弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴は之を棄却する。
         理    由
 検祭官Aの控訴の趣意及び之に対する弁護人大竹武七郎の答弁の趣意は、本判決
末尾に添附の控訴趣意書提出書と題する書面(控訴趣意書と題する書類を包含す
る)及び答弁書と題する書面に夫々記載のとおりであるから、これらにつき左のと
おり判断する。
 弁護人大竹武七郎の答弁書記載第一点(一)について
 右控訴趣意書は原審に対応する長野地方検察庁岩村田支部検事Bにより作成提出
され当審に対応する東京高等検察庁検事Aは単に之に控訴趣意書提出書と題する書
面を添付したに過ぎないので、結局本件については適法な控訴趣意書の提出がなか
つたことに帰する旨の主張があるけれども「控訴趣意書提出書」の名義人は東京高
等検察庁検事Aとなつており、同書面本文には「控訴申立の理由として別紙控訴趣
意書を提出する」と記載されてあり而してこの書面に長野地方検察庁岩村田支部検
察官検事B作成名義の控<要旨>訴趣意書と題する書面が添付されてある。これを以
て見れば東京高等検察庁検事Aは前記支部検察官検事B作成名義の控訴趣意
書をそのまゝ全面的に引用して自己の控訴趣意書として当裁判所に提出したものと
解すべきである。即ちこの場合検事Bの控訴趣意書の内容はそのまま検事Aの控訴
趣意書となつたのである。引用され九書面の作成者が原検察庁の検察官であること
は検事Aが東京高等検察庁検事として提出した控訴趣意書の効力を無効とすべきも
のではない。故に本件につき適法な控訴趣意書の提出なしとする右主張は採用し難
い。
 (その他の判決理由は省略する。)
 そこで刑事訴訟法第三百九十六条により本件控訴は之を棄却することにして、主
文のとおり判決する。
 (裁判長判事 佐伯顕二 判事 武田軍治 判事 仁科恒彦)

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