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裁判例


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       主   文
特許庁が昭和五四年審判第五六九四号事件について昭和五八年一〇月二八日にした
審決を取消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
この判決に対する上告のための附加期間を九〇日と定める。
       事   実
第一 当事者の求めた裁判
1 原告
 主文第一、二項同旨の判決
2 被告
 「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決
第二 請求の原因
1 特許庁における手続の経緯
 被告は、別紙(一)のとおり、「GRAND EMPEREUR」の欧文字を左
横書きしてなり、指定商品を第二八類「酒類(薬用酒を除く)」とする登録第一三
四一一三四号商標(昭和四九年一二月二五日登録出願、昭和五三年八月二五日設定
登録。以下「本件商標」という。)の商標権者であるが、原告は、昭和五四年五月
二五日、被告を被請求人として本件商標の登録無効の審判を請求し、昭和五四年審
判第五六九四号事件として審理された結果、昭和五八年一〇月二八日、「本件審判
の請求は成り立たない。」との審決がなされ、その謄本は同年一二月一六日原告に
送達された。
2 審決の理由の要点
(一) 本件商標の構成、指定商品、登録出願の日及び設定登録の日は、前項記載
のとおりである。
(二) ところで、請求人(原告)の引用する登録第七九一三九二号商標(以下
「引用商標」という。)は、別紙(二)のとおり、第一文字を大きく装飾体とした
「EMPEROR」の欧文字よりなり、第二八類「酒類」を指定商品として、昭和
四二年五月三一日登録出願され、昭和四三年八月二〇日設定登録されたのち、昭和
五三年一一月一日商標権存続期間更新の登録がなされたものである。
(三) 本件商標は、「GRAND EMPEREUR」の欧文字を横書きしてな
るものであつて、仏語で「グランアンプロール」と発音され、「偉大な皇帝」の語
意を表すものとして外国語の知識を有する者には理解されているところのものであ
る。
 請求人(原告)は、本件商標の「GRAND EMPEREUR」においては、
「GRAND」の文字がこの種商品について商品の品質の誇称表示として普通に使
用されているばかりでなく、その構成においても前記両文字は分離し、しかも後半
の「EMPEREUR」の文字が「皇帝」を意味する語として日本語同様に理解さ
れているものであることを併せ考えれば、本件商標は「EMPEREUR」の文字
部分をもつて取引され、したがつて「EMPEROR」よりなる引用商標とは類似
するものであると主張するが、本件商標を構成する「GRAND」と「EMPER
EUR」の各文字は同書同大で一連に表示されているのみならず、その「GRAN
D」と「EMPEREUR」との間には前記の如く語義においても「偉大な皇帝」
として結合すべき密接な関係があるとともに、語呂においても「グランアンプロー
ル」と平滑、流暢に称呼され、これを分離して称呼、観念すべき格別の事情もない
から、請求人(原告)の主張は採用することができない。
 そうとすれば、本件商標は「GRAND」と「EMPEREUR」の文字から構
成され、全体として「偉大な皇帝」の観念を生ずるものであるから、その構成にそ
くして「グランアンプロール」と一連に読まれ、この称呼に限られるべきものとい
うのが相当である。
 他方、引用商標は、その構成に徴し「エンペラー」と発音され、「皇帝」の語義
を有する英語として親しまれている「EMPEROR」の文字よりなるものと認め
られるから、これより「エンペラー」の称呼、「皇帝」の観念を生ずるものである
ことが明らかである。
 してみれば、両者は、外観上は著しい差異があることは勿論称呼上も相紛れるお
それはないものであり、また観念においても別異のものというべきである。
