弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄し、本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告人訴訟代理人植田夏樹、同田中実の上告理由および上告人補助参加人訴訟代
理人三原道也の上告理由について。
 原判決は、その理由三において、本件選挙にみられる違法事実を掲げ、さらに四
以下において、右選挙には対立候補の競争が激烈であつたため、それぞれの候補者
を支持する者の間に、投票所入場券または投票用紙の不正な授受が組織的に行なわ
れたことが窺われ、その結果相当数のいわゆる替玉投票を生じた事実のあつたこと
を挙げ、それが選挙の管理執行に関する規定違反となる理由として、そのような組
織的になされた投票者の不正行為は、投票所において選挙管理機関が防止しうべき
ものであるのに、投票手続の管理が杜撰で、著しく適正を欠いたため、それを抑止
できなかつたばかりでなく、その間なんらかの作為を施したとさえ疑えるものがあ
り、選挙の自由公正を著しく阻害したと認められる旨を判示し、その違法は、候補
者の当落得票差を考慮するまでもなく、当然選挙の結果に異動を及ぼす虞があるも
のとして、選挙を無効としたのである。そして、論旨はいずれもこれに対し、証拠
によらない独断的推測に基づくものであり、採証の法則に違背するのみならず、法
令の解釈を誤り、かつ審理不尽ないし理由不備の違法をおかすものと非難する。
 おもうに、いわゆる替玉投票は、もともと投票者各個人の違法行為であり、公職
選挙法は、この種の違法行為については罰則(例えば同法二三六条、二三七条)の
適用によつて防止する建前をとるものと解されるのみならず(論旨の引用する当庁
昭和三一年二月一四日第三小法廷判決参照)、投票所における選挙人名簿またはそ
の抄本との対照による選挙人の確認手続(公職選挙法施行令三五条参照)の励行を
もつてしても、必らずしも阻止できるものとは認められない。従つて、右名簿対照
にあたる選挙事務従事者において、その対照手続を怠り、または選挙人本人の確認
に明白な過誤をおかし、あるいは替玉と知つて制止せずこれを幇助する等格別の事
情がこれに存しないかぎり、単に替玉投票のあつたことのみで、投票手続の違法管
理を推認することは失当といわなければならない。されば、本件選挙において、原
判示のように、投票中に四〇余票の替玉投票を確認できるとしても、また選挙人D
が二重に配布された投票所入場券の一枚を他に交付した事実があるとしても、さら
にそれらが対立候補の激烈な競争に基因して組織的に行なわれた投票所入場券の不
正授受によるものとしても、そのことから直ちに投票所における選挙事務従事者の
投票者の不正行為に対する幇助はもちろん、選挙人確認手続に関する手ぬかりを推
認するのは相当でない。原判決は、各投票所における選挙人到着番号記入表の消し
込み番号と回収入場券の番号記載の喰い違い(到着番号記入表の番号消し込み数と
投票数および回収入場券数は、各投票所ごとにその総数において一致するが、到着
番号記入表の消し込み番号にあたる到着番号の記入された入場券のないもの一七枚
があるのに対し、重複して到着番号を記入された入場券一四組、到着番号を記入さ
れていない入場券三枚があること。)をもつて、投票管理の杜撰を示すのみならず、
なんらかの作為の施された疑惑を払拭しがたいものとするが、被上告人らの主張し
たところの替玉投票のために行使された入場券のうちに選挙期日前に配布先から町
選挙管理委員会の手元に返戻されたものが含まれる事実および投票所で回収された
入場券一七枚がほしいままに除却されたとする事実は、いずれも原判決が認めがた
い旨判示するところであり、その他原判決の認定した諸事情を考慮しても、選挙事
務従事者につき各候補者の得票に増減をきたす虞のあるような不正な工作を推認す
ることは失当といわなければならない。
 もつとも、原判決はこのほか本件選挙の投票中に十数枚ないし数十枚の成規の用
紙でない紙片の混入した事実を認定し、投票用紙を投函を装つて持ち帰り他人に交
付した不正行為の行なわれた疑あるものとし、また選挙人Eが、選挙当日同Fから
同時施行の町議会議員選挙の投票用紙一〇枚を受け取り、自己の分と併せて一一票
を投票し、一方自己に交付された本件選挙の投票用紙一枚を持ち帰り、これを右F
に与えた事実を認め、さらに本件選挙には、投票所入場券の不正授受のほか投票用
紙の不正授受が組織的に行なわれたものと推認する。その趣旨は、右選挙の投票管
理の杜撰であつたことをいうだけでなく、いわゆる「たらい回し投票」の行なわれ
たことが窺われるというにあろう。しかし、「たらい回し投票」も、また投票者側
の違法行為に属し、従つて、選挙管理機関が投票用紙の持帰り持込みまたはその不
正行使が投票所内において公然行なわれるのを看過黙認したような事実の認められ
る場合は格別、単に投票者のそのような不正行為を発見、阻止できなかつたという
だけでは、これを選挙の管理執行に関する規定違反と解しがたいことは、替玉投票
の場合と異ならない。してみれば、本件選挙において、原判決の認定事実のもとで
「たらい回し投票」を推認できるとしても、これに違法管理の存在を速断すること
は許されず、またそれだけで選挙管理の杜撰、不適正を窺わせるものともいうこと
はできない。
 これを要するに、本件選挙につき原判決がその認定の諸事実から投票手続の管理
の杜撰、不正を推認し、これに公職選挙法二〇五条一項の適用を認めたのは首肯し
がたく、これを非難する論旨はいずれも理由があり、原判決は破棄を免れない。そ
して本件にはなお審理を要するものが認められるので、これを原審に差し戻すのを
相当とする。
 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決す
る。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
            裁判官    色   川   幸 太 郎

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