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平成20年11月20日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成18年(ワ)第23435号損害賠償等請求事件
口頭弁論終結日平成20年9月2日
判決
東京都千代田区<以下略>
原告中央化工機商事株式会社
同訴訟代理人弁護士板垣眞一
東京都千代田区<以下略>
被告MMテック株式会社
東京都文京区<以下略>
被告A
東京都文京区<以下略>
被告B
東京都文京区<以下略>
被告C
被告ら訴訟代理人弁護士菊池史憲
同杉浦智紹
主文
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
被告らは,原告に対し,連帯して金9390万9885円及びこれに対する
平成18年11月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,原告が,①被告A,被告B及び被告C(以下被告A,被告B及び被
告Cを併せて「被告Aら」という。)が,原告の取締役在任中に,取締役とし
て原告に対して負う競業避止義務の趣旨に反し,忠実義務及び善管注意義務に
違反する行為を行って原告に損害を与えたなどと主張して,被告Aらに対し,
平成17年法律第87号による改正前の商法(以下「旧商法」という。)26
6条1項又は民法709条に基づき損害賠償を求め,②被告Aらが,原告を退
職後,被告MMテック株式会社(以下「被告会社」という。)の営業活動とし
て行った行為は,自由競争の範囲を逸脱する違法な行為であり,この行為によ
り原告に損害を与えたなどと主張して,被告Aらに対し,民法709条に基づ
き損害賠償を求め,また,③被告会社は,被告Aらによる上記①及び②の行為
について共同不法行為責任を負うと主張して,民法719条に基づき損害賠償
を求めた事案である。
なお,附帯請求は,訴状送達の日の翌日である平成18年11月1日から支
払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求である。
1前提事実(認定事実については末尾に証拠を掲記する。)
(1)当事者
ア原告は,中央化工機株式会社の販売会社として,昭和42年11月に設
立された,一般化学機器,電気機器の販売及び同輸出入等を業とする株式
会社である。
亡Dは,平成13年8月ころに退任するまで,原告の代表者であった。
原告の取締役は,現在,Dの子であるE,F及びGの3名である。
(弁論の全趣旨)
イ被告会社は,平成14年12月16日に設立された,粉砕機及び付属関
連機器の製作・販売・修理及び輸出入等を業とする株式会社である。
被告会社の取締役は,被告A,被告B及び被告Cの3名であり,被告A
が代表取締役である。
(弁論の全趣旨)
ウ被告Aらは,もと原告の取締役であり,平成14年10月26日,原告
の取締役を退任するとともに,原告を退職した。その後,被告Aらは被告
会社を設立し,その取締役に就任した。
(乙9,弁論の全趣旨)
(2)被告Aらの原告の取締役退任,原告の退職の経緯等
アDは,昭和47年に被告Cと再婚した。
Dは,被告Cと再婚後も,前妻との間の子であるE,F及びGとしばら
く同居しており,その後,子供らが自宅を出たため,別居するようになり,
同人らと長らく連絡を取っていなかった。
(甲42,乙3,弁論の全趣旨)
イDは,平成13年8月ころに退任するまで,原告の代表者の地位にあっ
たものの,昭和48年ころから,糖尿病のため視力が徐々に低下し,後に,
眼が不自由な状態となった。
(乙3,弁論の全趣旨)
ウ被告Cは,昭和50年ころ,原告に勤務し始め,その取締役に就任した。
被告Cは,平成10年ころ,健康上の理由から,いったん原告の取締役を
退任し,その後,平成13年にDが取締役を退任したのを機に,取締役に
再び就任した。
(乙3,弁論の全趣旨)
エ被告Aは,昭和51年4月,原告に入社し,昭和54年ころ,原告の取
締役に就任した。
被告Bは,昭和54年4月,原告に入社し,平成5年ころ,原告の取締
役に就任した。
この間,被告Aは昭和56年ころから,被告Bは昭和62年ころから,
D及び被告Cと同居するようになり,被告A及び被告Bが原告の業務の中
心を担うようになっていった。
(乙1ないし3,弁論の全趣旨)
オDは,平成13年8月ころ,病気のため,医者の助言もあって,原告の
取締役を退任した。
その後,被告Aが原告の代表取締役に就任し,原告の経営を行うように
なった。
(乙1ないし3,弁論の全趣旨)
カDは,平成14年9月ころ,入院先から退院するに当たって,自宅には
戻らず,前妻との間の子であるEらの下に身を寄せた。
Dは,原告の株式の過半数を支配する株主であり,同年10月2日,株
主総会の開催を要求した。原告の代表取締役であった被告Aは,財務諸表
の承認,取締役及び監査役の任期満了による改選の件を議題として,同月
26日に株主総会を開催する旨の通知を発した。これに対し,Dは,同月
22日,次期の取締役をD,E及びFとし,監査役をHとする人事案を提
案した。
これを受け,結局,被告Aらは,原告の取締役を退任することになり,
同月26日,原告の取締役を退任するとともに,原告を退職した。そして,
被告Aらが原告の取締役を退任するのと入れ替えに,同日,D,E及びF
が原告の取締役に就任し,Dは代表取締役に就任した。
被告Aらは,同日,Dの代理人であるI弁護士に対し,原告の印鑑類,
鍵類,通帳類,約束手形帳,小切手帳,証券,登記済権利証,約束手形,
納税書類等を引き継いだ。また,被告Bは,業務の引継書を交付するなど
した。
(甲37,39ないし42,53,乙1ないし5,乙6の1・2,乙7ない
し10,乙11の1ないし4,乙12,乙18の1・2)
キ被告Aらは,原告の取締役を退任する前である同月23日には,被告ら
訴訟代理人菊池史憲弁護士(以下「菊池弁護士」という。)を代理人とし
て,原告に対し,取締役の退任及び退職に伴い,①役員在任中の業務執行
がすべて円滑に行われたものであり,原告が被告Aらに対して何らの請求
権を有しないことの確認,②被告Aに対する退職慰労金の支払,③被告A
らの所有する原告の株式の買取り(なお,被告Aらは,三名合わせて約4
5パーセントの原告の株式を有する。乙2,9),④被告Aらが,原告を
退職した後の生活を確保するため,他の企業に就職すること,あるいは,
新会社を設立して事業を行うことについて,被告Aら及び新会社に対して,
何らの請求権を有しないことの確認,その他の要求をした。
しかしながら,原告は,上記①,②及び④については,これに応じず,
③については,買取りに向けて交渉には応じるものの,買取りの確約はで
きない旨の回答をするにとどまった。
その後も,菊池弁護士とI弁護士等との間で,上記の各点等について交
渉がもたれたものの,妥結するには至らなかった。
(甲38ないし40,乙7,8,12,13,乙14の1・2,乙15ない
