弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を台東簡易裁判所に差戻す。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人日野勲が差し出した控訴趣意書に記載してあるとおり
であるから、これを引用し、これに対して当裁判所は、次のように判断をする。
 職権で調べると、本件記録には、原判決の言渡調書が編綴されていない。もつと
も、昭和四〇年二月一三日原審第三回公判調書中「指定告知した次回判決宣告期日
昭和四〇年二月二〇日午前一〇時」なる旨の記載があること、原判決書冒頭欄外に
「昭和四〇年二月二〇日判決宣告」なる旨の記載があつてこれに裁判所書記官Aの
記名押印があることおよび原審弁護人日野勲の控訴申立書中に「被告人に対し台東
簡易裁判所が昭和四〇年二月二〇日言渡した被告人を第一の罪につき懲役四月に、
第二の罪につき懲役八月に処する旨の判決は不服でありますので茲に控訴の申立を
致します」なる旨の記載があることに当審証人Aの供述を併せて<要旨>考えれば、
原判決が、昭和四〇年二月二〇日被告人に対して言い渡されたことだけは認められ
るが、前記のように言渡調書が存在しないので、右言渡が果して適法な方式
を履践してなされたものか否かを証明し得ない。
 されば、原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続に法令の違反
があるというのほかなく、原判決は既にこの点において破棄を免れない。
 よつて、刑事訴訟法第三九七条第一項、第三七九条に従い、原判決を破棄したう
え、同法第四〇〇条本文の規定に従い、本件を台東簡易裁判所に差戻すこととし、
主文のように判決をする。
 (裁判長判事 河本文夫 判事 吉川由己夫 判事 清水春三)

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