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平成18年11月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成17年(ワ)第2831号損害賠償請求事件
口頭弁論終結の日平成18年10月13日
判決
主文
1被告は,原告に対し,820万5614円及びこれに対する平成17年7月
28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求を棄却する。
3訴訟費用はこれを2分し,それぞれを被告及び原告の各負担とする。
4この判決は,原告勝訴の部分に限り,仮に執行することができる。
ただし,被告が410万円の担保を供するときは,その仮執行を免れること
ができる。
事実及び理由
第1原告の請求
被告は,原告に対し,1714万9344円及びこれに対する平成17年7月
28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,被告の設置する高等学校の野球部員であった原告が,その練習の過程
で右眼を負傷したのは,顧問兼監督であった担当教諭が事故発生防止のために尽
くすべき注意義務を怠ったためであるなどと主張して,国家賠償法1条1項に基
づき,被告に対し,損害賠償とこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みま
で民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1前提事実(当事者間に争いのない事実,証拠によって明らかな事実等)
(1)当事者
原告は,昭和61年11月21日生で,平成16年3月当時,被告の設置
するA高等学校(以下「本件高校」という。)の2年に在籍し,硬式野球部
(以下「野球部」という。)に所属していた。
B教諭(以下「B教諭」という。)は,当時,本件高校で教鞭を執ってい
た教師で,野球部の顧問兼監督をしていた。
(2)事故の発生
本件高校の野球部は,平成16年3月17日午前9時ころから,本件高校
の校地内にあるグラウンド(以下「本件グラウンド」という。)において練
習を行っていたところ,原告は,三塁手としてこれに参加していた。
原告は,同日午前11時35分ころ,アップ(肩慣らし運動)として行わ
れていたゴロ捕り練習中,一塁手のC(以下「C」という。)が投げたゴロ
を捕球し,これを返球した直後,折から外野手に向けてノックをしていた捕
手のD(以下「D」という。)の打った球が右眼付近を直撃する事故に遭っ
た(以下「本件事故」という。)。
(3)原告に対する治療と後遺障害
原告は,本件事故発生後,直ちにE病院に搬送されて診察を受け,翌日か
ら平成17年6月14日までの間に24回通院した(甲8の1ないし25)
ほか,F病院に平成16年4月5日及び同年5月10日の2回(甲9の1な
いし3),小牧市所在のG眼科に平成17年4月26日の1回(甲10),
Hに平成16年3月18日から平成17年6月11日までの間に12回(甲
2),それぞれ通院した。
原告の裸眼視力は,本件事故前は両眼とも1.5であったところ,平成1
7年5月31日,右眼は0.1(矯正0.2),左目は0.4(矯正1.
0)に低下するとともに,右眼に外傷性散瞳があって,中心付近に暗点が存
在する後遺障害が残った状態で症状固定した(甲1の1・2)。
(4)原告に対する損害補填
原告は,本件事故に関して,以下の金員の給付を受けたところ,その合計
額は,233万4312円となる。
ア独立行政法人Iは,平成18年5月31日,原告の後遺障害を障害等級
13級と認定して,140万円を給付した。
イJは,平成16年11月5日,治療見舞金6913円,平成17年1月
17日,同873円,同年12月19日ころ,同3517円,平成18年
6月29日,同312円及び障害見舞金93万4000円を給付した。
2本件における争点及びこれに対する当事者の主張
(1)被告の責任の有無
(原告の主張)
ア部活動における教諭の注意義務
人は,機械と異なって,いくら訓練しても低くない確率で過ちを犯す。
1件の重傷事故の前には29件の軽傷事故が,その前には怪我に至らない
300件の事故があるというハインリッヒの法則がある。それ故,人は過
ちを犯すことを前提として,それを認識,予測して,事故発生を未然に防
ぐシステムを考え,実施しなければならない。
したがって,教諭が部活動の現場(休憩時間中であろうとなかろうと)
にいて,練習方法などが万が一にも生徒の身体・生命に危険を及ぼすかも
しれないことを知っているか,容易に知り得る状況にあるとともに,その
危険を容易に阻止・除去できる場合,当該教諭にその危険を阻止・除去す
べき義務が課せられることは当然である。
