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平成17年5月2日宣告薬事法違反被告事件
平成16年特(わ)第4282号
主文
被告人を懲役1年に処する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,宗教団体A(以下「教団」という)に所属していた者で。
あるが,アトピー性皮膚炎等の治療薬として「B」などと名付けたプラ
スチック製容器入りのクリーム及びローションを無許可で販売しようと
企て,中国製漢方薬の輸入販売業を営むC及び教団所属の弁論分離前の
相被告人Dら多数名と共謀の上,東京都知事の許可を受けず,かつ,法
定の除外事由がないのに,別紙「犯罪事実一覧表(省略)記載のとお」
り,平成15年2月18日ころから平成16年4月5日ころまでの間,
業として,前後2057回にわたり,東京都内の郵便局から,京都府福
知山市ab番地のc所在のEd号室在住のFほか顧客909名に対し,
医薬品である上記クリーム及びローション合計2902個を代金合計2
325万4000円で郵送して販売し,もって,無許可で業として医薬
品を販売したものである。
(証拠の標目)略
(弁護人の主張に対する判断等)
第1公訴権濫用の有無について
1弁護人は,被告人ら教団の信者以外にも,被告人らと同様に,C
から本件クリーム等を仕入れて販売していた二次代理店の者がいた
にもかかわらず,検察官が,二次代理店の者を略式命令の請求にと
どめ,被告人ら教団の信者のみを公判請求するという極めて不平等
な取扱いをしていることなどに鑑みると,本件公訴の提起は,薬事
法違反という微罪に藉口し,教団潰しを狙った政治的意図によるも
のであり,憲法14条,刑事訴訟法1条,248条,刑事訴訟規則
1条2項,検察庁法4条等の規定に違反し,公訴権を濫用した無効
なものであるから,刑事訴訟法338条4号により公訴棄却の判決
がなされるべきである旨主張する。
2そこで,検討すると,本件犯行は,教団の信者である被告人が,
中国製漢方薬の輸入販売業者であるC及び教団の信者多数名と共謀
,,,,の上無許可で業としてアトピー性皮膚炎等の治療薬と称して
医薬品であるクリーム及びローションを繰り返し販売したというも
のであり,販売期間が約1年2か月間,販売回数が2057回,顧
客数が910名,販売個数が2902個,販売代金が2325万4
000円という組織的かつ大規模に敢行された薬事法違反の事案で
あって,もとより微罪でないことはいうまでもない。これに対し,
二次代理店における本件クリーム等の販売は,二次代理店の間で連
携を取り合って組織的に販売を行っていたのではなく,基本的に各
二次代理店単位で販売が行われていたことが窺われるのである。そ
して,実際にも,本件クリーム等を無許可で業として販売していた
として略式命令を請求された二次代理店の事案を見ると,最も販売
個数の多い者で,販売期間が約6か月間,販売回数が74回,顧客
数が27名,販売個数が141個,販売代金が112万8000円
であって,組織性や販売規模等の点で,本件事案と大きく異なって
いることは明らかである。
しかも,被告人が所属する教団は,その前身である宗教法人Gの
時代に,いわゆる地下鉄サリン事件等を起こし,現在も無差別大量
殺人行為を行った団体の規制に関する法律による観察処分に付せら
れているのである。それにもかかわらず,被告人らは,その観察処
分中であることも意に介さず,多数の教団信者が関与して,大規模
かつ組織的に本件犯行に及んでいるのであって,本件の犯情の悪質
性や本件が社会に与える影響の重大性は,二次代理店の者による犯
行とは比較にならないものがあるといわざるを得ない。
これらの事情に照らすと,被告人自身の本件犯行への関与の度合
いや役割等を考慮しても,被告人による本件犯行と二次代理店の者
による犯行との間には,刑事責任の程度に大きな差異があるという
べきであって,検察官が公訴提起に当たって両者の取扱いを異にし
たのは,何ら不合理な差別や不平等な処分に当たるものではないと
いわなければならない。
