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裁判例


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判決
当事者の表示別紙1当事者目録記載のとおり
主文
1原告及び原告共同訴訟参加人らの請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告及び原告共同訴訟参加人らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
1被告は,A株式会社並びにB,C及びDに対し,次の金員を支払うよう請求
せよ。
(1)A株式会社については,14億7195万3500円及び内金7億486
5万5650円に対する平成25年4月10日から,内金7億2329万
7850円に対する同年12月20日から各支払済みまで年5分の割合に
よる金員
(2)Bについては,7億3597万6750円及び内金3億7432万782
5円に対する平成25年4月10日から,内金3億6164万8925円
に対する同年12月20日から各支払済みまで年5分の割合による金員
(3)Cについては,3億6798万8375円及び内金1億8716万391
2円に対する平成25年4月10日から,内金1億8082万4462円
に対する同年12月20日から各支払済みまで年5分の割合による金員
(4)Dについては,3億6798万8375円及び内金1億8716万391
2円に対する平成25年4月10日から,内金1億8082万4462円
に対する同年12月20日から各支払済みまで年5分の割合による金員
2被告は,株式会社E並びにB,C及びDに対し,次の金員を支払うよう請求
せよ。
(1)株式会社Eについては,14億7195万3500円及び内金7億486
5万5650円に対する平成25年4月10日から,内金7億2329万
7850円に対する同年12月20日から各支払済みまで年5分の割合に
よる金員
(2)Bについては,7億3597万6750円及び内金3億7432万782
5円に対する平成25年4月10日から,内金3億6164万8925円
に対する同年12月20日から各支払済みまで年5分の割合による金員
(3)Cについては,3億6798万8375円及び内金1億8716万391
2円に対する平成25年4月10日から,内金1億8082万4462円
に対する同年12月20日から各支払済みまで年5分の割合による金員
(4)Dについては,3億6798万8375円及び内金1億8716万391
2円に対する平成25年4月10日から,内金1億8082万4462円
に対する同年12月20日から各支払済みまで年5分の割合による金員
第2事案の概要
1事案の骨子
(1)門真市は,平成24年11月5日及び平成25年3月27日,同市a町所
在の別紙2建物目録記載の各建物(以下「本件各建物」という。)の共有
者であるA株式会社(以下「A」という。)及び株式会社E(以下「E」
といい,Aと併せて「Aら」という。)との間で,本件各建物の移転補償
費(以下「本件移転補償費」という。)を合計29億4390万7000
円とする建物移転補償契約(以下「本件補償契約」という。)を締結し,
後日,これを支払った(以下「本件支出」といい,本件補償契約の締結と
併せて「本件補償」という。)。
(2)本件は,門真市の住民である原告及び原告共同訴訟参加人ら(以下,併せ
て「原告ら」という。)が,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,
同市の執行機関である被告を相手に,Aら並びに本件補償の際に門真市長
の職にあった亡F(以下「F」という。)の相続人であるB,C及びD(以
下「F相続人ら」という。)に対して,次のアからウまでのとおり請求をす
ることを求める住民訴訟である。
アF及びAらの共同不法行為に基づく請求(請求の相手方はAら及びF相
続人ら)
本件補償に関し,FとAらが共謀して門真市の損失の下にAらに不当な
利益を得させたとして,民法719条1項に基づき,Aら及びF相続人ら
に対して上記第1請求記載のとおり共同不法行為に基づく損害賠償請求及
び遅延損害金の請求をすること
イFの不法行為に基づく請求(請求の相手方はF相続人ら)
Fが故意又は過失により本件移転補償費を過大に算定し門真市に損害を
与えたとして,民法709条に基づき,F相続人らに対して上記第1請求
1(2)から(4)まで及び同2(2)から(4)まで記載のとおり不法行為に基づく
損害賠償請求及び遅延損害金の請求をすること
ウ本件補償契約の無効に基づく請求(請求の相手方はAら)
本件移転補償費は過大であり,本件補償契約は公序良俗に反し無効であ
るとして,民法703条及び704条に基づき,Aらに対して上記第1請
求1(1)及び同2(1)記載のとおり不当利得返還請求及び利息請求をするこ

2関係法令の定め
(1)公有地の拡大の推進に関する法律(平成23年法律第105号による改正
前のもの。以下「公拡法」という。)
ア公拡法4条1項は,都市計画区域(市街化調整区域を除く。)内に所在
する土地でその面積が2000平方メートルを下回らない範囲内で政令で
定める規模以上のもの(6号)を所有する者は,当該土地を有償で譲り渡
そうとするときは,当該土地の所在及び面積,当該土地の譲渡予定価額,
当該土地を譲り渡そうとする相手方その他主務省令で定める事項を,主務
省令で定めるところにより,当該土地が所在する市町村の長を経由して,
都道府県知事に届け出なければならない旨規定する。
イ公拡法6条1項は,都道府県知事は,同法4条1項の届出があった場合
においては,当該届出に係る土地の買取りを希望する地方公共団体等のう
ちから買取りの協議を行なう地方公共団体等を定め,買取りの目的を示し
て,当該地方公共団体等が買取りの協議を行なう旨を当該届出をした者に
通知するものとする旨規定し,同条2項は,同条1項の通知は,届出のあ
った日から起算して3週間以内に,これを行なうものとする旨規定し,同
条3項は,都道府県知事は,同条1項の場合において,当該届出に係る土
地の買取りを希望する地方公共団体等がないときは,当該届出をした者に
対し,直ちにその旨を通知しなければならない旨規定する。
ウ公拡法7条は,地方公共団体等は,上記届出に係る土地を買い取る場合
には,地価公示法6条の規定による公示価格を規準として算定した価格
(当該土地が同法2条1項の公示区域以外の区域内に所在するときは,近
傍類地の取引価格等を考慮して算定した当該土地の相当な価格)をもって
その価格としなければならない旨規定する。
(2)社会資本整備総合交付金交付要綱(平成22年3月26日付け国官会第2
317号国土交通事務次官通知別添。以下「交付要綱」という。乙4)
ア交付要綱附属第Ⅰ編「基幹事業」16-(8)は,住宅市街地総合整備
事業とは,住宅等の整備,公共施設の整備等に関する事業及びこれに附帯
する事業,都心共同住宅供給事業,防災街区整備事業並びに都市再生住宅
等の整備に関する事業をいう旨規定する。
イ交付要綱附属第Ⅱ編「交付対象事業の要件」第1章16-(8)「住宅
市街地総合整備事業」16は,密集住宅市街地整備型重点整備地区に係る
事業の実施に伴い必要となる土地(土地の付加物を含む。)又は建物等の
取得及び使用に対する損失補償並びにこれらに伴う通常損失の補償に要す
る費用の取扱いについては,「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」
(昭和37年6月29日閣議決定。以下「補償基準要綱」という。)の定
めるところにより,適正に運用するものとし,ただし,老朽建築物の買収
又は建築物の補償費の算定は,次の各号に定めるところによる旨規定する。
同ただし書1号は,老朽建築物を買収する場合の買収価額については,
近傍同種の建物の正常な取引価額とするものとし,取引事例がない場合は,
当該建物の推定再建築費を取引時までの経過年数及び維持保全の状況に応
じて減額した額,その他正当な評価額をもってその価額とする旨規定し,
同2号は,建築物を買収せずに移転しようとする場合の移転料は,当該建
築物を通常妥当と認められる移転先に,通常妥当と認められる移転方法
(再築工法,曳家工法,改造工法,除却工法及び復元工法を標準とす
る。)によって,移転するのに要する費用をもって,その価額とする旨規
定する。
なお,上記の交付要綱附属第Ⅱ編第1章16-(8)16の内容は,住
宅市街地総合整備事業補助金交付要綱(平成16年4月1日付け国住市第
352号)第5(乙3の2)と同様のものである。
ウ交付要綱附属第Ⅱ編「交付対象事業の要件」第1章16-(8)「住宅
市街地総合整備事業」23・1は,平成21年度以前に住宅市街地総合整
備事業制度要綱(平成16年4月1日付け国住市第350号)及び住宅市
街地総合整備事業補助金交付要綱に基づき行われている事業で地方公共団
体が補助事業者のものについては,16-(8)で定める住宅市街地総合
整備事業とみなし,事業に関する規定は,なお従前の例によることができ
ると規定する(以下,交付要綱制定の前後を問わず,住宅市街地総合整備
事業を「住市総事業」という。)。
(3)公共用地の取得に伴う損失補償基準(昭和37年10月12日用地対策連
絡会決定。以下「補償基準」という。乙9の3)
なお,補償基準は,補償基準要綱を基に,その実施規程として定められた
ものである。
ア補償基準8条1項は,取得する土地に対しては,正常な取引価格をもっ
て補償するものとする旨規定し,同条2項は,同条1項の場合において,
当該土地に建物その他の物件があるときは,当該物件がないものとしての
当該土地の正常な取引価格によるものとする旨規定する。
イ補償基準9条1項は,上記の正常な取引価格は,近傍類地(近傍地及び
類地を含む。以下同じ。)の取引価格を基準とし,これらの土地及び取得
する土地について,同項各号に掲げる土地価格形成上の諸要素を総合的に
比較考量して算定するものとする旨規定し,同基準9条の2は,地価公示
