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H18.10.25東京高等裁判所平成17年(行コ)第310号公務外認定処分取消請求控
訴事件
主文
1原判決を取り消す。
2被控訴人が控訴人に対して平成12年8月29日付けでした地方公務員災害
補償法に基づく公務外認定処分を取り消す。
3訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
主文同旨
第2事案の概要(略語等は,原則として,原判決に従う。)
1本件は,養護学校の教諭である控訴人が,重症心身障害の脳性麻痺児を抱き
かかえて水分補給の介助を行っていた際に2度にわたり受傷したことにより頸椎椎
間板ヘルニアを発症したとして,被控訴人に対して公務災害の認定の請求をしたと
ころ,被控訴人がこれを公務外の災害と認定する処分をしたため,控訴人がその処
分の取消しを求めた事案である。
2原審は,控訴人に発症した頸椎椎間板ヘルニアにつき公務起因性を認めるこ
とはできないとして,控訴人の請求を棄却した。
3当裁判所は,原審と異なり,控訴人に発症した頸椎椎間板ヘルニアにつき公
務起因性を認めることができ,控訴人の請求を認容すべきものと判断した。
4前提事実(証拠により認定した事実は,括弧内に当該証拠を掲記した。)
(1)控訴人(昭和29年▲月▲日生)は,昭和52年4月から昭和58年3月ま
で神奈川県立C養護学校の教諭として,昭和59年4月から昭和61年3月まで大
和市立D中学校で知的障害児の学級担当の教諭として,昭和62年4月から平成1
0年3月まで神奈川県立E養護学校(E養護学校)の教諭として,それぞれ勤務し
ていた。
(2)控訴人は,平成8年12月3日,担当していた重症心身障害の脳性麻痺児で
ある小学校2年生の男子生徒(A)を左腕で抱きかかえて水分補給の介助を行って
いたところ,Aが急激に何回も全身を強い力で反り返らせたため,約20分間にわ
たり,上体に力を入れて左腕でAの身体を強く支え,Aの身体を落とさないように
して介助を続けた際,頸部に痛みを覚えるとともに左手の甲にしびれを感じ,介助
を終えたときには頸部の痛み及び左頸肩腕のしびれが残った(甲13,14,51,
原審控訴人本人)(第1受傷)。
(3)控訴人は,平成9年4月7日,担当していた重症心身障害の脳性麻痺児であ
る小学校1年生の女子生徒(B)を左腕で抱きかかえて水分補給の介助を行ってい
たところ,Bが急激に何回も全身を硬直させて強い力で突っ張らせたため,約20
分間にわたり,上体に力を入れて左腕でBの身体を強く支え,Bの身体を落とさな
いようにして介助を続けた際,頸部に強い痛みを覚えるとともに左肩から左手の甲
にかけて強い痛み及びしびれを感じ,介助を終えたときには頸部及び左肩腕に強い
痛み,しびれ及びこりが残った(甲13,14,51,原審控訴人本人)(第2受
傷)。
(4)控訴人は,第1受傷の後,医療法人甲病院(甲病院)において平成9年3月
10日に頸椎椎間板症の診断を受け,第2受傷の前後に同病院に通院した後,同年
6月16日,神奈川県立乙病院(乙病院)において頸椎椎間板ヘルニア(頸部及び
左肩腕の痛み,しびれ等の神経症状を伴うもの。本件疾病)の診断を受け,同年1
0月22日,丙病院において頸椎前方除圧固定術(腸骨骨移植)の手術を受け,同
年9月1日から平成10年3月22日まで療養休暇を取得した後,同年4月に神奈
川県Fろう学校に転勤した。
(5)控訴人は,平成10年6月11日,被控訴人に対し,第1受傷及び第2受傷
(本件各受傷)により本件疾病に罹患したとして公務災害認定請求を行い,平成1
2年8月29日,本件疾病は公務外の災害であるとの認定(本件認定)を受けた。
そこで,控訴人は,同年11月9日,地方公務員災害補償基金神奈川県支部審査会
に対し,本件認定の取消しを求めて審査請求をし,平成13年10月29日,これ
を棄却する旨の裁決を受けた。さらに,控訴人は,同年11月26日,地方公務員
災害補償基金審査会に対し,本件認定の取消しを求めて再審査請求をし,平成14
年9月18日,これを棄却する旨の裁決を受けた。
5争点
本件疾病は,公務に起因するものであるか。
6控訴人の主張
(1)本件疾病は,本件各受傷によるものである。
アAは,弛緩タイプの重症心身障害の脳性麻痺児であり,水頭症で首が据わっ
ておらず,ふだんは身体の力を抜いているものの,介助を拒否する際などには強く
力を入れて全身を反り返らせたり,大きく動かしたりする,特に介助の困難な生徒
であった。
第1受傷の際,控訴人は,左腕でAの頭部を包み込むようにし,左手の指をAの
首の後ろから回してAの口唇に当ててその開閉を介助し,右手のスプーンでAの口
元に水分を運んで水分補給を行っており,控訴人の体勢は,左肩を外転させ,左肘
を屈曲させた上,首を傾けてAの口唇をのぞき込みながら,左手指で口唇介助を行
うというもので,控訴人の頸椎に大きな負担がかかるものであった。
控訴人は,上記介助中,突然Aが何回も全身を強く反り返らせたため,上体と左
腕に力を入れてAを強く抱え直し,約20分間水分補給の介助を続け,頸部に痛み,
左手の甲にしびれを覚えた。
イBは,アテトーゼタイプ(一定の位置を保持できない状態)の重症心身障害
の脳性麻痺児であり,全身の硬直及び伸展を引き起こしやすかった上,摂取障害に
よる誤嚥,下顎後退による気道閉塞等の危険のある,特に介助の困難な生徒であっ
た。
第2受傷の際,控訴人は,全身を使ってBの身体の各部を押して屈曲させた上,
左腕でBの頭部を包み込むようにし,左手をBの首の後ろから回して指でBの口唇
及び下顎の開閉を介助し,右手でミニコップによりBの口元に水分を運んで水分補
給を行っており,控訴人の体勢は,第1受傷の際と同様,控訴人の頸部に大きな負
担がかかるものであった。
控訴人は,突然Bが全身を硬直させて何回も強く突っ張らせたため,上体と左腕
に力を入れてBを強く抱え直し,約20分間水分補給の介助を続け,頸部に強い痛
み,左肩から左手の甲にかけて強い痛み及びしびれを覚えた。
ウ頸椎椎間板ヘルニアが外傷によって発症又は増悪することは,医学的にも解
明されており,本件各受傷の経緯に照らせば,本件疾病が本件各受傷に起因するこ
とは明らかである。
エ控訴人は第1受傷後直ちに医師の診察を受けてはいないが,その理由は,頸