3その他,弁護人は,本件公訴の提起が公訴権の濫用に当たる理由
として縷々主張するけれども,弁護人の主張する諸事情は,検察官
の公訴提起における裁量とは全く無関係な起訴後の事情等を含め,
いずれも検察官が訴追裁量を逸脱しているとの評価に結び付くもの
ではないというべきである。
4したがって,本件公訴の提起が,何ら検察官の裁量権の逸脱は存
在せず,適法なものであることは明らかであり,弁護人の公訴権濫
用の前記主張は,理由がない。
第2薬事法違反の故意の有無について
1弁護人は,判示事実につき,①被告人は,本件クリーム等が薬事
法24条1項に定める医薬品であるとの認識がなく,また,本件ク
リーム等の販売について,許可が必要なのに無許可で行われている
との認識がなかったのであるから,事実の錯誤として故意が阻却さ
れ,②仮に,本件が事実の錯誤に該当しないとしても,被告人は,
本件クリーム等が医薬品ではなく,その販売に許可は必要ないと信
じたのであって,違法性の意識を欠き,また,違法性の意識の可能
性もなかったのであるから,故意ないし責任が阻却され,無罪であ
る旨主張する。
2()そこで,検討すると,被告人が,本件犯行当時,本件クリー1
ム等がアトピー性皮膚炎に効くという認識を有していたことは,被
告人も自認するところであり,関係各証拠からも明らかである。そ
して,被告人のこのような認識は,本件クリーム等が人の疾病の治
療に使用されることが目的とされている物(薬事法2条1項2号)
であるとの認識にほかならないのであるから,被告人は,本件クリ
ーム等が医薬品であることの基礎となる事実の認識に欠けるところ
はなかったというべきであり,仮に,被告人が本件クリーム等を医
薬品に当たらないと思い込んだとしても,それは,法律の錯誤にほ
かならないのであって,事実の錯誤として故意の成立が否定される
ものではない(なお,本件クリーム等が医薬品であることの認識に
は,本件クリーム等にステロイドが含有されていることの認識まで
は必ずしも必要ない。。)
()また,被告人は,当公判廷において,本件クリーム等の販売2
当時の自己の認識について「私は,薬を販売するのに許可が要る,
のかどうかについては,知らなかったし,考えてもいなかった」な
どと供述しているが,その一方で「誰でも自由に薬を売ってよい,
とは思っていなかった。薬が,どこでも自由に売られているという
ことではなく,薬局等の限られた場所で売られている状況であるこ
とは知っていた」などとも供述している。このような被告人の供述
に鑑みると,被告人は,医薬品の販売について,少なくともそれが
自由に行えるものではなく,何らかの許可等が必要なものだとの認
。,,,識を有していたことが窺われるのであるそして仮に被告人が
薬事法の知識を欠き,本件クリーム等の販売に許可が必要なことを
全く知らなかったとしても,それは,いわゆる法律の不知に過ぎな
いのであって,薬事法違反の故意を阻却するものではないというべ
きである。
3()弁護人は,被告人が,本件クリーム等の販売について,違法1
性の意識を欠き,違法性の意識の可能性もなかった理由として,①
被告人は,Cから,本件クリーム等が天然成分でできているとの説
明を受けたこと,②被告人は,姉のアトピー性皮膚炎が,ステロイ
ドでは治らず,ウコン,ごま油,マイナスイオン水等の自然物によ
り治癒したとの認識を有していたこと,③被告人は,Cの子供のア
トピー性皮膚炎が本件クリーム等により治ったことについて,Cの
子供に直接確認したこと,④被告人にとって絶対的な地位の師であ
る弁論分離前の相被告人Dらが本件クリーム等の効能について信じ
ていたこと,⑤教団は,上下関係が強く,下の者が上の者に対して
自由に意見を述べることができない体質を有しており,本件クリー
ム等に関して疑義を抱いたとしても,それを指摘することが極めて
困難であったこと,⑥被告人は,これまで社会経験に乏しく,教団
の信者以外の者と交際したことがほとんどなかったこと,⑦被告人
は,教団外からの情報が入ることが極端に少なく,本件クリーム等
について正確な情報が入ってくることが期待できなかったことなど
