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平成20年11月27日判決言渡
平成19年(行ケ)第10380号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成20年9月30日
判決
原告マックス株式会社
原告訴訟代理人弁護士田倉保
原告訴訟代理人弁理士七條耕司
同高田修治
被告日立工機株式会社
被告訴訟代理人弁護士井坂光明
被告訴訟代理人弁理士井沢博
主文
1特許庁が無効2005−80121号事件について平成19年9月
28日にした審決を取り消す。
2訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
主文第1項と同旨
第2争いのない事実等
以下の事実は,当事者間に争いがないか,証拠によって容易に認定すること
ができる事実である(なお,法律上の見解は当裁判所が付記したものであ
る。)。
1特許庁における手続の経緯等
(1)本件特許
被告は,発明の名称を「打込機」とする特許第2842215号の特
許(以下「本件特許」という。)の特許権者であり,本件特許は,平成6
年4月22日に出願され(優先権主張平成5年9月22日,日本),平成
9年5月9日及び平成10年6月15日の各手続補正(いずれも願書に添
付した明細書の記載を補正するもの)を経て,平成10年10月23日に
設定登録されたものであり,登録時の請求項の数は8である(甲36)。
(2)本件無効審判及び審決取消訴訟
ア第1次審決に至る経緯
原告は,平成17年4月19日,同日付け審判請求書(甲37。以
下「本件無効審判請求書」という。なお,本件無効審判請求書には,書
証として,本件特許の優先権主張日前に頒布された刊行物であるドイツ
DE2700949A1公報〔甲1〕,ドイツDT2443544A1
公報〔甲2。以下「刊行物2」ということがある。〕が添付されてい
た。)を特許庁に提出し,本件特許を無効にすることについて審判(無
効2005−80121号事件。以下「本件無効審判」という。)を請
求した。
その後,本件無効審判の手続において,被告は,平成17年7月15
日付け審判事件答弁書(甲56)及び同日付け訂正請求書(甲57。以
下,この請求書による訂正を「本件第1訂正」という。),同年10月
4日付け口頭審理陳述要領書(甲58),同月11日付け上申書(甲5
9)及び同月18日付け上申書(甲60)を提出し,原告は,同年9月
9日付け弁駁書(甲38。以下「第1回弁駁書」という。)及び同年1
0月18日付け口頭審理陳述要領書(甲39)を提出した。
特許庁は,平成17年11月8日,「訂正を認める。特許第2842
215号の請求項1∼7に係る発明についての特許を無効とする。特許
第2842215号の請求項8に係る発明についての審判請求は,成り
立たない。」との審決(甲69。以下「第1次審決」という。)をし
た。
イ第1次審決に対する取消訴訟
被告及び原告は,それぞれ第1次審決の取消しを求めて,審決取消訴
訟(知的財産高等裁判所平成17年(行ケ)第10842号事件及び平
成17年(行ケ)第10847号事件)を提起し,その後,被告が,平
成17年12月20日,本件特許につき訂正審判(訂正2005−39
230号事件。甲61)を請求したところ,知的財産高等裁判所(第4
部)は,平成18年1月30日,特許法181条2項により第1次審決
を取り消す旨の決定(甲76。以下「第1次取消決定」という。)をし
た。
第1次取消決定は,第1次審決中の「特許第2842215号の請求
項1∼7に係る発明についての特許を無効とする。」との部分(被告か
ら提起された平成17年(行ケ)第10842号事件)及び第1次審決
中の「特許第2842215号の請求項8に係る発明についての審判請
求は,成り立たない。」との部分(原告から提起された平成17年(行
ケ)第10847号事件)を審理の対象としたものであり,結局,第1
次審決の全部を取り消したものである。
ウ第2次審決に至る経緯
第1次取消決定が効力を生じたことにより再開された本件無効審判の
手続において,被告は,平成18年2月20日付け訂正請求書(以下,
この請求書による訂正〔平成17年12月20日付け訂正審判請求書(
甲61)に添付された訂正明細書を援用するもの(甲40,66,弁論
の全趣旨)〕を「本件第2訂正」という。)を提出し(なお,本件第2
訂正が請求されたことに伴い,本件第1訂正の請求は取り下げられたも
のとみなされた〔特許法134条の2第4項参照〕。),原告は,平成
18年3月31日付け弁駁書(甲40。以下「第2回弁駁書」という。
なお,第2回弁駁書には,書証として,刊行物2,実公昭56−630
3号公報〔甲3〕,米国特許第4657166号公報〔甲4。以下「刊
行物1」ということがある。〕,米国特許第4621758号公報〔甲
5〕,フランス第1510942号公報〔甲6。以下「刊行物3」とい
うことがある。〕,特公昭46−29234号公報〔甲7〕,実開平4
−133580号公報〔甲8〕,ドイツDE3715293A1公報〔
甲9〕,米国特許第5062562号公報〔甲10〕,ドイツ第731
4056号公報〔甲11〕,特開平3−43163号公報〔甲12〕,
米国特許第3713573号公報〔甲13〕,ドイツDT128646
9号公報〔甲14〕,米国特許第4573624号公報〔甲15〕,中
華民国専利公報・公告第118052号・全文明細書〔甲16〕,米国
特許第3387541号公報〔甲17〕,特公昭50−31306号公
報〔甲18〕,米国特許第3403600号公報〔甲19〕,米国特許
第3853257号公報〔甲20〕,特開昭50−58675号公報〔
甲21〕,実公昭51−42141号公報〔甲22〕,実開昭56−5
2684号公報・全文明細書〔甲23〕,実開昭58−173482号
公報・全文明細書〔甲24〕,米国特許第3850079号公報〔甲2
5〕,特公昭63−42125号公報〔甲26〕,米国特許第3633
811号公報〔甲27〕,米国特許第4220070号公報〔甲28
〕,ドイツDE3207962A1公報〔甲29〕,実開昭62−92
174号公報〔甲30〕,「TA−211/SF50M0」リーフレッ
ト写し及び矢示部拡大図〔甲31〕が添付されていた。)を提出した。
審判長は,平成18年5月18日,「上記弁駁書において新たに追加
された甲第4∼31号証により立証しようとする事実に基づいた請求の
理由の補正は,審判請求時の要旨を変更するものと認められるところ,
この補正は,特許法131条の2第2項各号のいずれにも該当しないも
のであるから,許可しない。」との補正許否の決定(甲71)を発送す
るとともに,被告に対し無効理由通知書,原告に対し職権審理結果通知
書(甲70。以下「本件職権審理結果通知書」という。なお,同通知書
と上記無効理由通知書とは同内容であるから,以下,両者を併せ,「本
件無効理由通知」という。)をそれぞれ発送した。
その後,被告は,平成18年6月19日付け意見書(甲62)及び同
日付け訂正請求書(甲63。以下,この請求書による訂正を「本件第3
訂正」という。)を提出し(なお,本件第3訂正が請求されたことに伴
い,本件第2訂正の請求は取り下げられたものとみなされた〔特許法1
34条の2第4項参照〕。),原告は,同年8月8日付け弁駁書(甲4
1。以下「第3回弁駁書」という。)を提出した。
特許庁は,平成18年10月16日,「訂正を認める。特許第284
2215号の請求項1乃至5に係る発明についての特許を無効とす
る。」との審決(甲72。以下「第2次審決」という。)をした。
本件第3訂正は,登録時の請求項4ないし6の削除を伴うものである
ところ,第2次審決中,同請求項の削除に係る訂正を認めた部分につい
ては,原告・被告とも取消訴訟を提起する原告適格を有しないというべ
きであるから,同審決の送達により,本件第3訂正のうち,登録時の請
求項4ないし6を削除した部分は,形式的に確定した(知的財産高等裁
判所平成19年(行ケ)第10099号事件・平成19年7月23日決
定,知的財産高等裁判所平成18年(行ケ)第10455号事件・平成
20年2月12日判決参照)。
エ第2次審決に対する取消訴訟
被告は,第2次審決の取消しを求めて,審決取消訴訟(知的財産高等
裁判所平成18年(行ケ)第10516号)を提起し,その後,平成1
8年12月20日,本件特許につき訂正審判(訂正2006−3919
9号事件)を請求したところ,知的財産高等裁判所(第3部)は,平成
19年2月14日,特許法181条2項により第2次審決を取り消す旨
の決定(甲82。以下「第2次取消決定」という。)をした。
前記ウのとおり,第2次審決中,登録時の請求項4ないし6の削除に
係る訂正を認めた部分は,既に同審決の送達により形式的に確定した。
上記審決取消訴訟において取消しを求めた対象は,同審決中,本件第3
訂正後の請求項1ないし5に係る発明についての特許を無効とした部分
のみであり,第2次取消決定における取消しの対象も,当該部分のみで
ある。
オ本件審決に至る経緯
第2次取消決定が効力を生じたことにより再開された本件無効審判の
手続において,被告は,平成19年3月5日付け訂正請求書(甲65。
以下,この請求書による訂正を「本件第4訂正」という。)を提出し(
なお,本件第4訂正が請求されたことに伴い,本件第3訂正の請求のう
ち,既に形式的に確定している登録時の請求項4ないし6の削除に係る
訂正を認めた部分以外の部分〔登録時の請求項1ないし3,7及び8に
係る部分〕は,取り下げられたものとみなされた〔特許法134条の2
第4項,知的財産高等裁判所平成19年(行ケ)第10081号事件・
平成19年6月20日決定,知的財産高等裁判所平成19年(行ケ)第
10099号事件・平成19年7月23日決定参照〕。),原告は,平
成19年4月16日付け弁駁書(甲42。以下「第4回弁駁書」とい
う。なお,第4回弁駁書には,本件無効審判請求書又は第2回弁駁書に
添付されていた書証と同一の書証〔甲1∼31〕が添付されていた。)
を提出した。
審判長は,平成19年5月15日,被告に対し,第4回弁駁書の副本
の送付通知をするとともに,特許法施行規則47条の2第1項に基づ
き,30日の期間を指定して答弁指令を行った。なお,同通知には,上
記期間が特許法134条1項,2項に規定された指定期間ではない旨記
載されていた。
その後,被告は,平成19年6月14日付け審判事件答弁書(甲6
6)を提出し,第4回弁駁書に添付された刊行物3(甲6)について
は,本件無効審判請求書に記載のない刊行物であり,これに基づく審判
請求の理由の補正はその要旨を変更するものであることのみを主張し
た。
特許庁は,平成19年9月28日,「訂正を認める。本件審判の請求
は,成り立たない。」との審決(甲73。以下「本件審決」という。)
をし,19年10月11日,その謄本を原告に送達した。
なお,前記ウのとおり,第2次審決中,登録時の請求項4ないし6の
削除に係る訂正を認めた部分は,原告・被告とも取消訴訟を提起する原
告適格を有しないから,既に同審決の送達により形式的に確定してお
り,本件審決中,登録時の請求項8の削除に係る訂正を認めた部分も,
同様の理由により,同審決の送達により形式的に確定したから,結局,
登録時の請求項4ないし6及び8の削除に係る訂正は,いずれも形式的
に確定している。したがって,本訴において取消しを求めた対象は,本
件審決中,本件第4訂正のうち登録時の請求項1ないし3及び7に係る
訂正を認め,同訂正後の請求項1ないし4の発明についての特許につき
審判請求を不成立とした部分である。
カその他当事者間に争いのない事実
本件無効審判の手続において,①第4回弁駁書に係る原告の主張に関
して,明示的な補正許否の決定がされた事実はなく,②本件無効審判請
求書で主張した無効理由について,原告が明示的にこれを撤回した事実
はなく,③本件職権審理結果通知書で通知された無効理由に関して,第
2次取消決定が効力を生じて本件無効審判の手続が再開された後,これ
を審理の対象としない旨の明示的な告知がされた事実はない(第3回弁
論準備手続調書)。
なお,本件無効審判の手続において原告が提出した書証(甲1∼3
1)の当該手続における書証番号は,本訴における書証番号と同一であ
る(審決書3頁36行,第2回弁駁書〔甲40〕25頁45行,第4回
弁駁書〔甲42〕44頁23行の各「甲第26号証:実公昭63−42
125号公報」は,いずれも「甲第26号証:特公昭63−42125
号公報」の誤記と認められる〔弁論の全趣旨〕。)。
2特許請求の範囲の記載及び本件第4訂正の内容
(1)登録時の特許請求の範囲の記載
登録時における本件特許の願書に添付した明細書(甲36。以下,図面
と併せ,「登録時明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1ないし
8の各記載は,次のとおりである(以下,これらの請求項に係る発明を項
番号に対応して,「登録時発明1」などといい,これらをまとめて「登録
時発明」という。)
「【請求項1】ドライブビット等の打撃駆動手段を内蔵した打込機本体
の下方に位置し,多数の止具集合体及び該止具集合体を前進させるためス
プリングによって押圧される給送部材を収納支持するマガジンと,マガジ
ン前端に設けられ,ドライブビット及びドライブビットにより打撃される
先頭の止具を案内する給送路を有し,少なくとも前面が平板状のビットガ
イドと,打込機本体に設けられたトリガと,上端がトリガ近傍まで延び,
下端がビットガイド下端より下方に突出し,中間部がビットガイドの前面
に設けられると共にビットガイドに上下動可能に支持された平板状のコン
タクトアームと,コンタクトアームを下方に押圧する押圧手段とを備え,
コンタクトアームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記ドライブビッ
トの駆動を開始させるようにした打込機であって,
前記ビットガイドの給送路の下方に位置するコンタクトアームの部分に射
出路を設け,射出路から止具を打出すようにしたことを特徴とする打込
機。
【請求項2】ドライブビット等の打撃駆動手段を内蔵した打込機本体の
下方に位置し,多数の止具集合体及び該止具集合体を前進させるためスプ
リングによって押圧される給送部材を収納支持するマガジンと,マガジン
前端に設けられ,ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先
頭の止具を案内する給送路を有し,少なくとも前面が平板状のビットガイ
ドと,打込機本体に設けられたトリガと,上端がトリガ近傍まで延び,下
端がビットガイド下端より下方に突出し,中間部がビットガイドの前面に
設けられると共にビットガイドに上下動可能に支持された平板状のコンタ
クトアームと,コンタクトアームを下方に押圧する押圧手段とを備え,コ
ンタクトアームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記ドライブビット
の駆動を開始させるようにした打込機であって,
前記ビットガイドの給送路の下方に位置するコンタクトアームの部分に射
出路を設けると共に,前記コンタクトアームにビットガイドの給送路の両
側に沿って上方に延びた2個の案内部を設け,該案内部をビットガイドに
沿って上下動させる構成とし,射出路から止具を打出すようにしたことを
特徴とする打込機。
【請求項3】前記押圧手段を,前記2個の案内部を下方に押圧する2個
のスプリングにより構成したことを特徴とする請求項2記載の打込機。
【請求項4】前記ビットガイドの前面にプレートを設けると共に,ビッ
トガイドの給送路とプレートとの間にコンタクトアームが位置しない構成
としたことを特徴とする請求項1または2記載の打込機。
【請求項5】前記コンタクトアームの先端部に射出溝を設けると共に少
なくとも射出溝の下端部前面にプレートを設け,該プレートと射出溝によ
り前記射出路を形成するようにしたことを特徴とする請求項1または2記
載の打込機。
【請求項6】前記コンタクトアームの射出溝の下端近傍両側にプレート
側に突出した一対の凸部を設け,該凸部の間に前記プレートの下端部を入
れたことを特徴とする請求項5記載の打込機。
【請求項7】ドライブビット等の打撃駆動手段を内蔵した打込機本体の
下方に位置し,多数の止具集合体及び該止具集合体を前進させるためスプ
リングによって押圧される給送部材を収納支持するマガジンと,打込機本
体に設けられたトリガと,上端がトリガ近傍まで延び,反マガジン側の前
面に射出路を設けた平板状のコンタクトアームと,コンタクトアームを下
方に押圧する押圧手段とを備え,コンタクトアームが上昇し,トリガが操
作された時のみ前記ドライブビットの駆動を開始させると共に打込み反力
によって打込機本体が上昇した時コンタクトアームが下降しコンタクトア
ーム前面が止具に接触するようにしたことを特徴とする打込機。
【請求項8】止具が打出される射出部にマガジン内に収納された止具を
スプリングによって押圧される給送部材を介して供給し,射出部に沿って
上下動可能に設けられたコンタクトアームの先端を被打込材に押し付け打
込機本体側に押し上げることにより射出部内に供給された止具を打出す打
込機であって,
前記コンタクトアームの前面にプレートを設け,射出部内に供給された止
具の先頭の前面をコンタクトアームでなくプレートで受けるようにしたこ
とを特徴とする打込機。」
(2)本件第4訂正後の特許請求の範囲の記載
本件第4訂正後の本件特許の願書に添付した明細書(甲65。以下,図
面と併せ,「訂正明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1ないし
5の各記載(下線部分は登録時明細書の記載からの訂正箇所を示す。)
は,次のとおりである(以下,これらの請求項に係る発明を項番号に対応
して,「本件発明1」などといい,これらをまとめて「本件発明」とい
う。なお,本件第4訂正後の請求項1ないし3はそれぞれ登録時の請求項
1ないし3に対応し,本件第4訂正後の請求項4は登録時の請求項7に対
応するものである。)。
「【請求項1】ドライブビットを内蔵した打込機本体の下方に位置し,
多数の止具集合体及び該止具集合体を前進させるためスプリングによって
押圧される給送部材を収納支持するマガジンと,マガジン前端に設けら
れ,上記止具集合体が通過する給送路を有し,少なくとも前面が平板状の
ビットガイドを備え,上記給送路の一部はドライブビット及びドライブビ
ットにより打撃される先頭の止具を案内するようにした打込機であって,
打込機本体に設けられたトリガと,上端がトリガ近傍まで延び,下端がビ
ットガイド下端より下方に突出し,中間部がビットガイドの前面に設けら
れると共にビットガイドに上下動可能に支持された平板状のコンタクトア
ームと,コンタクトアームを下方に押圧する押圧手段とを備え,コンタク
トアームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記ドライブビットの駆動
を開始させるようにした打込機であって,前記コンタクトアームの前面に
プレートを設けることにより,前記マガジン側から前記ビットガイド,前
記コンタクトアームの中間部,前記プレートの順に配列し,先頭の止具の
前面をコンタクトアームでなくプレートで受けるようにし,前記止具集合
体が通過する給送路とプレートとの間にコンタクトアームが位置しないよ
うに前記コンタクトアームの中間部をビットガイドに支持すると共に,前
記ビットガイドの給送路の下端より突出した前記コンタクトアームの部分
に前記給送路に連続する射出穴を前記コンタクトアームの下端まで貫通し
て設け,該射出穴から止具を打出すようにしたことを特徴とする打込機。
【請求項2】ドライブビットを内蔵した打込機本体の下方に位置し,多
数の止具集合体及び該止具集合体を前進させるためスプリングによって押
圧される給送部材を収納支持するマガジンと,マガジン前端に設けられ,
上記止具集合体が通過する給送路を有し,少なくとも前面が平板状のビッ
トガイドを備え,上記給送路の一部はドライブビット及びドライブビット
により打撃される先頭の止具を案内するようにした打込機であって,打込
機本体に設けられたトリガと,上端がトリガ近傍まで延び,下端がビット
ガイド下端より下方に突出し,中間部がビットガイドの前面に設けられる
と共にビットガイドに上下動可能に支持された平板状のコンタクトアーム
と,コンタクトアームを下方に押圧する押圧手段とを備え,コンタクトア
ームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記ドライブビットの駆動を開
始させるようにした打込機であって,
前記コンタクトアームの前面にプレートを設けることにより,前記マガジ
ン側から前記ビットガイド,前記コンタクトアームの中間部,前記プレー
トの順に配列し,先頭の止具の前面をコンタクトアームでなくプレートで
受けるようにし,前記止具集合体が通過する給送路とプレートとの間にコ
ンタクトアームが位置しないように前記コンタクトアームの中間部をビッ
トガイドに支持すると共に,前記ビットガイドの給送路の下端より突出し
た前記コンタクトアームの部分に前記給送路に連続する射出穴を前記コン
タクトアームの下端まで貫通して設け,該射出穴から止具を打出すように
し,前記コンタクトアームにビットガイドの前記ドライブビットを案内す
る給送路の部分の両側に沿って上方に延びた2個の案内部を設け,該案内
部をビットガイドに沿って上下動させる構成としたことを特徴とする打込
機。
【請求項3】前記押圧手段を,前記2個の案内部を下方に押圧する2個
のスプリングにより構成したことを特徴とする請求項2記載の打込機。
【請求項4】ドライブビットを内蔵した打込機本体の下方に位置し,多
数の止具集合体及び該止具集合体を前進させるためスプリングによって押
圧される給送部材を収納支持するマガジンと,マガジン前端に設けられ,
上記止具集合体が通過する給送路を有し,少なくとも前面が平板状のビッ
トガイドを備え,上記給送路の一部はドライブビット及びドライブビット
により打撃される先頭の止具を案内するようにした打込機であって,打込
機本体に設けられたトリガと,上端がトリガ近傍まで延び,反マガジン側
の前面に射出路を設けた平板状のコンタクトアームと,コンタクトアーム
を下方に押圧する押圧手段とを備えた打込機であって,前記コンタクトア
ームの前面にプレートを設けることにより,前記マガジン側から前記ビッ
トガイド,前記コンタクトアームの中間部,前記プレートの順に配列し,
先頭の止具の前面をコンタクトアームでなくプレートで受けるようにし,
前記止具集合体が通過する給送路とプレートとの間にコンタクトアームが
位置しないように前記コンタクトアームの中間部をビットガイドに支持す
ると共に,前記ビットガイドの給送路の下端より突出した前記コンタクト
アームの部分に前記給送路に連続する射出穴を前記コンタクトアームの下
端まで貫通して設け,該射出穴から止具を打出すようにし,コンタクトア
ームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記ドライブビットの駆動を開
始させると共に打込み反力によって打込機本体が上昇した時コンタクトア
ームが下降しコンタクトアーム前面が止具に接触して前記ドライブビット
が前記止具から外れないようにしたことを特徴とする打込機。」
(3)本件第4訂正の内容
本件審決(審決書4頁30行∼7頁19行)では,被告(被請求人)が
求めた本件第4訂正(甲65)の内容を次のとおり分説しているが,本判
決においても,同分説に従う。なお,前記(2)のとおり,本件第4訂正後の
請求項1ないし3はそれぞれ登録時の請求項1ないし3に対応し,本件第
4訂正後の請求項4は登録時の請求項7に対応するものである。
ア訂正事項1
(ア)訂正事項1−1
「特許請求の範囲の請求項1の『ドライブビット等の打撃駆動手段
を内蔵した打込機本体』を,『ドライブビットを内蔵した打込機本体
』に訂正する。」(審決書5頁5行∼6行)
(イ)訂正事項1−2
「特許請求の範囲の請求項2の『ドライブビット等の打撃駆動手段
を内蔵した打込機本体』を,『ドライブビットを内蔵した打込機本体
』に訂正する。」(審決書5頁8行∼9行)
(ウ)訂正事項1−3
「特許請求の範囲の請求項7の『ドライブビット等の打撃駆動手段
を内蔵した打込機本体』を,『ドライブビットを内蔵した打込機本体
』に訂正する。」(審決書5頁11行∼12行)
イ訂正事項2
(ア)訂正事項2−1