部を直立させ又は前屈させることで症状が緩和されることもあったことに加え,冬
季休業又は健康診断の際に対処すればよいと考えていたためである。
オ控訴人は,本件各受傷に先立つ平成4年2月8日,甲病院において頸椎椎間
板症の診断を受け,同月12日及び同年4月3日に通院したが,それ以後は第1受
傷時の平成8年12月3日まで約4年8か月の間,頸部の痛みや左手及び左腕のし
びれ等の症状は一切ないまま公務に従事していたのであり,この点からも本件疾病
が本件各受傷に起因することは明らかである。
(2)控訴人の頸部は,以下のとおり,長期間にわたる介助労働により椎間板の変
性が形成されていたのであり,控訴人の過重な公務に起因する本件各受傷により頸
部に強い外力を受け,これが大きな引き金となって本件疾病が発症したもので,加
齢によるものではない。
アE養護学校における授業時間は午前9時15分から午後2時40分までであ
り,控訴人ら教諭の公務の内容は,①スクールバス又は自家用車によって登校した
生徒を車両から抱きかかえて降ろし,車椅子に乗せた上で教室に移動し,教室では
車椅子から降ろして休憩させ,健康観察やオムツ交換等を行う,②午前及び午後の
個別指導において,生徒を車椅子に乗せて指導教室に移動して指導を行い,指導内
容によっては生徒を抱きかかえて移動させる,③昼食時には生徒を車椅子に乗せて
給食室又は教室に移動して生徒の食事の介助等を行い,食事後には生徒を車椅子か
ら降ろして健康観察等を行う,④障害の重さや体調の悪さ等のため生徒を抱きかか
えて水分補給又は食事の介助を行う際は,頸部をねじ曲げた不自然な姿勢で,左腕
を後頭部から顔に回して生徒の頭部及び上体を支えながら,指で口唇介助の作業を
長時間続ける,⑤随時,生徒のオムツを換え又はトイレに行かせるが,その際,車
椅子から生徒の身体を抱きかかえて移動させ,また,車椅子上の生徒の身体に不自
然な荷重がかからないよう,頻繁に生徒の身体を引き上げ,姿勢を調整する,⑥午
後の個別指導後には,生徒を車椅子から降ろして健康観察等を行い,その後再び車
椅子に乗せてスクールバス又は自家用車まで移動し,抱きかかえて車両に乗せると
いうものであった。
また,生徒が重度の障害を抱えているために,担当教諭は,常に様々な事態を想
定して細心の注意を払いながら公務に従事することを要し,精神的にも大きな負担
を負う。
そして,このような長期間にわたる介助業務の繰り返しにより,控訴人の頸椎椎
間板に変性がもたらされたものである。
イ控訴人のように肢体不自由児等の障害児の介助経験の長い教諭は,より障害
の重い生徒を担当し,担当する生徒の人数も多く,経験の浅い教諭の指導も行うた
め,肉体的・精神的な負担はより一層大きくなる実情にあった。
本件各受傷の当時,A及びBは,特に障害の程度が重く,当時の体調の悪さ等も
相まって,頻繁な水分補給を抱きかかえて行う必要があり,しかも水分摂取の拒否
や不随意運動が起こりやすい状態にあったもので,本件各受傷は,このような控訴
人の過重な公務に起因して起こったものである。
上記アのような状況の下でも,控訴人は,頸椎椎間板ヘルニアを発症することな
く,頸肩腕の状態は安定していたところ,上記のとおり過重な公務に起因する本件
各受傷による2回にわたる強い外力の作用が大きな引き金となって頸部の強い痛み
及び頸肩腕のしびれ等を覚えるに至り,その症状が治癒しないまま引き続き大きな
肉体的・精神的な負荷のかかる介助労働に従事し続けたことにより,頸椎椎間板ヘ
ルニアの手術を余儀なくされるほど症状が悪化したのである。
(3)偶発的事故による負傷とは異なり,疾病の原因は一つに尽きるものでなく,
公務外認定処分の取消訴訟の審理の対象は当該処分の違法性の有無であり,本件訴
訟において控訴人が公務災害の認定請求時に主張していなかった事実を主張するこ
とは,何ら妨げられるものではない。
7被控訴人の主張
(1)本件疾病は,本件各受傷に起因するものではない。
ア外傷そのものが原因となって頸椎椎間板ヘルニアとなることは余りなく,医
学的にも認められていない。また,介助業務に従事する職員が頸椎椎間板ヘルニア
を発症しやすいということも,医学的には認められていない。頸椎椎間板ヘルニア
は,医学的には,加齢及び日常生活上の微小外傷の蓄積による変性の進行によって
生じるとされている。
控訴人は,本件疾病の発生時には頸椎椎間板ヘルニア発症のピークである40歳
ないし50歳の年齢に該当し,本件疾病も加齢及び日常生活上の微小外傷の蓄積が
原因となって発症した可能性が高い。
イ控訴人は,本件疾病に罹患する前の平成元年7月22日及び平成4年2月6
日に乙病院において,同月8日に甲病院において,頸椎の痛み等を訴えており,頸
椎に何らかの基礎疾患が存在した疑いがある。また,控訴人は,平成9年10月2
2日に丙病院で手術を受けた際,第5頸椎に骨棘が認められ,骨棘の形成には2,
3年を要することからすれば,頸椎には本件疾病に罹患する前から加齢及び日常生
活上の微小外傷の蓄積による変性が存在していたといえる。したがって,本件疾病
も,かかる加齢及び日常生活上の微小外傷の蓄積による変性を原因とするものと考
えるのが,現在の医学的知見に最も合致するものであり,高度の蓋然性を有すると
いうことができる。
さらに,第2受傷後のMRI検査等によれば,控訴人は,第3・第4頸椎間,第
4・第5頸椎間,第5・第6頸椎間に頸椎の変性があるところ,僅か2度の外傷に
よりこのような多椎間に変性が生ずることは考え難く,このことも,本件各受傷が
本件疾病の原因ではないことを裏付ける。
ウ控訴人は,第1受傷の直後ではなく,3箇月余り経過した平成9年3月10
日に初めて本件疾病について医療機関で受診している上,その診療録には外力が原
因であることをうかがわせる記載はない。さらに,控訴人は,同日から第2受傷後
の同年5月2日まで継続して治療を受けているものの,治療方法に変更がなく,控
訴人の症状が第2受傷によって悪化したことはない。
控訴人が本件認定の手続において本件疾病の原因として主張したのは本件各受傷
のみであるから,本件訴訟において本件認定の適否を判断するにあたり,それ以前
の受傷及び公務の内容は関連性を有しない。
(2)養護学校の教諭の業務は,頸椎に過度の負荷のかかる業務ではなく,E養護
学校小学部の教諭の担当生徒数も,平成5年度から平成9年度まで教諭1人当たり