とりわけ,高校における部活動としてのスポーツ練習は,プロ選手を育
成するためのものではなく,体力の増強と生涯を通じてのスポーツの楽し
さを会得させることを主目的としているから,最優先されるものは安全で
あり,指導者は常にその確保に全精力を注がなくてはならない。特に硬式
野球では,いったんミスが起きれば重大な事故につながりやすいので,そ
の部長・監督などの指導者には,一般の教諭よりも慎重な危険防止義務が
課せられている。
イ本件事故の態様
本件事故当日,野球部キャプテンのK(以下「K」という。)は,守備
練習やバッティング練習の終了後,部員を集合させ,次は試合形式のノッ
ク練習を行う旨説明した。その際,B教諭は,部員らに対し,試合も近い
ので気合いを入れて練習するようにと訓示した。
その後,上記練習前のアップとして,レギュラー選手たちは,各ポジシ
ョンに就き,内野手は一塁手のCを起点としたゴロ捕り練習を,外野手は
B教諭の代わりのDによるノック球の捕球練習をすることとなった。
かくして,内野手のゴロ捕り練習が4,5球行われ,外野手へのノック
も4,5球行われたころ,三塁ベースから約2メートル斜め後方に位置し
ていた原告は,その位置でCから送られたゴロを捕球し,1,2歩一塁方
向に踏み出してCに返球し,三塁に戻ろうとした直後,Dのノック球が右
眼のこめかみ寄りを直撃する事故に遭ったものである。
ウ本件事故の原因とB教諭の注意義務違反
(ア)本件事故は,水分補給をしたレギュラー全員が,各ポジションに就
いて,キャッチボールや一塁手からのゴロ捕球,返球などのアップをし
ていた際に発生したものであり,休憩時間中のものではない。
すなわち,キャプテンであるKが次は試合形式のノック練習を行うと
の号令を掛けたのに続き,B教諭が公式戦も近いから気合いを入れて練
習せよとの喝を入れ,その上でレギュラー選手全員が定位置に就き,B
教諭から代わりに打つよう指示されたDがノックしていた中で起きたも
のであり,B教諭の管理下,少なくとも同教諭の面前で練習が行われて
いた時の事故である。
(イ)かかる練習において,危険を根本的に阻止・除去するためには,
a本塁からのノックの場合,使用球を1個にして,全選手をノック球
に集中させる,
b外野から外野にノックさせる,
c本塁と一塁,本塁と三塁の間に防球ネットを設置する(危険なノッ
ク球は,打ち損じの角度の低いライナー性の打球であり,フライ球は
それほど危険ではない。防球ネットは,その設置場所を考えれば,角
度の低いライナー性の打球が一塁手や三塁手を直撃する事故を防止す
るのに有効である。),
などの措置が必要である。
しかるに,B教諭は,ノッカーであるDの第一打球がライナーで遊撃
手の横を抜けたことを認識し,打球が内野手に衝突する危険性を具体的
に予見したにもかかわらず,Dがノックを続けるのを1分も放置したた
め,本件事故が発生したものであり,注意義務に違反する重大な過失が
存したことは明らかである。
(ウ)この点について,被告は,B教諭が2個の球を同時に使用した練習
を禁じ,時間差練習をさせていて,それが守られていた旨主張する。
しかし,本件において,Dは,短時間内に4,5球ノックを行い,C
はゴロを遊撃手,二塁手,三塁手に投げ,それぞれ捕球,返球が行われ
ているから,時間差練習でなかったことは明らかである。そもそも,時
間差練習などをしていたのであれば,まともな練習などできるわけはな
く,そのような指導はなかった。
なお,このような同時練習は従前から行われており,原告らは,B教
諭の日頃の指示どおりに練習していたにすぎない。当日も,B教諭の眼
前で行われていて,本件事故発生までに何球かのゴロ捕り及びノックが
行われていたものである。
(エ)また,被告は,レギュラー選手が選手同士で声掛けするなどして行
われていたから,危険が予見される状況になかった旨主張する。
しかし,かかる認識は極めて甘いといわざるを得ない。事故発生の確
率が1パーセントでも,0.1パーセントでも予想され,それを回避で
きるのにその措置を講じなければ,過失が存したことは明白である。本
件事故は,ゴロ捕りとノック練習を別々の球で同時に行わせたことから
生じたものであり,少し注意すれば,かかる危険は予見することができ,
かつ結果の回避も容易であった。
原告は,一塁手のCからのゴロを捕球し,これを返球した瞬間にノッ
クの打球を受けたものであり,このような練習をしている原告が,かか
る結果を回避できた可能性は100パーセントない。もちろん打ち損じ
たDにも責任がないことは明らかであり,責任は,安易な考えの下でゴ
ロ捕り練習とノック練習をさせ,危険回避の努力を放棄したB教諭にあ
る。
(被告の主張)
原告の主張は争う。
ア課外活動としての部活動における注意義務
課外活動としての部活動は,学校の教育活動の一環として行われている
から,基本的には生徒の自主自律的な活動を主体とするものであり,教諭
