弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告人名義の上告理由は別紙のとおりである。
 職権をもつて按ずるに、本件記録によれば、本件訴訟の経緯は次のとおりである。
 第一審は、被上告人の提起した本件訴につき同人勝訴の判決を言い渡し、右判決
正本は上告人の訴訟代理人である弁護士Dに送達されたところ、弁護士高島謙一は
上告人の訴訟代理人として本件控訴を提起し、原審は、同弁護士に訴訟代理権を認
めえないとして、右控訴を却下する旨の判決を言い渡し、右判決正本は公示送達の
方法によつて上告人に送達され、その後、上告人名義の上告状および上告理由書が
提出されるに至つたものである。
 そして、本件記録に編綴されている東京家庭裁判所の審判書謄本、弁護士高島謙
一作成の昭和四六年一一月一二日付上申書ならびにE作成の報告書および委任状に
よれば、東京家庭裁判所は、昭和四六年六月九日、上告人の妻Eを上告人の不在者
財産管理人として選任する旨の審判をなし、右審判は当時確定したところ、右Eは、
同年一一月一二日弁護士高島謙一を訴訟代理人として選任したこと、ならびに前記
上告人名義の上告状および上告理由書は、上告人が作成、提出したものではなく、
右Eが権限がないにもかかわらず上告人の代理人として作成、提出したものである
ことが認められる。
 訴訟代理人高島謙一は、当審における昭和四七年一月二一日の本件口頭弁論期日
において、上告に関し右Eがした上告人名義の訴訟行為および原審における弁護士
高島謙一の訴訟行為のすべてを追認するに至つた。
 ところで、権限を有しない代理人によつてなされた訴訟行為であつても、その後
これが権限ある代理人によつて追認されたときは、右追認により当該訴訟行為の時
に遡つてその効力を生ずることは民訴法五四条、八七条の規定するところであり、
また、その追認の時期につき制限を定めた規定のないこと、および同法三九五条二
項の規定の趣旨に鑑みれば、権限のある代理人は、上告審において、上告審および
原審における無権代理人の訴訟行為を追認することができるものと解するのを相当
とする(大審院昭和一五年(オ)第八三四号同一六年五月三日判決、判決全集八輯
六一七頁参照)。そして、家庭裁判所の選任した不在者財産管理人が民法一〇三条
所定の権限内の行為をするには、その行為が訴または上訴の提起という訴訟行為で
あつても、同法二八条所定の家庭裁判所の許可を要しないものと解すべきところ、
被上告人の提起した本訴建物収去土地明渡等の請求を認容する第一審判決に対し控
訴を提起し、その控訴を不適法として却下した第二審判決に対し上告を提起するこ
とおよび右訴訟行為をさせるため訴訟代理人を選任することは、いずれも上告人の
財産の現状を維持する行為として同法一〇三条一号にいう保存行為に該当するもの
であるから、本件不在者財産管理人および同人の選任した訴訟代理人は、同法二八
条所定の家庭裁判所の許可を得ることなしに、本件第一、二審判決に対する上訴を
提起する権限を有するものというべきである。
 したがつて、前示の本件訴訟の経緯によるときは、上告人の不在者財産管理人E
が選任した訴訟代理人高島謙一が、右Eの権限なくしてした上告の提起を追認した
ことにより、本件上告は適法になり、また、原審における右高島の控訴の提起が権
限なくしてされたとしても、右訴訟代理人が当審においてこれを追認したことによ
り、右控訴も適法になつたのであるから、右高島に訴訟代理権のないことを理由と
して本件控訴を却下した原判決は、論旨の当否を判断するまでもなく、違法に帰し
たものというべきである。
 原判決は破棄を免れず、原審において更に審理を尽くさせるのを相当とするから、
本件を東京高等裁判所に差し戻すこととする。
 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決す
る。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    村   上   朝   一
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