1.2人ないし1.4人で,全国平均の1.6人ないし1.7人と比べて少なく,
授業時間(中学部門は最大でも週約26時間,小学部低学年は最大でも週約21時
間),授業日数(平成8年度は222日,平成9年度は224日),休業期間(夏
季休業41日,冬季休業14日,学年末休業10日)及び年次休暇取得日数(平成
7年は15日余,平成8年は20日余)のいずれの観点からも,控訴人の本件各受
傷前の公務の状況は過重なものではなかった。
(3)公務外認定処分取消訴訟における審理は傷病の原因を基準にすべきものであ
り,本件疾病の原因が長期間にわたる介助作業の繰り返しであるとの控訴人の主張
は,審理の範囲を超えており,主張自体失当である。
第3当裁判所の判断
1事実経過について
(1)前記前提事実並びに証拠(甲1ないし3,6ないし8,11ないし18,2
8,31ないし35,38ないし40,51ないし54,64,乙1ないし7,1
3ないし18,20ないし22,25ないし27(以上につき枝番号を含む。),
原審証人G,同H,原審控訴人本人)及び弁論の全趣旨を総合すると,本件の事実
経過として,以下の事実を認めることができる。
(控訴人の職歴)
ア控訴人(昭和29年▲月▲日生)は,大学で障害児教育を専攻した後,昭和
52年4月から昭和59年3月まで肢体不自由児施設が併設された神奈川県立C養
護学校の教諭として,同年4月から昭和62年3月まで大和市立D中学校の知的障
害児の学級担当の教諭として,同年4月から平成10年3月までE養護学校の教諭
として,それぞれ勤務していた。
(E養護学校における職務の内容)
イE養護学校は,小学部,中学部,高等部及び訪問教育部に分かれており,前
3部には知的障害教育部門及び肢体不自由教育部門がある。控訴人は,同校におい
て,昭和62年度から平成元年度まで知的障害教育部門を,平成2年度以降は肢体
不自由教育部門を担当した。同校の肢体不自由教育部門の小・中学部は,生徒の半
分以上を知的障害等を伴う重症心身障害児が占めており,生徒の大半が車椅子を使
用している。
同校における控訴人ら教諭の日常の公務の内容は,以下のとおりである。
①生徒をスクールバス又は自家用車から抱きかかえて降ろし,車椅子に乗せて
教室に移動する。
②教室で生徒を車椅子から降ろして休憩させ,生徒の健康観察及びオムツの交
換等を行う。
③午前及び午後の個別指導においては,プログラムに従い,生徒を車椅子に乗
せて指導教室に移動して指導し,指導中は,指導内容に応じて,車椅子ごと又は身
体を抱え上げて生徒を移動させる。
④昼食時には生徒を車椅子に乗せて給食室又は教室に移動し,食事の介助を行
う。食事の介助は,食事を喉に詰まらせないよう,生徒の姿勢,口唇及び舌の動き
について行い,異常な筋緊張を伴う生徒に対しては,生徒を抱き,関節を曲げさせ
て緊張を緩和し,体調が悪い生徒に対しては,教諭の膝の上に生徒を乗せて抱きか
かえて緊張を解くなど,個々の生徒の状態に応じた方法及び体勢で行う。
⑤食事後,生徒を車椅子から降ろし,健康観察等を行う。
⑥午後の個別指導後,生徒を車椅子から降ろし,健康観察等を行う。
⑦昼食時以外にも,必要に応じ,食事の介助と同様,生徒の状態に応じた方法
及び体勢で,同様の注意を払いながら,水分補給の介助を行う。
オムツの交換や用便の際には,車椅子から生徒の身体を抱きかかえてベッド又は
便座に移動させる。
授業中又は食事中,身体に不自然な荷重がかからないよう,頻繁に生徒の身体を
引き上げ,車椅子上の生徒の姿勢を調整する。
⑧下校する生徒を車椅子に乗せてスクールバス又は自家用車まで移動し,生徒
を抱きかかえて車両に乗せる。
(本件各受傷前の状況)
ウ控訴人は,昭和63年6月,腰椎椎間板ヘルニアに罹患して乙病院で診療を
受け,同年8月8日に腰椎椎間板ヘルニアの切開手術を受けた。このころから,控
訴人は,腰に負担がかからないように,腰を曲げ上体を前傾させて生徒を抱き上げ
るのではなく,上体を直立させたまま腕の力を使って生徒の身体を自分に引きつけ
て抱き上げるようにし,このため,頸肩腕には一層負担がかかるようになった。
エ控訴人は,平成元年ころ,頸部痛が1,2週間続いたため,同年7月22日,
乙病院において診察を受け,頸椎の動きは良好であり,ジャクソンテスト(頸部を
後屈させて,頸部痛の変化を確かめるテスト。頸椎椎間板ヘルニアの他覚所見を診
断するためのテストの一つ)に反応は見られないと診断された。
オ控訴人は,平成2年度から,介助すれば片足で立つことができるが,発作が
多く,座っていても後方に転倒してしまうことがしばしばある脳性麻痺の中学生の
男子生徒を担当した。控訴人は,平成3年11月ころ,同生徒(当時中学2年生。
身長161.5㎝,体重37.7㎏)を車椅子から教室の畳の床に下ろす際,ひと
まず片足で立たせたところ,同生徒が後ろに転倒しそうになり,転倒を防ぐため腕
に強く力を入れて同生徒の身体を起こし,このとき,頸部に痛みを覚えた。
カその後,控訴人は,直立姿勢をとると左肩から左手にかけて痛み及びしびれ
を覚えるようになり,平成4年2月6日に乙病院で診療を受けて頸椎症と診断され,
同月8日,12日及び同年4月3日には甲病院で診療を受けて頸椎椎間板症と診断
された。その診断後,控訴人は,1人で行うことの多かった生徒の車椅子への乗降
を他の教諭と2人で行うようにし,その後は,左肩から左手にかけての痛み及びし
びれが消失し,同月以降後記第1受傷までの数年間,通院することはなかった。
(第1受傷)
キ平成8年度,控訴人が担当したAは,身長126㎝,体重20.5㎏の首の
据わっていない弛緩タイプの肢体不自由児で,かつ,知的障害を伴い,てんかん発
作の頻繁にある水頭症の脳性麻痺児であった。Aは,ふだんは全身が弛緩した状態
のため,更衣,入浴等の際のみならず,水分補給及び食事の際にも,体調が悪いと
き又は介助を拒絶するときには,抱きかかえられた状態で介助を受けるが,水頭症
で頭が大きく,首に負担がかからないように,Aの頭部,頸部及び体幹を強い力で
抱きかかえるなど,控訴人の頸肩腕に大きな負担のかかる姿勢で介助の作業を行う
必要がある上,拒絶の意思又は興味を示す際には突然全身に強い力を入れて身体を
大きく反り返らせたり,教諭の髪を引っ張ったりするほか,水分補給が足りないと
てんかん発作が頻繁に起きるなど,状態の変化が大きく予測が困難であるため,特
別の注意が必要な特に介助の難しい生徒であった。