(顧問あるいは監督)に,生徒を指導し,事故の発生を防止すべき一般的
な注意義務(安全配慮義務)が課せられていることは否定しないが,これ
は,文字どおり,一般的な注意を生徒に与えることを意味する。教諭が,
かかる一般的注意義務を超えて,部活動中,常時,生徒を監視・指導すべ
き義務を負うのは,諸般の事情から,何らかの事故が生ずる危険性が具体
的に予見可能な場合に限られる。
すなわち,レギュラー選手が,これから始まる試合形式のノック練習に
備えて,各自がアップをしているときに,レギュラー選手であれば当然に
守るであろう行動時の注意を信頼して危険性の評価をすれば足り,特別の
事情がないのに,通常の行動予測に反する行動を取ることがあるかもしれ
ないことまで考慮に入れて危険性評価をすることまで,教諭に注意義務が
課せられているものではない。
イ本件事故の概要
(ア)本件高校の野球部は,平成16年3月17日,部員36名(原告を
含む2年生12名,1年生24名)が参加して,本件グラウンドで練
習を行ったところ,その内容と時間経過は,以下のとおりであった。
a午前9時準備体操
b同9時30分キャッチボール
c同9時40分トス練習
d同9時50分バント練習(3分ほど小休憩,水分補給)
e同10時バッティング練習(5分ほど小休憩,水分補給)
f同11時ノック練習(部員全員の守備練習)
g同11時30分ノック練習終了(5分ほど小休憩,水分補給)
h同11時35分本件事故発生
(イ)B教諭は,gの後,一塁側ベンチに全員を集合させ,キャプテンで
あるKから,次の練習は試合形式ノック(走者付きのレギュラーのみの
守備練習)であり,その他の部員は水分補給等を行い,休憩することを
伝えた。
B教諭は,その際,右肘が痛くなったので,次の練習から誰か代わり
にノックしてほしいこと,公式戦が近いので,全員,けがのないように
十分注意し,気合いを入れて練習するよう伝えた。
B教諭は,その後,ベンチ付近に戻り,水分補給等を行った。
(ウ)その後,水分補給を終えたレギュラーメンバーが,次の試合形式ノ
ック練習に備えて,各自が自主的に各ポジションに就き,キャッチボー
ルや一塁手からのゴロを捕球,返球するなどのアップ練習を開始した。
B教諭は,ベンチ付近で水分補給した後,氷で右肘をアイシングしな
がら,ベンチ付近で近くの部員と休憩を取っていた。
そのころ,部員の協議によってB教諭の代わりにノックをすることと
なったDが,部員に対して声掛けをしたり,動作でこれを示した後,ホ
ームベース付近から中堅手(L)に向かって外野ノックを始めたが,そ
の間にいた遊撃手のKは,ノックを意識している様子であった。
(エ)B教諭は,Dの何球目かのノックが,ライナー性の打球となって
Kの横を抜けて行くのを見て,万が一にもけがをさせないかと目を配っ
た直後,再びDの打った球が遊撃手の左側方向にそれ,その先にいて,
一塁手のCからのゴロを捕球して返球するという軽い守備練習をしてい
た三塁手の原告の右眼付近に,ノーバウンドで当たってしまった。
このように,本件事故は,B教諭がグラウンドに目を向け,Dがノッ
クをしているのに気が付いてから1分も経過していないうちに発生した
ものである。
ウB教諭の注意義務違反の不存在
原告は,B教諭に不作為の過失が存すると主張するところ,以下のとお
り,本件事故の発生は,B教諭にとって予見できなかったから,結果回避
のための作為義務は存せず,過失が存したとはいえない。仮に,過失があ
ったとしても,結果回避の可能性は存しなかったから,本件事故の発生と
の間に相当因果関係は存しない。
(ア)本件事故は,小休憩後の練習として予定されていた試合形式のノッ
ク練習に備えて,選手たちがアップとして,各自が自発的に守備位置に
就き,Dによる外野手へのノックの合間に,一塁手との間でゴロの捕球,
返球を行っていた際に発生したものである。したがって,正確には,本
件事故は,正式な練習中の事故ではなく,自主的なウォーミングアップ
中に発生したものである。
ところで,教諭は,部員の行うアップについて,逐一,注意や指示を
行うことはしない。事前に,包括的かつ一般的な注意や指示を行うにす
ぎず,具体的な内容は各部員の自己判断に委ねられている。野球のよう
な集団スポーツは,それぞれの部員同士が,適宜話し合って進めるので
ある。したがって,B教諭が,このアップについても常に監視・指導し
なければならないという注意義務を負うことはない。
(イ)選手がノックして練習することは,B教諭が仕事の都合でグラウン
ドに出られないこともあるため,日常的に行われていたことである。B
教諭は,選手によるノックについて,かねてから,①グラウンド内の全
員がノックの打球を注視すること,②ノッカーは,それぞれのポジショ
ンに声を掛け,周囲をよく確認してから打つこと,③ノックの前には,