法2条1項の公示区域内の土地を取得する場合において,同基準9条の規
定により当該土地の正常な取引価格を決定するときは,同法6条の規定に
より公示された標準地の価格を規準とする旨規定する。
ウ補償基準15条は,取得する建物に対する補償については,土地の取得
に係る補償の例による旨規定し,同基準16条は,近傍同種の建物の取引
の事例がない場合においては,同基準15条の規定にかかわらず,取得す
る建物に対しては,当該建物の推定再建設費を,取得時までの経過年数及
び維持保存の状況に応じて減価した額をもって補償するものとする旨規定
する。
エ補償基準28条1項前段は,土地の取得又は使用に係る土地に,建物で
取得せず又は使用しないものがあるときは,当該建物を通常妥当と認めら
れる移転先に,通常妥当と認められる移転方法によって移転するのに要す
る費用を補償するものとする旨規定し,同基準30条は,建物を移転させ
るものとして同基準28条の規定により算定した補償額が同基準15条の
規定により算定した当該建物の価格を超えるときは,当該建物を取得する
ことができるものとする旨規定する。
3前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全
趣旨により容易に認められる事実。以下,書証番号は特に断らない限り枝番
号を含む。)
(1)当事者等
ア原告らは,門真市の住民である。
イ被告は,門真市の市長であり,同市の執行機関である。
ウAらは,本件補償契約及び本件支出の相手方である。Aらは,本件補償
契約締結当時,本件各建物をそれぞれ2分の1の割合で共有していた。
エFは,本件補償当時,門真市長の職にあった者であり,同市長在職中の
平成28年6月7日に死亡した。BはFの妻であり,C及びDはFの子で
ある。
(2)本件補償に至る経緯等
ア門真市は,平成19年3月,「門真市都市ビジョン」を策定し,同市内
の「b町・c町・a町」地域を重点都市再生地域に位置付けた。これを受
けて,平成20年3月,「門真市b町・a町まちづくり基本構想」(以下
「本件基本構想」という。)が策定され,同年4月,門真市b町・c町・
a町まちづくり協議会(以下「まちづくり協議会」という。)が設置され
た。
イ門真市は,平成21年3月,「門真市b町・a町まちづくり基本計画」
(以下「本件基本計画」という。)を策定した。
本件各建物及びその敷地(当時の門真市a町d番e,同d番f及び同g
番hの各土地。その後,合筆及び分筆により別紙3土地目録記載の各土地
となった。以下,合筆及び分筆の前後を通じ,一体として「本件各土地」
といい,本件各建物と併せて「本件不動産」という。)は,都市計画区域
内にあるとともに本件基本計画の対象区域内にあり,当時,株式会社G
(以下「G」という。)がこれを所有し,ディスカウントストア「H」
(GI店・平成22年3月末閉店)の店舗等の敷地として使用されていた。
ウGは,平成21年9月30日の取締役会において,Hの閉店を決定し,
平成22年1月22日,本件不動産の購入希望者による入札を実施したと
ころ,4件の応札があり,Aらによる入札額が最高額であった(甲16)。
エGは,本件不動産をAらに売却する予定があるとして,平成22年3月
2日,大阪府知事に対し,公拡法4条1項6号に基づく土地有償譲渡届出
書を提出した(甲3)。大阪府知事は,同日,門真市に対し,本件各土地
の買取希望の有無について照会した(以下「本件照会」という。)。
門真市は,同月3日,大阪府知事に対し,本件各土地につき買取希望が
ない旨を通知した(以下「本件回答」という。)。
オGは,平成22年3月26日,Aらとの間で,本件不動産を15億17
25万円(内訳:本件各土地11億5500万円,本件各建物3億450
0万円,消費税及び地方消費税1725万円)で売却する旨の契約(以下
「本件売買契約」という。)を締結した(乙2の3)。Aらは,本件売買
契約により,それぞれ2分の1の割合で本件不動産の共有持分を取得し,
同年6月22日,その所有権移転登記を受けた(甲4)。
カAらは,平成22年3月31日,独立行政法人都市再生機構(以下「U
R」という。)との間で,本件各土地のうち南側の約7000㎡の土地を
売却する旨の契約を締結した(甲14,15の4)。
本件各土地(門真市a町d番e,同d番f及び同g番h)は,同年7月
6日,同d番eに合筆され,同日,北側の同d番e(以下,後述する分筆
登記の前後を問わず,「北側土地」という。)と南側の同d番i(以下
「南側土地」という。)に分筆された(甲4の1の1)。そして,南側土
地については,同日売買を原因として,URを所有者とする共有者全員持
分全部移転登記がされた(甲4の1の2)。また,北側土地については,
平成25年12月4日,同d番eと同d番jに分筆登記された(甲4の1
の1,4の1の3)。
キ門真市は,平成24年11月5日及び平成25年3月27日,Aらとの
間で,本件移転補償費を合計29億4390万7000円とする本件補償
契約を締結し,Aらに対し,同年4月10日に14億9731万1300
円,同年12月20日に14億4659万5700円をそれぞれ支払った
(本件支出)。本件支出により,Aらはそれぞれ14億7195万350
0円を受領した。
なお,本件補償契約により定められた本件各建物の除却期限は,同年3
月29日付け変更契約により同年9月30日とされ,さらに,同日付け変
更契約により平成26年3月31日とされた。
(3)本件訴訟に至る経緯等
ア原告は,平成25年11月18日付けで,門真市監査委員に対し,本件
補償につき住民監査請求をしたが,門真市監査委員は,平成26年1月1
4日付けで,これを棄却する旨の決定をし,その頃,原告に対し,その旨
を通知した。
原告は,同年2月10日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。
イ原告共同訴訟参加人らは,それぞれ,平成26年2月13日付けで,本
件補償につき住民監査請求をしたが,門真市監査委員は,同年4月10日
付けで,これらを棄却する旨の各決定をし,その頃,各原告共同訴訟参加
人に対し,その旨を通知した。
原告共同訴訟参加人らは,同年5月7日,原告に共同訴訟参加する旨の
申出をした(顕著な事実)。
4争点及び当事者の主張
(1)F及びAらの共同不法行為の成否-事案の骨子(2)アの共同不法行為に基
づく損害賠償請求
(原告らの主張)
ア主張の骨子
①門真市においては,本件回答がされた平成22年3月3日より前から,
本件各土地に門真市立体育館(以下「市立体育館」という。)を建設する
ことが計画又は想定されており,少なくとも,a町地区において市立体育
館等の公共施設の建設用地が不足することは明らかであったから,門真市
としては,同日時点で,本件各土地を購入する必要性があった(後記イ)。
しかも,②門真市は,同月2日の本件照会に対し,本件各土地の買取りを
希望する旨の回答をすれば,15億円を下回る価格で本件不動産を購入す
ることができた(後記ウ)。にもかかわらず,③門真市は,通常行われて
いる各部長への買取希望の有無の確認を省略し,都市建設部長にこれを確
認するにとどめ,本件照会からわずか1日で「買取希望無し」という不合
理な回答(本件回答)をした(後記エ)。そして,④門真市は,Aらとの
間で,本件各建物につき本件補償契約を締結し,合計29億4390万7
000円もの過大な本件移転補償費を支払った(後記オ)。
上記①から④までの経緯等(以下,順に「主張の骨子①」などと表記す
ることがある。)によれば,本件回答及び本件補償は,Fやその意向を受
けた門真市の職員らとAらとが共謀の上,門真市の損失の下でAらに不当
な利益を得させるために行われたものというべきであり,F及びAらの行
為は門真市に対する共同不法行為(民法719条)を構成する。
イ門真市には平成22年3月3日(本件回答)時点で本件各土地を購入す
る必要性があったこと(主張の骨子①)
(ア)平成21年3月に策定された本件基本計画においては,a町地区で
の市立体育館の建設が計画されている(甲7)。そして,同年8月に作
成されたa町地区整備構想図(別紙図面1)においては,a町地区に,
市役所庁舎のみならず防災機能を有する公園や統合中学校の建設も予定
されていたのであり,市有地のみでは各施設の建設用地が不足するおそ
れがあったから,公有地の拡大は必要不可欠であった。したがって,市
立体育館の建設用地として本件各土地を活用することは,上記構想図が
作成された平成21年8月当時から十分視野に入っていたというべきで
ある。また,少なくとも,公共施設の用地が不足することは明らかであ
ったから,門真市には,平成22年3月3日当時,本件各土地を購入す
る必要があったというべきである。
(イ)Fや門真市の職員らは,当初から,同市の損失の下にAらの利益を図
る目的で,市立体育館の建設計画を進めていたというべきであり,市立
体育館の建設と本件補償契約との間に関連性がない旨の被告の主張は失
当である。本件補償の目的が道路整備とされているのは,国から老朽建
築物等除却のための交付金の交付を受けるため,形式的にそのようにさ
れているにすぎない。
門真市は,市立体育館の建設用地として本件各土地を取得し活用する
ことを視野に入れて,「跡地公共建物補償費・建物補償3棟(G)」と
して平成23年度に45億6884万7600円支出見込みとの事業計
画を作成し決裁していたものであり(甲8),門真市が当初から本件各
土地を取得する意向を有していたことは明らかである。
ウ門真市が本件照会の際に本件各土地の買取りを希望していれば15億円
を下回る価格で本件不動産を購入し得たこと(主張の骨子②)
(ア)本件不動産を購入する場合,本件各建物の利用価値はなくその解体を
前提として取得することとなるため,本件各土地の買取価格は,その更
地価格から本件各建物の解体費用を控除した金額を上回ることはないと
いうべきである。そうすると,本件各土地の更地価格が被告主張のとお
り約16億円であったとしても,本件各建物の解体費用約5億8000
