弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役一年に処する。
     原審における未決勾留日数のうち六〇日を右の刑に算入する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、検察官が差し出した控訴趣意書に記載されたとおりで、これ
に対し次のように判断する。
 控訴趣意第一について。
 論旨は、原判決が被告人の原判示所為を刑法第二〇四条の傷害罪にあたるとし、
暴力行為等処罰に関する法律第一条の三の常習傷害罪の成立を認めなかつたのは、
法令の適用を誤つたものだというのである。
 そこで一件記録と当審で事実の取調をした結果とをあわせて検討してみると、被
告人は
 (一) 昭和二八年一二月二一日に滝川簡易裁判所で傷害罪により罰金二、〇〇
〇円に、
 (二) 昭和三〇年七月二五日に同裁判所で傷害罪により罰金四、〇〇〇円に、
 (三) 昭和三二年三月一三日に同裁判所で傷害罪により罰金三、〇〇〇円に、
 (四) 同年五月一四日に同裁判所で傷害罪により罰金七、〇〇〇円に、
 (五) 同年七月一九日に同裁判所で暴行・傷害罪により罰金一万円に、
 (六) 昭和三三年二月一二日に同裁判所で傷害罪により罰金五、〇〇〇円に、
 (七) 昭和三四年二月一七日に札幌地方裁判所滝川支部で暴行・傷害・器物損
壤・威力業務妨害罪により懲役一〇月に、
 (八) 昭和三五年七月二〇日に札幌地方裁判所室蘭支部で傷害罪により懲役六
月に、
 (九) 昭和三六年一一月八日に札幌地方裁判所滝川支部で住居侵入・暴行・脅
迫罪により懲役四月に、
 (一〇) 昭和三七年九月一九日に東京地方裁判所で傷害罪により懲役一〇月に
 処せられたことのある者で、これらの暴行・傷害はいずれも酒に酔つての犯行だ
というのであるから、これによつてみると、被告人には酒に酔うと他人に暴行し傷
害を加える習癖があると認めざるをえない。そして、原<要旨>判示傷害の犯行も、
酒に酔つたうえでさしたる理由もないのに他人に暴行を加え傷害を負わせているの
であるから、前刑の執行終了後一年四箇月余を経た時のことであるとはい
え、右の習癖がまだうせずにいてこの機会に発現したものとみなければならない。
そして、常習犯人とは、一定の犯罪を反覆して行なう習癖のある者をいうのであつ
て、その習癖が一定の状態または刺激をまつてはじめて発現するような場合でも、
常習犯人というのを妨げないのである。それゆえ、被告人の暴行の習癖が前記のよ
うに酒に酔つたときだけ現われるということも、その常習性を否定する理由になる
ものではない。ただ、法が常習犯に重い刑をもつて臨んでいる趣旨は、もとよりそ
の犯罪反覆の危険性にあるのであるから、被告人の場合は、もし酒に酔うという状
態の発生するおそれがなければ犯罪反覆の危険性もないわけである。原判決が被告
人が約一年四箇月余の間飲酒を慎んでいたことに着目して常習性を否定したのもこ
の趣旨であろうと思われるが、酒を飲むかどうかは本人の意思いかんにかかること
だとはいえ、他人に勧められるとかその他のことからついまた飲酒するということ
もありうるのであつて、現に被告人は本件の場合知人の家の祝いごとの席上で飲酒
してしまつたのである。そのことからみても被告人が将来絶対に酒を飲むようなこ
とはないとはまだいい切れないのであつて、もし酒を飲めば暴行の習癖が発現する
危険は多分にあるといわざるをえないのであるから、やはり被告人の原判示傷害の
行為は常習としてなされたものというのが相当である。それゆえ、その常習性を認
めなかつた原判決はむしろ事実を誤認したものというべきで、その誤認が判決に影
響を及ぼすことは明らかであるから、論旨は結局その趣旨において理由がある。
 したがつて、その他の控訴趣意につき判断をするまでもなく刑事訴訟法第三九七
条第一項、第三八二条によつて原判決を破棄することとし、同法第四〇〇条但書を
適用して被告事件につきさらに判決をすることとする。
 (罪となるべき事実)
 原判示罪となるべき事実末尾の「負わせたものである。」とあるのを、「負わせ
たものであつて、この行為は常習としてなされたものである。」と改めるほか、原
判決の記載と同一であるから、これを引用する。
 (証拠の標目)
 次の証拠を加えるほか原判決の摘示したものと同一であるから、これを引用す
る。
 一 前科照会書と題する書面(記録四九丁)
 (累犯加重の原因となる前科)
 原判決の記載と同一であるから、これを引用する。
 (法令の適用)
 被告人の判示所為は暴力行為等処罰に関する法律第一条の三前段(刑法第二〇四
条)に該当するが、前記の前科があるので刑法第五六条第一項、第五九条、第五七
条によつて累犯の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、未決勾留日
数の算入につき同法第二一条、原審および当審における訴訟費用の負担に関し刑事
訴訟法第一八一条第一項但書をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 新関勝芳 判事 中野次雄 判事 伊東正七郎)

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