グラウンド整備を必ず行うこと,などを事前指導してきた。このような
ことは,野球をする人間にとって当たり前のことである。
原告は,1つのグラウンド内で2つの練習を無関係に同時並行で行わ
せた旨主張するが,B教諭は,このような練習を行わせたことはない。
課外活動である部活動においても,限られた時間,場所で練習を行う以
上,外野ノックの合間に,内野手間にて捕球,送球の練習を行うことは
当然にあるが,これは2つの練習を同時並行で行っているのではなく,
時間差を置いて,順次,次の守備練習を行っているにすぎない。
もちろん,原告らレギュラーメンバーは,このことを理解し,認識し
ていたものであり,アップのためにノックするときは,これらが実践さ
れていて,この指導に反する危険な行為を行う選手はいなかった。原告
は,Dが外野手へのノックをしていることを当然に知っていたものであ
り,ノックの打球が,万が一,意図する方向と異なる方向にそれても,
危険を回避することは十分に可能であった。
(ウ)B教諭は,本件事故発生の直前,①現場にいるのがすべてレギュラ
ー選手であり,全員が相当程度の技能を有するとともに,野球の怖さも
理解していること,②ノックをしているときは,その球の行方その他を
見ることによって,危険を了知ないし回避することのできる能力を十分
に持っており,ノックの際,改めて注意をしなければならない未熟者は
いないこと,③ノックをしていたDが声掛けしたり,これからノックす
ることを仕草で示していたこと,④ノック球がKのすぐ横を通過したが,
Kが球を避け,DがKに守備位置を変えるように指示しているのを見て,
適切に対応していると思われたため,格別,問題を生ずるような危険な
状況とは考えられなかったことから,そのまま様子を見ていたにすぎな
い。このように,B教諭が危険を事前予測することは困難であったから,
注意義務違反があるというのは,結果論にすぎない。
Dも,ノック経験が部員中では一番豊富で,ノッカーとしての技量に
特に不安を抱かせる事情はなかった。無論,ノッカーのノックが百発百
中,狙った方向に飛んでいくことはあり得ないが,打球が守備に就いて
いる選手を直撃することは,通常,余りないことである。それは,各選
手が打球の行方に気を付けているからであり,このことは,野球選手の
常識である。
スポーツ競技の場合,スポーツ選手ならばこのように行動するであろ
うと信頼してよい場面においては,これに参加している選手の間で,そ
のような信頼に反する行動が取られた結果,事故が発生しても,法的な
意味で過失が存するというのは疑問である。いわゆる信頼の原則が適用
される場面であり,高校の部活動としての野球部活動においても,それ
を前提とした過失論が論じられるべきである。
(エ)原告は,防球ネットを設置しなかったことを過失として主張する。
野球部の練習に際し,安全確保のためにこれを設置することが有効で
あることは否定しない。
しかし,防球ネットは,例えば,ピッチャーライナーに対する反応時
間が確保されないバッティングピッチャーを保護するためや,狭いグラ
ウンドで複数の活動を同時に行う場合などには設置されるが,本件はこ
れが求められた場面ではない。すなわち,本件は,試合形式のノック練
習に備えたアップとして,内野の各ポジション間で自主的な球回しが行
われていたもので,仮に防球ネットを設置すると,試合形式のノック練
習を開始する前にこれを撤去しなければならないし,一塁手からのゴロ
は,防球ネットより広い範囲で動くことになるので,その設置は余り意
味がない。
このような場合は,ノッカーが声掛けするなどの方法が一般的に行わ
れており,防球ネットを設置しなかったからといって,B教諭の過失と
はいえない。
(2)過失相殺の可否・程度
(被告の主張)
ア一口に,学校におけるスポーツ事故といっても,体育授業中のもの,正
規の授業として行われるクラブ活動中のもの,課外部活動中のものなど,
その発生状況が異なることはもとより,生徒に関しても,小中学生か高校
生か,その生徒の技量,危険察知能力,危険回避能力等がどのようなもの
であったか,当該スポーツの危険性の程度はどのようなものかなど,諸般
の事情を総合的に検討して,過失割合の判断がなされている。
イ本件においては,①原告は,高校3年生に進級間際で,事理弁識能力を
十分に備えていること,②正課の授業中ではなく,生徒の自発的・自主的
活動を前提とする部活動中に事故が発生したこと,③原告は,レギュラー
選手として,相当高度な技量を有しており,行動に責任を持ち,安全確保,
事故防止を自己の責任で実現することが期待できる能力を有していたこと,
④原告自身,本件グラウンドにおける野球部の練習やアップについては,
日常的な活動として何度も経験しており,その関係者が危険回避行動を取
ると信頼してよい者であったこと,⑤本件事故の契機となったノック自体,
