弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1 原告P1、P2、P3及びP4の本件各15年事件に係る訴えのう
ち、平成5年度ないし同8年度の賦課徴収を怠る事実に基づく損害賠償請求を求め
る部分を却下する。
2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 平成12年(行ウ)第306号事件
 被告東京都千代田都税事務所長が別紙物件目録1記載の各不動産について平
成5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であるこ
とを確認する。
2 平成12年(行ウ)第310号事件
 被告東京都中央都税事務所長が別紙物件目録2記載の各不動産について平成
5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であること
を確認する。
3 平成12年(行ウ)第312号事件
 被告東京都新宿都税事務所長が別紙物件目録3記載の各不動産について平成
5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であること
を確認する。
4 平成12年(行ウ)第314号事件
 被告東京都台東都税事務所長が別紙物件目録4記載の各不動産について平成
5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であること
を確認する。
5 平成12年(行ウ)第316号事件
 被告東京都江東都税事務所長が別紙物件目録5記載の各不動産について平成
5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であること
を確認する。
6 平成12年(行ウ)第318号事件
 被告東京都目黒都税事務所長が別紙物件目録6記載の各不動産について平成
5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であること
を確認する。
7 平成12年(行ウ)第320号事件
 被告東京都世田谷都税事務所長が別紙物件目録7記載の各不動産について平
成5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であるこ
とを確認する。
8 平成12年(行ウ)第322号事件
 被告東京都中野都税事務所長が別紙物件目録8記載の各不動産について平成
5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であること
を確認する。
9 平成12年(行ウ)第324号事件
 被告東京都豊島都税事務所長が別紙物件目録9記載の各不動産について平成
5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であること
を確認する。
10 平成12年(行ウ)第326号事件
 被告東京都荒川都税事務所長が別紙物件目録10記載の各不動産について平成
5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であること
を確認する。
11 平成12年(行ウ)第328号事件
 被告東京都練馬都税事務所長が別紙物件目録11記載の各不動産について平成
5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であること
を確認する。
12 平成12年(行ウ)第330号事件
 被告東京都葛飾都税事務所長が別紙物件目録12記載の各不動産について平成
5年度ないし平成12年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったことが違法であること
を確認する。
13 平成15年(行ウ)第115号事件
 被告東京都知事は、東京都千代田都税事務所長の職にあるP5に対し、千代
田区に所在する別紙物件目録1記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分固
定資産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固定
資産税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
14 平成15年(行ウ)第116号事件
 被告東京都知事は、東京都中央都税事務所長の職にあるP6に対し、中央区
に所在する別紙物件目録2記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分固定資
産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固定資産
税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
15 平成15年(行ウ)第117号事件
 被告東京都知事は、東京都新宿都税事務所長の職にあるP7に対し、新宿区
に所在する別紙物件目録3記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分固定資
産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固定資産
税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
16 平成15年(行ウ)第119号事件
 被告東京都知事は、東京都台東都税事務所長の職にあるP8に対し、台東区
に所在する別紙物件目録4記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分固定資
産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固定資産
税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
17 平成15年(行ウ)第123号事件
 被告東京都知事は、東京都江東都税事務所長の職にあるP9に対し、江東区
に所在する別紙物件目録5記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分固定資
産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固定資産
税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
18 平成15年(行ウ)第125号事件
 被告東京都知事は、東京都目黒都税事務所長の職にあるP10に対し、目黒
区に所在する別紙物件目録6記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分固定
資産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固定資
産税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
19 平成15年(行ウ)第128号事件
 被告東京都知事は、東京都豊島都税事務所長の職にあるP11に対し、豊島
区に所在する別紙物件目録9記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分固定
資産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固定資
産税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
20 平成15年(行ウ)第129号事件
 被告東京都知事は、東京都中野都税事務所長の職にあるP12に対し、中野
区に所在する別紙物件目録8記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分固定
資産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固定資
産税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
21 平成15年(行ウ)第130号事件
 被告東京都知事は、東京都荒川都税事務所長の職にあるP13に対し、荒川
区に所在する別紙物件目録10記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分固定
資産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固定資
産税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
22 平成15年(行ウ)第132号事件
 被告東京都知事は、東京都練馬都税事務所長の職にあるP14に対し、練馬
区に所在する別紙物件目録11記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分固定
資産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固定資
産税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
23 平成15年(行ウ)第134号事件
 被告東京都知事は、東京都葛飾都税事務所長の職にあるP15に対し、葛飾
区に所在する別紙物件目録12記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分固定
資産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固定資
産税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
24 平成15年(行ウ)第135号事件
 被告東京都知事は、東京都世田谷都税事務所長の職にあるP16に対し、世
田谷区に所在する別紙物件目録7記載の各不動産につき平成5年分から平成9年分
固定資産税の賦課徴収を懈怠して課税権を喪失したことにより東京都が被った各固
定資産税に相当する金額の損害の賠償を請求せよ。
第2 事案の概要
1 事案の要旨
 本件各12年事件は、東京都の住民である原告らのうち、P17、P18、
P19及びP20の4名(訴え提起当初原告であったP21は平成15年5月11
日に死去)が、被告東京都千代田都税事務所長をはじめとする、別紙当事者目録記
載の12区の都税事務所長(以下あわせて「被告都税事務所長ら」という。なお、
原告らは東京都23区のうち他の11区についても同様の訴訟を提起しており、別
の裁判体が事件を担当するに至っている。)に対し、被告都税事務所長らが創価学
会が所有している別紙物件目録1なし12記載の土地及び建物(以下「本件各不動
産」という。)について、創価学会が宗教団体としての実体を有しておらず、ま
た、創価学会が本件各不動産を宗教団体としての活動以外に用いているから本件各
不動産は地方税法に定める固定資産税の非課税事由に該当しないのに平成5年度な
いし平成12年度に固定資産税の賦課徴収をしなかったことは違法であるとして、
地方自治法242条の2第1項3号に基づきその違法の確認を求めるものである。
 本件各15年事件は、原告らのうちP17、P18、P1、P2、P3及び
P4の計6名が、前記の本件各不動産に対する固定資産税賦課徴収の懈怠により、
東京都に平成5年分から平成9年分の本件各不動産の固定資産税相当額の損害が生
じているとして、地方自治法242条2第1項4号前段に基づき、被告東京都知事
に対し、都税事務所長ら個人に対して損害賠償請求をすることを求める住民訴訟で
あり、同事件の弁論は、本件各12年事件の弁論に併合された。
2 判断の前提となる事実(認定根拠を掲記しない事実は当事者間に争いがな
い。)
(1) 当事者
ア 原告ら
 原告らは、いずれも東京都の都民である。なお、本件各12年事件及び
本件各15年事件につき、P21が原告となっていたが、同人が平成15年5月1
1日に死亡したため、同人に係る事件は当然に終了した。
イ 被告ら
 被告東京都知事は、東京都の執行機関であり、また、地方税法342条
1項、734条1項及び13条により、固定資産税の賦課徴収権限を有する。被告
都税事務所長らは、地方税法3条の2及び同条を受けて規定された東京都都税条例
4条の3第1項により、徴収金の賦課徴収に関する事項についての委任を受けたも
のである。
(2) 本件各不動産
 本件各不動産は、いずれも宗教法人創価学会(以下「創価学会」とい
う。)が所有しており、建物は、いずれも創価学会が「会館」という名称で使用し
ており、土地は、いずれも会館の敷地として利用されている。
(3) 本件各不動産に対する固定資産賦課の状況
 本件各不動産のうち、別紙物件目録3(4)(α1会館)及び(8)(α2記念
国際会館)に係る土地及び建物については、専ら宗教法人本来の用に供されている
とは認められないとして課税の取扱いがされており、また、別紙物件目録2(2)(α
3文化会館)、同3(1)(α4)、(2)(α5会館)、(5)(α6会館)、(6)(α7
会館)、(7)(α8会館)及び(11)(α9会館)、同4(2)(α10文化会館)及
び(3)(α11会館)、同5(2)(α12文化会館)及び(3)(α13会館)、同
6(1)(α14国際文化会館)及び(2)(α15平和会館)、同7(1)(α16記念
館)、(2)(α17文化会館)及び(3)(α18文化会館)、同8(1)(α19文化会
館)、(3)(α20文化会館)及び(4)(α21会館)、同9(2)(α22会館)及
び(3)(α23会館)、同10(2)(α24会館)、同11(3)(α25会館)及び(6)
(α26文化会館)並びに同12(3)(α27会館)、(4)(α28平和会館)及び(5)
(α29文化会館)の土地及び建物ついては、いずれも専ら宗教法人本来の用に供
されていると認められるとして非課税の取扱いをし、その余の不動産(別紙物件目
録1(1)(α30文化会館)、同2(1)(α31文化会館)、同3(3)(α32会
館)、(9)(α33文化会館)及び(10)(α34平和会館)、同4(1)(α35平和
講堂)、同5(1)(α36文化会館)、同8(2)(α37平和会館)、同9(1)(α3
8記念講堂)、同10(1)(α39文化会館)、同11(1)(α40平和講堂)、(2)(α
41文化会館)、(4)(α42会館)及び(5)(α43会館)、同12(1)(α44平和