「特許請求の範囲の請求項1及び2の『マガジン前端に設けられ,
ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止具を案
内する給送路を有し,少なくとも前面が平板状のビットガイドと,』
を,『マガジン前端に設けられ,上記止具集合体が通過する給送路を
有し,少なくとも前面が平板状のビットガイドを備え,上記給送路の
一部はドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止
具を案内するようにした打込機であって,』に訂正する。」(審決書
5頁15行∼21行)
(イ)訂正事項2−2
「特許請求の範囲の請求項7の『給送部材を収納支持するマガジン
と,』を,『給送部材を収納支持するマガジンと,マガジン前端に設
けられ,上記止具集合体が通過する給送路を有し,少なくとも前面が
平板状のビットガイドを備え,上記給送路の一部はドライブビット及
びドライブビットにより打撃される先頭の止具を案内するようにした
打込機であって,』に訂正する。」(審決書5頁23行∼28行)
ウ訂正事項3
(ア)訂正事項3−1
「特許請求の範囲の請求項1の『コンタクトアームが上昇し,トリ
ガが操作された時のみ前記ドライブビットの駆動を開始させるように
した打込機であって,』を,『コンタクトアームが上昇し,トリガが
操作された時のみ前記ドライブビットの駆動を開始させるようにした
打込機であって,前記コンタクトアームの前面にプレートを設けるこ
とにより,前記マガジン側から前記ビットガイド,前記コンタクトア
ームの中間部,前記プレートの順に配列し,先頭の止具の前面をコン
タクトアームでなくプレートで受けるようにし,前記止具集合体が通
過する給送路とプレートとの間にコンタクトアームが位置しないよう
に前記コンタクトアームの中間部をビットガイドに支持すると共に,
』に訂正する。」(審決書5頁31行∼6頁8行)
(イ)訂正事項3−2
「特許請求の範囲の請求項1の『前記ビットガイドの給送路の下方
に位置するコンタクトアームの部分に射出路を設け,射出路から止具
を打出すようにしたことを特徴とする打込機。』を,『前記ビットガ
イドの給送路の下端より突出した前記コンタクトアームの部分に前記
給送路に連続する射出穴を前記コンタクトアームの下端まで貫通して
設け,該射出穴から止具を打出すようにしたことを特徴とする打込
機。』に訂正する。」(審決書6頁10行∼16行)
(ウ)訂正事項3−3
「特許請求の範囲の請求項2の『前記ビットガイドの給送路の下方
に位置するコンタクトアームの部分に射出路を設けると共に,前記コ
ンタクトアームにビットガイドの給送路の両側に沿って上方に延びた
2個の案内部を設け,該案内部をビットガイドに沿って上下動させる
構成とし,射出路から止具を打出すようにしたことを特徴とする打込
機。』を,『前記コンタクトアームの前面にプレートを設けることに
より,前記マガジン側から前記ビットガイド,前記コンタクトアーム
の中間部,前記プレートの順に配列し,先頭の止具の前面をコンタク
トアームでなくプレートで受けるようにし,前記止具集合体が通過す
る給送路とプレートとの間にコンタクトアームが位置しないように前
記コンタクトアームの中間部をビットガイドに支持すると共に,前記
ビットガイドの給送路の下端より突出した前記コンタクトアームの部
分に前記給送路に連続する射出穴を前記コンタクトアームの下端まで
貫通して設け,該射出穴から止具を打出すようにし,前記コンタクト
アームにビットガイドの前記ドライブビットを案内する給送路の部分
の両側に沿って上方に延びた2個の案内部を設け,該案内部をビット
ガイドに沿って上下動させる構成としたことを特徴とする打込機。』
に訂正する。」(審決書6頁18行∼33行)
(エ)訂正事項3−4
「特許請求の範囲の請求項7の『コンタクトアームを下方に押圧す
る押圧手段とを備え,コンタクトアームが上昇し,トリガが操作され
た時のみ前記ドライブビットの駆動を開始させると共に打込み反力に
よって打込機本体が上昇した時コンタクトアームが下降しコンタクト
アーム前面が止具に接触するようにしたことを特徴とする打込機。』
を,『コンタクトアームを下方に押圧する押圧手段とを備えた打込機
であって,前記コンタクトアームの前面にプレートを設けることによ
り,前記マガジン側から前記ビットガイド,前記コンタクトアームの
中間部,前記プレートの順に配列し,先頭の止具の前面をコンタクト
アームでなくプレートで受けるようにし,前記止具集合体が通過する
給送路とプレートとの間にコンタクトアームが位置しないように前記
コンタクトアームの中間部をビットガイドに支持すると共に,前記ビ
ットガイドの給送路の下端より突出した前記コンタクトアームの部分
に前記給送路に連続する射出穴を前記コンタクトアームの下端まで貫
通して設け,該射出穴から止具を打出すようにし,コンタクトアーム
が上昇し,トリガが操作された時のみ前記ドライブビットの駆動を開
始させると共に打込み反力によって打込機本体が上昇した時コンタク
トアームが下降しコンタクトアーム前面が止具に接触して前記ドライ
ブビットが前記止具から外れないようにしたことを特徴とする打込
機。』に訂正する。」(審決書6頁35行∼7頁16行)
エ訂正事項4
「特許請求の範囲の請求項4,5,6及び8を削除し,これに伴い請
求項7を請求項4に訂正する。」(審決書7頁18行∼19行)
3本件審決の理由
別紙審決書写しのとおりである。要するに,本件審決は,原告(請求人)
の主張の概要を下記(1)のとおり摘示した上で,下記(2)のとおりの判断をし
て,「本件発明1∼4についての特許は,請求人の主張及び証拠方法によっ
ては,無効とすることができない。」(審決書36頁22行∼23行)とし
たものである。
(1)本件審決が摘示した原告(請求人)の主張の概要
ア「第4回弁駁書における請求人の主張の概要は,平成19年3月5日
付けの訂正請求は,特許法第134条の2第1項の規定に反しているか
ら認めるべきではなく,また,本件発明1ないし8(判決注,登録時発
明1ないし8)についての特許は,以下4つの理由により無効とされる
べきである,というものである。
1.前記訂正請求は認められないものであるから,訂正前の特許請求の
範囲の記載された発明は特許法第29条第2項の規定により無効であ
る。(以下,『無効理由1』という。)
2.前記訂正請求は認められないものであるから,平成17年11月8
日付け審決において判断されているとおり,請求項1ないし7記載の
発明は無効である。(以下,『無効理由2』という。)
3.前訂正請求は認められないものであるから,請求項8記載の発明
は,審判請求書に添付した引用文献(甲第1号証および甲第2号証)
に基づき,特許法第29条第2項の規定により無効である。(以下,
『無効理由3』という。)
4.仮に,前記訂正請求が有効であるとしても,前記訂正請求によって
訂正された特許請求の範囲に記載された発明は,特許法第29条第2
項の規定により無効である。(以下,『無効理由4』という。)」(
審決書4頁6行∼22行)
イ「無効理由4の概要は,本件発明1∼4は,第4回弁駁書に甲第4号
証として添付された・・・刊行物1・・・,甲第2号証として添付され
た・・・刊行物2・・・,及び甲第6号証として添付された・・・刊行
物3・・・に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであ
る,というものである。」(審決書13頁11行∼17行)
(2)本件審決の判断
ア本件第4訂正の可否
「上記訂正は,平成6年改正前特許法第134条第2項ただし書きに
適合し,特許法第134条の2第5項において準用する平成6年改正前
第126条第2項の規定に適合するので,当該訂正を認める。」(審決
書13頁2行∼5行。本判決において,以下,平成6年法律第116号
による改正前の特許法を「平成6年改正前特許法」といい,平成6年改
正前特許法134条2項ただし書きの規定する要件及び特許法134条
の2第5項において準用する平成6年改正前特許法126条2項の規定
する要件を併せて「訂正要件」という。)
イ原告(請求人)の主張に対する判断
(ア)「無効理由1ないし3は,すべて訂正前の特許請求の範囲の記載
に基づく主張であるが,上記『第4.』のとおり訂正は認められたの
で,無効理由1ないし3は,理由が無くなった。」(審決書13頁7
行∼9行)
(イ)「本件発明1∼4は,刊行物1,刊行物2ないし刊行物3に記載
された発明に基づいて容易に発明をすることができたとすることがで
きない。また,第4回弁駁書に添付された甲第1∼31号証にも,上
記相違点2,4に係る本件発明1∼4の構成は記載されておらず,示
唆するところがない。したがって,本件発明1∼4についての特許
は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである,とす
ることはできない。」(審決書36頁13行∼20行)
本件審決は,上記判断をするに当たって,刊行物1記載の発明の内
容,刊行物2記載の事項の内容,刊行物3記載の事項の内容,本件発
明と刊行物1記載の発明との一致点・相違点について,次のとおり認
定した(なお,審決書20頁末行,29頁20行及び21行,31頁
26行,33頁20行及び24行に「引用例」とあるのは,いずれ
も「刊行物」の誤記と認める。)。
a本件審決が認定した刊行物1記載の発明の内容
(a)刊行物1記載の発明1
「釘打込みブレード70を内蔵した釘打ち機本体の下方に位置
し,釘帯105及び該釘帯105を前進させるためバネ125に
よって前進方向に付勢される釘押出し部材130を収納支持する
マガジンと,
マガジン前端に設けられ,上記釘帯105が通過する給送路を
有し,少なくとも前面が平板状の側面フランジ96−96を備
え,上記給送路の一部は釘打込みブレード70と釘打込みブレー
ド70により打撃される先頭の釘を案内するようにした釘打ち機
であって,
釘打ち機本体に設けられたトリガ184と,
下端が側面フランジ96−96下端より下方に突出することが
でき,上記釘帯105が通過するスロット102aを中間部に有
し,側面フランジ96−96の前面に設けられると共に側面フラ
ンジ96−96に上下動可能に支持され,反マガジン側の前面に
窪み102bを設けた平板状の移動自在部材102と,
移動自在部材102を下方に押圧するバネ167とを備え,
移動自在部材102が上昇し,トリガが操作された時のみ前記
釘打込みブレード70の駆動を開始させるようにした釘打ち機で
あって,
前記移動自在部材102の前面に,マガジン側に窪み101b
を設けた正面プレート101を設けることにより,前記マガジン
側から,前記側面フランジ96−96,前記移動自在部材10
2,前記正面プレート101の順に配列し,先頭の釘の前面を移
動自在部材102でなく正面プレート101で受けるようにし,
移動自在部材102が下降位置にあるときは,給送路の一部を
構成するスロット102aを通して,上記釘帯105を正面プレ
ート101側に供給する一方,移動自在部材102が上昇し,移
動自在部材102の下端が,正面プレート101の下端と側面フ
ランジ96の下端と同じ位置になるときは,正面プレート101
の窪み101bと移動自在部材102の窪み102bとによっ
て,正面プレート101と移動自在部材102との下端まで案内
溝を形成し,前記釘帯105が通過する給送路に移動自在部材1
02が位置するように,前記移動自在部材102を側面フランジ
96−96に支持すると共に,
前記給送路の下方に給送路に連続する案内溝を設けており,前
記案内溝から釘を打出すようにした釘打ち機。」(審決書21頁
4行∼35行)
(b)刊行物1記載の発明2
「刊行物1記載の発明1において,前記移動自在部材102に,
前記釘打込みブレード70を案内する給送路の部分の両側に沿っ
て上方に延びた2個のスロット102d−102dを設け,該ス
ロット102d−102dを側面フランジ96−96に沿って上
下動させる構成とした釘打ち機。」(審決書21頁37行∼22
頁2行)
(c)刊行物1記載の発明3
「釘打込みブレード70を内蔵した釘打ち機本体の下方に位置
し,釘帯105及び該釘帯105を前進させるためバネ125に
よって前進方向に付勢される釘押出し部材130を収納支持する
マガジンと,
マガジン前端に設けられ,少なくとも前面が平板状の側面フラ
ンジ96−96を備え,上記釘帯105が通過する給送路を有す
る移動自在部材102を備え,上記給送路の一部は釘打込みブレ
ード70と釘打込みブレード70により打撃される先頭の釘を案
内するようにした釘打ち機であって,
釘打ち機本体に設けられたトリガ184と,
反マガジン側の前面に窪み102bを設けた平板状の移動自在
部材102と,移動自在部材102を,下方に押圧するバネ16
7とを備えた釘打ち機であって,
前記移動自在部材102の前面に正面プレート101を設ける
ことにより,前記マガジン側から,前記側面フランジ96−9
6,前記移動自在部材102,前記正面プレート101の順に配
列し,先頭の釘の前面を移動自在部材102でなく正面プレート
101で受けるようにし,移動自在部材102が上昇し,移動自
在部材102の下端が,正面プレート101の下端と側面フラン
ジ96の下端と同じ位置になるときは,正面プレート101の窪
み101bと移動自在部材102の窪み102bとによって,正
面プレート101と移動自在部材102との下端まで案内溝を形
成し,前記釘帯105が通過する給送路と正面プレート101と
の間に移動自在部材102が位置するように,前記移動自在部材
102の中間部を側面フランジ96−96に支持すると共に,
前記給送路の下方に給送路に連続する案内溝を設け,前記案内
溝から釘を打出すようにし,
移動自在部材102が上昇し,トリガが操作された時のみ前記
釘打込みブレード70の駆動を開始させるようにした釘打ち
機。」(審決書22頁4行∼29行)
b本件審決が認定した刊行物2記載の事項の内容
(a)刊行物2記載の事項1
「打撃ロッド2を内蔵した止具打込み機本体の下方に位置し,止
具の帯状集合体16及び止具の帯状集合体16を,ばねによって
シフトするためのマガジンスライダ19を収納するマガジン15
と,
マガジン前端に設けられ,止具の帯状集合体16が通過する給
送路を有し,少なくとも前面が平板状のガイドプレート9を備
え,
上記給送路の一部は,案内溝11となっており,打撃ロッド2
及び打撃ロッド2により打撃される最初のステープル17を案内
するようにした止具打込み機であって,
止具打込み機本体に設けられた引金レバー4と,
上端が引金レバー4を作動させるサイドバー29近傍まで伸
び,下端がガイドプレート9下端と同じか,下端より下方に突出
可能であって,中間部がガイドプレート9の後方に設けられると
共にガイドプレート9に上下動可能に支持された平板状の接触素
子24と,
接触素子24を下方静止位置に保つ引張ばね28とを備え,
接触素子24が上昇し,引金レバー4が操作されたときのみ前
記打撃ロッド2の駆動を開始させるようにした止具打込み機であ
って,
止具の帯状集合体16はステープル17からなり,
ガイドプレート9の前面にカバープレート10を設けることに
より,前記マガジン側から側方パネル7,接触素子24,ガイド
プレート9,カバープレート10の順で配列し,最初のステープ
ル17を接触素子24でなく,カバープレート10で受けるよう
にし,
止具の帯状集合体16が通過する給送路とカバープレート10
との間に接触素子24が位置しないように接触素子24の中間部
をガイドプレート9に支持すると共に,
カバープレート10とガイドプレート9とで形成された案内溝
の下方である案内脚部の下端から,ステープル17を打出すよう
にした止具打込み機。」(審決書24頁16行∼25頁6行)
(b)刊行物2記載の事項2
「止具打込み機において,止具の帯状集合体16が通過する給送
路を有するガイドプレート9を備え,給送路の一部は打撃ロッド
2と打撃ロッド2により打撃される先頭の止具を案内するこ
と。」(審決書25頁8行∼10行)
(c)刊行物2記載の事項3
「止具の帯状集合体16が通過する給送路とカバープレート10
との間に接触素子24が位置しないよう接触素子24の中間部を
ガイドプレート9に支持すること。」(審決書25頁12行∼1
4行)
c刊行物3記載の事項
「ブロックの一方(後部)73aは,ホチキスブレード71が内部
で摺動する溝82を有し,また,ホチキスの溝82にセットされる
針を導入する垂直開口部88が設けられており,
他方の部分73bにはガイド81が設けられており,接触部80
がこのガイドの内部を通過しており,
溝82は,ホチキスブレード71とホチキスブレード71で綴じ
られる針Aを案内する止め金打機。」(審決書26頁11行∼17
行)
d本件審決が認定した本件発明と刊行物1記載の発明との一致点・
相違点
(a)本件審決は,本件発明1と刊行物1記載の発明1とを対比
し,両者は下記の一致点1において一致し,下記の相違点1ない
し4において相違すると認定した。
[一致点1]
「ドライブビットを内蔵した打込機本体の下方に位置し,多数
の止具集合体及び該止具集合体を前進させる給送部材を収納支
持するマガジンと,
マガジン前端に設けられ,少なくとも前面が平板状のハウジ
ング部材を備え,
上記止具集合体が通過する給送路を有し,上記給送路の一部
はドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の
止具を案内するようにした打込機であって,
打込機本体に設けられたトリガと,
ハウジング部材に上下動可能に支持された平板状のコンタク
トアームと,
コンタクトアームを下方に押圧する押圧手段とを備え,
コンタクトアームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記
ドライブビットの駆動を開始させるようにした打込機であっ
て,
前記コンタクトアームの前面にプレートを設けることによ
り,前記マガジン側から前記ハウジング部材,前記コンタクト
アームの中間部,前記プレートの順に配列し,先頭の止具の前
面をコンタクトアームでなくプレートで受けるようにし,前記
コンタクトアームの中間部をハウジング部材に支持すると共
に,前記ハウジング部材の給送路の下端より前記給送路に連続
する射出路を前記コンタクトアームの下端まで貫通して設け,
該射出路から止具を打出すようにした打込機。」(審決書27
頁4行∼22行)
[相違点1]
「前者は,給装部材が,スプリングによって押圧されているの
に対して,後者は,スプリングによって前進方向に付勢されて
いるが,スプリングによって押圧されていない点。」(審決書
27頁24行∼26行)
[相違点2]
「前者は,ハウジング部材が止具集合体が通過する給送路を有
するビットガイドであって,マガジン側からビットガイド,コ
ンタクトアームの中間部,前記プレートの順に配列し,止具集
合体が通過する給送路とプレートとの間にコンタクトアームが
位置しないようにコンタクトアームの中間部をビットガイドに
支持するのに対して,
後者は,ハウジング部材はビットガイドでなく,ドライブビ
ット及びドライブビットにより打撃される先頭の止具を案内す
る部材が正面プレート101の窪み101bと移動自在部材1
02の窪み102bであり,しかも,コンタクトアームが上昇
した際に,止具集合体が通過する給送路とプレートとの間にコ
ンタクトアームが位置する点。」(審決書27頁28行∼28
頁1行)
[相違点3]
「前者が,コンタクトアームの上端がトリガ近傍まで延びてい
るのに対し,後者は,そのように特定されていない点。」(審
決書28頁3行∼4行)
[相違点4]
「前者は,ビットガイドの給送路の下端より突出したコンタク
トアームの部分に,給送路に連続する射出穴を前記コンタクト
アームの下端まで貫通して設けているのに対し,後者は,ハウ
ジング部材の下端から突出自在であるコンタクトアームの部分
に給送路に連続する窪みを,コンタクトアームの下端まで設け
ている点。」(審決書28頁6行∼10行)
(b)本件審決は,本件発明2と刊行物1記載の発明2とを対比
し,両者は下記の一致点2において一致し,前記(a)の相違点1
ないし4において相違すると認定した。
[一致点2]
「ドライブビットを内蔵した打込機本体の下方に位置し,多数
の止具集合体及び該止具集合体を前進させる給送部材を収納支
持するマガジンと,
マガジン前端に設けられ,少なくとも前面が平板状のハウジ
ング部材を備え,
上記止具集合体が通過する給送路を有し,上記給送路の一部
はドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の
止具を案内するようにした打込機であって,
打込機本体に設けられたトリガと,
ハウジング部材に上下動可能に支持された平板状のコンタク
トアームと,
コンタクトアームを下方に押圧する押圧手段とを備え,
コンタクトアームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記
ドライブビットの駆動を開始させるようにした打込機であっ
て,
前記コンタクトアームの前面にプレートを設けることによ
り,前記マガジン側から前記ハウジング部材,前記コンタクト
アームの中間部,前記プレートの順に配置し,先頭の止具の前
面をコンタクトアームでなくプレートで受けるようにし,前記
コンタクトアームの中間部をハウジング部材に支持すると共
に,前記ハウジング部材の給送路の下端より前記給送路に連続
する射出路を前記コンタクトアームの下端まで貫通して設け,
該射出路から止具を打出すようにし,前記コンタクトアームに
前記給送路の部分の両側に沿って上方に延びた2個の案内部を
設け,該案内部をハウジング部材に沿って上下動させる構成と
した打込機。」(審決書32頁21行∼33頁6行)
(c)本件審決は,本件発明3と刊行物1記載の発明2とを対比
し,両者は前記(b)の一致点2において一致し,前記(a)の相違
点1ないし4及び下記の相違点5において相違すると認定した。
[相違点5]
「本件発明3は,押圧手段を,2個の案内部を下方に押圧する
2個のスプリングにより構成としたものであるのに対して,刊
行物1記載の発明2は,そのように特定されていない点。」(
審決書33頁23行∼25行)
(d)本件審決は,本件発明4と刊行物1記載の発明3とを対比
し,両者は下記の一致点3において一致し,前記(a)の相違点1
ないし3及び下記の相違点6において相違すると認定した(な
お,審決書35頁13行に「案内止する部材」とあるのは,「案
内する部材」の誤記と認める。)。
[一致点3]
「ドライブビットを内蔵した打込機本体の下方に位置し,多数
の止具集合体及び該止具集合体を前進させる給送部材を収納支
持するマガジンと,
マガジン前端に設けられ,少なくとも前面が平板状のハウジ
ング部材を備え,
上記止具集合体が通過する給送路を有し,上記給送路の一部
はドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の
止具を案内するようにした打込機であって,
打込機本体に設けられたトリガと,
反マガジン側の前面に射出路を設けた平板状のコンタクトア
ームと,
コンタクトアームを下方に押圧する押圧手段とを備えた打込
機であって,
前記コンタクトアームの前面にプレートを設けることによ
り,前記マガジン側から前記ハウジング部材,前記コンタクト
アームの中間部,前記プレートの順に配置し,先頭の止具の前
面をコンタクトアームでなくプレートで受けるようにし,前記
コンタクトアームの中間部をハウジング部材に支持すると共
に,
前記ハウジング部材の下端より突出した前記コンタクトアー
ムの部分に前記給送路に連続する射出路を前記コンタクトアー
ムの下端まで貫通して設け,該射出路から止具を打出すように
し,
コンタクトアームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記
ドライブビットの駆動を開始させるようにした打込機。」(審
決書34頁17行∼35頁1行)
[相違点6]
「前者は,打込み反力によって打込機本体が上昇した時コンタ
クトアームが下降しコンタクトアーム前面が止具に接触して前
記ドライブビットが前記止具から外れないようにしたのに対し
て,後者は,そのように特定されていない点。」(審決書35
頁21行∼24行)
第3取消事由についての原告の主張
本件審決は,以下のとおり,訂正の可否についての判断を誤った違法(取消