B教諭が指示したものではなく,あくまでも各選手の自発的な行動として
のアップに際してのものであること,⑥当日の原告の行動が日頃とは少し
異なっていたとの指摘があることなど,本件事故発生に原告の過失は大き
く寄与していたというべきであるから,その割合は6ないし7割,少なく
とも5割を下回るものでないことは明らかである。
(原告の主張)
被告の主張は否認ないし争う。以下のとおり,原告に過失など存しない。
ア本件事故は,原告が一塁手のCからのゴロを捕球し,返球して三塁に戻
ろうとした時に,Dが打ち損じたノック球が右眼付近を直撃したものであ
るが,三塁手である原告は,一塁手から送球されれば,これを捕球し,返
球するという練習をしており,これを行うのが原告の義務であったもので
ある。
そのような原告に,Dがノックを打ち損じ,自分に向かってくるかも知
れないと予測し,あるいはそのような予測をして,Dがノックしようとし
ているから,Cからの送球を捕球し,返球することをやめることなどでき
るわけがない。仮に中止すれば,野球の練習ではなくなり,まして,公式
試合が近いから気合いを入れて練習せよとのB教諭の指示に明らかに反す
ることになる。
イまた,原告が体調が悪く,日頃の行動と異なっていたとの主張は,何ら
根拠がない。仮に原告の体調が悪かったとしても,体調とノック球が当た
ることとは全く関係がない上,真実,原告の体調不良が本件事故の原因で
あるならば,かかる状態の原告を練習に参加させたこと自体がB教諭の大
きな過失というべきである。
(3)原告の損害額
(原告の主張)
原告の被った損害は,以下のとおり,合計1948万3656円となると
ころ,独立行政法人IやJからの給付金233万4312円を控除した残金
は,1714万9344円となる。
ア逸失利益1393万3656円
本件事故発生前における原告の裸眼視力は,両眼とも1.5であったと
ころ,前記のとおり,本件事故によって,右眼の裸眼視力0.1(矯正0.
2),左眼の裸眼視力0.4(矯正1.0)に低下し,文字の判読や日常
の生活・学習に支障を来している上,将来への不安も払拭できない状態に
陥った。このような後遺障害は,自賠責保険後遺障害等級12級1号に当
たる。
原告は大学進学を目指していたから,その逸失利益算定の基礎となる収
入は,全国全産業,男子労働者学歴計の賃金センサスによるのが相当であ
るところ,そして,平成15年の平均年収は547万8100円であるか
ら,これに労働能力喪失率14パーセント,19歳から67歳までの稼働
期間49年に対応するライプニッツ係数18.168をそれぞれ乗ずると,
その逸失利益は1393万3656円となる。
イ慰謝料381万円
原告は,前記のとおり,E病院に24回,F病院に2回,G眼科に1回,
Hに12回,合計39回通院したところ,平均して3日ごとの通院と仮定
すれば,その期間は約4か月となり,これによる慰謝料は81万円が相当
である。
また,上記のとおり,原告の後遺障害は等級12級に相当するところ,
これによる慰謝料は300万円が相当である。
ウ治療費4万円
原告は,H(M)に対し,治療費として合計4万円を支払った。
エ弁護士費用170万円
本件事故と相当因果関係を有する弁護士費用として,上記金額が相当で
ある。
(被告の主張)
原告の主張のうち,本件事故発生後,原告がE病院及びF病院にて診察を
受けたことは認めるが,その余は不知ないし争う。
第3当裁判所の判断
1争点(1)(被告の責任の有無)について
(1)一般に,学校教育に付随する部活動においては,これによって生徒が危害
を受けることがないよう,指導,監督に当たる教諭等に,安全を確保すべき
義務が課せられていることはいうまでもない(被告も,一般論としては認め
ている。)。
したがって,上記の指導・監督に当たる者は,生徒の自主性をできる限り
尊重しつつも,事故等の発生が予想される場合には,これを防止するのに必
要な措置を積極的に講ずるという注意義務を果たさねばならず,これを怠っ
た結果,生徒に損害を生じたときは,当該学校の設置,管理者に賠償責任が
生ずることも明らかである。
(2)これを本件について検討するに,前記前提事実((1),(2))に証拠(甲3
ないし5,7,乙1ないし10,14,証人D,同B,原告本人。ただし,
認定に反する部分は除く。)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が
認められる。
ア本件高校の野球部は,平成16年3月17日,春の公式戦に向けた全体
練習を本件グラウンドで実施した。参加部員は,1年生(2年生進級予定
者)24名,2年生(3年生進級予定者)12名の合計36名であった。
当時の野球部のレギュラーメンバーは,投手がN,捕手がD,一塁手が
C,二塁手がO,三塁手が原告,遊撃手がK(キャプテン),左翼手がP,