講堂)及び(2)(α45文化会館))についても、同様に専ら宗教法人本来の用に供
されていると認められるとして、それぞれのほとんどの部分について非課税の取扱
いをしている。
(4) 本件訴訟に至る経緯
ア 第1次訴訟
(ア) 平成11年11月11日、本件訴訟の原告であるP17が代表者を
務める財団法人「土と人間の蘇生の会」及び原告P17を除く本件各12年事件の
原告及びP21は、東京都監査委員に対し、東京都知事が、宗教法人の実体がない
創価学会が東京都23区内に所有している固定資産に係る固定資産税を非課税扱い
としているのは違法であるとして、当該怠る事実を改め固定資産税を賦課すること
を求める監査請求をした(以下「本件第1監査請求」という。)。
(イ) これに対し、東京都監査委員は、平成11年12月3日、同監査請
求が不適法であるとして監査を実施しないこととし、請求人らにその旨を通知し、
同通知は、翌日ころ請求人らに到達した。
(ウ) 前記請求人らは、平成11年12月27日、東京都知事を被告とし
て、東京都知事が創価学会所有の不動産について平成5年度ないし平成10年度の
固定資産の賦課徴収を怠ったことがいずれも違法であることの確認を求める訴訟を
提起した。
(エ) 東京地方裁判所は、平成12年8月29日、東京都知事は、固定資
産の賦課徴収に関する事項を都税事務所長に委任しているため、固定資産の賦課徴
収に関する権限は都税事務所長に属しており、東京都知事はその権限を有せず、上
記訴えにつき被告適格を有しないとして、同訴えを却下し、同判決は確定した。
イ 本件各12年事件の訴えに至る経緯
(ア) 原告P17、P18、P19及びP20は、平成12年10月13
日、東京都監査委員に対し、東京都知事から権限を委任されている都税事務所長
が、宗教法人の実体がない創価学会が東京都23区内に所有する土地建物に対する
固定資産税の賦課徴収の懈怠が違法であることの確認を求める旨の住民監査請求を
行ったところ(以下「本件第2監査請求」という。)、東京都監査委員は、同年1
1月1日、同原告らに対し、監査請求を行わない旨の通知をした。
(イ) そこで同原告らは、平成12年11月28日、東京都各区の都税事
務所長を被告として、創価学会が東京都23区内に所有する土地建物に対する固定
資産税の賦課徴収の懈怠が違法であることの確認を求める訴えを提起した(うち、
別紙当事者目録記載の12の都税事務所長を被告とする訴えが本件各12年事件で
ある。)
ウ 本件各15年事件の訴えに至る経緯
(ア) 原告P17、P18、P1、P2、P3及びP4は、東京都監査委
員に対し、東京都知事から権限を委任されている都税事務所長らは、宗教法人の実
体がない創価学会が東京都23区内に所有している固定資産を非課税扱いとし、そ
の結果、平成7年度から平成9年度分の固定資産の課税徴収権を時効により喪失
し、東京都に同喪失税額に相当する損害を与えたとして、被告知事及び都税事務所
長らに対し損害を填補するための必要な措置を求めて、監査請求をした(以下「本
件第3監査請求」という。)。
(イ) 東京都監査委員は、平成15年1月29日、前記監査請求につい
て、不適法な住民監査請求であるとして監査を実施しないこととして、その旨を請
求人に通知した。
(ウ) 同原告らは、平成15年2月28日、本件各15年事件の訴えを提
起した。
第3 当事者の主張
1 本案前の主張
(1) 本件各12年事件について
ア 被告都税事務所長ら
(ア) 不適法な監査請求
 以下に述べるとおり、本件各12年事件の訴えに前置されている本件
第2監査請求は不適法であるので、本件各12年事件の訴えは、適法な監査請求を
経ていない不適法なものである。
a 監査請求の対象外
 宗教団体における宗教上の教義、信仰に関する事項については、憲
法上国の干渉からの自由が保障されているのであるから、これらの事項について
は、裁判所は、その自由に介入すべきではなく、一切の審査権を有しないととも
に、これらの事項に関わる紛議については厳に中立を保つべきであることは憲法2
0条のほか宗教法人法1条2項、85条の規定の趣旨にかんがみ明らかなところで
ある。かかる見地からすると、当事者間の具体的な権利義務関係ないし法律関係に
関する訴訟であっても、請求の当否を決する前提問題が当事者間の紛争の本質的争
点をなすとともに、それが宗教上の教義、信仰の内容に深く関わっているため、教
義、信仰の内容に立ち入ることなくしてその効力の有無を判断することができず、
しかも、その判断が訴訟の帰趨を左右する必要不可欠のものである場合は、当該訴
訟は、その実質において法令の適用による終局的解決に適しないものとして、裁判
所法3条にいう「法律上の争訟」に当たらないというべきである。したがって、当
該訴えは不適法というべきである。
 これを本件第2監査請求についてみると、その監査請求の内容は、
被告らが、宗教法人の実体がない創価学会が23区内に所有している固定資産を
「宗教法人が専らその本来の用に供する」として非課税扱いとしていることが、地
方税法242条1項の「公金の賦課を怠る事実」に該当するので、固定資産税の賦
課徴収懈怠の違法の確認の監査を請求するいうものであり、原告らは、創価学会が
宗教法人としての実体がない根拠として、平成3年11月、創価学会が日蓮正宗か
ら破門されたこと、平成4年3月、日蓮正宗が東京都知事に対して、創価学会は、
破門により宗教法人の適格性を欠くという通知を提出したこと等を主張している。
 これらの主張によれば、本件第2監査請求の当否について判断する
には、日蓮正宗及び創価学会の宗教上の教義、信仰の内容に立ち入って判断する必
要があり、しかも、その判断は、同監査請求の帰趨を左右するに必要不可欠のもの
である。一方、地方自治法242条の住民監査請求とは、司法作用とほぼ同様の作
用をもつものである。
 そうすると、本件監査請求は不適法といわざるを得ない。
b 監査請求の内容不特定
 地方自治法242条1項は、住民に対し、地方公共団体の執行機関
又は職員による一定の具体的な財務会計上の行為又は怠る事実に限って、その監査
と非違の防止、是正の措置とを監査委員に請求する機能を認めたものであって、そ
れ以上に、一定の期間にわたる行為等を包括して、これを具体的に特定することな
く、監査委員に監査を求める等の機能までを認めたものではないと解するのが相当
であり、したがって、住民監査請求においては、監査請求の対象とする行為を他の
事項から特定認識できるように個別的・具体的に摘示することを要するものという
べきである。
 これを本件についてみると、本件各12年事件に前置された本件第
2監査請求において「怠る事実」として記載されているのは、被告らは創価学会が
23区内に所有している固定資産にかかる固定資産税を非課税扱いとしていること
のみで、いつの年度のことか、また、どのような固定資産か(土地か、家屋か、償
却資産か不明である。)、さらに、仮に土地とした場合、具体的にどの範囲なのか
についての記載がない。
 したがって、本件第2監査請求は、請求の内容が特定されていない
不適法な監査請求といわざるを得ない。
(イ) 出訴期間徒過
 仮に、本件住民訴訟に前置された本件第2監査請求の内容が適法であ
ると解されるとしても、原告P17を除くその余の原告らの本件各12年事件にか
かる訴えは、期間徒過の違法がある。
 同一の財務会計上の行為又は怠る事実に関して、同一住民から再度の
監査請求をすることは許されないと解されるところ、本件においては、本件第2監
査請求の請求人5名のうち、原告P17を除くその余の原告らは本件第1監査請求
の請求人である。
 本件第1監査請求の内容と本件第2監査請求の内容は、請求の要旨の
理由部分及び結論はほぼ同様であり、本件第1監査請求において「東京都知事」と
記載されていた部分が本件第2監査請求において「都税事務所長」と変わった点に
違いがあるのみで、本件第1監査請求と本件第2監査請求の内容は、実質的には同
一というべきである。
 よって、原告P17を除くその余の原告らの本件第2監査請求は再度
の監査請求ということになり許されない。
 そうすると、原告P17を除くその余の原告らは、本件第1監査請求
についての却下の通知があった日から30日以内(平成12年1月4日ころ)に住
民訴訟を提起しなければならなかったところ、本件訴えは、上記期間を経過した後
に提起されたものであるから不適法である。
(ウ) 訴えの利益の消滅
 固定資産税の賦課決定は、法定納期限の翌日を起算して5年を経過し
た日以降においてはすることができず、固定資産税の徴収権も法定納期限の翌日か
ら起算して5年間行使しないことにより消滅する。固定資産税の納期は、地方税法
362条1項、東京都都税条例129条が具体的に納期を定めるが、平成5年度の
固定資産税の法定納期限は平成5年4月30日、平成6年度の固定資産税の法定納
期限は、平成6年5月31日、平成7年度の固定資産税の法定納期限は平成7年5
月31日、平成8年度の固定資産税の法定納期限は平成8年5月31日、平成9年
度の固定資産税の法定納期限は、平成9年6月2日、平成10年度の固定資産税の
法定納期限は、平成10年6月30日であり、それぞれの納期限より5年経過した
日に当たる平成10年5月1日、平成11年6月1日、平成12年6月1日、平成
13年6月1日、平成14年6月3日、平成15年7月1日以降においては、被告
らは期間経過により賦課決定をすることができないこととなるし、徴収権も時効に
より消滅していることとなる。
 したがって、原告らの訴えのうち、平成5年度、平成6年度及び平成
7年度の固定資産税の賦課、徴収を怠った事実が違法であることの確認を求める部
分については、もはや被告らとしては、その不作為の違法状態を除去するための義
務を行使する余地は存しないことになるから、訴えの利益を欠き不適法というほか
ない。
(エ) 本件訴訟が「法律上の争訟」(裁判所法3条)に当たらないこと
 裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁
判所法3条にいう「法律上の争訟」、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし
法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、法令の適用により終局的に解決する
ものに限られ、したがって、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっ
ても、法令の規定により解決するに適さないものは裁判所の審判の対象となり得な
いというべきである。
 そして、前記ア(ア)記載の見地によれば、当事者間の具体的権利義務
関係ないし法律関係に関する訴訟であっても、当該法人が宗教団体の実体があるか
否かが請求の当否を判断する前提問題となっており、その前提問題が当事者間の紛
争の本質的争点をなすとともに、それが宗教上の教義、信仰の内容に深く関わって
いるため、教義、信仰の内容に立ち入ることなくしてその判断をすることができ
ず、しかも、その判断が訴訟の帰趨を左右する必要不可欠なものである場合は、当
該訴訟は、その実質において法令の適用による終局的解決に適しないものとして、
裁判所法3条にいう「法律上の争訟」に当たらないというべきである。
 これを本件についてみると、原告らは、固定資産税の賦課・徴収を怠
ることが違法である理由として、本件不動産が現実に専ら宗教法人本来の用に供さ
れてはいないこと及びそもそも本件不動産を所有する創価学会が宗教法人としての
実体がないことを主張しており、原告らの主張の核心は、創価学会が宗教法人とし
ての実体がないことにあると窺われるところ、これらの主張をみれば、本件訴訟の
請求の当否を決定する前提問題である「創価学会が宗教法人としての実体があるか
否か」が本件訴訟において当事者間の紛争の本質をなすことは明らかであり、その
判断は、宗教上の教義、信仰の内容に深く関わっていて、訴訟の帰趨を左右する必
要不可欠なものである。
 そうすると、本件訴訟は、裁判所法3条にいう「法律上の争訟」に該
当しないというべきである。
イ 原告ら
(ア) 適法な監査請求を前置していないとの主張について
a 監査の対象外
 創価学会が実質的に宗教団体としての存在であるか否かは、宗教上
の教義や信仰に関する適否の評価とは全く関係がなく、日蓮正宗の宗門から破門処
分に付され、信徒団体として絶縁を宣告され、創価学会の設立の趣旨とされ、宗教
法人の目的とされた「御本尊」も「教義」も失われたことによるのであり、誰しも
認識可能な客観的な事実の有無であって、事実認定の問題以外の何物でもない。の
みならず、原告らの請求は、創価学会が所有する土地建物を管轄区域内にもち、こ
れにかかる固定資産税を賦課徴収すべき各都税事務所長を被告として、その賦課徴
収の適正な権限行使を被告が怠っている事実の違法確認を求めているものであり、
創価学会が宗教法人法の定める宗教団体の実質を失っているということに加えて、
現実の土地建物が専ら宗教団体としての儀式行事に使用されておらず、宗教活動と
は無縁であるべき政党の選挙運動や政治活動や事業活動に使用されている実態があ
り、地方税法348条2項3号が定める「専らその本来の用に供する」土地建物に
該当しないことも理由としているのであって、これもまた、事実認定の問題にほか
ならない。
b 監査請求の特定
 被告都税事務所長らが固定資産税の賦課徴収を懈怠している不動産
は、被告が管轄する区域内に存在する創価学会所有の土地建物であって、客観的に
特定されている。そして、原告らは、非課税措置の対象と認められる土地建物を登
記簿上の表記に従って特定しており、課税年度についても、本件において原告が主
張する怠る事実は、原告が監査請求を行った時点においても継続していたのである
から、特定が問題となるものではない。
(イ) 出訴期間徒過の主張について
 原告P17、P18、P19及びP20は、本件第2監査請求を行
い、東京都監査委員が平成12年11月1日付けをもって監査を実施しない旨の通
知を行ったので、その翌日から30日以内である平成12年11月28日に本件各
12年事件の訴えを提起したものであって、出訴期間の徒過はなく、同訴えが不適
法とされる理由はない。
 本件第1監査請求は、東京都知事の行為を対象として監査請求を行っ
たものであり、これは、被告も認めるところであるが、これに対して、裁判所が本
件各不動産に対して固定資産税の賦課徴収の権限を有する者が都税事務所長である
との見解を示したため、改めて都税事務所長の行為を対象とし、本件各不動産につ
