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平成28年7月20日判決言渡
平成28年(ネ)第10012号商標権侵害損害賠償請求控訴事件
(原審横浜地方裁判所横須賀支部平成27年(ワ)第200号)
口頭弁論終結日平成28年6月1日
判決
控訴人(一審原告)一般社団法人日本ボディジュエリスト協会
被控訴人(一審被告)GreenGablesことY
主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2被控訴人は,控訴人に対し,8万1000円及びこれに対する平成27年5
月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,別紙商標権目録記載の商標権(以下「本件商標権」という。)を有する
控訴人が,被控訴人が,①本件商標権に係る商標(以下「本件商標」という。)に
類似する別紙被控訴人標章目録記載の標章(以下「被控訴人標章」という。)を付
した有料の資格認定講座を開催し,被控訴人標章を付した資格を認定した行為,②
前記講座のウェブ上での宣伝に際し,被控訴人標章を付した画像を提供した行為は,
商標法37条1号,2条3項3号,同8号に該当し,控訴人の本件商標権を侵害す
るとして,被控訴人に対し,民法709条,商標法38条3項に基づき,8万10
00円の損害賠償金及びこれに対する不法行為後である平成27年5月27日(訴
状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の
支払を求めた事案である。
原判決は,前記①につき,これらの事実は認められない,前記②につき,被控訴
人は,自身の開催する講座の広告において,被控訴人標章を使用したものの,前記
講座の内容を説明・表現するため,記述的に用いたにすぎないとして,民法709
条に基づく損害賠償請求は理由がない旨判断して,控訴人の請求を棄却した。
これに対し,控訴人は,原判決を不服として,本件控訴を提起した。
1前提事実(当事者間に争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実。
弁論の全趣旨により認められる事実を含む。)
(1)当事者
ア控訴人は,その履歴事項全部証明書によれば,技能講習会の開催等によ
るボディジュエリストの人材の育成等を目的とする一般社団法人である(甲1)。
イ被控訴人は,「EJA耳つぼジュエリー初級講座」を主催していた個人事
業主である(乙8,18,19)。
(2)控訴人の商標権
控訴人は,本件商標権を有している。
(3)被控訴人使用の標章
被控訴人は,平成26年10月11日頃,同年11月1日頃,及び,平成27年
1月13日頃,被控訴人のホームページに,被控訴人標章を掲載していた(甲3,
4,乙7)。
2争点
(1)本件商標権侵害(商標法37条1号,2条3項3号,同8号)の有無
(2)損害発生の有無及びその額
3争点に関する当事者の主張
(1)争点(1)(本件商標権侵害(商標法37条1号,2条3項3号,同8号)の
有無)について
〔控訴人の主張〕
ア(ア)被控訴人は,平成26年2月28日から平成27年1月8日まで,及
び,同月13日,被控訴人標章を付した有料の資格認定講座を開催し,被控訴人標
章を付した資格を認定していた。
(イ)被控訴人は,前記講座のウェブ上での宣伝において,被控訴人標章を
使用し,電気通信回線を通じて行う静止画像の提供に,被控訴人標章を付した(甲
3~5)。
イ被控訴人標章は,本件商標と,称呼及び観念が同一であり,外観も類似
しているから,本件商標と類似する。
ウ(ア)前記ア(ア)の行為は,本件商標権の指定役務である「技芸・スポーツ又
は知識の教授」,「資格試験の実施及び資格の認定・資格の付与」,「セミナーの企画・
運営又は開催」に含まれる。
(イ)前記ア(イ)の行為は,本件商標権の指定役務である「電気通信回線を
通じて行う静止画像・動画像・音声付き静止画像・音声付き動画像・映像の提供」
に含まれる。