中堅手がL,右翼手がQの各2年生であった。
B教諭は,大学の体育学部を卒業した後,平成14年4月1日付けでR
県公立学校教員に採用されて本件高校に赴任するとともに,野球部顧問兼
監督を引き継いだ。B教諭は,常日頃から,部員に対して,けがをしない
ように(精神を)集中すべき旨注意していたほか,外野へのノッカーに対
しては,内野手の頭を越える球を打たない(打球の飛びそうな範囲に内野
手がいるときは,ノックをしない)よう指導していた。
イ当日の練習は,午前9時の準備体操によって始まったが,その後の練習
は,あらかじめ定められていたスケジュールに従い,同9時30分からキ
ャッチボール,同9時40分からトス練習,同9時50分バント練習,3
分休憩(水分補給),同10時バッティング練習,5分休憩(水分補給),
同11時ノック(B教諭)による全員の守備練習,同11時30分守備練
習終了と進行し,その時点で休憩(水分補給)に入った。
そこで,練習に参加していた各部員は,B教諭の合図で一塁側ベンチ付
近に集合し,Kから,次は試合形式のノック練習(レギュラーメンバーの
みによる走者付き守備練習)を行うとの話を聞いた。その際,B教諭は,
公式戦も近いので,けががないように気合いを入れていこうと訓示すると
ともに,その前のノック練習の際に右肘の痛みを感じたことから,次のノ
ック練習は誰かが代わってくれと申し向けた。
その場の協議で,ノッカーとしての経験が最も多いDがB教諭の代わり
を務めることになった。各部員は適当に水分補給などして休憩を取るなど
したが,そのうちレギュラーメンバーは,いつものように,次の練習に備
えたアップのため,各守備位置に散っていった。
ウ守備に就いたレギュラーのうち,内野手は,一塁手のCを起点として,
同人からのゴロを捕球し,返球するゴロ捕り練習を開始した。他方,本塁
ベースからやや3塁側に寄った付近に位置したDは,外野手に対するノッ
ク練習を開始したが,その1球目には,目標とする外野手に聞こえるよう
に声を掛け,2球目,3球目は,左手でボールを上げて合図した。
かくして,内野のゴロ捕り練習は,二塁手,遊撃手,三塁手の順で一巡
して二巡目に入り,Dも,外野手へ向けて数球ノックした。
そのころ,B教諭は,一塁側ベンチで,右肘をアイシングしたり,1年
生らと会話を交わしたりしていたが,何気なくグラウンドの方向に目を向
けた瞬間,Dのノック球がライナー性の低い弾道で遊撃手のKの横付近を
通過していくのを見て危険を感じた。しかし,その直後に,Dが,Kに対
して,もう少し左(3塁)側に寄るよう指示したのを聞いて,内野手もノ
ックに気が付いていると思って安堵した。
エ原告は,3塁ベースから斜め後方(2塁寄り)約2,3メートルの定位
置付近にて構えていたが,一塁手のCが3塁ベースから2塁ベース寄り約
2メートル付近めがけてゴロを投げてきたため,ノックの状況に注意を払
うことなく,これを捕球し,さらにピッチャーズマウンド方向に2,3歩
ステップを踏んで投げ返した後,元の位置に戻るべく,本塁ベース方向に
向きを変えようとした。
その直前,Dは,目標である中堅手に向けた視野に何も認めなかったこ
とから,球を軽くトスしてノックしたところ,打球は,想定したような放
物線を描くことなく,左にスライスしつつ,ライナー性の低い弾道をたど
って,原告の右眼こめかみ付近を直撃した。
(3)上記認定事実によれば,本件事故は,外野手に対するノック練習と内野手
によるゴロ捕り練習が,本件グラウンド内で同時に行われていたところ,直
接的には,ノッカーのDが,内野手である原告の動きを十分に把握せず,ま
た1球ごとに内野手に周知させないままノックを行い,かつ,ノック球を打
ち損じた結果,発生したものと認められる。
ところで,ノックの打ち損じという事態は,いかにこれに習熟している者
であっても,その発生を完全に否定することはできないところ,本件のよう
に,同一グラウンド内を内野手に向けられた球と外野手に向けられた球とい
う複数の球(硬式球)が移動しているときは,部員は,とかく自己に関係し
た球に対してのみ注意を奪われがちになることは自然の勢いであり,かつ,
高速度のノック球が人体に衝突した際には,極めて強い衝撃を与え,その部
位によっては重大な結果を招きかねないから,かかる形態の練習を漫然と実
施した場合には,内野手にノック球が衝突する事故が発生することを具体的
に予見することができるというべきである。
かかる事故の発生防止のためには,同一グラウンド内を複数の球が移動す
るような練習をしないことが最も確実であるが,効率的な練習を行う必要上,
やむを得ず,これを行う場合には,参加者全員が,かかる危険性を認識した
上,とりわけ,このような事故発生の危険を作出するノッカーについては,
内野手の動静を十分に把握し,自己の打球が予想外のコースに飛んだとして
も,内野手が対応できることを確認すべきであり,内野でゴロ捕り練習が行
