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裁判例


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○ 主文
原判決を取り消す。
相手方の本件執行停止申請を却下する。
本件申請費用及び抗告費用は相手方の負担とする。
○ 理由
一 本件抗告の趣旨は別紙(一)、その理由は別紙(二)のとおりである。
二 一件記録によると、抗告人が相手方のした本件道路許可に付した条件のうち原
決定主文掲記の条件(以下「本件条件」という。)により、相手方の企図する本件
集団示威行進(以下「本件行進」という。)の円滑な進行に若干の支障を来たすで
あろうことが推察されないではないが、本件行進にあたり、相手方が本件執行停止
申立書において必要と主張するラウンド・クルーザー車、機材者及び救急車両とし
ての一般車両を配置することができないことになつたからといつて、本件行進の規
模、経路等に照らし、そのことから直ちに本件行進の目的が達成されないことにな
るものとは、にわかに認めがたい。
他方、一件記録によれば、本件行進が予定されている行進経路は交通量の多い一般
道路であつて、本件行進は、観閲式関係のために出入する歩行者、車両等のほか、
他の集団示威行進と競合することが明らかであり、本件条件の効力を停止し、無制
限に車両の参加を許すことになれば、本件行進が交通に及ぼす影響は多大であるこ
とが推認され、本件条件を付することは、道路交通法七七条二、三項に違反するも
のとはいえず、むしろそのような条件を付することが道路における危険を防止し、
その他交通の安全と円滑を図るため必要であることが認められる。
以上を勘案すれば、相手方において回復困難な損害を避けるため本件条件の効力の
停止を求める緊急の必要があることについての疎明がないというに帰する。
三 そうすると、相手方の本件執行停止申請は、その余の点について検討するまで
もなく、これを却下すべきであり、右と判断を異にする原決定は失当であるからこ
れを取り消し、右申請を却下することとし、手続費用の負担につき行政事件訴訟法
七条、民事訴訟法九六条、八九条を適用して、主文のとおり決定する。
(裁判官 寺澤光子 川上正俊 河本誠之)
別紙(一)即時抗告申立書
申立の趣旨
一 原決定を取消す。
一 本件申立を却下する。
一 本件即時抗告に対する決定があるまで原決定の執行を停止する。
一 申立費用は原審及び抗告審とも被抗告人の負担とする。
申立の理由
抗告人の主張及び疎明は、原審において提出したもののほか、当番で補充するとお
りであるが、原決定は事実を誤認し、法律の解釈を誤つたものといわざるを得ず、
到底承服することができないので、本申立に及ぶ次第である。
なお、当審における抗告人の主張疎明の補充は、直ちに提出する予定である。
別紙(二)
一 総論
原審決定を精読すると申立ての理由で述べたとおり、原審決定は事実を誤認し、法
律の解釈を誤つたものといわざるを得ず、その詳細については後述するが主張の要
点は次のとおりである。
(一) 事実誤認について
原審決定では、本件の争点はデモ行進の指揮の具体的方法にあるとしているが、真
の争点は、原審申立人が意図している多数の車両をデモ行進に参加させて交通上の
危険な状態を現出せんとするところにあるものであつて、単に指揮方法云々に止る
ものではない。
さらに、五〇〇人で三〇〇メートルに及ぶというデモ形態も原審申立人の主張をそ
のまま受入れたものである。
また、昭和五六年の同種デモ行進に際して、現地警察官がランドクルーザーのデモ
に付随した走行を認めたごとく、認定しているが、事実は現地警察官の警告、制止
を振り切つて強引に発進したものである。
加えて、原審決定は原審申立人が申請時にランドクルーザーの他、二台の乗用車を
走行させたいと申請したのみであるのに、これを制限することは適法ではないと認
定しているが、原審申立人の申請時の申立ては、車両二〇台を走行させたいという
ものであつて、事実誤認も甚だしい。
ちなみに、原審決定では「原審被申立人が右乗用車二台を認めない理由について述
べる点は多数の自動車のデモ参加を拒否する理由とはなり得ても・・・・・・」と
認定している事実からみても明らかである。
以上のとおり、原審決定は随所において事実を誤認しており、到底承服できないも
のである。
(二) 法律の解釈の誤りについて
原審決定は、本件認定の根拠として、「道路の通行に付き現在かつ明白な危険が認
められない」として原審被申立人の処分を違法視しているが、道路における明白な
危険は抽象的危険をもつて足りるとするのが判例の認めるところであり、原審申立
人集団の過去の実績からみて原審決定に従うならば、道路交通に及ぼす危険は明白
であると言わざるを得ない。
また、「デモ行進中における犯罪の虞れ」は、道路交通法第七七条の許可に関して
考慮すべき事由に該当しない旨認定しているが、デモに併進して右側通行したり、
蛇行し、さらには急発進、急後退する等の道交法違反行為が道路における危険行為
に当らないとするのは極めて失当である。
以上のとおり、原審決定は法律解釈に重大な誤りが存するものである。
二 本件の争点について
原審決定は「被申立人との重要な差違はデモ行進の指揮の具体的方法にある」とし
ている。
しかし、相手方が意図している真意は多数の車両を集団行進に付随走行させ交通を
混乱させることにあるのである。
