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平成13年(行ケ)第559号 審決取消請求事件
平成15年6月3日口頭弁論終結
              判      決
        原      告    ダイセル化学工業株式会社
      訴訟代理人弁理士    古 谷   馨
      同           溝 部 孝 彦
      同           古 谷   聡
      同           持 田 信 二
      同           義 経 和 昌
        被      告    株式会社神戸製鋼所
        被      告    日本化薬株式会社
        両名訴訟代理人弁理士  梶   良 之
      同           須 原   誠
      同           市 川 ル ミ
              主      文
   1 特許庁が無効2001-35048号事件について平成13年11月2
日にした審決中,特許第2862023号の請求項2に係る発明についての審判請
求は成り立たない,との部分を取り消す。
   2 訴訟費用は被告らの負担とする。
        事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
 主文と同旨   
2 被告ら
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実等
1 特許庁における手続の経緯
  被告らは,発明の名称を「ガス発生器」とする特許第2862023号の特
許(平成7年9月25日出願(優先日平成6年9月30日,平成7年3月31日,
平成7年6月26日。以下「本件各優先日」という。),平成10年12月11日
設定登録。以下「本件特許」という。請求項の数は14である。)の特許権者であ
る。
 原告は,平成13年2月7日,本件特許を請求項1,2,4ないし9に関し
て無効にすることについて審判を請求した。
 特許庁は,この請求を無効2001-35048号事件として審理した。被
告らは,この審理の過程で,特許請求の範囲の訂正を内容とする訂正(以下「本件
訂正」という。)の請求をした。特許庁は,審理の結果,平成13年11月2日,
「訂正を認める。特許第2862023号の請求項1,4ないし9に係る発明につ
いての特許を無効とする。特許第2862023号の請求項2に係る発明について
の審判請求は,成り立たない。」との審決をし,審決の謄本を同年11月14日に
原告に送達した。
2 本件訂正による訂正後の特許請求の範囲(以下,【請求項2】に係る発明
を,「本件発明2」という。別紙図面A参照)
【請求項1】内部にガス発生剤を収納し,該ガス発生剤からのガスが通過する
方向に対して,順に破裂板と該破裂板が接する開口部とが設けられているガス発生
器であって,前記ガス発生剤が,無機アジ化物を除く含窒素化合物を含む燃料と酸
化剤の組み合わせであり,前記破裂板の引張り強さをA〔kgf/cm2
〕,前記破裂板の
厚みをt〔cm〕,破裂板が接する開口部の円相当径をD〔cm〕としたとき,下記の
(1)式(判決注・以下「本件計算式」ともいう。)を充足するように前記破裂板
の厚みtと前記開口部の円相当径Dを設定したガス発生器。
t=B×D
   A  ,但し,B=8~40〔kgf/cm2
〕・・・(1)
【請求項2】前記開口部が複数個設けられ,且つ前記(1)式における前記破
裂板の厚みt〔cm〕を一定に固定したとき,B=8~40の範囲で変化させた前
記開口部の円相当径Dを複数の組み合わせとした請求の範囲第1項に記載のガス発
生器。
【請求項3】ないし【請求項14】は省略。
3 審決の理由
(1)別紙審決書写しのとおりである。要するに,本件発明2は,特開平5-2
86406号公報(本訴甲第2号証,審判甲第1号証。以下「刊行物1」とい
う。)に記載された発明(以下「引用発明1」という。別紙図面B参照),特開昭
50-90032号公報(本訴甲第3号証,審判甲第13号証。以下「刊行物2」
という。)に記載された発明(以下「引用発明2」という。),特開平2-744
42号公報(甲第5号証,審判甲第5号証。以下「刊行物3」という。),に記載
された発明(以下「引用発明3」という。),特公平6-37159号公報(甲第
9号証,審判甲第10号証。),米国特許第4,369,079号明細書(甲第1
0号証,審判甲第11号証。)及び特開昭57-178955号公報(甲第6号
証,審判甲第6号証。)に記載された各発明のいずれとの関係においても同一であ
るということはできず,また,それらから当業者が容易に発明をすることができた
ものとすることもできない,と認定判断して,原告主張の無効理由をすべて排斥す
るものである。