われているかあるいは行われようとしている際には,これが終了して,内野
手の注意がノック球に向けられていることを確実に確認した後でなければ,
ノックをしないことが要請されるというべきである。
そして,本件のように,ノッカーが生徒である場合には,練習に熱中する
余り,あるいは自己の技量を過信する余り,事故防止の観点から必要な上記
の要請を無視ないし軽視して,十分な安全確認をしないまま,ノックを行う
ことが稀ではないと考えられるから,練習を指導,監督すべき立場の者が,
ノッカーに対して,上記の要請を遵守し,安全確認を徹底するよう注意する
義務を課せられているというべきである。
しかるに,B教諭は,けがをしないよう集中すべきことや,内野手を越え
てノックをしてはならないことについては注意を与えていたものの,ノッカ
ーに対する上記のような徹底した注意をDに与えていなかったことは,上記
認定事実のとおりである。
(4)この点について,まず,被告は,本件事故は正式な練習中ではなく,自主
的なアップ中に生じたものであるところ,B教諭は,このアップについて常
に監視・指導する義務を負うものではない旨主張する。
なるほど,アップ自体は監督・顧問の指示によって行われるものでなく,
部員の自主性に依拠していることは否定できないが,その目的は正式な練習
の効果を高めることにあり,実際にも,その前後に行われることが慣例化し
ていたのであるから,監督の指導下にある野球部の練習としては一体のもの
と評価するのが相当である。
そうすると,アップ中であるからといって,部員の安全確保に向けられた
B教諭の注意義務が軽減ないし免除されるものではなく,事故発生という危
険が予見される場合には,これを予防するのに必要な措置を講ずるべきであ
ることに変わりがないというべきである。
次に,被告は,1つのグラウンド内で外野ノックと内野手のゴロ捕り練習
を同時に行う場合,B教諭は,全員がノック球を注視するとともに,ノッカ
ーは声を掛け,周囲を確認してから,すなわち時間差を置いてノックを行う
よう事前指導しており,また,これらは野球を行う者,特に一定の技量を備
えたレギュラーにとって当たり前のことである旨主張する。
なるほど,B教諭が,野球部の部活動を指導するに当たり,安全確保にそ
れなりの注意を払っていたことは,上記認定事実のとおりであるが,その内
容は,けがをしないよう集中すべきことなどの一般的な注意にとどまり,本
件のように,同一グラウンド内で外野ノックと内野手のゴロ捕り練習を同時
に行う場合において,被告の主張するような時間差を置いてノックをすべき
ことを部員に徹底する指導を行っていたとは認め難い。すなわち,B教諭自
身,これを否定するかのような証言をしている(甲7,証人D,原告本人も
同様である。)上,B教諭による指導があった旨の証拠(乙5,6)も,そ
の内容は,ノックしていることを内野手に周知させるべきことや,逆に内野
手はノック球に注意すべきことを注意していたというものにすぎない。
もちろん,上記のような形態の練習において,時間差を置くことなく,ノ
ック球とゴロ球という複数の球が同時にグラウンド内を高速度で移動した場
合の危険性は,少しでも野球の経験を有する者であれば,レギュラーでなく
とも容易に推測し得る事柄であることは否定できない(この点は,争点(2)で
も検討する。)が,さりとて,高校生程度の判断能力では,上記のとおり,
時には練習に夢中になる余り,あるいは自己の技量を過信する余り,他方の
状況を確認せず,時間差を置かないまま,ノックを行うことは十分にあり得
ると考えられる。現に,本件においても,前記のとおり,かねてよりB教諭
の代役を務めることが多く,ノッカーとしての技量に一定の自信を有してい
たと推測されるDは,内野手の動きを十分に把握しないまま,センターへ向
けてノックしたが,打ち損ねたために,ノック球は,意図しない軌跡を描い
て原告に衝突したものであり,このような事態の発生は,予見できないもの
ではないから,信頼の原則の法理の適用の基礎を欠くといわざるを得ない。
(5)よって,被告は,B教諭の勤務していた本件学校の設置,管理者として,
国家賠償法1条1項に基づき,原告に対する損害賠償義務を免れないという
べきである。
2争点(2)(過失相殺の可否・程度)について
前記のとおり,本件事故は,直接的には,ノッカーのDが,内野手の動きを
十分に把握せず,かつノックを行う都度これを周知させる措置を講じない状態
で,打ち損じをしたことによるものであり,それ故に,このような事態の発生
を予防するに足る指導を尽くさなかったと考えられるB教諭について,注意義
務懈怠を肯認するのが相当との結論に至ったのであるが,他方で,①Dは,ノ
ックの開始(1球目)に当たって外野手に声を掛け,内野手もこれを認識し得
たこと,②原告は,ゴロを捕球,返球するに当たり,ピッチャーズマウンドの