(四) したがつて、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点
よりしても非類似の商標と認定しうるから、本件商標は、商標法第四条第一項第一
一号に違反して登録されたものとの理由をもつて無効とすべきではない。
3 審決の取消事由
 審決は、本件商標はその構成にそくして「グランアンプロール」と一連に読ま
れ、この称呼に限られるべきものと認定しているが、本件商標は「エムペラー」又
は「エンペラー」の称呼を生ずるものであるから、審決の右認定は誤りであり、こ
の誤りに基づいて本件商標は引用商標と別異のものとした審決は違法であつて取消
されるべきである。
(一) 商標の称呼は取引の実際における経験則に徴し、商標から自然に流れ出る
ところによつて判断すべきである。つまり、その構成自体により最も呼びやすいも
のが選ばれるのが自然である。
 本件商標は、仏語においては、審決認定のとおり「グランアンプロール」と称呼
されることは、否定するものではないが、日本国内においては、義務教育における
外国語履修の第一順位が英語であるところからして、一般取引者、需要者はまず初
めに英語読みをするのが自然である。
 そして、本件商標を英語読みにすれば、「グランド エムペラー」又は「グラン
ド エンペラー」、あるいは「グラン エムペラー」又は「グラン エンペラー」
と称呼するのが一般的であり、相当である。すなわち、まず、「GRAND」は、
日本国内で広く発売されている英語辞典等から明らかなように、その発音記号が
「g」「r」「n」「d」となつており、日本人の平均的発音によれば、「ド」の
部分が比較的強く称呼され、「グ」「ラ」「ン」「ド」とその四音が平列的に称呼
されるのが一般的である。一方、英語本来の「d」の発音に従えば、「ダ・デ・
ド」の子音であつて、舌先を上歯茎につけて閉鎖する音であるから、口外に音が漏
れにくく、弱音となり聴者には聞き取りにくいので、いきおい「グ」「ラ」「ン」
と聴取されやすいとみるのが相当である。したがつて、本件商標の「GRAND」
の部分は、「グランド」あるいは「グラン」と称呼、聴取されることになる。
 次に、「EMPEREUR」というスペルの英語は存在しないが、「EM」の部
分を発音記号で表せば「em」であり、その発音は「エム」又は「エン」であり、
「PE」の部分の発音記号は「pe」であつて、その発音は「ペ」であり、「R」
の部分の発音記号は「r」であつて、その発音は「ル」であり、「EUR」の部分
の発音記号は「●:」又は●:」であつて、その発音は「アー」であるが、「RE
UR」を一連に発音すれば「ラー」と発音されることになる。したがつて、本件商
標の「EMPEREUR」の部分は、「エムペラー」又は「エンペラー」と称呼さ
れるとするのが日本における取引者、需要者の自然称呼である。このことは、日本
において発売されている洋酒の説明をしている本(甲第一三号証)に表れる「EM
PEREUR」の日本語表示が「エムペラー」と記載されており、更に輸入業者の
発行したパンフレツト(甲第八号証)及び日本における代表的な百貨店のギフトカ
タログ(甲第一四号証)においても、「EMPEREUR」について「エンペラ
ー」と表記していることでも明らかである。
(二) 商標による商品の取引は、必ずしも商標の全構成をもつてなされるわけで
はない。その最も解りやすい部分で略称されることは日常経験するところである。
 本件商標の「GRAND」と「EMPEREUR」とは構成上分離しており、か
つ比較的長い構成であるから簡易迅速を尊ぶ商取引においては「GRAND」の部
分を省略し、「EMPEREUR」の部分をもつて称呼、取引されることが経験則
に徴し妥当といえる。
 更に「EMPEREUR」は、その語義において「皇帝」を意味するものである
が、特に日本においては、取引者、需要者に親炙された言葉である。すなわち、日
本には長い歴史の過程において天皇制度が存在しており天皇を身近かなものとして
親しんできており、天皇、皇帝、エンペラーを同義に理解しているのである。この
ようなことから、本件商標は、「EMPEREUR」の部分を商標の要部と理解す