の事情を挙げている。
()しかしながら,故意の成立には,そもそも違法性の意識が存2
,,,,することは必要ないのでありまた仮に弁護人の主張のように
違法性の意識の可能性が存することが必要であるとの見解に立った
としても,次のように,本件クリーム等の販売については,被告人
に違法性の意識の可能性があったことが十分に認められるというべ
きである。すなわち,①医薬品の販売は,人の健康に関わる重要な
事項であるから,疾病に効能を有する物が医薬品に該当し,その販
売に許可が必要とされることは,社会通念上,容易に想定すること
ができるものであり,逆に,医薬品に該当せず,その販売に許可も
不要であると判断するためには,慎重な検討が要求されること,②
被告人は,Cや相被告人Dらの説明を信用したというのであるが,
Cらは,医薬品の専門家ではないこと,③被告人は,本件クリーム
等の販売に問題がないかどうかについて,関係行政機関や専門家等
に照会したり,自ら文献を調べたりすることは一切行っていないこ
と,④被告人は,当初は,Cの言動を見て,同人について,詐欺師
のような印象を受け,言っていることがすべて嘘のような感想を持
ったこと,⑤被告人は,平成15年4月ころ,教団の信者であるH
らとともに,アトピー性皮膚炎の子供を持つ親の会に参加し,教団
作成のチラシを配布しているが,そのチラシには,本件クリーム等
,「」について塗り始めて2日ほどで肌が改善されるのが分かります
などの文言が記載され,通常の自然物の作用とは異質な即効性を有
することが宣伝文句になっていること,⑥実際にも,教団の信者で
ある共犯者の中には,当初から本件クリーム等の販売が薬事法に違
反するとの認識を有する者もいたことなどの事情に鑑みると,前記
()の弁護人指摘の事情を考慮しても,被告人が,本件クリーム等1
を医薬品ではなく,その販売に許可は不要であると思い込んだこと
に相当な理由はないというべきであり,本件クリーム等の販売につ
いて,被告人に違法性の意識の可能性があったことは,十分に認め
ることができる。
4したがって,被告人に薬事法違反の故意があったことは優に認め
ることができ,被告人が無罪である旨の弁護人の前記主張は,理由
がない。
第3適法行為の期待可能性の有無について
1弁護人は,教団の体質や被告人の当時の地位等に鑑みると,被告
人は,本件クリーム等の販売に関与しないことについての期待可能性
がなかったので,責任が阻却される旨主張する。
2しかしながら,①被告人は,弁論分離前の相被告人Iとともに,
教団の東京道場長である相被告人Dに対し,同相被告人が教団の女性
信者にセクハラ行為を行ったことについて,抗議をしていること,②
教団の信者であるJは,本件クリーム等の販売に関与していたが,平
成15年6月ころ,相被告人Dに対し,自己都合で本件クリーム等の
販売を辞めたい旨申し出て,同相被告人の了承を得てこれを辞めてい
ることなどに鑑みると,被告人が教団の上位者である相被告人Dに本
件クリーム等の販売への関与を断ることも十分に可能であったという
べきである。
3したがって,被告人は,本件クリーム等の販売に関与しないこと
についての期待可能性もあったということでき,被告人に適法行為の
期待可能性がなかった旨の弁護人の前記主張は,採用することができ
ない。
(法令の適用)略
(量刑の理由)
1本件は,宗教団体Aの信者である被告人が,中国製漢方薬の輸入販
,,,売業の経営者及び教団の信者多数名と共謀の上無許可で業として
前後2057回にわたり,顧客910名に対し,アトピー性皮膚炎等
の治療薬と称して,医薬品であるクリーム及びローション合計290
2個を代金合計2325万4000円で販売したという薬事法違反の
事案である。
2教団の東京道場長である弁論分離前の相被告人Dは,中国製漢方薬
の輸入販売業を営むCから教団の主催するヨガ教室に関する問い合わ
せを受けた際に,同人が「K」と称するクリーム及びローションを中,
華人民共和国から輸入し,これをアトピー性皮膚炎の治療薬として販
売していることを知った。相被告人Dは,本件クリーム等を教団信者