事由1),本件発明についての進歩性の判断を誤り又はこれを遺脱した違法(
取消事由2ないし5)があるから,取り消されるべきである。
1取消事由1(訂正の可否についての判断の誤り)
以下のとおり,本件第4訂正を認めた本件審決の判断には誤りがある。す
なわち,①訂正事項2−1及び2−2は,「ビットガイドと給送路との関係
を明りょうにするもの」(審決書8頁24行)ではなく,②訂正事項3−2
は,「コンタクトアーム」の位置を不明りょうにするものであり,訂正事項
3−1,3−3及び3−4は,「ビットガイド,プレート,コンタクトアー
ムの位置関係を具体的に特定するもの」(審決書9頁11行∼12行)では
なく,特許請求の範囲の減縮ではなく,かえってその位置関係を不明りょう
にするものであるから,いずれも訂正要件を満たさず,また,③本件第4訂
正では,「射出穴」の概念が拡張されており,この点も訂正要件を満たさな
い。
(1)「給送路」についての判断の誤り
以下のとおり,本件第4訂正における「給送路」に係る訂正事項は,①
特許請求の範囲における「給送路」という語を本件第4訂正前(登録時)
とは異なる意味で用いるものであること,②特許請求の範囲における「給
送路」の意味を不明りょうにし,これを内包する「ビットガイド」の意味
をも不明りょうにするものであることから,訂正要件を満たさない。
ア「給送路」の意味が変更されたこと
(ア)本件第4訂正前(登録時)の特許請求の範囲では,「ドライブビ
ット及びドライブビットにより打撃される先頭の止具を案内する」と
いう限定があったことから,「給送路」は,射出路と同軸上に存在す
るもの(以下「縦方向の給送路」という。)のみが記載されていた。
(イ)これに対し,本件第4訂正後の特許請求の範囲では,「止具集合
体が通過する給送路を有し」,「給送路の一部はドライブビット及び
ドライブビットにより打撃される先頭の止具を案内する」と記載され
ていることから,同訂正により,「給送路」は,その全体が止具集合
体が通過するもの(以下「横方向の給送路」という。)となり,その
一部のみが縦方向の給送路となった。
(ウ)このように,本件第4訂正前(登録時)は,特許請求の範囲の記
載における「給送路」が縦方向の給送路を指し,その全体が「ドライ
ブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止具を案内す
る」機能を有するものであったのに対し,本件第4訂正後は,特許請
求の範囲の記載における「給送路」が横方向の給送路を指すことにな
り,その全体が「止具集合体が通過する」機能を有し,その一部のみ
が「ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止具
を案内する」機能を有することになったものであって,本件第4訂正
は,「給送路」という用語の意味に実質的な変更を加えるものであ
る。
イ「給送路」の意味が不明りょうになったこと
(ア)「通過」とは「通りすぎること,通りこすこと」(広辞苑)を意
味するから,本件第4訂正後の「給送路」は,「先頭の止具」に限ら
ず,「止具集合体」が通り,かつ,すぎるものであることが必要であ
る。また,本件第4訂正後の特許請求の範囲では,「ドライブビット
及びドライブビットにより打撃される先頭の止具を案内する」機能を
有するのが「給送路の一部」とされているのに対し,「止具集合体が
通過する」機能を有するのは「給送路」とされ,「一部」という限定
がないから,「給送路」全体に「止具集合体が通過する」機能がある
ことが必要である。
(イ)上記(ア)の点を前提として,本件第4訂正後の特許請求の範囲に
おける「給送路」の意味を検討するに,次の4通りの解釈が可能であ
るが,いずれの解釈によっても他の文言と矛盾する。
a「給送路」が,①「止具集合体が通過する」横方向の空間(以
下「C空間」という。別紙参考図の図1−2−3,図1−3−1及
び図1−3−2参照。)と,②「ドライブビット」と「先頭の止
具」を案内する縦方向の空間のうち,C空間に対応する部分(以
下「A空間」という。同参考図の図1−2−2,図1−3−1及び
図1−3−2参照。)とを意味するとすれば,A空間は,先頭の止
具1個分のスペースしかなく,「止具集合体」が通りすぎることが
できないから,「給送路」は「止具集合体が通過する」という要件
を充足しないことになる。
b「給送路」が,C空間のみを意味するとすれば,「給送路の一
部」は「ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭
の止具を案内する」という要件を充足しないことになる。
c「給送路」が,①A空間と,②「ドライブビット」と「先頭の止
具」を案内する縦方向の空間のうち,A空間以外の部分(以下「B
空間」という。別紙参考図の図1−2−2,図1−2−3,図1−
3−1及び図1−3−2参照。)を意味するとすれば,A空間及び
B空間に入ることができるのは先頭の止具のみであり,「止具集合
体」はこれらの空間を「通過」することができないから,「給送
路」は「止具集合体が通過する」という要件を充足しないことにな
る。
d「給送路」が,A空間のみを意味するとすれば,「ドライブビッ
ト」と「先頭の止具」を案内するのは,「給送路」全体ということ
になるから,「給送路の一部」は「ドライブビット及びドライブビ
ットにより打撃される先頭の止具を案内する」という文言と整合し
ない上,前記のとおり,A空間は,先頭の止具1個分のスペースし
かなく,「止具集合体」が通りすぎることができないから,「給送
路」は「止具集合体が通過する」という要件を充足しないことにな
る。
(ウ)以上のとおり,本件第4訂正において,特許請求の範囲に「止具
集合体が通過する給送路」という文言が付加されたことにより,「給
送路」の意味が不明りょうになった。すなわち,本件第4訂正後の特
許請求の範囲における「止具集合体が通過する」という「給送路」
と,「ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止
具を案内する」という「給送路(の一部)」とは,統一的に解釈する
ことができない。
(2)「コンタクトアーム」及び「ビットガイド」についての判断の誤り
以下のとおり,本件第4訂正における「コンタクトアーム」及び「ビッ
トガイド」に係る訂正事項は,①特許請求の範囲における「コンタクトア
ーム」の意味を不明りょうにするものであること,②特許請求の範囲にお
ける「ビットガイド」の意味を不明りょうにするものであることから,訂
正要件を満たさない。
ア「コンタクトアーム」について
本件第4訂正により,「コンタクトアーム」は,その位置が「給送路
の下方に位置する」から「給送路の下端より突出した」と変更された
が,「下端」とは「下の方のはし」(広辞苑)を意味するから,「コン
タクトアーム」は,「給送路」の下方で,かつ,「給送路」に接した部
分より突出したものであることが必要となった。
ところが,本件第4訂正後の「給送路」の意味は,前記(1)のとおり,
不明りょうであって,「給送路」の範囲を確定することができないか
ら,その下端も確定することができない。
したがって,本件第4訂正後の「ビットガイドの給送路の下端より突
出した前記コンタクトアーム」という構成は,不明りょうである。
イ「ビットガイド」について
本件第4訂正により,「ビットガイド」は,①マガジン前端に設けら
れること(位置),②上記止具集合体が通過する「給送路」を有するこ
と(構成要素,機能),③少なくとも前面が平板状であること(形
状),④上記「給送路」の一部がドライブビット及びドライブビットに
より打撃される先頭の止具を案内するものであること(機能)とされ
た。
すなわち,「ビットガイド」は「給送路」を有するものであるが,前
記(1)のとおり,本件第4訂正により「給送路」の意味に実質的な変更が
加えられたから,「ビットガイド」についても,その技術的内容が異な
るものに変更された(本件第4訂正により,「ビットガイド」はその一
部のみがドライブビットを案内する機能を有するものに変更され
た。)。
また,「ビットガイド」の「前面」は,「プレート」に接する面なの
か,「コンタクトアーム」に接する部分なのか,不明りょうである。
(3)射出穴についての判断の誤り
本訴における被告の以下の主張にかんがみると,本件第4訂正によ
り,「射出穴」の概念が拡張されたというべきであり,この点も訂正要件
を満たさない。
すなわち,被告は,本件第4訂正により,特許請求の範囲に「射出穴」
との記載を付加したことをもって,登録時明細書に記載された第1の実施
例(「コンタクトアームの先端部51がパイプ状になった場合」,段落【
0014】,【0015】参照)と,第2の実施例(「溝のように開放さ
れたもの」の場合,段落【0016】,【0017】参照)のうち,第2
の実施例の場合を放棄したはずであるにもかかわらず,被告は,「射出
穴」が,一体形成されたパイプ状に溶接されたものに限られず,複数の部
材がネジ止め等により射出穴を形成するものも含まれ,溝のように開放さ
れたものと区別されるだけである旨主張している。このような被告の主張
を前提とすれば,「射出穴」には「螺子止め形成」の場合が含まれること
になるから,本件第4訂正により「射出穴」の概念が拡張されたというべ
きである。
2取消事由2(刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り)
本件審決は,本件発明1と刊行物1記載の発明1との相違点2及び4の容
易想到性の判断に際して,「刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事項を適
用することはできない。」(審決書31頁19行∼20行)と判断し,本件
発明1と刊行物1記載の発明1との相違点4,本件発明2と刊行物1記載の
発明2との相違点2及び4,本件発明3と刊行物1記載の発明2との相違点
2及び4,本件発明4と刊行物1記載の発明3との相違点2の各容易想到性
の判断に際しても,これと同様の判断をした。
しかし,以下のとおり,本件審決の上記判断は誤りである。そして,本件
審決はその余の相違点に係る本件発明1ないし4の各構成について容易想到
であると判断しているから,上記誤りが本件審決の結論に影響することは明
らかである。
(1)本件発明1と刊行物1記載の発明1との対比の誤り
本件審決は,本件発明1と刊行物1記載の発明1との相違点2について
判断するに先立ち,本件発明1と刊行物1記載の発明1とを対比して,「
後者の『側面フランジ96−96』は,マガジン前端に設けられ,少なく
とも前面が平面であるハウジング部材という限りで前者の『ビットガイド
』と共通し,後者の『正面プレート101』は,コンタクトアームの前面
に設けられ,先頭の止具の前面を受けるプレート部材という限りで前者の
『プレート』と共通」(審決書26頁29行∼33行)すると認定した上
で,「刊行物1記載の発明1において,ドライブビットをガイドしている
のは,正面プレート101の窪み101bと移動部材102の窪み102
bであって,ハウジング部材である側面フランジ96−96ではない。す
なわち,刊行物1記載の発明1の側面フランジは,ドライブビットをガイ
ドする機能はなく,刊行物2記載のビットガイド(ガイドプレート)とは
機能が異なるから,刊行物1記載の発明1の側面フランジを刊行物2記載
のビットガイドと置き換える動機づけがないというべきである。」(審決
書29頁9行∼15行)と判断した。
しかし,以下のとおり,本件発明1の「ビットガイド」が有する2つの
機能(ドライブビットを案内する機能,止具集合体が通過する機能)に着
目すれば,刊行物1記載の発明1の「側面フランジ96−96」及び「正
面プレート101」は,それぞれ本件発明1の「ビットガイド」及び「プ
レート」に完全に対応しているということができるから,本件審決が,上
記2つの機能を区別せずに,「マガジン前端に設けられ,少なくとも前面
が平面であるハウジング部材という限りで」,「コンタクトアームの前面
に設けられ,先頭の止具の前面を受けるプレート部材という限りで」とい
う限定的な認定をしたことは誤りであり,これを前提とする本件審決にお
ける相違点2の容易想到性の判断も誤りである。
ア「側面フランジ」について
(ア)刊行物1記載の発明1の「側面フランジ96−96」は,「マガ
ジン前端に設けられ,少なくとも前面が平面であるハウジング部材」
であるが,これと「正面プレート101の窪み101b」及び「移動
自在部材102の窪み102b」とが組み合わされることにより,本
件発明1の「ビットガイド」のドライブビットを案内する機能が実現
されている。
したがって,刊行物1記載の発明1における「側面フランジ」,「
正面プレート101の窪み101b」及び「移動自在部材102の窪
み102b」は,ドライブビットを案内する機能に関し,本件発明1
の「ビットガイド」及び「プレート」に正しく対応しているといえ
る。
(イ)なお,刊行物2記載の事項1の「カバープレート10」及び「ガ
イドプレート9(の案内溝11)」は,本件発明1の「ビットガイ
ド」におけるドライブビットを案内する機能を果たし,本件発明1
の「プレート」と「ビットガイド」が有する「給送路の一部」に完全
に対応しており,また,刊行物2記載の事項1の「ガイドプレート
9」は,本件発明1の「ビットガイド」における止具集合体が通過す
る機能を果たし,本件発明1の「ビットガイド」の「給送路」に対応
している。
イ「正面プレート」について
そもそも,本件発明1における「プレート」も,コンタクトアーム(
給送路)の前面に設けられ,先頭の止具の前面を受けるプレート部材で
あることを超える技術的事項を要件としてはいないから,刊行物1記載
の発明1の「正面プレート101」は,完全にこれに対応する。
ウコンタクトアームを上下動可能に支持する部位について
本件発明1の「ビットガイド」は,「コンタクトアーム」を「上下動
可能に支持」するものであるところ,刊行物1記載の発明1の「側面フ
ランジ96−96」は,この点においても,本件発明1の「ビットガイ
ド」と対応する。なお,本件審決も,本件発明1と刊行物1記載の発明
1との一致点として,「ハウジング部材に上下動可能に支持された平板
状のコンタクトアーム」(審決書27頁12行)との点を認定してい
る。
(2)刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事項を適用することの容易性
本件審決は,「刊行物1記載の発明1に刊行物2記載の止具集合体が通
過する給送路とプレートとの間にコンタクトアームが位置しないようにコ
ンタクトアームの中間部をビットガイドに支持するという事項を採用する
と,釘105の軸部105bを移動自在部材102に接触して案内するこ
とができないことになり,釘打込みブレードと被加工物との適正な整合状
態で釘を維持するという刊行物1記載の発明の目的を放棄することになる
から,阻害要因が存在するといえる。」(審決書31頁12行∼18行)
と判断した。
しかし,以下のとおり,本件審決の上記判断は誤りである。
ア本件発明1と刊行物1記載の発明1との相違点は,要するに,止具集
合体の形状に基づく違いのみに帰着するものである。
そして,刊行物1記載の発明1では,止具の頭部は相互に連結されて
いるが,止具の軸部は分離したままの状態の形状を有する止具集合体(
以下「セパレート型止具集合体」という。なお,「打込機」においてセ
パレート型止具集合体を用いた例としては,刊行物1のほか,甲28が
ある。)が採用されているのに対し,刊行物2記載の事項は,個々の止
具の頭部及び軸部が,次の止具の頭部及び軸部と接着等により連結され
た止具集合体(以下「接着型止具集合体」という。)を前提にするもの
である。
しかし,刊行物1記載の発明1及び刊行物2記載の事項は,いずれ
も「打込機」に関するものであって技術分野の共通性があること,「打
込機」において,接着型止具集合体は広く用いられてきたこと(甲2,
11,15,26,27,85)からすれば,接着型止具集合体を採用
するか,セパレート型止具集合体を採用するかは,当業者が適宜選択し
得る事項といえる。
イ刊行物1記載の発明1において重要なのは,①被加工物との接点にお
いて打撃時の衝撃に対して発生し得る前ズレを防止するため,コンタク
トアームに射出路を設けるという技術的思想,及び,②止具をコンタク
トアームでなく,プレートで受けるという技術的思想であるが,これら
は,接着型止具集合体を採用しても実現することができるから,セパレ
ート型止具集合体と接着型止具集合体のいずれを採用するかと,刊行物
1記載の発明1における上記技術思想とは,何ら関係がないといえる。
刊行物1の図17Aではコンタクトアームに相当する移動自在部材1
02の下方縁部102cが止具の頭部に接触しているとしても,図20
には止具の頭部にも軸部にも接触していない場合も開示されているか
ら,刊行物1記載の発明1では,移動自在部材102と止具が接触して
いるか否かが重要なのではなく,単に,セパレート型止具集合体の形状
から,コンタクトアームが物理的に,水平方向については先頭の止具と
次の止具との中間に,上下方向については止具の頭部と一番下の先端部
の間に位置することで,先頭の止具を案内できるというものにすぎな
い。
接着型止具集合体においては,次の止具の軸部が先頭の止具を案内す
る機能を有する(ドライブビットが先頭の止具を打撃する力によって,
先頭の止具が接着されていた次の止具から離され,先頭の止具が下方向
に移動する際,次の止具の軸部がこれと密着する位置にあるから,両者
の軸の間に案内機能を有する部材を設ける必要がない。)から,セパレ
ート型止具集合体に代えて接着型止具集合体を採用する場合,コンタク
トアームをどのように使うかを問題にする必要すらない。
ウしたがって,接着型止具集合体を前提とした技術的内容を開示してい
る刊行物2記載の事項を,セパレート型止具集合体を採用した刊行物1
記載の発明1に適用することは,当業者であれば容易に想到することが
できるというべきであり,また,この点について何ら阻害要因は存在し
ない。
3取消事由3(刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り及び判断の遺脱)
原告は,本件無効審判の手続において,第4回弁駁書(甲42)を提出
し,刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用することによる進歩性
の欠如についての主張をした。すなわち,本件発明1ないし4は,いずれも
刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用することにより,容易に発
明することができたものである。
ところが,本件審決は,刊行物1記載の発明1の「側面フランジは,刊行
物3記載の事項におけるブロックの一方73aとも機能が異なるものであ
る。」(審決書29頁15行∼17行)と説示したにとどまり,刊行物1記
載の発明に刊行物3記載の事項を適用することについて,何ら実質的な判断
を示していない。
また,刊行物1記載の発明1の「側面フランジ」が果たす機能は,本件発
明1の「ビットガイド」における止具集合体が通過する機能であるから,刊
行物1記載の発明1の「側面フランジ」について,本件発明1の「ビットガ
イド」におけるドライブビット及び先頭の止具を案内する機能と対比するこ
と自体に誤りがあるというべきで,上記の説示それ自体も誤りである。
したがって,本件審決には,刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を
適用することについて,判断の誤り又は判断の遺脱があるといえ,この誤り
が本件審決の結論に影響することは明らかである。
4取消事由4(刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り)
(1)本件審決の判断の誤り
本件審決は,本件発明1の進歩性の判断に際して,「刊行物2に記載さ
れた発明(刊行物2記載の事項1)に,刊行物1記載の発明1を適用する
ことについて検討しても,上述のとおり,刊行物2記載の事項1の接触素
子(コンタクトアーム)及びガイドプレート(ビットガイド)と,刊行物
1記載の発明1の移動自在部材(コンタクトアーム)及びそれを支持する
側面フランジとは機能が全く異なるから,刊行物2記載の事項1のコンタ
クトアーム及びビットガイドに刊行物1に記載されたコンタクトアーム及
びその支持手段を適用する動機づけがないものである。したがって,刊行
物2記載の事項1に刊行物1記載の発明1を適用することはできな
い。」(審決書32頁3行∼11行)と判断し,本件発明2ないし4の進
歩性の判断に際しても,これと同様の判断をした。
しかし,以下のとおり,本件審決の上記判断は誤りである。
ア刊行物2記載の発明(刊行物2記載の事項のうち,本件発明1ないし
4に対応する構成を総称したものをいう。以下,同じ。)及び刊行物1
記載の事項は,いずれも「打込機」に関するものであって,技術分野を
共通するから,そもそも刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事項を適
用することを阻害する要因はないといえる。
イ刊行物2記載の発明における「接触素子」は,刊行物1記載の事項に
おける「移動自在部材」と同一の作用効果を奏し,同一の技術的思想に
基づくものである。
また,ビットガイドの機能のうちドライブビット及び先頭の止具を案
内する機能は,刊行物2記載の発明ではカバープレート10及びガイド
プレート9が,刊行物1記載の事項では正面プレート101の窪み10
1b及び移動自在部材102の窪み102bが,それぞれ実現してお
り,ビットガイドの機能のうち止具集合体が通過する機能は,刊行物2
記載の発明ではガイドプレート9が,刊行物1記載の事項では側面フラ
ンジ96−96が,それぞれ担っている。
このように,刊行物2記載の発明と刊行物1記載の事項とは,上記2
つの機能が完全に対応しているにもかかわらず,本件審決は,これを区
別せず,ドライブビット及び先頭の止具を案内する機能に関して刊行物
1記載の事項の側面フランジに言及した点に誤りがある。
ウ刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事項を適用することの容易性を
判断するに際しては,まず,刊行物2記載の発明を本件発明と対比すべ
きところ,本件審決が「刊行物2の『止具の帯状集合体16』,『ガイ
ドプレート9』,『打撃ロッド2』,『カバープレート10』,『マガ
ジンスライダ19』,『ステープル17』,『引金レバー4』,『引張
ばね28』,『止具打込み機』,及び『接触素子24』は,その構成及
び機能より,本件発明1の『止具集合体』,『ビットガイド』,『ドラ
イブビット』,『プレート』,『給装部材』,『止具』,『トリガ』,
『押圧手段』,『打込機』,及び『打込機において,コンタクトアーム
』に,それぞれ相当する。」(審決書28頁30行∼29頁2行)と認
定したように,刊行物2記載の発明と本件発明1とはすべての部材が対
応するものである。
したがって,本件発明1と刊行物2記載の発明とを対比し,両者の相
違点の容易想到性の判断をするに際しては,射出穴の有無のみが相違す
る「コンタクトアーム」についてのみ検討すれば足りる。
また,本件審決が「本件発明1と刊行物1記載の発明1とを対比する
と,・・・後者の『移動自在部材102』が前者の『コンタクトアーム
』に,・・・それぞれ相当する」(審決書26頁21行∼26行)と認
定したように,刊行物1記載の発明1の「移動自在部材102」は,本
件発明1の「コンタクトアーム」に対応するものであって,刊行物1記
載の事項において,刊行物2記載の発明の「接触素子24」に対応する
のは,「移動自在部材102」であるから,刊行物1記載の事項におけ
る「側面フランジ」について検討する必要はないといえる。
本件審決が刊行物1記載の事項の側面フランジに言及したことは,上
記の点からも,誤りであるといえる。
エなお,本件発明1における「マガジン側からビットガイド,コンタク
トアームの中間部,プレートの順に配列し」との構成の技術的な意義に
ついては,訂正明細書に何ら記載がなく,格別のものとは認め難いこ
と,従来から,コンタクトアーム,ビットガイド,プレートの順に配列
する例も,ビットガイド,コンタクトアーム,プレートの順に配列する
例も,共に知られていたことからすれば,いずれの順に配列するかは単