万円を控除すると,本件各建物の時価約3億6000万円を加えても,
本件不動産の買取価格は15億円を大きく下回る。本件不動産の価格に
つき鑑定したGの不動産鑑定評価書(甲21)も,鑑定評価額を14億
円としている。
(イ)被告は,民間取引の売買価格と任意買収の買取価格とは異なると主張
するが,公拡法に基づく地方自治体等の先買権は,土地の所有者が有償
譲渡をしようとする場合か買取りを希望する場合に行使することができ
るものであり,損失補償の考え方が当てはまるものではなく,民間取引
の売買価格と任意買収の買取価格との間に違いはない。
エ「買取希望無し」とした本件回答が不合理であること(主張の骨子③)
(ア)本件各土地は,平成22年3月3日当時,市立体育館建設の有力な候
補地であり,門真市は,当時,本件各土地を取得する必要性を認識して
いた。ところが,F及び同市の職員らは,通常行っている各部長への買
取希望の有無の確認を省略し,都市建設部長のみにその確認をするにと
どめ,本件照会からわずか1日で「買取希望無し」と判断して回答した
ものであり,このような判断に合理性がないことは明らかである。
買取希望の有無の確認を都市建設部長に限定し,他の部局,とりわけ
市立体育館を所管する教育委員会にも買取希望の有無を確認することな
く本件各土地の買取希望がない旨の本件回答をしたのは,多様な事務事
業を執行する責任を有する行政の対応として異例というほかなく,この
ような異例な対応の背景には,買取希望の有無の判断を都市建設部長一
人に委ねざるを得ない特殊な事情があったことが推測される。
(イ)被告は,本件各土地の買取りを希望する旨の回答をする行政目的はな
く,その予算もなかったと主張するが,平成22年3月の時点で,本件
各土地に市立体育館を建設することが計画又は想定されていたことから
すれば,本件各土地を取得すべき行政目的はあったというべきである。
また,予算措置としても,財政調整基金を一部活用したり土地開発公社
を利用したりするなどして,本件各土地を取得することは十分に可能で
あったというべきである。
オ本件移転補償費が高額にすぎること(主張の骨子④)
(ア)本件補償は交付要綱の定める住市総事業の一環としてされたものであ
るから,本件移転補償費の算定に当たっては,補償基準に則ったもので
なければならない(交付要綱附属第Ⅱ編第1章16-(8)16,住宅
市街地総合整備事業補助金交付要綱第5)。そして,補償基準によれば,
建物の移転に伴う補償費が取得に伴う補償費を超えるときは,当該建物
を取得することができ(30条),建物の取得に伴う補償費は,近傍同
種の建物の取引事例を基準とした正常な取引価格によるものとされてい
る(15条)。
GとAらとの間の本件売買契約は本件各建物の取引事例であって,そ
の価格は正常な取引価格というべきであるから,本件各建物に対する補
償費は,本件売買契約における本件各建物の代金3億6225万円を基
準として算定されるべきである。しかし,本件においては,本件各建物
の上記代金額が無視され,近傍同種の建物の取引事例がないものとして,
本件移転補償費の金額が約29億5000万円と算定されている。この
ような算定方法は,補償基準に反するものであり,裁量権の範囲の逸脱
又はその濫用があるものとして違法である。
(イ)被告は,本件売買契約は「近傍同種の建物」の取引事例(補償基準1
6条)に該当しない旨主張するが,補償基準が「近傍同種の建物」の取
引事例を基準とする趣旨は,正常な取引価格を算定するためであるから,
移転補償の対象となる建物自体の取引事例が直近にある場合には,その
価格が正に正常な取引価格といえるのであって,被告の主張は補償基準
の趣旨に反する。Gが実施した不動産鑑定によれば,本件各建物の価格
はゼロであるとされており,本件各建物の正常な取引価格が本件売買契
約の3億6225万円を超えることはあり得ない。
(ウ)そもそも,本件各土地につき土地区画整理事業の換地の手法を用いて
いれば,門真市はAらに対し損失補償を行う必要はなかった。すなわち,
本件各建物が存在する状態のままで換地処分を行い,Aらが所有する本
件各土地を門真市の所有地とした上で,本件各建物の除却工事を行えば,
門真市は,Aらに本件各建物の取得に伴う補償費さえ支払う必要はなか
った。このような財政負担の少ない方法があったのに,Fがあえて本件
補償を行ったのは,Aらに不当な利益を得させる旨の共謀があったから
である。
(被告の主張)
ア主張の骨子
原告らは,主張の骨子①から④までの経緯等に照らし,Fや門真市の職
員らとAらとが共謀の上,門真市の損失の下でAらに不当な利益を得させ
るために本件回答及び本件補償を行ったと主張するが,門真市においては,
①平成22年3月3日(本件回答)時点で本件各土地を購入する必要性は
なく,本件補償と市立体育館の建設計画との間に関連性はないし(後記
イ),②本件照会の際に買取りを希望しても本件不動産を15億円で買い
取ることはできない(後記ウ)。また,③門真市が「買取希望無し」とし
た本件回答に不合理な点はなく(後記エ),④本件移転補償費の算定は補
償基準等に則って行われたものであり,誤りはない(後記オ)。このよう
に,主張の骨子①から④まではいずれも理由がない。
また,いずれの過程においても,Fや門真市の職員らとAらとの間に共
謀や癒着はなく,原告らの主張は単なる憶測にすぎない。
イ門真市には平成22年3月3日(本件回答)時点で本件各土地を購入す
る必要性はなく,本件補償と市立体育館の建設計画との間に関連性はない
こと(主張の骨子①に対する反論)
(ア)本件各土地に市立体育館を建設する計画は,平成22年10月1日の
政策調整会議を経て,その具体案が立案され,同年11月1日の政策調
整会議において,当該具体案について議論されるに至ったものであり,
これ以前は本件各土地に市立体育館を建設するという議論はされていな
かった。
平成21年8月に都市建設部が作成したa町地区住宅市街地総合整備
事業事業計画(以下「本件事業計画」という。甲8)の資料によれば,
土地区画整理事業施行後において,門真市所有の宅地が3万9874.
77㎡確保される計画であり(乙20の2),他方,上記宅地に建設予
定の各施設の計画面積は合計3万8844.57㎡であったから(乙1
1の1),当時の計画の下では,a町地区内の公共施設の建築用地は十
分に確保されていた。したがって,平成22年3月時点において,門真
市が約1万3000㎡もの本件各土地を取得する必要性はなかった。
(イ)本件補償は,住市総事業に基づく,「居住環境形成施設整備事業」と
しての「地区公共施設等整備」(道路)事業の実施のため,同整備事業
の支障となる建物に対する移転補償としてされたものであり,市立体育
館の建設計画の有無にかかわらず実施される移転補償であるから,同建
設計画とは関連性がない。
平成21年8月作成の本件事業計画(甲8)の「跡地公共建物補償費
4,568,847,600円」との記載は,住市総事業において区画街路1号線を
整備するための建物移転補償費の見積りとして記載されたものである。
そして,この金額は,当時Gが本件各建物において営業を行っていたた
め,店舗の再建を前提とした「再築工法」により建物補償費の概算を算
出したものである。市立体育館の建設は,道路整備のための建物移転補
償とは別個の独立した問題であり,両者に関連性はない。
ウ本件照会の際に買取りを希望しても本件不動産を15億円で買い取るこ
とはできないこと(主張の骨子②に対する反論)
公拡法に基づく土地の買取価格は,公示価格を規準として算定した価格
になるのであるから(同法7条),本件不動産の取得について合計15億
円での買取りの協議ができるわけではないし,同法上の通知は形成権では
ないため,確実にこれを取得し得るものでもない。仮に,門真市が本件各
土地の買取りを希望したとしても,市内で最も低い公示価格によっても本
件各土地の更地価格は16億円を超えるのであり,これに本件移転補償費
(除却工法の場合)である約29億5000万円を加えると,門真市は約
45億円での買取りの協議ができるにすぎない。しかも,買取りの行政目
的が明確でない場合,国及び大阪府からの補助金や交付金の対象となるか
どうかも不明である。原告らの主張は,民間における不動産取引の発想で
あり,国や地方公共団体の任意買収の場面には妥当しない。
エ「買取希望無し」とした本件回答に不合理な点はないこと(主張の骨子
③に対する反論)
(ア)本件各土地に市立体育館を建設する計画が立案されたのは,平成22
年10月の政策調整会議以降のことであり,同年3月時点において,本
件各土地を取得する必要性も具体的な行政目的もなかった以上,買取り
を希望する際に示す必要のある「買取りの目的」を示すことはできず,
門真市として,本件各土地につき買取りを希望する旨の通知をすること
は不可能であった。
公拡法4条1項に基づく届出があった場合,届出をした者は土地の譲
渡の制限を受けるため(同法8条),門真市においては,原則として二,
三業務日以内に迅速に回答するものとされており,十分な検討をしなか
ったために本件照会の翌日に本件回答がされたわけではない。また,本
件各土地のように,都市建設部の所管する都市計画等の該当地に係る届
出であれば,都市建設部長にその買取希望の有無を確認し,買取りを希
望する旨回答するかどうかを判断することは異例ではないし,本件照会
に当たっては,総合政策部長の決裁ラインのほか関係部局の合議・審査
が行われており,当時の都市建設部長の独断で大阪府知事に「買取希望
無し」の回答がされたわけではない。
(イ)仮に門真市が本件各土地を買い取るとすれば,その予算を確保するこ
とが必要となるところ,その方法としては,①財政調整基金を利用する
方法,②土地開発公社を利用する方法,③公共用地先行取得事業特別会
計において地方債を発行する方法が考えられるが,当時の状況の下では,
いずれの手段をとることも不可能であった。
かえって,本件補償は住市総事業に基づく移転補償であるから,その
事業の実施には国から交付金(本件移転補償費の2分の1)が交付され,