平成8年度の控訴人の属するクラスでは,知的障害を伴う肢体不自由児6人を教
諭5人で担当し,控訴人は,障害児の介助経験が最も長かったため,障害の程度が
重く,特に介助の難しいAを含む2人の重症心身障害の脳性麻痺児を担当すること
となった。また,控訴人は,経験の浅い他の教諭が担当する生徒の介助にも指導及
び補助をする負担を負っていた。
ク控訴人は,平成8年12月3日午前9時40分ころ,約1週間の欠席後に登
校したAの水分補給の介助のため,教室の畳の上の座椅子に座り,膝の上にAを乗
せて抱きかかえ,頸部をねじ曲げて表情をのぞき込んで話しかけながら,左腕で頭
部を包み込むようにしてAの上半身の姿勢を安定させ,左示指及び中指により口唇
の開閉動作を介助し,右手に持ったスプーンで少量ずつ口元に水分を運んでいた。
介助を開始して間もなく,口唇にスプーンが触れた際,Aが,急激に,ふだんよ
り強い力で全身を大きく反り返らせたため,控訴人は,膝の上から落ちないように
左腕に強く力を入れてAの上体を支えるとともに,右手に持ったスプーンの水がA
にかからないように頸部をねじ曲げたまま上体に力を入れてAを保護する姿勢を保
ったところ,頸部に強い痛みを覚え,左手の甲にしびれを感じた。控訴人は,その
後も約20分間,同様の痛み及びしびれを感じながら介助を続け,この間,Aが同
様の大きな反り返りの動きを3,4回強い力で繰り返したため,介助を終えたとき
には,頸部の痛み及び左頸肩腕のしびれが残った。
ケ頸部の痛み及び左頸肩腕のしびれの症状は,その後も持続したが,控訴人は,
公務を続け,頻繁な水分補給及び食事の介助が続くと症状が悪化する一方で,一時
的に介助の負担を軽減したり,頸部を直立させ又は前屈させたりすることで症状が
緩和することもあったため,冬休みの休養による症状の消失に期待し,平成9年2
月20日の健康診断までは医師の診察を受けることなく勤務を継続した。
コ控訴人は,同日,神奈川県予防医学協会が実施した健康診断の際,医師に対
し,第1受傷及びその後の症状について,平成8年12月初めころ障害児を抱きか
かえてお茶を飲ませていた際の受傷のため左頸肩から左手小指にかけてしびれが生
じた等と訴え,医師から「頸椎症の疑い要経過観察」との診断及び頸部X線撮影の
指示を受け,平成9年3月5日に頸椎X線撮影を受けたが,E養護学校事務局の事
務処理が遅れ,平成10年3月に至り,「医師の指示就業上の注意事項」の欄に
「頸椎症の疑い要経過観察」と記載された健康診断結果報告書を受領した。
サ控訴人は,X線撮影後指示がなかったため不安になり,平成9年3月10日,
甲病院において診察を受け,上記健康診断の際と同様の症状を訴え,頸椎椎間板症
の診断を受け,その後,同月12日,15日,19日,22日,25日,同病院に
通院して頸部のけん引及び鎮痛剤の処方等を受けた。
控訴人は,甲病院における診察においては,知覚鈍麻又は筋力低下は認められな
かったものの,スパーリングテスト(頸椎椎間板ヘルニアの他覚所見を診断するテ
ストの一つであり,頸椎を軽く側屈するとともに後屈位で頭部から圧迫を加え,痛
みが生じるかによって診断するテスト)では左側に反応があり,同月10日に撮影
したX線の所見では第5頸椎及び第6頸椎に骨棘が認められた。
(第2受傷)
シ平成9年度,控訴人の担当したBは,首の据わっていないアテトーゼタイプ
の肢体不自由児で,かつ,知的障害及びてんかん発作を伴う重症心身障害の脳性麻
痺児であった。Bは,身長100㎝,体重11.3㎏で,不随意の筋緊張のため全
身を硬直させて強く突っ張らせることが多く,水分補給及び食事の介助の際には,
摂取障害による誤嚥又は呼吸障害の危険があるため,介助者の左手指による口唇の
開閉と並行して左薬指による下顎の引き出しによる気道の確保の必要があるほか,
筋緊張によって舌を噛むことのないよう,介助者の左中指で下顎を押し下げるとと
もに,介助者が抱き上げて関節を屈曲させることにより緊張を緩和するなど,介助
者の頸肩腕に大きな負担のかかる姿勢を長時間続けながら,状態のよい瞬間を見計
らって手指の細かい動作を繰り返して介助することを要した。
ス控訴人は,平成9年4月7日午前11時ころ,教室でBの水分補給の介助を
行い,座椅子に座り,膝の上にBを乗せて抱きかかえ,頸部をねじ曲げ,顔をのぞ
き込んで口唇の動きを見ながら,左腕で頭部を包み込むように支えてBの上半身を
安定させ,左示指及び中指により口唇の開閉動作を補うとともに,左薬指で下顎を
補助して呼吸を楽にさせて緊張を解き,右手でミニコップにより少量ずつ水分の補
給を行った。
口唇にミニコップを当てて水を含ませた際,Bが,急激に,全身を硬直させて強
い力で突っ張らせる動きをしたため,控訴人は,頭部を保護するとともにBの緊張
を解いて関節の屈曲を保つため,頸部をねじ曲げたまま左上肢に強く力を入れ,水
を誤嚥しないように左腕に強く力を入れてBを支える姿勢をとったところ,頸部に
強い痛みを覚え,左肩腕から左手の甲にかけて痛み及びしびれを感じた。控訴人は,
その後も約20分間,同様の痛み及びしびれを感じながら介助を続け,この間,B
が同様の動作を何回も繰り返したため,介助を終えたときには,頸部及び左肩腕に
強い痛み,しびれ及びこりが残った。
セ控訴人は,同日,保健室で湿布薬を貼ったが,頸部及び左肩腕の強い痛み,
しびれ及びこりが緩和されず,その症状が急激に増悪していったため,同年4月8
日,14日,21日,甲病院に通院し,第2受傷及びその後の症状を訴えて診察を
受けるとともに,けん引治療を続けたが,従前とは異なり,けん引により逆に痛み
が出るようになったため,同月26日,けん引は中止された。この間,控訴人は,
同月22日まではBを腕に抱きかかえて水分補給及び食事の介助を行い,同日まで
にBに合わせた車椅子を製作し,以後車椅子に座らせた状態でBの水分補給及び食
事の介助を行った。
(本件各受傷後の治療の経過)
ソその後,控訴人は,頸部及び左肩腕の痛み及びしびれが更に増悪して握力が
低下し,鎮痛剤を飲まなければ症状が緩和されなくなったため,同年5月12日,
乙病院に転医して診療を受け,通院して鎮痛剤の処方を受けた。控訴人は,同病院
の診察において,ジャクソンテスト及びスパーリングテストに反応が認められ,左
手に知覚障害及びしびれが認められた。そして,控訴人は,同年6月13日,同病