つまり原審申立人は本年一〇月二六日本件集団行進の申請のため、朝霞警察署に来
署した際、原審被申立人がデモの付随車両について問い正したところ、原審申立人
は、
言伝カー二台、ランドクルーザー、資機車、救急車など二〇台を付随する旨申立て
ているところである。
原審決定を検討するに、ランドクルーザーを使用して、デモ集団全体を指揮統制さ
せることを意図しているとしているが、原審申立人の前述のような言動からして、
ランドクルーザー以外の車両二〇台を本件集団行進に付随走行させようとしている
意図が明らかである(疎乙第57号証)。してみれば徒歩の前後もしくは中間にこ
れら約二〇台の車両が付随走行することにより交通上著しい障害を生ずることが明
らかであり、まして相手方はこのような多数の車両を付随走行させる意図は多数の
車両を集団行進に付随走行させて交通の混乱を生じさせることにあるのである。
つまり原審申立人はランドクルーザーの指揮統制機能を主張しているところである
が、原審申立人の意図はこのように多数の車両を参加させて交通の安全と円滑を阻
害しようとするものにほかならない。
また、原審申立人は走行する車両の屋上で指揮する旨主張しているところである
が、乗車設備のない場所以外に乗車して走行してはならないことは道交法第五五条
に規定するとおりである。すなわち道交法第五五条は「車両の運転者は当該車両の
乗車のための設備された場所以外の場所に乗車させ又は乗車もしくは積載のために
設備された以外の場所に積載して車両を運転してはならない。・・・・・・」と規
定しているところである。
したがつて当該宣伝カーの屋上に乗車することは条件で禁止するまでもないことで
ある。
三 本件デモの参加予想人員
原審決定は、デモ参加者約五〇〇人、五人の列にして約三〇〇メートルにおよぶこ
とが予想されるとしている。しかし、仮に五〇〇人になつたとしても一梯団一〇〇
人とした場合、一梯団の長さは約一五メートル、さらに各梯団の間隔を約五メート
ルとつたとしてもデモ隊全体の長さは約一〇〇メートルになるところである。して
みると約三〇〇メートルにおよぶことが予想されるとした原審決定は事実を誤認し
たものである。本件集団行進の申請は五〇〇人としているが、原審申立人が過去主
催した自衛隊観閲式反対の集団行進には、東京実行委・叛軍行動委と共闘した昭和
五四年度まではともかくとして申請団体つまり「ニユーウエイヴ八〇」独自で実施
した昭和五五年度は届出人員五〇〇名のところを一二〇名、昭和五六年度は届出人
員三〇〇名のところを一三三名が参加しているのみである。本年も前記東京実行委
らは原審申立人と共闘せず独自に集団行進を計画しているところから、原審申立人
と共闘しないことが予想されるところである。したがつて本件申請にかかわる集団
行進の参加人員も前年にちなんで一二〇名ないし多くても一五〇名程度であること
が明らかである。原審申立人はこのような事実を知りながらあえて五〇〇名という
届出をなしてきているものである。
四 指揮統制について
本件許可条件の場合に、宣伝カーは表現の自由とのかねあいにおいて適切な車両と
認め、容認したものであるが、原審決定のごとく、ランドクルーザーを使用しなけ
れば指揮統制できない性質のものではない。
そもそもランドクルーザーとは、車高の高い総輪駆動の車両であつて、通常は、工
事現場等、凸凹道路などで使用しているものである。
してみると、ランドクルーザーに乗らなければデモを指揮統制できないとする原審
決定は、事実認定を誤認したものに他ならない。
つまり本件許可条件に付したごとき宣伝カーをもつてすれば指揮統制する機能はも
ちろんのこと、表現の効果もいささかも損なわないものであることが明らかであ
る。
さらに付言すれば相手方申請にかかる集団行進に参加する団体の中に極左暴力集団
である第四インター等が毎年参加し、各参加団体には、それぞれ指揮者がつき独自
にジグザグ停滞等の行進をしてきているところである。まして原審申立人は、指揮
統制機能を強調するものの、これらの違法行為を黙認するだけでなく、かえつて停
滞、蛇行進等を扇動しているところである。
このように原審申立人は、過去の集団行進で明らかなように、交通秩序を混乱させ
るような指揮こそすれ交通秩序を確保する為の注意を喚起するような指揮統制した
ためしがない。
原審決定がそのまま容認された場合、前述のとおり無制限の車両が徒走行進間に付
随走行することが懸念されるところである。特に原審申立人が集団行進を計画して
いる日は、自衛隊の国家的行事である観閲式が開催され、集団行進の経路は、一般
観客等でいちじるしい交通が混雑を生じているのが過去の例でもある。
このような交通上の特殊事情がある、しかも道路幅員が六・〇メートルから一三メ
ートルという狭い道路を無制限の車両が本件集団行進に付随走行したとしたら尚一
層の交通混雑を助長させることが明らかである。
してみれば原審決定が回復困難な損害をさける為に緊急の必要性があるとしたこと
は、事実認定の誤証にあることは明白である。
五 過去のデモ行進の状況
決定書二の(一)によると原審申立人は、本件許可申請にあたりデモ行進の指揮、
方法を述べた旨の記載があるが、原審申立人が一〇月二六日本件許可申請の際に、
原審被申立人が「昨年のように貨物自動車の荷台にバンドを乗せてデモ行進するこ
とは、交通上の安全確保の面から許可することはできないので、宣伝カーは前後各
一台にとどめてもらいたい」旨、行政指導すると相手方は、「そんなことは警察の