し17)
クDは,被告Cとの離婚調停中である平成17年5月5日死亡した。
(乙1,弁論の全趣旨)
2請求の原因
(1)被告Aらの原告の取締役在任中の忠実義務及び善管注意義務違反
ア原告の内部資料を持ち出した点
(ア)被告Aらは,原告に在職中に,退任後の競業行為を企て,平成14年
10月ころ,原告の所有に属する,①別紙1経歴簿一覧表(1)ないし
(6)記載の経歴簿,②「お中元リスト」と題するファイル(顧客名
簿),③機械設計図面(ただし,複製図面。原図は原告の下にあり,持
ち出されていない。),④顧客の担当者の名刺のコピー,を原告の下か
ら持ち出した。
なお,経歴簿とは,その表紙に,各機械の名称の略号,機械番号,型
式,顧客名を記載し,顧客と製品の仕様について打ち合わせた経過メモ,
打合せの結果決定された製作仕様書,原価計算のための表,下請業者に
必要部品等を発注するためのリスト,下請業者への発注に当たっての仕
様の指示書,仕様に応じて変更した部分を記入した部品の設計図,納品
までの工程を記載した工程表,取扱説明書,試運転の結果などを綴って
いる帳簿である。
(イ)上記のうち,①の経歴簿,③の機械設計図面,④の顧客担当者の名刺
の写しは,被告会社が原告の顧客に対する営業を行う際の資料として用
いることを目的に持ち出したものであり,②の「お中元リスト」は,原
告が自らの顧客に連絡するのを妨害する目的で持ち出したものである
(当時,原告においては,取引先等の名刺の整理が充分にされておらず,
当該顧客の担当者以外は,「お中元リスト」を見ないと顧客側の担当者
が分からない状態であった。)。
(ウ)取締役は,会社に対して,旧商法254条の3に基づき忠実義務を,
旧商法254条3項,民法644条に基づき善管注意義務を,旧商法2
64条1項に基づき競業避止義務を負う。
被告Aらの行為は,上記①ないし④についての原告の財産権を侵害す
るだけでなく,原告の取締役在任中にした,退任後の競業のための準備
行為であるから,競業避止義務の趣旨に反し,忠実義務及び善管注意義
務に違反する行為である。
イ被告Aらから競業行為を行わない旨の合意を取り付けなかった点
(ア)原告が扱う商品(粉体製造機器)のユーザーは限られているため,原
告の営業活動の中心は,既存の顧客に対するメンテナンスや機械の入れ
換え等の勧誘であり,新規顧客の開拓に向けた営業活動は限られている。
被告Aは昭和54年から,被告Bは平成5年から,原告の取締役を務
め,かつ,営業担当者として営業活動の中心を担っていた者である。被
告Aらが退職した当時,原告には,営業を担当する者が経験の浅い従業
員1名しかいないという状況であった。
したがって,被告Aらは,営業の中心であった被告Aや被告Bが原告
を退職して競業行為を行えば,原告の顧客が被告Aらの設立する競業会
社に取引先を変えてしまう可能性が高く,それにより原告の売上げが大
幅に減少することを認識していたといえる。
以上によれば,被告Aらは,原告の取締役として,被告Aや被告Bか
ら競業避止に関する合意を取り付けるべき,あるいは,少なくとも取り
付ける努力をすべき忠実義務ないし善管注意義務を負っていた。
しかしながら,被告Aらは,自己の利益を優先し,上記義務を怠った。
(イ)なお,Dは,株主として,Dの子であるE及びFを原告の取締役に選
任する旨の提案をしたものの,原告の取締役の人数は,定款で3名以上
と定められており,必ずしも,被告Aら全員を取締役から退任させる意
図であったわけではない。
Dの上記提案の意図は,被告Aらに対して不信感を抱いていたことか
ら,原告の経営を監督することにあったのであり,Dは,被告A及び被
告Bが原告の営業の中心を担っている状況において,被告A及び被告B
が取締役の退任にとどまらず,原告を退職することまでは求めていなか
った。
要するに,被告Aらは,D及びその子らの下で働くことを嫌い,競業
行為を企てた上,原告の取締役を退任し,さらに原告を退職したのであ
る。
(2)被告Aらの原告を退職した後の違法行為(競業行為)
ア被告Aらは,原告との間で競業避止に関する合意をすることを拒否した
ため,取締役退任後は原告に対して競業避止義務を負わない。
しかしながら,競業避止義務を負っていなくても,社会通念上,自由競
争の範囲を逸脱した違法な態様で顧客を奪取したとみられるような場合に
は,当該競業行為は違法であり,不法行為を構成する。
イ被告Aらの競業行為は,次のとおり,自由競争の範囲を逸脱した違法な
行為であるといえる。
(ア)被告Aらは,原告の取締役在任中に退任後の競業行為を企て,上記
(1)アのとおり,原告の下から資料を持ち出した。
そして,被告Aらが,原告の取締役を退任し,さらに,原告を退職し
たのは,Dやその子の下で働くよりは,競業行為により原告の顧客を奪
った方が良いと判断したためである。原告は,被告Aらが退職したこと
により,その営業の中心を失い,営業能力が著しく低下した。
被告Aらは,平成14年12月16日に被告会社を設立し,原告の顧
客に対する営業活動を開始した。この営業活動は,原告の取締役在任中
に得た知識や持ち出した資料を利用して行われたものである。すなわち,
原告から持ち出した資料(経歴簿,お中元リスト,機械設計図面)とデ
ータ(顧客の名刺の写し)があれば,原告がどの顧客にどの機械を売却
したかという事実を把握することができ,顧客の担当者も分かるので,
顧客に営業のための連絡をすることができる。また,被告A及び被告B
は,原告の営業の中心であったから,多くの顧客の担当者と面識もあっ
た。
これらの情報を利用して,被告Aらは,被告会社として,原告の顧客
に対して,メンテナンスや機械の入れ換えについて適時に,そして,原
告の販売価格よりも低額での勧誘を行い,原告の下から持ち出した機械
設計図面を用いて,メンテナンス部品の製作等を行った。
上記行為は,自由競争の範囲を逸脱する違法な行為である。
(イ)原告の販売する機械は,長年の研究開発と改良を重ねてきたものであ
り,この研究開発と改良の結果が機械設計図面に反映されている。換言
すれば,原告の機械設計図面には,多くの時間と多額の費用がかけられ
ている。
被告Aらは,原告が多くの時間と多額の費用をかけて作成した機械設
計図面(振動ミル(B−50型),プレマックス,高純度解砕機の機械
設計図面)を原告に無断で複製することにより,図面の作成に係る費用
の負担を免れており,原告の機械設計図面にただ乗りしている。
原告の機械設計図面にただ乗りして,原告の顧客に対して競業行為を
行うことは,原告と対当な立場で競争しているとはいえない。
原告の機械設計図面を利用,複製する行為は,自由競争の範囲を逸脱
する違法行為である。
なお,被告Aらが原告の下から持ち出した機械設計図面は,次の図面
に限られるものではなく,被告Aらは,高純度解砕機(被告会社におけ
る名称はピンミル),プレマックス(被告会社における名称は,ディス
クミル又は整粒機),ボールミル,振動ミルに係る設計図面をすべて原
