弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件抗告を却下する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 本件抗告の趣旨および理由は、別紙記載のとおりである。
 仮処分に関する規定が民事訴訟法の強制執行編に置かれているところからみて、
その性質に反しない限り同<要旨>編総則の適用を受けるとみるのが相当である。そ
して仮処分申請却下の決定は仮処分の執行ではないが、これに対しては同法
第五五八条の適用があると解すべきであり、普通抗告によるべきものではないと解
する。
 思うに、仮処分申請があつた場合、裁判所は決定手続又は判決手続をもつてその
判断をなすのであるが、そのいずれによるかは裁判所の裁量に委ねられている。そ
して、判決によつて申請を却下した場合、不服申立の方法として控訴が許され、従
つて不服申立期間が一四日となりこの期間を徒過すれば不服申立ができなくなる。
 また、決定をもつて申請を却下した場合にも不服申立が許される。この場合、仮
処分手続が一種の特別訴訟手続であり申請却下の決定は訴訟に対する判断であつて
強制執行の手続に属さないとの理由によつて民事訴訟法第五五八条の適用を認めず
同法第四一〇条に従い普通抗告をなし得るものであると解すれば、この場合の不服
申立について期間の制限がなく、何か月後でも抗告ができると解さねばならないこ
とになる。そうすると、判決によつて却下されたる場合に比較して均衡を失するこ
と明らかである。のみならず、抗告審においでは、原決定に現われた事実および証
拠のみならず抗告審の判断が行れるまでに現われた新たな事実および証拠をも加え
て判断することとなるが、原決定の後相当の日時が経過すれば、原決定のときとは
事情も当然に変化し、この新しい事情のもとにおいて、判断するとすれば、抗告審
の判断は当然に原決定とは別異にならざるを得ないのである。ところで、仮処分事
件は被保全権利とならんでその必要性が判断の重点をなすから、新らしい事情のも
とにおいてはあらためて仮処分命令を申請させて判断するのが相当であつて、その
手続を省略して以前の却下決定に対する抗告の手続を利用させて新らしい事情を主
張ざせることは、実質的に相手方に一審の手続を失わせることとなり、甚だ不当な
結果を招く。のみならず、仮処分申請手続は執行を保全する緊急の必要から設けら
れた手続であるから、その不服申立も早急に行うのが通常であり、これに一定の期
間を設け、その期間を徒過すれば不服申立を許さないとする取扱にしても申請人に
特別不利益が生ずることにもならない。
 ところで、原決定は抗告人に昭和三九年五月二三日送達され、抗告人が本件抗告
を同年一二月二一日なしたことは記録上明らかであるから、本件抗告は不適法であ
るからこれを却下すべきである。
 かりに仮処分申請を民訴四一〇条の訴訟手続に関する申立と解して普通の抗告を
することができるものとしても、本件建物部分が相手方の所有であること、抗告人
がこれを期間昭和三六年二月六日から昭和三九年二月六日までの約定て賃借し、バ
ーを経営していたこと、昭和三九年一月頃から休業し、什器備品を残したまま施錠
していたこと、相手方が同年四月表入口を釘付にして立入禁止の貼札をしたこと、
同建物部分の出入口は他にあつて、その鍵は抗告人が所持しており、これに自由に
出入ができることは、原審認定のとおりである。そうだとすれば、右建物部分の占
有が抗告人に属し相手方がその妨害をしていると一応認められるけれども、当時抗
告人は休業しており、現在これを早急に再開する必要ないし可能性を認めるべき資
料はなく、かえつて、原決定が送達きれてから約七か月の後に本件抗告がなされて
いる事実に照すと、かかる必要も可能性もないと推測され、したがつて右妨害によ
つて抗告人に著しい損害が生ずると認めることはできない。以上のとおりであるか
ら、本件仮処分申請は理由がないのである。
 よつて、本件抗告を却下し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条第八九条
を準用して主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 千種達夫 裁判官 渡辺一雄 裁判官 岡田辰雄)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