(2)審決が,上記結論を導くに当たり,本件発明2と引用発明1との一致点及
び共通する相違点として認定したところは,次のとおりである。
一致点
「内部にガス発生剤を収納し,該ガス発生剤からのガスが通過する方向に対
して,順に破裂板と該破裂板が接する開口部とが設けられているガス発生器であっ
て,
 前記破裂板の引張り強さをA〔kgf/cm2
〕,前記破裂板の厚みをt〔cm〕,
破裂板が接する開口部の円相当径をD〔cm〕としたとき,下記の(1)式を充足す
るように前記破裂板の厚みtと前記開口部の円相当径Dを設定したガス発生器。
 t= B×D 
     A  ,但し,B=8~28.6〔kgf/cm2
〕・・・(1)
の発明である点」
相違点1
本件発明2は,「前記ガス発生剤が,無機アジ化物を除く含窒素化合物を含
む燃料と酸化剤の組み合わせであるものであるのに対して,甲第1号証のもの(判
決注・引用発明1)のガス発生粒に関しては,具体的な記載がない点」(以下「相
違点1」という。)
相違点2
本件発明2は,「開口部及び破裂板が,(1)式における前記破裂板の厚み
t〔cm〕を一定に固定したとき,B=8~40の範囲で変化させた前記開口部の円
相当径Dを複数の組み合わせとしたものであるのに対して,甲第1号証のものは,
孔及びアルミニウムフォイルが,(1)式における前記アルミニウムフォイルの厚
みは一定に固定されるものの,孔の径は,B=7.9~28.6の範囲内の一の値
である点」(以下「相違点2」という。)
第3 原告主張の審決取消事由の要点
 審決は,本件発明2は,引用発明1,引用発明2及び引用発明3に基づいて
容易に発明することができたものであるにもかかわらず,容易に発明することがで
きたものではないと誤って判断したものであり,この誤りが結論に影響を及ぼすこ
とは明らかであるから,違法として,取り消されるべきである。
1 審決は,「甲第5号証(判決注・刊行物3)には,破裂可能な蓋と異なる径
の開口を組み合わせる技術が記載されるものの,それらの開口の径をB=8~40
の範囲で(1)式を満たすことを示すものではなく,甲1号証(判決注・刊行物
1)を甲第2号証(判決注・本訴甲第4号証)に示される技術を前提に見れば,B
=7.9~28.6の範囲で(1)式を満たす数値範囲内のもが示されており,無
機アジ化物を除く含窒素化合物を含む燃料と酸化剤の組み合わせからなるガス発生
剤が周知であって,甲第10,11号証(判決注・本訴甲第9,第10号証)によ
り,甲第1号証のものに周知のガス発生剤を適用することが示唆され,結果とし
て,その燃焼器で燃焼可能であったとしても,甲第1号証のものの孔及びアルミニ
ウムフォイルが,B=7.9~28.6の範囲で(1)式を満たす一点の値をとる
ことは,複数異なる径の各開口の径が(1)式を満たすようにBが分布すべき範囲
として,8~40という値を何等開示も示唆もなすものではないため,甲第1号証
のものに,異なる径の開口の組合せである甲第5号証(判決注・刊行物3)のもの
を適用することを考慮しても,各開口の径をどのように定めるかは,いずれの証拠
にも示されていない。また,甲第13号証(判決注・刊行物2)のものも,B=8
~40の範囲の一点で(1)式を満たすことを開示するのみで,何等複数の各開口
の径をB=8~40という値の範囲でそれぞれ(1)式を満たすように径を定める
ことを開示も示唆もなすものではない。」(審決書21頁末段~22頁2段)と判
断した。しかし,この判断は,誤りである。
 刊行物1には,アルミニウムフォイルは,厚みt=0.00254cm,円
筒に設けられた孔の円相当径D=0.16cmと記載されており,アルミニウム箔
の引張強さは500~1800kgf/cm2
であることは周知であるから,引用発
明1の,本件計算式におけるB値は,審決が認定するとおり,「7.9~28.6
の範囲で(1)式を満たす一点の値をとる」ものである。
 刊行物2には,アルミニウム箔は,厚みt=0.004cm,円筒に設けら
れた孔の円相当径D=0.2cmと記載されており,アルミニウム箔の引張強さは
500~1800kgf/cm2
であることは周知であるから,引用発明2の,本件
計算式におけるB値は,10~36となり,審決が認定するとおり,「B=8~4
0の範囲の一点で(1)式を満たすことを開示する」(審決書22頁8行~9行)
のである。
 刊行物3には,そこに記載されたガス発生器につき,本件発明2の構成要件
「内部にガス発生剤を収納し,該ガス発生剤からのガスが通過する方向に対して,
順に破裂板と該破裂板が接する開口部とが設けられているガス発生器」である点を
具備したものであることの開示に加えて,次の事実が開示されている。
 ① 温度変化によりエアバッグの膨張時間が異なるという従来技術の欠点を
解決することを目的とすること。
 ② ガス発生器には,ガスを排出するための異なる三つの開口径の開口部3