なる設計事項にすぎない。
オ以上のとおり,当業者にとって,刊行物2記載の発明に刊行物1記載
の事項を適用することは容易である。
(2)本件審決の判断の誤りが本件審決の結論に影響すること
本件審決の前記(1)の判断の誤りは,以下のとおり,本件審決の結論に影
響する。
ア審理範囲について
複数の公知事実に基づく進歩性欠如に係る無効理由において,いずれ
を主たる引用発明とし,いずれを従たる引用発明とするかは,単なる判
断方法の相違にすぎないから,刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事
項を適用することのみでなく,刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事
項を適用することも,同様に検討すべき対象といえる。
イ本件発明1について
(ア)本件発明1と刊行物2記載の発明との一致点・相違点
本件発明1と刊行物2記載の発明とは,次の一致点(1)において一致
し,次の相違点(1)ないし(4)において相違する。
a一致点(1)
ドライブビットを内蔵した打込機本体の下方に位置し,多数の止
具集合体及び該止具集合体を前進させるためスプリングによって押
圧される給送部材を収納支持するマガジンと,
マガジン前端に設けられ,上記止具集合体が通過する給送路を有
し,少なくとも前面が平板状のビットガイドを備え,上記給送路の
一部はドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の
止具を案内するようにした打込機であって,
打込機本体に設けられたトリガと,
上端がトリガ近傍まで延び,下端がビットガイド下端より下方に
突出し,中間部がビットガイドに設けられると共にビットガイドに
上下動可能に支持された平板状のコンタクトアームと,
コンタクトアームを下方に付勢する付勢手段とを備え,
コンタクトアームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記ドラ
イブビットの駆動を開始させるようにした打込機であって,
前記コンタクトアームの前側にプレートを設けることにより,前
記マガジンの前側に配置された前記ビットガイド,前記コンタクト
アームの中間部,前記プレートのうち,前記ビットガイドを前記マ
ガジン側に配列し,
先頭の止具の前面をコンタクトアームでなくプレートで受けるよ
うにし,前記止具集合体が通過する給送路とプレートとの間にコン
タクトアームが位置しないように前記コンタクトアームの中間部を
ビットガイドに支持すると共に,
前記ビットガイドの給送路の下端より突出した前記コンタクトア
ームの部分を有することを特徴とする打込機。
b相違点(1)
前者は,中間部がビットガイドの前面に設けられると共にビット
ガイドに上下動可能に支持された平板状のコンタクトアームである
のに対して,後者は,中間部がガイドプレート9の後面に設けられ
ると共にガイドプレート9に上下動可能に支持された平板状のトリ
ガ安全装置である点で相違する。
c相違点(2)
前者は,コンタクトアームを下方に押圧する押圧手段とを備えた
ものであるのに対して,後者は,トリガ安全装置を下方に付勢する
引張ばね28とを備えたものである点で相違する。
d相違点(3)
前者は,前記コンタクトアームの前面にプレートを設けることに
より,前記マガジン側から前記ビットガイド,前記コンタクトアー
ムの中間部,前記プレートの順に配列したものであるのに対して,
後者は,前記トリガ安全装置の前方にカバープレート10を設ける
ことにより,前記マガジン側から前記トリガ安全装置,前記ガイド
プレート9の中間部,前記カバープレート10の順に配列したもの
である点で相違する。
e相違点(4)
前者は,前記ビットガイドの給送路の下端より突出した前記コン
タクトアームの部分に前記給送路に連続する射出穴を前記コンタク
トアームの下端まで貫通して設け,該射出穴から止具を打出すよう
にしたものであるのに対して,後者は,前記ガイドプレート9の案
内溝11の下端より突出した前記トリガ安全装置の部分に前記案内
溝11に連続する射出穴を設けていない(案内溝11の下端開口か
ら止具を打出すようにした)点で相違する。
(イ)相違点についての容易想到性
a相違点(1)について
コンタクトアームの中間部を,ビットガイドの前面に設けるか,
ビットガイドの後面に設けるかは,単なる設計事項であり(なお,
コンタクトアームの中間部をビットガイドの前面に設けることは,
刊行物3,刊行物1,甲21ないし24などに示されるように,周
知である。),当業者は適宜選択可能である。また,訂正明細書の
特許請求の範囲には当該事項に関連する記載はなく,発明の詳細な
説明にもコンタクトアームの中間部をビットガイドの前面に設ける
ことによって生じる作用効果は記載されていない。
したがって,相違点(1)に係る本件発明1の構成は,当業者が容易
に想到することができたというべきである。
b相違点(2)について
コンタクトアームを下方に付勢する手段として,押圧手段を用い
るか,引張ばね28を用いるかは,単なる設計事項であり,当業者
は適宜選択可能である。
したがって,相違点(2)に係る本件発明1の構成は,当業者が容易
に想到することができたというべきである。
c相違点(3)について
ビットガイドとコンタクトアームの配置の相違は,相違点(1)(コ
ンタクトアームの中間部をビットガイドの前面に設けるか,ビット
ガイドの後面に設けるかの相違)に基づくものであり,「前記コン
タクトアームの前面にプレートを設けることにより,前記マガジン
側から前記ビットガイド,前記コンタクトアームの中間部,前記プ
レートの順に配列」した構成は,相違点(1)の場合と同様に,また,
刊行物1において従来技術とされた甲32に示されるように,周知
である。
したがって,相違点(3)に係る本件発明1の構成は,相違点(1)と
同様に,当業者が容易に想到することができたというべきである。
d相違点(4)について
刊行物1には,本件発明1の「コンタクトアーム」に相当する,
下端に案内溝を設けた「移動自在部材102」が記載されており,
この案内溝は,打撃された釘を打ち込み完了まで案内する射出路で
ある点で,本件発明1の「射出穴」と同一であるから,刊行物1に
は,射出穴をコンタクトアームの下端まで貫通して設け,該射出穴
から止具を打出すようにしたことが記載されているに等しい。ま
た,射出穴をコンタクトアームの下端まで貫通して設け,該射出穴
から止具を打出すようにしたものは,甲3(その公開公報等である
甲83も同様。),11ないし15に記載されている。このよう
に,本件発明1のように,コンタクトアームに射出穴を設け,該射
出穴から止具を打出することは,周知である。
したがって,相違点(4)に係る本件発明1の構成は,当業者が容易
に想到することができたというべきである。
eまとめ
以上のとおり,本件発明1は,刊行物2記載の発明に,刊行物1
記載の事項,刊行物3記載の事項,周知技術を適用することによ
り,当業者が容易に発明することができたものである。
ウ本件発明2について
(ア)本件発明2と刊行物2記載の発明との一致点・相違点
本件発明2と刊行物2記載の発明とは,次の一致点(2)において一致
し,前記イ(ア)bないしeの相違点(1)ないし(4)において相違する。
a一致点(2)
ドライブビットを内蔵した打込機本体の下方に位置し,多数の止
具集合体及び該止具集合体を前進させるためスプリングによって押
圧される給送部材を収納支持するマガジンと,
マガジン前端に設けられ,上記止具集合体が通過する給送路を有
し,少なくとも前面が平板状のビットガイドを備え,上記給送路の
一部はドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の
止具を案内するようにした打込機であって,
打込機本体に設けられたトリガと,
上端がトリガ近傍まで延び,下端がビットガイド下端より下方に
突出し,
中間部がビットガイドに設けられると共にビットガイドに上下動
可能に支持された平板状のコンタクトアームと,
コンタクトアームを下方に付勢する付勢手段とを備え,
コンタクトアームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記ドラ
イブビットの駆動を開始させるようにした打込機であって,
前記コンタクトアームの前側にプレートを設けることにより,前
記マガジンの前側に配置された前記ビットガイド,前記コンタクト
アームの中間部,前記プレートのうち,前記ビットガイドを前記マ
ガジン側に配列し,先頭の止具の前面をコンタクトアームでなくプ
レートで受けるようにし,
前記止具集合体が通過する給送路とプレートとの間にコンタクト
アームが位置しないように前記コンタクトアームの中間部をビット
ガイドに支持すると共に,
前記ビットガイドの給送路の下端より突出した前記コンタクトア
ームの部分を有し,
前記コンタクトアームにビットガイドの給送路の部分の両側に沿
って上方に延びた2個の案内部を設け,
該案内部をビットガイドに沿って上下動させる構成としたことを
特徴とする打込機。
b相違点
上記のとおり,本件発明2と刊行物2記載の発明との相違点は,
本件発明1と刊行物2記載の発明との相違点と同一である。
(イ)相違点の容易想到性
したがって,本件発明2は,本件発明1と同様の理由により,刊行
物2記載の発明に,刊行物1記載の事項,刊行物3記載の事項,周知
技術を適用することにより,当業者が容易に発明することができたも
のである。
エ本件発明3について
(ア)本件発明3と刊行物2記載の発明との一致点・相違点
本件発明3と刊行物2記載の発明とは,前記ウ(ア)aの一致点(2)及
び次の一致点(3)において一致し,前記イ(ア)bないしeの相違点(1)
ないし(4)及び次の相違点(5)において相違する。
a一致点(3)
前記押圧手段を前記2個の案内部を下方に付勢する弾性部材によ
り構成した打込機。
b相違点(5)
前者は,前記押圧手段を前記2個の案内部を下方に押圧する2個
のスプリングにより構成したことを特徴とする打込機であるのに対
して,後者は前記押圧手段を前記2個の案内部を下方に押圧する2
個のスプリングではなく,下方に付勢する1個の引張ばね28によ
り構成した打込機である点で相違する。
(イ)相違点の容易想到性
a相違点(1)ないし(4)について
相違点(1)ないし(4)に係る本件発明3の構成は,前記イ(イ)と同
様の理由により,当業者が容易に想到することができたというべき
である。
b相違点(5)について
前記の相違点(2)と同様に,コンタクトアームを下方に押圧する手
段として押圧手段を用いるか,引張ばね28を用いるかは単なる設
計事項である。また,用いるスプリングを2個とするか1個とする
かは当業者によって適宜選択可能に行われるものである。
したがって,相違点(5)に係る本件発明3の構成は,当業者が容易
に想到することができたというべきである。
cまとめ
以上によれば,本件発明3は,刊行物2記載の発明に,刊行物1
記載の事項,刊行物3記載の事項,周知技術を適用することによ
り,当業者が容易に発明することができたものである。
オ本件発明4について
(ア)本件発明4と刊行物2記載の発明との一致点・相違点
本件発明4と刊行物2記載の発明は,次の一致点(4)において一致
し,前記イ(ア)bないしeの相違点(1)ないし(4),次の相違点(6)及び
(7)において相違する。
a一致点(4)
ドライブビットを内蔵した打込機本体の下方に位置し,多数の止
具集合体及び該止具集合体を前進させるためスプリングによって押
圧される給送部材を収納支持するマガジンと,
マガジン前端に設けられ,上記止具集合体が通過する給送路を有
し,少なくとも前面が平板状のビットガイドを備え,上記給送路の
一部はドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の
止具を案内するようにした打込機であって,
打込機本体に設けられたトリガと,
上端がトリガ近傍まで延びた平板状のコンタクトアームと,
コンタクトアームを下方に付勢する付勢手段とを備えた打込機で
あって,
前記コンタクトアームの前側にプレートを設けることにより,前
記マガジンの前側に配置された前記ビットガイド,前記コンタクト
アームの中間部,前記プレートのうち,前記ビットガイドを前記マ
ガジン側に配列し,
先頭の止具の前面をコンタクトアームでなくプレートで受けるよ
うにし,前記止具集合体が通過する給送路とプレートとの間にコン
タクトアームが位置しないように前記コンタクトアームの中間部を
ビットガイドに支持すると共に,
前記ビットガイドの給送路の下端より突出した前記コンタクトア
ームの部分を有し,
コンタクトアームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記ドラ
イブビットの駆動を開始させると共に
打込み反力によって打込機本体が上昇した時コンタクトアームが
下降することを特徴とする打込機。
b相違点(6)
前者は,反マガジン側の前面に射出路を設けた平板状のコンタク
トアームであるのに対して,後者は,反マガジン側の前面に射出路
の無い平板状のトリガ安全装置である点で相違する。
c相違点(7)
前者は,打込み反力によって打込機本体が上昇した時コンタクト
アームが下降しコンタクトアーム前面が止具に接触して前記ドライ
ブビットが前記止具から外れないようにしたことを特徴とする打込
機であるのに対して,後者は,打込み反力によって止具打込み機が
上昇した時接触素子24(トリガ安全装置)が下降し接触素子24
前面が止具に接触しうる構造である打込機である点で相違する。
(イ)相違点の容易想到性
a相違点(1)ないし(4)について
相違点(1)ないし(4)に係る本件発明4の構成は,前記イ(イ)と同
様の理由により,当業者が容易に想到することができたというべき
である。
b相違点(6)について
刊行物1には,「反マガジン側の前面に窪み102bを設けた平
板状の移動自在部材102」が記載されている。この「窪み102
b」は射出路であるから,相違点(6)に係る本件発明4の構成は,刊
行物1に記載されている。
したがって,刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事項を適用
し,相違点(6)に係る本件発明4の構成とすることは,当業者が容易
に想到することができたというべきである。
c相違点(7)について
刊行物1には,打込み反力によって止具打込み機が上昇した時,
移動自在部材102が下降し移動自在部材102前面が止具に接触
し前記ドライブビットが前記止具から外れないようにしたことを特
徴とする打込機が記載されており,甲3(その公開公報等である甲
83も同様。)にも,同様の構成が開示されている。
したがって,刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事項又は甲3
記載の事項を適用し,相違点(7)に係る本件発明4の構成とすること
は,当業者が容易に想到することができたというべきである。
dまとめ
以上のとおり,本件発明4は,刊行物2記載の発明に,刊行物1
記載の事項,甲3記載の事項,周知技術を適用することにより,当
業者が容易に発明することができたものである。
5取消事由5(刊行物3記載の発明に刊行物1記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り及び判断の遺脱)
原告は,本件無効審判の手続において,第4回弁駁書(甲42)を提出
し,刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用することによる進歩性
の欠如についての主張をするとともに,刊行物3記載の事項(発明)につい
て,「コンタクトアーム先端に射出路が設けられているか否かを除き,ほぼ
本件発明と同一の構成を有するものである。」と主張した。
複数の公知事実に基づく進歩性欠如に係る無効理由において,いずれを主
たる引用発明とし,いずれを従たる引用発明とするかは,単なる判断方法の
相違にすぎないから,刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用する
ことのみでなく,刊行物3記載の発明に刊行物1記載の事項を適用すること
も,同様に検討すべき対象といえる。
そして,本件発明1ないし4は,いずれも刊行物3記載の発明に刊行物1
記載の事項を適用することにより,容易に発明することができたものであ
る。
ところが,本件審決は,刊行物1記載の発明1の「側面フランジは,刊行
物3記載の事項におけるブロックの一方73aとも機能が異なるものであ
る。」(審決書29頁15行∼17行)と説示するにとどまり(前記3のと
おり,同説示は誤りである。),刊行物3記載の発明に刊行物1記載の事項
を適用することについて,何ら実質的な判断を示していない。
したがって,本件審決には,刊行物3記載の発明に刊行物1記載の事項を
適用することについて,判断の誤り又は判断の遺脱があるといえ,この誤り
が本件審決の結論に影響することは明らかである。
第4被告の反論
以下のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
1取消事由1(訂正の可否についての判断の誤り)に対し
(1)訂正事項2−1及び2−2について
原告の主張は,要するに,訂正事項2−1及び2−2が,特許請求の範
囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に該当せず,実質上特許請求の範
囲を変更するものであるというものと解されるが,以下のとおり,原告の
上記主張は失当である。
ア特許請求の範囲の減縮に該当すること
(ア)訂正事項2−1について
訂正事項2−1は,本件第4訂正前(登録時)の下記(イ)ないし(ハ
)の各構成(以下「構成(イ)」のようにいう。)を下記(a)ないし(d)
の各構成(以下「構成(a)」のようにいう。)に訂正するものであ
る。
(イ)ビットガイドはマガジンの前端に設けられている
(ロ)ビットガイドはドライブビット及びドライブビットにより打撃
される先頭の止具を案内する給送路を有する
(ハ)ビットガイドは少なくとも前面が平板状をしている
(a)ビットガイドはマガジンの前端に設けられている
(b)ビットガイドは止具集合体が通過する給送路を有する
(c)ビットガイドは少なくとも前面が平板状をしている
(d)給送路の一部は,ドライブビット及びドライブビットにより打
撃される先頭の止具を案内する
訂正事項2−1に係る本件第4訂正前後の上記各構成を対比する
と,構成(イ)は構成(a),構成(ハ)は構成(c)とそれぞれ同一であ
り,構成(ロ)は,ビットガイドが少なくともドライブビット及び先頭
の止具を案内する給送路を有するという限りにおいて,構成(d)と同
一である。そして,本件第4訂正前の構成には,同訂正後の構成(b)
に相当する要件がないから,訂正事項2−1は,構成(b)を追加した
ものである。
すなわち,本件第4訂正前の「ビットガイド」は,「ドライブビッ
ト及びドライブビットにより打撃される先頭の止具を案内する給送路
を有する」ものをすべて包含していたのに対し,同訂正後は,上記構
成のほかに「止具集合体が通過する給送路を有する」という構成を有
するものに限定された。
このように,訂正事項2−1は,構成(b)を追加したものであり,
特許請求の範囲の減縮に該当する。
(イ)訂正事項2−2について
訂正事項2−2は,本件第4訂正前(登録時)の請求項7の「給送
部材を収納支持するマガジンと,」を「給送部材を収納支持するマガ
ジンと,マガジン前端に設けられ,上記止具集合体が通過する給送路
を有し,少なくとも前面が平板状のビットガイドを備え,上記給送路
の一部はドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の
止具を案内するようにした打込機であって,」に訂正するものであ
り,同訂正前の構成に加え,訂正事項2−1と同様の構成を追加した
ものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。
イ明りょうでない記載の釈明に該当すること
(ア)登録時明細書に記載された「給送路」について
登録時明細書(甲36)の段落【0011】には,「ビットガイド
12には,図1に示す如く,マガジン2の止具集合体が通過する給送
路121が設けられ,該給送路121の底は止具8の足先端を支持す
るようになっている。給送路121の前方には止具集合体の先頭の止
具8が入ると共に打込機本体1内の図示しないドライブビットが上下
動するための射出溝122が下端まで貫通して設けられてい
る。」,「なお,前記給送路121と射出溝122は1個の溝として
もよく,以下説明の便宜上給送路121として説明する。」との記載
がある。
したがって,登録時明細書にいう「給送路」とは,止具集合体が通
過する通路と,先頭の止具が入り,ドライブビットが上下動する溝状
の通路の両方を含むものである。
(イ)訂正事項2−1について
訂正事項2−1に係る構成(b)は,登録時明細書の上記(ア)の記載
に基づいて,ビットガイドが,止具集合体の通過する通路である給送
路を有していることを明確にしたものである。
また,ビットガイドは,先頭の止具及びドライブビットを案内する
溝状通路である給送路を有しており,この給送路は,ビットガイドが
有する全体の給送路からみれば一部の給送路であるから,訂正事項2
−1に係る構成(d)のようにいうことができる。
したがって,訂正事項2−1は,登録時明細書に記載された事項に
基づき,ビットガイドに止具集合体が通過する給送路が設けられてい
ること,該給送路の一部がドライブビット及び先頭の止具を案内する
ものであることをそれぞれ特定し,ビットガイドと給送路の関係を明
りょうにするものであるから,明りょうでない記載の釈明に該当す
る。
(ウ)訂正事項2−2について
訂正事項2−2も,訂正事項2−1と同様に,登録時明細書の段落
【0011】及び【0010】の記載に基づき,打込機がビットガイ
ドを備えていることを特定し,ビットガイドと給送路との関係を明り
ょうにするものであるから,明りょうでない記載の釈明に該当する。
ウ実質上特許請求の範囲を変更するものでないこと
(ア)訂正事項2−1及び2−2は,「給送路」の定義を変更するもの
ではなく,ビットガイドが有する通路を具体的に特定し,限定するも
のである。すなわち,訂正事項2−1及び2−2に係る構成は,ビッ
トガイドの給送路が,止具集合体が通過する通路(登録時明細書の段
落【0011】の給送路121がこれに相当する。)と,ドライブビ
ット及び先頭の止具を案内する通路(登録時明細書の段落【0011
】の射出溝122がこれに相当する。)の両方を含んでいることを意
味するものである。本件第4訂正前(登録時)のビットガイドは,ド
ライブビット及び先頭の止具を案内する通路としての給送路を有する
ものであったが,同訂正後のビットガイドは,ドライブビット及び先
頭の止具を案内する通路に加え,止具集合体が通過する通路も備えた
ものに限定されたものであって,同訂正前後において,ビットガイド
が,ドライブビット及び先頭の止具を案内する通路としての給送路を
有することは,何ら変更されていない。
(イ)原告は,訂正事項2−1及び2−2に係る「止具集合体が通過す
る給送路」との構成について,「給送路」全体に「止具集合体が通過
する」機能があることが必要であると主張するが,そのように解釈す
べき根拠はない。
すなわち,上記構成は,ビットガイドの有する給送路が止具集合体
が通過する機能も有することを意味するにすぎず,ビットガイドの給
送路の全ての部分を止具集合体が通りすぎることを意味するものでは
ないし,登録時明細書の段落【0011】においても,止具集合体が
通過する「給送路121」と,ドライブビットが上下動する「射出溝
122」とを併せて,便宜上「給送路」と称することが説明されてい
るにとどまり,「給送路」全体に「止具集合体が通過する」機能があ
る旨の記載はない。
(2)訂正事項3−1,3−3及び3−4について
原告の主張は,要するに,訂正事項3−1,3−3及び3−4が,特許
請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に該当しないというもの
と解されるが,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