るのが、一般的といえる。
 これに加え、「GRAND」の部分は商品の品質誇称部分であつて、本件商標の
自他商品識別機能を有する商標の要部は「EMPEREUR」にある。すなわち、
「GRAND」は、英語において「雄大、気高い」とか、「最高級、最高」という
意味であり、後に続く語の誇称として使用されるものであり、仏語においても英語
と略同様であつて、「大きい、上級」等を意味するものとして使用されている。
 したがつて、本件商標と引用商標との類似判断に当たつては本件商標の「EMP
EREUR」と引用商標の「EMPEROR」とを称呼、観念において比較判断す
べきであり、審決が本件商標を一連不可分のものとしたのは誤りである。
(三) 以上のとおり、本件商標は、「エムペラー」又は「エンペラー」の称呼を
生じ、「皇帝」の観念を生ずるものであり、一方、引用商標は、「エムペラー」又
は「エンペラー」と称呼され、「皇帝」の観念を生ずるものであるから、両商標
は、称呼、観点において同一であり、類似する商標である。
第三 被告の答弁及び主張
1 請求の原因1及び2の事実は認める。
2 同3の審決の取消事由についての主張は争う。
 審決の判断は正当であつて、審決には原告主張のような違法の点はない。
(一) 本件商標は、出願人であるメゾン グラン アンプロール ナポレオンの
称号から採択されたもので、その称呼は、仏語による発音「グランアンプロール」
である。
 文字商標の称呼は一商標について一つであるのが原則である。けだし、商品の出
所表示の標識として同一商標が複数の呼ばれ方をすることは殆ど考えられないから
である。それ故、本件商標の称呼が「グランアンプロール」であるなら、それ以外
の称呼はもはやありえないとみなければならない。
 原告は、本件商標を英語読みにすれば、「グランド エムペラー」又は「グラン
ド エンペラー」あるいは「グラン エムペラー」又は「グラン エンペラー」と
称呼されると主張する。
 しかしながら、「GRAND」は、英語で「グラン」と「D」の発音を省略する
ことはないから英語読みでは「グランド」でなければならない。また、「EMPE
REUR」のようなスペルは英語には存在しないからこれを英語読みすることは不
可能に近いが、強いて英語読みをすると「エムパーエウア」と称呼せざるをえない
もので、「エンペラー」又は「エムペラー」の称呼はどのようにしても出てくる理
由はない。すなわち、既成の英語では、「R」を「ル」と母音を含めて発音するこ
とはなく、「EUR」を「アー」と発音することもない。「EMPEREUR」を
英語読みする方法は、まず語頭の「EMPER」を「エンパー」と称呼しそれに語
尾の称呼を付加する方法であり(この場合、「EMPER」を「エンペル」と読む
ことは決してありえない。)、「EUR」は発音することが殆ど不可能であるが、
強いて発音すれば「エウア」であるから、全体として「エンパーエウア」である。
また、いま一つの方法は全体を一連に無理に称呼する方法であつて、この場合は、
「エンペレウア」と称呼するより他に方法のないものである。
 この点について、もし原告が仏語の「EMPEREUR」の同義語が英語で「E
MPEROR」であり、この英語の同義語を称呼すれば、「エンペラー」又は「エ
ムペラー」であるというのであれば、仏語の「EMPEREUR」を英語の「EM
PEROR」に置換えて発音すると、それはもはや本件商標のスペルではなくなる
から、本件商標でないものを本件商標としてその称呼を導き出しているもので、そ
れが誤りであることは明らかである。
(二) 本件商標の要部はその全体であつてこれが分離されて称呼され、若しくは
取引に使用されることはない。
 原告は、本件商標が構成上分離していること及び比較的長い構成であることを理
由に審決において本件商標を一連不可分のものとしたのは誤りであると主張する。
 しかしながら、原告が主張する構成上分離とは、グランドの「D」とアンプロー
ルの「E」との間がわずかに一文字分あいているとの趣旨にすぎず、本件商標を構
成する「GRAND」と「EMPEREUR」の各文字は同書同大であり、しかも
