弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人林徹の上告理由第一点の(三)の6、7および第三点について。
 所論は、かりに上告人の控訴提起が不変期間経過後のものであつたとしても、上
告人の第一審および控訴審における訴訟代理人弁護士林徹(以下、弁護士林徹とい
う。)は、第一審判決正本に受送達日と記載された昭和四四年九月二四日を正当な
送達日と信じて、同日から二週間内である同年一〇月八日控訴状を控訴裁判所に提
出したのであるから、これにより上告人の控訴提起行為は適法に追完されたものと
いうべきであり、原審が、訴訟行為の追完に申立を必要とするもののごとく解して
右追完を認めなかつたのは、民訴法一五九条に違反し、審理不尽、理由不備の違法
がある旨主張する。
 よつて按ずるに、原判決の認定したところによれば、弁護士林徹が、かねて、そ
の所属する東京弁護士会が昭和三九年四月七日制定施行した「東京弁護士会受送達
事務取扱規則」(同会規則第二四号)に基づいて、同会を受送達場所、送達受取人
と定めた送達受取人指定の手続をすませていたところ、本件の訴訟書類の同弁護士
に対する執行官送達は、第一審判決正本の送達を含めて、すべて東京弁護士会事務
所において同会を送達受取人としてなされていたのであるが、同弁護士は、右受送
達の事務を取り扱う東京弁護士会の送達部から第一審判決正本の送付を受け、右正
本下部欄外に「昭和四四年九月二四日受送達」の旨ゴム印が押捺されていたので、
同年一〇月八日控訴裁判所である東京高等裁判所に控訴状を提出したのに対し、原
審において、右控訴は控訴期間徒過の不適法のものとし、ただちに判決言渡期日を
指定し告知してきたので、前記正本に押捺してある送達日時に不審を抱き調査した
ところ、右日付の日は、右送達部が右正本を弁護士林徹に送付する等原判示の処理
手続を行なつた日であつて、送達受取人である東京弁護士会が執行官から右正本の
交付を受けたのは同年九月二二日であつたというのである。
 ところで、原審の、弁護士林徹がした前示送達受取人指定の手続は、民訴法一七
〇条一項所定の届出があつた場合に準ずるものと解すべきであり、右第一審判決正
本の送達の効力は右九月二二日に生じたものである旨の判断は、正当として是認す
ることができる。
 右原審認定の事実によれば、弁護士林徹は、第一審判決正本に押捺された昭和四
四年九月二四日を送達の日であると信じて、同日から二週間内である同年一〇月八
日控訴を提起したものであることを窺うに難くなく、右のように信じたことが同弁
護士の過失であることについて他に特段の主張立証がない以上、右の点について同
弁護士自身に責めらるべきものはなかつたというべきである。
 本件において、右のように弁護士林徹に判決正本の送達の日時に関する誤認が生
じたのは、東京弁護士会の受送達事務の取扱に基因するのである。すなわち、原判
決が確定したところによれば、同弁護士会の送達部においては、送達の日時は、右
送達部事務員が執行官から送達書類を現実に受領した日時ではなく、右送達部が原
判示の処理手続を終つた日時をもつてこれに当たるものとして取り扱う慣行があり、
同弁護士会の事務員は、本件の場合も右慣行に従い、執行官から第一審判決正本の
交付を受けた日時ではなく、右正本につきその処理手続を終つた日時をもつて送達
の日時となし、前述のとおりゴム印を押捺したのである。しかし、弁護士林徹とし
ては、同会が弁護士法三三条、同会会則五条に基づき規則をもつて定めた手続に従
い送達受取人の指定をしていたのであり、しかも、同弁護士会は、執行官法施行前
相当古くから東京地方裁判所所属執行吏全員との申合せによつて送達日時に関する
右取扱を慣行としてきたものであつて、かような場合には、訴訟代理人である弁護
士林徹が送達受取人として指定した東京弁護士会に過失があつたとしても、ただち
に同弁護士に過失があつたものとはいい難く、したがつて、同弁護士に責があると
するのは相当ではない。けだし、かような場合、同弁護士において、同弁護士会が
送達に関する民訴法の規定とそごする取扱をするごときことは、全く予想しえない
ところであり、同弁護士が、同弁護士会の定めた制度を利用して同会を送達受取人
に指定し、その事務取扱を信頼し、これに依拠してきたことに、何ら責められるべ
きものはないからである。
 前叙のように、上告人の控訴提起は不変期間経過後になされたものであるが、上
告人がその責に帰すべからざる事由により不変期間を遵守することができなかつた
ものであることは、すでに原判決の認定事実から窺うことができるのであり、一方、
上告人は、原審において、本件控訴が適法である旨主張して止まなかつたのである
から、原審としては、上告人が右のごとき追完事由を主張するかどうかの釈明を求
め、この点を解明する措置をとるべきであつたものといわなければならない。しか
るに、原審がかかる措置をとつたことは記録上認められず、原判決が、たんに、本
件控訴については訴訟行為追完の申立もない旨判示したのみで、上告人の控訴を却
下したのは、審理不尽、理由不備の違法があるというべきである。論旨は理由があ
り、原判決は破棄を免れない。
 よつて、その余の点に関する判断を省略し、原判決を破棄し、さらに審理を尽く
させるため、本件を原審に差し戻すべきものとし、民訴法四〇七条一項に従い、裁
判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    関   根   小   郷

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