a,3b,3cが設けられ,それらは同一の箔蓋11で閉塞されていること。
 ③ ガス発生器の作動により,開口部3a,3b,3cは大きさの順に破裂
して行くこと。
 ④ -30℃と+60℃の両方において,ガス発生器内の圧力変化を小さく
すること。
 このように,刊行物3には,本件発明2のものと同一の目的が開示され,本
件発明2の構成と効果の一部(開口部の円相当径を数種類にすると,ガス発生器の
ガス圧の制御がより確実となり,ガス発生剤の燃焼速度に多少のばらつきがあって
も,これを吸収してガス発生器内のガス圧のばらつきを少なくすることができる
点)と同一のものが開示されている。
 本件発明2において,開口部を複数個設け,本件計算式の破裂板の厚みt
〔cm〕を一定に固定して,B=8~40の範囲で変化させた開口部の円相当径D
の複数の組み合わせを定める場合に,本件発明2の目的を達成し,本件発明2の上
記効果を得るべく,円相当径Dの複数の組み合わせを定めることは当然であるか
ら,円相当径Dは,上記目的及び効果との関連において決定されるものである。
 したがって,引用発明1と引用発明2と引用発明3とを組み合わせて考える
とき,刊行物1及び刊行物2で開示されたB値を元にして,刊行物3に開示された
目的効果に従って,ガス発生器の三つの異なる円相当径Dを求めることには,何ら
の困難性もない。
 引用発明3における円相当径Dとして,中間の大きさの開口部3bの径を刊
行物1,2で開示された0.16cm又は0.2cmとし,その前後の径のものを
3a,3cとして,刊行物1,2で開示された厚さ0.00254cm又は0.0
04cmのアルミニウム箔とすることは極めて容易である。また,開口部径は,最
小の3cを刊行物1で開示された0.16cmとし,最大の3aを刊行物2で開示
された0.2cmとし,それらの中間を3bとすることもできるのである。このよ
うにして決定されたものの開口部3a,3b,3cのB値は,いずれも8~40k
gf/cm2
の範囲内である。エアバッグ用ガス発生器において,通常の性能を具備
させるためにB値を8~40kgf/cm2
の範囲に設定すべきことは,刊行物1及
び刊行物2に開示された周知の事実である。
 以上のとおり,本件発明2は,刊行物1及び刊行物2と,刊行物3とを組み
合わせれば容易に発明することができるものである。審決の判断は,誤りである。
2 被告らは,刊行物1及び刊行物2に記載されたアルミニウムフォイル又はア
ルミニウム箔の引っ張り強さが5~18kgf/mm2
であるということはできない
から,引用発明1及び引用発明2についての審決のB値の認定は誤っている,と主
張する,しかし,「アルミニウムハンドブック第4版」(社団法人軽金属協会標準
化総合委員会編,平成2年1月15日社団法人軽金属協会発行,本訴甲第4号証・
審判甲第2号証。以下「甲4文献」という。)に示される技術常識からすれば,引
用発明1及び引用発明2のアルミニウムフォイルないしアルミニウム箔の引っ張り
強さは,5~18kgf/mm2
であるということができるのである。したがって,
引用発明1のB値は,「7.9~28.6の範囲で(1)式を満たす一点の値をと
る」(審決書22頁2行~3行),引用発明2のB値は,10~36となり,「B
=8~40の範囲の一点で(1)式を満たすことを開示する」(審決書22頁8行
~9行)との審決の認定には誤りはない。
第4 被告らの主張の要点
1 本件発明2は,引用発明1ないし引用発明3などに基づいて容易に想到する
ことができたものではない,とした審決の判断に誤りはない。
 審決が,甲4文献に示された技術常識に基づき,引用発明1のアルミニウム
フォイル及び引用発明2のアルミニウム箔の引っ張り強さを5~18kgf/cm
であると認定したことは誤りである。したがって,そもそも,引用発明1のB値が
7.9~28.6の範囲の一点の値をとり,引用発明2のB値が8~40の範囲の
一点の値をとり,それぞれ本件計算式のB値を満たす,ということはない。このこ
とは,審決の,「甲第1号証(判決注・刊行物1)のものの孔及びアルミニウムフ
ォイルが,B=7.9~28.6の範囲で(1)式を満たす一点の値をとること
は,複数異なる径の各開口の径が(1)式を満たすようにBが分布すべき範囲とし
て,8~40という値を何等開示も示唆もなすものではない」(審決書22頁1行
~5行)との判断,及び,「甲第13号証(判決注・刊行物2)のものも,B=8
~40の範囲の一点で(1)式を満たすことを開示するのみで,何等複数の各開口
の径をB=8~40という値の範囲でそれぞれ(1)式を満たすように径を定める
ことを開示も示唆もなすものではない。」(同書同頁9行~11行)との判断を,
一層正しいものとするのである。
(1)審決が引用発明1のB値を「7.9~28.6」と認定したことは,本件
計算式から逆算すれば,アルミニウム箔の引張り強さを5~18kgf/mm2