告の下から持ち出したものである。
①甲第2号証について
甲第2号証(振動ミル(B−50型)のベアリングケースの図面)
を原告作成に係る甲第1号証と比較すると,形状や各部の数値(公差
の数字を含む。)や指示内容も一致しており,甲第2号証は甲第1号
証を参照して,CADソフトを使用して作図されたものであると認め
られる。
②甲第4号証について
甲第4号証(プレマックスの回転羽根当板部分の図面)を原告作成
に係る甲第9号証と比較すると,形状や各部の数値(公差の数字を含
む。)や指示内容が一致しており,甲第4号証は甲第9号証を参照し
て,CADソフトを使用して作図されたものであると認められる。
③甲第6号証について
甲第6号証(プレマックスのベアリングカバーの図面)を原告作成
に係る甲第5号証と比較すると,各部の数値(公差の数字を含む。)
が一致しており,甲第6号証は,甲第5号証を参照して,CADソフ
トを使用して作図されたものであると認められる。
④甲第8号証について
甲第8号証(プレマックスの固定羽根当板部分の図面)を原告作成
に係る甲第7号証と比較すると,形状や数字が同一であるだけでなく,
筆跡も同一であるから,甲第8号証は,甲第7号証を複写したものに
対し,図面の右上の訂正来歴の日付を抹消し,右下の図番,名称,作
成日の修正を加えたものにすぎない。
⑤甲第10号証について
甲第10号証(プレマックスの回転羽根当板部分の図面)を原告作
成に係る甲第9号証と比較すると,形状や数字が同一であるだけでな
く,筆跡も同一であるから,甲第10号証は,甲第9号証を複写した
ものに対し,図面の右上の訂正来歴の日付を抹消し,右下の図番,名
称,作成日,会社名の修正を加えたものにすぎない。
⑥甲第12号証について
甲第12号証(プレマックスのシャフト部分の図面)を原告作成に
係る甲第11号証と比較すると,回転座は同一であるものの,シャフ
トの長さは異なる。
両者は,回転座が同一であり,シャフトの長さ等の一部が異なるに
すぎないから,甲第12号証は,甲第11号証を参照して,CADソ
フトを使用して作図されたものであると認められる。
⑦甲第14号証について
甲第14号証(プレマックスのベアリングケース部分の図面)を原
告作成に係る甲第13号証と比較すると,ベアリングケースの全体の
高さが異なるものの,その余は同一である。
甲第14号証は,甲第13号証を参照して,CADソフトを使用し
て作図されたものであると認められる。
⑧甲第16号証について
甲第16号証(プレマックスのディスタンスカラー部分の図面)を
原告作成に係る甲第15号証と比較すると,ディスタンスカラーの全
体の高さが異なるものの,その余は同一である。
甲第16号証は,甲第15号証を参照して,CADソフトを使用し
て作図されたものであると認められる。
⑨甲第18号証について
甲第18号証(プレマックスのシールカラー部分の図面)を原告作
成に係る甲第17号証と比較すると,シールカラーの全体の高さが異
なるものの,その余は同一である。
甲第18号証は,甲第17号証を参照して,CADソフトを使用し
て作図されたものであると認められる。
⑩甲第20号証について
甲第20号証(モノボールミルの回転板部分の図面)を原告作成に
係る甲第19号証と比較すると,右側の図は,描く角度を変えている
ものの,形状及び数値は同一である。左側の図は,リブの一部を省い
たものであり,数値の一部が異なるものの,その余は同一である。
甲第20号証は,甲第19号証を参照して,CADソフトを使用し
て作図されたものであると認められる。
⑪甲第22号証について
甲第22号証(モノボールミルのエアー抜き部分の図面)を原告作
成に係る甲第21号証と比較すると,同図面の右側組立図を省略して
あるものの,その余は同一である。
甲第22号証は,甲第21号証を参照して,CADソフトを使用し
て作図されたものであると認められる。
⑫甲第24号証について
甲第24号証(モノボールミルの原料出入口部分の図面)を原告作
成に係る甲第23号証と比較すると,両者は筆跡が同一であり,甲第
24号証は,甲第23号証の右上の図を複写した上で,数値の一部を
修正したものにすぎない。
⑬甲第26号証について
甲第26号証(高純度解砕機のシャフト部の図面)を原告作成に係
る甲第25号証と比較すると,ウォーム仕様を除いていること,シャ
フトの長さが一部異なることを除いて,その余は同一である。
甲第26号証は,甲第25号証を参照して,CADソフトを使用し
て作図されたものであると認められる。
⑭甲第28号証について
甲第28号証(高純度解砕機の軸受ケース部分の図面)を原告作成
に係る甲第27号証と比較すると,形状及び数値が同一である。
甲第28号証は,甲第27号証を参照して,CADソフトを使用し
て作図されたものであると認められる。
⑮甲第30号証について
甲第30号証(高純度解砕機のカバー部分の図面)を原告作成に係
る甲第29号証と比較すると,数値には若干異なる部分があるものの,
その形状は同一である。
甲第30号証は,甲第29号証を参照して,CADソフトを使用し
て作図されたものであると認められる。
⑯甲第32号証について
甲第32号証(高純度解砕機のスクロールケース部分の図面)を原
告作成に係る甲第31号証と比較すると,甲第32号証の図面は甲第
31号証の図面を90度回転させたものであり,形状及び寸法は同一
である(ただし,細かな寸法の一部を省略している。)。
甲第32号証は,甲第31号証を参照して,CADソフトを使用し
て作図されたものであると認められる。
⑰甲第34号証について
甲第34号証(高純度解砕機のエアミール側ベアリングカバー部分
の図面)を原告作成に係る甲第33号証と比較すると,甲第34号証
の左側の図は,形状及び数値が甲第33号証の左上の図と同一であり,
右側の図は,右上の図と数値の一部が異なるものの,形状は同一であ
る。
甲第34号証は,甲第33号証を参照して,CADソフトを使用し
て作図されたものであると認められる。
⑱甲第36号証について
甲第36号証(高純度解砕機のベアリング側カバー部分の図面)を
原告作成に係る甲第35号証と比較すると,数値の一部が異なってい
るものの,形状は同一である。。
甲第36号証は,甲第35号証を参照して,CADソフトを使用し
て作図されたものであると認められる。
(ウ)被告Aらは,競業行為をするに当たって,次のとおり,原告の信用を
毀損する虚偽の事実を原告の取引先に告知した。
①被告Aは,平成15年1月ころ,原告の取引先の担当者に対し,
「原告は自分たちが辞めたことによって,ぐちゃぐちゃになってい
る。」と告知した。
②被告Bは,平成15年11月ころ,原告の取引先の担当者に対し,
「原告では,もう振動ミルは製作できない。」と告知した。
③被告Cは,平成14年11月ころ,原告の仕入れ先であるスターラ
イト工業株式会社に対して,「私達が辞めたので,原告は潰れるので,
取引するのは止めた方がよい。」と告知した