方針であつて私達には関係ない」「宣伝カーは二〇台持つて来る」「他にランドク
ルーザー一台、資材運搬車、救急車等二〇台位になりますよ」と申立ているもので
ある(疎乙第57号証)。
原審申立人の過去に行なつたデモ状況をみると、団体の性格から違法行為を繰り反
し、交通秩序を混乱させてきている団体であり、自動車特に、ロングボデイーのト
ラツクなどを使用して、交通上の危険を惹起しているところから、被申立人は、原
審申立人の申請時の言動にもあるとおり、集団行進に車を多数使用する意図がある
と認め、そのような状態になつた場合、交通上の危険を考慮し、車両台数を制限し
たものである。
原審申立人の集団行進に、昭和五五年までは車両台数制限等の許可条件を付さなか
つたが、相手方の集団行進は年を追うごとにエスカレートし、行進中道路交通法に
違反して、交通上の混乱を巻き起こし、使用する自動車により、交通規制にあたる
警察官の規制の妨害をもするようになり、昭和五五年には、普通貨物自動車(ロン
グボデイー)をデモの先頭部に付け、道路において停滞、併進あるいは急発進、急
後退を繰り返し、警察官の警告を無視し、警察部隊に衝突させ、負傷をさせる事案
を発生するに至つた。
そのため原審被申立人は、昭和五五年の観閲式反対デモのため、相手方が申請した
集団行進に際しては、集団行進に必要な宣伝カーのみ使用を認め、必要な条件を付
して許可したところである。
これに対し相手方は、その条件に反して普通貨物自動車をデモ行進に参加させ、デ
モ先頭部に付けて出発しようとし、警察の再三、再四の警告、制止を受け、これに
対し相手方は、宣伝カーの屋根に乗りデモ隊員を指揮してその場に座り込みをさせ
る等違法行為を繰り返し、約一時間三〇分の長時間にわたり普通貨物自動車の使用
を強調していた。
デモ出発後も原審申立人は、許可条件に認められていないランドクルーザーを警察
の警告、制止を無視して強引にデモ先頭に付け行進に移つた。
行進中においても原審申立人は、デモ隊の指揮、指導する立場にありながら、デモ
隊の違法行為をあおる等ことさら交通の混乱を招き特に、朝霞一中前道路におい
て、対向してきたデモ集団「主婦の会」と対面するや、ランドクルーザーの上から
デモ隊を指揮し、デモ隊全員を道路上に座り込ませ、約三八分間の長時間にわたり
違法行為を行わせ交通を混乱させた。
原審申立人のこれまでのデモ指揮の状況をみるに、正常なデモ行進のための指揮で
なく、あえて交通を混乱させるためデモ隊をあおつているのが実情である。
原審申立人は、本件集団行進において宣伝カー以外にランドクルーザーを使用しな
ければ指揮統制できないごとく主張するが、その真意は申請時の言動にもあるごと
く、デモ行進に多数の車両を混在させることにあるのであり、過去の申請団体の違
法行為をみても原審申立人が平穏に集団行進を行なつたためしはなく、今回の集団
行進においてもその例外ではなく、交通の秩序を混乱させるおそれは十分にうかが
えるところであり、それに多数の車両の混在を認めたならば、車両によつて昭和五
五年の場合のごとく、交通の混乱を招き、警察官による交通整理の妨害をも招来
し、いちじるしい交通上の危険の発生する蓋然性はきわめて高いと言わざるを得な
い。
六 道交法違反は許可に関して考慮すべき理由にあたる。
決定によれば「デモ行進中における犯罪のおそれを強調するが、その理由は道交法
第七七条の許可に関して考慮すべき理由に該当しない」としている。
しかし、申請団体は今までの車両の付随を容認したデモ行進においては、警察署長
が付した許可条件に従がわず、併進による右側通行、あるいは蛇行、急発進、急後
退等を敢行しており、道交法に違反する犯罪を犯しているものである。
道路上における座り込み等を繰り返し行つていることは明らかであり、従がつてこ
のことは道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため、必要な
条件であり、本決定はその見地からみて失当であるといわざるを得ない(疎乙第四
九号証)。
七 宣伝カー二台に制限した理由
デモ集団の前後に各一台の宣伝カーを走行させることとした理由は、道路における
危険を防止し、その他交通の安全を確保するためのものである。そもそもデモ行進
に車両を多数混在させることは、当日の特殊事情に伴う一般参観車両により、付近
一帯の交通が混雑し加えてこの観閲式に反対するデモ六団体及び右翼団体の観閲式
観迎車両パレード七団体が極めて近接した時間帯の中で実施される特殊状況に加え
て当該申請団体は、過去に実施された集会デモに際し、警察署長の付した許可条件
に従がわず、フランスデモ、ジグザグ行進、渦巻行進等を繰り返し、付近一帯の交
通を完全に麻痺させ、交通上の危険を生じせしめているものである。
原審決定によれば「行政上、この措置が望ましいとの程度となり得ても許可しない
とする程強い理由とみることはできない。」としているが、当該申請団体の性格
上、あるいは過去の事例からみても行政指導に従うということは期待できず、整然
とデモが行われるという可能性はなく、一般交通に犠牲を強いる結果となり、こう
したことから道路における交通の安全と円滑を図る目的から本件条件により宣伝カ
ーを二台としたことは妥当であると言わざるを得ない。
八 参加を意図した車両は二〇台である。
本決定によれば「デモ参加者の健康保持のため、医療器具を積み、また、病人、老