院においてMRI検査(椎間板変性を基盤とする頸椎症を診断する画像検査法)を
受け,同月16日,頸椎椎間板ヘルニアの診断を受けた。
また,控訴人は,同年5月15日以降,丁大学病院にも通院して診察を受け,ジ
ャクソンテスト及びスパーリングテストともに左側第6頸椎領域に反応が認められ,
MRI検査の結果,同年6月6日,第5・第6頸椎間の頸椎椎間板ヘルニアの診断
を受け,同月14日以降,戊整形外科医院にも通院を開始し,投薬,レーザー等の
治療を受けた。
控訴人は,同年9月1日から平成10年3月22日まで,療養休暇を取得した。
タ控訴人は,丁大学病院及び戊整形外科医院から手術を勧められ,平成9年1
0月14日から16日にかけて丙病院に検査入院し,CT,MRI等の検査を受け,
スパーリングテスト及びジャクソンテストともに左側に反応が認められ,MRI所
見では第5・第6頸椎間の頸椎椎間板にヘルニアが認められた。控訴人は,同月2
2日,同病院で頸椎前方除圧固定術(腸骨骨移植)の手術を受け,頸椎から脱出し
ていた髄核を摘出し,第5・第6頸椎本体の縁を削り,腸骨から移植片を採取して
第5・第6頸椎間に挿入し,圧迫の強かった第5頸椎の骨棘の切除を受け,主治医
のH医師により,控訴人の頸椎に繊維輪の断裂を認められ,小さな軟骨破片が採取
された。
チ控訴人は,同年12月6日から約1箇月間,戊整形外科医院に通院して術後
の経過観察を行った上で,平成10年3月23日,E養護学校に復職したが,再発
の危険があったため,同年4月,公務の内容において頸部に負担の少ない神奈川県
立Fろう学校に転勤した。
(控訴人の認定請求と本件認定)
ツ控訴人は,同年6月11日,被控訴人に対し,本件疾病について,傷病名を
頸椎椎間板ヘルニア,災害発生の状況を平成8年12月3日午前9時40分ころ第
1受傷及び平成9年4月7日午前11時ころ第2受傷として,公務災害の認定の請
求を行った。
被控訴人は,平成12年8月29日,本件疾病は公務外の災害である旨の本件認
定を行った。
(2)上記認定を妨げる事実等の有無
ア控訴人は,平成8年12月3日の第1受傷後,平成9年2月20日の職場で
の健康診断及び同年3月10日の甲病院での受診まで医師の診察を受けていないが,
前記(1)ケのとおり,控訴人の第1受傷後の症状は継続していたものの,頻繁な水分
補給及び食事の介助が続くと症状が悪化する一方で,一時的に介助の負担を軽減し
たり,頸部を直立させ又は前屈させたりすることにより症状が緩和することもあっ
たため,冬休みの休養による症状の消失に期待し,同年2月20日に予定されてい
た健康診断の際に相談しようと考え,受診することなく勤務を継続したというので
あり,第1受傷後に発現した頸椎椎間板ヘルニアの症状が治癒しないまま第2受傷
を経て増悪して本件疾病の発症に至ったとの前記(1)ケからタまでの認定は,上記の
経緯によって左右されるものではない。
イ甲病院の診療録(乙2)には,控訴人の第1受傷及び第2受傷並びに各受傷
後の症状の訴えに関する記載がないが,一般に患者の訴えのすべてが診療録に記載
されるとは限らず,控訴人と甲病院との間の医療保険の取扱い等を巡るやり取りに
関する甲第51,第38号証及び控訴人本人の原審供述に照らしても,前記(1)サ及
びセの認定は,上記診療録の記載の有無によって左右されるものではない。
ウ丁大学病院の診療録(乙3の10頁)の平成9年9月26日欄には「1年間
左上肢痛あり増悪は本年5月以降はない」との記述があるが,同診療録に添付され
ている控訴人が自ら作成して同病院に持参した経過メモ(乙3の4,5頁)には,
頸部に頸椎椎間板ヘルニアの症状が現れた時期について「96.12」(平成8年1
2月)と記載されていることと対比すると,第1受傷以前に頸椎椎間板ヘルニアの
症状が現れることはなかったとの前記(1)カの認定は,上記診療録の記述によって左
右されるものではない。
2本件疾病について
(1)証拠(甲4ないし10,19ないし26,29,30,63,乙7ないし1
2,19,33,原審証人I,同H,同J)によれば,頸椎椎間板ヘルニアにつき,
次の事実を認めることができる。
ア頸椎は,7個の椎体から成り,各頸椎間に椎間板がある。椎間板は,中に髄
核があり,その周囲を線維輪が囲んでいる。頸椎椎間板ヘルニアは,頸椎椎間板の
線維輪に亀裂が生じ,髄核が周囲に脱出した状態をいう。頸椎椎間板ヘルニアにな
り,脱出した髄核が周辺の神経を圧迫すると,頸部,肩,腕,上肢等に継続的な痛
み,しびれ,こり等の神経症状が生ずるようになる。なお,頸椎椎間板ヘルニアに
なっても,ヘルニアの大きさいかんによっては痛み等の神経症状が生じない場合も
ある。
イ頸椎椎間板ヘルニアは,40歳台の男性に発症することが相対的に多く,ま
た,第5頸椎と第6頸椎との間の椎間板に最も多く発症する。
ウ頸椎椎間板ヘルニアの発症の原因については,必ずしも医学的に一義的にそ
の機序が解明されているわけではないが,一般には,椎間板は若年時から老化が始
まる部位であり,加齢による椎間板の退行変性が基盤にあって,これに不良な姿勢,
重い物を持ち上げる動作,物理的な負荷等の外力による外傷等,様々な要因が複合
的に作用して発症に至ると考えられている。そして,加齢による椎間板の退行変性
は相当期間にわたって緩やかに進行し,種々の外力も相当期間の反復継続による微
小外傷の蓄積が椎間板の変性の進行に影響を与えると考えられている。一時的な外
力による外傷が頸椎椎間板ヘルニアの発症に与える影響については,「頸椎捻挫な
どの外傷を繰り返しおこしたり,椎間板を損傷するような強い外傷は,変性を促進
する引き金となる」(甲4),「椎間板変性や脊椎症がすでにあるときには,軽い
外傷によって,脊椎症による症状がひきおこされたり,増悪することはしばしばみ
られる。……過伸展損傷としての一面を持つために,椎間板変性がすでに存在する
年代では,過伸展によって下位頸椎に椎間板ヘルニアが生じたり,……神経損傷を
伴うものがある。……とくに,顔面や頭部を打撲しての過伸展損傷によって,椎間
板ヘルニアを生じたり,……神経損傷をおこしやすい」(甲5),「椎間板線維輪
の断裂は修復されなく,たび重なる外傷はこの断裂を広げ,やがて髄核の逸脱,す
なわち椎間板ヘルニアとなる」(甲7),「腰部椎間板ヘルニアと同じく転落,交
通事故など外傷に基づくものもある」(甲8),「事故などで首を打撲したときや,