現在までに判明した被告Aらによる原告の信用を毀損する行為は,以
上のとおりである。しかし,被告Aらが原告の取締役を退任した後,原
告は,これまで買掛で購入することができた取引先から,現金取引のみ
とする,支払サイトを短縮する,取引を停止するなど,取引条件を変更
された。このことから,上記以外にも,被告Aらが,原告の取引先に対
して,原告の信用を毀損する行為を行っていたことが推認される。
原告の信用を毀損する虚偽の事実を原告の顧客や取引先に対して告知
し,原告の営業を妨害して,原告から顧客を奪取する行為は,自由競争
の範囲を逸脱する違法行為である。
(エ)TDK株式会社(以下「TDK」という。),日立金属株式会社(以
下「日立金属」という。)に対する営業活動について
TDK及び日立金属に対する営業活動を抽出すると,被告Aらは,平
成15年10月14日から平成19年8月31日までの間,別紙2のと
おり,原告から持ち出した機械設計図面又は持ち出した機械設計図面を
基に複製した図面を利用して,有限会社三楽機械(以下「三楽機械」と
いう。)を通じて,原告が販売するのと同様の機械部品を製造し,原告
が販売するのと同様の機械を販売した。そして,この営業活動に当たっ
て,被告Aらは,別紙3記載の経歴簿を利用した。
被告Aらによる上記行為は,自由競争の範囲を逸脱する違法行為であ
り,不法行為を構成する。
(3)被告Aらは,上記(1),(2)の違法行為により原告が被った損害につ
いて,不法行為に基づき,原告に対し,損害賠償責任を負う。
被告Aらは,被告会社の取締役であり,被告会社の事業の執行,又は職務
の執行として,上記(1),(2)の違法行為を行ったのであるから,被告
会社は,被告Aらと共同不法行為責任を負う。
(4)損害
ア被告Aらの違法行為により,被告会社は,平成15年10月ころから平
成19年8月ころまでの間に,2億2327万6000円を売り上げた。
被告Aらの違法行為がなければ,原告の従前の取引実績や粉砕機を販売す
る業者が限定されていることからすれば,被告会社の上記売上げは,原告
に帰属していた蓋然性が高い。
原告会社に上記金額の売上げが発生すれば,原告の粗利は42.06パ
ーセントであるから,9390万9885円の利益を得ていたはずである。
原告は,被告Aらの違法行為により,上記利益額と同額の損害を被った。
イ被告会社が三楽機械に対して発注した機械部品(甲68,69)につき,
甲第2号証ないし甲第36号証のうち各偶数の証拠番号の付された図面の
いずれかを用いて製作し,TDK,あるいは,日立金属に販売したと思わ
れる機械及び売上げは,別紙4のとおりである。
ウ被告らがTDKに対する売上げを示す証拠として提出した乙第44号証
の1ないし8によれば,被告会社が甲第2号証ないし甲第36号証のうち
各偶数の証拠番号の付された図面(一部,甲23の部品欄3を含む)のい
ずれかを用いて製作し,TDKに販売した部品の売上額は,合計251万
3805円となる。
3請求の原因に対する認否及び被告の反論
(1)請求の原因(1)ア(ア)及び(イ)は否認する。同(ウ)は,取締役が,
会社に対して,忠実義務,善管注意義務,競業避止義務を負うこと自体は認
め,その余は否認ないし争う。
ア被告Aらは,原告に在職中に,原告の取締役退任後(退職後)の競業行
為を企てたことはないし,平成14年10月ころに,原告所有の①経歴簿,
②顧客名簿(お中元リストと題されたファイル),③機械設計図面,④顧
客の担当者の名刺のコピー,のいずれも持ち出したことはない。
被告A及び被告Bは,原告を退職した後(実質的には解雇された後),
ハローワークに通い,再就職先を探したものの,なかなか再就職先が見付
からなかった。そこで,12月ころになって,知人の助言もあって,初め
て新会社を設立することに思い至ったのである。
そもそも,Dは,平成14年10月2日,同月26日に株主総会を開催
することを要求し,同月22日には,何ら事前協議を経ることなく,突然
に,原告の取締役を総入れ替えする議案を提出した。このような突然の要
求に対し,被告Aらが,競業会社(被告会社)の設立を企画する余裕など
なく,まして,競業の意図の下,経歴簿,お中元リスト,機械図面などを
持ち出したこともない。
また,被告Aらは,原告を退職する際,原告に対し,資料の引継ぎを行
っており,原告も引継書類を確認しているはずである(資料の引継ぎ自体
は,平成15年2月までには終了している。)。引継ぎから約4年が経過
した平成18年10月になって,本件訴えを提起すること自体理解し難い
といわざるを得ない。
イ経歴簿について
経歴簿は,納入時の全体の姿を後々まで保存しておくための重要なもの
であり,被告Aらが,持ち出すはずもない。
平成5年に原告の業績の大半を上げていたベテラン社員であるKが退職
した後,被告A及び被告Bが,原告の実務をすべて行うようになった。基
本的には,経歴簿を作ることになっていたものの,もともと作っていない
場合がある。
すなわち,機械製造番号表に記入があるものすべてについて経歴簿が存
在するとは限らない。リピート品(同じ客先へのほぼ同仕様の納入品)の
場合,新たに経歴簿を作成しない場合がほとんどであった。また,既に
「製造番号表」にある納入品を下取りし,他社へ中古機として売却するこ
とも多く,このような場合にも,新たに製造番号を付けていたものの,経
歴簿を作成していない場合がほとんどであった。テスト用の小型機につい
ても,スタンダード品であるため,経歴簿がない場合も多かった。
原告において経歴簿による管理を開始した時期は,平成3年ころより後
のことであった。それ以前は,個々の担当者が個別のファイルを作成し,
それに保存していた。原告が経歴簿が欠損していると主張するものの大多
数が平成3年以前に集中しており,平成4年以降のものは,テスト機及び
中古機が8割を占めている。また,大多数が,同じユーザーへのリピート
品である。
仮に,原告において経歴簿が欠損しているというのであれば,それは原
告の管理上の問題であるとしかいいようがない。
ウ「お中元リスト」について
「お中元リスト」(顧客名簿)なるものはそもそも存在しない。当時,
盆暮れの時期に,一部の顧客先担当者に対し,ビール券を贈呈していた。
被告Aらが原告を退職する前の数年は,盆暮れの時期ごとに改めて進呈先
を記入する方法をとっており,メモ程度のものしか作成していなかった。
いずれにせよ,被告Aらが原告の下から,「お中元リスト」なるもの
(あるいは,上記メモ)を持ち出したことはない。
エ機械設計図面について
機械設計図面については,被告Aや被告Bの個人資料の中に,たまたま
幾つかの参考図面があったかもしれない。しかしながら,そもそも最初か
ら競業行為を意図しておらず,意図的に原告の下から機械設計図面を持ち
出したことはない。
オ顧客の担当者の名刺のコピーについて
被告Aらは,顧客の担当者の名刺のコピーを原告の下から持ち出してい
ない。
(2)請求の原因(1)イの(ア)及び(イ)は否認する。
