弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を棄却する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 本件抗告理由は、原決定は裁判所法七条二号という規定があるにも拘わらず同法
条を空文に帰せしめひいて裁判を受ける権利を保障する憲法三二条に違反するもの
であるというのであるが、最高裁判所が抗告に関して裁判権をもつのは裁判所法七
条二号に従い訴訟法において特に最高裁判所に抗告を申し立てることを許した場合
に限られ民事事件については民訴法四一九条の二に定められている抗告のみが右の
場合に当り、そして憲法三二条は何人も裁判所において裁判を受ける権利あること
を規定したにすぎないもので、いかなる裁判所において裁判を受くべきかというよ
うな、裁判所の権限、審級等は立法により定めらるべき事項であり、憲法には同八
一条を除き他にこれを制限する規定のないことは、当裁判所大法廷判決(昭和二二
年(れ)第四三号、同二三年三月一〇日大法廷判決、集二巻三号一七五頁、昭和二
三年(れ)第二八一号、同二五年二月一日大法廷判決、集四巻二号八八頁)の示す
ところである。それ故、所論は右判例に照し採用できない。
 よつて、抗告費用は抗告人の負担とし、主文のとおり決定する。
  昭和三四年六月一一日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

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