エしたがって,前記ア(ア)及び(イ)の各行為は,本件商標権を侵害する。
オ他人の登録商標の側に侵害者の名称が付されていることを理由に,自他
商品・役務の識別標識としての機能を果たす態様で用いられているとはいえないと
する,原判決の判断は不当である。
また,「耳つぼジュエリスト」が,「耳」という一般名詞,「つぼ」という一般名詞
及び「ジュエリスト」という造語の組合せであるからといって,「ネイリスト」等,
「ist」を含む商標が登録されている例があり,記述的とはいえないから,被控訴人
が,自身の開講する講座の内容を説明・表現するため,記述的に被控訴人標章を用
いたとはいえない。
〔被控訴人の主張〕
ア被控訴人が開催していたのは,「EJA耳つぼジュエリー協会認定初級講
座」であって,被控訴人は,これに本件商標を付していない。
また,被控訴人は,平成26年10月11日以降,「EJA耳つぼジュエリー協会
認定初級講座」を開催していない。
イ被控訴人は,被控訴人のホームページの文章中に,平成26年10月1
1日から,被控訴人標章を使用したが,「耳つぼジュエリスト」は,「耳つぼジュエ
リー」に,ある行為をする者の名詞を構成する接尾辞である「-ist」を付加したも
ので,普通名詞として使用したにすぎない。
また,「耳つぼジュエリストになるための講座」との記載は,「EJA耳つぼジュ
エリー初級講座」について説明したものであって,商品識別機能を持つ態様での使
用ではない。
ウしたがって,被控訴人は,本件商標権を侵害していない。
(2)争点(2)(損害発生の有無及びその額)について
〔控訴人の主張〕
ア控訴人は,前記(1)〔控訴人の主張〕ア(ア)及び(イ)の各行為により,下記
のとおり,使用料相当額として,少なくとも8万1000円の損害を被ったから,
被控訴人に対し,商標法38条3項に基づき,8万1000円の損害賠償金及びこ
れに対する不法行為後である平成27年5月27日(訴状送達の日の翌日)から支
払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有する。

認定講座受講代金1万5750円/人×認定講座受講回数2回/月×認定講座参
加受講生数5人/回×本件商標権使用料率5%=7875円
7875円×10.3か月(平成26年2月28日から平成27年1月8日まで)
=8万1113円
イ(ア)被控訴人は,「EJA耳つぼジュエリー協会認定初級講座」の開催には,
「美容商材アイマーケット」から「EJA限定耳つぼジュエリー初級キット」を購
入しなければならないところ,被控訴人は,平成26年10月11日以降,前記キ
ットを購入していないから,「EJA耳つぼジュエリー協会認定初級講座」を開催し
ていないと主張する。
しかしながら,「EJA耳つぼジュエリー協会認定初級講座」との商標を使用しな
ければ,「美容商材アイマーケット」から「EJA限定耳つぼジュエリー初級キット」
を購入しなければならないわけではない。
被控訴人は,「EJA耳つぼジュエリー協会認定初級講座」の商標を使用せず,「耳
つぼジュエリストになるための講座」を開催したのであるから,被控訴人が「美容
商材アイマーケット」から「EJA限定耳つぼジュエリー初級キット」を購入した
のが,平成26年2月8日から平成27年1月8日までの間,平成26年12月5
日の1回のみだとしても,「美容商材アイマーケット」以外で商材を購入して,講座
を開催することができたのであって,1回分の売上高を基準に損害額を認定すべき
であるということにはならない。
(イ)被控訴人は,控訴人には活動実績がない旨も主張する。
しかしながら,耳つぼジュエリーにつき,耳に貼るだけで,頭痛等の症状が改善
されるとの宣伝がウェブ上等でなされているところ,控訴人は,これらの宣伝が薬
事法に抵触するのではと考え,1年以上前から,国家資格「はり師・きゅう師」を
有する者の指導の下,「耳つぼジュエリスト」としてのサービスを検討し,宣伝用イ
ラストストーリーを完成させ,ホームページを作成中である。そのため,本件商標
権の使用が少し遅れているにすぎない。