急な動作をしたときなど,首に無理な力がかかると頸椎の椎間板が飛び出し,神経
を圧迫して痛みが生じます(頸椎椎間板ヘルニア)」(甲9)等の見解を明らかに
する医学文献があり,他方で,「外傷が誘因となっている症例は存在するが,その
頻度は高くない」(甲6,乙7)とする見解を示す医学文献もある。
エなお,頸椎の椎間板に変性が生ずると,頸椎の椎体の辺縁部に骨棘(局所的
な骨の増殖で,その多くがX線像で棘状を呈するもの)が形成されることが多い。
その形成についての病理学的な見解は一致していないが,骨棘は,数箇月程度では
形成されず,形成には数年間を要する。
(2)上記(1)の頸椎椎間板ヘルニアの発症の機序に関する医学的な見解及び前記
1の諸事実を基礎にすると,以下の事実を推認することができる。
ア控訴人は,平成8年12月3日及び平成9年4月7日の公務遂行中,体勢及
び状況等からみて頸椎に大きな負荷がかかる状態で本件各受傷に遭い,その直後に,
従前現れていなかった頸部及び左肩腕の継続的な痛み,しびれ等を生じ,それが治
癒しないまま増悪し,平成9年6月,第5頸椎と第6頸椎との間の頸椎椎間板ヘル
ニアの診断を受け,同年10月22日に手術が行われるに至ったというのであり,
本件各受傷直後に現れた上記頸部及び左肩腕の継続的な痛み,しびれ等は頸椎椎間
板ヘルニアを生じた場合に認められる症状であることをも考慮すると,本件各受傷
は本件疾病の発症の要因の一つとなったものと推認することができる。
イ他方,平成9年3月の時点で控訴人の第5頸椎及び第6頸椎には骨棘が形成
され,骨棘の形成には数年間を要するとされており,この骨棘は第1受傷前から形
成が始まっていたものと推認され,骨棘は椎間板に変性が生じた場合に形成される
ことが多いこと,控訴人は平成4年2月に左肩腕の一時的な痛み及びしびれを訴え
て頸椎椎間板症と診断されていることに照らすと,控訴人の第5頸椎と第6頸椎と
の間の頸椎椎間板には第1受傷の数年前から徐々に変性が進行していた蓋然性が高
く,そのような頸椎椎間板の変性の要因としては,加齢のほか,日常的な公務の負
荷による微小外傷の蓄積が作用した蓋然性が高いと推認することができる。
(3)控訴人の本件疾病の発症の機序に関する医師の所見は,以下のとおりである。
ア甲病院の医師(甲3)
平成9年6月のMRI検査により認められた第5頸椎と第6頸椎との間の頸椎椎
間板ヘルニアが新しいヘルニアか古いヘルニアかは,その画像だけからは判定不可
能である。本件各受傷により症状が現れたことにつき,医学的に考えられる説明は,
一つは本件各受傷によりヘルニアが飛び出した場合であり,もう一つはもともとヘ
ルニアがあったところ本件各受傷をきっかけに神経症状が出た場合であるが,どち
らも医学的にはあり得ることで,平成4年2月から平成9年3月まで控訴人を診察
していない以上,どちらかに当たるかは判断しかねる。
イ乙病院の医師(甲3)
平成4年2月と平成9年5月の2回しか控訴人を診察しておらず,その間の5年
間が全く空白であるため,本件各受傷によりヘルニアが飛び出す可能性については,
飛び出す場合があるかもしれないとしか言えない。
ウH医師(甲3,乙6,原審証人H)
本件疾病は,本件各受傷を原因としてヘルニアが飛び出したのか,従前からのヘ
ルニアが本件各受傷をきっかけとして神経症状を発症したのか,どちらとも一概に
は言えない。控訴人は,平成4年の時点で頸椎及び椎間板に変性が生じており,頸
椎椎間板ヘルニアは多くの要因が積み重なって発症するが,控訴人の長年にわたる
介助労働による頸部の負担もその要因の一つとなったものと考えられる。
エI医師(甲19,63,乙19,原審証人I)
控訴人は,平成3年11月に介助業務により頸椎椎間板症を発症し,以後,頸椎
椎間板の変性が徐々に進行したものであり,本件疾病は,この頸椎椎間板の変性が
基盤となっている。しかし,その後の日々の介助業務による負荷(精神的な緊張を
含む。)が頸椎椎間板の変性の進行に寄与した可能性が大きく,そのような中で,
控訴人は,本件各受傷により頸部に大きな外力を受けたため,髄核の脱出が生じて
本件疾病を発症したと考えるのが妥当である。本件疾病は,頸椎椎間板の変性の進
行と本件各受傷による外力が相まって不幸な経過を辿ったものであり,長年にわた
る障害児の介助の公務により生じた頸椎への微小外力及びストレスが頸椎椎間板の
変性を加齢を上回る速度で進行させ,不良な姿勢のままで障害児が反り返ったとき
に瞬間的にかかった頸椎への大きな外力が相まって,頸椎椎間板ヘルニアを発症さ
せたものと考えられる。控訴人の本件疾病に関しては,長年にわたる公務及び本件
受傷時の公務の影響を複合的かつ総合的にとらえる必要があり,基礎疾患が公務を
単なる機会として本件疾病を発症させたとの見方は適切ではない。
オJ医師(乙12の1,33,原審証人J)
控訴人には,平成4年の時点で頸椎椎間板ヘルニアに至らない程度の椎間板変性
又は頸椎のごく軽度の退行変性が生じていた可能性が高い。控訴人が第1受傷から
3箇月経過後まで医療機関で受診しておらず,症状が徐々に現れてきたと推測され
ることや,骨棘の形成には数年を要することからすると,控訴人には,第1受傷前
から頸椎椎間板ヘルニアが存在していたが,症状が現れていなかったものと考えら
れる。本件各受傷より前から存在していたヘルニアが増大したか大きさに変化がな
かったかは,判断が困難である。前者であったとしても,本件各受傷より前から骨
棘が形成されていたから,本件各受傷により増大したヘルニアは,骨棘を超える部
分にすぎず,その割合はヘルニア全体の大きさからすれば小さいものであり,本件
各受傷が本件疾病に寄与した割合は,仮にあったとしても極めて低く,本件疾病が
本件各受傷により一気に生じたとは考えられない。
(なお,同証人も,原審において,頸椎の退行変性があるところに首をひねった軽
い外傷を契機として頸部にしびれが生じてヘルニアが発症した事例を自ら経験した
ことがあり,前記(1)ウの「頸椎捻挫などの外傷を繰り返しおこしたり,椎間板を損
傷するような強い外傷は,変性を促進する引き金となる」(甲4)との見解につい
てうなずける意見である旨述べている。)
3争点(公務起因性)について
(1)地方公務員災害補償法26条,28条,29条1項等は,職員が公務上疾病
にかかり,一定の障害がある場合に,一定の補償(金銭の給付等)をする旨規定し