であ
ると認定したことになる。しかし,甲4文献には,アルミニウム箔の用途・材質に
は種々のものがあり,用途に合った材質が選択されること,及び,材質によってそ
の引張り強さは異なり,高強度材の引張り強さは,例えば30.51kg/mm2
(5052材の箔)であることが記載されているだけであり,破裂板用アルミニウ
ム箔としてどのようなものが使用されるかについての記載はない。
  刊行物1に記載されたアルミニウムフォイルは,ガス発生粒18の保護
(吸湿の防止,微粉化防止)に使用されるものである。この用途から,アルミニウ
ム箔の引っ張り強さを特定することはできない。
(2)甲4文献には,「純度・合金組成」の項目に,「もっとも広く用いられて
いるのが99.3%アルミニウムでJISでは1N30と記載されている。」(甲
第4号証,172頁左欄(1))との記載,「(1)強さ」の項目に,「はくの引
張り強さは,材質1N30の硬質材(H18)で15~18kgf/mm2
,軟質O材で5
~8kgf/mm2
」(甲第4号証,173頁左欄(1))との記載がある。しかし,審決
が,これを根拠として,アルミニウム箔の引張り強さの技術常識が5~18kgf/mm2
であると判断したとすれば,その判断は合理的な根拠を欠くものである。
 甲4文献には,上記記載のほかに,「3003材のH18硬質材で20~
24kgf/mm2
・・・」(甲第4号証173頁左欄(1))との記載があり,ま
た,「METALSHANDBOOKDeskEdition」(1984年11月初版発行,乙第1号
証。以下「乙1文献」という。)には,「よく知られたフォイル合金は,110
0,1145,1235,3003,5052及び5056である。合金202
4,5052又は5056から造られる高強度のフォイルは,結合されたハニカム
サンドイッチパネルに使用されるハニカムコアの生産に使用される。」(乙第1号
証6-23頁左欄1段)との記載がある。アルミニウムフォイルとして,このう
ち,5052材,5056材も使用されており,5052-H18(90μm)の引
っ張り強さは29.99又は30.51kgf/mm2
であり(乙第2号証8頁表2.
1),5056-H18材の引張り強さは44.5kgf/mm2
である(乙第3号証33
頁表5.2.1)。上記各引っ張り強さから,引用発明1における本件計算式のB
値を計算すれば,B値はそれぞれ47.6,70.6となり,本件発明2の本件計
算式におけるB値(8~40)の範囲外である。
 このように,アルミニウム箔については,少なくとも5~44.5kgf/mm2
の引張り強さのものが存在していることがその技術常識であるといえるのであるか
ら,引用発明1のアルミニウムフォイルの引っ張り強さが5~18kgf/mm2
であると
する審決の判断は誤りであり,このことを前提とした審決の判断も誤りである。ま
た,引用発明2について,引用発明1と同様の理由により,そのB値が8ないし4
0の範囲の1点に入るとした審決の前記認定も誤りである。
 もともと,インフレータ用破裂板は,その強さを意識して使用されるもの
であり,工業用の部類に入るべきものである。このようなインフレータ用破裂板に
用いる箔材料として,1N30以外の種々の箔材料が排除されるべき合理的理由は
ない。
2 原告は,引用発明1と引用発明2と引用発明3とを組み合わせて考えると
き,刊行物1及び刊行物2で開示されたB値を元にして,刊行物3に開示された目
的効果に従って,ガス発生器の三つの異なる円相当径Dを求めることには,何らの
困難性もない,と主張する。
 しかし,本件発明2では,複数の開口径は,それぞれについて,B値が一定
範囲となるような破裂板の厚さと引張り強さとの関係で決められている。本件発明
2では,これにより,(a)非アジ化系ガス発生剤のような燃焼速度の周囲温度に
よる影響が大きい場合であっても,危険のない燃焼速度を保ち,極めて安定して燃
焼させることができるとともに,(b)-40℃~+80℃の広範囲の周囲温度で
特性の変化が少ないガス発生器を得ることができることに加えて,ガス発生剤の燃
焼速度に多少のばらつきがあっても,これを吸収してガス発生器内のガス圧のばら
つきを少なくすることができる,という格別の効果を奏するものであって,引用発
明3とは全く異なるのである。本件発明2は,刊行物3に記載のない,上記(a)
と上記(b)の効果を奏するものであって,この効果は,当業者が容易に予測する
ことができるものではない。
第5 当裁判所の判断
1 刊行物3には,本件発明2の構成要件「内部にガス発生剤を収納し,該ガス
発生剤からのガスが通過する方向に対して,順に破裂板と該破裂板が接する開口部
とが設けられているガス発生器」(請求項1参照)である点を具備したものと認め
られるガス発生器について,次の記載がある(甲第5号証)。
① 「本発明の基礎となっている課題は,・・・始動の時点にガス発生器の