〔被控訴人の主張〕
ア「EJA耳つぼジュエリー協会認定初級講座」の開催には,「美容商材ア
イマーケット」から「EJA限定耳つぼジュエリー初級キット」を購入しなければ
ならないところ,被控訴人は,平成26年10月11日以降,前記キットを購入し
ておらず,「EJA耳つぼジュエリー協会認定初級講座」を開催していない。
イ控訴人の活動実績についての証拠はなく,控訴人には,損害が発生して
いない。
第3当裁判所の判断
1認定事実
前記前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)被控訴人は,平成26年10月11日頃から平成27年1月13日頃まで
の間,「GreenGables」という屋号で,インターネット上にホームページを開設して
いた。
前記ホームページの上部には,「colorsalon/rifleschool」,「GreenGables」,
「グリーンゲイブルズ」という記載があり,その下に,左から右に向けて「GreenG
ablesについて」,「ジェルネイル」,「イヤークリスタル」,「上半身癒しリフレ」,「資
格スクール」,「contact」,「Blog」との記載があり,その下の左側には,「School」,
「スクール」,「資格取得」という記載が,まとめて波線で囲まれており,その囲ま
れた部分の右側には,上から順に,「■耳つぼジュエリストになるための講座」,「■
リフレ技術を取得!リンパセラピストになるための講座(半径1メートルの癒し)」,
「■リフレ技術を取得!リンパセラピストになるための講座(サロン展開・新メニ
ューに)」,「■インストラクター養成リンパリフレ講師になるための資格講座」又
は「■リンパリフレ自宅講師になるための資格講座」との記載があり,このうち,
「耳つぼジュエリスト」の部分が,被控訴人標章であったところ,前記の波線で囲
まれた部分の右側の前記各記載の字体は,被控訴人標章部分と同じであった。(甲3,
4,乙7)。
(2)平成26年4月10日頃以前から,被控訴人とは別の法人格として,「E
JA耳つぼジュエリー協会」が存在していたところ,同協会は,遅くとも,平成2
6年12月5日頃以降,「EJA耳つぼジュエリー協会認定講師講座」を開催し,当
該講座の受講者に対し,「EJA耳つぼジュエリー協会」認定講師である旨を表示し
て,「EJA耳つぼジュエリー初級講座」を開催し,当該講座の受講者に対し,つぼ
の原理や効果,主要なつぼの位置や効能などを教え,宝石様のガラス等が貼付され
た医療用シートを耳のつぼに貼付する「耳つぼジュエリー」の施術のための道具の
使い方や施術の進め方などを教えること,当該講座の受講者に対し,全文英文の「D
iploma」と記載された文書を交付することを許諾していた(甲3ないし7,乙8~
11,16)。
(3)「EJA耳つぼジュエリー協会」は,遅くとも平成26年4月10日頃
には,「EarJewelryAssociation耳つぼジュエリー協会」として,インターネット
上にホームページを開設し,「EJA耳つぼジュエリー認定講師講座」の広告を掲載
しており,平成27年10月5日頃には,「EJA耳つぼジュエリー協会認定講師在
籍サロン」として,被控訴人の屋号である「GreenGables」のほか,千葉県のみで1
6以上の名称を掲載していた(甲8,34)。
(4)被控訴人は,平成26年10月11日頃以降,前記の被控訴人のホーム
ページにおいて,「EJA耳つぼジュエリー初級講座」の広告を掲載していた(乙7,
8,18,19)。
(5)少なくとも,平成26年3月5日頃の時点で,東京都墨田区の「Hopef
ulHeartsSalon」の「耳つぼジュエリスト養成講座」の広告,平成26年4月27
日頃の時点で,埼玉県羽生市の「JEUGIAカルチャーセンター」の「耳つぼジュエリ
スト資格講座」の広告が,インターネット上において,掲載されていた(甲7)。
2判断
(1)前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,平成26年10月