横に並列して表示されているから、一文字の間隔があることをもつてただちに「E
MPEREUR」の部分をもつて称呼されるとはいえない。また、本件商標は、仏
語読みで八字からなる構成であり、ことさらに長い構成であるとはいえない。こと
に酒類中の洋酒にあつては安易に省略すると間違いを生ずるところから、長い構成
のものであつても省略することは殆どない。
 また、原告は、日本にあつては天皇制が存在していることから、「EMPERE
UR」の部分を商標の要部と理解するのが一般的といえる旨主張する。
 しかしながら、本件商標は、出願人の商号の要部であるメゾン グラン アンプ
ロール ナポレオンから採択され、ナポレオンを指す「偉大な皇帝」の意味を有す
るものである。仏語で「グランアンプロール」といえばナポレオンを意味している
ことは周知であるから、本件商標は「偉大な皇帝」、「グランアンプロール」とし
て観念され、同様、称呼においても一連に称呼され、単に「アンプロール」、「皇
帝」と省略して称呼、観念されることはない。単に「アンプロール」、「皇帝」と
いうと、一般名称としての普通名詞となり、固有名詞としてのナポレオンを意味し
ないことになつてしまうからである。そして、第二八類の商品については、「帝
王」、「帝」、「EMPEROR」等の商標は、たとえ観念を共通にしていても表
現態様を異にすれば非類似商標として併存が認められている。
 更に、原告は、「GRAND」は商品の品質誇称部分であつて、本件商標の要部
ではない旨主張する。
 しかしながら、一般的に、品質を誇称する言葉は、英語では「good」、仏語
では「bon,bone」であり、「GRAND」は使われていない。また、酒類
における品質誇称としては、スーパー、ゴールド等があり、特にブランデーについ
てはV・O、V・S・O、V・S・O・P、X・O、及びエキストラ、ナポレオン
等があることから「GRAND」を品質誇称として用いることはない。酒類におい
て、商品名として「グラン」を用いている例は多数あるが、これらがすべて品質を
誇称するものとして使用されているとは到底いえない。
(三) 本件商標の称呼は「グランアンプロール」であり、引用商標の称呼は「エ
ンペラー」であるから、両者が称呼を異にする非類似商標であることは全く疑いの
余地がない。
 仮に、本件商標から「グランド エンペラー」又は「グランド エムペラー」、
あるいは「グラン エンペラー」又は「グラン エムペラー」の称呼が生ずるとし
ても、本件商標の「グラン」と「アンプロール」は常に不可分一体に称呼され、
「ナポレオン」を意味するものであるから、それとは別の普通名詞としての意味し
か有しない引用商標の「エンペラー」とは称呼が非類似であるのみならず、観念も
明確に区別され、混同されるおそれのないものである。
第四 証拠関係(省略)
       理   由
1 請求の原因1及び2の事実は当事者間に争いがない。
2 そこで、原告主張の審決の取消事由の存否について判断する。
(一) 前示のとおり、本件商標の構成を表示することについて当事者間に争いの
ない別紙(一)の記載によると、本件商標は、「GRAND」と「EMPEREU
R」の欧文字を両文字間に一文字程度の間隔を置いて左横書きしてなるものである
ことが認められ、また「GRAND」と「EMPEREUR」はいずれも仏語であ
つて、これを仏語として一連に読むときは、「グランアンプロール」と発音される
ものであり、したがつて、本件商標から「グランアンプロール」の称呼を生ずるこ
とは、当事者間に争いがない。
 被告は、文字商標の称呼は、一商標について一つであるのが原則であり、本件商
標の称呼が「グランアンプロール」であるなら、それ以外の称呼はもはやありえな
い旨主張するが、商標の称呼は、その対称とする商品の取引の実情に即し、商標か
ら自然に流出するところによつて判断されるのであつて、商標からどのような称呼
が生ずるかは当該商標について個々具体的に判断すべきであり、本件商標の称呼が
「グランアンプロール」であるなら、それ以外の称呼はありえないとする被告の見