き固定資産税を賦課徴収しない事実が公金の賦課を怠る事実に該当するとして本件
第2監査請求を行ったものである。怠る事実に該当する行為の主体が異なる限り、
法律的な手続としても全く別個のものとして取り扱われるべきは当然のことであ
る。同一の住民が同一の行政主体の同一の行為について監査請求を繰り返すことは
不必要であるばかりでなく、これを認めれば監査請求の期間制限を設けた趣旨が没
却されることとなり、当該行為の適法性を際限なく争う途を許すことになるが、請
求を却下された住民が、却下の理由に応じて必要な補正を加えて当該請求にかかる
財務会計上の行為又は怠る事実を対象とする再度の住民監査請求に及ぶことは、請
求を却下された者として当然の所為であり、その場合、請求が当初の請求と対象と
同じくすることを理由に不適法とするのは、当該住民から住民訴訟を提起する機会
を不当に奪うものというほかない。
 よって、本件訴訟の提起が、出訴期間を徒過したものと解すべき余地
はなく、被告らの主張は失当である。
(ウ) 訴えの利益の消滅の主張について
 不作為の違法を継続することにより当該権限が時効で行使できなくな
ったからといって、当該不作為が違法から適法に転化する筋合いのものでないこと
は明らかであり、違法な権限の不行使が時効完成により徴収すべき税額を失わしめ
たならば、地方公共団体に対して当該税額に相当する損害を与えたことになるので
あり、損害賠償の帰趨を問わなくとも、当該行為の違法の確認を求める意義は十分
に存在する。
 そもそも、地方自治法242条1項が、地方公共団体の執行機関又は
職員による財務会計上の行為又は怠る事実について住民の監査請求を認めるととも
に、同法242条の2第1項第3号が、その監査請求の結果に不服がある住民に対
して住民訴訟による違法確認の請求を認めているのは、地方公共団体の機関による
法規に適合しない行為を是正するための制度であることは言うまでもない。よっ
て、地方公共団体に具体的な損害がなく、執行機関に対する損害賠償請求権が発生
しない場合であっても、その不作為が法規に適合しない以上、その違法性を確認す
る必要は失われることはない。
(エ) 法律上の争訟に当たらないとの主張について
 (ア)aと同じ
(2) 本件各15年事件について
ア 被告都知事
(ア) 平成5年度分ないし平成8年度分にかかる訴えが適法な監査請求の
前置を欠く不適法なものであること
a 本件第3監査請求は、平成7年度から平成9年度の固定資産税に係
る損害賠償請求の措置を求めた監査請求であり、平成5年度及び平成6年度の固定
資産税の賦課徴収については監査請求の対象とされていない。
 したがって、平成5年度及び平成6年度の固定資産税に係る訴え
は、監査請求前置を欠いた不適法な訴えである。
b 固定資産税の課税徴収権を時効により喪失した行為を争う場合、各
年度の課税徴収権を時効により喪失した日から1年以内に監査請求を行う必要があ
る。
 そして、本件においては、平成7年5月31日を法定納期限とする
平成7年分固定資産税は平成12年6月1日、平成8年5月31日を法定納期限と
する平成8年分固定資産税は平成13年6月1日に課税徴収権が時効により喪失す
るから、平成7年度分については、平成13年5月31日、平成8年度分について
は平成14年6月1日までに監査請求を行わなければならないこととなるが、本件
第3監査請求は、平成15年1月7日に行われており、平成7年度分及び平成8年
度分については、監査請求期間を徒過して行われた不適法な監査請求である。
(イ) 原告P17及び原告P18の訴えが出訴期間を徒過したものである
こと。
 同一の財務会計上の行為又は怠る事実に関して、同一住民から再度の
監査請求をすることは許されないと解される。これを本件についてみると、本件第
3監査請求の請求人7人のうちP21及び原告P18は、本件第1監査請求の請求
人であり、原告P17、同P18及びP21は、本件第2監査請求の請求人であ
る。
 そして、本件第1監査請求及び本件第2監査請求と本件第3監査請求
書の請求の要旨中、結論及び結論を導く理由がほぼ同様であるから、本件第3監査
請求は、原告P18においては3度目の監査請求であり、原告P17においては再
度の監査請求であり許されない。
 したがって、原告P18にとって、本件各15年事件に前置される監
査請求は、本件第1監査請求であり、原告P17にとって、本件各15年事件に前
置される監査請求は、本件第2監査請求であるから、本件訴えは、出訴期間を経過
した不適法なものとなる。
(ウ) 原告らの主張について
 訴えの変更は、新訴の提起にほかならないから、変更後の訴えについ
て出訴期間の制限がある場合には、原則として訴えの提起又は訴えの変更の申立が
出訴期間内にされることが必要である。例外として、変更後の訴えについて出訴期
間の制限がある場合でも、変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められると
き、又は両者の間に存する関係から、変更後の新請求に係る訴えを当初の訴え提起
の時に提起されたものと同視し、出訴期間の遵守において欠けるところがないと解
すべき特段の事情がある場合には、当初の訴え提起が出訴期間を遵守している限
り、出訴期間経過後に追加された変更後の訴えも適法であるとしている。
 上記の見地に立って本件についてみると、本件各15年事件のうち、
平成5年度分ないし平成7年度分の固定資産税の課税権の喪失に係る損害賠償の訴
えについては、前訴である本件12年訴訟の訴え提起時に提起されたものと同視し
たとしても、その時点において、原告P17及びP18は、各都税事務所長個人に
対する損害賠償代位請求訴訟(旧4号訴訟)を提起できたはずであるから、少なく
とも、原告P17及びP18の平成5年分ないし平成7年分に係る訴えについて
は、出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情の存在を認
めることはできない。
イ 原告ら
 原告P17、P19、P20及びP18は、本件各12年事件を提起し
たが、被告が、同事件の審理の過程で、時効によって徴収権が消滅した年度につい
ては、不作為の違法状態を是正する余地がなくなったから、原告らの提起した訴訟
は訴えの利益を失って不適法となったと主張した。これに対し、原告P17及びP
18は、違法性の確認を求める利益は存する旨の主張をしたものの、従来の訴訟の
請求として各当該職員に対する損害賠償請求を賦課するに当たり、念のため改正さ
れた地方自治法242条の2の規定を踏まえて監査請求を行ったものである。これ
に対する平成15年1月29日付けの監査不実施との監査請求の結果を受けて、他
の原告を加えて本件各15年事件に係る訴えを提起したのであり、この手続の経過
に何ら法的な不適合性は存しない。
 よって、被告の本案前の抗弁は、全て成り立つ余地がない。
2 本案の主張
(1) 原告ら
ア 非課税規定の解釈について
(ア) 非課税規定の構造と適用の要件
 地方税法348条2項3号、宗教法人法3条及び同法2条によれば、
非課税規定が適用されるためには、①当該土地建物の所有者が、宗教の教義を広
め、儀式行事を行い、及び信者を強化育成することを主たる目的とする宗教団体で
あること、②その宗教団体が宗教法人法による法人格を取得していること、③当該
土地建物が上記の目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物(及び工作物)、
土地であって、専ら当該宗教法人本来の用に供するものであることといった要件の
充足が必要である。
(イ) 非課税規定の適用の憲法的評価と現行解釈の必要性
 地方税法348条2項3号の非課税規定は、憲法14条1項の平等原
則や、憲法20条1項後段及び憲法89条の規定の文理に照らすならば、憲法違反
の評価を免れないといわざるを得ない。
 そして、このような規定について、上記の意見の評価を回避できると
するならば、それ相当な合理性のある前提条件が必要であり、他の非課税物件がい
ずれも高度の「公共性」ないし「公益性」を有しており、それが非課税の理由であ
ることにかんがみれば、非課税規定の適用に当たっては、高度の公共性及び公益性
の観点から、厳密な価値判断と具体的な事実に基づく周到な検討が必要であり、そ
の適用については、極めて慎重で厳格な解釈がされるべきものといわなければなら
ない。
イ 創価学会設立と法人格の取得
 創価学会は、昭和20年11月18日、P22が日蓮正宗の信徒を糾合
して結成した団体であって、当初から日蓮正宗の信徒団体の基本的性格を保持して
いた。日蓮正宗の教義を広める旺盛な活動によって会員数を増やし、昭和27年9
月8日、東京都知事の認証を受けて宗教法人となった。
 そして宗教法人の認証を受けるに当たっては、日蓮正宗P23庶務部長
が示した、①折伏した人は日蓮正宗の信徒として各寺院に帰属させること、②当山
(日蓮正宗総本山)の教義を守ること、③三宝(仏、法、僧)を守ることの3箇条
を遵守することを要望し、これらを条件として容認する旨の表明がされ、P22会
長がその要望の全面的な尊重を約したことから、創価学会が宗教法人として設立さ
れることの諒承を得ることができたものである。かくて、昭和27年6月15日に
創価学会の設立公告がされ、規則案が発表され、その3条には「この法人は日蓮大
聖人の一閻浮提総与の大曼陀羅を本尊とし、日蓮正宗の教義を広め儀式行事を行
い、会員の育成教化をするため、業務及びその他の事務を行うことを目的とする」
と記載された。
 すなわち、宗教法人である創価学会が日蓮正宗の信徒団体であること
は、登記簿上の目的にも明記され、明らかなことであるが、独自の教義を持たない
信徒団体であるにもかかわらず、法人格を認められたのは異例のことであり、日蓮
正宗の本尊、教義、儀式行事を行うことを目的に明記したのは、信徒団体であるか
らにほかならなず、当初から独自の宗教団体であったことはなく、日蓮正宗の本尊
と教義に依拠する団体であることは明らかである。
ウ 創価学会の目的から逸脱した一連の行動
a P24の会長就任と「会館」の建設促進
 昭和35年5月3日、P24が創価学会の会長に就任し、その後、東
京都内はもとより、全国各地に創価学会の会館が建設された。建設された会館の中
には、P24の名を冠するものが多くあり、各会館には、P24専用の贅を尽くし
た特別室が設置されるのが通例であった。
b 日蓮正宗に対する姿勢と公明党による政治への進出
 P24に対する個人崇拝の蔓延と並行して創価学会の内部では日蓮正
宗の宗門に従わず、法主上人を軽侮するような風潮が意図的に流布されるようにな
った。そして、創価学会として宗門を公然と非難したり、意に染まない僧侶を排撃
するような言動が随所で顕著となった。
 一方、創価学会は、政治的にもその影響力を及ぼすために、その組織
を母体として、昭和36年に公明政治連盟、昭和39年に公明党を結成した。
c 「言論・出版問題」による挫折と「政教分離」の宣言
 昭和44年に公明党は、野党第2党に進出したが、そのころ藤原弘達
著「創価学会を斬る」により、政教分離の立場から創価学会のあり方について批判
を受け、これに激しく反発した創価学会は、その著書の出版に干渉して、その頒布
を阻止し、販売を妨害する挙に出た(いわゆる「言論出版問題」。)。この動きが
「言論出版の自由」に対する挑戦であるとする厳しい世論の批判にさらされたた
め、創価学会は、方針転換を余儀なくされ、昭和45年5月3日の総会におけるP
24会長の講演という形で、「言論出版問題」を大いに反省し、関係者に謝罪する
とともに、「国立戒壇」の否定と「政教分離」の方針を表明した。
d 創価学会の組織を挙げた選挙運動の実態
 しかし、この方針転換は、激しい世論をかわすための一時的な便法に
すぎず、創価学会としては、その後の国政、地方いずれの選挙においても、多数の
会員をフルに動員し、その強固な組織力を生かし、ひたすら公明党の候補者の当選
のための活動に組織を挙げて全力投入してきたものである。この過程では「戸別訪
問」ばかりでなく「詐偽投票」など選挙の公正を害する実質犯も随所で実行され
た。
 創価学会においては、これらの選挙運動の中核となる場所は各地域の
拠点となる会館以外にはあり得ないのである。
e 政治活動を宗教活動というのは目眩ましであること
 そもそも、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、信者の教化育成を目
的とする宗教活動と特定の政党・党派に属する候補者に国や地方の議会の議席を得
さしめる選挙運動とは、本来的に異質のものであって、両者を截然と区別すべきも
のであることはいうまでもない。政界進出の組織的な取り組みが宗教団体の活動と
いうことは概念的にもあり得ないことであり、これを立正安国論から正当化するこ
とはできないし、支援活動は選挙運動と同義と解して誤りはない。
 現に、創価学会のP25会長自身が、選挙活動の指導と督励に躍起に
なり、先頭に立って檄をとばしている。すなわち、平成3年12月6日のα4での
「県長会」において、指導の演説をし、翌年の参院選の比例区で750万の得票を
目標にして戦う旨を述べ、その方針は翌年に掛けて全国的な規模で徹底され、年明
け早々から忠実に実行され、参議院選挙を目指した運動・大会が行われ、それら
に、「α46国際友好会館」や「α38記念講堂」が使用されている。さらに、参
議院選挙の投票日には、票読みを行った選挙人の投票行動が時々刻々逐一本部に報
告される仕組みとなっており、投票日当日には、P25会長が自らメッセージを全
国の方面・県に発し、方面長や県長は、これを受けて各会員に檄を飛ばしている。
投票終了後には、P25会長が労いのメッセージを発し、方面長や県長からも各会
員にメッセージを発しているが、書類の後始末(焼却)や注意事項(口頭徹底)と
いった注意事項が付され、組織的活動の物的証拠を残さない配慮が働いている。
エ 日蓮正宗との断絶と存立基盤の喪失
a 宗門からの破門の通告
 昭和52年ころから創価学会は日蓮正宗の宗門から教義逸脱を指摘さ
れ、是正を求められる事態が起こり、その後も勝手に本尊を模刻する事件などがあ
ったため、P24はその責任を取り、昭和54年4月、創価学会の会長と法華講総
講頭を辞職したが、昭和59年再び法華講総講頭に返り咲いた後、その言動が信徒
団体の分限を超えるとして問題視されるようになった。
 日蓮正宗による平成2年12月の「お尋ね」と平成3年11月7日の
「解散勧告」の後、同年11月28日には、公式に創価学会に対する破門の通告が
され、翌4年8月11日には、P24個人に対しても破門の通告がされた。