人や幼児の休息のため、最後部に二台程度の乗用車を走行させたいということは、
道路の通行につき現在の、かつ、明白な危険が認められないとしているが、これは
事実誤認も甚しいものである。
本件申請団体は、申請時において、「宣伝カー二台のほか、ランドクルーザー、資
材運搬車二〇台を進行させるがその中でトラツクにチヤガールを乗せる
等・・・・・・」と申し立てている(疎乙第五七号証)。
このように、申請人は乗用車二台ではなく、トラツク、ランドクルーザー等二〇台
をデモ行進に付随して進行させることにより、交通の混乱を図ることを意図してい
ることは明らかであり、一般交通の危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図る
ため本件宣伝カー二台の条件を付したことは必要最小限度のものである。
九 多数の車両参加を拒否する理由
前記で記述したとおり、本件申請団体は、二台程度に限られるものではなく、多数
の車両をデモに付随させて進行させることは明らかである。
したがつて、原審決定で「多数の自動車のデモ参加を拒否する理由となりえても二
台程度に限られるものであれば制限することは適法ではない」としているが、これ
は明らかに事実誤認である。
本件申請団体は、多数の車両特に、トラツク等を進行させ道路における危険を生じ
させることを意図していることは過去の事例で明らかであり、現在かつ明白な危険
があるといわざるをえない。
原審決定においても多数の車両をデモ参加の拒否する理由になりえるとしていると
おり本件許可条件もその点にあるものである。
一〇 「現在かつ明白な危険がなければ、条件を付すことは許されない」との判示
について
道路交通の危険が、現在かつ明白に存在するものでない場合、条件を付すること
は、許されない旨判示するが、集団による行進は、その行為自体において、社会通
念上一般交通に著しい影響を及ぼすことが予測されるとみるのが相当であつてかか
る集団による行進である以上それが現実に一般交通に著しい影響を及ぼすことは明
らかであり、右許可に際し、付される条件も現実に一般交通に著しい影響を及ぼす
ものに限定すべき理由がないことになる。
このことについては、
昭・四九・一・二五
大阪高裁
昭・四九・四・二三
大阪高裁
昭・四九・一一・二七
福岡高裁
等の判例によつても明らかである(疎乙第66号証)。
(原裁判等の表示)
○ 主文
申立人の昭和五七年一〇月二六日付埼玉県公安委員会に対する集団示威運動の届出
に対し、被申立人が同年一〇月二九日付でなした道路使用許可に付した条件のう
ち、「使用する車両は、いわゆる宣伝カー(放送設備を有し、もつぱら街頭宣伝活
動に使用するための車両)とし、行進する全集団の先頭及び後尾に各一台とす
る。」との条件の効力はこれを停止する。
申立費用は被申立人の負担とする。
○ 理由
(当事者の申立及び理由)
本件申立ての趣旨および理由は、別紙一のとおりであり、これに対する被申立人の
意見は別紙二のとおりである。
(当裁判所の判断)
一 1本件疎明によれば、申立人は、昭和五七年一〇月三一日陸上自衛隊朝霞訓練
場において実施が予定されている自衛隊観閲式に反対するため、「ニユーウエーヴ
‘80運動」という名称の団体を参加予定団体として、右同日午前九時から午後一
時までの間、東武東上線朝霞駅北口―朝霞市役所脇―永峰ふとん店前交差点を左折
―クラウン前交差点を左折―青果市場前交差点を右折―小学校前を折り返し―税務
大学校脇を右折―自衛隊朝霞駐とん地正門脇を左折―旧川越街道―和光市駅(解散
地点)を進行順路とする集団示威行進(参加予定人員約五〇〇人)を計画し、申立
人が主催者連絡責任者として、同年一〇月二六日、前記場所を管轄する被申立人を
通じて、埼玉県公安委員会に対し、集団行進及び集団示威運動の届出をし、あわせ
て、被申立人に対し、道路交通法七七条一項四号(埼玉県道路交通法施行細則一七
条)にもとづく道路使用許可申請をしたところ、前記届出については受理されたも
のの道路使用許可申請については、被申立人が同月二六日付で、使用車両につき、
「いわゆる宣伝カー(放送設備を有し、もつぱら街頭宣伝活動に使用するための車
両)とし、行進する全集団の先頭及び後尾に各一台とする。」との許可条件を付
し、その他進路の一部変更を含め、若干の条件を付したうえこれを許可する旨の決
定をしたことが認められる。
2 申立人が前記の被申立人の処分により社会生活上回復の困難な損害を生ずるも
のということができ、また、デモ行進の期日を昭和五七年一〇月三一日に予定して
いるので、緊急の必要があるといえる。
二 1申立人の本件申請と被申立人の許可条件との重要な差異はデモ行進の指揮の
具体的方法にある。申立人は、デモ行列の先頭に拡声器を備えた宣伝カーを走ら
せ、本来はその屋上でデモの指揮をとりたいが当該宣伝カーの使用条件としてそれ
を禁じられているため、次の列にラウンド・クルーザー(オープンカー四人乗りの
ところに三人乗りの予定)を走行させ、そこに立つてデモ参加者約五〇〇人、五人
の列にして約三〇〇メートルに及ぶことが予測されるデモ行列の最後部まで見通
し、ワイヤレスマイクで前行の宣伝カーの拡声器を使用し、デモ行列の整然たる歩
行を指揮監督しようとするものであるが、これに対し、被申立人は、デモ行列の前
後に拡声器を備えた二台の宣伝カーを走行させ、宣伝カーの中から行列を注視し、
これによつて、デモ行列の整然たる歩行を指揮監督させることを意図しているもの
