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平成20年11月27日判決言渡
平成20年(行ケ)第10086号審決取消請求事件
平成20年10月2日口頭弁論終結
判決
原告株式会社リョクサイ
原告株式会社いきいきライフ
原告抹消前商号杏林ファルマ株式会社
(審決上の表示杏林ファルマ株式会社)
被告株式会社ロッテ
訴訟代理人弁理士岡部正夫
同岡部讓
同本宮照久
主文
1原告らの請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
特許庁が無効2006−89145号事件について平成20年1月22日に
した審決のうち「登録第1692144号の2についての審判請求は成り立た
ない」との部分を取り消す。。
第2前提事実
1特許庁における手続の経緯
登録第1692144号の商標は,別紙①のとおりの構成よりなり,昭和5
1年7月8日に登録出願され(出願番号51−045356号,商品の区分)
第30類の「菓子,パン」を指定商品として,昭和59年6月21日に設定登
,()録されその後2回にわたり平成6年11月29日及び平成16年6月8日
商標権の存続期間の更新登録がなされ,平成17年4月27日に指定商品を第
30類の「菓子及びパン」とする指定商品の書換登録がされ,さらに,その商
標権は,平成19年2月14日に第30類の別紙②「指定商品目録1」記載の
商品を指定商品とする登録第1692144号の1と,第30類の別紙③「指
定商品目録2」記載の商品を指定商品とする登録第1692144号の2に分
割の登録がされた(商標権者は被告であった。なお,登録第1692144。)
号の2については,同年10月3日,一般承継による本権の移転の登録がされ
た(商標権者は被告である。。)
原告らは,平成18年10月10日,登録第1692144号の商標に係る
無効審判を請求した(無効2006−89145号事件。被告は,平成19)
年2月14日,上記のとおり,登録第1692144号の商標権につき,登録
第1692144号の1と登録第1692144号の2に分割の登録をした。
特許庁は,平成20年1月22日,登録第1692144号の1の登録を無
効とし,登録第1692144号の2についての審判請求は成り立たないとす
る旨の審決(以下,登録第1692144号の2に係る審決部分を「審決」と
いう)をし,その謄本は原告らに送達された。。
2審決の理由
審決の理由は,別紙審決書写しのとおりであり,その要旨は,次のとおりで
ある。
()登録第1692144号の2の指定商品は,いずれもキシリトールを使1
用した商品であるから「キシリトール」の文字及び「XYLITOL」の,
文字を書してなる登録第1692144号の2に係る商標をその指定商品に
使用しても,商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標ということはでき
ない。また,商標法4条1項16号に規定する商品の品質の誤認は,商品の
品質の劣悪には関係ないものとされている。
したがって,登録第1692144号の2の商標が商標法4条1項16号
(,に違反して登録されたことを理由とする審判請求は成り立たない審決第7
8項,37頁。)
()原告(審判請求人)らは,平成19年1月15日付け審判事件弁駁書及2
び同日付け上申書において,請求の趣旨を「1『商標法第4条第1項第1()
6号』に違反して登録された無効な商標である(2)登録と異なる商標の。
故意の使用により被請求人の製品の品質の誤認を生じさせており商標法第5
3条の規定に該当する。また『商標法第51条』に基づき登録商標の無効を
求める(3)平成16年(2004年)6月8日の『商標登録の更新』の。
無効(商標法第3条第1項第1号『その商品又は役務の普通名称(XYL。)
ITOL)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該
当する他,同第2号,同第3号及び同第6号にも該当する。よって,平成1
6年(2004年)6月8日の『商標登録の更新』は無効とされるべき商標
である。被請求人の本件商標は,上記の各規定に違反若しくは該当して登録
された商標であり,本件商標の登録の全部を無効とする」と変更する旨主。
張しているが,これは請求の理由の要旨を変更するものであるから,商標法
56条1項で準用する特許法131条の2第1項の規定により許されない
(審決第7,9項,38頁。)
第3取消事由に係る原告らの主張
1取消事由1(商標法4条1項16号に関する判断の誤り)
被告は甘味料の成分の100%がキシリトールでないチューインガム等にも
登録第1692144号の2の商標を使用しているから,同商標は商標法4条
1項16号に該当し,審決には,商標法4条1項16号に関する判断の誤りが
ある。
2取消事由2(商標法3条1項6号の該当性について判断しなかった誤り)
