弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士岩本健一郎の上告理由第一点について。
 論旨は、原判決の法令違背を主張する。
 しかしながら、原判決が上告人らの得た利益は相続税法九条により、贈与によつ
て取得したものとみなさるべきものであり、また、所論国税庁長官の基本通達は、
下級行政機関の権限の行使についての指揮であつて、国民に対し効力を有する法令
ではないとした判断は、正当である。したがつて、原判決に所論の如き相続税法違
反はなく、また、通達違背は民訴法三九四条にいう法令の違背にあたらない。
 なお、論旨中、税理士は国家行政組織法上の法機関であるとの主張は、独自の見
解というよりほかはなく、また、通達の内容が事実たる慣習であるとの主張も原判
決の認めていないところである。
 論旨は、結局、独自の見解に立ち或は原判決の認定しない事実を主張して原判決
を非難するものであつて、採用できない。
 同第二点について。
 論旨は、本件のような処分は租税法律主義に反し、これを是認することは憲法三
〇条、八四条に違反すると主張する。
 しかしながら、本件処分の適否は相続税法九条の解釈問題であつて、同条の解釈
として、本件のような場合に、前叙の如く、贈与税納付義務があると解釈される以
上、本件処分は法律に基くものであつて、所論違憲の主張は、その前提において既
に理由がない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    横   田   正   俊

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