とみることができる。
道路交通法七七条一項四号による所轄警察署長の許可にあたつては、集団示威行進
による意思表示が表現の自由という国民の基本的権利の一つであることからみて、
できるかぎり最少限度の規制に止めるべきである。デモ行進の指揮方法に関して
は、デモ行列が乱れることによる道路における危険の防止に重点をおいて考察すべ
きであり、そのような明白で現在の危険が存在しないかぎり制限することは許され
ない。その指揮方法が申請の方法よりさらに妥当な方法が考えられるとしても、そ
の方法につき行政指導することは許されるが、その方法でなければ許可しないとし
て強制しその許可の条件とすることは、表現の自由を侵害するもので違法であると
いわなければならない。
この観点から検討するのに、記録によると、次の事実が疎明される。
(一) 申立人は本件許可申請にあたり前記のようなデモ行進の指揮方法をとるこ
とを述べたが、被申立人は主文記載のような条件を附して許可した。
(二) しかし、昭和五四年以前にはデモ行進の指揮につき格別の条件を付された
ことがなかつたが、昭和五五年から制限され、昭和五六年一〇月二九日の同種のデ
モ行進に際しては、先頭に宣伝カー一台を走行させることだけ認められたが、現地
警察官からの指示で、さらにその次に前記主張のようにラウンド・クルーザーを走
行させこれに立ちワイヤレスマイクで先行の宣伝カーの拡声器を使用して行進を指
揮したが、多少の混乱はあつたが、それによつて交通の危険を生ずる程ではなかつ
た。
右疎明事実によると、申請人の前記主張方法によるデモ行進の指揮には道路交通の
危険が現在かつ明白に存在するものとすることはできないから、被申立人が主文記
載のような条件を附することは違法であるといわざるをえない。
2 (一)被申立人はデモ行進中における犯罪の虞れを強調するが、その事由は道
路交通法七七条の許可に関して考慮すべき事由に該当しないから失当である。
(二) 被申立人が前後に二台の宣伝カーを走行させることとした理由について述
べるところは、行政上その措置が望ましいとの程度の理由となりえても、そうでな
ければ許可しないとする程強い理由とみることはできない。
三 1申請人は、デモ参加者の健康保持のため医療器具を積み、また、病人、老人
や幼児などの休息のため行列の最後部に二台程度の乗用車を走行させたいとの申請
をしていたところ、被申立人はこれを許可していないが、この点についても前記二
に述べたところと同様の理由から、そのことが道路の通行につき現在かつ明白な危
険が認められない限り許可すべきところ、記録によつても、そのような危険の現在
かつ明白性につき疎明されないから、右処分もまた違法である。
2 被申立人が右乗用車二台を認めない理由として述べる点は、多数の自動車のデ
モ参加を拒否する理由とはなりえても、申立人のいうような二台程度に限られるも
のであれば、これを制限することは適法ではないといわざるをえない。
四 以上のとおりであるから、申立人の本件申立は理由があるので、行政事件訴訟
法第二五条により、被申立人のした前記許可の条件部分につき、その効力を停止す
ることとし、訴訟費用の負担につき同法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文
のとおり決定する。
別紙一 執行停止申立書
申立の趣旨
申立人の昭和五七年一〇月二六日付集団示威運動に関する条例の届出申請に対し、
被申立人が昭和五七年一〇月二九日付でなした
「使用する車両は、いわゆる宣伝カー(放送設備を有し、もつぱら街頭宣伝活動に
使用するための車両)とし、行進する全集団の先頭及び後尾に各一台とする」
の部分の効力を停止する。
申立費用は、被申立人の負担とする。
申立の理由
一 行政処分の存在
申立人は、「つぶせ、自衛隊観閲式」という名称の集団示威運動(デモ)の主催者
として、昭和五七年一〇月二六日、埼玉県集団行進及び集団示威運動に関する条例
(昭和二四年一一月一一日条例四三号)―いわゆる埼玉県公安条例(以下「条例」
という)―第一条にもとづき、埼玉県公安委員会に対し、別紙疎明資料記載のとお
り、右集団示威運動の届出申請と、被申立人に対する道路許可申請を同時に併行し
てなしたところ、被申立人は、同月二九日付をもつて、許可条件中に「申立の趣
旨」記載の条件を付して、許可する決定をなした。
二 本件処分の違法性
(一) 埼玉県公安条例は、明らかに届出制をとり(第一条)、ただ第三条におい
て「集団示威運動の秩序を保ち、公共の安寧を保持するため」制限列挙の形式で四
つの事項を制限しているにすぎない。
しかるに、被申立人は、右の埼玉県公安条例の届出制を実質的に変更して、許可制
の立場をとり、道交法第七七条一項、二項、三項、埼玉県道路交通法施行細則第一
七条一項三号により、本件処分を行い、申立人の申請にかかわる集団示威運動の形
を通しての憲法上保障された表現の自由を制限したものである。
しかし、道交法第七七条一項にいう「許可」は、行政法上の「警察許可」の一種で
あり、本条の趣旨とするところは、道路の本来的用途ではないために一般的に禁止
する一項各号記載の「道路使用」につき、警察署長が特に支障がないと認める場合
に、その一般的禁止を解除して、適法ならしめる点にある。ところで、この「許
可」は警察許可として覊束裁量処分に該当するものであるから、警察署長は許可申
請があつたときは、当然に公益上の支障がない限り許可を与えなければならないの