ア訂正事項3−1,3−3及び3−4が特許請求の範囲の減縮に該当す
ること
(ア)訂正事項3−1,3−3及び3−4に係る「先頭の止具の前面を
コンタクトアームでなくプレートで受けるようにし,」,「前記止具
集合体が通過する給送路とプレートとの間にコンタクトアームが位置
しないように前記コンタクトアームの中間部をビットガイドに支持す
ると共に,」との構成は,登録時明細書の「給送路121の前面にカ
バー10を設けたため,前記給送部材13の押圧力をカバー10で受
けるようになり,この押圧力がコンタクトアーム5に作用しなくなる
ので,スプリング6の付勢押圧力を給送部材13の押圧力とは無関係
に小さく設定することができるようになる。」(段落【0013】)
との記載,「前記ビットガイドの前面にプレートを設けると共に,ビ
ットガイドの給送路とプレートとの間にコンタクトアームが位置しな
い構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の打込機。」(
請求項4)との記載,及び,図1の記載に基づくものである。
また,訂正事項3−1,3−3及び3−4に係る「前記コンタクト
アームの前面にプレートを設けることにより,前記マガジン側から前
記ビットガイド,前記コンタクトアームの中間部,前記プレートの順
に配列し,」との構成のうち,「コンタクトアームの前面にプレート
を設ける」との部分は,登録時明細書の「前記コンタクトアームの前
面にプレートを設け,」(請求項8)との記載,及び,図1の記載に
基づくものであり,ビットガイド,コンタクトアームの中間部及びプ
レートの順の配列は,「マガジン前端に設けられ,・・・少なくとも
前面が平板状のビットガイドと,」及び「中間部がビットガイドの前
面に設けられると共にビットガイドに上下動可能に支持された平板状
のコンタクトアームと,」(請求項1及び2)との各記載,「前記コ
ンタクトアームの前面にプレートを設け,」(請求項8)との記載,
及び,図1の記載に基づくものである。
そして,訂正事項3−1,3−3及び3−4に係る上記各構成は,
登録時明細書の上記各記載に基づき,ビットガイドと,先頭の止具を
受けるプレートと,コンタクトアームとの位置関係を具体的に特定す
るものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当する。
(イ)訂正事項3−3及び3−4に係る「前記ビットガイドの給送路の
下端より突出した前記コンタクトアームの部分に前記給送路に連続す
る射出穴を前記コンタクトアームの下端まで貫通して設け,該射出穴
から止具を打出すようにし」との構成は,登録時明細書の「ビットガ
イド12の給送路121の下方に位置するコンタクトアーム先端部5
1には給送路121に連続する射出穴55が先端部51の下端まで貫
通して設けられている。先端がビットガイド12の下端より下方に突
出するコンタクトアーム先端部51は・・・」(段落【0012】)
との記載,及び,図1の記載に基づくものである。
そして,訂正事項3−3及び3−4に係る上記構成は,登録時明細
書の上記各記載に基づき,コンタクトアームの部分に設けられた射出
路の形状を具体的に射出穴に特定すると共に,該射出穴が設けられて
いるコンタクトアームの場所を具体的に特定するものであるから,特
許請求の範囲の減縮に該当する。
(ウ)訂正事項3−4に係る「コンタクトアームが上昇し,トリガが操
作された時のみ前記ドライブビットの駆動を開始させると共に打込み
反力によって打込機本体が上昇した時コンタクトアームが下降しコン
タクトアーム前面が止具に接触して前記ドライブビットが前記止具か
ら外れないようにした」との構成は,登録時明細書の「打込み途中に
おいて打込み反力により打込機本体1が上方に持ち上げられるが,こ
の際コンタクトアーム5が下降して止具8の頭部に接触するようにな
り,打込機本体1が前方に移動することがなくなるので,ドライブビ
ットが止具8から外れることがなくなって止具8が完全に打ち込まれ
るようになると共に取付部材9の表面が打撃されて打撃痕を残すこと
もなくなる。」(段落【0014】)との記載に基づくものである。
そして,訂正事項3−4に係る上記構成は,登録時明細書の上記記
載に基づき,反力により打込機本体が持ち上がったときのドライブビ
ットの動きを更に具体的に特定する訂正であるから,特許請求の範囲
の減縮に該当する。
イ訂正事項3−3が明りょうでない記載の釈明に該当すること
訂正事項3−3に係る「ビットガイドの前記ドライブビットを案内す
る給送路の部分に沿って上方に延びた2個の案内部」との構成は,登録
時明細書の「ビットガイドの給送路の両側に沿って上方に延びた2個の
案内部」(請求項2)との記載における「給送路」が,ドライブビット
を案内する給送路の部分であることを,図1の記載に基づいて明りょう
にするものであって,明りょうでない記載の釈明に該当する。
(3)射出穴についての判断の誤りに対し
争う。原告の主張は,本件審決の判断に誤りがあるか否かとは関連のな
い主張であり,本件審決の結論に影響するものでもないから,審決取消事
由の主張に該当しない。
2取消事由2(刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り)に対し
(1)本件発明1と刊行物1記載の発明1との対比の誤りに対し
原告の主張は,要するに,本件発明1の「ビットガイド」が有する機能
をドライブビットを案内する機能と止具集合体が通過する機能の2つに分
け,各機能をもつ部材が刊行物1記載の発明1に存在するか否かを検討す
べきであるというものと解されるが,以下のとおり,原告の上記主張は失
当である。
本件発明1は,「ビットガイド」と称する部材を備え,当該部材が,「
マガジン前端に設けられ」,「止具集合体が通過する給送路を有し」,「
給送路の一部はドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭
の止具を案内する」,「少なくとも前面が平板状」という構成をすべて有
する部材であることを要するものであり,単に,打込機がドライブビット
の案内機能と,止具集合体の通過機能の2つの機能を備えていればよいと
いうものではないから,ドライブビットを案内する機能と止具集合体が通
過する機能を個別に取り上げて,当該機能を有する部材が刊行物1記載の
発明1に存在するか否かを検討しても,本件発明1と刊行物1記載の発明
1とを対比したことにはならない。
(2)刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事項を適用することの容易性に対

ア刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事項を適用することの困難性
(ア)刊行物1記載の発明1は,従来の機械では,釘の種類によっては
適切な支持がないと被加工物にうまく打込めないため,他の釘を使用
しなければならないという問題があったことにかんがみ,釘がブレー
ドにより被加工物に打込まれるときに釘を適正に維持する移動自在部
材を備えた釘打機を提供することを目的とするものであり,移動自在
部材102が後退した状態において,釘打込みブレード70と被加工
物との適当な整合状態で釘105aを維持することを特徴とするもの
である。
そして,刊行物1記載の発明1では,移動自在部材102が上方に
移動すると,その下方縁部102cが釘打込みブレード70の下方に
位置決めされる釘105aの軸部105bに接触し,それにより生成
される保持作用と,押出し部材130により釘頭部と軸部に加えられ
る力とによって,釘が適正に整合された位置に維持される。
このように,刊行物1記載の発明1では,釘打込みブレード70と
被加工物との適当な整合状態で釘105aを維持するため,移動自在
部材102が釘集合体の給送路の中に入り込む程度に上方に移動し,
釘105aの軸部105bと接触することが,必須である。
(イ)これに対し,刊行物2記載の事項は,「止具の帯状集合体16が
通過する給送路とカバープレート10との間に接触素子24が位置し
ないように接触素子24の中間部をガイドプレート9に支持する」も
のである。
(ウ)そうすると,刊行物2記載の事項を刊行物1記載の発明1に適用
すると,釘の給送路にガイドプレート9が位置しない構成となり,釘
を適正に整合された位置に維持できなくなる。すなわち,刊行物1記
載の発明1は,移動自在部材102が釘集合体の給送路に位置するこ
とが必須であるにもかかわらず,刊行物2は,給送路とカバープレー
ト10との間に接触素子24が位置しないように支持することを教示
するのであるから,刊行物2記載の事項を刊行物1記載の発明1に適
用することは,同発明の目的に相反することになる。
(エ)この点について,原告は,刊行物1記載の発明1では,セパレー
ト型止具集合体を用いていることにより,止具のふらつきという問題
が生じるのであり,接着型止具集合体を採用すれば,そのような問題
は生じない旨主張する。
しかし,刊行物1記載の発明1は,止具の種類によっては,ふらつ
いて被加工物に適正に打込めないという,従来の機械における課題を
解決することを目的とする発明であるところ,セパレート型止具集合
体を採用するか接着型止具集合体を採用するかは設計事項であるとい
う原告の主張は,要するに,ふらつかない釘を使用すればよいという
ものであって,刊行物1記載の発明1の課題を解決するものではない
から,刊行物2記載の事項を刊行物1記載の発明1に適用することを
妨げる事由の存否とは,無関係というべきである。
イ相違点2に係る本件発明1の構成の想到困難性について
刊行物1記載の発明1の「側面フランジ96−96」は,刊行物2記
載の事項の「ガイドプレート9」に相当する部材ではないから,前者
の「側面フランジ96−96」を後者の「ガイドプレート9」に置き換
えるというのは,不合理である。また,置き換えたとしても,これによ
り得られる構成は,本件発明1とは異なるものである。
したがって,刊行物1記載の発明1の側面フランジを刊行物2記載の
事項のビットガイドと置き換える動機付けがないのみならず,仮に置き
換えたとしても,本件発明1に想到することはできないといえる。
(3)小括
以上のとおり,本件審決が,相違点2に係る本件発明1の構成の容易想
到性の判断に際し,刊行物1記載の発明1に刊行物2記載の事項を適用す
ることについて,動機付けがなく,阻害要因があると判断したことに誤り
はなく,相違点4に係る本件発明1の構成の容易想到性の判断についても
同様である。また,本件審決における相違点2に係る本件発明2ないし4
の各構成についての判断についても,本件発明1の場合と同様に,誤りは
ない。
3取消事由3(刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り及び判断の遺脱)について
原告は,本件発明1ないし4は,いずれも刊行物1記載の発明に刊行物3
記載の事項を適用することにより,容易に発明することができたものである
と主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
(1)相違点2に係る本件発明の構成の想到困難性について
本件審決は,刊行物1記載の発明1の「側面フランジは,刊行物3記載
の事項におけるブロックの一方73aとも機能が異なるものである。」(
審決書29頁15行∼17行)として,刊行物1記載の発明に刊行物3記
載の事項を適用することはできない旨判断したものと解されるが,刊行物
1記載の発明の「側面フランジ96−96」は,ドライブビットを案内す
るという基本的な機能を持たないから,本件発明の「ビットガイド」には
該当しないし,仮に刊行物1記載の発明の「側面フランジ96−96」を
刊行物3記載の事項の「部材73a」で置換したとしても,相違点2に係
る本件発明の構成には想到しないから,本件審決の判断に誤りはない。
(2)刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用することの困難性につ
いて
本件審決は,刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事項を適用すること
は,刊行物1記載の発明の目的に相反することになり,阻害要因が存在す
ると判断したが,刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用するこ
とについても,同様の阻害要因がある。
(3)本件無効審判の手続について
被告は,本件無効審判の手続において,刊行物3について,本件無効審
判請求書に記載のない刊行物であり,これに基づく審判請求の理由の補正
はその要旨を変更するものであることを主張した。
4取消事由4(刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り)に対し
原告は,本件発明1ないし4は,刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事
項などを適用することにより,当業者が容易に発明することができたもので
あると主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
(1)一致点・相違点に関する原告主張の誤り
ア原告は,本件発明1ないし4と刊行物2記載の発明とは,「前記コン
タクトアームの前側にプレートを設けることにより,前記マガジンの前
側に配置された前記ビットガイド,前記コンタクトアームの中間部,前
記プレートのうち,前記ビットガイドを前記マガジン側に配列し,」と
の点において一致すると主張する。
しかし,本件発明1ないし4は,プレートの位置がコンタクトアーム
の前側か後側かを規定したものではなく,プレートをコンタクトアーム
の「前面」に設けることを要件とするものである。また,本件発明1な
いし4は,マガジン側からビットガイド,コンタクトアームの中間部,
プレートの順に配列することを要件とするが,刊行物2記載の発明は,
コンタクトアーム24,ビットガイド9,プレート10の順に配列され
ている。
したがって,原告の主張に係る上記の点は,一致点にはならない。
イ本件発明1ないし4と刊行物2記載の発明とは,コンタクトアームの
構成に基本的な相違があるにもかかわらず,原告はその相違を正確に記
述していない。
本件発明1ないし4は,平板状のコンタクトアームの上端がトリガ近
傍まで延び,中間部はビットガイドとプレートとの間に配列されてビッ
トガイドに支持され,下端はビットガイドの下端より突出し,突出した
コンタクトアームより止具を打出すのに対し,刊行物2記載の発明は,
コンタクトアームの中間部がビットガイドとプレートとの間になく,下
段部がビットガイドに支持され,ビットガイドの下端ではなく側面から
下方に突出している。
したがって,相違点として,「前者は,平板状のコンタクトアームの
上端がトリガ近傍まで延び,中間部はビットガイドとプレートとの間に
配列されてビットガイドに支持され,下端はビットガイドの下端より突
出し,突出したコンタクトアームより止具を打出すのに対し,後者はそ
のように構成されていない点」(以下「相違点(3)’」という。)を挙げ
るべきである。
ウ以上のとおり,原告主張に係る本件発明1ないし4と刊行物2記載の
発明との一致点・相違点には誤りがあるから,本件発明1ないし4を容
易に発明することができたとする原告の主張は,その前提を欠くもので
ある。
(2)本件発明1ないし4の想到困難性
ア相違点(3)’について
刊行物1記載の発明は,本件発明1ないし4のビットガイドに相当す
る部材,つまり「止具集合体が通過する給送路を有し,少なくとも前面
が平板状をし,給送路の一部がドライブビット及び先頭の止具を案内す
るように構成された」部材を有しない。
したがって,刊行物1は,相違点(3)’に係る「中間部はビットガイド
とプレートとの間に配列されてビットガイドに支持され,下端はビット
ガイドの下端より突出したコンタクトアームであって,突出したコンタ
クトアームより止具を打出す」との構成を開示するものとはいえない。
イ相違点(4)について
刊行物1は,側面フランジ96の側面よりコンタクトアーム102を
突出させる構成を開示するが,ビットガイドの下端より突出させること
を開示しない。また,刊行物1は,プレート101とコンタクトアーム
102とで形成する射出口より止具を打出しているが,コンタクトアー
ム102に,給送路に連続する射出穴をコンタクトアーム102の下端
まで貫通して設けていない。
したがって,刊行物1は,相違点(4)に係る構成を開示するものとはい
えない。
ウなお,相違点(3)’及び(4)に係る各構成が周知であることを示す証拠
は存在しない。
エ以上のとおり,本件発明1ないし4と刊行物2記載の発明とは,少な
くとも相違点(3)’及び(4)において相違し,これらの相違点に係る本件
発明1ないし4の各構成は,刊行物1には記載されておらず,周知であ
ったともいえないから,本件発明1ないし4は,刊行物2記載の発明に
刊行物1記載の事項などを適用することにより,当業者が容易に発明す
ることができたとはいえない。
5取消事由5(刊行物3記載の発明に刊行物1記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り及び判断の遺脱)に対し
原告は,本件発明1ないし4は,いずれも刊行物3記載の発明に刊行物1
記載の事項を適用することにより,容易に発明することができたものである
と主張する。
しかし,刊行物1は,本件発明と刊行物3記載発明との相違点を開示する
ものではないから,刊行物3記載の発明に刊行物1記載の事項を適用して
も,上記相違点に係る本件発明の構成に想到することはできない。
なお,前記3(3)のとおり,被告は,本件無効審判の手続において,刊行物
3について,本件無効審判請求書に記載のない刊行物であり,これに基づく
審判請求の理由の補正はその要旨を変更するものであることを主張した。
第5当裁判所の判断
当裁判所は,原告主張に係る取消事由はいずれも理由がないが,本件審決に
は,原告が本件無効審判請求書により主張した無効理由に関し判断を遺脱した
違法があるから,これを取り消すべきものと判断する。その理由は,以下のと
おりである。
1取消事由1(訂正の可否の判断の誤り)について
原告は,本件第4訂正を認めた本件審決の判断には誤りがあると主張す
る。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
(1)「給送路」についての判断の誤りについて
ア本件発明1ないし3における「給送路」について
(ア)本件第4訂正前(登録時)の特許請求の範囲の請求項1ないし3
の記載は前記第2,2(1)のとおりであり,本件第4訂正後の特許請求
の範囲の請求項1ないし3の記載は前記第2,2(2)のとおりである。
(イ)上記本件第4訂正前後の特許請求の範囲の各記載によれば,「ビ
ットガイド」が有する「給送路」について,登録時発明1ないし3で
は,「ドライブビット及びドライブビットより打撃される先頭の止具
を案内する」ものであるとされていたところ,本件発明1ないし3で
は,上記の点に加え,「止具集合体が通過する」ものであるとされて
いることが理解できる。
そうすると,登録時発明1ないし3では,「給送路」は「止具集合
体が通過する」ものと,そうでないものの両者を含む構成であったと
ころ,本件発明1ないし3では,「ビットガイド」が有する「給送
路」について,新たに「止具集合体が通過する」という限定が加えら
れたということができる。
なお,「ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭
の止具を案内する」ものが,登録時発明1ないし3では「給送路」と
されていたところ,本件発明1ないし3では「給送路の一部」とされ
ている。しかし,本件発明1ないし3において,「給送路」が「ドラ
イブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止具を案内す
る」ものであることは,登録時発明1ないし3と何ら異なるものでは
なく,上記の点は,「給送路」が,「ドライブビット及びドライブビ
ットより打撃される先頭の止具を案内する」のみでなく,「止具集合
体が通過する」ものとされたことに伴い,「ドライブビット及びドラ
イブビットより打撃される先頭の止具を案内する」のが,「給送路の
一部」であることを明確にしたものと理解するのが相当である。
(ウ)登録時明細書(甲36)には,「ビットガイド12には,図1に
示す如く,マガジン2の止具集合体が通過する給送路121が設けら
れ,該給送路121の底は止具8の足先端を支持するようになってい
る。給送路121の前方には止具集合体の先頭の止具8が入ると共に
打込機本体1内の図示しないドライブビットが上下動するための射出
溝122が下端まで貫通して設けられている。またビットガイド12
の前面には給送路121,射出溝122と平行に延びた案内溝123
及び前面から突出した突起124が設けられている。なお,前記給送
路121と射出溝122は1個の溝としてもよく,以下説明の便宜上
給送路121として説明する。また給送路121の上方にある複数の
凹凸部は,異なる長さの複数の止具8を打込めるようにするためのも
のであるが,周知構成のものであると共に本発明とは直接関係しない
ものであるので,詳細な説明は省略する。」(段落【0011】,訂
正明細書の記載も同じ。)との記載がある。
同記載によれば,登録時明細書には,「止具集合体が通過する給送
路121」と「止具集合体の先頭の止具が入ると共にドライブビット
が上下動するための射出溝122」とを1個の溝として形成すること
が記載され,上記「1個の溝」は,「止具集合体が通過する給送路」
であるとともに,その「一部はドライブビット及びドライブビットに
より打撃される先頭の止具を案内するようにした」ものであることが
説明されていると認められる。
そうすると,本件第4訂正により,本件発明1ないし3における「
ビットガイド」が有する「給送路」を,「止具集合体が通過する」も
のであって,「給送路の一部はドライブビット及びドライブビットに
より打撃される先頭の止具を案内するようにした」ものとした点は,
登録時明細書に記載した事項の範囲内においてしたものというべきで
ある。
イ本件発明4における「給送路」について
(ア)本件第4訂正前(登録時)の特許請求の範囲の請求項7の記載は
前記第2,2(1)のとおりであり,本件第4訂正後の特許請求の範囲の
請求項4の記載は前記第2,2(2)のとおりである。
(イ)上記本件第4訂正前後の特許請求の範囲の各記載によれば本件第
4訂正により,登録時発明7における「給送部材を収納支持するマガ
ジンと,」が,本件発明4における「給送部材を収納支持するマガジ
ンと,マガジン前端に設けられ,上記止具集合体が通過する給送路を
有し,少なくとも前面が平板状のビットガイドを備え,上記給送路の
一部はドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止
具を案内するようにした打込機であって,」に訂正され,新たに「マ
ガジン前端に設けられ,上記止具集合体が通過する給送路を有し,少
なくとも前面が平板状のビットガイドを備え,上記給送路の一部はド
ライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止具を案内
する」という限定が加えられたということができる。
(ウ)そして,前記ア(ウ)において検討したところによれば,本件第4
訂正により,本件発明4において,「マガジン前端に設けられ,上記
止具集合体が通過する給送路を有し,少なくとも前面が平板状のビッ
トガイドを備え,上記給送路の一部はドライブビット及びドライブビ
ットにより打撃される先頭の止具を案内する」ものとした点は,登録
時明細書に記載した事項の範囲内においてしたものと認められる。
ウ原告の主張に対し
原告は,本件第4訂正は,①特許請求の範囲における「給送路」とい
う語を本件第4訂正前(登録時)とは異なる意味で用いるものである,
②特許請求の範囲における「給送路」の意味を不明りょうにし,これを
内包する「ビットガイド」の意味をも不明りょうにするものである,と
主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張はいずれも失当である。