原告らが,平成19年1月15日付け審判事件弁駁書において,無効審判請
求の理由として,商標法3条1項6号に該当することを追加して主張したにも
かかわらず,審決は,登録第1692144号の2の商標に商標法3条1項6
号に該当する違法があることを判断しなかったから,審決は違法である。
第4被告の反論
1取消事由1(商標法4条1項16号に関する判断の誤り)に対し
商標法4条1項16号に定められた商品の品質の誤認を生ずるおそれがある
商標に当たるか否かは,商標がその指定商品との関係において商品の品質の誤
認を生ずるおそれがあるか否かについて判断されるべきである。登録第169
2144号の2の指定商品は,いずれもキシリトールを使用した商品であるか
ら,登録第1692144号の2の商標との関係で品質の誤認を生ずるおそれ
はない。
原告らは,被告は成分の100%がキシリトールでない甘味料を添加したチ
ューインガム等にも登録第1692144号の2の商標を使用しているから,
同商標は商標法4条1項16号に該当する旨主張する。しかし,実際に商標が
どのように使用されているかという点は,その商標の商標法4条1項16号へ
の該当性に影響を与えるものではなく,主張自体失当である。
したがって,登録第1692144号の2の商標は商品の品質の誤認を生ず
るおそれがある商標に該当しないとした審決の判断に誤りはない。
2取消事由2(商標法3条1項6号の該当性について判断しなかった誤り)に
対し
商標法3条に違反する商標登録の無効審判は,商標権の設定登録の日から5
年を経過した後は請求することができないところ(商標法47条1項,登録)
第1692144号の2の商標は,昭和59年6月21日に設定登録されたか
ら,これについて,商標法3条1項6号に該当することは無効理由として成り
立ち得ない。そうすると,審判官は,商標法3条1項6号に該当するとの無効
理由について職権による審理を義務づけられることはない。したがって,商標
法3条1項6号に該当することについて審決が判断しなかったことに違法はな
い。
第5当裁判所の判断
1取消事由1(商標法4条1項16号に関する判断の誤り)について
()商品の品質又は役務の質(以下では,商品についてのみ述べる)の誤認1。
を生ずるおそれがある商標については,公益に反するとの趣旨から,商標登
録を受けることができない旨規定されている(商標法4条1項16号。同)
趣旨に照らすならば,商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標とは,指
定商品に係る取引の実情の下で,取引者又は需要者において,当該商標が表
示していると通常理解される品質と指定商品が有する品質とが異なるため,
商標を付した商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある商標を指すものと
いうべきである。
本件についてみると,登録第1692144号の2の商標は,別紙①のと
おり「キシリトール」及び「XYLITOL」の文字を2段に横書きした,
ものであるから,指定商品に係る取引の実情の下で,取引者又は需要者は,
,,。その使用される商品はキシリトールが含まれているものと認識理解する
他方,指定商品は,別紙③「指定商品目録2」記載のとおり,いずれもキシ
リトールを使用した商品に限定されている。したがって,同商標は,その指
定商品に係る取引の実情の下で,取引者又は需要者において同商標が表示し
ていると通常理解される品質と指定商品の有する品質とが異なることはな
く,同商標を付した商品の品質の誤認を生じさせるおそれはないというべき
である。
この点について,原告らは,被告は成分の100%がキシリトールでない
甘味料を添加したチューインガム等にも,登録第1692144号の2の商
標を使用しているから,商標法4条1項16号に該当すると主張する。
しかし,公益に反する商標の登録を排除するという商標法4条1項16号
の趣旨に照らすならば,商標法4条1項16号への該当性の有無は,商標が
表示していると通常理解される品質と指定商品の有する品質とが異なり,商
標を付した商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるか否かを基準として
判断されるべきものであり,実際に商標を使用した商品がどのような品質を
有しているかは,商標法4条1項16号への該当性の有無に影響を及ぼすも
のではない。したがって,原告らの上記主張は,その主張自体失当である。
また,取引者又は需要者は,取引の実情の下で,登録第1692144号
の2の商標が表示する品質について,キシリトールを使用した甘味料が添加
されたものと認識すると解され,キシリトール100%からなる甘味料のみ
が添加されたものと認識することはないものと解される。したがって,原告
