弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
○ 事実
控訴人は、「原判決を取消す。被控訴人が控訴人の昭和四四年分及び昭和四五年分
の所得税につき昭和四七年二月一八日付でなした更正処分(昭和四五年分について
は国税不服審判所長の裁決により一部取消されたもの)を取消す。訴訟費用は第
一、二審とも被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控訴人は、主文と同旨の
判決を求めた。
当事者双方の主張及び証拠の提出・援用・認否は、次の附加をするほか、原判決事
実摘示のとおり(ただし、原判決四枚目表六行目の「税」を「税務」と、同裏八行
目、八枚目表一〇行目の「外注費率」を「売上原価率」と、同表二行目の「ある
か」を「あるが」と、同九枚目表三行目の「年度」を「年」と、一一枚目表五行目
の「事業」を「事実」と、別表(四)の四五年借入金利子及び割引料欄(主位的主
張、予備的主張共)の「350、000」を「350、122」と各改める)であ
るから、これを引用する。
控訴人は、「本件各更正処分は、いずれも控訴人の堀内鉄工所に対する外注費(昭
和四四年分は五一九万九二六六円、昭和四五年分は六一六万二二〇五円)を控訴人
の収入と誤認してなされたものであるから、その点のみによつても、違法として取
消されるべきである。なお、控訴人の売上先と外注先、及びその対応関係は、別表
記載のとおりである」と述べ、甲第四号証の一及び二を提出し、当審証人Aの証言
を援用し、被控訴人は、「本件各更正処分が適法な処分であるか否かは、当該処分
において認定された控訴人の租税債務が存在したか否かによるものであるから、こ
れが処分取消訴訟の事実審の口頭弁論終結時において、当該処分において認定され
た控訴人の租税債務の存在が認められる限り、該処分は適法として維持されるべき
ものであり、本件各更正処分時において、被控訴人が控訴人の外注先を売上先と誤
認したため、外注費を収入と誤認して処分をしたとしても、その一事により、直ち
に当該処分が違法になるわけのものではない。なお、控訴人の売上先と外注先、及
びその対応関係が別表記載のとおりであることは争う」と述べ、甲第四号証の一及
び二の成立はいずれも不知と述べた。
○ 理由
(一) 当裁判所も控訴人の本訴請求は理由がないと判断するが、その理由は、次
の附加をするほか、原判決理由説示のとおり(ただし、原判決一四枚目表一〇行目
の「憶」を「億」と、二四枚目表一〇行目の「裁判」を「裁決」と、別表(九)の
四五年事業所得欄「19、833、857」を「19、833、735」と、同所
得計欄の「20、102、808」を「20、102、686」と各改める)であ
るから、これを引用する。
(1) 本件各更正処分時において、被控訴人が控訴人の堀内鉄工所に対する外注
費を控訴人の収入と誤認して処分をしたとしても、当該処分において認定された控
訴人の所得が客観的に存在し、控訴人において右処分による租税債務を負担すべき
筋合である限り、該処分は適法として維持され得るところ、本件訴訟における審理
の結果、控訴人の係争年分の所得は右処分において認定された所得を上廻ると認め
られ(本件事案の下では、右引用にかかる原判決説示のような方法により控訴人の
収入、売上原価及び一般経費を推計することが心要であり、かつ合理的であると考
える」、控訴人が右処分による租税債務を負担することを免れないとされるのであ
るから、本件各更正処分は適法として維持されるべく、その処分時における右のよ
うな誤認は、当該処分を取消すべき事由にはならない。この点に関する控訴人の主
張は失当である。
(2) 当審証人Aは、「控訴人の係争年の売上先と外注先、及びその対応関係
は、別表記載のとおりであり、それに限定される」旨を昭和五七年九月九日に証言
するけれども、右証言は、同人が昭和五六年五月二九日に原審証人としてなした
「控訴人の係争年の売上先と外注先との対応関係は、概略のみ判るけれども、詳細
は不明である」旨の証言や、弁論の全趣旨に照らして、たやすく措信し難く、本件
における全立証を以てしても、控訴人の係争年における売上先と外注先、及びその
対応関係が別表記載のとおりであり、それに限定されることを確認するに足りな
い。
(二) そうすると、原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、民訴法
三八四条一項により本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき同法九五
条本文・八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 坂上 弘 青木敏行 吉岡 浩)

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