固有温度に関係なく均一な圧力経過が得られるようにガス発生剤器を構成すること
である。」(同2頁左下欄[発明が解決しようとする課題])
② 「第3図に示す実施例では,異なる大きさの開口3a,3b,3cが示
され,その後方にある普通の箔蓋11の破壊によって,大きさの順序にこれらの開
口が開かれる。場合によっては異なる大きさの穴の範囲にある箔蓋の破裂強度を,
その有効肉厚の変化によって変えることもできる。」(同2頁右下欄3段)
③ 「燃焼時間のこれらの差は本発明により大幅に相殺できる。例えば-3
0℃では燃焼室内に比較的小さい所期圧力が存在して,流出開口の比較的小さい断
面積しか開かない。これにより燃焼室内に圧力が引続き確立されて,燃焼速度を上
昇させる。これに反し+60℃では,燃焼室内に高い所期圧力が非常に速く現れ
て,できるだけ大きい流出断面積を開き,それにより燃焼室内の引続く圧力上昇は
少なくともゆるやかにされ,従って燃焼速度が減少される。」(同3頁左上欄14
行~右上欄4行)
 刊行物3の上記記載及びそのFig.3(異なる大きさの開口3a,3b,
3cを一枚の蓋11で閉塞していること等が示されている図面)によれば,引用発
明3は,破裂板を有するガス発生器の開口部の円相当径を数種類のものとし,有効
肉厚が同じ蓋で閉塞することにより,数種類の破裂圧力の破裂板を備えることによ
り,周囲温度に関係なく均一な圧力経過が得られ,均一なエアバッグの膨張が得ら
れるものである,と認められる。
 破裂板と認められるアルミニウムフォイルを有する引用発明1のガス発生装
置又はアルミニウム箔の破裂板を有する引用発明2のガス発生装置において,周囲
温度に関係なく均一な圧力経過を得,均一なエアバッグの膨張を得られることが望
ましいことは当然のことであり,そのために引用発明3の開口部の円相当径を数種
類にし,有効肉厚が同じである蓋で閉塞することにより,数種類の破裂圧力の破裂
板を備える技術を適用することは,当業者であれば容易になし得ることである。
 このときの各開口における破裂板の破裂圧力は,エアバッグの膨張に適切な
範囲に対応するガス流出速度が得られ,ガス発生剤が完全燃焼し,かつ,通常の強
度の容器が破裂しない範囲でなければならないことは当然であるから,そのB値が
8~40の範囲内において設定されるものであること,すなわち,それぞれの開口
部の円相当径を「B=8~40の範囲」で変化させることは当然のことである(そ
の詳細は,次項のとおりである。)。
 以上のとおり,相違点2に係る本件発明2の構成に想到することは,当業者
が容易になし得たものということができる。
2 被告らは,審決が,甲4文献に示された技術常識に基づき,引用発明1のア
ルミニウムフォイル及び引用発明2のアルミニウム箔の引っ張り強さを5~18k
gf/cm2
であると認定したことは誤りであるから,引用発明1のB値が7.9
~28.6の範囲の一点の値をとり,引用発明2のB値が8~40の範囲の一点の
値をとり,それぞれ本件計算式のB値を満たすということはない,このことは,相
違点2について,容易想到性がないとする審決の判断を,一層正しいものとするの
である,と主張する。
  被告らの上記主張は,審決取消訴訟である本件訴訟において,本来許されな
いものであるというべきである,しかし,1で述べたところと関連するところもあ
るので,念のため,この点についても判断をする。
(1)甲4文献に示される技術常識について
 甲4文献には,次の記載がある。
「17.アルミニウムはく
17.1 アルミニウムはくの種類と用途
・・・
(1) 純度・合金組成
 通常純度が99.00%から99.99%の純アルミニウムのほか,
特に強さを必要とするものには,マンガンやマグネシウムを添加した3003,3
004合金が・・・はくに圧延される。
 もっとも広く用いられるのが99.3%アルミニウムでJISでは1
N30と記されている。99.7%は主として電線被覆用に,99.8%から9
9.9%は電解コンデンサー用にほぼ限られる。マンガン添加の3003および3
004は,ホイル・コンテナーや冷房用のフィン材に用いられている。・・・
(2) 厚さ
 はくの厚さは,JISでは0.2mmを上限とし,薄いものは,0.0
06mm(6ミクロン)まである。
・・・
(3) 質別
 アルミニウムはくを圧延したままの,加工硬化でかたくなった状態の
はく(H18材)を用いるか,これを焼鈍して軟らかくなったはく(O材)を用い
るかは,はく使用上考えておくべきことである。・・・O材は,出荷されるはくの
80~90%を占め,・・・H18材は,はく生産の10~20%であるが,硬い
はく,或いは外力でパチンときれいに破れるはくなどが欲しいときに用い
る。・・・
17.2 アルミニウムはくを使う製品の設計
・・・
(1)強さ
 はくの引張り強さは,材質1N30の硬質材(H18)で15~18