11日頃から平成27年1月13日頃までの間,インターネット上にホームページ
を開設し,同ホームページ上に,被控訴人標章を掲載し,「EJA耳つぼジュエリー
初級講座」の広告をしていたことが認められる。
(2)被控訴人標章は,「ミミツボジュエリスト」という称呼において,本件商標
と一致する。
また,被控訴人標章は,「耳」及び「つぼ」のほか,「ジュエリー」(jewelry)と
いう宝石・貴金属類,装身具を意味する名詞(広辞苑第6版,ランダムハウス英和
大辞典第2版)の「y」又は「ry」の部分に替えて,「ist」という,名詞について「…
を行う人」との名詞を形成する接尾語(ランダムハウス英和大辞典第2版)を付し
たもの,又は,「ジュエル」(jewel)という宝石,装身具を意味する名詞(広辞苑第
6版,ランダムハウス英和大辞典第2版),又は,宝石をはめ込む,(宝石,装身具
で)飾るという意味の動詞(ランダムハウス英和大辞典第2版)に,前記「ist」を
付したものと解されることから,「耳」及び「つぼ」のほか,「ジュエリスト」とい
う単語を続けて表記したものといえる本件商標と,「耳」の「つぼ」を,「ジュエリ
ー」で飾る施術を行う者という観念を生じるという点で,一致する。
そして,本件商標と被控訴人標章の外観を対比すると,本件商標は,「ュ」の下の
横線の右端と「エ」の下の横線の左端が,連続しているように見えるほど,字間が
狭いのに対し,被控訴人標章は,「ュ」の下の横線の右端と「エ」の下の横線の左端
が離れており,全体としての字間が,本件商標より広いこと,両標章の字体が異な
ることという若干の相違があるものの,ほぼ類似するものと認められる。
以上によれば,本件商標と被控訴人標章とは,類似するといえる。
(3)しかしながら,登録商標に類似する標章の商標権者以外の者による使用が
当該商標権の侵害に当たるとするためには,その標章が,商品・役務出所表示機能,
自他商品・役務識別機能を発揮する態様で,すなわち,需要者が何人かの業務に係
る商品又は役務であることを認識できる態様で,使用されていることが必要である
と解すべきである。なぜなら,法律上,商標の果たすべき最大の機能は,商品・役
務出所表示機能,自他商品・役務識別機能であり,商標権によってまず守られるの
は,登録商標のそのような機能であり,商標権侵害とされるのは,登録商標のこの
機能を阻害する態様の行為に限られると考えるのが合理的であるからである。
そこで,検討するに,前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人とは別
の法人格である「EJA耳つぼジュエリー協会」は,被控訴人を含む相当数の個人
又は法人に,「EJA耳つぼジュエリー協会」認定講師である旨を表示して,「EJ
A耳つぼジュエリー初級講座」を運営し,当該講座の受講者に対し,「耳つぼジュエ
リー」の施術などを教え,全文英文の「Diploma」と記載された文書を交付すること
を許諾していること,被控訴人は,「EJA耳つぼジュエリー協会」の認定講師とし
て,「EJA耳つぼジュエリー初級講座」を開催しており,インターネット上にホー
ムページを開設して,前記講座の広告として,「耳つぼジュエリストになるための講
座」という被控訴人標章を含む文言を掲載したものであること,被控訴人標章が記
載された被控訴人のホームページには,その上部に,「GreenGables」という被控訴
人の屋号の記載があり,その下に被控訴人が提供している各種サービスの大項目の
記載があり,更にその下に,施術方法の教授のサービスが列挙されており,その一
部として,被控訴人標章を含む「耳つぼジュエリストになるための講座」という記
載があること,被控訴人標章の後に続く「になるための講座」やその下の「リフレ
技術を取得!リンパセラピストになるための講座(半径1メートルの癒し)」,「リフ
レ技術を取得!リンパセラピストになるための講座(サロン展開・新メニューに)」
という記載は,被控訴人標章と字体が同じであり,被控訴人標章は,一つの文章の