方向に数歩進み,ノック球の本来の射程範囲に接近したにもかかわらず,ノッ
クの状況に全く意を払っていないこと,③そもそも,かかる練習方法に一定の
危険が内在することは,高校生であっても,野球部に所属している以上,当然
予想できること,④現に,本件事故の直前には,遊撃手のKの近くをライナー
性の打球が通過しているのを認識していること,以上のような事情を考慮する
と,原告においても,ゴロを捕球,返球するに当たり,ノックの状況を一瞥し
さえすれば,本件事故の発生を避けることができた可能性が高いといわざるを
得ず,したがって,信義則上,原告の被った後記損害について,過失相殺を行
うのが相当である。
しかして,本件事故の態様,B教諭の注意義務懈怠の内容,程度,原告の上
記不注意等を総合すると,上記過失割合は,4割をもって相当と判断する。
3争点(3)(原告の損害額)について
(1)そこで,原告の損害額について判断するに,前記のとおり,原告の裸眼視
力は,本件事故前は両眼とも1.5であったにもかかわらず,平成17年5
月31日,右眼は0.1(矯正0.2),左目は0.4(矯正1.0)に低
下するとともに,右眼に外傷性散瞳があって,中心付近に暗点が存在する後
遺障害が残った状態で症状固定している。
これによれば,原告は,「1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの
(自賠責後遺障害別等級表別表第2の第12級1号)」に準ずる後遺障害を
残して,症状固定したと認めるのが相当であり,その労働能力喪失割合は,
原告主張のとおり,14パーセントと認めるのが相当である。
(2)ところで,原告は,症状固定時において満18歳であったところ,その後
大学に進学していることなどを考慮し,満22歳から満67歳まで稼働した
と仮定した場合の逸失利益は,大卒男子の平均年収(平成16年賃金センサ
スによる)657万4800円を前提に計算すると,以下のとおり,134
5万9877円となる。
6,574,800円×0.14×(18.1687−3.5459)=13,459,877円
そして,上記後遺障害に基づく精神的苦痛に対する慰謝料としては,22
4万円をもって相当と判断する。
また,前記のとおり,原告は,本件事故発生後,E病院に搬送されて診察
を受け,翌日から平成17年6月14日までの間に24回通院したほか,F
病院に平成16年4月5日及び同年5月10日の2回,小牧市所在のG眼科
に平成17年4月26日の1回,それぞれ通院している(なお,原告は,H
に平成16年3月18日から平成17年6月11日までの間に12回,通院
しているところ,通院の時期からすると,本件事故と何らかの関係があるよ
うにもうかがわれるが,これが本件事故による負傷の治療のために必要であ
るとして,医師から指示を受けたことを認めるに足りる証拠はないので,治
療費や慰謝料算定に当たって斟酌できない。)ところ,これらの通院・治療
によって被った精神的苦痛に対する慰謝料としては,70万円をもって相当
と判断する。
以上を加えると,原告の損害額は,1639万9877円となる。
(3)前記のとおり,本件においては,原告の被った損害について4割の過失相
殺を行うのが相当と判断されるので,原告が賠償を受けるべき額は,以下の
とおり,983万9926円となる。
16,399,877円×0.6=9,839,926円
ところで,前記のとおり,原告は,独立行政法人Iほかから,合計233
万4312円の給付金を受けているから,上記金額からこれを控除すると,
未填補の損害額は750万5614円となる。
そして,原告が本件訴訟の提起,遂行を原告代理人に委任したことは記録
上明らかであるところ,本件事案の内容,難易度,経緯,認容額等を総合す
れば,本件事故と相当因果関係を有する弁護士費用としては,70万円をも
って相当と判断する。
(4)よって,被告が原告に賠償すべき金額は,820万5614円となる。
4結論
以上の次第で,原告の本訴請求は,被告に対して820万5614円及びこ
れに対する不法行為後であることの明らかな訴状送達の日の翌日である平成1
7年7月28日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支
払を求める限度で理由があるから認容し,その余は失当として棄却し,訴訟費
用の負担につき民訴法61条,64条を,仮執行の宣言及び仮執行免脱の宣言
(ただし,執行開始可能時期に関する申立ては相当でないから採用しない。)
につき同法259条をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第4部
裁判官加藤幸雄

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