ており,疾病の発症を理由とする同法による補償は,疾病が公務に起因すること
(公務起因性)が必要であるところ,公務起因性が認められるためには,疾病の発
症と公務との間の事実的因果関係だけでなく,相当因果関係があることが必要であ
ると解される。そして,同法による補償は,公務に内在し又は随伴する危険が現実
化して公務員に疾病を発症させた場合に,その危険を負担させて補償をさせる趣旨
に基づくものと解され,相当因果関係は,その疾病が当該公務に内在し又は随伴す
る危険が現実化したものと評価し得るか否かによって決せられるべきである。
本件において,様々な要因が複合的に作用して発症に至るといわれている本件疾
病(神経症状を伴う頸椎椎間板ヘルニア)について,その発症と公務との間の相当
因果関係があるかどうか,換言すれば,その発症が公務に内在し又は随伴する危険
が現実化したものと評価し得るか否かは,本件各受傷が過重な公務による負荷に基
づく因子として作用した結果,頸椎椎間板の変性をその自然の経過を超えて増悪さ
せたことによって本件疾病の発症に至ったと認められるかどうかの観点から,他の
発症原因となるべき因子との関係等を踏まえて判断すべきである(最高裁平成12
年7月17日第1小法廷判決・判例時報1723号132頁,最高裁平成16年9
月7日第3小法廷判決・判例時報1873号162頁,最高裁平成9年4月25日
第3小法廷判決・判例時報1608号148頁,最高裁平成18年3月3日第2小
法廷判決・判例タイムズ1207号137頁等参照)。
(2)地方公務員の公務災害補償給付は,職員の請求に基づき,地方公務員災害補
償基金による認定を経て行うものとされており,災害(傷病等)の原因に関する職
員の具体的な主張の範囲を超えて当該傷病等の原因につきあらゆる可能性を検討し
て判断することまでは期待されておらず,認定の請求に際して具体的に主張された
原因につき公務起因性の有無を判断すれば足り,当該原因につき公務外と認定され
ても,他の原因を主張して認定の請求をすることができると解するのが相当である。
したがって,公務外認定処分の取消訴訟においては,認定の請求に際して具体的に
主張された原因につき公務起因性を否定した当該処分の適否,すなわち具体的に主
張された原因に係る公務起因性の有無が判断の対象となり,認定の請求時に主張さ
れていない別個の原因に係る公務起因性の有無は,当該訴訟における判断の対象と
はならないと解するのが相当である。
前記1(1)ツのとおり,控訴人は,認定の請求時には,専ら本件各受傷による頸椎
椎間板ヘルニアの発症を主張し,長年にわたる公務の負荷による微小外傷の蓄積を
その原因として主張しておらず,本件訴訟においては,本件各受傷と本件疾病の発
症との間の相当因果関係の有無,すなわち本件各受傷が過重な公務による負荷に基
づく因子として作用した結果,頸椎椎間板の変性をその自然の経過を超えて増悪さ
せたことによって本件疾病の発症に至ったと認められるか否かが判断の対象となる
ものというべきである。
(3)そこで,以上の観点から本件各受傷と本件疾病の発症との間の相当因果関係
の有無について判断するに,まず,本件各受傷時における控訴人の公務が,頸椎椎
間板の変性をその自然の経過を超えて増悪させる危険のある特に負荷の重いもので
あったか否かについて検討する。
前記のとおり,控訴人は,本件各受傷当時,障害児の介助経験が長く,障害の程
度が重く特に介助の難しい重症心身障害の脳性麻痺児(第1受傷時には2人)を担
当し,障害の程度及び特質のために,体重約20又は10㎏の生徒を抱きかかえて
左腕で支えながら頸部をねじ曲げて左手指の細かい動作で水分補給等を行うなど,
頸肩腕に大きな負荷のかかる姿勢での介助を日々続けるとともに,水分補給の過程
で生徒が急激に強い力で何回も全身を反り返らせたり突っ張らせるなどの激しい動
きをした際,生徒を保護するために頸部をねじ曲げたまま頸肩腕に強い力を入れて
無理な姿勢をとり,頸肩腕に大きな負荷のかかる姿勢のままで約20分間介助を続
け,第1受傷(平成8年12月3日)の後には頸部の痛み及び左肩腕のしびれを生
じ,平成9年3月10日に甲病院において頸椎椎間板症の診断を受け,更にその約
1箇月後の第2受傷(同年4月7日)の後には頸部及び左肩腕の強い痛み,しびれ
及びこりを生じて次第に増悪し,鎮痛剤を飲まなければ症状が消えないようになり,
その約2箇月後の同年6月16日に乙病院において頸椎椎間板ヘルニアの診断を受
けるに至った。
以上の事実経過に照らすと,本件各受傷当時における控訴人の公務は,頸椎椎間
板の変性をその自然の経過を超えて増悪させる危険のある特に負荷の重いものであ
ったと認めるのが相当であり,本件各受傷は,そのような控訴人の公務に内在し又
は随伴する危険の発現として生じたものと認めることができる。
被控訴人は,E養護学校小学部の教諭の担当生徒数,授業時間,授業日数,休業
期間及び年次休暇取得日数のいずれの観点からも,控訴人の本件各受傷の当時の公
務は過重なものではなかった旨主張する。本件においては,頸椎椎間板の変性を増
悪させる危険性の観点から,上記のとおり担当する生徒の障害の程度及び特質のた
めに控訴人の公務が質的・内容的な面で特に負荷の重いものであったと認めるのが
相当であり,控訴人は,障害児の介助経験が長く,特に負担の重い生徒を担当し,
経験の浅い他の教諭が担当する生徒の介助にも指導及び補助をしていたことも併せ
考えると,被控訴人の主張に係る執務態勢等の数量的・形式的な観点のみをもって
直ちに公務の過重性を否定することはできない。
(4)次に,本件の事実経過を踏まえ,上記のように特に負荷の重い公務の過程で
生じた本件各受傷が,頸椎椎間板の変性をその自然の経過を超えて増悪させ,本件
疾病を発症させるに至ったと認めることができるか否かについて検討する。
ア前記2(1)によれば,一般に,頸椎椎間板ヘルニア及びその神経症状は,①相
応の年数の加齢(40歳代の発症が多数),②長年にわたる不良な姿勢,重量物の
持ち上げ等の継続的な外力の負荷による微小外傷の蓄積,③一時的な強い外力の負
荷による外傷など,様々な要因が複合的に作用して,頸椎椎間板の変性の進行,線
維輪の亀裂,髄核の周囲への脱出及び周囲の神経の圧迫という機序を経て発症に至
るものであり,頸肩腕の痛み,しびれ,こり等の神経症状の有無及び程度は脱出し