 この間、創価学会は、日蓮正宗と法主上人に対する誹謗中傷のキャン
ペーンを会館を使って大規模に展開したが、その内容と態様は常軌を逸したものが
あった。これらの言動が、宗教的儀式行事とはおよそ無縁の所業であることはいう
までもない。
b 信徒団体としての存在を喪失
 創価学会は、その本質的な性格が日蓮正宗の信徒団体であり、独自の
本尊や教義を持たないため、日蓮正宗の宗門と絶縁することは、宗教法人としての
存立の基盤を失うことにほかならなかった。所轄庁の東京都知事に対しても平成4
年3月28日、日蓮正宗からの破門の通知がされ、平成4年4月2日には、創価学
会法定解散要望書が22万4477名の連名で提出された。また、本訴の提起後で
はあるが、会則の中心部分が書き換えられた。それにともない、規則や登記された
宗教法人の目的も変更されている。
オ 創価学会の会館使用状況の現実
 もともと、創価学会の会館では、宗教的な儀式行事は行われていなかっ
たとみるほかない。勤行、唱題といっても、それらは会合の前後の時間を限って行
われる慣例の類にすぎず、本来的な宗教的儀式行事については、日蓮正宗の寺院で
執り行われてきたのが実際であり、会館で日蓮正宗の教義に基づく儀式行事が行わ
れる余地はなかったといわざるを得ない。
 会館で行われた文化活動は、P24の業績と軌跡の誇示に尽きるもので
あり、会合も、P24個人を讃える指導の類に終始し、また、前述の日蓮正宗の宗
門と法主上人に対する悪口雑言のキャンペーンに利用されているのであり、また、
後述するように、公明党支援一筋の選挙活動の拠点に活用されているものである。
 これらによれば、会館は、地方税法が予定する宗教法人本来の目的の用
に「専ら」供するものと認められないことは明らかである。
 また、そもそも、平成3年11月28日、日蓮正宗から破門の通告を受
けたことにより、宗教団体の実体と宗教法人の目的を喪失したのであるから、宗教
法人本来の用もあり得ず、宗教法人の存続そのものが否定されてしかるべきである
から、非課税規定が適用される余地はない。
カ 本件各会館の具体的な利用状況
a 創価学会の特殊な宗教法人性
 前記のとおり、創価学会は、日蓮正宗の信徒団体であり、信徒各個人
としての宗教活動はあり得るであろうが、創価学会が教団として宗教行事を行うこ
とはあり得ず、宗教行事は、専ら僧の団体である日蓮正宗が主催するものであるは
ずである。したがって、、創価学会の施設は、寺院のような宗教行事のための施設
とは異なり、宗教行事とは別の組織としての活動を目的とした構造物とならざるを
得ない。
b 会館の特徴
 各会館は、一律に大講堂、中講堂、多数の会議室を主要な施設として
構成され、わずかに小規模な礼拝室、恩師記念室という来賓室などが付加されてい
るにすぎず、その構造自体、本来の宗教行事を行うことを予定していない。そこで
予定されるのは、専ら各種の集会、会議の類であり、葬儀、婚儀、法要等の宗教行
事は、本来、日蓮正宗の寺院において日蓮正宗の僧侶によって行われるべきものと
されている。
c 政治活動への傾斜の要因
 創価学会が宗教団体として宗教活動ができないことは、創価学会の存
在を誇示して独自性を求める立場からすると、宗教団体としての自己否定に等しい
本来的な矛盾として映らざるを得ず、そのことが、宗教団体とは別の活動である、
政治活動を行うことを欲した要因というべきである。
d 政治活動を宗教活動と同一視する見解について
 被告から提出された会館の使用申込一覧表をみても、そこでの活動
は、勤行会、唱題会を除けば、ほとんどが組織の維持や会員を鼓舞するための各段
階、各種の会議であって、寺院等において行われる「法要」などのような宗教行事
は見当たらない。そして、それらの会議の内容は、秘密とされているが、選挙告示
前の一定期間と告示後投票までの選挙期間における活動者会や幹部会は全て支援者
獲得活動と選挙運動のための会議であったことは原告側の証人が一律に証言してい
る。
 また、昭和45年の政教分離宣言以降、学会本部として会館を選挙対
策事務に使用しないことを繰り返し徹底してきたことや、平成7年1月に同様のこ
とを再度周知徹底したことも、その内容は不明確である上、それを基礎付ける明確
な証拠、つまり、それらを示した文書はなく、現に、選挙葉書の重複チェック作業
や遊説隊の発声練習が行われていることは、被告側の証人が認めていることであ
り、選挙前約3月間は支援期間として、専ら選挙活動に集中することを全ての会員
に対して求め、その活動の拠点として会館を使用することを当然のこととしてきた
のが現実の姿である。そして、その現実は、現在においても何ら変わることはない
のである。
 そして、公明党の選挙について、創価学会は支援するのみにとどまる
ことなく、創価学会が組織的に選挙活動を行っていることも明らかといわなければ
ならない。創価学会は、ポスターの張り出し、張り出しのための配布、ビラの配
布、配布のための本部ごとの割当て、本部への配布、遊説の計画、遊説の指揮等を
組織として行っており、票の依頼も、F活動という呼称で創価学会として行ってお
り、これは、単なる創価学会の存在を広める一般的な友好活動などではなく、具体
的な投票獲得行為であり、創価学会として具体的な票読みも行っているものであ
る。
 そして、各区における会館の使用状況も、上記の内容に合致したもの
となっている。
キ 実地調査の義務違反
 当該固定資産が、非課税規定の適用を受けるべきものかについては課税
庁によって確認されなければならず、地方税法408条は、固定資産の状況を毎年
少なくとも1回実地に調査させなければならないと規定しているが、本件各不動産
について、毎年1回の実地調査が履践された形跡は全く認められず、この点におい
ても被告らの義務違反は明らかというべきである。
(2) 被告都税事務所長ら及び被告東京都知事
ア 地方税法348条2項3号の非課税規定の解釈
(ア) 「専らその本来の用に供する」の意義
 地方税法348条2項3号は、宗教法人法2条及び3条の定義規定を
前提にして、さらに、「専らその本来の用に供する」との限定を加えており、「専
ら」とは、用途が混在する場合に非課税規定の適用が否定されることを意味する
が、通常宗教法人の本来の用に供しているとみられている境内建物・境内地の一部
について、非課税とされない他の用途に供されていると認定するには、当該宗教法
人の活動とは到底いえないような用途に供されていることが証明されなければなら
ず、また、宗教法人の活動に必要な利用の形態は多様であるから、その形態につい
ては弾力的に認定する必要があり、宗教法人の活動を支える目的の使用が広く含ま
れる趣旨と解すべきである。
(イ) 他の目的に使用する場合との区別
 そして、「本来の用」の意味は、使用実態に加え設置目的も重要な資
料として判断をすべきであり、宗教法人本来の用に供する目的で設置されている境
内建物・境内地については、本来の用に供することの推定が働くというべきであ
る。
 また、固定資産税の賦課期日における現実の利用状態だけで本来の用
に供しているか否かを判断することはできず、そこに至る一定の期間の利用状態を
総合判断して、本来の用に供しているかどうかを判断すべきである。したがって、
現実の利用が一時的に切断されたとしても、本来の用に供するものと認定すること
を妨げるものではなく、たまたま他の目的のために使用した事実があることも、非
課税扱いを否定することに直結するものではない。
(ウ) 宗教法人適格性等の問題について
 宗教法人としての規則の認証を受け、登記されている法人について、
固定資産税の課税を担当する行政部門が、その法人の活動実体に着目して宗教法人
性を否定することはできない。
 すなわち、宗教法人に対して解散を強制するには、宗教法人法が定め
る手続によって解散命令を要するものとされており、このような手続を採ることな
く、税務行政において宗教法人性を否定することはできないと解すべきである。
イ 本件各会館が宗教施設としての性格を有していること
(ア) 創価学会の目的
 創価学会は、文部科学大臣から宗教法人法に基づき宗教法人として認
証を受けている宗教団体であり、「日蓮大聖人御建立の本門戒壇の大御本尊を本尊
とし、日蓮正宗の教義に基づき、弘教及び儀式行事を行ない、会員の信心の深化・
確立をはかり、もってこれを基調とする世界平和の実現と人類文化の向上に貢献す
る。」ことを目的としている(平成14年5月14日改正前の目的)。
 また、創価学会の信仰に対する基本的考え方は、会員の信心の深化・
確立をはかり、信仰活動を通しての個人の内面の変革を目指すとともに、それにと
どまらず、具体的活動を通じて世界平和の実現と人類文化の向上に貢献し社会の繁
栄に貢献することが、信仰本来のあり方であるということにあり、そうした観点か
ら創価学会は、文化、平和、教育など各種社会活動に積極的に取り組んでいる。
 なお、創価学会では、選挙の支援活動を、世界平和の実現と人類文化
の向上に貢献するための社会活動の一環として位置づけ、実施している。このこと
は、現代社会において、世界平和などあるべき社会の実現を目指し、社会活動を実
施する者は好むと好まざるをにかかわらず、誰でも政治との関わりを避けられない
という考え方に基づいている。
(イ) 本件各会館の概要
a 会館の設立経緯
 創価学会の所有施設で会館という名称が付いた建物は、昭和30年
代の二代P22会長の時代に建築され、その後全国各地に建てられるようになっ
た。東京都においては、昭和31年にα47支部会館が最初に建築されたものであ
る。
 現在創価学会は、本件各会館を含め、全国で約1000の会館を所
有しており、それぞれの会館は、前記1で述べた創価学会の設立目的に基づき、創
価学会が教義を広め儀式行事を行い、会員の信心の深化・確立をはかる広範かつ多
岐にわたる活動を実現するために必要な複合的な礼拝施設として使用されている。
b 本件各会館を構成する主な設備
(a) 礼拝室
 礼拝室は、信仰の対象である本尊が安置されている40畳以上の
比較的多人数が集まるのに適した部屋で、そこでは日常的に勤行会(本尊に対して
法華経を読誦し、題目を唱える。)、唱題会(長時間、題目を唱える。)などの儀
式行事をはじめ、日蓮聖人の遺文集である「御書」の講義や信仰の指導、創価学会
員が互いに信仰体験を語り合うなど幅広い宗教活動が頻繁に行われている。大規模
な会館においては複数の礼拝室がある。
(b) 法話室
 法話室は、礼拝室よりも小規模の部屋で、少人数による法話、勤
行会、唱題会、座談会等の宗教活動に使用されている。ここにも、本尊が安置され
ており、各会館に複数設けられている。
(c) 会議室
 会議室は、各種儀式、行事等の運営の会議に使用する部屋で、そ
れぞれの地域における壮年部、婦人部、青年部等により使用されている。
(d) 事務室
 事務室は、宗教法人の維持・管理事務に使用されている。
 以上のとおり、本件各会館を構成する主な設備をみれば、本件各会
館は、礼拝室、法話室、事務室などを中心とした施設で、勤行会、唱題会、法話・
教典等の研修、信仰指導、宗教行事などを行う宗教施設であり、宗教法人法3条に
関連して「境内建物」の例示を示した通達である「宗教法人に関する事務処理につ
いて」(昭和26年7月31日大臣官房宗務課長代理通達)及び「宗教法人法の一
部を改正する法律の公布及びその一部の施行に伴う事務処理について」(平成7年
12月26日文化庁次長通達)で例示する本堂、礼拝堂、講堂、会館、事務所等の
性格を複合的に持つ施設である。
(ウ) 本件各会館の使用実態
a 創価学会における会館の位置づけ
 創価学会の会館管理運営規定の第2条に、会館は創価学会が教義を
広め、儀式行事を行い、会員の信心の深化・確立をはかるために全国に設置した礼
拝施設である旨明記されている。現実にも、創価学会では、その会館は、本尊を安
置し、会員の仏道修行の場であり、その教義の広宣流布を推進する拠点であると位
置づけられている。
 創価学会が所有する会館は、現在全国に約1000あるが、東京に
関して言えば1会館あたりの利用対象人数は数千人規模で、数千人規模の会員が、
一つの会館を拠点として、日蓮聖人の「曼陀羅」を本尊として信仰の対象とし、日
蓮聖人の御書を根本に、勤行会、唱題会を始め、座談会、学習会、年齢・性別・職
業別など多重的に構成される部会での学習・布教活動など、多様な宗教活動を行っ
ている。
b 会館の具体的な使用状況
 会館の具体的な使用例としては、各種行事が行われ、年間の活動大
綱の下でその年間各主要行事、それ以外の日常的な行事として毎月行われる本部幹
部会、各部組織である壮年部・婦人部、男女青年部などの各幹部会、個人の勤行法
要、各地区・ブロック単位での座談会、御書学習会、毎週行われる地区ブロック単
位での各活動者会・協議会、毎日のように行われている唱題会などがある。
 また、衛星中継行事というものもあり、毎月の本部幹部会を録画中
継し、3日間にわたり計5回ほど衛星通信により全国の各会館に放映され、毎月延
数百万人の会員が全国各地の会館に集まり視聴する。そのほかにも、壮年部・婦人
部・男女青年部・職業別の文化本部・社会本部・地域本部などの各幹部会や研修
会、御書学習会の担当者会、教学学習会、日曜日に開催される壮年向けサンデー講
座などの各種講座なども衛星通信行事として本部会館を中心として全国各会館を使
用して行われる。それ以外にも、成人の日勤行会、全国諸精霊追善勤行会などの各
種法要、七五三勤行会・行事などがみられ、会館の使用頻度は高く、会館の予約を
取るのが難しいほど、朝から夜まで多くの宗教行事に使用されている。
c 恩師記念室について
 恩師記念室については、乙第49号証のとおり、記念仏間と記念展
示室という配置になっており、本尊が安置され、初代・二代・三代会長の記念展示
が行われ、その精神を学ぶ場とされ、そこでは初代、二代会長の命日や各会館の記
念日などには勤行会などが行われている。各地の恩師記念室もほぼ同じようなもの
となっており、現名誉会長の個人的な用途に使用されていることを示す客観的な証
拠はない。
d 平和・文化・教育活動と会館の使用
 その他創価学会の行う平和・文化・教育活動が行われており、これ
らは、それらの活動との関係で会館を使用して展示会を行うことなどがあるが、こ
れらの諸活動のための本件各会館の使用は、1会館において年に1回あるかない
か、しかもその期間は1ないし2週間で、場所も会館の一室にすぎない例外的なも
のである。しかも、これらの平和・文化・教育の諸活動についても、創価学会の理
念・教義との関連において、その宗教活動の一環ということができ、「専ら宗教法
人の本来の用に供する」範囲内での使用態様であるといえる。
e 創価学会と政治活動について
