弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
○事実
一控訴人らは「原判決を取り消す。被控訴人は、伊万里市土地開発公社に対し、金六〇
〇万円及びこれに対する昭和六一年三月一六日から支払いずみまで年五分の割合による金
員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする」との判決並びに仮執行。

宣言を求め、被控訴人は主文同旨の判決を求めた。
二当事者双方の事実上及び法律上の主張は、各当事者において、次のとおり主張を補充
したほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
(控訴人らの主張)
伊万里市土地開発公社の業務は、本来伊万里市が行うべき業務の一部であるから、伊万里
市が直接これを行えば当然地方自治法二四二条の二の規定が適用されるのに、公社を設立
して公社の名でこれを行えば、右規定が適用されないというのでは、住民の民主的統制と
いう憲法の保障する国民主権の精神に立脚する右規定の解釈として合理的根拠を有すると
はいえない。地方自治法一九九条六項が、広く地方公共団体の出資や保証に対しても、監
査委員が監査することができることを認めている趣旨からすれば、伊万里市土地開発公社
の本件支出行為について地方自治法二四二条の二の規定が適用されるべきである。
また、被控訴人は、本件支出行為の後、直ちにこれを補填するため、伊万里市議会に伊万
里市土地開発公社の土地の買収資金として金六四九万五〇五六円を計上する旨の予算案を
提出して、市公金を公社に対して支出し、伊万里市に直接損害を与えんとしており、この
ことは、本件支出行為が、公社を隠れみのとして便宜上これを利用したもので、その実質
は伊万里市の支出行為というべきものであるから、本件支出行為については地方自治法二
四二条の二の規定が適用されるべきである。
(被控訴人の主張)
控訴人らは、本訴請求の一つの根拠として地方自治法一九九条六項の規定を引用するが、
右規定は、監査委員が普通地方公共団体の長の要求に基づき又は自ら必要があると認める
ときに、特に普通地方公共団体の事務に属しない同項所定の対象及び範囲の事項につき監
査をすることができる旨を定めているにすぎないものであるから、地方自治法二四二条、
二四二条の二の規定との関係で論じられるべきものではない。
また、被控訴人が、伊万里市長として、
伊万里市議会に控訴人ら主張のとおりの予算案を提出したことは認めるが、右行為によつ
て、本件支出行為が伊万里市の支出行為と同視すべきものとなることはない。なお、被控
訴人の右行為が伊万里市長として伊万里市に損害を与えたか否かについては、原告控訴人
ら被告被控訴人間の佐賀地方裁判所昭和六一年(行ウ)第三号損害賠償請求事件として本
件とは別に審理中である。
○理由
一当裁判所も、控訴人らの本件訴えは不適法なものであつて却下を免れないものと判断
するものであるが、その理由は、次のとおり付加するほか、原判決理由(但し、同七枚目
裏四行目冒頭から同一二行目末尾までを削る)説示のとおりであるから、これを引用す。
る。
土地開発公社は、地方公共団体が地域の秩序ある整備を図るために必要な公有地となるべ
き土地の取得及び造成その他の管理等を行わせるために設立する公法人であつて(公有地
の拡大の推進に関する法律一〇条、その設立にあたつては、これに対する出資を地方公)

団体に限定し、しかも基本財産の額の二分の一以上に相当する資金その他の財産の出資を
地方公共団体に義務づけており(同法一三条、その解散にあたつては、その残余財産を)

資者に分配しなければならず(同法二二条二項、その債務については、地方公共団体の)

証を得ることができ(同法二五条、また地方公共団体の長その他の執行機関は、その管)

に係る土地、建物その他の施設を無償で土地開発公社の利用に供することができる(同法
二六条一項)などその財務面において、これを設立した地方公共団体と密接な関連性を有
しており、そのうえ、土地開発公社の理事及び監事は、地方公共団体の長によつて任命、
解任され(同法一六条二項、三項、予算、事業計画及び資金計画の作成、変更について)
は、
その都度地方公共団体の長の承認を受けなければならず(同法一八条二項、その業務の)

営についても、地方公共団体の長が業務命令をすることができる(同法一九条一項)など
地方公共団体の長は、その人事、財務及び業務について指揮監督をすることができる立場
にある。更に、土地開発公社が地方公共団体に代わつて土地の先行取得を行うために設立
された公社であることや、これを設立した地方公共団体の監査委員は、地方自治法一九九
条六項により土地開発公社の財務について監査を行う権限を有していると解することがで
きることなどを考えると、
実体としては、土地開発公社は、地方公共団体の機能の一部を分担し、その一機関ともみ
ることができる。しかしながら、住民訴訟は、いわゆる客観訴訟の一種であり、法律が特
()、に認めた場合においてのみ提起することができるものであつて行政事件訴訟法四二条
住民訴訟の範囲、方式等は、実定法上の明文に即して厳密に解釈せざるを得ず、準用規定
のない以上、土地開発公社に対し、その実際上の機能を重視して地方自治法二四二条、二
四二条の二を類推適用することは許されないというべきである。
二よつて、原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却し、控訴費
用の負担について民訴法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官塩田駿一鍋山健最上侃二)

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