(ア)本件第4訂正は,特許請求の範囲における「給送路」という語を
本件第4訂正前(登録時)とは異なる意味で用いるものであるとはい
えない。
前記ア(イ)のとおり,本件発明1ないし3において,「給送路」
が「ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止具
を案内する」ものであることは,登録時発明1ないし3と何ら異なる
ものではなく,本件発明1ないし3では,「給送路」が「止具集合体
を通過する」点が更に限定されたにすぎないというべきであり,これ
をもって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものという
こともできない。
また,登録時発明7では,「給送路を有するドライブビット」につ
いて特定していないから,本件発明4については,そもそも「給送
路」という語を本件第4訂正前(登録時)とは異なる意味で用いると
いう原告の主張それ自体が妥当しない。
(イ)本件第4訂正は,特許請求の範囲における「給送路」の意味を不
明りょうにし,これを内包する「ビットガイド」の意味をも不明りょ
うにするものであるとはいえない。
前記ア(ウ)のとおり,登録時明細書によれば,「ビットガイド」が
有する「給送路」は,「止具集合体が通過する給送路」であるととも
に,その「一部はドライブビット及びドライブビットにより打撃され
る先頭の止具を案内するようにした」ものであることが説明されてい
るということができ,そのように理解したとしても,訂正明細書の特
許請求の範囲の記載と矛盾するものではない。
なお,原告は,本件第4訂正後の特許請求の範囲では,「給送路」
全体に「止具集合体が通過する」機能があることが必要であるとこ
ろ,「給送路の一部」である「ドライブビット及びドライブビットに
より打撃される先頭の止具を案内する」部分は,「止具集合体」が通
りすぎることができないから,「給送路」は「止具集合体が通過す
る」という要件を充足しないなどと主張するが,原告が主張するよう
に「給送路」からその一部を取り出した上,当該部分を「止具集合
体」が通りすぎることができなければならないものと解すべき根拠
は,登録時明細書及び訂正明細書の記載に照らし,これを見いだすこ
とができない。
エまとめ
以上のとおりであるから,本件第4訂正を認めた本件審決の判断のう
ち,「給送路」についての判断部分に誤りがあるということはできな
い。
(2)「コンタクトアーム」及び「ビットガイド」についての判断の誤りにつ
いて
ア「コンタクトアーム」について
原告は,本件第4訂正後の「給送路」の意味は不明りょうであって,
その下端を確定することができないから,同訂正後の「ビットガイドの
給送路の下端より突出した前記コンタクトアーム」という構成も不明り
ょうであると主張する。
しかし,本件第4訂正後の「給送路」の意味が不明りょうでないこと
は前記(1)のとおりであるから,原告の上記主張は,その前提を欠くもの
であり,採用の限りでない。
イ「ビットガイド」について
(ア)本件第4訂正前(登録時)の特許請求の範囲の請求項1ないし3
及び7の記載は前記第2,2(1)のとおりであり,本件第4訂正後の特
許請求の範囲の請求項1ないし4の記載は前記第2,2(2)のとおりで
ある。
(イ)上記本件第4訂正前後の特許請求の範囲の各記載によれば,本件
発明1ないし4は,登録時発明1ないし3及び7に対し,「ビットガ
イド」,「プレート」及び「コンタクトアーム」の位置関係につい
て,「前記コンタクトアームの前面にプレートを設けることにより,
前記マガジン側から前記ビットガイド,前記コンタクトアームの中間
部,前記プレートの順に配列し,先頭の止具の前面をコンタクトアー
ムでなくプレートで受けるようにし,前記止具集合体が通過する給送
路とプレートとの間にコンタクトアームが位置しないように前記コン
タクトアームの中間部をビットガイドに支持する」との限定を加えた
ものであることが理解できる。
(ウ)原告は,訂正事項3−1,3−3及び3−4は,「ビットガイ
ド,プレート,コンタクトアームの位置関係を具体的に特定するも
の」ではなく,特許請求の範囲の減縮ではなく,かえってその位置関
係を不明りょうにするものであると主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
原告の上記主張は,本件第4訂正後の「給送路」の意味が不明りょ
うであるとの主張を前提とするものであるところ,同主張を採用でき
ないことは,前記(1)のとおりである。
また,前記(イ)のとおり,訂正事項3−1,3−3及び3−4によ
り,「コンタクトアームの前面にプレートを設ける」こと,「マガジ
ン側」から「ビットガイド」,「コンタクトアームの中間部」,「プ
レート」の順に「配列される」ことが特定されるのであるから,同訂
正事項が,「ビットガイド」,「プレート」及び「コンタクトアー
ム」の位置関係を具体的に特定するものであることは明らかである。
(エ)原告は,本件第4訂正によって「給送路」の意味が不明りょうに
なったことを前提として,「コンタクトアームの位置」が不明確とな
り,「ビットガイド」についても,その「部材」としての定義と「機
能」の定義とが乖離したものとなったと主張するが,本件訂正後の「
給送路」が不明確とはいえないことは前記(1)のとおりであるから,原
告の上記主張は前提において失当である。
ウまとめ
以上のとおりであるから,本件第4訂正を認めた本件審決の判断のう
ち,「コンタクトアーム」及び「ビットガイド」についての判断部分に
誤りがあるということはできない。
(3)「射出穴」についての判断の誤りについて
原告は,本訴における被告の主張に照らし,本件第4訂正により「射出
穴」の概念が拡張されたものであって,同訂正は訂正要件を欠くと主張す
る。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
ア「射出穴」との記載は,本件第4訂正前(登録時)の特許請求の範囲
にはなく,同訂正により特許請求の範囲に付加されたものである。した
がって,同訂正により「射出穴」の概念が拡張されたということはでき
ない。
イなお,本件審決は,登録時明細書の図8,9や段落【0017】の記
載を根拠として,「訂正事項3−4について,『射出路』と『射出穴』
が混在した記載になっており,さらに,当該訂正は特許明細書の記載の
ない事項を伴うものである」との原告を排斥した(審決書12頁20行
∼33行)。しかし,登録時明細書の図8,9や段落【0018】の記
載は,「射出穴56の代わりに射出溝56を形成する」こととした実施
例についてのものであり,訂正事項3−4により,特許請求の範囲に付
加された「射出穴」との記載の根拠となるものではないから,本件審決
の上記説示に係る判断には誤りがある。
しかし,①本件審決は,「訂正事項・・・3−4の『前記ビットガイ
ドの給送路の下端より突出した前記コンタクトアームの部分に前記給送
路に連続する射出穴を前記コンタクトアームの下端まで貫通して設け,
該射出穴から止具を打出すようにし』という訂正部分に関して,特許明
細書の段落0012に『・・・。ビットガイド12の給送路121の下
方に位置するコンタクトアーム先端部51には給送路121に連続する
射出穴55が先端部51の下端まで貫通して設けられている。先端がビ
ットガイド12の下端より下方に突出するコンタクトアーム先端部51
は・・・』と記載され,また図1に記載されている。そうすると,本訂
正部分は,特許明細書の上記記載に基づき,コンタクトアームの部分に
設けられた射出路の形状を具体的に射出孔に特定し,射出穴が設けられ
ているコンタクトアームの場所を具体的に特定するものであるから,特
許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,また,新規事項の追加
には該当しない。」(審決書9頁行24行∼37行)と説示していると
ころ,同説示は,登録時明細書の段落【0012】及び図1の各記載に
照らし,これを是認できること,また,②「射出路」が「射出穴」に対
する上位概念であることは登録時明細書の記載に照らし明らかであるこ
とからすれば,本件第4訂正後の請求項4の記載に「射出路」と「射出
穴」が混在することをもって,同請求項に係る訂正が訂正要件を満たさ
ないということはできない。
したがって,本件審決の上記判断の誤りは,訂正の可否に関する結論
に影響するものとはいえない。
(4)小括
以上のとおりであるから,本件審決における訂正の可否の判断について
原告主張に係る誤りはなく,原告主張の取消事由1は理由がない。
なお,本件審決は,「請求項4,5,6・・・を削除することは,特許
請求の範囲の減縮を目的とするものであり,新規事項の追加には該当しな
い。」(審決書10頁16行∼17行)と説示しているところ,本件第3
訂正は登録時の請求項4ないし6の削除を伴うものであり,同訂正を認め
た第2次審決中,これらの請求項の削除に係る訂正を認めた部分について
は,原告・被告とも取消訴訟を提起する原告適格を有しないというべきで
あって,本件第3訂正のうち請求項4ないし6を削除した部分は,同審決
の送達により,既に形式的に確定しているから(知的財産高等裁判所平成
19年(行ケ)第10099号事件・平成19年7月23日決定,知的財
産高等裁判所平成18年(行ケ)第10455号事件・平成20年2月1
2日判決参照),本件審決の上記説示は誤りである。しかし,本件審決の
上記誤りは,本件第4訂正の可否に関する本件審決の結論に影響するもの
ではない。
2取消事由2(刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り)について
(1)本件発明1と刊行物1記載の発明1との対比の誤りについて
原告は,本件審決が,本件発明1の「ビットガイド」が有するドライブ
ビットを案内する機能,止具集合体が通過する機能を区別せずに,「マガ
ジン前端に設けられ,少なくとも前面が平面であるハウジング部材という
限りで」,「コンタクトアームの前面に設けられ,先頭の止具の前面を受
けるプレート部材という限りで」という限定的な認定をしたことは,誤り
であるから,これを前提とする相違点2についての容易想到性の判断も誤
りであると主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
ア本件発明1の「ビットガイド」
訂正明細書の請求項1の記載によれば,本件発明1の「ビットガイ
ド」は,「マガジン前端に設けられ」,「止具集合体が通過する給送路
を有し」,「少なくとも前面が平板状」であって,「給送路の一部はド
ライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止具を案内す
る」ものであり,「止具集合体が通過する給送路とプレートとの間にコ
ンタクトアームが位置しないように前記コンタクトアームの中間部を支
持する」ものであると認められる。
イ刊行物1記載の発明
(ア)刊行物1(甲4)の記載(本件審決の指摘に係る3欄6行∼10
行(訳文第2段落7行∼9行),8欄33行∼9欄11行(訳文第1
3段落∼第14段落),9欄36行∼10欄50行(訳文第16段落
∼第18段落),12欄60行∼14欄25行(訳文第26段落∼第
29段落),図1,10,13,14,17,18,25∼28参
照)によれば,刊行物1には,次の発明(以下「刊行物1発明1」と
いう。下線部は,本件審決の認定に係る刊行物1記載の発明1と異な
る部分を示す。)が記載されているものと認められる。
「釘打込みブレード70を内蔵した釘打ち機本体の下方に位置し,
釘帯105及び該釘帯105を前進させるためバネ125によって前
進方向に付勢される釘押出し部材130を収納支持するマガジンと,
マガジン前端に設けられ,少なくとも前面が平板状の側面フランジ
96−96を備え,上記釘帯105が通過する給送路を有し,上記給
送路の一部は釘打込みブレード70と釘打込みブレード70により打
撃される先頭の釘を案内するようにした釘打ち機であって,
釘打ち機本体に設けられたトリガ184と,
下端が側面フランジ96−96下端より下方に突出することがで
き,上記釘帯105が通過するスロット102aを中間部に有し,側
面フランジ96−96の前面に設けられると共に側面フランジ96−
96に上下動可能に支持され,反マガジン側の前面に窪み102bを
設けた平板状の移動自在部材102と,
移動自在部材102を下方に押圧するU字状の板バネ及びばね16
7とを備え,
移動自在部材102が上昇し,トリガが操作された時のみ前記釘打
込みブレード70の駆動を開始させるようにした釘打ち機であって,
前記移動自在部材102の前面に,マガジン側に窪み101bを設
けた正面プレート101を設けることにより,前記マガジン側から,
前記側面フランジ96−96,前記移動自在部材102,前記正面プ
レート101の順に配列し,先頭の釘の前面を移動自在部材102で
なく正面プレート101で受けるようにし,
移動自在部材102が下降位置にあるときは,給送路の一部を構成
するスロット102aを通して,上記釘帯105を正面プレート10
1側に供給する一方,移動自在部材102が上昇し,移動自在部材1
02の下端が,正面プレート101の下端と側面フランジ96の下端
と同じ位置になるときは,正面プレート101の窪み101bと移動
自在部材102の窪み102bとによって,正面プレート101と移
動自在部材102との下端まで案内溝を形成し,前記釘帯105が通
過する給送路に移動自在部材102が位置するように,前記移動自在
部材102を側面フランジ96−96に支持すると共に,
前記給送路の下方に給送路に連続する案内溝を設けており,前記案
内溝から釘を打出すようにした釘打ち機。」
(イ)本件審決は,刊行物1記載の発明1について,「マガジン前端に
設けられ,上記釘帯105が通過する給送路を有し,少なくとも前面
が平板状の側面フランジ96−96を備え,上記給送路の一部は釘打
込みブレード70と釘打込みブレード70により打撃される先頭の釘
を案内するようにした釘打ち機であって,」(審決書21頁7行∼1
0行)と認定しているが,同認定は刊行物1記載の発明を正確に摘示
したものとはいえない。
(ウ)しかし,本件発明1と刊行物1発明1とを対比すると,両者は,
本件審決が認定した一致点において一致し,相違点1ないし4におい
て相違すると認められるから,本件審決における刊行物1記載の発明
1の認定の一部に誤りがあるとしても,この誤りは審決の結論に影響
するものではない。
なお,本件審決は,相違点2として,刊行物1記載の発明1の「側
面フランジ96−96」,すなわち「ハウジング部材はビットガイド
でなく,ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の
止具を案内する部材が正面プレート101の窪み101bと移動自在
部材102の窪み102b」である旨認定していること,本件審決の
認定に係る刊行物1記載の発明3では,刊行物1発明1(上記(ア)の
下線部)と同様の認定がされていることからみて,本件審決の前記(イ
)の記載は単なる誤記とも考えられる。
(エ)そして,刊行物1発明1の「側面フランジ96−96」は,「マ
ガジン前端に設けられ,少なくとも前面が平板状」であって,「前記
釘帯105が通過する給送路に移動自在部材102が位置するよう
に,前記移動自在部材102を支持する」ものであること,また,刊
行物1発明1の「正面プレート101の窪み101bと移動自在部材
102の窪み102bとによって,正面プレート101と移動自在部
材102との下端まで案内溝を形成し」,この「案内溝」により「ビ
ットと先頭の止具」が案内されるものであることが,それぞれ認めら
れる。
ウ対比・検討
(ア)前記ア及びイによれば,本件発明1の「ビットガイド」と刊行物
1発明1の「側面フランジ96−96」とは,「マガジン前端に設け
られ,少なくとも前面が平板状」であって,「コンタクトアームを支
持する」ものである点で共通するが,前記イ(エ)のとおり,刊行物1
発明1では,ドライブビットと先頭の止具は,「正面プレート101
の窪み101bと移動自在部材102の窪み102bとによって,正
面プレート101と移動自在部材102との下端まで」形成された「
案内溝」により案内されるのであり,「側面フランジ96−96」に
より案内されるものではない。
そうすると,本件審決が,本件発明1の「ビットガイド」と刊行物
1記載の発明1の「側面フランジ96−96」とを対比するに当た
り,両者が「マガジン前端に設けられ,少なくとも前面が平板状であ
るハウジング部材」である点において共通することに着目し,後者が
これらの点の限りで前者と共通する旨認定したことに誤りはなく,ま
た,「刊行物1記載の発明1において,ドライブビットをガイドして
いるのは,正面プレート101の窪み101bと移動部材102の窪
み102bであって,ハウジング部材である側面フランジ96−96
ではない。すなわち,刊行物1記載の発明1の側面フランジは,ドラ
イブビットをガイドする機能はな(い)」(審決書29頁9行∼13
行)と認定したことにも,誤りはない。
(イ)本件審決は,本件発明1と刊行物1記載の発明1との一致点とし
て,「ハウジング部材に上下動可能に支持された平板状のコンタクト
アーム」(審決書27頁12行)との点を認定しているから,本件発
明1の「ビットガイド」と刊行物1発明1の「側面フランジ96−9
6」とが「コンタクトアーム」を「上下動可能に支持」するという点
においても共通する点を看過した違法はない。
また,本件審決は,本件発明1と刊行物1記載の発明1との一致点
として,「上記止具集合体が通過する給送路を有し,上記給送路の一
部はドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止具
を案内するようにした」(審決書27頁8行∼9行)との点を認定し
ているから,刊行物1記載の発明1における「止具集合体が通過する
給送路の一部でドライブビット及びドライブビットにより打撃される
先頭の止具を案内する」との構成を看過した違法はない。
さらに,本件審決は,本件発明1と刊行物1記載の発明1との相違
点2として,「前者は,ハウジング部材が止具集合体が通過する給送
路を有するビットガイドであって,マガジン側からビットガイド,コ
ンタクトアームの中間部,前記プレートの順に配列し,止具集合体が
通過する給送路とプレートとの間にコンタクトアームが位置しないよ
うにコンタクトアームの中間部をビットガイドに支持するのに対し
て,後者は,ハウジング部材はビットガイドでなく,ドライブビット
及びドライブビットにより打撃される先頭の止具を案内する部材が正
面プレート101の窪み101bと移動自在部材102の窪み102
bであり,しかも,コンタクトアームが上昇した際に,止具集合体が
通過する給送路とプレートとの間にコンタクトアームが位置する
点」(審決書27頁28行∼28頁1行)を認定しているから,刊行
物1記載の発明1における「ドライブビット及びドライブビットによ
り打撃される先頭の止具を案内する部材」は,「正面プレート101
の窪み101bと移動自在部材102の窪み102b」であり,これ
らが,本件発明1における「ビットガイド」のドライブビット及び先
頭の止具を案内する機能に対応するものであることを看過した違法は
ない。
エまとめ
以上のとおりであるから,本件発明1と刊行物1記載の発明1との対
比の誤りをいう原告の主張は,採用の限りでない。
(2)刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事項を適用することの容易性につ
いて
原告は,本件審決が「刊行物1記載の発明1に刊行物2記載の事項を適
用することはできない。」と判断したのは誤りであると主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
ア刊行物1発明1の側面フランジと刊行物2記載の事項のビットガイド
との機能の相違に基づく想到困難性について
(ア)前記(1)イ(エ)のとおり,刊行物1発明1において,ドライブビッ
ト及び先頭の止具を案内する機能を備える部材は,「移動自在部材1
02」と「正面プレート101」であるところ,同発明の「側面フラ
ンジ96−96」に代えて刊行物2記載の事項の「ガイドプレート
9」を用いることとし,ドライブビット及び先頭の止具を案内する機
能を「側面フランジ96−96」に代わる「ガイドプレート9」が備
えるようにすることを想定すると,「ガイドプレート9」に支持され
る「移動自在部材102」の中間部はドライブビット及び先頭の止具
を案内するものではなくなることになるが,この場合に「移動自在部
材102」の形状をどのようなものとすればよいかは,明らかでな
い。
(イ)刊行物2記載の事項の「ガイドプレート9」を採用するに当た
り,刊行物1発明1の「移動自在部材102」に相当する刊行物2記
載の事項の「接触素子24」の構成を同時に採用することを想定して
も,刊行物2記載の事項においては,マガジン側から,「接触素子2
4」,「ガイドプレート9」,「カバープレート10」の順に配列さ
れているから,直ちに相違点2に係る本件発明1記載の構成におけ
る「マガジン側からビットガイド,コンタクトアームの中間部,プレ
ートの順に配列し」との構成に想到し得るとはいえない。
(ウ)この点,原告は,本件発明1における「マガジン側からビットガ
イド,コンタクトアームの中間部,プレートの順に配列し」との構成
には技術的な意義がなく,コンタクトアーム,ビットガイド,プレー
トの順に配列するか(刊行物2,甲21),ビットガイド,コンタク
トアーム,プレートの順に配列するか(刊行物1,刊行物3,甲3
2)は,単なる設計事項にすぎないと主張する。
しかし,後記4のとおり,刊行物2記載の事項において,マガジン
側から,「ガイドプレート9」,「接触素子24」,「カバープレー
ト10」の順に配列しようとすれば,「接触素子24」が「ガイドプ
レート9」の「溝11」に干渉する位置となるなどの問題が生ずるこ
とからすれば,刊行物1発明1に刊行物2記載の事項を適用し,か
つ,「マガジン側からビットガイド,コンタクトアームの中間部,プ
レートの順に配列」するものとすることが,単なる設計事項にすぎな
いということはできない。
(エ)そうすると,刊行物1発明1の側面フランジと刊行物2記載の事
項のビットガイド(ガイトプレート)とは,打撃ビットと先頭の止具
を案内する機能の有無が異なることによって,前者の側面フランジに
代えて後者のビットガイドを採用することにより,相違点2に係る本
件発明1の構成に想到することが当業者に容易であったということは
できない。
イ刊行物1発明1の目的に基づく想到困難性について
(ア)刊行物1(甲4)の記載によれば,刊行物1発明1は,「打撃に
おいて先頭の止具がふらつかないようにする」ことを目的として,「
移動自在部材102が,上昇時に先頭の止具と次の止具との間に位置
する」ように構成されているものであることが認められる。
ここで,刊行物1発明1の「側面フランジ96−96」に代えて刊
行物2記載の事項の「ガイドプレート9」を用いることを想定する
と,ドライブビット及び先頭の止具の案内は「ガイドプレート9」で
行うこととなるから,刊行物1発明1の「移動自在部材102」は,
先頭の止具と次の止具の間に位置することができなくなってしまう。
また,刊行物1発明1の「移動自在部材102」に刊行物2記載の
事項を適用し,止具集合体が通過する給送路に位置しない構成とする
と,刊行物1発明1の「移動自在部材102」は先頭の止具と次の止
具の間に位置することができなくなってしまう。
そうすると,刊行物1発明1に刊行物2記載の事項を適用しようす
れば,刊行物1発明1の「先頭の止具がふらつかないようにする」と
いう目的を達成することができなくなるから,そのような適用をする
ことは困難であるというべきである。
(イ)この点,原告は,刊行物1記載の発明1の「コンタクトアーム」
が上昇時に先頭の止具と次の止具との間に位置すべきこととなるの
は,同発明がセパレート型止具集合体を用いたことによるものであ
り,接着型止具集合体を採用すれば,次の止具が先頭の止具を支える
ため,コンタクトアームが先頭の止具を支える必要はなくなるから,
刊行物1発明1に刊行物2記載の事項を適用することは,容易である
旨主張する。
しかし,接着型止具集合体であっても,先頭の止具は,打ち込まれ