であり、このことは道交法第七七条二項の明文規定からも明らかである(この点に
ついては有斐閣 横井大三・木宮高彦著註釈道路交通法再訂版三七九頁参照)。
しかるに、被申立人がいかなる根拠から「公益上の支障」と判断して、埼玉県公安
条例第三条に列挙する四つの制限事項以外の本件処分をなしたかは何等説明もなさ
れず、かつ合理的根拠も示されてはいない。
よつて、本件処分は違法である。
(二) 道交法第七七条第三項は「当該許可に道路における危険を防止し、その他
交通の安全と円滑を図るために必要な条件を付することができる」と規定してい
る。しかし、本件処分は、右道交法にいう「危険の防止」や、「交通の安全と円滑
を図る」要件に、左記の理由により該当しない。
(1) 本件処分は、デモ行進に宣伝カー二台以外の車両の参加を禁止するもので
あるが、約一〇年にわたる申立人主催の朝霞自衛隊観閲式反対のデモ行進に、宣伝
カー以外の自動車(指揮者を搭乗させるランド・クルーザーや、救援対策のための
一般乗用車、プラカード・旗等を運搬するライト・バン形式の車両)が多数参加し
ていた(疎甲各号証参照)。そのことによつて、過去一〇年間、何らの「危険」
も、「交通の安全と円滑」を妨害する事実も発生していない。
かえつて、宣伝カー二台に参加車両を制限することは、
第一に、本件デモ行進は、参加人員約五百人という可成りの人数の参加が予想され
るため、先頭車両に、デモ指揮として後部隊列の状況を把握できる車両(従来必要
な場合、座席に立つて後方を見ることのできるランド・クルーザーを使用してき
た)を配置することは、デモを整然と指揮し、「交通の安全と円滑」をはかる上で
必要なことである。それ故に、そのようなランド・クルーザー車を制限するような
本件処分は、道路交通法第七七条三項の要件に合致せず、違法である。
第二に、救急車両として一般車両を配置するのは、この種のデモ行進では、常識で
ある。そして、申立人主催の約一〇年間にわたる朝霞自衛隊観閲式反対のデモに
は、必ず二~三台の一般乗用車が、そのためにデモに参加していた。この種の一般
乗用車を排除する本件処分は、道交法第七七条三項の「危険」にも、「交通の安全
と円滑」の要件にも該当しない、違法な処分といわざるをえない。
(2) 前述のように、約一〇年間にわたり、被申立人は、本件処分のような宣伝
カー二台以外の、デモ指揮者が搭乗するランド・クルーザー車及び一般乗用車ライ
ト・バン車のデモ参加を認めてきた。
しかるに、本年に限つて、突然宣伝カー二台以外の車両のデモ参加を不許可として
きた。そこには、前述のごとく何等の合理的根拠も、合法性も存在しない。
被申立人は、あるいは許可された宣伝カー一台を先頭に配置して、デモ指揮をすれ
ば良いと判断しているのかもしれないが、宣伝カーの内部からのデモ指揮は、デモ
後部を見渡すことが不可能なゆえに、デモ指揮者の搭乗する車両として不適当であ
る。
被申立人は、あるいは、それでは宣伝カーの屋根の上に、必要なときにデモ指揮者
が乗つて指揮をすれば良いと考えているのかもしれないが、このことは、別にとつ
てある宣伝カーの道路使用許可証の諭示事項二に「走行中、宣伝車の屋根等設備外
に乗車しないこと」と指定されることによつて、不可能なことなのである(疎甲二
号証浦和警察署長昭和五七年一〇月一九日付許可証参照)。
ゆえに、結局のところ、本件処分通りに、デモ指揮をしようとすれば、先頚の宣伝
カーの内部にデモ指揮者は搭乗し、デモ行進の後部がどのようになつているかを見
ようとする場合には、宣伝カーより降車して、走つて後部まで見にゆかねばならな
い事態となる。これでは、却つて五百人参加のデモは、デモ指揮者の指揮が徹底せ
ず、「交通の安全と円滑」に支障をきたす結果となることは明らかである。
過去一〇年にわたる実績を、そこに何らの支障もなかつた事実よりみても、今回の
被申立人の処分は全く理解に苦しむものである。その意味で、道交法第七七条三項
に違反し、本件処分は無効である。
三 回復しがたい損害の存在
前述の理由から、申立人は本日御庁に、本件処分の取消しを求める本訴を提起した
ものであるが、本件集団示威行進は、本年一〇月三一日午前九時三〇分より実施さ
れるものであり、本案訴訟の結論を待つていたのでは、申立人が所期の示威行進を
実施することが不可能となるか又は予想外の混乱をきたすことが考えられる。
埼玉県公安条例は、そもそも届出制をとつている立場上、被申立人の本件処分を申
立人が手にしたのは本年一〇月三〇日午前中のこととなつた。したがつて、本件処
分に対する司法救済は、執行停止の申立の方法によるほかはないことを十分御斟酌
の上、勇断をもつて本件処分の執行停止を決定されんことを強く希望するものであ
る。
ちなみに、従来集団示威行進に対してなされた執行停止決定を示した判例には、次
のようなものが存在する。
○ 東京地裁昭和四二年六月九日決定
判例時報 四八三号三頁
〇 東京地裁昭和四二年七月一一日決定
判例時報四八七号一八頁
別紙二
意見書
目次
意見の趣旨
意見の理由
第一 本件申立にかかる処分手続の経過
一 集団行進の届出及び道路使用の許可申請の状況
二 処分の経過
第二 本件申請にかかる道路状況
一 全般的状況
二 各路線別の状況
(一) 朝霞駅北口広場から朝霞駅南口までの状況
(二) 朝霞駅南口通りの状況
(三) 朝霞市道一一九号線(永峰フトン店前からクラウン前まで)の状況
(四) 旧道(クラウン前から青果市場前まで)の状況