にインターネット等を通じて販売させ,その利益を教団信者からお布
施として教団に拠出させるなどして,教団の財政状況を改善させよう
などと考え,Cに本件クリーム等の共同販売を持ち掛け,同人の賛同
を得た。そこで,被告人及び相被告人Dを含む教団の信者多数名(以
下「被告人ら教団信者」という)は,インターネット上に複数のホー。
ムページを作成し,本件クリーム等には医師の処方に基づく使用が必
要である極めて強力なステロイド(プロピオン酸クロベタゾール)が
含まれているにもかかわらず,同ホームページ上等ではステロイドが
含まれていないなどと虚偽の広告をし,アトピー性皮膚炎に関するホ
ームページに本件クリーム等を使用してアトピー性皮膚炎が治ったと
いう虚偽の体験談を掲載するなどして,本件クリーム等をアトピー性
皮膚炎等に効果がある医薬品として宣伝し,1個7000円ないし8
500円という高額な値段を付けて,購入申込みを受け付けた。そし
て,被告人ら教団信者は,Cと共謀の上,平成15年2月から平成1
6年4月までの間,ホームページ上等で本件クリーム等の購入申込み
を受け,これをCに連絡するなどし,同人から,購入申込者に対し,
あらかじめ輸入しておいた本件クリーム等を発送して販売するという
本件犯行に及んだものである。
このように,被告人ら教団信者及びCは,約1年2か月間という長
期間に,2000回余りという多数回にわたって,無許可であるにも
かかわらず,業として,医薬品である本件クリーム等の販売行為を繰
り返したのであり,販売した顧客数が900名余り,販売個数が29
00個余りといずれも多数に上り,販売価格も2300万円余りと多
額であって,本件は,アトピー性皮膚炎等に悩み苦しむ人々の心理に
付け込み,インターネットという極めて広範囲な販売を可能とする手
段を巧みに利用して,医薬品の無許可販売を大規模に行い,多額の利
益を得たという誠に悪質な組織的,計画的犯行である。本件クリーム
等は,極めて強力なステロイドを含有しており,これを使用した購入
者の中には,ステロイド皮膚炎を発症させ,目の周りがひどくかぶれ
て膿の出る症状になった者や,顔面全体が痛々しいほどの無数の発疹
に覆われて見るも無惨な様相を呈した者等も少なくないのであって,
本件犯行は,本件クリーム等にステロイドが含まれていないとの宣伝
を信頼した多くの顧客に重大な健康上の害悪をもたらす結果を発生さ
せているのである。本件クリーム等を購入した顧客らが「アトピー性,
皮膚炎の患者の治したいという気持ちや,子供の治療をしたいという
親の心を利用するなんて,絶対に許せません。厳しく処罰してくださ
い「今まで息子のアトピー性皮膚炎の治療のために藁をも掴む思いで」
購入したのに,裏切られた気持ちです。息子のようにアトピー等で苦
しんでいる者や家族たちの足下を見透かしたように,平然と販売して
いるような人たちは,絶対に許すことができないので,厳しく処罰し
」,てくださいなどと被告人らに対する強い処罰感情を述べているのも
当然というべきである。
3さらに,本件犯行は,被告人を含む宗教団体Aに所属する多数の信
者が関わって組織的に行われた犯罪であるところ,宗教団体Aは,そ
の前身である宗教法人Gの時代に,薬事法違反の事件やいわゆる地下
鉄サリン事件等の無差別大量殺人事件を起こしたことがあり,現在も
無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律による観察処分
に付せられ,教団信者には法の遵守が強く求められているにもかかわ
らず,被告人ら教団信者は,過去の重大事件の反省を活かすことがで
きず,再び教団として組織的に本件犯行に及んでいるのであって,そ
の点からも厳しい非難を受けるのは当然である。確かに,本件犯行に
当たっては,Cが,被告人ら教団信者に対し,本件クリーム等につい
,て言葉巧みに説明して販売行為の問題点に関する不安を解消させた上
いわば教団の組織を利用して本件クリーム等の販売の拡大を図り,多
額に上る売上金額の半分近くを一人で取得していることは否定できな
いが,被告人ら教団信者は,自ら複数のホームページを作成するなど