kgf/mm2
,軟質O材で5~8kgf/mm2
,マンガン添加のホイルコンテナやフィン用3
003材のH18硬質材で20~24kgf/mm2
,軟質O材で10~13kgf/mm2
であ
る。」(甲第4号証172頁1行~173頁左欄下から4行)
 甲4文献の上記記載によれば,最も広く用いられているアルミニウム箔
は,1N30であり,その強度は,硬質材(H18)で15~18kgf/mm2
,軟質O
材で5~8kgf/mm2
であることが認められる。また,上記記載によれば,特に強さを
必要とするものには,マンガンやマグネシウムを添加した3003,3004合金
が圧延されたものがあり,これらはホイルコンテナやフィン用に使用されるもの
で,その強度は,H18硬質材で20~24kgf/mm2
,軟質O材で10~13kgf/mm

であることも認められる。
(2)刊行物1においては,推進薬チューブ16の内側に張られているアルミニ
ウムフォイル22について,その厚さが0.0254mmと記載されているだけ
で,特に強さを必要とするアルミニウム箔を用いるべきであるとの記載はない(甲
第2号証)。刊行物2においても,その実施例1のアルミニウム箔について,その
厚さが40ミクロンと記載されているだけで,特に強さを必要とするアルミニウム
箔を用いるべきであるとの記載はない(甲第3号証)。
(3)以上によれば,審決が,引用発明1及び引用発明2において使用されてい
るアルミニウムフォイル22又はアルミニウム箔の引っ張り強さを,特に強さを必
要とするものではなく,一般に広く使用されているアルミニウム箔の引っ張り強さ
であるとして,5ないし18kgf/mm2
であると認定し(明示の認定はないものの,引
用発明1及び引用発明2におけるB値として審決の認定した数値から逆算すれば,
この数値を認定していることが明らかである。),その上で,引用発明1の推進薬
チューブについて,孔の径1.60mm,アルミニウムフォイルの厚み0.025
4mmと,上記のアルミニウム箔の引っ張り強さ5ないし18kgf/mm2
から,引用発
明1における推進薬チューブ16のB値を約7.9~28.6kgf/cm2
と認定したこ
と,及び,引用発明2についても同様にB値を約10~36kgf/cm2
と認定した(審
決書22頁2段,23頁3段)ことを特に誤りとすべき理由はない。審決は,その
結果,引用発明1及び引用発明2のB値は,本件発明2のB値の範囲に含まれると
認定したものであり,審決のこの認定に誤りはない。なお,本件発明2は,B値が
8~40の範囲に含まれるものをすべて包含する発明であるから,引用発明1又は
引用発明2のもののB値が8~40の範囲に含まれることが認められれば,これを
両者の一致点と認定することができるのであり,引用発明1又は引用発明2におい
て,そのB値が8~40のものすべてを開示している必要がないことはいうまでも
ないところである。
(4)被告らは,甲4文献には,アルミニウム箔の用途・材質には種々のものが
あり,用途にあった材質が選択されること,及び,材質によってその引張り強さは
異なることが記載されているだけであり,ガス発生器の破裂板用アルミニウム箔と
してどのようなものが適用されるかについては,全く記載がない,アルミニウム箔
として,5052材,5056材も一般に使用されており,5052-H18(9
0μm)の引っ張り強さは29.99又は30.51kgf/mm2
であり(乙第2号証8
頁表2.1),5056-H18材の引張り強さは44.5kgf/mm2
である(乙第3
号証33頁表5.2.1),上記各引っ張り強さから,引用発明1における本件計
算式のB値を計算すれば,B値はそれぞれ47.6,70.6となり,本件発明2
の本件計算式におけるB値(8~40)の範囲外である,引用発明2でも同様であ
る,と主張する。
しかし,引用発明1及び引用発明2のアルミニウムフォイル22ないしア
ルミニウム箔のいずれについても,特に強さを必要とするアルミニウム箔を使用す
べきであるとの記載は,刊行物1にも,刊行物2にもないことは,上記認定のとお
りである。
また,本件発明2におけるB値は,次項において述べるとおり,その下限
値は,それ未満の場合は,燃焼速度が十分でないか未燃焼物が残る値であり,換言
すれば,ガス発生剤が完全燃焼し得る容器内圧であって,エアバッグへの適切なガ
ス供給速度とすることができるガス発生速度が得られる容器内圧の最小値を示すも
のであり,また,その上限値は,これを超えると燃焼速度が速すぎてガス発生剤の
容器が破壊するおそれがある値であって,換言すれば,容器が破裂する恐れがない
容器内圧の上限値(以下「許容内圧」という。)を示すものである。
そして,引用発明1及び引用発明2は,いずれも車両用のエアバッグのた
めのガス発生装置であるから,車両用のエアバッグのために適当とされるガス供給
