弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を広島高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人青戸辰午の上告理由第一、二点について。
 原審の確定したところによれば、(1)本件の上告人と訴外D間の元金六〇万円の
準消費貸借契約は昭和三七年二月二八日なされたものであるが、これは、そもそも、
右当事間で昭和三六年二月一四日なされた六〇万円の消費貸借が同年六月一四日い
つたん切り替えられたのち、更に切替のため右期日になされたものであり、(2)D
の弟Eが国民金融公庫から金員を借り受けるにつき、被上告人はその連帯保証人に
なつたのであるが、その際、Eの申出により、その契約書類に補正を要する箇所が
あつたときのために被上告人はEに印鑑(それが実印であることは原判文を通読す
れば明らかである。)を預けたものであるというのである。
 ところで、特定の取引行為に関連して印鑑を交付することは、特段の事情のない
かぎり、代理権を授与したものと解するのが相当であることは、当裁判所の判例と
するところである(最高裁判所昭和四四年(オ)第五七号、同四四年一〇月一七日
第二小法廷判決、判例時報五七二号五六頁、なお大判昭和五年八月四日、法律新聞
三一六九号一六頁参照)。原審の確定した右(2)の事実は、補正に関連して印鑑を
交付したのであるから、特段の事情のないかぎり、被上告人はEに代理権を授与し
たものと解すべきことになる。ところで、本件記録に徴すれば、上告人とD間の(
1)の準消費貸借契約の締結に先きだつて(3)昭和三五年一二月頃EがD名義で上
告人から金四〇万円を借り受け、この借受金につき被上告人は連帯保証したことが
あり、その際は上告人が被上告人に対し直接連帯保証の意思を確かめており、上告
人としてはDを信用し同人に対し貸したものと考えていたものであることがうかが
われる。そうとすれば、借主の名義人の相違は問題とするに及ばないところ、前記
(3)の事実は(1)の事実の僅か一年二か月ないし二か月前のことであり、(3)の事
実において、上告人が被上告人の連帯保証の意思を直接被上告人本人に確かめ、被
上告人が正当に連帯保証したものとされる以上、(1)の準消費貸借または消費貸借
についての連帯保証契約の際その契約書に押印された被上告人の印影が(3)の借入
金につき連帯保証がなされたときにその契約書に押捺された被上告人の印影と同一
のものであり、それ故に(1)の右連帯保証も被上告人により真正にされたものと考
えたとすれば((1)の右連帯保証契約がなされた際の契約書の被上告人名下の印影
が被上告人の印鑑によるものであることは原審の確定するところである。)、(1)
の右連帯保証の対象たる主債務は元金六〇万円であり、(3)のそれは元金四〇万円
で、両者の金額は、連帯保証の対象としてそんなに大きな違いはないのであるから、
上告人が、(1)の場合について、被上告人の代理人Eにより適法に連帯保証された
ものと信じ、直接被上告人にその意思を確かめなくとも、特段の事情のないかぎり、
右代理人に被上告人のため連帯保証契約を締結する権限ありと信ずべき正当の理由
を有し、かつ、過失はないものとなる。原審が表見代理の成否に関して認定してい
る事実をもつてしてはいまだこの判断を妨げるものではないのである。しかるに、
原審が、上告人は右連帯保証につき直接被上告人にその意思を確かめなかつたのは
過失にあたるとして右正当理由の存在を否定したのは、法令の解釈を誤り、ひいて
審理不尽・理由不備の違法を犯しているとのそしりを免れず、原判決は破棄を免れ
ない。論旨は理由がある。
 よつて、更に審理を尽くさせるため、原判決を破棄し、本件を広島高等裁判所に
差し戻すこととし、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致の意見で、主文
のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    関   根   小   郷

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