しかも,同事業の遂行に当たっては,「日本経済再生に向けた緊急経済
対策」(平成25年1月11日閣議決定)において特別措置として創設
された「地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付
金)」の対象事業として5億7863万8000円の交付金も活用され
た。さらに,地方財政法5条5号の道路の建設事業費として地方債を財
源とすることにより,一般財源からの支出は最小限に抑えられたもので
ある。
オ本件移転補償費の算定に誤りはないこと(主張の骨子④に対する反論)
(ア)本件各建物については,既に店舗機能を停止していることなどから,
店舗の再築を要しない「除却工法」が選択されたところ,同工法におけ
る補償額の算定は,「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」(昭和
38年3月7日用地対策連絡会決定。以下「補償細則」という。乙9の
4)第15第1項(六)五ロ,「近畿地区用地対策連絡協議会損失補償
標準書」(乙9の5)の「建物・工作物補償の算定申し合わせ」(以下
「算定標準」という。)Ⅱ4(5)イ及び同(1)①アaに従い,次の計算式
によることになる。そして,本件移転補償費は,この計算式に則って算
定されたものであり,適法である。
(計算式)
移転補償費=従前建物の現在価額(次の計算式のとおり)+取壊し工
事費-発生材価額
従前建物の現在価額=推定再建築費×{1-(1-残存価額率)×経
過年数/耐用年数}
(イ)原告らは,本件売買契約における本件各建物の代金額3億6225万
円を基準として本件移転補償費を算定すべき旨をいうが,本件売買契約
は移転補償の対象となるべき建物自体とその敷地の取引であって,「近
傍同種の建物」の取引事例ではないし,少なくとも,およそ契約当事者
間にしか知り得ない特殊個別事情を含む多種多様な要因によって形成さ
れる民間不動産取引における対価設定に係る一事例をもって「正常な取
引価格」とすることは,補償基準が要請するところではない。
門真市としては,本件各建物の権利者が誰であろうと,事業計画及び
損失補償基準に基づいた適正な移転補償を行う責務があるのであり,本
件各建物が売却されずにGがその所有者のままであったとしても,移転
補償額は今回と同じである。Aらが最高額で入札しGから本件不動産を
購入したのも,その経営判断の結果にすぎない。
(ウ)原告らは,土地区画整理法上の換地処分を利用すれば,Aらに対し損
失補償を行う必要はなかったと主張する。しかし,同法上,建物未撤去
のまま換地処分を行うことはできないから,仮換地指定を行った上で本
件各建物の移転又は除却を行うことになるが,その場合,施行者である
組合が本件各建物に対し損失補償をしなければならず,補償基準に準拠
して約29億円の移転補償費が必要となるのであり,国費からの補助金
を活用しても門真市がその2分の1を負担する必要があるから,原告ら
の主張はその前提を誤るものである。なお,原告らが,本件各建物の所
有権の放棄を求める手法を主張しているとすれば,そのような手法は制
度として認められていない。
(2)本件移転補償費の算定に係るFの不法行為の成否-事案の骨子(2)イの不
法行為に基づく損害賠償請求
(原告らの主張)
前記(1)(原告らの主張)オ(ア)(イ)記載のとおり,本件移転補償費の算定
方法は,補償基準に反するものであり,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用
があるものとして違法である。Fは,補償基準を恣意的に解釈して違法に本
件補償を行ったものであり,少なくとも過失があることは明白であって,
門真市に対して不法行為責任を負う。
(被告の主張)
前記(1)(被告の主張)オ(ア)(イ)記載のとおり,本件移転補償費は,補償
基準及び本件補償細則等に基づいて適正に算定されている。したがって,
本件移転補償費の算定につき,Fの門真市に対する不法行為は成立しない。
(3)本件補償契約の有効性-事案の骨子(2)ウの不当利得返還請求
(原告らの主張)
前記(1)(原告らの主張)オ(ア)(イ)記載のとおり,本件移転補償費の算定
方法は,補償基準に反するものであり,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを
濫用するものとして違法である。そして,本件移転補償費の金額はあまり
に高額であって,地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項の趣旨に
著しく反するから,本件補償契約は公序良俗に反するものとして無効であ
る。
(被告の主張)
前記(1)(被告の主張)オ(ア)(イ)記載のとおり,本件移転補償費は,補償
基準及び本件補償細則等に基づいて適正に算定されている。したがって,
本件補償契約は適法かつ有効である。
(4)請求金額の根拠等
(原告らの主張)
ア事案の骨子(2)ア及びイの各損害賠償請求について
門真市は,F及びAらの共同不法行為又は本件移転補償費の算定に係る
Fの不法行為により,本件移転補償費に相当する29億4390万700
0円の損害を被った。
Fは,門真市に対し,上記金額の損害賠償金及びこれに対する本件支出
の日からの遅延損害金の支払義務を負っていたところ,平成28年6月7
日に死亡したことから,Fの妻であるBがその2分の1を,Fの子らであ
るC及びDが各4分の1を法定相続分に従い相続した。
イ事案の骨子(2)ウの不当利得返還請求について
本件補償契約は公序良俗に反し無効であるから,門真市は,本件移転補
償費に相当する29億4390万7000円の損失を被り,Aらは,法律
上の原因なくそれぞれ14億7195万3500円(本件移転補償費の2
分の1)を利得した。
Aらは,本件補償契約が無効であることを知りながら,門真市から本件
移転補償費の支払を受けたものであり,民法704条の悪意の受益者に該
当する。
(被告の主張)
いずれも争う。
第3当裁判所の判断
1事実経過
前記前提となる事実に加え,証拠(各項末尾記載の各証拠のほか,乙42,
43,49,50,証人K(以下「K」という。),証人L)及び弁論の全
趣旨によれば,本件の事実経過として以下の事実が認められる。
(1)門真市は,大阪府の東北部に位置し,高度経済成長期である昭和30年代
後半から昭和40年代後半にかけて,大阪都市圏への急激な人口流入の受
け皿として大量の文化住宅,木造アパート,長屋住宅等が基盤未整備のま
ま無秩序に建設され,密集市街地が広範囲に形成された。
門真市は,これらの老朽化した密集市街地が形成されている同市北部地区
(国道163号以北の461ha)について,昭和59年11月12日,当
時の建設大臣に,木造賃貸住宅地区総合整備事業の整備計画の承認を申請
し,同月21日付けで同整備計画の承認を受けた。その後,同事業は,住
市総事業として継続され,門真市は,平成20年3月31日付けで,国土
交通大臣から,同事業の事業計画に係る変更同意を受けた。その後,住市
総事業は,交付要綱(平成22年4月1日施行)の定める事業の一つに位
置付けられ,門真市北部地区は,住市総事業の密集住宅市街地整備型重点
整備地区として,整備計画が実施された。
(以上につき,乙1,3,4)
(2)門真市は,平成19年3月,門真市都市ビジョンを策定し,同市内の「b
町・c町・a町」地域を重点都市再生地域に位置付けた。これを受けて,平
成20年3月,本件基本構想が策定され,同年4月,まちづくり協議会が
設置された。なお,まちづくり協議会の事務局はAの事務所内に置かれて
おり,その会長はA及びEの代表取締役であるM(当時の商業登記簿上の
氏名はN又はO)であった。
本件各土地は,本件基本構想の「整備の基本方針」の面的整備検討ゾーン
に含まれており,当該ゾーンの土地利用に関する基本方針は,「P中学校,
市役所,市立体育館,体育館及び隣接地においては,地区内の道路や緑道
等の歩行者動線,防災機能をもった公園等の基盤施設の整備と各施設の建
替え等とを一体的に整備していくため,土地の交換分合や集約化を図りな
がら,各建物の段階的更新を図っていく。」などとされていた。
(以上につき,甲5,7,11,25,乙41)
(3)門真市(所管は総合政策部地域整備課)は,平成21年3月,住市総事業
及び土地区画整理事業(土地区画整理法3条2項に基づき土地区画整理組
合が施行するもの)の合併施行を前提とする本件基本計画を策定した。門
真市が上記各事業の合併施行としたのは,過去に同市内で同様の合併施行
を行った実績があることに加え,a町地区には広範囲にわたって市有地が存
在していたため,住市総事業に基づく整備事業として国から交付金の交付
を受け,同整備事業に伴う各補償を実施し,その後,土地区画整理事業に
基づく換地により,a町地区における民有地及び市有地等の再配置及び整備
を意図したものである。
本件各土地については,本件基本計画の土地利用計画検討図において,
「民間大規模建替用地」に位置付けられており,本件各土地の中央付近に
は,東西方向に横切る道路の設置が計画されていた。なお,本件各土地上
に道路を設置する計画とされたのは,本件各建物の移転補償費につき,単
に老朽建築物を除却するという名目(老朽建築物等除却)では,国からの
交付金の額が減少してしまうことが意識されたものである。
市立体育館については,a町地区の土地利用計画検討図や「a町地区の施
設配置イメージ」には記載されていない。また,本件基本計画の「公共施
設導入の基本的な考え方」においては,市立体育館につき,想定される施
設規模として,敷地面積約4500㎡,延べ床面積約2000㎡とされ,
防災機能向上のため防災公園に隣接した配置が望ましいものとされ,市立
体育館の配置については,①地区外の別敷地に建設,②地区内の単独敷地
に建設及び③統合中学校に複合という3つの選択肢が示され,②について
は,「敷地確保は可能であるが,転がし計画,総事業費等との関係より可
能性は低い」とされていた。
(以上につき,甲7,乙1,3,5)