速度が得られ,そして,ガス発生剤が完全燃焼し,かつ,ガス発生器が破裂しない
ように,アルミニウム箔の引張り強さが設定されているものであって,その容器の
強度が,本件発明2のものと比較して,格別のものに設定されているものではな
い,と認められる(甲第2,第3号証。その詳細は,次項において述べる。)。引
用発明1及び引用発明2のB値は,この観点からも,本件発明2と同様に,8ない
し40の範囲内のいずれかの値であると推認するのが相当である。
引用発明1及び引用発明2のアルミニウムフォイル22ないしアルミニウ
ム箔として,5052材あるいは5056材の上記引っ張り強さのものを使用する
となると,本件計算式におけるB値をはるかに超えることになり,許容内圧を超
え,ガス発生剤の容器が破壊するおそれがあるものとなることは明らかであるか
ら,引用発明1又は引用発明2のアルミニウムフォイル22ないしはアルミニウム
箔として,5052材あるいは5056材の強度のものを使用することがあること
を前提とする被告らの上記主張は到底採用することができないのである。
(5)本件発明2の本件計算式におけるB値の意義について,簡略に説明すれ
ば,次のとおりである。
(ア)本件発明2に係る「ガス発生器」は,「車両のエアバック用」(甲第1
4号証2頁3欄46行,甲第15号証)に使用するものであるから,エアバッグが
急速かつ適正に膨張するガス速度でガスをエアバックに供給する機能を有すること
が要求される(甲第3号証1頁右下欄参照)。
 この車両のエアバックに要求される適切なガス供給速度の制御を,本件
発明2のように,「内部にガス発生剤を収納し,該ガス発生剤からのガスが通過す
る方向に対して,順に破裂板と該破裂板が接する開口部とが設けられているガス発
生器」(請求項1)とし,破裂板を所定の内圧において破裂するように設定するこ
とによって行うことは,本件各優先日前によく知られたことである(甲第5号
証)。
 ガス発生器の破裂板の破裂する圧力に影響する要素として,本件各優先
日前に知られていたものとして,破裂板の厚さ(甲第11号証【0014】,【0
027】,【0041】,【0042】),破裂板自体の強さ及び流出用開口の孔
径(甲第5号証2頁右下欄第3段落)が挙げられる。
 そして,破裂板自体が弱いほど,すなわちその材質の強度(引っ張り強
さ)が小さく,その厚みが薄いほど,破裂するときの容器内圧が小さく,開口部の
孔径が大きいほど,破裂するときの容器内圧が小さいのであるから,これらの要素
と容器内圧との関係を単純化した式で表すと,容器内圧は,
 (破裂板材質強度)×(破裂板厚み)/(開口部の孔径)
となり,この式から「破裂板が破裂するときの容器内圧」が算定される。
 これを本件計算式の記号(アルミニウム箔の厚みt,アルミニウム箔の
引張り強さA及び円相当開口径D)で表すと,
A×t/Dとなるから,
k’×(破裂板が破裂する容器内圧)=A×t/D   (k’は定数)
と表すことができ,これは,本件発明2の本件計算式を変形した
B=A×t/D
と同じである。
 上記各式から明らかなとおり,本件発明2の本件計算式は,破裂板が破
裂するときの容器内圧に影響することが知られた要素を単純に数式化したものにす
ぎず,そのBは,「破裂板が破裂するときの容器内圧」に対応したものであると認
められる(以下,Bを「破裂圧力」という。)。
(イ)本件計算式のB値は,上記(ア)で示したとおり,「破裂板の破裂するとき
のガス発生器の容器内圧」に対応する値であると認められる。本件計算式における
B値の範囲の技術的意義について,本件明細書における「(1)式において,B値
が8未満の場合は燃焼速度が充分でないか未燃焼物が残る。B値が40を越える場
合は燃焼速度が速すぎてガス発生剤の容器が破壊する恐れがある。」(甲第14号
証3頁5欄42行~45行,甲第15号証)との記載からすれば,本件発明2で規
定するB値の下限値は,それ未満の場合は「燃焼速度が充分でないか未燃焼物が残
る」値であり,換言すれば,ガス発生剤が完全燃焼し得る容器内圧であって,エア
バッグへの適切なガス供給速度とすることができるガス発生速度が得られる容器内
圧の最小値を示すものであり,また,その上限値は,これを超えると「燃焼速度が
速すぎてガス発生剤の容器が破壊する恐れがある」値であるから,容器が破裂する
恐れがない容器内圧の上限値(許容内圧)を示すものである。
 ガス発生速度は,容器内圧に依存するのであるから,破裂板を有するガ
ス発生器においては,着火後破裂板の破裂前は,容器内圧が上昇し,その容器内圧
に応じてガス発生速度が上昇して所定の速度に達することができる。本件発明2の
「内部にガス発生剤を収納し,該ガス発生剤からのガスが通過する方向に対して,
順に破裂板と該破裂板が接する開口部とが設けられているガス発生器」(請求項
1),すなわち,破裂板を有するガス発生器,においては,破裂板の破裂圧力自体
