弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原決定および東京高等裁判所が昭和四七年六月二六日申立人に対してし
た控訴棄却の決定は、いずれもこれを取り消す。
         理    由
 本件抗告の趣意は別紙添付のとおりである。
 所論は、いずれも単なる法令違反の主張であつて、刑訴法四三三条の抗告理由に
あたらない。
 しかし、所論にかんがみ職権で調査すると、本件記録によつて次の事実が認めら
れる。すなわち、申立人は、昭和四七年三月二八日水戸地方裁判所で傷害被告事件
につき懲役一年六月に処せられ、同年四月五日控訴を申し立てたこと、控訴裁判所
たる東京高等裁判所は、申立人に対し、弁護人を選任するか否か、また、国選弁護
人の選任を請求するか否かにつき同年五月一九日までに回答することを求め、あわ
せて弁護人を私選するときは同日までに選任届を提出するよう付言した弁護人選任
照会書および控訴趣意書を差し出すべき最終日を同年六月一九日とした控訴趣意書
差出期間通知書を送付し、同年五月一〇日いずれも本人に到達したこと、右照会の
回答期限であり、また、私選弁護人選任届提出期限である同年五月一九日を経過し、
控訴趣意書差出最終日である同年六月一九日にいたるまでの間、申立人から右照会
に対する回答もなく私選弁護人選任届の提出もなかつたが、控訴裁判所の裁判長は
申立人のために弁護人を選任しなかつたこと、申立人は、右控訴趣意書差出最終日
までに控訴趣意書を提出しなかつたが、その翌日である同年六月二〇日弁護人増田
弘名義の控訴趣意書が提出され、ついで同月二六日弁護士増田弘を私選弁護人とす
る旨の弁護人選任届が提出されたこと、控訴裁判所は、右弁護人選任届提出ののち、
即日控訴趣意書および弁護人選任届提出の遅延がやむをえない事情に基づくものと
は認められないとして刑訴法三八六条一項一号により申立人に対し控訴棄却の決定
をし、申立人は異議を申立てたが原裁判所はこれを棄却する決定をしたこと、以上
である。
 ところで、刑訴規則二五〇条によつて同規則一七八条三項が控訴の審判に準用さ
れる結果、同条一項前段の事件、すなわち、いわゆる必要的弁護事件については、
所定の期間内に弁護人の選任に関する照会に対して回答がなく、または弁護人の選
任がないときは、裁判長は直ちに被告人のため弁護人を選任しなければならないの
であり(最高裁昭和三〇年(あ)第四〇五六号同三三年五月九日第二小法廷決定・
刑集一二巻七号一三五九頁参照)、かかる事件につき被告人が控訴した場合におい
て、もし右条項の規定に違背してこの選任がなされず、被告人に弁護人がないまま
であるときは、所定の期間内に控訴趣意書を差し出さないことに基づいて刑訴法三
八六条一項一号により決定で右控訴を棄却することは、同法四〇四条によつて控訴
の審判に準用される同法二八九条一項の許さないところと解するのが相当である。
 それゆえ、申立人の控訴を棄却した東京高等裁判所の前示決定およびこれを維持
した原決定は、判示控訴趣意書および弁護人選任届提出の遅延がやむをえない事情
に基づくか否かを問うまでもなく、本件がいわゆる必要的弁護事件についての控訴
であり、申立人から弁護人の選任に関する照会に対して回答がなく、弁護人の選任
もなかつたのに、刑訴規則一七八条三項所定の措置をとることなく、控訴趣意書差
出最終日が経過するまで申立人に弁護人がない状況のままで、申立人が所定の期間
内に控訴趣意書を差し出さなかつたことに基づき刑訴法三八六条一項一号によりそ
の控訴を棄却した点およびこれを是認した点においていずれも違法であり、これを
取り消さなければ著しく正義に反するものと認める。
 よつて刑訴法四一一条を準用し、同法四三四条、四二六条二項により、裁判官全
員一致の意見で、主文のとおり決定する。
  昭和四七年九月二六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    関   根   小   郷
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    天   野   武   一
            裁判官    坂   本   吉   勝

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