弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴はこれを棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は弁護人清瀬一郎、回内山弘作成名義の別紙控訴趣意書と題する
書面記載の通りであるから、これを本判決書末尾に添附しその摘録に代え、これに
対し次の通り判断する。
 論旨第二点について。
 <要旨第一>原判決挙示の証拠に依れば、被告人は自己並にその妻である原審相被
告人Aが、いづれも麻薬中毒患者であつてその中毒症状を緩和すること
に施用するため、原判示第二掲記の期間、自宅において原判示数量の塩酸モルヒネ
を所持していたことを認めるに足るのであるから、右のような目的で自宅において
被告人が麻薬を所持したことは、被告人がB診療所長たる医師として麻薬取扱者た
る地位身分を有していたとしても、所論のように業務の目的の範囲内の行為である
ということはできない。蓋し、所論のように、被告人の右麻薬の所持が、被告人及
びその妻Aの胃痛又は神経痛の鎮静のために施用することを目的としたものである
ことは、原判決挙示の証拠に照らし、これを肯認し難いところであり却つて前記の
ように自宅において自己及びその妻の麻薬中毒症状の緩和に施用するためであつた
とすれば、麻薬取締法の禁ずる目的のため麻薬を所持していたこととなるからであ
る。このことは被告人が医師であることの故に、その理を異にする理由を見出し難
い。しからば、被告人の右麻薬の所持を業務の目的外の所持と認定した原判決は正
当であり、所論のように条理に反するものではないから論旨は理由がない。
 第三点について。
 <要旨第二>原判決挙示の証拠就中被告人の検察官に対する第二回供述調書中の供
述記載に依れば、被告人は昭和二十五年九月十八日麻薬施用者であるB
診療所長の地位にある医師として、業務上C鉄道の公金により、Dから塩酸モルヒ
ネ末五瓦入十瓶を代金八千二百十円で買受け、これを麻薬管理者として同診療所の
金庫に入れ業務上保管中、原判示第一の(一)乃至(四)の日頃、塩酸モルヒネ末
五瓦入一瓶宛を、専ら自宅において自己竝に妻Aの麻薬中毒症状緩和に施用するた
め、右診療所の金庫から持ち出し、自宅に持ち帰つたことを認めることができるの
であるから、被告人が右麻薬を自宅に持ち帰つた所為は、自己の占有する他人の麻
薬を不法に領得する意思を表現する行為に外ならない。原判決が所論のように右麻
薬をB診療所の所有にかゝるものと判示していることは、その買受資金が、C鉄道
から支払われている点から見れば、正当でないとしても、その所有者が、いづれに
あるを問わず、被告人個人が右麻薬を買受け、これを所有したものではなく、被告
人は、B診療所長として他人の所有する麻薬を業務上保管していた者であり、しか
も、これを、医師たる同診療所長として、同診所における正規の医療行為のために
のみ使用する権限を有するに過ぎず、これを自己又はその妻の麻薬中毒症状緩和の
ため自宅に持ち帰ることは、同診療所長の権限内の所為であるということはできな
い。被告人が、所論のようにC鉄道の職員であり、被告人の妻Aは、その家族であ
つて、被告人が治療し施薬する義務のある対象であるとしても、このことは、被告
人が右のように麻薬を自宅に持ち帰つたことを不法領得の意思の表現であると認め
るに妨げとなるものではない。しからば、被告人の右所為を業務上横領罪に問擬し
た原判決は結局相当であり、原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がな
い。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 近藤隆蔵 判事 吉田作穂 判事 山岸薫一)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