して,本件クリーム等をアトピー性皮膚炎等に効果がある医薬品とし
て宣伝し,全国規模でその購入申込みを受け付け,本件クリーム等1
個につき3500円ないし5000円のマージンを貰い,売上金額の
半分以上の分け前を得ているのであって,Cだけではこのような大規
模な販売活動を行うことができなかったことは明らかであり,被告人
ら教団信者が本件犯行において果たした役割は重大である。
また,近時,アトピー性皮膚炎の患者に対して違法に医薬品等を販
売するアトピービジネスとも呼ばれる事案が社会問題化しており,し
かも,本件は,居ながらにして広範囲の顧客と取引ができるインター
ネットという手段を利用している点において,模倣性も高いものであ
ることなどに鑑みると,この種の事案に対しては,一般予防の観点も
考慮する必要がある。
4次に,被告人の関与の度合いや役割等を見ると,被告人は,平成1
5年4月上旬ころから本件クリーム等の販売に関するミーティングに
顔を出すようになり,同月下旬ころから同年5月上旬ころまでの間,
弁論分離前の相被告人Iとともに「L」のホームページの管理者とし,
て,本件クリーム等の宣伝及びCへの発注活動を行うなどしている。
このように,被告人は,本件犯行の中核となるホームページの運営及
び管理をするなどして,本件犯行に関与しているのである。そして,
被告人は,上記期間中,上記「L」のホームページの管理者として,
本件クリーム等を60個余り販売し,その売上金額は50万円余り,
,,利得金額は30万円近くに上っているのであって本件犯行において
重要かつ不可欠な役割を果たしているといわなければならない。しか
も,被告人は,捜査段階においては,供述調書の作成に応じなかった
,,,ところ公判段階に至って事実関係を供述するようになったものの
「誰でも自由に薬を売ってよいとは思っていなかったが,薬の販売に
,」許可がいるかどうかについては知らなかったし考えてもいなかった
などと,些か不自然な弁解を繰り返しているのである。
5したがって,以上の諸点に照らすと,本件の犯情は悪く,被告人の
負うべき刑事責任は重いものがあるといわなければならない。
6しかしながら,他方,被告人のために酌むべき事情も存在する。す
なわち,被告人は,本件犯行において重要な役割を果たしているけれ
ども,教団の東京道場長である相被告人Dらの指示に従って行動した
ものであり,また,自らの利益を拡大しようとしたCの言葉巧みな話
を半ば信用して安心し,本件クリーム等の販売行為の違法性や問題点
について,必ずしも十分な知識を持たないままに本件犯行に関与した
という側面もあるのであって,被告人の立場が従属的なものであった
ことは否定できない。被告人は,自らがホームページの管理者として
本件クリーム等の販売に関与した期間は,2週間余りにとどまってお
り,他の共犯者に比較すると,本件クリーム等を販売した回数が少な
く,その売上金額も多額ではない。被告人は,本件犯行に関与する原
因となった教団を脱退して犯罪を犯した環境から離脱し,当公判廷に
おいて,今後は教団に戻らない旨を誓っている。被告人は,本件犯行
の故意については争っているものの,本件クリーム等の購入者に対し
ては,大変申し訳ないことをしたと思う旨述べるなど,一応反省の態
度を示している。被告人には,これまで前科前歴はない。その他,弁
護人が指摘するような被告人のために有利に斟酌することができる事
情も認められる。
7そこで,以上のような被告人に有利な事情も斟酌すると,本件のよ
うな悪質な組織的犯罪の事案に対しては,本来,厳しい態度で臨むべ
きものではあるけれども,被告人を今直ちに実刑に処することには躊
躇を覚えざるを得ないので,被告人に対しては,前示のとおり刑を量
定した上,その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した次第で
ある。
(求刑懲役1年)
平成17年5月2日
東京地方裁判所刑事第3部
裁判長裁判官服部悟
裁判官成川洋司
裁判官林欣寛

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