た髄核が周囲の神経を圧迫する度合いによるものと考えられている。
イ前記1(1)のとおり,控訴人は,(a)本件疾病の診断を受けた当時は43歳で
あり,(b)昭和62年度以降その発症まで約10年間にわたりE養護学校の教諭
(平成2年度以降の約7年間は肢体不自由児教育部門の担当教諭)として,相当の
重量のある障害児の生徒を日々何度も頸肩腕に大きな負荷のかかる姿勢で抱きかか
えて介助する公務に継続的に従事し,昭和63年8月に腰椎椎間板ヘルニアの切開
手術を受けた後は,障害児の生徒を抱きかかえる際に腰への負担を減らすため頸肩
腕に一層負荷のかかる姿勢をとるようにし,(c)平成8年12月3日及び平成9年
4月7日の本件各受傷当時,上記のとおり頸肩腕に大きな負担のかかる姿勢で介助
を行う過程で,生徒が急激に強い力で全身を反り返らせたり突っ張らせたりするな
どの激しい動きを何回もした際,生徒を保護するために頸部をねじ曲げたまま上体
及び腕に強い力を入れて無理な姿勢をとり,頸肩腕に大きな負荷のかかる姿勢で引
き続き生徒を支えながら手指の細かい動作で介助を続け,頸部及び肩腕の痛み,し
びれ等を生じ,それが治癒しないまま増悪して頸椎椎間板ヘルニアの診断及び手術
に至ったのであり,①控訴人の加齢,②長年の公務の負荷による微小外傷の蓄積及
び③公務遂行中の本件各受傷による外傷の各要因が複合的に作用して本件疾病の発
症に至ったものと推認するのが相当である。
以上を踏まえ,前記1(1)の事実経過並びに前記2(1)及び(3)の医学的な所見等を
総合すると,本件疾病の発症の機序については,(A)控訴人の加齢及び長年の公務
の負荷による微小外傷の蓄積により徐々に頸椎椎間板の変性が進行していたところ,
第1受傷による外傷及びその後の公務の負荷による微小外傷の蓄積によりその変性
が一層進行し,更に第2受傷を経て線維輪の亀裂及び髄核の周囲への脱出が生じて
周囲の神経を圧迫し,神経症状を伴う頸椎椎間板ヘルニアの発症に至った可能性
(第2受傷により髄核が脱出した可能性),(B)控訴人の加齢及び長年の公務の
負荷による微小外傷の蓄積により徐々に頸椎椎間板の変性が進行していたところ,
第1受傷による外傷が加わり,その後の公務の負荷による微小外傷の蓄積と相まっ
て頸椎椎間板の変性が一層進行した結果,線維輪の亀裂及び髄核の周囲への脱出が
生じて頸椎椎間板ヘルニアの発症に至り,更に第2受傷により髄核が周囲の神経を
圧迫する度合いが強まって神経症状の発症に至った可能性(第1受傷と第2受傷の
間に髄核が脱出した可能性),(C)控訴人の加齢及び長年の公務の負荷による微小
外傷の蓄積により徐々に頸椎椎間板の変性が進行していたところ,第1受傷により
線維輪の亀裂及び髄核の周囲への脱出が生じて周囲の神経を圧迫し,更に第2受傷
を経て周囲の神経を圧迫する度合いが強まった結果,神経症状を伴う頸椎椎間板ヘ
ルニアの発症に至った可能性(第1受傷により髄核が脱出した可能性),(D)控訴
人の加齢及び長年の公務の負荷による微小外傷の蓄積により徐々に頸椎椎間板の変
性が進行し,線維輪の亀裂及び髄核の周囲への脱出が生じて頸椎椎間板ヘルニアの
発症に至っていたところ,本件各受傷により髄核が周囲の神経を圧迫する度合いが
強まって神経症状の発症に至った可能性(第1受傷前に髄核が脱出した可能性)が
それぞれ考えられる。
訴訟上の因果関係の立証は,一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく,
経験則に照らして証拠を総合検討し,特定の事実が特定の結果の発生を招来した関
係を是認し得る高度の蓋然性を証明することであるところ(最高裁昭和50年10
月24日第2小法廷判決・民集29巻9号1417頁参照),前示のとおり,(i)本
件各受傷は,いずれも約20分間にわたり控訴人の頸肩腕に対して強い外力及び著
しく大きな負荷が加わったことによって発生したものであり,その直後から,それ
以前には現れていなかった頸椎椎間板ヘルニアの症状である継続的な頸部及び肩腕
の痛み,しびれ等が生じ,その症状が治癒しないまま第2受傷後に増悪して頸椎椎
間板ヘルニアの診断及び手術に至ったこと,(ii)第1受傷後には知覚鈍麻又は筋力
の低下まではなく,頸部のけん引治療を続けてもそれによる痛みは生じず,頸椎椎
間板症と診断されるにとどまったのに対し,第2受傷後には頸部及び肩腕の痛み,
しびれ等の増悪に加えて手の知覚障害及び握力の低下も生じ,頸部のけん引治療に
よる痛みも生ずるようになり,頸椎椎間板ヘルニアの診断を受けるに至ったこと等
の諸事情に照らすと,本件においては,経験則に照らし,上記(A),(B)又は
(C)のいずれかの機序により,本件各受傷が,控訴人の頸椎椎間板の変性を,加
齢及び長年の微小外傷の蓄積に基づく自然の経過を超えて増悪させ,その結果とし
て頸椎椎間板ヘルニア及びその神経症状の発症に至った蓋然性が高いものというべ
きであり,一方,上記(i)及び(ii)の事実経過等に照らすと,本件各受傷の当時,控
訴人の頸椎椎間板の変性が,本件各受傷がなくても,加齢及び長年の微小外傷の蓄
積に基づく自然の経過により本件疾病を発症させる程度にまで増悪していたとは認
め難いといわざるを得ない。
そうすると,本件においては,控訴人の過重な公務の遂行の過程でこれに内在し
又は随伴する危険の発現として発生した本件各受傷が,控訴人の頸椎椎間板の変性
を,加齢及び長年の微小外傷の蓄積に基づく自然の経過を超えて増悪させ,その結
果として本件疾病の発症に至ったのであり,したがって,本件疾病の発症は控訴人
の公務に内在し又は随伴する危険が現実化したものと認めることができる。
(5)以上によれば,本件各受傷と本件疾病の発症との間には相当因果関係を認め
ることができ,本件疾病の公務起因性を否定した本件認定は,取消しを免れない。
第4結論
よって,本件控訴は理由があるから,原判決を取り消し,控訴人の請求を認容す
ることとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第1民事部
裁判長裁判官江見弘武
裁判官岩井伸晃
裁判官市川多美子

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71期修習生 72期修習生 求人
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