弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中、上告人敗訴の部分を破棄する。
     本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人吉田政之助の上告理由について。
 原審の確定するところによれば、上告人と被上告人の代理人阿部千作との間で昭
和三五年四月五日本件不動産につき原判示の売買契約がなされたところ、買主たる
被上告人の代理人阿部千作は、上告人の依頼に基づき、同月六、七日頃土地家屋調
査士Dに対し右調査測量等に関する書類の作成を、また、司法書士Eに対し前記売
買契約による所有権移転登記手続に必要な各種登記申請書類の作成を、それぞれ依
頼し、同月一三日頃までに原判示の各書類を作成用意するとともに、同月一四日に
は法務局備付の本件土地の土地台帳に原判示のとおり地積訂正の記載をなし、上告
人が前記売買契約の履行期たる同月一五日に一関市へ来るならば直ちに右売買契約
による所有権移転登記をなしうる態勢をととのえ、他方、被上告人においても、同
月一四日にはF信用金庫に前記売買残代金一、二〇〇、〇〇〇円を準備し、右所有
権移転登記がなされれば、いつでもこれを支払いうる状態にあつたことを認めうる
というのである。そして、原審は、右の事実によれば、被上告人が本件売買契約の
履行に着手したか否かはともかくとして、上告人は遅くとも同月一四日右契約の履
行に着手したものと認めるべく、自ら履行に着手した上告人は、相手方たる被上告
人の履行着手の有無にかゝわりなく、右契約の解除をなしえないものと解するのが
相当であるとして、その後になされた上告人からの本件売買契約解除の意思表示は
効力を生じない旨判断していることが明らかである。
 しかしながら、民法五五七条一項は、履行に着手した当事者に対して解除権を行
使することを禁止する趣旨と解すべく、従つて、解除権を行使する当事者が自ら履
行に着手していた場合においても、未だ履行に着手していない当事者に対しては自
由に解除権を行使しうるものと解するのが相当であるから(当裁判所昭和三七年(
オ)第七六〇号、同四〇年一一月二四日大法廷判決参照)、原審が被上告人の履行
着手の有無について審理判断することなく、上告人に履行着手が存することのみを
理由に、上告人のなした本件売買契約解除の意思表示は無効である旨判断したのは
違法たるを免れない。そして、被上告人が本件売買契約の履行に着手したものと認
めるべきか否かについては、なお審理する必要があるから、この点について審理し、
なお、原判示の依頼がなされた際の上告人と被上告人との間の意思表示の内容につ
いても、さらに審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すのを相当と認める。
 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官横田正俊の反対意見があるほか、裁
判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
 裁判官横田正俊の反対意見は、次のとおりである。
 民法五五七条一項の解釈について多数意見は、売買の当事者の一方が履行に着手
した後は、(イ)その相手方は契約を解除することはできないが、(ロ)履行に着
手した当事者は解除権を行使することを妨げないといらが、私は、右(ロ)の点に
ついて見解を異にし、履行に着手した当事者もまた解除することをえないものと解
するのである(前記大法廷判決における反対意見参照)。よつて、右と同趣旨の原
審判断は正当であり、この点に関する所論は理由がないと考える。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    下   村   三   郎

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