そもそも,被告Aらには,原告の取締役として,被告Aや被告Bから,競
業避止に関する合意を取り付けるべき義務も,取り付けるように努力すべき
義務も存しない。
(3)請求の原因(2)アのうち,被告Aらが,原告の取締役退任後においては,
原告に対して競業避止義務を負わないことは認め,その余は争い,同イ
(ア)ないし(エ)は否認する。
アイ(ア)について
被告A及び被告Bは,原告の営業のほとんどすべてを,約二十数年間に
わたって行っていたのであるから,顧客先の担当者とは長年の付き合いが
あり,原告の下から資料を持ち出さなくとも,何ら営業活動に支障はない。
また,原告の機械設計図面については,被告A及び被告Bの在職当時は,
設計の基本的な考えは,同人らが中心となってまとめたものであり,被告
A及び被告Bは,原告の機械のほとんどの構造を把握していたから,機械
設計図面を持ち出す必要もない。
なお,被告Cは,被告会社の取締役の定員を充たすため,非常勤の取締
役に就任してもらっているだけであって,機械の事は分からない。
イイ(イ)について
(ア)被告会社の機械設計図面は,基本的に既納入品の補修時に採寸した寸
法を基に設計したものである。
したがって,被告会社の機械設計図面の各部の寸法には,原告の機械
設計図面とは相違する箇所がある。
被告Aらが原告に勤務していたころは,原告においては,後々のメン
テナンスのために取扱説明書の中に「全体組立図」,「軸受詳細図」,
「主要部品図」等を添付する場合が多かった。被告会社は,原告のかつ
ての取引先から,必要に応じて,上記の図面の提示を受け,これらを参
照して作図した。
a甲第26,28,30,32号証の作図の経緯
平成15年2月ころ,顧客から原告製の高純度解砕機のオーバーホ
ールを依頼され,機械を引き取り,分解,洗浄し,各パーツを採寸し
た。
また,平成15年8月にも,他の顧客から,同型の機械の修理の依
頼があり,これを採寸した。
被告会社は,カタログ製品を作ることを計画し,上記採寸に基づい
て,平成17年8月ころから甲第26,28,30,32号証の図面
を作成したものである(なお,図面作成日の記載が2003年となっ
ているのは,2005年の誤りである。)。
b甲第4,12,14,16号証の作図の経緯
平成16年11月ころ,顧客から,原告のプレマックスのベアリン
グ部などの点検依頼があり,同年12月,顧客先で機械を確認した。
その結果,後日修理が必要であるという判断に至り,平成17年2月,
再度,顧客先において,機械を採寸し,組立図を入手し,これらを基
に作図した。
なお,当該顧客からは,平成17年3月に修理を受注し,同年5月
に納品している。
(イ)被告会社は,メンテナンスのみでなく,ディスクミルまたは整粒機,
ピンミル等の名称で,新規に機械の製造販売を行っている。
顧客から全体修理を依頼された際に,各部品を採寸し,図面化してい
たものを,その後,新規依頼を受けて製品化したものである。このよう
な場合でも,基本的な構造を理解していれば,組立参考図及びメンテナ
ンス時の採寸図を参考にして,機械設計図面を作成することは可能であ
る。
また,公差に関しては,使用している購入部品はすべてJIS規格品
であり,嵌め合い等についても設計便覧に載っている範囲のもので,お
のずと定まるものであって,格別の特殊性はない(公差は採寸するよう
なものでもない。)。
なお,被告会社の機械は,原告の製品とは似ているものの,同一では
なく,独自の考えも入れて再設計したものである。
(ウ)甲号証の各図面について
①甲第2号証について
被告会社は,平成16年3月,顧客から原告のB−30型を中古品
として購入し,主要部品の採寸を実施した(原告のB−50型とB−
30型の主要寸法は共通である。)。
また,被告会社は,中央化工機株式会社製のMB−50型,MB−
100型を仕入れ,修理売却したことがある。
甲第2号証は,平成16年12月に顧客から中古品のMB−100
型を購入した際に,MB−100型及びMB−50型の取扱説明書
(乙19の1ないし6。これは,原告のB−50型,B−100型と
同じものである。)を入手し,この中に軸受組立図,その他の参考資
料があったので,この中にあった図面で寸法を確認し,上記図面を作
成した。
②甲第4号証について
甲第4号証は,顧客先の機械の修理を実施した際に採寸したものを
基に作図したものである。甲第9号証とは,加工の許容範囲(公差)
の一部,ディスクの外径,厚み,削り込み部分の寸法等,かなり異な
っており,同一ではない。
③甲第6号証について
甲第6号証は,顧客先の修理を実施した際に採寸したものを基に作
図したものである。
④甲第8号証について
甲第8号証は,被告Aか被告Bが,たまたま個人の資料の中にあっ
たものを使用して作図したものと思われる。
⑤甲第10号証について
甲第10号証は,被告Aか被告Bが,たまたま個人の資料の中にあ
ったものを使用して作図したものと思われる。
⑥甲第12号証について
甲第12号証は,組立図を参照し,各部品の採寸寸法よりJIS規
格に基づいて設計しているため,甲第11号証と主要寸法は似通って
いるものの,主要部品の寸法が異なっている。公差数値もかなり異な
っている。
⑦甲第14号証について
甲第14号証は,組立図を参照し,各部品の採寸寸法よりJIS規
格に基づいて設計しているため,甲第13号証と主要寸法は似通って
いるものの,主要部品の寸法が異なっている。公差数値もかなり異な
っている。
⑧甲第16号証について
甲第16号証は,組立図を参照し,各部品の採寸寸法よりJIS規
格に基づいて設計しているため,甲第15号証と主要寸法は似通って
いるものの,主要部品の寸法が異なっている。公差数値や加工指示の
有無も異なっている。
⑨甲第18号証について
甲第18号証は,組立図を参照し,各部品の採寸寸法よりJIS規
格に基づいて設計しているため,甲第17号証と主要寸法は似通って
いるものの,主要部品の寸法が異なっている。公差数値もかなり異な
っている。
⑩甲第20号証について
甲第19号証とは全く異なる図面である。
甲第20号証は,甲第19号証とは異なり,プレート内側の補強リ
ブ及びポットサポートリングを無くし,プレートそのものを機械加工
し,そこでポットを保持する構造としている。上記相違点は,単にリ
ブを省いただけでなく,重要な構成要素における違いである。
⑪甲第22号証について,
甲第22号証は,既設のボールミルの修理時に採寸し,図面化した
ものである。トレースしたものではないから,甲第21号証とは公差
表記等が完全に違っている。
⑫甲第24号証について
甲第24号証は,被告Aか被告Bが,たまたま個人の資料の中にあ
ったものを参考にして作図したものである。
訂正寸法は,ボールミルの修理時に現品を採寸して決定したもので
ある。
⑬甲第26号証について
甲第26号証は,既に納品された機械のオーバーホールを依頼され
た際に,各部品を採寸し,これを基に作図したものである。甲第25
号証とはシャフトの全長も異なる。
⑫甲第28号証について
