弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 検察官の上告趣意のうち、判例違反をいう点について。
 所論は、原判決は、法人税法一五九条の逋脱犯の逋脱税額算定に関する限り、法
人が確定申告をするにあたつて青色申告の承認に基づいてした価格変動準備金など
の損金算入は、事後の青色申告の承認の取消によつて左右されるものではないと判
示しているが、この判断は高等裁判所判例(東京高裁昭和三八年(う)第二九五八
号同三九年三月二六日判決、東京高裁昭和四一年(う)第一〇五四号同四四年一月
二一日判決、東京高裁昭和四一年(う)第一〇九号同四五年二月二五日判決・高刑
集二三巻一号一八二頁、東京高裁昭和四五年(う)第一一三三号同四六年一二月二
二日判決)に違反するというのである。
 原判決がしている所論の趣旨の判断は所論引用の各高等裁判所判例と相反してお
り、かつ、最高裁判所の判例がない場合であるから、所論は、刑訴法四〇五条三号
にあたる。
 おもうに青色申告承認の制度は、納税者が自ら所得金額及び税額を計算し自主的
に申告して納税する申告納税制度のもとにおいて、適正課税を実現するために不可
欠な帳簿の正確な記帳を推進する目的で設けられたものであつて、適式に帳簿書類
を備え付けてこれに取引を忠実に記載し、かつ、これを保存する納税者に対して特
別の青色申告書による申告を承認し、青色申告書を提出した納税者に対しては、推
計課税を認めないなどの納税手続上の特典及び各種準備金、繰越欠損金の損金算入
などの所得計算上の特典を与えるものである。ところで、被告人Aが被告会社Bの
業務に関してなしたように、法人の代表者が、その法人の法人税を免れる目的で、
現金売上の一部除外、簿外預金の蓄積、簿外利息の取得及び棚卸除外などによりそ
の帳簿書類に取引の一部を隠ぺいし又は仮装して記載するなどして、所得を過少に
申告する捕脱行為は、青色申告承認の制度とは根本的に相容れないものであるから、
ある事業年度の法人税額について逋脱行為をする以上、当該事業年度の確定申告に
あたり右承認を受けたものとしての税法上の特典を享受する余地はないのであり、
しかも捕脱行為の結果として後に青色申告の承認を取り消されるであろうことは行
為時において当然認識できることなのである。したがつて、青色申告の承認を受け
た法人の代表者がある事業年度において法人税を免れるため逋脱行為をし、その後
その事業年度にさかのぼつてその承認を取り消された場合におけるその事業年度の
逋脱税額は、青色申告の承認がないものとして計算した法人税法七四条一項二号に
規定する法人税額から申告にかかる法人税額を差し引いた額であると解すべきであ
る。
 そうすると、所論引用の各判例のこの点に関する結論は正当であり、論旨は理由
があり、これと相反する判断をした原判決は、その余の論旨に対する判断をするま
でもなく、破棄を免れないというべきである。
 よつて、刑訴法四〇五条三号、四一〇条一項本文、四一三条本文により、裁判官
全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官外村隆 公判出席
  昭和四九年九月二〇日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    吉   田       豊
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄
            裁判官    大   塚   喜 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