000円
1810月8日B30地区運動会会費2000円
1910月21日B25中学校移転開校記
念式典会費
4000円
2011月12日敬老祝賀会会費3000円
2111月18日B31中学校創立20周
年記念式典会費
3000円
2211月18日小学校祝賀会費5000円
2311月25日B32校区親睦会会費1万円
24平成19年1月5日会議費(市政全般につい
て・会費)
4000円
251月5日B22区新春のつどい会

5000円
261月6日B33校区新年交歓会の
会費
1500円
271月7日B34まちづくり協議会
新春の集い会費
2000円
281月7日B35校区自治区協議会
新年互礼会会費
5000円
291月7日B25校区自治協議会新
春の集い会費
5000円
301月19日B36受賞記念祝賀会会

1万200
0円
312月8日B37を支援する会年会

2000円
323月15日卒業式会費2000円
以上
(別紙10)
書籍一覧表(A4)
日付書籍名支出額
1平成18年8月7日雑誌「C50」8月号と推

800円
29月21日雑誌「C51」10月号と
推測
1000円
39月29日雑誌「C52」10月号と
推測
1840円
4平成19年1月4日雑誌「C50」1月号,「ふ
くおか経済」1月号と推測
2640円
51月19日C5307冬号1050円
61月19日雑誌「C51」2月号1000円
71月19日雑誌「C54」他7280円
83月20日雑誌「C51」4月号1000円
93月20日雑誌「C54」他7490円
以上
(別紙11)
適正な支出一覧(A6)
番号日付支出項目支出額
1平成18年4月6日研究研修費1万0100円
24月6日資料購入費1万0000円
34月17日資料購入費7900円
44月28日資料購入費260円
55月8日研究研修費3万0000円
65月25日資料購入費1万0000円
75月25日研究研修費5000円
85月29日研究研修費1万0630円
95月31日資料購入費260円
106月2日資料購入費2万0000円
116月30日資料購入費260円
127月3日資料購入費3万3750円
137月14日資料購入費1800円
147月27日資料購入費260円
158月24日資料購入費2920円
168月31日資料購入費260円
179月11日資料購入費800円
189月14日研究研修費3000円
199月29日資料購入費260円
2010月3日調査旅費4万2420円
2110月10日資料購入費3万4560円
2210月10日研究研修費4万8000円
2310月10日調査旅費4万0860円
2410月31日資料購入費260円
2511月15日研究研修費7000円
2611月29日資料購入費3万3750円
2711月30日資料購入費260円
2812月20日資料購入費1万0000円
2912月28日資料購入費260円
30平成19年1月31日資料購入費260円
312月21日資料購入費3490円
323月1日資料購入費1800円
333月5日資料購入費3万7245円
343月5日資料購入費3万4560円
353月27日資料購入費3万3750円
363月28日資料購入費260円
合計47万6195

以上
(別紙12)
1件当たり5万円未満の支出一覧(議員)
番号議員名1件5万円未満の支出

目的外支出
1A10139万9855円69万9928円
2A1174万5360円37万2680円
3A1280万8073円40万4037円
4A13114万4520円57万2260円
5A15192万0111円96万0056円
6A1666万7246円33万3623円
7A18204万0142円102万0071円
8A1958万9228円29万4614円
9A2040万3642円20万1821円
10A21128万6037円64万3019円
11A2255万0500円27万5250円
12A2326万5174円13万2587円
13A24114万9811円57万4906円
14A257万5922円3万7961円
15A26232万3090円116万1545円
16A27177万6766円88万8383円
17A28114万8865円28万4715円
18A29190万6841円95万3421円
19A30312万0007円132万8576円
20A31283万5370円141万7685円
21A32233万6944円116万8472円
22A33228万3775円114万1888円
23A34312万0004円156万0002円
24A3525万3993円12万6997円
25A36100万3245円50万1623円
以上

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