(4)平成21年4月から,本件基本計画に係る事業は,総合政策部の所管から
都市建設部(現まちづくり部)の所管となった。そして,都市建設部は,
同月以降,事業スキームの検討や地権者に対する意向調査を開始し,住市
総事業を主事業としつつ,土地区画整理事業の合併施行により換地を行う
ことを前提に,予算査定用の本件事業計画の策定を行った。
本件事業計画によれば,本件各建物については,住市総事業として,平成
22年度に建物調査を行い,平成23年度に「跡地公共建物補償(道
路)」を行うこととされ,その事業費見積額は再築工法により45億68
84万7600円とされた(なお,上記の金額は本件各建物の移転補償費
のみの見積額であり,本件各土地の先行取得及びその準備に関する予算は
見積もられていない。)。また,市立体育館については,門真市単独の事
業として,平成23年度及び平成24年度に検討調査を行い,平成25年
度に実施設計,平成26年度に建設工事を行うこととされた。なお,本件
事業計画は,次年度の予算規模の見積りを算定するための資料として作成
されたものであり,事業の実施・不実施を含めて総合政策部企画課との再
調整を要する「調整事業」と位置付けられた。
本件事業計画に添付されている平成21年8月22日付けa町地区整備構
想図整備計画案(別紙図面1)及び同月25日付けa町地区整備構想図建
替計画案には,市立体育館を,従来の市立体育館の敷地付近の区画(30
50.96㎡)に設置する案が記載されており,本件各土地については,
民間の所有地として,北側土地付近に共同住宅,南側土地付近に商業施設
の建設が想定されている。また,上記整備計画案(別紙図面1)によれば,
市所有地(宅地)に建設予定の各施設の計画面積は,統合中学校用地1万
6156.96㎡,市庁舎用地合計8505.47㎡,市立体育館用地3
050.96㎡,シルバー人材センター用地512.28㎡とされており,
他に,民間活用地(共同住宅)が1万0618.90㎡とされている。
本件事業計画によれば,住市総事業で交付金の対象となる先行買収面積の
限度は6458.74㎡(門真市の持出し用地9000㎡を除く。)とな
るところ,公共用地の先行取得の計画(a町地区事業年次計画の項目「公共
用地取得(先行取得)」欄及び平成21年8月20日付けa町地区用地取
得計画図参照)として,平成22年度に592.01㎡,平成23年度に
474.64㎡及び110.00㎡(地区外権利者),平成24年度に3
34.48㎡及び32.67㎡(同上)とされており,1万3028.9
4㎡の本件各土地については,先行取得の計画の対象とはされていない。
(以上につき,甲8,乙11の1,20,30,38)
(5)Gは,平成21年9月30日の取締役会において,Hの閉店を決定し,同
年11月8日から,本件不動産の入札参加意向者に対する照会を開始した。
上記取締役会の議案書には,「当該店舗所在地域における門真市が計画し
ている区画整理事業との連携により,閉鎖損金圧縮の可能性を検討してま
いりましたが,当該事業が確立していないこともあり,その可能性も少な
いとの結論に至ったため,以下の試算により提案致します。」,「また,
営業終了後の不動産…については,この区画整理事業の進捗及び不動産市
況を踏まえ,今後検討してまいります」などと記載されている。
Gは,その頃,不動産鑑定業者に対し,同年10月1日時点における本件
不動産の評価額の鑑定を依頼し,同年12月9日付け不動産鑑定評価書が
作成されたところ,同評価書における本件不動産の鑑定評価額は14億円
(本件各建物の解体費控除後の評価額。消費税を除く。)であった。なお,
上記評価額の算定過程において,本件各土地の更地としての価格は21億
円,本件各建物の解体工事費は3億2700万円(アスベスト除去費用及
び消費税を除く。)と査定されている。
(以上につき,甲16,21,乙38)
(6)Gは,平成22年1月22日,本件不動産の購入希望者による入札を実施
したところ,11件の照会先から4件の応札があり,そのうちAらによる
入札額15億円(消費税別)が最高額であった。Aらが入札の際に提出し
た不動産購入申込書には,購入目的として,「門真市a町・b町まちづくり
に関連する①道路,公園,広場等公共施設②分譲および賃貸住宅等③
医療,福祉,教養等の施設」と記載されているが,Aらが本件不動産の購
入を希望した事情は,上記の購入目的のほか,本件各土地に他の大型総合
スーパーが出店すると,GJ駅店(Eが店舗建物の所有者かつ賃貸人)の
売上等に影響が出ることに危機感を有していた点にもある。
なお,実際に入札した他の3社のうち,2社の購入目的は「マンション建
設」(Gの取締役会議事録に記載されている入札額は,多い順に12億4
800万円,10億8300万円),うち1社の購入目的は「学校建設」
(入札額は,売主において本件各建物を撤去し更地として引き渡す条件で
10億円,上記議事録に記載されている入札額は6億7200万円)であ
った。
Aらは,Gから同年2月8日付け売渡承諾書が送付されたのを受けて,同
年3月初旬頃から,門真市及びURとの協議を開始した。
(以上につき,甲16,19,22,24)
(7)Gは,本件不動産をAらに売却する予定があるとして,平成22年3月2
日,大阪府知事に対し,公拡法4条1項6号に基づく土地有償譲渡届出書
を提出した。これを受けて,大阪府知事は,同日,門真市に対し,本件各
土地の買取希望の有無について照会した。
総合政策部財務課管財グループ主任は,「当該届出に係る物件については,
本市が計画を進めている『a町地区住宅市街地総合整備事業』の計画区域内
にあるため,通常行っている各部長への買取希望有無の確認を省略し,当
該事業を所管している都市建設部長に買取希望の有無を確認した上,門真
市として買取り希望無き旨の回答をいたしたくお伺いします。」などと記
載された決裁文書を起案し,総合政策部財務課の決裁(主任,課長補佐,
課長・次長,部長)並びに都市建設部長,総合政策部企画課長,同部地域
整備課長,総合政策部次長(企画担当)の合議・審査を経て,上記決裁文
書のとおり,都市建設部長に買取希望の有無を確認したところ,同部長で
あるQ(以下「Q」という。)は,買取希望の有無の「無」の欄に押印し
た。
そして,門真市は,同月3日,大阪府知事に対し,本件各土地につき買取
希望がない旨の本件回答をした。なお,本件回答は,当時門真市長であっ
たF名義で行われているが,門真市内部の意思決定は上記決裁(門真市事
務処理規程〔平成18年9月15日門真市庁達第10号〕7条,別表2第
6項により部長による専決)及び合議等により行われており,Fが直接その
意思決定に関与した形跡は見当たらない。
(以上につき,甲3,9,乙42,53)
(8)門真市は,URの要請を受けて(なお,URが事業に参画するためには,
独立行政法人都市再生機構の都市再生事業実施に係る基準細則1条1項3
号により,地方公共団体からURに対する要請等の書面が必要となる。),
URに対し,平成22年3月23日付けの「門真市b町・c町・a町まちづ
くりについて(要請)」と題する文書を交付した。同文書には,「基本計
画の実現に向けた土地取得を含む総合的なご支援ご協力をいただきますよ
うお願い申し上げます。」などと記載されている。
門真市,まちづくり協議会及びURは,同月26日付けで,「門真市b町
・c町・a町におけるまちづくりの推進に関する覚書」を作成し,これに合
意した。また,まちづくり協議会は,URに対し,同日付けの「門真市b
町・c町・a町地区まちづくりにおける土地取得へのご協力について」と題
する書面を交付した(上記細則1条1項4号参照)。同文書には,「跡地
取得を行う両社が,単独で保有し続けるには規模的な面からも民間企業と
して限界があることから,…貴機構による当該地の一部を取得いただくと
共に周辺まちづくりに参画いただく等ご協力いただきたい」などと記載さ
れている。
UR西日本支社都市再生業務部は,同日付けで,本件各土地のうち南側の
約7000㎡の土地(南側土地)に係る「個別プロジェクト地区選定及び
個別プロジェクト基本方針【門真市a町地区】」を作成した。
(以上につき,甲12,13,17,乙52,証人Q)。
(9)Gは,平成22年3月24日の取締役会において,本件不動産をAらに売
却する旨決定し,同月26日,Aらとの間で,本件不動産を15億172
5万円(内訳:本件各土地11億5500万円,本件各建物3億4500
万円,消費税及び地方消費税1725万円)で売却する旨の本件売買契約
を締結した。なお,Gは,本件売買契約に当たり,本件各建物の価格を0
円又は備忘価格にとどめることも検討したが,このような価格にすると税
務調査があったときに説明に耐えられない可能性があるとの指摘があった
ため,固定資産評価額(なお,本件各土地の平成21年度の固定資産評価
額は合計13億4067万4076円,本件各建物の固定資産評価額は合
計7億4938万3394円である。)や取壊費用を考慮して,本件各建
物の価格を上記のとおり設定した。
Gは,平成22年3月31日,ディスカウントストア「H」(GI店)の
営業を終了した。なお,本件各建物は,平成25年11月1日頃に取り壊
された。
(以上につき,甲4,15,16,24,乙2,46)
(10)Aらは,平成22年3月31日,URとの間で,南側土地を売却する旨
の契約を締結し,同年4月1日付けで,大阪府知事に対し,国土利用計画
法に基づく土地売買等届出書を提出した。
本件各土地(門真市a町d番e,同d番f及び同g番h)は,同年6月2
2日,同日付け売買を原因として,Aらを共有者(持分各2分の1)とす
る所有権移転登記がされ,同年7月6日,同d番eに合筆され,同日,北
側の同d番eと南側の同d番iに分筆された。そして,同d番i(南側土
地)については,同日付け売買を原因として,URを所有者とする共有者
全員持分全部移転登記がされた。また,同d番eについては,同年12月
4日,同d番eと同d番jに分筆された。
(以上につき,甲2,4,14,15)
(11)平成22年4月の人事異動により総合政策部長となったKは,門真市の