る際には,次の止具から分離されるものであるから,刊行物1発明1
における「移動自在部材102」が上昇して,接着型止具集合体の先
頭の止具を分離しながら,先頭の止具と次の止具との間に位置するこ
とができるということができる。そうすると,刊行物1発明1におい
て,接着型止具集合体を採用することを想定したとしても,「移動自
在部材102」が「止具集合体が通過する給送路に位置しないように
する」構成を当業者が必ず採用するものとはいえない。
原告の主張は採用することができない。
(3)小括
以上検討したところによれば,本件審決が,本件発明1と刊行物1記載
の発明1との相違点2の容易想到性の判断に当たり,刊行物1記載の発明
に刊行物2記載の事項を適用することはできないと判断したことに誤りは
なく,本件審決が,本件発明2と刊行物1記載の発明2との相違点2,本
件発明3と刊行物1記載の発明2との相違点2,本件発明4と刊行物1記
載の発明3との相違点2の各容易想到性の判断に当たり,上記と同様の判
断をしたことにも,誤りはない。
したがって,原告主張の取消事由2は理由がない。
原告は,刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事項を適用することの容
易性について,その他縷々主張するが,いずれも採用の限りでない。
3取消事由3(刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り及び判断の遺脱)について
原告は,本件審決には,刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用
することについて,判断の誤り又は判断の遺脱があると主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
後記6のとおり,原告が本件無効審判手続において主張した無効理由のう
ち,刊行物1記載の発明,刊行物3記載の事項及び周知慣用手段の組合せに
係る理由は,刊行物3に基づく公知事実によって構成されているという点に
おいて,本件無効審判請求書の要旨を変更するものというべきであり,しか
も,特許法131条の2第2項の規定による補正の許可及び被告(被請求
人)に対する同法134条2項の答弁書の提出の機会の付与も,同法153
条2項の規定による通知及び当事者に対する意見申立ての機会の付与もされ
ていないから,本件無効審判の手続において,適法に主張されたものという
ことはできない。
そうすると,本件無効審判について,請求不成立の審決をするに際し,刊
行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用することについて,判断を示
す必要はないというべきである。すなわち,本件審決が,刊行物1記載の発
明1の「前記側面フランジは,刊行物3記載の事項におけるブロックの一方
73aとも機能が異なるものである。」(審決書29頁15行∼17
行),「本件発明1の相違点2,4は,刊行物1記載の発明1,刊行物2記
載の事項2,3に基づいて,当業者が容易になし得たものとすることができ
ない。」(審決書31頁34行∼32頁2行),「本件発明1は,刊行物
1,刊行物2ないし刊行物3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に
発明をすることができたとすることができない。」(審決書32頁12行∼
14行),「本件発明2は,刊行物1,刊行物2ないし刊行物3に記載され
た発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとすることがで
きない。」(審決書33頁15行∼17行),「本件発明3は,刊行物1,
刊行物2ないし刊行物3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明
をすることができたとすることができない。」(審決書34頁8行∼10
行),「本件発明4は,刊行物1ないし刊行物3に記載された発明に基づい
て,当業者が容易に発明をすることができたとすることができない。」(審
決書36頁10行∼11行),「本件発明1∼4は,刊行物1,刊行物2な
いし刊行物3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたと
することができない。」(審決書36頁13行∼15行)などと説示してい
る点は,いずれも本件審決の結論を導く根拠とは無関係の,不要な判断であ
る。
以上のとおり,取消事由3に係る原告の主張は,本件審決を取り消すべき
事由に当たらない。
4取消事由4(刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り)について
原告は,本件審決が,本件発明1の進歩性の判断に際して,「刊行物2記
載の事項1に刊行物1記載の発明1を適用することはできない。」(審決書
32頁3行∼11行)と判断し,本件発明2ないし4の進歩性の判断に際し
ても,これと同様の判断をしたことが誤りであり,本件発明1ないし4は,
刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事項などを適用することにより,当業
者が容易に発明することができたものであると主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
(1)本件発明1について
ア本件発明1と刊行物2記載の発明との対比
(ア)刊行物2記載の発明
刊行物2(甲2)の記載(本件審決の指摘に係る5頁7行∼6頁末
行(訳文2頁21行∼48行),7頁16行∼30行(訳文3頁8行
∼14行),8頁4行∼8行(訳文3頁19行∼21行),図1∼5
のほか,訳文1頁5行∼9行,訳文1頁27行∼32行,訳文1頁4
3行∼末行参照)によれば,刊行物2には,次の発明(以下「刊行物
2発明」という。)が記載されているものと認められる。
「打撃ロッド2を内蔵した止具打込み機本体の下方に位置し,多数
の止具の帯状集合体16及び該止具の帯状集合体16を,ばねによっ
てシフトするためのマガジンスライダ19を収納するマガジン15
と,
マガジン前端に設けられ,止具の帯状集合体16が通過する給送路
を有し,少なくとも前面が平板状のガイドプレート9を備え,上記給
送路の一部は,案内溝11となっており,打撃ロッド2及び打撃ロッ
ド2により打撃される最初のステープル17を案内するようにした止
具打込み機であって,
止具打込み機本体に設けられた引金レバー4と,
上端が引金レバー4の近傍まで伸びている連結ブラケット23及び
下端がガイドプレート9下端より下方に突出可能であって,その中間
部であるサイドフレーム31がガイドプレート9の後方に設けられる
と共にガイドプレート9の溝32により上下動可能に支持された平板
状の接触素子24からなる安全装置22と,
安全装置22を下方静止位置に保つ引張ばね28とを備え,
安全装置24が上昇し,引金レバー4が操作されたときのみ前記打
撃ロッド2の駆動を開始させるようにした止具打込み機であって,
ガイドプレート9の前面にカバープレート10を設けることによ
り,前記マガジン側から,接触素子24のサイドフレーム31,ガイ
ドプレート9,カバープレート10の順で配列し,先頭の止具を接触
素子24でなく,カバープレート10で受けるようにし,
止具の帯状集合体16が通過する給送路とカバープレート10との
間に接触素子24が位置しないように接触素子24のサイドプレート
31をガイドプレート9に支持し,
マガジン15が空になっている場合にマガジンスライダ19が位置
する最終位置においてマガジンスライダ19のストッパエレメント1
9と係合するタブ40を接触素子24のサイドフレーム31が備えて
いると共に,
カバープレート10とガイドプレート9とで形成された案内溝の下
方である案内脚部の下端から,止具を打出すようにした止具打込み
機。」
(イ)本件発明1と刊行物2発明との一致点・相違点
本件発明1と刊行物2発明とを対比すると,両者は次の一致点にお
いて一致し,次の相違点①ないし③において相違することが認められ
る。
a一致点
「ドライブビットを内蔵した打込機本体の下方に位置し,多数の止
具集合体及び該止具集合体を前進させるためスプリングによって押
圧される給送部材を収納支持するマガジンと,
マガジン前端に設けられ,上記止具集合体が通過する給送路を有
し,少なくとも前面が平板状のビットガイドを備え,
上記給送路の一部はドライブビット及びドライブビットにより打
撃される先頭の止具を案内するようにした打込機であって,
打込機本体に設けられたトリガと,
上端がトリガ近傍まで延び,下端がビットガイド下端より下方に
突出し,中間部がビットガイドに上下動可能に支持された平板状の
コンタクトアームと,コンタクトアームを下方に付勢する付勢手段
とを備え,
コンタクトアームが上昇し,トリガが操作された時のみ前記ドラ
イブビットの駆動を開始させるようにした打込機であって,
前記コンタクトアームの前側にプレートを設けることにより,先
頭の止具の前面をコンタクトアームでなくプレートで受けるように
し,前記止具集合体が通過する給送路とプレートとの間にコンタク
トアームが位置しないように前記コンタクトアームの中間部をビッ
トガイドに支持すると共に,前記ビットガイドの給送路の下端より
突出した前記コンタクトアームの部分を有することを特徴とする打
込機。」
b相違点①
本件発明1が「平板状のコンタクトアームは,その中間部がビッ
トガイドの前面に設けられると共にビットガイドに上下動可能に支
持され,マガジン側からビットガイド,コンタクトアームの中間
部,プレートの順に配列したもの」であるのに対して,刊行物2発
明は「平板状の接触素子24は,そのサイドフレーム31がガイド
プレート9の後面に設けられると共にガイドプレート9に上下動可
能に支持され,マガジン側から接触素子24のサイドフレーム,ガ
イドプレート,カバープレートの順に配列したもの」である点。
c相違点②
コンタクトアームを下方に付勢する付勢手段に関して,本件発明
1が「コンタクトアームを下方に押圧する押圧手段」であるのに対
して,刊行物2記載発明は「接触素子24を下方に付勢する引張ば
ね28」である点。
d相違点③
本件発明1が「ビットガイドの給送路の下端より突出した前記コ
ンタクトアームの部分に前記給送路に連続する射出穴を前記コンタ
クトアームの下端まで貫通して設け,該射出穴から止具を打出すよ
うにしたものであるのに対して,刊行物2記載発明はそのように構
成されていない点。
なお,原告は,本件発明1と刊行物2記載の発明との相違点とし
て,コンタクトアームに関する相違点(1),ビットガイド,コンタクト
アーム及び正面プレートの配列の順番に関する相違点(3)とを主張する
が,本件発明1において,コンタクトアームの中間部をビットガイド
の前面に配置することにより,マガジン側からビットガイド,コンタ
クトアームの中間部,プレートの順に配列したものとなるのであるか
ら,これらの構成は,一体として検討すべきである。
イ相違点①の容易想到性について
(ア)刊行物2発明において,「接触素子24」の「サイドフレーム3
1」は,平板状に形成された「ガイドプレート9」に対して上下動可
能に支持されているものであるところ,「サイドフレーム31」は,
給送路を避けて形成されているものであるから,ガイドプレートの前
面,後面のどちらに位置したとしても,「サイドフレーム31」が「
ガイドプレート9」が備える「ドライブビットと先頭の止具」を案内
する「溝11」に干渉することはないと考えられるが,「サイドフレ
ーム31」と「一体」で,「平坦状」に形成されている「接触素子2
4」は,ガイドプレートの前面に位置すると,「ガイドプレート9」
の「溝11」に干渉する位置となることは明らかである。なお,「サ
イドフレーム31」を「ガイドプレート9」の前面に配置しても,「
その先端部24’」を「溝11」の位置を避けて形成することは可能
であるが,その場合には,刊行物2発明の「接触素子24」と「サイ
ドフレーム31」を「ガイドプレート9」を跨いで連結する必要があ
り,その構造は複雑なものとなることから,そのようにすることにつ
いて,単なる設計事項と直ちに認めることはできない。
(イ)刊行物2発明の「接触素子24」と一体に形成される「サイドフ
レーム31」は,「マガジン15が空になっている場合にマガジンス
ライダ19が位置する最終位置においてマガジンスライダ19のスト
ッパエレメント19と係合するタブ40」を備え,それにより空打ち
を防止することができるように構成されているものであるから,「サ
イドフレーム31」を「ガイドプレート9」の「マガジンスライダ1
9」側に配置することには,合理的理由があるといえる。
また,「接触素子24」をガイドプレートの前面に配置することに
より,マガジン側から「ガイドプレート」,「サイドフレーム3
1」,「カバープレート10」の順に配列するようにした場合に
は,「マガジンスライダ」と「サイドフレーム31」の間に「ガイド
プレート」が位置することとなって,「マガジンスライダ」と係合す
ることができなくなってしまうこととなるから,刊行物2発明の目的
を達成することができないことになる。
(ウ)この点,原告は,コンタクトアームをガイドプレートの前面に位
置させるようにする構成は,刊行物3,刊行物1,甲21ないし24
などに示されるように周知であることから,相違点①に係る本件発明
1の構成は,当業者が容易に想到することができた旨主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
a刊行物1記載の事項は,打撃ビットと先頭の止具の案内を「ビッ
トガイド」ではなく,「移動自在部材102」により行うものであ
るから,「接触素子24」ではなく「ガイドプレート」が案内する
刊行物2発明に直ちに適用できるものとはいえず,また,「移動自
在部材102」は,「マガジンスライダ」と係合するものでもな
い。
また,刊行物3記載の事項は,「ビットガイド」に相当する「一
方の部材73a」の前側に「接触部80」の「中間部」が位置され
るものであるとはいえるものの,「接触部80」は,マガジンスラ
イダと係合することができないものである。
したがって,刊行物1に「ビットガイド」の前側に「コンタクト
アーム」を配置する構成が開示されているとしても,これを刊行物
2発明に適用し,同発明におけるマガジンスライダと係合する部材
を備えるように構成された「コンタクトアーム」をビットガイドの
前側に配置するようにすることが容易であるとはいえないし,刊行
物3に「ビットガイド」の前側に「コンタクトアーム」を配置する
構成が開示され,同構成が原告の主張するように周知であったとし
ても,これを刊行物2発明に適用し,同発明におけるマガジンスラ
イダと係合する部材を備えるように構成された「コンタクトアー
ム」をビットガイドの前側に配置するようにすることが容易である
とはいえない。
b甲21には,「移動可能なシュー5」と,「工具3」,「工具
4」との配置関係については何ら記載されておらず(第1図からもそ
の点は明らかでない。),第5図及び第6図によれば,「工具4」
の前面には「工具3」が配置されており,「移動可能なシュー5」
は,「工具4」の前面で保持されているものとはいえないから,「
中間部がビットガイドの前面に設けられると共にビットガイドに上
下動可能に支持された平板状のコンタクトアーム」が開示されてい
るとはいえない。甲21に係る出願の変更出願に係る甲23につい
ても,同様である。
c甲22,24では,コンタクトアームに相当する部材(甲22
の「コンタクト12」,甲24の「コンタクトアーム17」)は,
いずれも「止具集合体が通過する給送路」を構成する部材よりも前
側(マガジン反対側)に配置されており,甲22の「コンタクト1
2」や甲24の「コンタクトアーム17」が,「マガジンスライ
ダ」と係合することは不可能であるから,甲22,24に記載され
た配置が原告の主張するように周知であったとしても,これらを刊
行物2発明に適用することが容易であるとはいえない。
(エ)以上検討したところによれば,相違点①に係る本件発明1の構成
は,当業者が容易に想到することができたとは認められない。
したがって,相違点②及び③について検討するまでもなく,本件発
明1は,刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事項などを適用するこ
とにより,当業者が容易に発明することができたものであるとする原
告の主張は,採用することができない。
(2)本件発明2ないし4について
本件発明2ないし4は,本件発明1と同様に,刊行物2発明とは少なく
とも上記相違点①において相違する。したがって,本件発明2ないし4
は,刊行物2記載の発明に刊行物1記載の事項などを適用することによ
り,当業者が容易に発明することができたものであるとする原告の主張
は,本件発明1と同様の理由により,採用することができない。
(3)小括
以上によれば,本件審決が,本件発明1の進歩性の判断に際して,「刊
行物2記載の事項1に刊行物1記載の発明1を適用することはできな
い。」(審決書32頁3行∼11行)と判断し,本件発明2ないし4の進
歩性の判断に際しても,これと同様の判断をしたことは,その結論におい
て相当である。
したがって,原告主張の取消事由4は理由がない。
5取消事由5(刊行物3記載の発明に刊行物1記載の事項を適用することに
ついての判断の誤り及び判断の遺脱)について
原告は,本件審決には,刊行物3記載の発明に刊行物1記載の事項を適用
することについて,判断の誤り又は判断の遺脱があると主張する。
しかし,前記3及び後記6のとおり,原告が本件無効審判手続において主
張した無効理由のうち,刊行物1記載の発明,刊行物3記載の事項及び周知
慣用手段の組合せに係る理由は,本件無効審判の手続において,適法に主張
されたものということはできないから,本件無効審判について,請求不成立
の審決をするに際し,刊行物3に基づく公知事実から構成される無効理由に
ついて,判断を示す必要はないというべきである。すなわち,刊行物3に係
る本件審決の説示は,本件審決の結論を導く根拠とは無関係の,不要な判断
である。
以上のとおりであるから,取消事由5に係る原告の主張は,本件審決を取
り消すべき事由に当たらない。
6本件審決の違法性について
(1)特許無効審判の審理について
ア特許無効審判について,特許庁が請求を不成立とする審決をするに
は,審判体は,審判手続において請求人が適法に主張したすべての無効
理由について審理し,審決においてその成否についての判断を示す必要
があることはいうまでもない。審判体が,審判手続において,特許法1
53条2項の規定により当事者に通知した無効理由についても,同様で
ある。
イ特許法134条1項の答弁書の提出があった後は,被請求人にも審決
における判断を得る利益があるから,請求人が,審判請求の対象である
特定の請求項について,請求書で主張した複数の無効理由についてその
一部の主張を撤回するには,審判の請求の取下げの場合(特許法155
条)に準じて,被請求人の承諾を得る必要があるというべきであり,少
なくとも審判において明確な意思確認のための手続を採ることが必要で
ある。審判体が,審判手続において,いったん特許法153条2項の規
定により当事者に通知した無効理由について,これを審理の対象としな
いこととする場合も同様である。
ウ請求書の副本の送達がされた後,審判手続において請求人が主張した
無効理由が請求書の要旨を変更するものである場合に,審決において当
該無効理由について判断するためには,あらかじめ審判手続において,
特許法131条の2第2項の規定により補正の許可をした上で,被請求
人に同法134条2項の答弁書を提出する機会を与えるか,又は,同法
153条2項の規定による通知をして,当事者に意見を申し立てる機会
を与える手続を採らなければならない。上記の各規定が設けられた趣旨
は,当事者に対して,適正公平な審判手続を保障するという理由のみな
らず,第三者に対して,審決の効力の及ぶ範囲を明確にするという理由
があることに由来する。とりわけ,後者の理由に関しては,特許法16
7条に「何人も,特許無効審判・・・の確定審決の登録があったとき
は,同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することがで
きない。」と規定されていることを併せ考慮すると,審決の判断の基礎
とした無効理由を構成する事実及び証拠がどのようなものであるかを,
審判手続において明確にさせることが必須となるが,前記各規定は,そ
の手続を担保するものとして極めて重要な規定であるといえる。したが
って,請求書の要旨変更に該当する無効理由について,上記のような手
続を採ることなく,審決において判断することは,手続上の違法を来す
というべきである。
エところで,特許無効審判の手続において,請求人が無効理由を主張し
た後に,被請求人が訂正請求をするような場合に,訂正前の特定の請求
項との関係で主張された無効理由は,当該請求項に対応する訂正後の請
求項との関係においても,無効理由の主張がされているものとして,手
続が進められるべきであることは当然である(この点は,平成11年法
律第41号による特許法の改正において,訂正請求の可否の判断に際し
て,訂正後の請求項(ただし,無効審判請求がされていない請求項を除
く。)に係る独立特許要件の審理をしないこととされた趣旨が,同改正
前における訂正後の請求項に係る独立特許要件の審理と無効理由の審理
が重複するという理由であるという立法経緯からも,疑問の余地はな
い。)。
オ上記アないしエの見地から,以下,本件について検討する。
(2)事実認定
前記第2(争いのない事実等)及び証拠によれば,本件無効審判の手続
に関し,以下の事実を認めることができる。
ア原告が本件無効審判請求書において主張した無効理由
原告は,平成17年4月19日,登録時発明1ないし8についての各
特許を無効とすることを求めて,本件無効審判を請求し,本件無効審判
請求書により,概略,次の無効理由を主張し(なお,原告は,第1回弁
駁書により,無効理由についての根拠条文を平成6年改正前特許法にお
ける条文に補正したが,同補正は,特許を無効にする根拠となる事実に
係る主張をそのまま維持した上で,単に適用条文の誤りを修正するもの
にすぎないから,審判請求書の要旨を変更するものではない。下記に摘
示する各無効理由に係る根拠条文は,上記補正後のものである。)(甲
37,38,69),本件無効審判の手続を通じ,これらの主張を明示
的に撤回したことはない。
(ア)平成6年改正前特許法17条2項違反
登録時発明1ないし8における以下の各構成は,願書に最初に添付
した明細書又は図面(以下,両者を併せ,「当初明細書」という。)
に記載のない事項を追加した補正に伴うものであるから,登録時発明
1ないし8についての各特許は,平成6年改正前特許法17条2項の
規定に違反してされたものである(以下,この無効理由を「当初無効
理由1」と総称し,請求項ごとの無効理由を「当初無効理由1①」な
どという。なお,原告は,登録時発明7の「平板状のコンタクトアー
ム」については,本件無効審判請求書では,平成6年改正前特許法1
7条2項違反である旨の主張をしていなかったが〔甲37〕,第1回
弁駁書〔甲38〕及び平成17年10月4日付け口頭審理陳述要領
書〔甲39〕ではこれを主張するに至り,その後,第1回口頭審理に
おいて同主張を撤回した〔甲68〕。)。
①登録時発明1
「ドライブビット等の打撃駆動手段」,「少なくとも前面が平板
状のビットガイド」,「平板状のコンタクトアーム」,「コンタク
トアームを下方に押圧する押圧手段」の構成
②登録時発明2
「ドライブビット等の打撃駆動手段」,「少なくとも前面が平板
状のビットガイド」,「平板状のコンタクトアーム」,「コンタク
トアームを下方に押圧する押圧手段」,「前記コンタクトアームに
ビットガイドの給送路の両側に沿って上方に延びた2個の案内部を
設け」の構成
③登録時発明3
「ドライブビット等の打撃駆動手段」,「少なくとも前面が平板
状のビットガイド」,「平板状のコンタクトアーム」,「コンタク
トアームを下方に押圧する押圧手段」,「前記コンタクトアームに
ビットガイドの給送路の両側に沿って上方に延びた2個の案内部を
設け」,「前記押圧手段を,前記2個の案内部を下方に押圧する2
個のスプリングにより構成した」の構成
④登録時発明4