(五) 国道の状況
(六) 旧道(相沢畳店前から和光市駅前入口まで)の状況
(5) 和光市駅前通りの状況
第三 当日の特殊事情及び交通上の問題点
一 特殊事情
(一) 自衛隊観閲式の開催
(二) 観閲式に反対する諸団体の動向
(三) 観閲式に賛成する諸団体の動向
二 交通上の問題点
(一) 自衛隊観閲式観客と競合する
(二) 観閲式主催者側の車両等と競合する
(三) 他の集団行進と競合する
第四 申請団体及び共闘が予想される団体の実態
一 申請団体である「ニユーウエイヴ80運動」の実態
(一) 浦和市民連合
(二) 県反戦
(三) 風船爆弾
二 参加団体の実態
(一) 戦争への道を許さない女達の埼玉集会
(二) 三里塚を闘う埼玉青年共闘
(三) 四・二七叛軍兵士裁判事務局
(四) 労働者調整委員会
(五) 福生市民連合
(六) 叛軍学生委員会
(七) 日本はこれでいいのか市民連合
三 その他共闘が予想される団体の実態
(一) 東京叛軍行動委員会
(二) 東京北部労働者実行委員会
(三) 戦旗・共産主義者同盟
(四) 共産主義者同盟戦旗派
第五 申請団体の過去の反対闘争の概要と本年の取組状況
一 過去反対闘争の概要
(一) 集団行進の概括的状況
(二) 当該車両を付随した集団行進の状況
(三) 昨年(昭和五六年)の集団行進の状況
二 本年の取組状況
(一) 自衛官殺害事件被告人AことBの支援映画会で本件集団行進の参加を呼び
かけた
(二) 極左暴力集団等で構成する団体に共闘を呼びかけた
(三) 浦和駅頭で開催した「マラソン演説会」で参加を呼びかけた
三 申立人の執行停止申立の状況
第六 本件許可条件を付した具体的理由
一 本件集団行
進に当該車両等を使用する意図
二 本件集団行進に当該車両等を使用した場合に予測される事態
第七 本件許可条件で使用車両は「宣伝カー二台」に制限した理由
一 集団行進に車両等を付随させることの危険性
二 いわゆる「宣伝カー」の付随を容認した理由
三 いわゆる「宣伝カー」と言えども二台に制限した理由
四 申立人が使用せんとする車両を規制する理由
五 ランドクルーザーを認めない理由
六 昨年度(昭和五六年)から集団行進に付随する車両台数、種別を制限した理由
第八 本件申立の不適法性
一 本件申立は緊急の必要性がない
二 本件申立が認容された場合は公共の福祉に重大な影響を及ぼす
三 本件許可条件が申立人に回復困難な損害を与えるものではない
第九 本件許可処分の適法性
一 憲法第二一条と本件許可条件との関係
二 公安条例と本件許可条件との関係
第一〇 結語
意見の趣旨
本件申立を却下する
申立費用は申立人の負担とする
との裁判を求める
意見の理由
第一 本件申立にかかる処分手続の経過
一 集団行進の届出及び道路使用の許可申請の状況
申立人は、昭和五七年一〇月三一日陸上自衛隊朝霞訓練場において実施される自衛
隊観閲式に反対するため
主催名称 「つぶせ自衛隊観閲式」
参加人員 五〇〇人
行進経路 朝霞駅北口―南口駅前通り~永峰フトン店~クラウン~旧川越街道~旧
米軍キヤンプ正門~税務大学校前~県道東京朝霞線直進~新座栄小前折り返し~税
務大学校前~川越バイパス~自衛隊正門~相沢畳店~旧川越街道~和光市駅入口~
和光市駅前
により集団示威行進(以下「集団行進」という。)を計画し、申立人が主催者兼連
絡責任者として同年一〇月二六日前記集団行進路を管轄する朝霞警察署長(以下
「被申立人」という。)を通じ埼玉県公安委員会に対し、「集団行進及び集団示威
運動に関する条例」第一条に基づき集団行進の届出をするとともに、あわせて被申
立人に対し道路交通法(以下「道交法」という。)第七七条第一項第四号(埼王県
道路交通法施行細則第一七条)に基づき道路使用の許可申請をした(疎乙第1号
証)。
二 処分の経過
被申立人は、前記申立人の申請にかかわる集団行進について、実施時間・経過及び
当日の特殊事情等つぶさに検討したところ、前記集団行進を申請どおり許可した場
合は、後述のとおり著しい交通の混雑が予想される他、
道路における危険を惹起し、その安全と円滑を確保することができないと認めやむ
を得ざる措置として道交法第七七条第三項に基づき、申立趣旨記載の条件(以下
「本件許可条件」という。)を付して許可し、この旨を同月三〇日午前一〇時〇〇
分申立人に代わるCに示達した(疎乙第1 2号証)。
第二 本件申請にかかる道路状況
一 全般的状況
本件申請にかかる経路は、朝霞駅北口広場(集会場)を出発地として東武東上線を
横断する「朝霞陸橋」を渡り朝霞駅南口に至り県道田島膝折線(以下「朝霞駅前通
り」という。)から朝霞市道一一九号線を経由し、県道新座和光線(以下「旧道」
という。)に出た後、国道二五四号線(以下(国道」という。)を横断し、県道東
京朝霞線を南進し新座市立栄小学校前を折り返した後(ただし県道部分の通行は不
許可)国道に至り東進、そして自衛隊正門前交差点を左折し再び旧道に至り和光市
駅前交差点を左折し県道和光志木線(以下「和光市駅前通り」という。)を北進、
和光市駅までの全長四、八〇〇メートル(ただし不許可部分を除く)である。
このように、本件申請経路は朝霞市及び和光市の二市を経由することとなるが、そ
の経路のほとんどは両市の駅前通りを経路とする等いわゆる目抜き通りを行進する
こととなる(疎乙第3号証)。
これらの申請経路にかかる道路は、後記「各路線別の状況」で後述するとおり、国
道部分を除き広い所で一三メートル、狭い所では六メートルという極めて道路幅員