まちづくりに係る検討課題を整理するため,同月13日付けで,「b町・c
町・a町のまちづくりに係る公共施設設置の方向性について」と題する一覧
表を作成した。同一覧表には,市立体育館につき,「a町に建設の方向。防
災公園との機能連携を考慮する必要がある。敷地を効率的に使う場合,ま
たは,管理運営を効率化する場合,他の施設との併設,例えば,図書館等
も検討できるのではないか。また,現在の規模での建設でよいのかどうか。
アリーナや防災設備関係の整備も含めると建設費は,増大していくが。」
と記載されている。(甲6の1)
(12)都市建設部が作成した平成22年9月15日付けb町・c町・a町地区施
設計画図(案)(別紙図面2)には,市立体育館を従来の敷地の南側付近
の場所(3032.14㎡)に設置する案が記載されている。また,同計
画図(案)において,本件各土地に相当する場所は,計画宅地,都市計画
道路,駐車場兼防災用空地等に区分けされている。(乙11の2)
(13)門真市は,平成22年10月1日,関連部局の部長等による第1回門真
市政策調整会議(司会・K総合政策部長)を開催したところ,同会議にお
いて,他の施設に優先して,a町地区に市立体育館を建設する方向性が示さ
れた。これを受けて,都市建設部は,北側土地上に市立体育館を建設する
案の検討を進め,総合政策部との協議用の図面として,同月12日付けで,
北側土地上に市立体育館を配置したb町・c町・a町地区施設計画図(案2
-1)(別紙図面3),同(案2-2),同(案3-1)及び同(案3-
2)を作成した。
門真市は,同年11月1日,第2回門真市政策調整会議を開催した。同会
議の事務局(総合政策部企画課企画グループ)が作成した同日付け「公共
施設整備実施計画素案」には,市立体育館につき,「a町H跡地に建設敷
地面積:約3909㎡+駐車場1644㎡」などと記載されており,同会
議においては,「体育館はa町の中で24年度から27年度のオープンの
見込み…備考に書いているようにH跡地が有力で,敷地3900㎡と駐車
場1600㎡を確保,現状より1.5倍を想定している。」などといった
説明がされている。
(以上につき,甲6,26,乙11の3,証人Q)
(14)門真市は,平成23年7月,門真市財政健全化計画・中期財政見通しを
策定し,同年8月にこれを公表した。その資料として作成された「門真市b
町・c町・a町地区公共公益施設構想図」(別紙図面4)には,平成28
年度見込みとして,南側土地上の約5000㎡の区画に市立体育館を建設
する構想が記載されており,門真市において,南側土地上に市立体育館を
建設する方針が確定した。(乙28)
(15)門真市は,平成24年11月5日及び平成25年3月27日,Aらとの
間で,本件移転補償費を合計29億4390万7000円(本件各建物の
現在価値23億9000万円,除却費用5億5000万円)とする本件補
償契約を締結し,Aらに対し,同年4月10日に14億9731万130
0円,同年12月20日に14億4659万5700円をそれぞれ支払っ
た(本件支出)。本件支出により,Aらはそれぞれ14億7195万35
00円を受領した。
本件移転補償費については,店舗の再築を要しない「除却工法」によるも
のとして,補償基準28条1項前段,補償細則第15第1項(六)五ロ,
算定標準Ⅱ4(5)イ及び同(1)①アaにより,次の計算式に則って算定され
た。
(計算式)
移転補償費=従前建物の現在価額(次の計算式のとおり)+取壊し工事費
-発生材価額
従前建物の現在価額=推定再建築費×{1-(1-残存価額率)×経過年
数/耐用年数}
(以上につき,乙9,35)
(16)本件補償は,住市総事業に基づく居住環境形成施設整備事業としての地
区公共施設等整備事業(道路整備事業)の実施を根拠に,同整備事業の支
障となる本件各建物に対する移転補償として行われたものであり,門真市
に対しては,交付要綱に基づき,国から本件移転補償費の2分の1に相当
する14億7195万2000円の交付金が交付された。
また,門真市は,本件移転補償費につき,上記交付金のほかに,「日本経
済再生に向けた緊急経済対策」(平成25年1月11日閣議決定)におい
て創設された「地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交
付金)」の対象事業として,国から5億7863万8000円の交付金の
交付を受け,さらに,地方財政法5条5号の道路の建設事業費として8億
9320万円の地方債を起債し,その余の11万7000円を一般財源か
ら支出した。
(以上につき,甲2,乙4,19)
(17)門真市は,平成25年3月6日付けで,URに対し,「a町地区におけ
る防災拠点整備に伴う土地の移動について(協力依頼)」と題する書面に
より,市立体育館を南側土地に建設する予定であるとして,土地区画整理
事業において,南側土地と北側土地との換地(北側土地への移動)への協
力を依頼した。URは,同月14日付けで,門真市に対し,上記要請に協
力する旨を回答するとともに,土壌汚染等に関する協議を要請し,門真市
とURは,同月29日付けで,門真市a町地区における土地の移動に関す
る確認書を締結した。
門真市a町土地区画整理組合は,平成26年2月13日に設立を認可され,
同年4月25日付けで地権者に対する仮換地指定をした。その結果,南側
土地は市立体育館の建設用地とされ,URが所有する南側土地はほぼ北側
土地に相当する画地に仮換地され,Aらが所有する北側土地はa町地区の
別の画地(南側土地の南側に隣接する画地)に仮換地された。上記仮換地
指定後の所有者別の配置は,「a町地区従前従後土地所有者別分布図」(別
紙図面5)の右側の図のとおりである。
(以上につき,甲12,乙7,15,39,40)
2争点(1)(F及びAらの共同不法行為の成否-事案の骨子(2)アの共同不法
行為に基づく損害賠償請求)について
(1)門真市に平成22年3月3日(本件回答)時点で本件各土地を購入する
必要性があったか否か(主張の骨子①)
ア原告らは,要旨,門真市においては,本件回答がされた平成22年3
月3日より前から,本件各土地に市立体育館を建設することが計画又は
想定されており,少なくとも,a町地区において市立体育館等の公共施
設の建設用地が不足することは明らかであったから,門真市としては,
同日時点で,本件各土地を購入する必要性があったと主張する。
イしかし,本件の事実経過によれば,門真市において,本件回答がされ
た平成22年3月3日より前から,本件各土地に市立体育館を建設する
ことが計画又は想定されていたとは認められない。
すなわち,本件の事実経過を順にみていくと,平成20年3月の本件
基本構想においては,まちづくりのイメージが示されているにすぎず,
市立体育館を含む公共施設の配置については何も決まっておらず(事実
経過(2)),平成21年3月の本件基本計画においては,a町地区の土
地利用計画検討図等に市立体育館は記載されておらず,a町地区内に市
立体育館を建設する選択肢についても,敷地の確保は可能であるが採用
の可能性は低いとされており,市立体育館をa町地区に設置するかどう
かすら方針が定まっていない(事実経過(3))。同年8月に都市建設部
が作成した本件事業計画添付のa町地区整備構想図整備計画案(別紙図
面1)及び同建替計画案においても,市立体育館については,従来の敷
地付近の区画に設置する案が記載されており,本件各土地については,
民間の所有地として,共同住宅や商業施設の建設が想定されている(事
実経過(4))。さらに,平成22年4月にKが作成した一覧表には,市
立体育館につき「a町に建設の方向」とされているものの,施設の規模
等を含め具体的な計画の内容は定まっておらず(事実経過(11)),同年
9月に都市建設部が作成したb町・c町・a町地区施設計画図(案)
(別紙図面2)においても,市立体育館については,従来の敷地付近に
設置する案が記載されており,本件各土地については,計画宅地等とす
る案が記載されている(事実経過(12))。このように,平成22年9月
頃に至るまで,門真市において,本件各土地(北側土地又は南側土地)
に市立体育館を建設する案が具体的に検討された形跡は見当たらない。
かえって,本件の事実経過によれば,都市建設部は,平成22年10
月1日の第1回門真市政策調整会議の議論を踏まえ,北側土地上に市立
体育館を配置した施設計画図(別紙図面3)を作成し,同年11月1日
の第2回門真市政策調整会議において,本件各土地に市立体育館を建設
する方針が具体化し(事実経過(13)),平成23年7月に策定された門
真市財政健全化計画・中期財政見通しの添付資料(公共公益施設構想図
・別紙図面4)において,南側土地上の約5000㎡の区画に市立体育
館を建設する構想が記載されている(事実経過(14))ことからすると,
門真市において,本件各土地に市立体育館を建設することが計画又は想
定されたといえるのは,平成22年11月1日の第2回門真市政策調整
会議又はそれ以降というべきである。
ウまた,本件の事実経過によれば,平成22年3月3日当時,a町地区
において,市立体育館等の公共施設の建設用地が不足していたとは認め
られない。
すなわち,本件の事実経過をみると,平成21年3月の本件基本計画
においては,市立体育館の想定される施設規模として,敷地面積約45
00㎡とされていたところ,a町地区内に市立体育館を建設する選択肢
については,「敷地の確保は可能である」とされている(事実経過
(3))。また,都市建設部が作成した本件事業計画においては,本件各
建物の移転補償費として約45億7000万円(再築工法により算定)
が事業費として見積もられているものの,本件各土地の先行取得の計画
はなく,その先行取得やその準備のための予算も見積もられていない。
また,a町地区整備構想図整備計画案(別紙図面1)によれば,市所有
地(宅地)のうち約1万㎡もの土地が民間活用地(共同住宅)とされて
おり,仮に市立体育館の敷地の規模を拡大しても市所有地が不足すると