「ドライブビット等の打撃駆動手段」,「少なくとも前面が平板
状のビットガイド」,「平板状のコンタクトアーム」,「コンタク
トアームを下方に押圧する押圧手段」,「前記コンタクトアームに
ビットガイドの給送路の両側に沿って上方に延びた2個の案内部を
設け」,「ビットガイドの給送路とプレートとの間にコンタクトア
ームが位置しない構成とした」の構成
⑤登録時発明5
「ドライブビット等の打撃駆動手段」,「少なくとも前面が平板
状のビットガイド」,「平板状のコンタクトアーム」,「コンタク
トアームを下方に押圧する押圧手段」,「前記コンタクトアームに
ビットガイドの給送路の両側に沿って上方に延びた2個の案内部を
設け」,「少なくとも射出溝の下端部前面にプレートを設け」の構

⑥登録時発明6
「ドライブビット等の打撃駆動手段」,「少なくとも前面が平板
状のビットガイド」,「平板状のコンタクトアーム」,「コンタク
トアームを下方に押圧する押圧手段」,「前記コンタクトアームに
ビットガイドの給送路の両側に沿って上方に延びた2個の案内部を
設け」,「少なくとも射出溝の下端部前面にプレートを設け」の構

⑦登録時発明7
「ドライブビット等の打撃駆動手段」,「コンタクトアームを下
方に押圧する押圧手段」,「コンタクトアームが上昇し,トリガが
操作された時のみ前記ドライブビットの駆動を開始させると共に打
込み反力によって打込機本体が上昇した時コンタクトアームが下降
しコンタクトアーム前面が止具に接触」の構成
⑧登録時発明8
「射出部」,「コンタクトアームの前面にプレートを設け,・・
・止具の先頭の前面をコンタクトアームでなくプレートで受けるよ
うにした」の構成
(イ)平成6年改正前特許法36条5項1号違反
登録時発明1ないし8における以下の各構成は,登録時明細書の発
明の詳細な説明に記載されていないから,登録時発明1ないし8につ
いての各特許は,平成6年改正前特許法36条5項1号の規定に違反
してされたものである(以下,この無効理由を「当初無効理由2」と
総称し,請求項ごとの無効理由を「当初無効理由2①」などとい
う。)。
①登録時発明1
「ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止
具を案内する給送路」,「平板状のコンタクトアーム」の構成
②登録時発明2
「ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止
具を案内する給送路」,「平板状のコンタクトアーム」の構成
③登録時発明3
「ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止
具を案内する給送路」,「平板状のコンタクトアーム」,「前記押
圧手段を,前記2個の案内部を下方に押圧する2個のスプリングに
より構成した」の構成
④登録時発明4
「ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止
具を案内する給送路」,「平板状のコンタクトアーム」の構成
⑤登録時発明5
「ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止
具を案内する給送路」,「平板状のコンタクトアーム」の構成
⑥登録時発明6
「ドライブビット及びドライブビットにより打撃される先頭の止
具を案内する給送路」,「平板状のコンタクトアーム」の構成
⑦登録時発明7
「平板状のコンタクトアーム」の構成
⑧登録時発明8
「コンタクトアームの先端を被打込材に押し付け打込機本体側に
押し上げることにより射出部内に供給された止具を打出す打込機」
の構成
(ウ)平成6年改正前特許法36条5項2号違反
登録時発明1ないし8における以下の各構成は,明確でないから,
登録時発明1ないし8についての各特許は,平成6年改正前特許法3
6条5項2号の規定に違反してされたものである(以下,この無効理
由を「当初無効理由3」と総称し,請求項ごとの無効理由を「当初無
効理由3①」などという。)。
①登録時発明1
「打撃駆動手段」,「前面が平板状のビットガイド」,「平板状
のコンタクトアーム」の構成
②登録時発明2
「打撃駆動手段」,「前面が平板状のビットガイド」,「平板状
のコンタクトアーム」の構成
③登録時発明3
「打撃駆動手段」,「前面が平板状のビットガイド」,「平板状
のコンタクトアーム」の構成
④登録時発明4
「打撃駆動手段」,「前面が平板状のビットガイド」,「平板状
のコンタクトアーム」の構成
⑤登録時発明5
「打撃駆動手段」,「前面が平板状のビットガイド」,「平板状
のコンタクトアーム」の構成
⑥登録時発明6
「打撃駆動手段」,「前面が平板状のビットガイド」,「平板状
のコンタクトアーム」の構成
⑦登録時発明7
「打撃駆動手段」,「平板状のコンタクトアーム」,「反マガジ
ン側の側面」,「コンタクトアームが上昇し,トリガが操作された
時のみ前記ドライブビットの駆動を開始させると共に打込み反力に
よって打込機本体が上昇した時コンタクトアームが下降しコンタク
トアーム前面が止具に接触」の構成
⑧登録時発明8
「射出部」,「コンタクトアームの前面にプレートを設け,・・
・止具の先頭の前面をコンタクトアームでなくプレートで受けるよ
うにした」の構成
(エ)特許法29条2項違反(ただし,甲1及び2に基づくもの)
登録時発明1ないし8は,いずれも甲1及び刊行物2に記載された
発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであ
り,登録時発明1ないし8についての各特許は特許法29条2項に違
反してされたものである(以下,この無効理由を「当初無効理由4」
と総称し,請求項ごとの無効理由を「当初無効理由4①」などとい
う。)。
イ本件無効通知の内容
審判体は,本件無効理由通知により,当事者双方に対し,本件第2訂
正(なお,本件第2訂正後の請求項1ないし4は登録時の請求項1ない
し4に対応し,本件第2訂正後の請求項5及び6は登録時の請求項7及
び8に対応するものである。)の可否及び同訂正後の請求項1ないし6
に係る各発明についての特許の無効理由について,概略,次のとおり通
知した(甲70)。
(ア)本件第2訂正の可否
本件第2訂正を認める。
(イ)無効理由
本件第2訂正後の請求項1ないし6に係る発明は,いずれも刊行物
1記載の発明,刊行物2記載の事項及び周知慣用手段に基づいて当業
者が容易に発明をすることができたものであり,これらの発明につい
ての特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものである(以
下「職権通知無効理由」という。)。なお,本件職権審理結果通知書
では,付勢力を押圧によって発生させることは慣用手段であり,射出
孔は,甲3,11,15にも記載されているように周知である,とさ
れている。
なお,第2次取消決定が効力を生じて本件無効審判の手続が再開さ
れた後,本件無効理由通知に係る無効理由を審理の対象としない旨の
明示的な告知がされた事実はない。また,原告は,第3回弁駁書(甲
41)において,本件第3訂正後の請求項1ないし5に係る各発明に
ついて,本件無効理由通知に係る無効理由と同様の無効理由を主張し
た。
ウ第4回弁駁書における原告の主張
原告は,平成19年4月16日,第4回弁駁書及び甲3ないし31を
提出し,概略,次の主張をした(甲42)。
(ア)本件第4訂正の適否
本件第4訂正の請求は,以下の点において,訂正要件を充足しな
い。
a訂正事項1−1ないし1−3は,特許請求の範囲の減縮に該当し
ない。
b訂正事項2−1及び2−2は,特許請求の範囲の減縮及び明りょ
うでない記載の釈明に該当せず,実質上特許請求の範囲を変更する
ものである。
c訂正事項3−1ないし3−4は,特許請求の範囲の減縮に該当せ
ず,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内におい
てするものではなく,実質上特許請求の範囲を変更するものであ
る。
(イ)無効理由1
登録時発明1ないし8は,以下のとおり,いずれも刊行物1記載の
発明,刊行物2記載の事項,刊行物3記載の事項及び周知慣用手段に
基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,これら
の発明についての特許は特許法29条2項の規定に違反してされたも
のである。
a登録時発明1ないし8は,いずれも刊行物1記載の発明,刊行物
2記載の事項及び周知慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をす
ることができたものである。
b刊行物3記載の発明は,登録時発明とほぼ同一の構成を有するも
のであるから,登録時発明1ないし8は,いずれも刊行物2記載の
事項に代えて,刊行物3記載の事項を刊行物1記載の発明に適用す
ることによっても,当業者が容易に発明をすることができたもので
ある。
(ウ)無効理由2
第1次審決において判断されているとおり,登録時発明1ないし7
における「ドライブビット等の打撃駆動手段」との構成は,当初明細
書に記載のない事項を追加した補正に伴うものであるから,登録時発
明1ないし7についての各特許は,平成6年改正前特許法17条2項
の規定に違反してされたものである。
(エ)無効理由3
登録時発明8は,甲1及び刊行物2に記載された発明に基づいて,
当業者が容易に発明をすることができたものであり,登録時発明8に
ついての特許は特許法29条2項に違反してされたものである。
(オ)無効理由4
本件発明1ないし4は,刊行物1記載の発明,刊行物2記載の事
項,刊行物3記載の事項及び周知慣用手段に基づいて当業者が容易に
発明をすることができたものであるから,これらの発明についての特
許は特許法29条2項に違反してされたものである。
エ第4回弁駁書の提出後,本件審決に至るまでの手続
審判長は,平成19年5月15日,被告に対し,第4回弁駁書の副本
の送付通知をするとともに,特許法施行規則47条の2第1項に基づ
き,30日の期間を指定して答弁指令を行ったが,同通知には,上記期
間が特許法134条1項,2項に規定された指定期間ではない旨記載さ
れており,また,第4回弁駁書に係る原告の主張に関して,明示的な補
正許否の決定がされた事実はない。
なお,被告は,平成19年6月14日付け審判事件答弁書(甲66)
において,刊行物3については,本件無効審判請求書に記載のない刊行
物であり,これに基づく審判請求の理由の補正は,その要旨を変更する
ものであることのみを主張した。
(3)判断
前記(1)の見地及び前記(2)の認定事実に基づき,本件審決の違法性につ
いて判断する。
ア判断遺脱
(ア)平成6年改正前特許法17条2項違反について
本件第4訂正後の請求項1ないし3はそれぞれ登録時の請求項1な
いし3に対応し,本件第4訂正後の請求項4は登録時の請求項7に対
応するものである(前記第2,2)から,原告は,本件無効審判の手
続において,本件発明1ないし4についての各特許に対し,それぞれ
当初無効理由1①ないし1③及び1⑦(これらのうち,「ドライブビ
ット等の打撃駆動装置」との構成に係る理由は,無効理由2と重複す
る。)を主張したものと解するべきである。
本件第4訂正に係る訂正事項1−1ないし1−3により,登録時の
請求項1,2及び7の「ドライブビット等の打撃駆動装置」との記載
は,いずれも「ドライブビット」に訂正されたから,「訂正は認めら
れたので,」無効理由2は,「理由が無くなった。」とする本件審決
の判断に誤りはない。
しかし,本件第4訂正後の請求項1ないし4の記載(前記第2,2(
2))に照らし,当初無効理由1①ないし1③及び1⑦のうち,無効理
由2と重複する理由以外の理由は,当然には,理由がなくなったとい
うことはできないところ,本件審決が,これらの理由の成否について
何ら判断していないことは,審決書の記載に照らし,明らかである。
したがって,本件審決は,当初無効理由1①ないし1③及び1⑦(
無効理由2と重複する理由を除く。)について,判断を遺脱した違法
がある。
(イ)平成6年改正前特許法36条5項1号違反
本件第4訂正後の請求項1ないし3はそれぞれ登録時の請求項1な
いし3に対応し,本件第4訂正後の請求項4は登録時の請求項7に対
応するものである(前記第2,2)から,原告は,本件無効審判の手
続において,本件発明1ないし4についての各特許に対し,それぞれ
当初無効理由2①ないし2③及び2⑦を主張したものと解するべきで
ある。
しかし,本件審決が,これらの理由の成否について何ら判断してい
ないことは,審決書の記載に照らし,明らかである。
したがって,本件審決は,当初無効理由2①ないし2③及び2⑦に
ついて,判断を遺脱した違法がある。
(ウ)平成6年改正前特許法36条5項2号違反
本件第4訂正後の請求項1ないし3はそれぞれ登録時の請求項ない
し3に対応し,本件第4訂正後の請求項4は登録時の請求項7に対応
するものである(前記第2,2)から,原告は,本件無効審判の手続
において,本件発明1ないし4についての各特許に対し,それぞれ当
初無効理由3①ないし3③及び3⑦を主張したものと解するべきであ
る。
しかし,本件審決が,これらの理由の成否について何ら判断してい
ないことは,審決書の記載に照らし,明らかである。
したがって,本件審決は,当初無効理由3①ないし3③及び3⑦に
ついて,判断を遺脱した違法がある。
(エ)特許法29条2項違反(ただし,甲1及び2に基づくもの)
本件第4訂正後の請求項1ないし3はそれぞれ登録時の請求項ない
し3に対応し,本件第4訂正後の請求項4は登録時の請求項7に対応
するものである(前記第2,2)から,原告は,本件無効審判の手続
において,本件発明1ないし4についての各特許に対し,それぞれ当
初無効理由4①ないし3③及び4⑦を主張したものと解するべきであ
る。
しかし,本件審決が,これらの理由の成否について何ら判断してい
ないことは,審決書の記載に照らし,明らかである。
したがって,本件審決は,当初無効理由3①ないし3③及び3⑦に
ついて,判断を遺脱した違法がある。
なお,当初無効理由4⑧と無効理由3とは重複するものであるとこ
ろ,本件審決は,「訂正は認められたので,無効理由・・・3は,理
由が無くなった。」と判断しているが,本件第4訂正により登録時の
請求項8は削除されたから,そもそも上記のような説示をすることは
不要といえる(なお,本件審決中,登録時の請求項8の削除に係る訂
正を認めた部分は,同審決の送達により形式的に確定している。)。
イ本件無効審判の手続について
(ア)無効理由1及び4の内容
本件第4訂正後の請求項1ないし3はそれぞれ登録時の請求項ない
し3に対応し,本件第4訂正後の請求項4は登録時の請求項7に対応
するものである(前記第2,2)から,原告は,本件無効審判の手続
において,登録時発明1ないし3及び7についての特許に関して無効
理由1として主張した内容を,本件発明1ないし4についての各特許
に対しても主張したものと解すべきところ,その内容は本件発明1な
いし4についての各特許に関して無効理由4として主張した内容と重
複するものであるから,以下,無効理由4について検討する(なお,
本件審決は,「訂正は認められたので,無効理由1・・・は,理由が
無くなった。」と判断しているが,前記(1)エのとおり,訂正前の特定
の請求項との関係で主張されている無効理由は,同請求項と対応する
訂正後の請求項との関係でも,当然,主張されていると解すべきであ
るから,適切さを欠く説示といわざるを得ない。)。
無効理由4は,本件発明1ないし4は,いずれも刊行物1記載の発
明,刊行物2記載の事項,刊行物3記載の事項及び周知慣用手段に基
づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというもの
であり,具体的には,①刊行物1記載の発明,刊行物2記載の事項及
び周知慣用手段の組合せ,②刊行物1記載の発明,刊行物3記載の事
項及び周知慣用手段の組合せを主張するものである。
(イ)本件無効審判請求書との関係
無効理由4は,刊行物1に基づく公知事実,刊行物2に基づく公知
事実及び刊行物3に基づく公知事実によって構成されるものであると
いうことができる(なお,周知慣用手段は,通常,特許法29条2項
所定の「その発明の属する分野における通常の知識」と位置付けられ
るものであり,無効理由を構成する公知事実そのものではないと解さ
れる。)が,このうち刊行物2に基づく公知事実は本件無効審判請求
書で主張された特許法29条2項の無効理由(当初無効理由4)を構
成する公知事実であるが,刊行物1及び3に基づく各公知事実は,本
件無効審判請求書で主張された当初無効理由4を構成する公知事実で
はない。
したがって,無効理由4は,刊行物1及び3に基づく各公知事実に
よって構成されているという点において,本件無効審判請求書の要旨
を変更するものというべきである。
ところで,平成18年5月18日発送の補正許否の決定(甲71)
では,第2回弁駁書に関し,「新たに追加された甲第4∼31号証に
より立証しようとする事実に基づいた請求の理由の補正は,審判請求
時の要旨を変更するものと認められる」と説示されているが,原告が
甲4ないし31により立証しようとした事実には,周知慣用手段に係
るものが含まれており(例えば,本件無効理由通知は,周知手段を示
するものとして,甲11及び15に言及している。),周知慣用手段
は,通常,特許法29条2項所定の「その発明の属する分野における
通常の知識」と位置付けられ,無効理由を構成する公知事実そのもの
ではないことに照らせば,上記説示に係る審判体の判断は,周知慣用
手段に基づく請求の理由の補正についてまで不許可とした点におい
て,これを是認することができない。
(ウ)職権通知無効理由との関係
職権通知無効理由は,本件第2訂正後の請求項1ないし6に係る発
明について,いずれも刊行物1記載の発明,刊行物2記載の事項及び
周知慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとい
うものであり,本件第2訂正後の請求項1ないし4は登録時の請求項
1ないし4に対応し,本件第2訂正後の請求項5及び6は登録時の請
求項7及び8に対応するものであり,また,本件第4訂正後の請求項
1ないし3はそれぞれ登録時の請求項1ないし3に対応し,本件第4
訂正後の請求項4は登録時の請求項7に対応するものであるから,本
件発明1ないし4が,刊行物1記載の発明,刊行物2記載の事項及び
周知慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとい
う無効理由については,本件無効審判の手続において,適法に審理の
対象とされたものということができる。
(エ)無効理由4のうち適法に審理の対象とされた部分とそうでない部

そうすると,無効理由4のうち,①刊行物1記載の発明,刊行物2
記載の事項及び周知慣用手段の組合せに係る理由は,本件無効審判の
手続において,適法に審理の対象とされたものということができる
が,②刊行物1記載の発明,刊行物3記載の事項及び周知慣用手段の
組合せに係る理由は,本件無効審判請求書の要旨を変更するものであ
って,かつ,特許法131条の2第2項の規定による補正の許可及び
被告(被請求人)に対する同法134条2項の答弁書の提出の機会の
付与も,同法153条2項の規定による通知及び当事者に対する意見
申立ての機会の付与もされていないものといえる。
したがって,無効理由4のうち,刊行物1記載の発明,刊行物3記
載の事項及び周知慣用手段の組合せに係る理由は,刊行物3に基づく
公知事実によって構成されているという点に関し,本件無効審判の手
続において,適法に主張されたものということはできない。
(オ)本件審決が刊行物3に基づく公知事実によって構成される無効理
由について示した判断
本件審決は,刊行物3の記載を摘記して刊行物3記載の事項を認定
するとともに(審決書25頁15行∼26頁17行),具体的な判断
としては,刊行物1記載の発明1の「前記側面フランジは,刊行物3
記載の事項におけるブロックの一方73aとも機能が異なるものであ
る。」(審決書29頁15行∼17行)との説示のみをして,「本件
発明1の相違点2,4は,刊行物1記載の発明1,刊行物2記載の事
項2,3に基づいて,当業者が容易になし得たものとすることができ
ない。」(審決書31頁34行∼32頁2行),「本件発明1は,刊
行物1,刊行物2ないし刊行物3に記載された発明に基づいて,当業
者が容易に発明をすることができたとすることができない。」(審決
書32頁12行∼14行),「本件発明2は,刊行物1,刊行物2な
いし刊行物3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をす
ることができたとすることができない。」(審決書33頁15行∼1
7行),「本件発明3は,刊行物1,刊行物2ないし刊行物3に記載
された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとす
ることができない。」(審決書34頁8行∼10行),「本件発明4
は,刊行物1ないし刊行物3に記載された発明に基づいて,当業者が
容易に発明をすることができたとすることができない。」(審決書3
6頁10行∼11行),「本件発明1∼4は,刊行物1,刊行物2な
いし刊行物3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることがで
きたとすることができない。」(審決書36頁13行∼15行)とい
う抽象的な判断を示したものである。
(カ)まとめ
上記検討したところによれば,本件審決は,特許法が規定する適正
な手続を経ることなく,無効理由4のうち刊行物3に基づく公知事実
によって構成される理由について,前記(オ)のとおり,部分的かつ断
片的な説示をして,当該無効理由が成立しない旨の判断を示した点に
おいて,適切さを欠くものであったというべきである。なお,本件審
決の同判断部分は,本件審決の結論を導く根拠とは無関係の,不要な
判断である点は,前記3のとおりである。
今後,再開されるべき本件無効審判の手続においては,審判体は,
紛争の一回的解決を図るべく,原告の主張に係る特許法29条2項違
反の無効理由を構成する公知事実として,刊行物3に基づく公知事実
を付加する補正を許可するか否か,あるいは,これに代えて同法15
3条2項の規定による通知をするか否かについて,審理を進めるべき
である。
なお,①訂正がされた場合に,訂正前の発明について対比された公
知事実のみならず,その他の公知事実との対比を行って,その点の判
断をしない限り,訂正後の発明が特許を受けることができる発明であ
るかに関する判断結果の安定性を実現することはできないこと(最高
裁判所平成7年(行ツ)第204号平成11年3月9日最高裁判所第
3小法廷判決(民集53巻3号303頁),最高裁判所平成10年(
行ツ)第81号平成11年4月22日第1小法廷判決(裁判集民事1
93号231頁)参照),②本件無効審判の過程でされた訂正請求が
確定する前に,別の無効審判が請求されたような場合には,審理判断
の対象となる発明の要旨が本件無効審判におけるそれとは異なるもの
となって,判断結果の安定性を損なうおそれがあること等の事情に照
らすならば,審判体としては,本件第4訂正により特許請求の範囲に
付加された構成との関係で,刊行物3に基づく公知事実を主張する必
要が生じたものとして,特許法131条の2第2項1号の規定による
補正の許可をすべきものといえる。
7結論
以上検討したところによれば,原告主張の取消事由1ないし5はいずれも
理由がないが,本件審決は,判断遺脱の違法があるから,取消しを免れな
い(なお,原告は,本件審決を取り消すことを請求するとともに,本件審決
の理由が別紙審決書写しのとおりであること,また,本件無効審判の手続に
おいて,本件無効審判請求書記載の無効理由を主張し,同主張を明示的に撤
回したことはないことを,本訴において主張しているから,原告は,本件審
決に判断遺脱の違法があることを基礎付ける事実を主張していると解するの
が相当である。)。
よって,本訴請求は理由があるから,これを認容することとし,主文のと
おり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官飯村敏明
裁判官齊木教朗
裁判官嶋末和秀
別紙参考図(原告第1回準備書面8頁,9頁より)

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