 創価学会が「立正安国論」の理念を現実化する活動の一つとして政
治活動を捉えていることは否定し難く、宗教の世界とは区別された世俗の規範であ
る法律の関係においては、宗教活動と政治活動の区別がされ、それに応じた規律が
されなければならないことは言うまでもない。
 公明政治連盟を結成し、昭和39年には公明党として、創価学会と
組織を分離し、さらに昭和45年には、いわゆる政教分離宣言を行い、公明党議員
は創価学会の全ての役職を辞任し、創価学会での活動を行わないようにした。そし
て、公明党と創価学会の組織・機構、運営、財政、意思決定の手続等は、すべて各
々独自に行われている。公明党と創価学会の関係は、政党と支持団体という関係で
あるところ、創価学会は、公明党の支援団体という位置付けで外部から応援すると
いう体制にした。創価学会は、選挙対策事務を行わず、あくまで政党である公明党
が行うこととし、会館では選挙対策事務を行わないというルールを徹底した。ま
た、細川内閣成立により、公明党も政権与党に参加し、さらに新進党が結党された
ことを契機として、平成7年1月には、再度、政党候補者の選挙対策事務を会館で
は行わないように周知徹底された。
 このように、創価学会としては、選挙対策事務を会館では行わず、
創価学会としての政治的活動は「支援活動」という限度にとどめることとしたので
ある。「支援活動」とは、創価学会が政党や立候補予定者を支持決定した場合に、
会員にその支持決定を伝え、これに賛同した会員が自分の友人・知人に政党等の政
策を訴えるというものであり、このような「支援活動」は、例外的な場合以外は会
館の外で行うことを基本としており、かつ、そのように実践されている。
 創価学会が一定の範囲で政治活動を行っていることによって、創価
学会が日常的に行っている宗教活動及びそれらの宗教活動に支えられている宗教団
体性が否定されるものではない。さらに、上記のような創価学会と政治のかかわり
方を社会的・政治的にどう評価するかということと、会館の使用という場面におい
て、創価学会がいう支援活動との関連での使用実態に照らして、宗教法人が専らそ
の本来の用に供しているとは言えないものと判断されるかどうかは全く別の問題で
あり、本件訴訟で問題となるのは、あくまで、会館の使用実態が宗教法人が専らそ
の本来の用に供しているといえるかどうかである。
f 支援活動との関係での会館使用の実態
 支援活動期間は、選挙の2か月前からである。公明党をはじめその
他の政党・候補予定者で支持依頼のあった者について、創価学会内の社会協議会に
おいて支持決定をするが、支持決定があってもすぐに支援活動に入るわけではな
く、告示・公示から大体1ないし2か月前から活動にはいることに決まっている。
 会館においては、支援期間中であっても、普段と変わらず多数の宗
教行事が行われている。支援活動の中心は、候補者や党の政策や人柄を訴える対話
や党が主催する地域集会への参加の呼びかけ等であるところ、それらは、会員の自
宅やその周辺地域を中心とする個人的な活動として行われるものであり、基本的に
会館で行われることはない。
 支援期間に会館で行われる支援活動は、本来の宗教行事の一部の時
間を使って、候補者の支援を呼びかけたり、候補者が1ないし2回会館に来て、本
来の会合の前ないし後の時間を使っていわゆる「幕間挨拶」をするというにとどま
る。
 それ以外の支援活動に関連して会館が使用される例としては、会館
のファックスに支援活動の報告が入る場合に、青年部員がそれをパソコンで集計す
ることがある。これも、月1回程度、選挙期間中2ないし3回程度、枚数にして数
枚程度である。支援活動の報告は、選挙の票読みではなく、支援を呼びかけた数の
集計にすぎず、ファックスも常に会館のファックスに入れられるわけではない。
g その他の選挙の支援のための活動について
 会館で行われる支援活動は、上記fのものがすべてであり、それ以
外に、会館が選挙対策本部となることも、いわゆる出陣式や決起集会が行われるこ
ともないし、会館に青年部員が選挙対策のために常駐するということもない。
h そして、本部会館や新宿区、練馬区及び目黒区内の各会館が、上記
のとおり使用されていたことは、本件の証人尋問の結果から明らかである。
(エ) 日蓮正宗との関係の断絶と創価学会の宗教団体・宗教法人性
 日蓮正宗と創価学会の関係が断絶し、両者の間にその正統性について
争いがあるとしても、それはあくまでも宗教上の争いであり、法的に正当であるか
どうかという議論ではあり得ない。日蓮正宗との正常な関係が、創価学会が宗教法
人であるための法的な条件であることはないし、まして、両者の断絶により法的な
意味での宗教法人性が失われるとの法的根拠はない。
 宗教上の正統性に争いが生じ、それまで一体だった教団が分裂し、各
派に分派していき、それぞれが宗祖の教義を掲げて宗教団体として存続すること
は、仏教各派だけでなく古今東西の世界の宗教の歴史において顕著な事実である。
(3) 被告都知事
ア 地方自治法242条の2第1項第4号は、地方公共団体の職員に違法に
公金の賦課又は財産の管理を怠る事実があるとき、当該職員に損害賠償請求をする
ことを当該普通地方公共団体の執行機関に対して求める請求を住民訴訟として規定
しており、ここでいう当該職員とは、当該訴訟において適否が問題とされている財
務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するとされている者及びその者から
権限の委任を受けるなどして同権限を有するに至った者をいう。
 そして、別紙「対象者一覧表」中、「賦課徴収権限のある年度」欄記載
の年度分以外の固定資産税については、各対象者は、本件訴訟において適否が問題
とされている固定資産税の賦課徴収権限を有しないので、その限りで、各対象者
は、地方自治法242条2第1項4号の「当該職員」に該当しないこととなる。
 したがって、原告らの請求のうち、別紙「対象者一覧表」中、「賦課徴
収権限のある年度」欄記載の年度分以外の固定資産税相当額の損害賠償を各対象者
に対してすることを求める請求には、法律上の根拠がない。
イ 本件各不動産のうち、別紙物件目録記載3(4)及び(8)は、固定資産税が
課税されている。
 したがって、いずれの年度についても課税権喪失の事実はない。
第4 争点に関する裁判所の判断
 本件の争点は、①本件各12年事件に係る訴えの適法性(争点1)、②本件各
15年事件に係る訴えの適法性(争点2)、③本件各不動産につき原告主張の各年
度につき固定資産税を賦課しなかったことについての違法性の存否(争点3)であ
る。
1 争点1(本件各12年事件に係る訴えの適法性)
(1) 監査請求前置
ア 本件第2監査請求に係る請求書の記載内容
 甲第2号証の1によれば、原告P17、同P19、同P20、同P18
及びP21は、平成12年10月13日に本件第2監査請求を行い、同監査請求書
には、「請求の要旨」として創価学会の宗教法人認証時の目的や平成3年に創価学
会が日蓮正宗から破門され、「目的」に違反した活動をしており、宗教法人の適格
性を欠くとの記載のほか、「固定資産税は、実態に即して課税すべきものである。
東京都知事に権限を委任されている『都税事務所長』は、宗教法人の実体が無い創
価学会が、二十三区内に所有している固定資産を『宗教法人がもっぱらその本来の
用に供する』として非課税扱いとしている。これは地方自治法第二四二条一項の
『公金の賦課を怠る事実』に該当するので、固定資産税・賦課徴収懈怠違法確認の
監査請求をする。」との記載があることが認められる。
イ 監査請求の内容が法律上の争訟に当たらないとの主張について
 被告は、本件第2監査請求が宗教上の教義、信仰に関する事項の判断無
くして判断をすることができない事項であり、「法律上の争訟」に当たらないもの
であるから、住民監査請求としても不適法である旨主張する。
 しかし、前記ア認定の原告の本件第2監査請求に係る住民監査請求書の
記載によれば、原告の求める監査請求の趣旨は、創価学会が東京23区内に所有し
ている固定資産の固定資産税を非課税扱いとしていることの適否及び当否であると
いうべきであり、その前提として記載された創価学会における宗教法人としての実
態の存否は原告が考える非課税扱いの不適法性についての一つの理由にすぎないと
いうべきである。監査委員としては、訴訟における処分権主義・弁論主義のよう
に、当事者の主張する理由に拘束されることはない代わりに、請求人が具体的に主
張する理由の存否に限らず、請求人が違法・不当を指摘する財務会計行為について
広く監査請求を行った上、当該行為の違法性・不当性の存否について判断すべきで
ある。そうすると、本件第2監査請求における監査請求の内容は、必ずしも宗教団
体における宗教上の教義や信仰に関する事項について考慮することなく、その適否
及び当否を判断をすることも可能であるものといえ、宗教上の教義、信仰に関する
判断を含んでいるからといって、監査請求全てが不適法となるわけではない。現に
被告は、本件訴訟において、固定資産税における地方税法348条2項3号の適用
の存否を決するに当たっては、当該宗教法人が宗教法人である以上、当該固定資産
の使用実態にかんがみ、非課税規定の適否を検討するべきものである主張している
ところであり、それを前提とすれば、本件第2監査請求においても、宗教団体等に
おける当該資産の使用実態等について判断をすることにより、監査請求において必
要とされる判断を行うことは可能であったというべきである。
 したがって、本件第2監査請求の内容が「法律上の争訟」に当たらない
不適法なものであるとの主張は理由がないというべきである。
ウ 請求内容の特定を欠くとの主張について
 また、被告は、本件第2監査請求が問題とする固定資産税の年度や不動
産について具体的に特定していないことから、本件第2監査請求が不適法なもので
ある旨主張する。
 確かに、甲第2号証の1によれば、被告の指摘するとおり、どの年度の
どの不動産の固定資産税の賦課を怠ったことを問題とするのかについて必ずしも明
確な記載はないものと認められる。
 しかし、固定資産税は、固定資産(土地、家屋及び償却資産(地方税法
341条1号))の所有者に対し(同法343条1項)、当該年度の初日の属する
年の1月1日を賦課期日として(同法359条)課されるものであるから、不動産
の所有という登記の記載により客観的、一義的に明確な事項が存する限りにおいて
はその所有者に対して毎年課されるもので、他の税目のように不動産の所有以外の
特定の事実が存在することにより賦課がされないことがあったり、1年度に複数の
賦課があったりということは考えられないものであるから、仮に、具体的な年度の
記載がなくても、請求人が監査請求を行った年度及びそこからさかのぼって賦課可
能な年度全てを問題としていることは合理的に理解可能であるといえる。そうする
と、具体的な年度の記載が無くとも必ずしも特定に欠けることは無いというべきで
ある。
 また、対象とする不動産についても、甲第2号証の1によれば、本件第
2監査請求の請求書には、「創価学会が23区内に所有している固定資産」を問題
とする旨の記載はされており、住民監査請求書の記載全体の趣旨及び創価学会が有
名な宗教団体であることにかんがみれば、同請求が、創価学会が23区内に所有し
ている各種の施設とその敷地のうち非課税の取扱いを受けている不動産すべてを問
題とする趣旨であることは容易にうかがえるところ、各種の施設の所在を具体的に
認識することはそれほど難しいことではないから、対象とする不動産について住民
監査請求の段階において具体的な不動産を列挙していないくても、特定に欠けるこ
とはないというべきである。
エ 小括
 そうすると、本件第2監査請求自体に被告指摘の違法な点は認められ
ず、本件第2監査請求は不適法なものとはいえないというべきである。
(2) 出訴期間(再度の監査請求の可否)
 被告は、本件第2監査請求の請求人のうち原告P17を除くその余の原告
らが本件第1監査請求を行っていることから、その者らについては、本件第2監査
請求は許されず、本件各12年事件は、本来、本件第1監査請求から30日以内と
いう出訴期間を徒過したものである旨主張する。
 確かに、住民訴訟に出訴期間制度が設けられた趣旨にかんがみれば、同一
の住民が先に監査請求の対象とした財務会計上の行為又は怠る事実と同一の行為又
は怠る事実を対象とする監査請求を重ねて行うことは許されていないものと解する
のが相当である(最高裁判所第2小法廷判決昭和62年2月20日)。しかし、適
法な住民監査請求が却下された場合、当該請求をした住民は、適法な住民監査請求
を経たものとして、直ちに住民訴訟を提起することができるのみならず、当該請求
の対象とされた行為等を対象として再度の住民監査請求をすることも許されるもの
と解すべきであり(最高裁判所第3小法廷判決平成10年12月18日)、乙第1
号証及び第2号証によれば、本件第1監査請求は、その記載及び前記(1)の認定によ
れば、適法性に欠けるところはないにもかかわらず、監査不実施の通知がされてい
るものであるから、これを受けて原告らとして再度の監査請求を行い、その結果を
受けて住民訴訟を提起することも許されるというべきである(この点、前記争いの
ない事実及び乙第3号証、第4号証の1及び2によれば、原告らが、第1次訴訟を
提起し、同訴訟が却下されているところではあるが、却下の理由は、本件第1監査
請求が不適法であったことではなく、第1次訴訟の被告が東京都知事とされていた
点に尽きるものであり、本件第1監査請求の適否とは無関係の事由による却下判決
が存することにより、その後の監査請求が許されないとするのは、原告らに酷とい
うべきであり、また、住民訴訟制度の趣旨にも反することになると考えられ
る。)。
 そうすると、被告の主張は、その前提である、第2監査請求が許されない
という点において失当であり、採用し得ない。
(3) 訴えの利益の消滅
 被告は、固定資産税の法定納期限から5年を経過することにより、固定資
産税の徴収権が消滅するため、原告の本件各平成12年事件に係る訴えのうち、平
成5年度ないし平成10年度の固定資産税の賦課に係る部分は、訴えの利益を欠き
不適法なものである旨主張する。
 しかし、徴収権に係る時効期間の経過があったとしても、それにより、原
告の主張する「怠る事実」がそもそも存在しなかったことになるものではなく、地
方自治法が住民訴訟の類型として直接的に違法状態の是正を求めることなく、単に
違法の確認という請求をも認めている趣旨にかんがみると、違法確認の請求は、そ
の認容判決が確定した後に違法状態自体を是正し得るか否かにかかわらず適法なも
