弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

判決 平成15年2月17日 神戸地方裁判所 平成14年(わ)第745号 強姦
致傷被告事件
主文
被告人を懲役7年に処する。
未決勾留日数中170日をその刑に算入する。
押収してある五徳ナイフ1個(平成14年押第125号の1)を没収す
る。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は,平成14年6月13日午後4時30分ころ,学校から帰宅する途中の
A(当時14歳)を見かけるや,同女を強姦しようと企て,兵庫県a郡b町cd番
地付近路上において,同女に対し,「道を教えてくれる。」「ちょっと,分からへ
んから,ついて来てくれる。」などと声をかけ,同女を同町ce番地のf西方約1
00メートルの山林まで同行させ,同所において,背後から同女の頚部を腕で絞め
つけ,所携の五徳ナイフ(刃体の長さ約6.2センチメートル,平成14年押第1
25号の1)を同女の左頬に突き付け,「騒ぐと殺すぞ。」などと脅迫して,同女
を同町ce番地のf西方約150メートルの山林内に連行し,同所において,同女
を引き倒し,「制服脱げ。パンツも脱げ。やらんかったら刺すぞ。」などと脅迫し
て,同女に命じて着衣を脱がせて全裸にし,同女の陰部に指を挿入するなどの暴行
を加え,その反抗を抑圧した上,強いて同女を姦淫し,その際,前記暴行により,
同女に加療約1週間を要する外陰部裂創の傷害を負わせたものである。
(証拠の標目)-括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号
 省略
(累犯前科)
 被告人は,(1)平成6年7月29日g地方裁判所で強姦致傷罪により懲役4年6月
に処せられ,平成10年12月19日その刑の執行を受け終わり,(2)その後犯した
傷害罪により平成11年7月8日h地方裁判所i支部で懲役1年8月に処せられ,
平成13年1月16日その刑の執行を受け終わったものであって,これらの事実は
検察事務官作成の前科調書(検察官請求証拠番号42)及び(2)の前科に係る判決書
謄本(同48)によって認める。
(法令の適用)
 被告人の判示所為は刑法181条(177条前段)に該当するところ,所定刑中
有期懲役刑を選択し,前記の各前科があるので同法59条,56条1項,57条に
より同法14条の制限内で3犯の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役7年に処
し,同法21条を適用して未決勾留日数中170日をその刑に算入し,押収してあ
る五徳ナイフ1個(平成14年押第125号の1)は,判示犯行の用に供した物で
被告人以外の者に属しないから,同法19条1項2号,2項本文を適用してこれを
没収し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担さ
せないこととする。
(責任能力についての補足説明)
 弁護人は,被告人は責任能力に一部欠損がある旨主張し,裁判所の求釈明に対
し,これは情状として考慮すべきである旨の主張であるというのであるが,念のた
め被告人の責任能力につき検討すると,関係証拠によれば,被告人は本件犯行時に
おいても軽度の精神遅滞の状態にあったことが認められるけれども,関係証拠によ
り認められる被告人の本件犯行時及び犯行前後の合目的的言動に照らすと,被告人
は,本件犯行当時,自己の行為の是非を弁識しそれに従って行動する能力に著しく
影響を及ぼすような精神的状態にはなく,心神喪失ないしは心神耗弱の状態にはな
かったものと優に認められる。
(量刑の理由)
 本件は,被告人が,帰宅途中の被害者を強姦し,その際被害者に傷害を負わせた
という強姦致傷の事案である。
 もとより,自己の性欲を満足させるという身勝手な動機に酌量の余地はない上,
被告人は,被害者に対して五徳ナイフを突き付けて脅迫するなどして本件犯行に及
んだものであり,その犯行態様は危険かつ悪質なものであったし,被害者を言葉巧
みに人気のない場所まで案内させるなど,強固な犯意に基づく計画的な犯行と認め
られるのであり,犯行後も,「誰にも言うな。言ったら殺す。」などと被害者を脅
して口止めし,追跡されないよう目をつむらせ数を数えさせるなどしており,冷酷
というほかはなく,さらに,国道を避けて帰宅する,家族に怪しまれないよう服を
着替えるなど,本件犯行の発覚を防ぐために様々な行為に及んでいるのであって,
犯行前後の状況を含め犯情は極めて悪い。親切心から被告人の道案内をした被害者
は,何の落ち度もないのに,突然本件被害に遭ったのであり,思春期にある被害者
が被った精神的・肉体的苦痛は極めて大きく,被害者や,その両親が被告人に対し
て厳罰を望むのも当然であるが,これに対して被害弁償は全くなされていない。さ
らに,被告人は,同種前科を含む多数の前科があるのに,最終懲役刑の執行終了後
1年半も経たないで,格別の理由もなく本件犯行に及んでおり,規範意識は極めて
乏しいと言わざるを得ないし,本件犯行が,実母の厳しい監視の目を盗んで敢行さ
れていることに照らすと,再犯のおそれも強く懸念される。
 これらの事情にかんがみると,被告人の刑事責任は重大である。
 他方,幸いにも被害者の傷害の程度が比較的軽微に止まったこと,前記のとおり
被告人に軽度の精神遅滞が認められること,被告人が,本件犯行を率直に認め,反
省の態度を示していることなど,被告人のために酌むべき事情も認められる。
 以上の諸事情を総合考慮して,主文のとおり量刑した。
 よって,主文のとおり判決する。
  平成15年2月17日
神戸地方裁判所第1刑事部
裁判長裁判官 杉 森 研 二
   裁判官 橋 本   一
   裁判官 安 井 敦 子

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