弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人上田明信、同鎌田泰輝の上告理由(一)について。
 所論は、訴外D測量株式会社(以下、D測量という。)は昭和三四年一一月下旬
北海道開発局函館開発建設部(以下、函館開発建設部という。)に対し、訴外Eに
対する代理受領の委任を解除した旨を通知し、右通知によつてEの代理受領の権限
は消滅し、被上告人には、函館開発建設部のした本件請負代金の支払によつて侵害
されるべき利益はない旨主張する。
 しかし、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)が適法に確定し
たところによれば、D測量は昭和三四年五、六月頃Eに対して、D測量の函館開発
建設部に対する本件請負代金債権の受領の代理権を与えてその受領を委任したとい
うのであるから、右認定にかかる代理権授与の契約は、右委任の契約と一体をなし
ているものと解すべきである。また一方、原判決によれば、D測量がした右委任契
約を解除する旨の意思表示はその効力を生じない旨判示されており、右原判示も正
当として是認できるのである。そうすると、所論代理受領の権限は消滅することな
くなお存続しているものと解すべきであり、これと同趣旨の原判決は相当である。
右代理権は、函館開発建設部に対する解除の通知によつて消滅したという所論の見
解には賛成することができず、右見解を前提とする論旨は採用することができない。
 同(二)について。
 所論は、(イ)函館開発建設部は、代理受領権者であるEに対して本件請負代金
の支払をすることを妨げないとともに、D測量に対しても有効に支払ができるので
あるから、右支払が被上告人に対する関係で当然に違法になることはない、(ロ)
これを違法として不法行為の成立を認めた原判示は矛盾している旨主張する。
 しかし、原判決において、原審が挙示の証拠により適法に確定したところによれ
ば、本件請負代金債権は、被上告人のD測量に対する本件手形金債権の担保となつ
ており、函館開発建設部は、本件代理受領の委任状が提出された当時右担保の事実
を知つて右代理受領を承認したというのである。そして右事実関係のもとにおいて
は、被上告人は、Eが同建設部から右請負代金を受領すれば、右手形金債権の満足
が得られるという利益を有すると解されるが、また、右承認は、単に代理受領を承
認するというにとどまらず、代理受領によつて得られる被上告人の右利益を承認し、
正当の理由がなく右利益を侵害しないという趣旨をも当然包含するものと解すべき
であり、したがつて、同建設部としては、右承認の趣旨に反し、被上告人の右利益
を害することのないようにすべき義務があると解するのが相当である。しかるに、
原判決によれば、同建設部長Fは、右義務に違背し、原判示の過失により、右請負
代金をD測量に支払い、Eがその支払を受けることができないようにしたというの
であるから、右Fの行為は違法なものというべく、したがつて、原審が結局上告人
に不法行為責任を認めた判断は正当である。そして函館開発建設部のD測量に対す
る支払が有効であるとしても、原審が、右支払のされたことのみによつて直ちに原
判示の過失を認めたものでないことは、原判文により明らかであるから、原判決に
所論の矛盾は存在しない。論旨は採ることができない。
 同(三)について。
 原判決挙示の証拠関係に照らせば、所論(イ)の点に関する原審の認定判断は首
肯するに足りる。論旨は、ひつきよう、原審が適法にした証拠の取捨判断、事実の
認定を非難するに帰し、採用することができない。また、Fの過失に基づいて上告
人の不法行為責任を認めた原審の判断が是認できることは、右上告理由(二)につい
て説示したとおりであつて、所論(ロ)は、正当な原判示にそわない事柄を前提と
して原判決を攻撃するものであるから採ることができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄

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