一部であるとの印象を与えること,被控訴人の他にも,一定数の者が,インターネ
ット上において,「耳つぼジュエリスト」を養成する講座を開催・運営している旨の
広告をしていたことが認められる。
以上によれば,本件商標権の指定役務である知識の教授及びセミナーの運営に係
る事業の需要者において,インターネット上の被控訴人の前記の「耳つぼジュエリ
ストになるための講座」との表示を含むホームページを見た場合,「GreenGables」
が,その行う事業の一環として,「耳つぼジュエリスト」になるための講座を運営し,
その広告を掲載しており,「耳つぼジュエリスト」とは,「耳」の「つぼ」を,「ジュ
エリー」で飾る施術を行う者であり,「耳つぼジュエリストになるための講座」とは,
前記施術を行う技術を教授する講座と理解するのであって,「耳つぼジュエリスト」
ではなく,「GreenGables」という表示によってその出所を識別するのが通常である
と考えられ,被控訴人標章から役務の出所を想起することはないものと認められる。
したがって,前記の被控訴人標章の掲載は,需要者が何人かの業務に係る役務で
あることを認識することができる態様により使用されているものと認めることはで
きず,「登録商標に類似する商標の使用」(商標法37条1号)には該当しないとい
うべきである。
(4)この点,控訴人は,他人の登録商標の側に侵害者の名称が付されているこ
とを理由に,自他商品・役務の識別標識としての機能を果たす態様で用いられてい
るとはいえないとはいえない,「耳つぼジュエリスト」が,「耳」という一般名詞,
「つぼ」という一般名詞及び「ジュエリスト」という造語の組合せであるからとい
って,被控訴人が,自身の開講する講座の内容を説明・表現するため,記述的に被
控訴人標章を用いたとはいえないと主張する。
しかしながら,前記認定の被控訴人のホームページの記載内容全体をみれば,「耳
つぼジュエリストになるための講座」の運営主体,すなわち,役務の提供主体は,
「GreenGables」であると認識するのが通常であると考えられる。
また,「耳つぼジュエリスト」は,「耳」及び「つぼ」という一般名詞に「ジュエ
リスト」という言葉を組み合わせたものであり,「ジュエリスト」の部分は造語であ
るといえるが,前記(3)の説示は,「耳つぼジュエリスト」がこれらの一般名詞等を
組み合わせたことを理由に被控訴人標章が記述的に用いられたと判断するものでは
ないから,控訴人の主張は,その前提において失当である。しかも,前記認定のと
おり,被控訴人の他にも,一定数の者が,インターネット上において,「耳つぼジュ
エリスト」を養成する講座を開催・運営している旨の広告をしていたことを考え併
せれば,被控訴人のホームページ上の「耳つぼジュエリストになるための講座」と
の記載を見た需要者は,「耳つぼジュエリスト」とは,「耳」の「つぼ」を,「ジュエ
リー」で飾る施術を行う者であり,「耳つぼジュエリストになるための講座」とは,
前記施術を行う技術を教授する講座と理解するものと解される。
以上のとおりであって,需要者が,「耳つぼジュエリスト」につき,特定の主体が
提供する役務を示す名称であると理解するとは考えられず,被控訴人標章から役務
の出所を想起することはないものと認められるから,控訴人の前記主張は,いずれ
も採用できない。
(5)そして,前記認定の被控訴人のホームページにおける掲載のほかに,被控
訴人が,被控訴人標章を使用したことを認めるに足りる証拠はない。
第4結論
以上によれば,控訴人の本件各請求は,その余の点を判断するまでもなく,いず
れも理由がなく,控訴人の請求を棄却した原判決は相当であるから,本件控訴を棄
却することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官
清水節
裁判官
中村恭
裁判官
森岡礼子
 
 (別紙)
               被控訴人標章目録
               

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