甲第28号証は,既に納品された機械のオーバーホールを依頼され
た際に,各部品を採寸し,これを基に作図したものである。甲第27
号証とは寸法の違い,公差の違いもかなり存在する。
⑬甲第30号証について
甲第30号証は,既に納品された機械のオーバーホールを依頼され
た際に,各部品を採寸し,これを基に作図したものである。甲第29
号証とは寸法の違い,公差の違いもかなり存在する。
⑭甲第32号証について
甲第32号証は,既に納品された機械のオーバーホールを依頼され
た際に,各部品を採寸し,これを基に作図したものである。甲第31
号証とは寸法の違い,公差の違いもかなり存在する。
⑮甲第34号証について
甲第34号証は,既に納品された機械のオーバーホールを依頼され
た際に,各部品を採寸し,これを基に作図したものである。甲第33
号証とは数値の異なる部分がある。甲第34号証には,エアシール構
造もない。
⑯甲第36号証について
甲第36号証は,既に納品された機械のオーバーホールを依頼され
た際に,各部品を採寸し,これを基に作図したものである。甲第35
号証とは寸法が異なり,これにない部分の記載もある。
ウイ(ウ)について
被告Aらが,イ(ウ)①ないし③の行為を行ったことはない。また,原
告が取引先から取引条件を変更されたのは,原告の営業能力,経営体制に
関わる問題であって,被告Aらの責任ではない。
エイ(エ)について
被告Aらは,原告の図面等を持ち出したことはないし,これらを基に営
業活動を行っている事実もない。
原告の機械が売れないことと,被告会社の営業行為とは全く関係のない
ことである。
(4)請求の原因(3)は争う。
(5)請求の原因(4)は否認ないし争う。
4原告の再反論
(1)被告らが主張する「採寸した寸法から図面を作成」ということを具体的に
述べると,まず,機械を部品の一つに至るまで分解してから,部品の一つ一
つをスケッチし,その上で,計測用機器や計測用治具を使って採寸していく
ことになる。なお,分解に当たっては,人力だけでは取り扱えない部品もあ
るため,小型クレーンが必要となる。さらに,分解した部品の位置付けが分
からなくなると困るので,各部品に番号をふるなどして整理し,部品をひろ
げる場所も必要である。部品に付属するオーリングやシールについては,そ
れら付属品を製造しているメーカーごとの型番で特定する必要があるものの,
採寸しただけでは,メーカーや型番は判明しないため,別途メーカーごとの
カタログ等で型番を調べなければならない。
プレマックスのような,比較的部品点数の少ないものであっても,部品の
総点数は300以上になる。これらの作業を行うには,一人で行えば,最低
でも3ないし4週間は必要である。出張修理であれば,顧客の工場で行うこ
とになり,現実的に考えれば,あり得ない主張である。
また,取得したデータを基に,図面を作図する作業が必要であり,一つの
機械の全部の図面を作図するには,これを一人で行えば,少なくとも2か月
程度かかることになる。
被告A及び被告Bが,被告会社の営業活動を行いながら,上記の作業を行
ったなどというのは,不合理な主張であるといわざるを得ない。
(2)プレマックスは,原告が製造する機械の中でも,比較的部品点数の少ない
ものである。しかしながら,その図面としては,計画図(A2)3枚,組図
(A2)3枚,部品図(A2)22枚,部品図(A3)22枚,合計50枚
の図面が必要である。
仮に,これらの図面の作成を外注した場合,合計70万円以上の費用がか
かる。
これに採寸の労力を考慮すれば,相当程度の売上げの見込みがなければ,
採寸作業及び製図作業を行うはずがない。
ところが,被告会社は,これまでプレマックスは1台しか販売したことが
ないというのであり(原価500万円,販売価格580万円),被告会社が
このような採算のとれない取引をするはずがない。
以上に照らしても,被告会社が,その営業活動に原告の図面を利用してい
たことが推認される。
(3)被告らは,被告会社の機械設計図面は,機械の現物を採寸して作図したも
のである旨主張するものの,次のとおり,部品の採寸をしただけでは,当該
図面を作成することは不可能である。
①甲第4号証の表面の粗さを計測することはできない。
②甲第6号証のベアリング嵌め込み部分の面取り加工において,切り落と
した部分の長さ(C1,C0.5)を計測することはできない。
また,実寸を計測する採寸によっては,公差を計測することはできない。
③甲第12号証のフランジ部分にあけられた穴は,完成部品から採寸する
ことはできない。
④甲第14号証の給油口,排油口の各箇所に付したアルファベット「N」
は,規則性なく付された記号であるから,採寸の結果必然的に導き出され
るものではない。
⑤甲第16号証のA部Oリング溝詳細の部分の「R0.5」という数値を
採寸により導き出すことはできない。
⑥甲第18号証のオイルシールの溝部分の数値,公差角度を採寸により導
き出すことはできない。
⑦甲第26号証の図面右下の各部品欄(品番,品名,材質,個数)の表記
は,甲第25号証と同じであり,「押え板」,「エンドプレート」につい
ても記載がある。
しかしながら,甲第26号証の図面には,「押え板」及び「エンドプレ
ート」の部品の図はない。
⑧甲第28号証の図面については,ベアリングケースの内部の寸法には,
計測できない箇所がある。
⑨甲第30号証と甲第29号証には同じ誤りがある。
甲第29号証の図面においては,「20+80+20」を「140」と
記載していたものを,「20+60+20」で「120」と誤った数値に
訂正してしまった。ところが,甲第30号証の図面においても,「20+
60+20」を「120」と記載して,全く同じ誤りをしている(その後,
手書きで「60」を「80」に訂正している。)。
実際に採寸したのであれば,このような誤りをするはずがない。
第3当裁判所の判断
1被告Aらの原告の取締役在任中の義務違反の主張について
(1)被告Aらが資料を持ち出したとの主張について
ア原告は,被告Aらが,原告に在職中に退任後の競業行為を企て,平成1
4年10月ころ,原告の所有する①経歴簿,②「お中元リスト」,③機械
設計図面,④顧客の担当者の名刺のコピー,を持ち出した旨主張する。
イ原告は,経歴簿は機械製造番号ごとに作成されており,「機械製造番号
表」(甲54,63ないし67)に記載があるものについては,すべて機
械製造番号に対応する経歴簿が存在することを前提に,「機械製造番号
表」の記載と原告の手元にある経歴簿とを対照し,「機械製造番号表」に
記入があるにもかかわらず,原告の手元に経歴簿が存在しないものは,被
告Aらが持ち出したものであるとする(平成19年7月26日付け原告準
備書面5参照)。
しかしながら,原告において「機械製造番号表」に記入した場合には必
ず経歴簿が作成されていたことを認めるに足りる証拠はない。かえって,
証拠(乙1,弁論の全趣旨)によれば,被告A及び被告Bが原告に在職し
ていた当時,リピート品(同じ客先へのほぼ同仕様の納入品)の場合や,