のと考えるべきであるから、徴収権が時効消滅したとしても、そのことにより本件
各12年事件の訴えの利益がなくなるものではないというべきである。
(4) 法律上の争訟性
 この点については、前記(1)記載のとおり、本件各不動産に対する固定資産
税を非課税とすることの適否を判断するにつき、必ずしも宗教上の教義・信仰の内
容に関する判断が必要不可欠とはいえないものであるし、特に、本件訴訟において
原告は、創価学会の本件各不動産の使用実態に基づいて、非課税とすることが違法
である旨の主張もしているのであるから、被告の主張は採用し得ない。
2 争点2(本件各15年事件に係る訴えの適法性)
(1) 原告P17及びP18の訴えについて
 一般に、公金の賦課徴収を怠る事実の違法確認を求める住民訴訟を提起し
た者が、その怠る事実を直接の原因とする損害の発生を原因として、損害賠償請求
をすることを求める4号請求に変更する場合などにおいては、その対象とする怠る
事実について監査請求を経ていると認められる限り、監査請求において求められた
具体的措置の内容と異なる請求をすることも許され、その異なる請求も監査請求の
内容と同一性を有するものと解すべきであるし、当該3号請求の内容と4号請求の
関係から、当初の訴えの提起時に新請求に係る訴えを提起したものと同視すべき
「特段の事情」がある場合には、当初の訴えのときを基準として出訴期間の具備を
判断するものと解すべきである。
 これを本件についてみると、本件各15年事件は、各都税事務所長が、本
件各不動産の平成5年度ないし平成12年度の賦課徴収を怠ったことにより、東京
都に損害が発生したとして、東京都知事に対し、各都税事務所長個人に対し、損害
賠償の請求をすることを求めるものである。そして平成8年度以降の請求について
は、本件各12年事件提起のときにおいて未だ徴収権が消滅していなかったのであ
るから、この時点において、4号請求を提起し得なかったことは明らかというべき
であり、これらについては、本件各12年事件の訴え提起時に本件各15年事件を
提起したものと同視すべき特段の事情があるというべきである。また、それ以前、
すなわち平成7年度以前のものについては、消滅時効の期間が経過していることは
明らかであり、当初から4号請求をすることも可能であったと認められるが、その
ような場合でも3号請求の提起を許すとの法の趣旨からすると、住民訴訟を提起す
る者としては、取りあえず3号請求を提起し、その進捗状況をみながら4号請求を
提起するという訴訟活動も法は許容しているものと解すべきである。そうであると
すると、本件各15年事件の訴えのうち平成7年度分以前の部分についても、訴訟
の進捗状況によっては請求が追加されることもあることを法自体が許容しているも
のとして本件各12年事件の訴え提起時に本件各15年事件を提起したものと同視
すべき特段の事情があるというべきである。
 そうすると、本件各15年事件の提起に当たり、別途の監査請求が必要で
あることを前提としてされた被告東京都知事の本案前の主張はいずれもその前提に
おいて理由がないものといわざるを得ない。
(2) 原告P1、P2、P3及びP4の訴えについて
 上記原告らは、その監査請求において対象年度を明示的に平成7年度から
平成9年度に限定しているものであるから、平成5年度及び平成6年度の賦課徴収
を怠る事実については監査請求をしていないといわざるを得ず、これらの年度にか
かる損害賠償請求を求める訴えは、監査請求を前置しないものとして不適法といわ
ざるを得ない。
 他方、平成9年度の賦課徴収を怠る事実に基づく損害賠償請求を求める訴
えについては、違法な点は見当たらず、被告もその違法を主張するものではない。
 平成7年度及び平成8年度の賦課徴収に怠る事実に基づく損害賠償請求を
求める訴えについては、直接的には当該損害賠償請求権の行使を怠る事実を問題と
するものであって、地方自治法242条2項の監査請求期間の制限を受けないかの
ようにみえないでもないが、当該請求権が、上記各年度の賦課徴収を怠る事実が、
時効により徴収権が消滅したことによって発生したものであって、当該請求権の行
使を怠っているか否かの前提として、上記各年度の賦課徴収を怠る事実があったか
否かを問題とせざるを得ない以上、先行する怠る事実が終わった時点から同項所定
の期間内に監査請求をすべきものと解さざるを得ない。しかるに、前記第2、2(4)
ウ(ア)のとおり、上記原告らが監査請求を行ったのは、上記各年度の徴収権が時効
によって消滅してから1年以上経過した時点であったと認められ、同項ただし書に
該当する事由も見当たらないから、上記原告らの訴えのうち、これらの部分は、適
法な監査請求を経ていない点で不適法なものといわざるを得ない。
3 争点3(本件各不動産につき原告主張の各年度につき固定資産税を賦課しな
かったことについての違法性の存否)の判断の前提たる事実関係
(1) 各項掲記の証拠によれば以下の事実が認められる。
ア 創価学会の沿革(乙53、54、69、P26証人)
 創価学会は、同会の初代会長P27及び第2代会長P22(当時理事
長)が昭和5年11月18日に創立した「創価教育学会」を前身とし、戦後、昭和
21年3月に名称を創価学会と改め、同26年5月3日にP22が第2代会長に就
任した。その後、昭和27年9月8日に宗教法人としての認証を受けた。その際
は、日蓮正宗の信徒団体としての性格を有する団体であり、後記イ記載の目的のと
おり、日蓮正宗の教義に基づき、弘教及び儀式行事を行い、会員の信心の深化、確
立をはかること等が目的とされた。
 昭和33年4月2日にP22が死去した後、同35年5月3日にP24
(現名誉会長)が会長に就任し、昭和54年4月24日には、P28第4代会長
が、同56年7月18日には、P25第5代会長がそれぞれ就任した。
 平成2年12月末には、日蓮正宗がP24名誉会長を日蓮正宗信徒の最
高位役職である法華講総講頭から事実上解任し、平成3年11月には創価学会を宗
教的に破門する措置に出て、創価学会と日蓮正宗とは宗教的に対立する関係となっ
た。
イ 創価学会の目的等(甲21、乙21、乙67ないし69、P26証人)
 創価学会は、平成3年10月9日当時、東京都新宿区α4832番地を
主たる事務所とし、その目的には「この法人は、日蓮大聖人御建立の本門戒壇の大
御本尊を本尊とし、日蓮正宗の教義に基づき、弘教および儀式行事を行ない、会員
の信心の深化、確立をはかり、もってこれを基調とする世界平和の実現と人類文化
の向上に貢献することを目的とし、これに必要な公益事業、出版事業および教育文
化活動等を行なうものとする」(昭和54年5月2日変更)と記載されている。
 創価学会会則は、昭和54年4月24日に制定され、それに伴い創価学
会規則の改正がされた。同会則は、第1章総則中に第3条(教義)として「この会
は日蓮正宗の教義に基づき、日蓮大聖人を末法の御本仏と仰ぎ、日蓮正宗総本山大
石寺に安置せられている弘安2年10月12日の本門戒壇の大御本尊を根本とす
る」と、第4条(目的)として「この会は、日蓮正宗を外護し、弘教および儀式行
事を行ない、会員の信心の深化、確立をはかることにより、日蓮大聖人の仏法を広
宣流布し、もってそれを基調とする世界平和の実現及び人類文化の向上に貢献する
ことを目的とする。」と、第6条(施設)として「この会は、目的達成のため、会
館、研修道場その他必要な施設を設置することができる。」と定めている。また、
同規則は、第3条(目的)として、「この法人は、日蓮大聖人御建立の本門戒壇の
大御本尊を本尊とし、日蓮正宗の教義に基づき、弘教および儀式行事を行ない、会
員の信心の深化、確立をはかり、もってこれを基調とする世界平和の実現と人類文
化の向上に貢献することを目的とし、これに必要な公益事業、出版事業および教育
文化活動等を行なうものとする。」と定める。
 会則及び規則は、平成14年3月28日に改正され、改正後の会則は、
第2条(教義)として「この会は、日蓮大聖人を末法の御本仏と仰ぎ、一閻浮堤総
与・三大秘法の大御本尊を信受し、日蓮大聖人の御書を根本として、日蓮大聖人の
御遺命たる一閻浮堤広宣流布を実現することを大願とする。」と、第4条(目的)
として、「この会は、日蓮大聖人の仏法に基づき、弘教および儀式行事を行ない、
会員の信心の深化、確立をはかることにより、日蓮大聖人の仏法を世界に広宣流布
し、もってそれを基調とする世界平和の実現および人類文化の向上に貢献すること
を目的とする」と、第6条(会館等)として、「この会は、学会精神の継承と信仰
活動の推進に供するため、会館、研修道場その他必要な施設を設置する。」と定
め、改正後の規則第3条(目的)は、「この法人は、日蓮大聖人の一閻浮堤総与・
三大秘法の大御本尊を信受し、日蓮大聖人の仏法に基づき、弘教および儀式行事を
行ない、会員の信心の深化、確立をはかり、もってこれを基調とする世界平和の実
現と人類文化の向上に貢献することを目的とし、これに必要な公益事業、出版事
業、平和活動、文化活動および教育活動等を行なうものとする。」と定めている。
ウ 創価学会の基本組織・活動等(乙26、53、54、P26証人)
(ア) 創価学会は、東京のα4の下に、北海道から沖縄まで全国13の方
面があり、方面本部が置かれている。方面本部の下には県本部、県の下に区(分
県)、圏(分区)、本部、支部、地区、ブロックの各組織が置かれる。本部には、
会の最高議決機関である「総務会」があり、年間の活動方針や決算報告など会の運
営についての重要な事柄を決定し、会長を中心に、各方面長、婦人部、青年部の代
表により組織される「中央会議」が総務会で決定された年間活動方針に基づき、基
本的な活動の進め方を協議し、決定している。
 また、各方面では、方面長を中心に「方面運営会議」を、各都道府県
では県長を中心に「県運営会議」を開催し、各方面、県単位の活動について協議し
運営している。会員の日常活動の基盤である支部、地区の運営については、支部運
営会議、地区協議会で協議し進められる。
 全ての会員は、各地域組織に所属するとともに、年齢性別により分け
られた壮年部、婦人部、青年部等にも所属し、また、職業、居住地域によっては、
文化本部等の専門分野別の組織や地域本部にも所属する。
(イ) 創価学会では、前年11月ころに総務会で決定される年間活動大綱
に基づいて活動の方針、活動の指標、主要行事等の活動の全体の大綱を決する。そ
して、それにより決せられた3ないし4項目の活動指標をベースにして、主として
地区単位で年間目標、活動内容を決定し活動を行っている。年間主要行事として
は、本部行事として、5月3日に「創価学会の日」の記念行事、11月18日に
「創価学会創立記念日」の記念行事を行うほか、新年勤行会(1月1~2日)、
「日蓮大聖人御聖誕の日」記念行事(2月16日)、「立宗の日」記念行事(4月
28日)、「滝の口法難の日」記念行事(9月12日)等の記念行事があり、日常
的には、毎月1度行われる本部幹部会、各部組織の幹部会などが行われ、地域にお
いても勤行会、唱題会、座談会、御本尊授与、法要、御書学習会、本部幹部会等の
衛星中継行事、地域組織の幹部会(区単位等の支部長会、地区部長会など)・打ち
合わせ、青年部・婦人部等の各部の部員会などの各種会合が行われている。
エ 会館利用の実態
(ア) 沿革(乙23の1および2、乙53、P26証人)
 創価学会では、昭和31年1月22日、α47支部会館が発足したの
を始めとし、その後、杉並、向島などに支部会館が設置され、これとは別に関西、
九州、北海道の各地方に総支部の拠点となる本部会館も設置された。
 当初は1支部1会館制が引かれ、当初の支部会館は、一般の民家を購
入して多少の改修を加えただけのものや新築した小規模な木造家屋などが多かった
が、新規会員が紹介者の所属支部に所属するという「タテ線」組織を前提として、
会員数が増加するに伴い、同じ地域に複数の支部の会員が混在することとなるなど
して、会館が実情にそぐわなくなったことから、昭和34年7月14日には従来か
ら利用していた支部員だけでなく地元の会員に広く開放される地方会館が発足する
ことになった。昭和50年代に入り創価学会の財政的基盤が整ったことなどから、
会館の整備が進み、鉄骨・鉄筋コンクリート造の構造を持ち、数百人を収容できる
会館の建設・整備が行われるようになった。
 現在では、全国に約1000の会館が建設されており、本部のほか、
東京、関東をはじめとする13の方面ごとに中心会館があり、さらに都道府県本部
ごとに1つの中心会館と、それ以外の複数の会館がおかれている。
(イ) 会館の構造(乙41ないし52、乙53、P26証人)
a 会館は、鉄筋コンクリート造などの構造で、礼拝室、法話室、会議
室を備えており、事務室、応接室、管理者室を備えている会館もある。
 礼拝室は、本尊が安置された40畳以上の部屋であり、比較的多人
数が集まる行事に用いられる。会館によっては複数の礼拝室があるところもある。
 法話室は、礼拝室よりは小規模の儀式、行事に使用される部屋で、
基本的には法話室にも本尊が安置され、通常、1つの会館に複数の法話室が設けら
れている。
 事務室は、事務局が利用しており、宗教活動・行事の運営に関する
事務のほか、所管する会館の維持管理、納骨受付等の法人事務が日常的に行われ
る。
 会議室は、各種儀式、行事等の運営の会議に使用する部屋で、応接
室は、来客対応や、個々の会員の相談・信心の指導激励等に使用されている。事務
局のない会館の「事務室」という名称の部屋は、会議室と同様の利用がされてお
り、管理者室は、住み込み管理者がいる場合に管理者の居宅として利用されてい
る。
 会館によっては、恩師記念室が置かれているものがある。現在、恩
師記念館には、記念仏間が設けられ、室内に3代会長ゆかりの品を展示し、仏間の
本尊を安置する御厨子の横には、初代会長、2代会長の「恩師顕彰牌」が置かれて
いる。
b 乙41ないし52の各会館の写真によれば、本件の対象となってい
る会館の礼拝室、法話室、会議室、事務室、応接室等は、いずれも上記a記載の構
造が採られており、管理者室が置かれた会館はない。また、警備室・ホール・本部
倉庫センター、談話コーナーなどが置かれている会館もある。
(ウ) 会館管理運営規程(乙24)
 創価学会では、昭和49年4月1日に創価学会会館管理運営規程を定
め、平成4年9月28日改正後の同規程によれば、第1条(目的)として「この規
程は、創価学会一般会計部門に所属する会館の管理および使用に関する基準を定
め、円滑かつ適正な運営をはかることを目的とする」と、第2条(定義)として
「この規程でいう「会館」とは、創価学会が教義をひろめ儀式行事を行ない会員の
信心の深化・確立をはかるため全国に設置した会館・文化会館・平和会館・記念会