は考え難い上,上記事業計画によれば,住市総事業で交付金の対象とな
る先行買収面積の限度は6458.74㎡となるところ,1万3000
㎡を超える本件各土地はこの先行買収面積の限度を超えている(事実経
過(4))。さらに,門真市は,平成26年4月,a町地区従前従後土地
所有者別分布図(別紙図面5)のとおり,市立体育館の敷地(南側土
地)につき仮換地指定を受けており,本件基本計画において計画されて
いた先行取得予定の土地を除き,市所有地を増やすことなく市立体育館
の敷地を確保している(事実経過(17))。このように,a町地区におい
ては,本件基本計画から上記の仮換地指定に至るまで,市立体育館等の
公共施設の建設用地は十分に確保されていたというべきであり,これが
不足していたとは認められない。
エ以上のとおり,門真市において,本件回答がされた平成22年3月3
日より前から,本件各土地に市立体育館を建設することが計画又は想定
されていたとは認められないし,a町地区において,市立体育館等の公
共施設の建設用地が不足していたとも認められないから,原告らの上記
主張(主張の骨子①)は採用することができない。
(2)門真市が本件照会の際に本件各土地の買取りを希望していれば15億円
を下回る価格で本件不動産を購入し得たか否か(主張の骨子②)
ア本件各土地の買取価格について
(ア)門真市が本件照会の際に本件各土地の買取りを希望した場合には,
本件各土地は地価公示法2条1項の公示区域(都市計画区域その他の
土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区
域)内に所在する土地であるから(弁論の全趣旨),その買収価格は,
公拡法7条により,地価公示法6条の規定による公示価格を規準とし
て算定した価格,すなわち,当該土地と同法2条1項の標準地との位
置,地積,環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因について比較
して,標準地の公示価格と当該土地の買収価格との間に均衡を保たせ
るように算定した価格としなければならない(最高裁判所平成17年
10月11日第三小法廷判決・裁判集民事218号1頁参照)。
ところで,Gは,不動産鑑定業者に対し,平成21年10月1日時
点における本件不動産の評価額の鑑定を依頼しているところ,その不
動産鑑定評価書において,本件各土地の更地価格は21億円と査定さ
れている(事実経過(5))。また,一般に,宅地の固定資産評価額は,
標準宅地の公示価格及び不動産鑑定士等による鑑定評価から求められ
た価格の7割程度の価格を規準として算定するものとされており(固
定資産評価基準〔昭和38年12月25日自治省告示第158号〕第
1章第12節一参照),宅地の固定資産評価額を0.7で割った価格
は,公示価格を規準として算定した価格に近いものといえるところ,
本件各土地の平成21年度の固定資産評価額は13億4067万40
76円であるから(事実経過(9)),これを0.7で割った価格は1
9億1524万8680円となる。
また,本件各土地はR駅やS駅の徒歩圏内にあり,その1平米当た
りの価格は,平成21年度の門真市の公示価格の標準地25か所のう
ち最も低い価格12万3000円/㎡を下回ることは考えにくいとこ
ろ,これに本件各土地の面積1万3028.94㎡を乗ずると,16
億0255万9620円となる。
以上のとおり,門真市が本件照会の際に本件各土地の買取りを希望
した場合には,Gとの間で協議が成立したとしても,本件各土地の買
取価格は20億円前後であると見込まれ,少なくとも16億円を超え
るものと考えられる。
(イ)この点につき,原告らは,門真市が本件照会の際に本件各土地の買
取りを希望していれば,本件各土地の更地価格(上記(ア))から本件
各建物の解体費用(約5億8000万円)を控除した金額で買収する
ことができる旨主張する。
しかし,門真市が本件照会の際に本件各土地の買取りを希望し,本
件各土地を買い取ることとなった場合には,その買取価格については,
補償基準要綱及びその実施規程である補償基準の定めによることが求
められる(補償基準要綱1条,補償基準1条,交付要綱附属第Ⅱ編第
1章16-(8)16参照)。しかるところ,補償基準8条2項は,
取得する土地に対して正常な取引価格をもって補償する場合(同条1
項の場合)において,当該土地に建物その他の物件があるときは,当
該物件がないものとしての当該土地の正常な取引価格によるものとす
る旨規定しているのであるから,本件各土地についても,上記の場合
における買取価格は本件各建物がないものとしての本件各土地の正常
な取引価格(更地価格)となるのであって,本件各建物の解体費用を
控除することは補償基準に反するものというべきである。原告らの上
記主張は,補償基準に反する取扱いを求めるものであって,採用する
ことができない。
イ本件各建物の移転補償費について
(ア)前述のとおり,門真市が本件照会の際に本件各土地の買取りを希望
し,本件各土地を買い取ることとなった場合には,本件各建物の買取
価格又は移転補償費についても,補償基準要綱及びその実施規程であ
る補償基準の定めによることが求められる。しかるところ,補償基準
28条1項前段は,土地の取得又は使用に係る土地に,建物で取得せ
ず又は使用しないものがあるときは,当該建物を通常妥当と認められ
る移転先に,通常妥当と認められる移転方法によって移転するのに要
する費用を補償するものとする旨規定しているのであるから,門真市
は,本件各土地を取得するに当たり,取得し又は使用する必要のない
本件各建物について,「通常妥当と認められる移転先に,通常妥当と
認められる移転方法によって移転するのに要する費用」(移転補償
費)を補償する必要があるというべきである。そして,本件各建物の
除却工法による移転補償費は,本件補償の際に用いられた損失補償金
算定調書(乙35)によれば,合計29億4390万7000円であ
ると認められる。
(イ)この点につき,原告らは,門真市が本件各土地を買い取る場合には,
Gとの協議により,本件売買契約における代金額(3億6225万
円)程度で本件各建物を取得することもできると主張するようである。
しかし,前述のとおり,本件各建物の補償についても,補償基準要
綱及び補償基準の定めによることが求められるというべきであって,
民間における通常の不動産取引と同様の価格交渉が可能であるとする
原告らの主張は採用することができない(なお,本件各建物につき,
補償基準30条の適用がないことについては後述する。)。
ウ小括
以上によれば,門真市が本件照会の際に本件各土地の買取りを希望し
た場合には,Gとの協議が成立したとしても,本件各土地の買取価格及
び本件各建物の移転補償費の合計は,約49億円であると見込まれ,少
なく見積もっても45億円を超えるものと認められる。
したがって,門真市が買取りを希望すれば15億円を下回る価格で本
件不動産を購入し得たとはいえず,むしろ,本件移転補償費よりも多額
の支出を要したものというべきであるから,原告らの主張(主張の骨子
②)は採用することができない。
(3)「買取希望無し」とした本件回答は不合理であるか否か(主張の骨子
③)
ア原告らは,F及び門真市の職員らは,本件各土地を取得する必要性を
認識していたにもかかわらず,通常行っている各部長への買取希望の有
無の確認を省略し,都市建設部長のみにその確認をするにとどめ,本件
照会からわずか1日で「買取希望無し」と判断して回答したものであり,
本件回答に合理性がないことは明らかであるなどと主張する。
イしかし,門真市には平成22年3月3日(本件回答)時点で本件各土
地を購入する必要性はなかったというべきであるから(上記(1)),原
告らの上記主張は,その前提を誤るものといわざるを得ない。また,門
真市が本件各土地につき「買取希望有り」と回答するためには,具体的
な買取りの目的(公拡法6条1項)を示す必要があるところ(甲3の3,
乙14,33の3,34の3),上記のとおり,門真市には,当時,本
件各土地を買い取る必要性はなかったのであり,これを買い取って使用
する行政上の目的もなかったといえるから,門真市として,本件照会に
対し,買取りの目的を示して「買取希望有り」と回答することはできな
かったといえる。
なお,門真市が本件照会に対し「買取希望有り」の回答をするために
は,そのための予算措置が必要であるところ(乙33の3,34の3),
門真市の財政状況は非常に厳しく,平成20年度の財政調整基金残高は
わずか14億6300万円であったこと(乙28),当時,門真市土地
開発公社は,解散に向けて累積赤字を減らす業務のみを行っており(平
成25年1月25日解散),新たに土地を取得する業務は行っていなか
ったこと(乙28,36,49,証人K),公共用地先行取得事業特別
会計において地方債を発行するための手続を3週間の回答期限(公拡法
6条2項)内に間に合わせることは事実上不可能であったこと(乙37,
49)などの事情が認められ,たとい原告らが主張する金額を前提とし
ても,門真市が本件照会に対し「買取希望有り」と回答することは,門
真市の予算面からみて困難であったと認められる。
ウ原告らは,門真市において,議会に諮ることもなく,各部長への買取
希望の有無の確認を省略し,都市建設部長のみにその確認をするにとど
め,わずか1日で本件回答をしたのは異例の措置であると主張する。
しかし,門真市において,公拡法上の届出等につき買取希望の有無の
通知を行うまでの期間が数日程度のものは少なくなく,当日中に通知し
ているものもあること(乙16,49,証人K),公拡法に基づく届出
に係る決裁は部長の専決事項とされており(門真市事務処理規程7条,
別表2第6項),これを議会に諮る運用はされていないこと(乙53,
弁論の全趣旨),本件の他にも,門真市において,公拡法上の届出等に
つき,事業を所管する都市建設部長にのみ買取希望の有無を確認する例
は複数存在すること(乙29,33)が認められ,前述のとおり,当時,
門真市において本件各土地を購入する必要性はなかったことにも鑑みる