既に「製造番号表」にある納入品を下取りし,他社へ中古機として売却す
る場合や,テスト用の小型機の場合などは,機械製造番号表に記入はする
ものの,経歴簿は作成しない場合が多く,機械製造番号表に記入がある機
械すべてについて,経歴簿が作成されていたわけではないことが認められ
る。したがって,「機械製造番号表」に記入があるからといって,これに
対応する経歴簿が必ず存在したということはできない。
また,証拠(甲41,42,証人J)及び弁論の全趣旨によれば,原告
において,「機械製造番号表」と経歴簿との対照作業を行い,「機械製造
番号表」に記入されているにもかかわらず,原告の手元に経歴簿が存在し
ないものがあることを確認したのは,被告Aらが原告の取締役を退任して
から数年経過してからのことであることが認められる。
そうすると,仮に,原告が主張するとおり,経歴簿の欠落が生じている
としても,原告における上記書類管理の状況に照らすと,当該事実のみで,
直ちに被告Aらによる経歴簿の持出しの事実を推認することはできないと
いうべきである。
ウJの陳述書(甲41)中には,「被告Bは,退職が決まるとこれまで見
かけなかったことを行っていました。ひとつは,顧客の名刺のコピーです。
原告では営業先で交換した名刺は,各担当者が適宜保管しています(保管
といっても,空き缶に放り込んでいる程度のものですが。)。被告Bが,
各自が保管している名刺を会社のコピー機を使ってコピーしていました。
その後,コピーされたものを会社内で見たことはありませんでしたから,
持ち出したものと思われます。」,「被告Aと被告Bが二人で数日かけて
大量の書類を破っては捨てていました。そのときは,どのような書類であ
るかは確認しておりません。二人の退職後に確認したところ,平成3年2
月から平成7年7月までの手配表が全く見当たらなくなっていましたので,
それらを破棄していたのではないかと思っています。」,「私は夕方に退
社しますが,二人とも夜遅くまで残っていたようですので,私の退社後に
何をしていたかは全く分かりませんが,機械設計図面や経歴簿が二人の退
職前後にかけて相当減っていたという印象があります。」,「原告は機械
設計図面や経歴簿の管理を厳密に行っていませんでしたので,以上述べた
ことは,私の個人的な印象となります。」,「お中元リストについては,
いつ無くなったか時期は特定できませんが,二人が退職後に新役員が探し
ても見つからなかったことを確かに記憶しています。」などといった記載
があり,また,Jはその証人尋問において,上記と同旨の供述をする。
しかしながら,上記記載及び供述は,被告A及び被告Bが上記事実をい
ずれも否定していること(乙1,2),その供述内容もあいまいであり,
Jの客観的な裏付けに乏しい推測を含むものであることに照らし,容易に
信用することができない。
エ原告は,被告Aらが原告の機械設計図面を持ち出した証拠として,被告
の機械設計図面(甲2ないし36のうち各偶数番号の図面)と,それに対
応すると主張する原告の機械設計図面(甲1ないし35のうち各奇数番号
の図面)を提出する。
この点につき,被告らは,甲8,10,24号証の図面は,被告Aか被
告Bの手元にあったものを使用したものであり,他の図面については,原
告が顧客に機械を納品する際に,メンテナンス用として,機械と共に交付
した組立図等を顧客から入手し,顧客の機械をスケッチの上,採寸して,
作図するなどしたものであって,原告の所有する図面を用いたものではな
いとする(乙1,25,被告A本人)。
上記のうち,甲8,10,24号証の図面は,被告Aか被告Bの手元に
あったものを使用したとの点については,客観的裏付けを欠くものではあ
るものの,被告A及び被告Bの原告における業務内容(乙1ないし3,2
5,42,49,50)等に照らすと,直ちに不合理であるとまではいえ
ない(すなわち,被告Aらが,競業行為を意図して,原告の下から上記各
図面を持ち出したとは認めるに足りない。)。また,上記のうち,甲8,
10,24号証以外の図面の作成方法については,証拠(乙21の1・2,
乙25,26,乙27の1・2,乙28の1ないし6,乙29の1・2,
乙30の1ないし6,乙30の7の1・2,乙30の8ないし12,乙3
1の1ないし3,乙32,乙33の1ないし4,乙34の1ないし11,
乙35の1ないし5)によれば,顧客先から原告製品の組立図を入手し得
たこと,機械を分解し,部品を採寸することができること,被告Aが機械
設計図面を作図し得ることが認められる。
そうすると,上記機械設計図面(甲1ないし36)が存在することから,
被告Aらにおいて,原告の下から機械設計図面を持ち出したとの事実を直
ちに推認することはできないというべきである。
オ以上のとおりであるから,本件全証拠によっても,原告の主張する各資
料の持ち出しの事実を認めるには足りないといわざるを得ない。
よって,この点に関する原告の主張は理由がない。
(2)競業避止に関する合意を取り付けるべき義務違反の主張について
ア原告は,被告Aらが原告の取締役として,被告Aや被告Bから競業避止
に関する合意を取り付けるべき,あるいは,少なくとも取り付ける努力を
すべき義務を負うことを前提に,被告Aらには上記義務の違反がある旨主
張する。
イ取締役は,退任後においては,当然に会社に対して競業避止義務を負う
ものではなく,退任後の取締役に対して競業避止義務を課すには,会社と
取締役との間でその旨を合意することが必要である。
原告の主張は,退任する取締役には,退任後における競業行為を避ける
義務を自らに課すべく会社との間で合意し,あるいは合意をするよう努力
する義務があるとするもので,取締役は退任後においても,当然に,会社
に対し競業避止義務を負うと言っているに等しく,取締役が会社に対し,
このような義務を負っていると認めることができないことは明らかである。
ウ加えて,本件において,被告Aらが原告の取締役を退任し,原告を退職
するについては,第2の1「前提事実」記載のとおり,原告の支配株主で
あるDが原告の株主総会の開催を求め,人事案として取締役をD,E及び
Fとする案を提出したことに起因するものであることなどの事情が認めら
れるのであって,被告Aらが原告の取締役を退任し,退職することにより,
たとえ原告の営業力が大きく損なわれることになったとしても,このよう
な事態は,原告の支配株主であるD自らが招いたことといわざるを得ない。
被告Aらの取締役退任・退職の経緯に照らしても,被告Aらが原告の主張
するような上記義務を負うとはいえない。
なお,原告は,Dには,被告Aらを取締役から退任させる意図や原告を
退職させる意図はなかったかのような主張をする。Dの主観的意図はひと
まず置くとしても,第2の1「前提事実」記載の経緯に照らせば,原告に
おいて,被告Aらが原告の取締役を退任すると同時に原告を退職したこと
を論難することはできないというべきである(実際にも,Dをはじめとす