館・本部・センター・講堂・塾・婦人会館・国際友好会館等の礼拝施設をいう。」
と、第8条(使用の資格)として「会館は、原則として会員に限り使用することが
できる。」と、第9条(会員以外の使用)として「会員以外より会館使用の申出が
あった場合、事務長は、その使用目的が会館設置の趣旨を阻害することなく、かつ
会員の会館使用に支障がないと認めたときは、担当責任役員の承認を得て会員以外
の使用を許可することができる。」と、第10条(使用料)として「会館の使用料
は、無料とする。」と定める。
(エ) 会館の利用状況(乙27、53、54、P26証人)
 α4には、宗教団体としての本部機能をつかさどるとともに、法人事
務を統括する本部事務局がおかれ、方面中心会館には、方面における法人事務を担
う方面事務総局が置かれ、各都道府県の中心会館には県事務局が置かれ、専従の職
員が勤務している。それ以外の会館には、そのような事務局は置かれていない。
 会館では、前記ウ(イ)の全国的に開催される年間主要行事や、各地域
の支部以上の単位で行われる日常的な活動が行われるほか、創価学会が進める平
和・文化・教育の活動の拠点としての展示活動にも使用されているため、それらの
ための使用頻度は相当高く、予約を取るのが困難な場合も生じている。
 もっとも、支部より下位の単位である地区やブロックにおける行事の
うち、参加人員がそれほど多くなく、隣家に迷惑をかけるおそれのないものについ
ては、会館を用いずに、会員の自宅のうち比較的大きなものを恒常的に利用してお
り、そのような会員の自宅を個人会館と呼んでいる。
(2) 公職選挙に対する創価学会の関わり方
 この点については、当事者双方の主張が鋭く対立しているから、まず、以
下においては、被告側の証拠に現れたところ(すなわち、他に反対の証拠がなけれ
ば認定し得る事実)を指摘し、次の(3)において、これを左右するに足りる証拠があ
るか否かを検討する。
ア 創価学会における支援活動
(ア) 創価学会における政治活動の沿革(乙53、72、P26証人)
 創価学会では、信仰は単に個人の内面の変革にとどまらず、具体的行
動を通じて社会の繁栄に貢献していくのが、仏法本来のあり方であるとの考えによ
り、仏法を基調に平和・文化・教育等の社会貢献の活動を推進しており、その一部
として政治における支援活動にも取り組んでいる。
 創価学会は、昭和30年の統一地方選挙、国政には昭和31年の参議
院選挙に会員の代表を推薦候補として立てて政治に関わるようになり、昭和37年
に創価学会を母体として公明政治連盟を結成し、昭和39年に公明党が結成される
に至った。
 その後、昭和45年に、いわゆる言論出版問題を契機にして、政教分
離宣言を行い、公明党の議員は創価学会の全ての役職を辞任し創価学会での活動を
行わないこととし、公明党と創価学会は、政党と中心的な支持団体という関係にな
った。
 平成5年8月に公明党も参加して細川連立政権が誕生し、公明党が新
党に参加することとなったため、創価学会では平成6年11月10日に「今後の政
治に対する基本的見解」を総務会で決定し、従来の公明党一党支持を見直して、候
補者の政治姿勢、人格などの政策本位、人物本位で対応することを決定した。
 そして、平成7年1月には、選挙時における会館の使用について、政
党や候補者の選挙対策事務は会館で行わないように、中央会議、総県庁会議、事務
局長会、区長会等の会合において、口頭で全国に周知徹底した。
(イ) 現在における支援活動(乙53、P26証人)
 創価学会では、選挙の都度、公明党をはじめとする政党や立候補予定
者から支持の依頼を受けた際、中央社会協議会や各都道府県社会協議会などの機関
で支持を決定し、政党や立候補予定者を支持すると決定した場合には、関係地域の
会員に対し、支持決定の報告をしたり、報告に加えて支援の呼びかけをする。そし
て、呼びかけに賛同した会員が、支持者拡大の活動を行う。創価学会では、そのよ
うな支持決定の報告から支持者拡大の活動までの一連の活動を総称して、支援活動
と称している。
 支持決定を受け、支援活動を開始する時期は、各選挙の告示の2か月
前くらいであり、支援活動・選挙活動が終了するまでの期間を支援期間と呼ぶ。支
援期間においては、選挙区又は候補者ごとに支援活動の責任者を置き、その責任者
は、支援期間中、宗教活動・行事として行われる地域の幹部会等(支部長会や地区
部長会)に出席し、その終了後や会合の時間の一部を利用して、支持決定の報告や
支援の呼びかけを行うなどの役割を担う。また、支援活動に関する事務を行うため
に、青年部から事務の担当者を人選することがあり、この担当者は、会員の支援活
動の進捗状況に関する報告のとりまとめを行う。特に、支援活動において会員やそ
の家族に支援を呼びかける活動及び会員が友人や知人に呼びかける活動について、
その呼びかけた数をカウントし、その報告のとりまとめを行っている。
 他方、公明党の本部や党・候補者の選挙対策事務所等には選挙対策本
部が設置され、ここには党の選挙対策本部長が置かれる。選挙対策本部は創価学会
の会館に置かれることはなく、創価学会における支援活動の責任者が選挙対策本部
長になることはない。創価学会の支援活動は、候補者の支援の一部をなすものでは
あるが、それを含めた全体の支援・選挙活動の責任者は党の選挙対策本部長であ
り、創価学会の支援活動の状況についても選挙対策本部長に報告はされているもの
の、後援会の内部固め、各種企業団体への働きかけ、選挙情勢の分析や票読み、候
補者の広宣物(ポスター・ちらし・選挙はがきなど)の作成や配布、候補者のスケ
ジュールの調整・管理、遊説計画の立案・推進、支持依頼のための電話などは党に
おいて行っており、創価学会の支援責任者や創価学会の組織がこれに携わることは
ない。
(ウ) 支援活動における会館の利用(乙53、P26証人)
 創価学会の支援活動の際に、創価学会の会館を使用することはあり、
会館での宗教活動・行事のうち、地域の幹部会や青年部・婦人部等の部員会などに
おいて、その時間の一部を利用して、支援活動の責任者やその会合の中心幹部か
ら、支持決定の報告や支援の呼びかけを行うこと、告示前後に支援の呼びかけや無
事故・無違反のための選挙期間における活動上の注意事項等を確認する趣旨の会
合、立候補者(予定)者が、創価学会の主催する地域の幹部会(支部長会や地区部
長会)や宗教活動、行事等の際に会館に来て、告示の前後を通じて地方選挙におい
ては数回程度、国政選挙においては1回程度、その会合の開会前に会員に対して幕
間の挨拶を行うこと、支援期間中の支援活動の進捗状況を会館の会議室の一部で取
りまとめること等に利用される。
 創価学会において調査したところによると、平成9年以降、会館にお
いて選挙活動にわたる活動が行われたことも全くないわけではなく、平成13年の
東京都議会議員選挙の際、練馬のα49講堂で選挙はがきのだぶりチェックが、足
立の文化会館で選挙はがきのだぶりチェックと遊説隊の発声練習が、また板橋の会
館で遊説隊の発声練習が行われたことがあったことが分かったが、そのほかにその
ような事例は見当たらなかった。
イ 新宿区における会館の使用状況(乙61ないし65、70及び71の1
ないし3、91の1ないし3、P29証人)
(ア) 新宿区には、新宿本陣区(区南部、α50、α51、α52方
面)、新宿常勝区(区北東部、α53、α54、α55方面)、新宿池田区(区北
西部、α56、α57方面)の3分区が置かれている。
 α33文化会館には、礼拝室2室、法話室3室、会議室4室、応接室
1室、事務室2室が置かれ、新宿区における宗教事務(宗教活動・行事の運営に関
する事務、納骨受付等)や法人事務(区内の会館の維持管理等)を扱う区事務局が
置かれており、これらの事務を取り扱う常勤の職員が配置されている。同会館は、
新宿総区の中心会館として、新宿総区内の各組織から会員の代表が集い合う会合、
儀式行事に使用されるとともに、同会館周辺地域の分区である新宿本陣区や、同会
館周辺の本部、支部、地区の会合、儀式行事にも使用されている。
 α34平和会館には、礼拝室2室、法話室2室、会議室5室、事務室
1室が置かれ、同会館周辺地域の分区である新宿池田区や、同会館周辺の本部、支
部、地区の会合、儀式行事に使用されている。
 α9会館には、礼拝室2室、法話室1室、会議室1室が置かれ、同会
館周辺地域の分区である新宿常勝区や同会館周辺の本部、支部、地区の会合、儀式
行事に使用されている。
(イ) 上記3会館についての会場使用申請を取りまとめた帳簿である乙第
71号証の1ないし3には、平成14年12月において、上記3会館で宗教行事が
かなりの頻度で行われていたことを示す記載があるが、宗教行事とは無関係な目的
に使用されたことを示す記載は見当たらず、同趣旨の帳簿である乙第91号証の1
ないし3を見ても、平成15年4月の統一地方選挙の時期における上記3会館の使
用状況に関する記載は上記と同様であって、特段選挙運動のみの目的での活動につ
いての記載は見当たらない。本件で原告が違法を主張する期間における衆議院選
挙、参議院選挙、都議会議員選挙、区議会議員選挙等において、選挙対策本部がこ
れらの会館に置かれたことはなく、会館で選挙の出陣式が行われたり、会館に青年
部員が常駐して支援活動の範囲を超える選挙対策の事務を行ったことを示す資料は
見当たらない。
 会館におけるこれらの選挙に関する出来事としては、支援活動の進捗
状況についての報告の集計を行ったことや選挙期間中に候補者が会館に来て幕間の
挨拶を行ったことが挙げられる。
ウ 練馬区における会館の使用状況(乙72、73、76ないし81、9
2、P30証人)
(ア) 練馬区には、練馬総区の下に、練馬栄光区(α58、α59方
面)、練馬池田区(α60、α61方面)、練馬常勝区(α62、α63方面)、
練馬本陣区(α64、α65方面)、練馬太陽区(α66、α67方面)の5分区
が置かれている。なお、平成15年6月に6分区の組織に変更されている(以下は
5分区であった時期の事実である。)。
 α40平和講堂には、礼拝室2室、法話室4室、恩師記念室1室、事
務室1室、会議室4室、応接室2室が置かれ、創価学会の法人職員が勤務する区事
務局が設置され、練馬区における宗教事務や法人事務を取扱い、総区内の各組織か
ら会員の代表が集い合う総区行事や会合の会場となり、練馬総区の中心会館として
の機能を有するとともに、同会館周辺地域の分区である練馬栄光区及び練馬池田区
や周辺の本部、支部、地区の行事や会合にも使用されている。
 α41文化会館には、礼拝室2室、法話室6室、事務室1室、会議室
3室、応接室1室が置かれ、同会館周辺地域の分区である練馬太陽区や周辺の本
部、支部、地区の行事や会合に使用されている。
 α25会館には、礼拝室1室、法話室2室が置かれ、同会館周辺地域
の分区である練馬栄光区及び練馬池田区の本部、支部、地区の行事や会合に使用さ
れている。
 α42会館には、礼拝室1室、法話室2室、会議室1室が置かれ、同
会館周辺地域の分区である練馬太陽区や周辺の本部、支部、地区の行事や会合に使
用されている。
 α43会館には、礼拝室1室、法話室3室、会議室1室が置かれ、同
会館周辺地域の分区である練馬常勝区や周辺の本部、支部、地区の行事や会合に使
用されている。
 α26文化会館には、礼拝室3室、法話室3室、事務室1室、会議室
2室が置かれ、同会館周辺地域の分区である練馬本陣区や周辺の本部、支部、地区
の行事や会合に使用されている。
(イ) 乙第73号証には、平成14年12月において、上記6会館で宗教
行事がかなりの頻度で行われていたことを示す記載があるが、宗教行事とは無関係
な目的に使用されたことを示す記載は見当たらず、同趣旨の帳簿である乙第92号
証をみても、平成15年4月の統一地方選挙の時期における上記6会館の使用状況
に関する記載は上記と同様であって、特段選挙運動のみの目的での活動についての
記載は見当たらない。練馬区では、公明党の練馬総支部として創価学会の会館とは
別に常設の事務所が置かれており、党の活動も練馬区の文化センターや小学校を借
りるなどして行われている。また、本件で原告が違法を主張する期間における衆議
院選挙、参議院選挙、都議会議員選挙、区議会議員選挙等において、これらの会館
に選挙対策本部が置かれたことはなく、選挙の出陣式が行われたり、会館に青年部
員が常駐して支援活動を超える選挙対策の事務を行ったことを示す資料も見当たら
ない。
 会館におけるこれらの選挙に関する出来事としては、α40平和講堂
において支援活動の進捗状況についての報告の集計を行ったことや選挙期間中に候
補者が会館に来て幕間の挨拶を行ったことのほか、平成9年の都議会議員選挙のと
きに、4、5人の婦人部員がα40平和講堂の1階の運営会議室で2、3時間程度
のはがきの宛名書きをしたということが挙げられる。
エ 目黒区の使用状況(乙74、75、、86ないし89、93、P31証
人)
(ア) 目黒区は、分区が設置されておらず、α14国際文化会館には、礼
拝室3室、法話室2室、事務室1室、会議室4室、応接室1室が置かれ、目黒区に
おける宗教事務や法人事務を取扱う区事務局が置かれ、これらの事務を取り扱う常
勤の職員が配置されるとともに、目黒区の中心会館として、目黒区内の各組織から
会員の代表が集い合う区の会合、儀式行事に使用されるとともに、同会館周辺の本
部、支部、地区の会合、行事にも使用されている。
 α15平和会館には、礼拝室1室、法話室4室、事務室1室、会議室
2室、応接室1室が置かれ、同会館周辺の本部、支部、地区の行事や会合に使用さ
れている。
(イ) 乙第75号証によれば、平成14年12月において、前記2会館で
宗教行事がかなりの頻度で行われていたことを示す記載があるが、宗教行事とは無
関係な目的に使用されたことを示す記載は見当たらず、同趣旨の帳簿である乙第8
7号証をみても、平成15年4月の統一地方選挙の時期における上記2会館の使用
状況に関する記載は上記と同様であって、特段選挙運動のみの目的での活動につい
ての記載は見当たらない。目黒区では、公明党の目黒総支部として創価学会の会館
とは別に常設の事務所が置かれており、党の活動も区の福祉センター等の施設を借
りるなどして行われている。また、本件で原告が違法を主張する期間における衆議
院選挙、参議院選挙、都議会議員選挙、区議会議員選挙等において、選挙対策本部
は、これらの会館に選挙対策本部が置かれたことはなく、選挙の出陣式が行われた
り、青年部員が常駐して支援活動の範囲を超える選挙対策の事務を行ったことを示
す資料も見当たらない。
 会館におけるこれら選挙に関する出来事しては、α14国際文化会館