によって容器内圧を制御するのであるから,その破裂板の破裂圧力は,当然,燃焼
が完全燃焼する容器内圧以上のものであり,破裂板が破裂した後エアバッグへの適
切なガス供給速度とすることができるガス発生速度を与える容器内圧以上である値
に設定されていることは当然である。
 また,ガス発生器の容器の破裂は,容器自体の強度に依存し,容器内圧
の最大値がその強度を超える場合に起こり得る。そして,容器内圧の最大値は,流
路抵抗が無視し得る程度のものである場合には,破裂板の破裂圧力にほぼ一致し,
流路抵抗が無視し得る程度を超える場合には,破裂板の破裂圧力より高くなる。そ
して,本件明細書には,「開口部の円相当径Dが極端に小さい場合には,ガス発生
器内のガス圧が高くなりすぎるという不都合が生じるため,標準状態(273゜
K,1気圧)でのガス発生量に対する開口部総面積が,0.143〔cm2
/リット
ル〕以上とすることが望ましい。すなわち,開口部総面積が0.143〔cm2
/リッ
トル〕未満であると,開口部での流路抵抗によるガス圧の増加によって,破裂板に
よるガス圧の制御が有効でなくなる。この0.143〔cm2
/リットル〕という数字
は,種々の非アジ化系ガス発生剤の燃焼実験に基づいて求められた。」(甲第14
号証3頁6欄19行~28行,甲第15号証)との記載があることからすれば,本
件発明2においては,上記流路抵抗を無視し得るほどに小さいものも含むとみるこ
とができ,この場合,本件発明2のB値の範囲の上限値は,容器内圧の最大値に近
い数値をとるものであるということができる。
 そして,この許容内圧は,ガス発生容器の強度によって規定されるもの
であるから,ガス発生剤がアジ化系であるか非アジ化系であるかにより変わるもの
ではない。
(ウ)本件明細書には,本件発明2のガス発生器の許容内圧に関し「(1)式
を充足することによって,破裂板の破裂圧力を,100〔bar〕以下の所定値に厳密
に制御でき・・・ガス発生器の内圧を例えば100〔bar〕以下の所定値とし,ガス
発生器の小型化を図ることが可能になる。」(甲第14号証3頁6欄1行~5行,
甲第15号証)との記載のほか,「ガス圧が100〔bar〕以下の場合には,耐圧が
それほど必要でないため,容器2を2重又は3重の円筒にせず,単なる円筒にする
こともできる。」(甲第14号証5頁10欄13行~16行,甲第15号証)との
記載がある。
 本件明細書の上記の記載とその実施例及び比較例2ないし4の具体的な
容器内圧の最大値(実施例3の85℃の場合の95.5barが最大,比較例4の19
5.8barが最小(甲第14号証6頁表3,8頁16欄6行~7行,甲第15号
証))との記載も併せ見れば,本件発明2においては,許容内圧が100bar程度の
強度のガス発生器を想定した場合の上限値としてB値の40が設定されたものと認
められる。
 従来の破裂板の破裂圧力によって容器内圧を制御するガス発生器におけ
る,容器の強度は100bar程度以下に設定されるものと認められる(例えば,引用
発明2のものは54kg/cm2
(53bar)である(甲第3号証4頁右上欄末行~左
下欄1行)。)。
 このように,本件発明2の100bar程度の値は,破裂板の破裂圧力によ
って容器内圧を制御するガス発生器の強度として格別小さいものとは認めることは
できず,したがって,B値の上限の40という値も格別小さいものであるとは認め
られない。以上からすれば,引用発明1及び引用発明2においても,そのB値が上
限値40を超えるものと認めることはできないのであり(引用発明2については,
容器内の内筒の最高圧力54kg/cm2
(53bar)(甲第3号証4頁右上欄下から
2行~左下欄1行)との記載から,そのB値が上限値40を超えるものではないこ
とは明らかである。),その結果,引用発明1及び引用発明2のアルミニウムフォ
イルないしアルミニウム箔として,5052材及び5056材の引っ張り強さのも
のを使用することがあり得ないことは前記のとおりである。
第6 結論
 以上に検討したところによれば,審決が,相違点2についてなした判断は誤
りであり,この判断の誤りが請求項2についての審決の結論に影響を及ぼすことは
明らかであるから,審決は,請求項2につき取消しを免れない。原告の本訴請求
は,理由がある。そこで,これを認容することとし,訴訟費用の負担について,行
政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
    東京高等裁判所第6民事部
          裁判長裁判官山  下  和  明
        
             裁判官  設  樂  隆  一
 
             裁判官 高  瀬  順  久
(別紙)
別紙図面A別紙図面B

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