る原告の新任取締役らが,被告Aらの退職を引き留めたなどの事情は,証
拠上,一切窺われない。)。
エよって,この点に関する原告の主張は理由がない。
2被告Aらの原告退職後の違法行為(自由競争逸脱行為)の主張について
(1)被告Aらが資料を持ち出したとの主張について
ア原告は,被告Aらが,原告の取締役在任中に退任後の競業を企て,平成
14年10月ころ,原告の所有する①経歴簿,②「お中元リスト」,③機
械設計図面,④顧客の担当者の名刺のコピー,を持ち出し,これら資料や
原告の取締役在任中に得た知識を利用して被告会社の営業活動を行ったこ
とは,自由競争の範囲を逸脱するものであり違法である旨主張する。
イしかしながら,被告Aらが,競業行為を企て,原告の下から上記各資料
を持ち出したとの事実を認めるに足りないことは,上記1の(1)で述べ
たとおりである。
また,被告Aらが,原告の取締役在任中(又は,原告に在職中)に知り
合った顧客の担当者に対して,被告会社の営業活動を行ったとしても,そ
のことだけでは,自由競争の範囲を逸脱し違法性を有する行為があったと
はいえないことは明らかである。
ウよって,この点に関する原告の主張は理由がない。
(2)原告の機械設計図面にただ乗りしたとの主張について
ア原告は,被告Aらが,原告が多くの時間と多額の費用をかけて作成した
機械設計図面を利用,複製し,これを用いて競業行為を行うことは,自由
競争の範囲を逸脱するものであり違法である旨主張する。
イ被告Aらが,原告の機械設計図面を競業行為を意図して原告の下から持
ち出した(不正の手段で入手した)と認めるに足りないことは,上記1
(1)で述べたとおりである。
ウところで,原告の機械設計図面(甲1ないし35の各奇数番号の図面)
は,機械の設計図であって,その性質上主として線を用い,これに当業者
間で共通に使用されている記号や数値を付加して二次元的に表現するもの
であるから,同一の機械を設計図に表現するときは,おのずから類似の表
現にならざるを得ない。
このような見地からみたとき,上記機械設計図面については,いずれも,
これらが創作的に表現されたものであることを認めるに足りないから,著
作権法上保護される著作物であるということはできず,他に,原告が上記
機械設計図面の内容につき,排他的な権利を有していることの主張,立証
はない。
そうすると,被告会社の機械設計図面(甲2ないし36の各偶数番号の
図面)が,原告の機械設計図面(甲1ないし35の各奇数番号の図面)を
参照して作成された,類似する図面であるとしても,このことのみで,被
告Aらの行為を違法であるということはできない。
また,被告会社が上記機械設計図面に基づいて作成する機械(又は部
品)が,原告の特許権その他の工業所有権を侵害するものであるとの主張,
立証もない。
エ以上のとおりであるから,被告Aらが,原告の機械設計図面(甲1ない
し35の各奇数番号の図面)を参照又は利用して,被告会社の機械設計図
面(甲2ないし36の各偶数番号の図面)を作成したものであるとしても,
このことのみで,被告Aらの行為を違法ということはできない。
よって,この点に関する原告の主張は理由がない。
(3)原告の信用を毀損する虚偽事実の告知との主張について
ア原告は,被告Aらが,競業行為をするに当たって,原告の信用を毀損す
る虚偽の事実を原告の取引先に告知した旨主張し,具体的には,上記第2
の2(2)イ(ウ)①ないし③記載の事実を主張する。
イしかしながら,上記①ないし③の内容自体,被告Aらが誰に対して告知
したものであるのかの特定を欠き,その前後の内容も不明であって,あい
まいであるといわざるを得ない。
また,上記主張を裏付ける証拠として提出された,Jの陳述書(甲41,
72)には,「平成18年8月に,日本化学工業株式会社の工場を営業の
ために訪問した際,同社の担当者から『お宅の会社は,ぐちゃぐちゃにな
ったでしょう。MMテックのAさんから聞いている。だからおたくの機械
のメンテ等はMMテックに依頼する。』と言われた」旨の記載や,「原告
のことをまったく無視するということは,被告Bから原告のことについて
何か言われているのではないかと思った」旨の記載が,Fの陳述書(甲4
2)には,「被告Aらが原告の取締役を退任してから1年くらい経ったこ
ろ,スターライト工業株式会社の営業担当者から,被告Cが同担当者に対
して電話をかけてきて,『私たちが辞めるので中央化工機商事は潰れます。
これからは取引しない方が良いですよ。』と述べたと聞いた」旨の記載が,
Gの陳述書(甲73)には,「被告Aらは,原告に対する悪い印象を吹聴
している。たとえば,機械などの製作ができない,機械購入後メンテナン
スができない,今のままでは中央化工機商事は倒産するなどと今まで原告
の取引先(すべての仕入先,販売先)に営業活動の中で吹聴して回ってい
た。」旨の記載があるものの,被告A,被告B及び被告Cが上記事実をい
ずれも否定していること(乙1ないし3,42),上記陳述書中の記載は
あいまいな内容であって,被告Aらがいつ,誰に対して,具体的にいかな
る発言をしたのか明確ではないこと等に照らし,直ちに採用することはで
きない。
さらに,原告は,被告Aらが原告の取締役を退任した後,原告が取引先
から取引条件を変更されたとして,これが,被告Aらによる信用毀損行為
があったためであると主張する。しかしながら,仮に,原告が取引先から
取引条件を変更されたとの事実が認められるとしても,前記第2の1
(2)に記載のとおり,被告Aらの取締役の退任・退職により,原告の人
的体制が大きく変容したのであるから,取引先が独自の判断で原告との取
引条件を変更することは充分に考えられることに照らすと,上記事実から,
直ちに被告Aらによる信用毀損行為があったと認めることはできない。
ウよって,本件全証拠によっても原告の上記主張事実を認めるに足りない
から,この点に関する原告の主張は理由がない。
(4)TDK及び日立金属に対する営業活動に関する主張について
ア原告は,被告Aらは,原告から持ち出した機械設計図面又はこれらの図
面を基に複製した図面を利用し,原告から持ち出した経歴簿を利用して営
業活動をすることによって,原告製品と同様の部品や機械をTDK及び日
立金属に対して販売したことが,自由競争の範囲を逸脱するものであり,
違法である旨主張する。
イしかしながら,上記2(1),(2)で述べたとおり,被告Aらが,原
告の下から機械設計図面や経歴簿を持ち出したとの事実を認めるに足りな
いから,この点に関する原告の主張も理由がない。
3よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がない
から,これをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第47部
阿部正幸裁判長裁判官
平田直人裁判官
柵木澄子裁判官
(別紙1乃至4は省略)

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