において支援活動の進捗状況についての報告の集計を行ったことや選挙期間中に候
補者が会館に来て幕間の挨拶を行ったことが挙げられる。
(3)ア 原告らは、創価学会が組織を挙げた選挙活動を行い、その活動の中核と
なる場所は各地域の拠点となる会館以外にはあり得ない旨主張し、元創価学会会員
の陳述書(甲第5号証の1の2ないし15、同2の2ないし15、同3の2ないし
9、同4の2ないし25、同5の2ないし7、同6の3ないし18、同7の2ない
し35、同8の2ないし11、同9の2及び3、甲第6号証の1及び2、甲第9号
証の1ないし5、甲第10号証の1及び2、甲第12号証の1及び2、甲第16号
証の1ないし3、甲第34号証、甲第43号証の1ないし10)や証人P32及び
同P33の証言中には、創価学会が組織的に会館を利用した選挙活動を行っている
旨の供述がされている。
 しかし、前記の陳述書の作成者や証人は、元創価学会員であるものの、
そのほとんどが本件で原告が違法を主張する平成5年度ないし平成12年度より前
に創価学会を退会している者であり、その供述は、直接の証拠とはなり得ないとい
うべきである。また、中には、若干名平成5年度以降に退会をした者もいるが、証
人P33は、平成2年に創価学会と日蓮正宗の関係が断絶して以降は、あまり積極
的に活動をしておらず、会館に行く機会も減り、平成2年以降の時期に陳述書に記
載したような事実があったかについてははっきりしない旨供述しており、他の者に
ついても退会時期直前まで平成2年以前と同様の活動をしていた可能性は低いもの
といわざるを得ない。そして、その内容についても、記載されている事実のほとん
どが平成5年以前の事実であるか、時期が特定されていないものである上、個人会
館等会館以外の場所での出来事も含まれている。
 そうすると、他方で、創価学会関係者の陳述書や証言が概ね一貫してお
り、時期も特定された具体的なものとなっていること、それらの陳述書や証言にお
いても、過去のある時期において、創価学会と公明党の区別があいまいであった時
期があったことは認めており、徐々にその区別を明確にするようにしているとの供
述がされていることにかんがみれば、原告側の提出する元創価学会の陳述書及び証
言は、過去のある時期において創価学会が積極的に選挙活動をしており、会館を利
用していたことをうかがわせるものとはいえるが、その域を出るものと評価するの
は困難といわざるを得ない。
 また、原告は、平成7年3月5日の創価学会の町田区栄光躍進総会のビ
デオテープ(甲24号証の1)を提出し、それによれば、翌4月に選挙を控えた公
明党選出の神奈川県議会議員が総会の開会前(総会の冒頭というべきかどうかに問
題がないではないが、司会者は同人の挨拶の後に総会の開会を宣言している。)に
挨拶をし、また、婦人部や壮年部の活動報告、婦人部長や区長の挨拶、副会長の挨
拶の中で、4月に予定された統一地方選挙を念頭においた話がされたり、他地区で
の過去の選挙の実情の話がされたりしていることは認められるものの、それらの活
動報告、挨拶等の中でもその多くは日常の活動、特に総会の直前まで行われていた
新聞啓蒙活動についての話やP24名誉会長の話などに割かれており、会合全体と
して、弘教活動に関する報告が主であって、選挙に関する話は従たる話題にとどま
っていたと認めるのが相当であり、原告のいうような選挙一色の活動であるとは認
められない。
イ 以上によると、原告が提出援用する証拠はいずれも前記(3)の被告側提出
の証拠の内容を左右するものとはいえず、本件で問題となっている会館の使用状況
は前記(3)のとおりであったと認めるほかなく、そのうちの支持決定の報告及び支援
活動の呼びかけの際には、上記町田市の例からすると、選挙に関する話に相当な時
間が割かれているものとうかがわれるが、それでも、その部分は当該会合において
従たる地位を占めるにすぎないと認めるのが相当である(なお、当裁判所は、会館
の使用状況に関する原告側の証人としては、練馬区及び目黒区に関する2人の証人
を採用したにすぎないが、それは、証拠調べの方針を決定する際に、原告に対し、
比較的立証が容易と思われる区に関する証人をまず2名程度申請するよう求め、原
告がこれに応じて申請した者を取り調べたことによるものである。そして、それら
の証人の供述が、同人らが先に提出した陳述書の内容をそれほど出るものではな
く、それ自体被告側の証拠の信用性を左右するものとも認められなかったことか
ら、当裁判所としては、それ以上に原告側の証人を尋問する必要はないと判断した
次第である。)。
4 争点3(本件各不動産につき原告主張の各年度につき固定資産税を賦課しな
かったことについての違法性の存否)についての判断
(1) 前記第2、2(3)のとおり、本件各不動産のうち、別紙物件目録3(4)(α
1会館)及び同3(8)(α2記念国際会館)に係る土地建物については、原告が違法
を主張する年度においても固定資産税を課税する取扱いがされており、これらの建
物については、その余の点を判断するまでもなく、原告らの主張に理由がないこと
となる。
(2) 原告は、創価学会が目的から逸脱した行動をしており、また、当初の存立
基盤であった日蓮正宗との関係が断絶したことにより、宗教的基盤を失ったもので
あるから、そもそも、創価学会には宗教団体としての実態が無く、非課税規定の適
用の前提である宗教団体とはいえない旨の主張をする。
 確かに、創価学会は、当初日蓮正宗の信徒団体としての性質を有したもの
の、平成2年に日蓮正宗との対立が表面化し、平成14年3月28日に、会則、規
則等を改正するに至ったことは前記のとおりである。しかし、地方税法348条2
項3号は、固定資産税を非課税とする要件として、「『宗教法人』が専らその本来
の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内建物及び境内地」と定めているとこ
ろ、宗教法人法は、同法によって法人格が付与された宗教法人を独立の自治的な法
主体として取り扱っているのであるから(このことは、同法26条が被包括関係に
ある宗教法人が被包括関係を廃止するのに、包括団体の同意等を要せず、被包括団
体が自らの判断でその規則を改正し、認証を得れば足りるとしていることからして
明らかである上、創価学会と日蓮正宗の間には、被包括関係もなかったと認められ
る。)、創価学会が本件で問題となっている平成5年ないし平成12年の間におい
て創価学会が宗教法人として認証された団体であった以上、日蓮正宗との関係がど
のようなものであったかにかかわらず、創価学会が非課税規定の適用を受け得ない
ものであったとはいえない。
 また、宗教においては、宗教的な見解の相違から信者の間に対立が起こ
り、やがて対立する2個の宗教に分裂することも、歴史的に見ても珍しくないこと
であり、その場合に、いずれの宗教が当初からの教義に忠実なものかということは
法的判断の対象となり得ない事柄であって、双方がともに宗教の本質である「超自
然的、超人間的本質の存在を確信し、畏敬崇拝する心情」をもって活動している以
上、法的には双方ともに宗教法人法にいう宗教として取り扱うほかないのである。
そうすると、仮に原告のいうように、創価学会がある一定の時点で当初存立の基盤
であった日蓮正宗との関係が断絶したことや日蓮正宗の側から創価学会の活動がそ
の教義に反していると主張しているとしても、そのことから創価学会が宗教団体で
すらなくなるということはあり得ず、この観点からみても、原告らの主張は採用し
得ないものというべきである。原告らの主張は、日蓮正宗が宗教的正統性を有する
との考えを前提として、対立する創価学会について正統性のみならず宗教性までを
も否定するものであるというべきであり、その前提が法的判断の対象とならないも
のであることからすると、全体として法的主張として成り立たないものであるとい
わざるを得ない。
(3) また、原告らは、創価学会が日蓮正宗との関係を断絶する前において、伝
統的な宗教儀式はすべて日蓮正宗の寺院で行われていたのであるから、その関係が
断絶した後において、宗教行事を行うことはできないものであって、行われていた
勤行、唱題などは慣例の類にすぎないから、会館において宗教行事が行われてはい
ない旨主張する。
 しかし、前記認定のとおり、本件各会館においては、創価学会が年間主要
行事や日常の宗教行事として催される行事が多数行われ、それらの行事には多数の
会員が参加していることが認められるところ、一定の活動が宗教活動といえるか否
かは、それを行う者の主観的心情に係るものであるところ、少なくとも、行事の主
催者である創価学会及びそれに参加する会員においては、宗教的な確信を持って当
該行事を行っている以上、それを宗教活動として取り扱わないのは、単に、原告ら
の一方的価値観により創価学会の活動を評価したものにすぎないというべきであ
り、原告らの主張は採用し得ない。
(4) さらに、原告らは、創価学会が会館を政治活動に利用し、特に、創価学会
による組織的選挙活動に会館を使用しているものであり、これによれば、本件各不
動産には非課税規定が適用されるべきではない旨主張する。
 前記3で認定のとおり、創価学会において行われている「支援活動」と称
する活動は、原告の主張するような組織的選挙活動という程度には至っていないも
のであり、原告の主張は、その前提において根拠を欠くものといわざるを得ない
が、たとえ、支援活動にとどまるとしても、そのために会館を利用することを前提
とした場合に、会館の利用が「専らその本来の用に供する」ものといい得るかは問
題となり得るため、以下この点について検討する。
 確かに、日本国憲法に政教分離の原則がうたわれていることによれば、政
治と宗教が密接な関係を持つことには慎重にならなければならないところであり、
宗教法人が国民に直接影響を与えるような選挙活動を直接かつ組織的に行うことに
は問題がないわけでもなく、そのような活動を宗教活動の一環と評価することはた
めらわれるところである。一方、その点を考慮するとしても、逆に、何らかの宗教
に傾倒している者は一切政治に関与することが許されないことには到底なり得ない
し、宗教活動から社会活動を一切取り除くことは困難である上、社会活動を取り除
くべきではないものであり、また、社会活動と政治活動、政治活動と選挙活動は、
それぞれ必ずしも絶対的な区分が可能なものではなく、その区分は相対的なものと
いうべきである。これらのことからすると、創価学会がその会館で支援活動を行う
ことが、会館をその本来の用に供していないこととなるのか否かについては、慎重
な検討を要するところである。
 もっとも、上記非課税要件については、本来の用途以外に供することが全
くないことまでを要求するものではなく、一時的又は部分的にそのような用途に供
することがあっても、非課税要件該当性が否定されるものではないと解すべきであ
る。そして、本件各会館は、前記3で認定したとおり、選挙のない時期には専ら本
来の用に供されていたと認められるのであるから、会館全体が相当期間継続的に支
援活動のみに使用されている場合はともかく、会館全体が散発的にわずかの期間又
は会館のごく一部が継続的に支援活動に使用されていたとしても、非課税要件該当
性は否定できないと考えられる。
 このような観点から本件についてみるに、前記3で認定のとおり、創価学
会は、公明党をはじめとする政党や立候補予定者からの支持の依頼を受けた際、中
央社会協議会や各都道府県社会協議会などで支持決定をした候補に対し、支援活動
と称する活動を行い、会員に対する支持決定の報告、会員による会員や会員以外の
ものに対する支持依頼の呼びかけ等を行い、その呼びかけの進捗状況を支援活動の
責任者やその責任者から選ばれた青年部の事務の担当者が報告を受け、そのとりま
とめを行う等の活動をしており、その期間は選挙の告示前後を通じて2か月程度で
ある。そして、選挙対策本部は、創価学会の会館におかれることや、創価学会の支
援活動の責任者が選挙対策本部長になることはなく、選挙情勢の分析や票読み、候
補者の広宣物の作成や配布、候補者のスケジュールの管理等は選挙対策本部におい
て行っていることが認められ、支援活動として会館で行われている活動は、幹部
会、青年部・婦人部等の部員会など、会員が集まる宗教活動・行事などにおいて、
支持決定の報告や支援の呼びかけを行ったり、告示前後に支援の呼びかけや無事
故・無違反のための注意事項を確認する会合、さらに、立候補予定者が宗教活動・
行事に来て、告示の前後を通じて幕間挨拶を行うこと(それらの会合では、支援活
動に関する部分がかなりの割合を占めるものの、宗教行事に対する関係では、従た
る地位にとどまるし、それらは連日開かれていたものではなく、しかも会館の全部
を使用していたものとも認められない。)、会館内の部屋の一部でときどき支援活
動の進捗状況の集計を行うことなど、会館で行われる活動のごく一部に限られてお
り、会館全体を相当期間継続的に利用しているものではない。
 これらによれば、支援活動と称する活動が現在の範囲にとどまる限りにお
いては、会館の利用が「専らその本来の用に供する」ものといえないことにはなら
ない。
(6) 小括
 そうすると、本件各不動産は、地方税法所定の非課税規定の適用を受ける
べきものであって、被告都税事務所長らが、原告主張の各年度につき固定資産税を
賦課しなかったことについての違法な点は認められない。
 なお、原告らは、地方税法408条の実地調査を怠っていることの違法を
主張するが、原告らの請求の趣旨との関係においては、実地調査を怠り、本来課税
すべき不動産を非課税としたことによりはじめて違法事由たり得るところ、前記の
とおり、本件各不動産は、非課税規定の適用を受けるべきものであるから、原告ら
の主張は、その前提において失当といわざるを得ない。
第5 結論
 以上によれば、原告P1、P2、P3及びP4の本件各15年事件に係る訴え
のうち平成5年度ないし8年度の賦課徴収を怠る事実に基づく損害賠償請求を求め
る部分は不適法であるから、これを却下することとし、原告らのその余の請求は、
その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がないから、これを棄却す
ることとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、6
5条1項を適用して、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第3部
裁判長裁判官   藤山雅行
裁判官   廣澤 諭
裁判官   加藤晴子

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