弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告指定代理人香川保一、同森脇勝の上告理由について。
 原判決は、本件暴行当時の状況について具体的に事実を確定したうえ、右事実関
係のもとにおいては、被害者Dの死の結果について、担当のE、F両教官に監視の
十分でなかつた過失がある旨認定・判断しているのであるから、所論のように、原
判決が、少年院勤務教官の一般的、抽象的義務の存在を理由に、直ちに本件暴行に
よる死亡の結果の発生について右両教官に過失があつたと判断しているにひとしい
ものということはできない。したがつて、これを前提に原判決を攻撃する論旨は理
由がない。
 ところで、いうまでもなく 少年院は家庭裁判所から保護処分として送致された
少年を収容し、これに矯正教育を授ける施設であり(少年院法一条)、そこにおけ
る処遇は心身ともに健全な少年の育成を期して行なわなければならない(少年院処
遇規則一条)と共に、少年院への収容は強制力を用いて少年の身柄を院内に抑留し
て行なうものである以上、収容された少年の生命、身体の安全を確保することにつ
いては、国ならびに当該少年院の職員は万全の意を用うべきものというべきである。
このため、少年院寮舎に勤務する職員は、少年の間において行なわれるいわゆる私
刑についてはこれを防止すべく特に注意を怠つてはならないものというべきであり、
このように解することが収容少年の自律性、責任感の涵養をそこなう結果を招来し、
少年院法の趣旨に反するものとすることはできない。そして、原審の確定した事実、
すなわち、本件暴行は、教官の行なう朝の点呼直後の教官の事務引継および寮内各
室巡回中に行なわれたものであり、暴行現場の部屋は、教官の事務引継のなされて
いた寮監室ときわめて近接していたものであるなど原判示の事実関係に照らせば、
本件の担当教官たる訴外E、同Fの両者に本件暴行の発生を防止すべき注意義務を
つくさなかつた過失があるとした原判決の判断は正当である。したがつて、原判決
には所論の違法はなく、論旨は理由がない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、慰藉料請求権の相続に関し、
裁判官岩田誠の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決
する。
 裁判官岩田誠の反対意見は、次のとおりである。
 上告代理人の上告理由に関しての原判決の判断を正当と認むべきことは、前述の
多数意見の見解と同一である。しかしながら、職権をもつて考えるに、原判決は、
被上告人両名がDの慰藉料請求権を相続により取得したものとするのであるが、不
法行為による慰藉料請求権は一身専属的なものであり、相続の対象となると解すべ
きものではない。この点に関する私の見解は、当裁判所昭和三八年(オ)第一四〇
八号、同四二年一一月一日大法廷判決、民集二一巻九号二二四九頁における私の反
対意見と同一であるから、それを引用する。このような見解に照らしてみれば、原
判決が、被上告人両名においてDの慰藉料請求権を相続により取得したものとし、
その慰藉料として上告人に対し一五万円宛の支払を命じた部分は、慰藉料請求権の
性質およびその相続に関する民法の規定の解釈を誤つたものであり、この違法が原
判決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、原判決は右の部分について破
棄を免れない。したがつて、原判決主文第二項中被上告人らに対しそれぞれ金一三
五万円およびこれに対する昭和四一年一一月二三日から完済に至るまで年五分の割
合による金員の支払を命じた部分をこえる部分を破棄し、右部分についての被上告
人らの請求を棄却し、その余の部分についての原判決の判断は正当であるから、こ
の部分についてのみ上告を棄却すべきである。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    藤   林   益   三
            裁判官    下   田   武   三
            裁判官    岸       盛   一

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