と,本件照会から本件回答に至るまでの手続等が異例のものであったと
は認められない。
エ以上のとおり,本件各土地につき「買取希望無し」とした本件回答は,
内容的にも手続的にも不合理であるとは認められず,原告らの主張(主
張の骨子③)は採用することができない。
(4)本件移転補償費の算定に誤りがあるか否か(主張の骨子④)
ア本件移転補償費については,店舗の再築を要しない「除却工法」によ
るものとして,補償基準28条1項前段,補償細則第15第1項(六)
五ロ並びに算定標準Ⅱ4(5)イ及び同(1)①アaにより,従前建物の現在
価額(推定再建築費及び耐用年数等を基に算定)に取壊し工事費を加え,
発生材価額を控除して算定されたことが認められ(事実経過(15)),そ
の計算過程において誤りがあるとは認められない(乙35,弁論の全趣
旨)。
イこの点につき,原告らは,本件売買契約は本件各建物の直近の取引事
例であって,その価格は「正常な取引価格」というべきであるから,本
件各建物に対する補償費は,補償基準30条(要旨,建物の移転補償費
が当該建物の取得価格を超えるときは,当該建物を取得することができ
る旨の規定)により,本件売買契約における本件各建物の代金3億62
25万円を基準として算定されるべきであるとか,本件各建物を上記金
額をもって買い取るべきであったなどと主張する。
そこで検討するに,補償基準15条は,取得する建物に対する補償に
ついては,土地の取得に係る補償の例による旨規定し,同基準8条1項
は,取得する土地に対しては,正常な取引価格をもって補償するものと
する旨規定し,同基準9条1項は,上記の正常な取引価格は,近傍類地
の取引価格を基準とし,これらの土地及び取得する土地について,同項
各号に掲げる土地価格形成上の諸要素を総合的に比較考量して算定する
ものとする旨規定する。他方,同基準16条は,近傍同種の建物の取引
の事例がない場合においては,同基準15条の規定にかかわらず,取得
する建物に対しては,当該建物の推定再建設費を,取得時までの経過年
数及び維持保存の状況に応じて減価した額をもって補償するものとする
旨規定する。
これらの規定によれば,建物の「正常な取引価格」は,「近傍同種の
建物」の取引事例がある場合には,近傍同種の建物の取引価格を基準と
し,近傍同種の建物と取得する建物との間で,価格形成上の諸要素を総
合的に比較考量して算定すべきものとされているものといえ,補償基準
において,取得する建物それ自体の過去の取引価格をもって,当該建物
の「正常な取引価格」とするものとはされていない。また,「近傍同種
の建物」との文言や上記の比較考量による算定方法等に照らせば,「近
傍同種の建物」には,取得する建物それ自体を含まないことは明らかで
ある。
そうすると,本件売買契約における本件各建物の価格は,本件各建物
の「正常な取引価格」でも,「近傍同種の建物」の取引価格でもないと
いうべきである(なお付言するに,本件売買契約においては,本件各建
物の価格を0円又は備忘価格にとどめることも検討されたが,このよう
な価格にすると税務調査があったときに説明に耐えられない可能性があ
るとの指摘があったため,固定資産評価額等を考慮して3億6225万
円とされたというのであり(事実経過(9)),このような特殊な事情に
基づき決定された価格を「正常な取引価格」と評価し得ないことは,こ
の点からも明らかである。)。
したがって,本件各建物を取得することとした場合の取得価格につい
ては,「近傍同種の建物」の取引事例がない場合に係る補償基準16条
により,本件各建物の推定再建設費を基に算定することになるところ,
その算定結果が本件移転補償費の金額を下回るとは認められないから,
本件各建物につき補償基準30条の適用はないというべきであり,門真
市が同基準28条1項前段により移転補償を行ったことに誤りがあると
は認められない。原告らの主張(主張の骨子④)は採用することができ
ない。
ウなお,原告らは,最終準備書面において,本件各土地につき,本件各
建物が存在する状態のままで換地処分を行い,本件各建物の除却工事を
行えば,門真市は原告らに対し損失補償を行う必要はなかったと主張す
る。
しかし,換地処分は,原則として,換地計画に係る区域の全部につい
て土地区画整理事業の工事が完了した後に行われるものであり(土地区
画整理法103条2項本文),除却すべき建物があれば,仮換地を指定
した上で当該建物を除却し,移転補償を行うことになるのであって(同
法98条1項,77条1項,78条1項),換地処分により建物の所有
権の放棄を強制することはできない。原告らの上記主張は,その前提を
誤るものといわざるを得ず,採用することができない。
また,原告らは,Aらが自ら本件各建物を除却すれば,門真市は損失
補償を行う必要はなく,解体費用も負担する必要がないと主張するが,
Aらが自らの負担で本件各建物を除却する予定であったことはうかがわ
れないし,門真市において,Aらが自らこれを除却するまで事業の遂行
を停止すべきであったともいえない。原告らの主張は採用することがで
きない。
(5)小括
以上のとおり,①門真市に平成22年3月3日(本件回答)時点で本件
各土地を購入する必要性があったとは認められず,②門真市が本件照会の
際に本件各土地の買取りを希望していれば15億円を下回る価格で本件不
動産を購入し得たとは認められず,かえって,本件移転補償費の金額を超
える負担が必要であったと認められ,③「買取希望無し」とした本件回答
は内容的にも手続的にも不合理であるとは認められないから,本件回答が
違法であるとは認められない。また,④本件移転補償費の算定に誤りがあ
るとは認められないから,本件補償が違法であるとも認められない。
また,原告らは,本件回答及び本件補償は,Fやその意向を受けた門真
市の職員らとAらとが共謀の上,門真市の損失の下でAらに不当な利益を
得させるために行われたものであると主張するが,これらの者が上記のよ
うな意図をもって共謀したことをうかがわせる証拠は見当たらない(なお,
都市計画部長であったQは,門真市を退職した後にAに再就職しているが,
そのことをもって直ちに,Qが門真市に在職中にAらと癒着していたとか,
背任の意図をもって共謀していたと推認することはできない。)。
よって,F及びAらによる共同不法行為があったとは認められないから,
これに基づく損害賠償請求(事案の骨子(2)ア)はいずれも理由がない。
3争点(2)(本件移転補償費の算定に係るFの不法行為の成否-事案の骨子(2)
イの不法行為に基づく損害賠償請求)について
上記2(4)記載のとおり,本件移転補償費の算定に誤りがあるとは認められ
ないから,本件移転補償費の算定に係るFの不法行為が成立する余地はなく,
これに基づく損害賠償請求(事案の骨子(2)イ)はいずれも理由がない。
4争点(3)(本件補償契約の有効性-事案の骨子(2)ウの不当利得返還請求)に
ついて
原告らは,本件移転補償費の算定は補償基準に反しており,その金額はあま
りに高額であって,地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項の趣旨に
著しく反するから,本件補償契約は公序良俗に反するものとして無効である
と主張するが,上記2(4)記載のとおり,本件移転補償費の算定に誤りがある
とは認められないから,本件補償契約が公序良俗に反し無効であるとも認め
られない。
したがって,本件補償は法律上の原因を欠くものではなく,Aらに対する不
当利得返還請求(事案の骨子(2)ウ)は,いずれも理由がない。
第4結論
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいず
れも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第7民事部
裁判長裁判官山田明
裁判官徳地淳
裁判官湯川舞子
(別紙1)
当事者目録
(省略)
(別紙2)
建物目録
1(一棟の建物の表示)
所在門真市a町d番地f,d番地e,g番地h
構造鉄筋コンクリート造陸屋根5階建
床面積1階6992.29㎡
2階6740.99㎡
3階3919.14㎡
4階3771.22㎡
5階73.52㎡
(専有部分の建物の表示)
家屋番号a町d番k
建物の名称B
種類店舗
構造鉄筋コンクリート造陸屋根5階建
床面積1階部分4172.66㎡
2階部分6688.47㎡
3階部分3866.09㎡
4階部分3744.93㎡
5階部分71.35㎡
(附属建物の表示)
符号1
種類守衛室
構造a町d番地f木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建
床面積4.00㎡
所有者持分2分の1A株式会社
持分2分の1株式会社E
2(一棟の建物の表示)
所在門真市a町d番地f,d番地e,g番地h
構造鉄筋コンクリート造陸屋根5階建
床面積1階6992.29㎡
2階6740.99㎡
3階3919.14㎡
4階3771.22㎡
5階73.52㎡
(専有部分の建物の表示)
家屋番号a町d番l
種類店舗
構造鉄筋コンクリート造1階建
床面積1階部分2714.35㎡
所有者持分2分の1A株式会社
持分2分の1株式会社E
(別紙3)
土地目録
1所在門真市a町
地番d番e
地目宅地
地積2979.45㎡
所有者持分2分の1A株式会社
持分2分の1株式会社E
2所在門真市a町
地番d番i
地目宅地
地積7070.04㎡
所有者独立行政法人都市再生機構
3所在門真市a町
地番d番j
地目宅地
地積2979.45㎡
所有者持分2分の1A株式会社
持分2分の1株式会社E
別紙図面1~5(省略)

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採用情報


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残り応募人数(2019年5月1日現在)
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