解は被告独自の見解に基づくものであつて、到底肯認することができない。
 そこで、本件商標について検討すると、成立に争いのない甲第八号証、甲第一四
号証によれば、本件商標を付した商品(ブランデー)は、洋酒の輸入業者であるド
ツトウエル洋酒部作成の商品ガイドでは「グラン エンペラー ナポレオン」の名
称で、また小田急百貨店作成のギフトカタログでは「グランエンペラーナポレオ
ン」の名称でそれぞれ掲載され、取引に供されていることが認められ、更に、成立
に争いのない甲第一三号証によれば、日本において販売されている洋酒を読者に紹
介する目的で編集された株式会社東京アド・バンク編・昭和五四年三月八日発行
「洋酒のはなし」一一九頁には、フレンチ・ブランデーの項に本件商標を付した商
品が「グラン・エムペラー・ナポレオン」との名称で掲載されていることが認めら
れ、右認定の取引の実情及び需要者の認識に加え、わが国における語学教育の現状
からみて酒類の取引者、需要者の相当多数の者が常に仏語を正確に発音して称呼す
るとはいえないことは当裁判所に顕著な事実であるから、本件商標からは比較的発
音し易く親しみ易い「グラン エムペラー」又は「グラン エンペラー」の称呼を
も生ずるとみるのが相当である。
 そして、本件商標は、前記当事者間に争いのない構成によると、「GRAND 
EMPEREUR」の欧文字を左横書きしてなるものであるが、「GRAND」と
「EMPEREUR」との間には一文字程度の間隙があつて、前半部と後半部とに
分離されており、また、成立に争いのない甲第五号証、第六号証の各一ないし三、
甲第七号証及び乙第二号証の一ないし三によれば、「EMPEREUR」は仏語で
「皇帝」を意味し、それが独立して取引者、需要者の注意を惹くとともに、自他の
商品識別機能をもつ語であるのに対し、「GRAND」は仏語で「(価値・位・名
声などが)高い、偉い」等を意味し、フランスのワイン・コニヤツク・ブランデー
等において、高級品であることを誇示的に表示する語として使用されることが少な
くないことが認められ、これらの事実を総合すると、本件商標がその指定商品に用
いられた場合、取引者、需要者はこれを前記のように「グラン エムペラー」又は
「グラン エンペラー」と称呼するだけでなく、その後半部の「EMPEREU
R」に対応して「エムペラー」又は「エンペラー」と称呼する場合も決して少なく
ないものというべきであるから、本件商標からは「エムペラー」又は「エンペラ
ー」の称呼をも生ずると解するのが相当である。
(二) ところで、成立に争いのない甲第三号証の一によれば、引用商標は、別紙
(二)のとおり、第一文字を大きく装飾体とした「EMPEROR」の英文字を左
横書きしてなるものであることが認められ、わが国において英語の普及度が高いこ
とは当裁判所に顕著な事実であるから、引用商標からは英語読みによる「エムペラ
ー」又は「エンペラー」の称呼が生ずるものと認められる。
 そうすると、本件商標と引用商標とは、「エムペラー」又は「エンペラー」の称
呼を共通にするものであり、本件全証拠によるも称呼が同一であるにもかかわらず
その使用により商品の出所の混同を生じないという特別の事情も認められないか
ら、両商標は類似商標というべきである。
(三) したがつて、本件商標はその構成にそくして「グランアンプロール」と一
連に読まれ、この称呼に限られるべきものとした審決の認定は誤りであり、この認
定に基づいて本件商標と引用商標とは非類似の商標であるとした審決の判断は誤り
であるから、審決は違法として取消されるべきである。
3 よつて、審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求は正当としてこ
れを認容し、訴訟費用の負担及び上告のための附加期間の付与につき行政事件訴訟
法第七条、民事訴訟法第八九条、第一五八条第二項の各規定を適用し、主文のとお
り判決する。
(裁判官 秋吉稔弘 竹田稔 濱崎浩一)
<12541-001>

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