らの上記主張は,この点からも失当である。
,,,()したがって審決が登録第1692144号の2に係る商標について2
商標法4条1項16号所定の商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標と
いうことはできないと判断した点に誤りはないというべきであって,取消事
由1は理由がない。
2取消事由2(商標法3条1項6号の該当性について判断しなかった誤り)に
ついて
前記第2,1のとおり,原告らは,平成18年10月10日,登録第169
2144号商標登録について,商標法4条1項16号に該当するとの無効理由
があると主張して無効審判請求をしたこと(甲B第27号証及び弁論の全趣
旨,その後,平成19年1月15日付け審判事件弁駁書において,商標法3)
条1項6号に該当することをも無効理由に追加し,請求の理由を追加的に変更
したことが認められる(甲B第28号証及び弁論の全趣旨。)
商標法56条1項,特許法131条の2第1項は,審判請求書の補正は,そ
の要旨を変更するものであってはならない旨規定している。同規定は,審判当
事者間の衡平と審理期間の短縮を図る趣旨で規定されたものである。
原告らの行った上記無効理由の追加は,審判請求書に記載された無効理由と
は内容の異なる無効理由を追加するものであり,被請求人の防御に大きな影響
を与え,再度反論の機会を与えないと防御の機会を失わせるおそれのあるもの
。,,,ということができるしたがって審決が原告らによる請求の理由の変更を
商標法56条1項・特許法131条の2第1項の規定により許されないものと
して,請求の理由の変更により追加された無効理由である商標法3条1項6号
への該当性について判断しなかった点に,手続上の誤りはないというべきであ
って,取消事由2は理由がない。
3結論
以上のとおり,原告ら主張の取消事由はいずれも理由がない。原告らはその
他縷々主張するが,審決にこれを取り消すべきその他の違法もない。
よって,原告らの本訴請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決
する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官飯村敏明
裁判官中平健
裁判官上田洋幸
別紙①
別紙②指定商品目録1
(登録第1692144号の1)
菓子及びパン但し,キシリトールを使用したチューインガム,キシリトールを使用
したチョコレート,キシリトールを使用したキャンデー,キシリトールを使用した
キャラメル,キシリトールを使用したドロップ,キシリトールを使用したビスケッ
ト,キシリトールを使用したクッキー,キシリトールを使用したクラッカー,キシ
リトールを使用したケーキ,キシリトールを使用したカステラ,キシリトールを使
用したホットケーキ,キシリトールを使用したパイ,キシリトールを使用したドー
,,,ナツキシリトールを使用したワッフルキシリトールを使用したシュークリーム
キシリトールを使用したマシュマロ,キシリトールを使用したウエハース,キシリ
トールを使用したボーロ,キシリトールを使用したフルーツゼリー,キシリトール
を使用したアイスクリーム,キシリトールを使用したアイスキャンデー,キシリト
ールを使用したシャーベット,キシリトールを使用したフローズンヨーグルト,キ
シリトールを使用したコーンカップ,キシリトールを使用したあめ,キシリトール
を使用したかりんとう,キシリトールを使用しただんご,キシリトールを使用した
もなか,キシリトールを使用したようかんを除く
別紙③指定商品目録2
(登録第1692144号の2)
キシリトールを使用したチューインガム,キシリトールを使用したチョコレート,
キシリトールを使用したキャンデー,キシリトールを使用したキャラメル,キシリ
トールを使用したドロップ,キシリトールを使用したビスケット,キシリトールを
使用したクッキー,キシリトールを使用したクラッカー,キシリトールを使用した
,,,ケーキキシリトールを使用したカステラキシリトールを使用したホットケーキ
キシリトールを使用したパイ,キシリトールを使用したドーナツ,キシリトールを
使用したワッフル,キシリトールを使用したシュークリーム,キシリトールを使用
したマシュマロ,キシリトールを使用したウエハース,キシリトールを使用したボ
ーロ,キシリトールを使用したフルーツゼリー,キシリトールを使用したアイスク
リーム,キシリトールを使用したアイスキャンデー,キシリトールを使用したシャ
ーベット,キシリトールを使用したフローズンヨーグルト,キシリトールを使用し
たコーンカップ,キシリトールを使用したあめ,キシリトールを使用したかりんと
う,キシリトールを使用しただんご,キシリトールを使用したもなか,キシリトー
ルを使用したようかん

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