弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人Bの負担とする。
         理    由
 被告人Bの弁護人小倉徳太郎の上告趣意について。
 所論は量刑不当の主張であつて適法な上告理由に当らない。
 被告人Cの弁護人伊藤敬寿、同中村一則の上告趣意第一点について。
 所論は判例違反をいうが、挙示の判例は単純に政府に申告しないで課税物品を製
造した事案に関するものであつて、詐偽その他不正の行為により関税を免れ且つ物
品税を逋脱した本件事案には適切でなく、所論の実質は事実誤認を前提とする単な
る法令違反の主張であつて採用することができない。
 同第二点について。
 所論は、A軍曹作成の証明書及びその翻訳書並びに大蔵事務官D作成の報告書は
いずれも適法な証拠調を経ていない、と前提して、判例違反及び訴訟法違反をいう
けれども、右書面はいずれも適法な証拠調を経ていること原判示のとおりであるか
ら、所論は前提を欠き採用することができない。
 なお所論証拠調請求書五(記録第一冊一八一丁)中番号2及び3には、証拠の標
目としてA軍曹の証明書各一通となつており、その翻訳書は掲げられていないこと
所論のとおりであるが、それらの証明書(記録第二冊一七三丁、一七四丁)は、一
枚の書面の上段が英文の証明書、下段が日本語の翻訳文となつていること記録上明
らかであるから、証拠の標目として右軍曹の証明書とあるのは、右日本語の翻訳文
も含む趣旨であり、右証明書について適法な証拠調が行われたことは、右日本語の
翻訳文についても適法な証拠調が行われたものと認めるのが相当である。
 同第三点について。
 所論は単なる法令違反の主張であつて適法な上告理由に当らない。なおこの点に
関する原審の判断は正当であること当裁判所の判例(昭和三二年(あ)第九三五号、
同三五年二月二七日第二小法廷決定)に徴して明らかである。
 同第四点について。
 所論は判例違反をいうが、挙示の判例は本件に適切でなく、所論の実質は単なる
法令違反の主張であつて採用することができない。なおこの点に関する原審の判断
は相当である。
 同第五点について。
 所論は量刑不当の主張であつて適法な上告理由に当らない。
 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条(被告人Bにつき)により裁判
官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
  昭和三五年七月一九日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    島           保
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    石   坂   修   一

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