の狭い道路であるのに比較し、その交通量は両市の主要路線となつているところか
ら車両をはじめ自転車、歩行者とも極めて交通量の多いところである。
また、申請経路中国道部分を除き各経路は路線バスの経路となつており、約一〇分
から二〇分置きに定期バスが往来しているところでもある。このため、交通の安全
と円滑を確保するため県公安委員会では国道部分を除いて最高速度四〇キロから三
〇キロに規制している他、駐車禁止及びはみ出し通行禁止などの規制を施している
ところである。しかしながら、年々増加傾向にある交通事故には歯止めすることが
できず、ちなみに本件申請経路上で発生した交通事故を本年一月から九月三〇日ま
での間抽出してみるに、人身事故四四件、物損事故九六件の計一四〇件が発生し、
重傷者三名を含む負傷者五三名を出している路線でもある。
二 各路線別の状況
(一) 朝霞駅北口広場から朝霞駅南口までの状況
ア 道路状況
本件申請経路は、朝霞駅北口広場から東武東上線を横断する「朝霞陸橋」(自動車
専用道路)を渡り朝霞駅南口に至るもので、その間は全長二五八メートルの舗装さ
れた道路で、前記朝霞陸橋の幅員は七から一〇・五メートル及び陸橋下から朝霞駅
南口に通じる道路幅員は七から一〇・五メートルとなつている(疎乙第4号証)。
イ 交通量
前記「朝霞陸橋」は、自動車専用道路のため歩行者、自転車の通行はないが、ちな
みに本年一〇月三日(日)の午前七時から午後三時までの調査結果では二、七二五
両の車両が同橋を往来しているところである(疎乙第4号証)。
ウ 交通規制の状況
前記「朝霞陸橋」上は、道交法で駐停車禁止場所と指定されている。また、県公安
委員会では最高速度二〇キロ規制及び追い越し禁止規制をしている(疎乙第4号
証)。
工 交通事故の発生状況
ちなみに、本年一月から九月三〇日までの間前記区間で発生した交通事故を調査し
たところ、人身事故一件(陸橋下から朝霞駅南口までの間)が発生し、負傷者一名
を出した他、物損事故四件(「朝霞陸橋」上で二件陸橋下から朝霞駅南口までの間
で二件)が発生しているところである(疎乙第4号証)。
(二) 朝霞駅南口通りの状況
ア 道路状況
東武東上線朝霞駅南口から西方に通ずる「朝霞駅南口通り」を、本件申請にかかる
集団行進は朝霞市<地名略>先の交差点(以下「永峰フトン店前」という。)に至
り左折することとなるが、その区間は全長八二〇メートルの片側一車線の舗装され
た道路で、車道幅員は広い所でも九メートル、狭い所では六メートルの道路幅員で
ある(疎乙第5号証)。
イ 交通量
同通りは朝霞駅南口に通じるいわゆる目抜き通りであり、沿線は商店街となつてい
る他市役所、銀行などもあり、交通量は平日、日祭日を問わず多いところである。
ちなみに、本年一〇月一七日(日)午前八時から午後一時までの調査結果では、車
両二、一六七両、自転車五九四台、歩行者三七三人となつている(疎乙第5号
証)。
ウ 交通規制の状況
前記朝霞駅南口通りは、最高速度三〇キロ規制及び駐車禁止の規制がなされている
(疎乙第5号証)。
工 交通事故の発生状況
ちなみに、本年一月から九月三〇日まで前記朝霞駅南口通りで発生した交通事故を
調査したところ、人身事故九件物損事故一〇件の計一九件が発生し、重傷一名を含
む負傷者一二名を出しているところである(疎乙第5号証)。
オ 路線バスの運行状況
同通りを通過する定期路線バスを調査したところ、平日で西武バス一八〇回、東武
バス三八回、国際興業バス一〇五回の計三二三回、また日祭日では西武バス一四〇
回、東武バス四〇回、国際興行バス一〇〇回の計二八〇回の運行となつている(疎
乙第5 6号証)。
カ 朝霞駅南口の乗降客の状況
東武東上線朝霞駅に乗降客数について照会したところ、平日約四二、〇〇〇名、日
祭日約四七、〇〇〇名とのことである(疎乙第7号証)。
(三) 朝霞市道一一九号線(永峰フトン店前からクラウン前まで)の状況
ア 道路状況
申立人の申請経路は、朝霞駅南口通りから朝霞市道一一九号線に入ることとなる
が、同線は南北に走るほぼ直線の道路で、行進路は約九〇〇メートルとなる。車道
幅員は広い所で一三メートル、狭い所で六メートルである(疎乙第8号証)。
イ 交通量
同線の沿線は、東側に米軍基地跡、県立朝霞西高校、西側に朝霞市立第一中学校及
び住宅街となつているため交通量は平日、日祭日を間わず多いところである。ちな
みに本年一〇月一七日(日)の交通量調査では、午前八時から午後一時までの間車
両二、六九三両、自転車三七二台、歩行者二六九人となつている(疎乙第8号
証)。
ウ 交通規制の状況
同線の交通規制の状況をみるに、最高速度四キロ規制の他、駐車禁止、はみ出し通
行禁止の規制がなされている(疎乙第8号証)
工 交通事故の発生状況
ちなみに、本年一月から九月三〇日まで同線で発生した交通事故を調査したとこ
ろ、人身事故四件、物損事故六件の計一〇件が発生し、負傷者六名が出ている(疎
乙第8号証)。
オ 路線バスの運行状況
同通りを通過する定期路線バスを調査したところ、平日で西武バス一六九回、東武
バス三八回、国際興業バス一五回の計二二二回、また、日祭日では西武バス一二九
回、東武バス四〇回、国際興業バス一五回の計一八四回の運行となつている(疎乙
第8 6号証)。
(四) 旧道(クラウン前から青果市場前まで)の状況
ア 道路状況
申立人の申請経路は、前記市道一一九号線からクラウン前を左折し、旧道を旧米軍
キヤンプ正門(申立人記載の申請書は「青果市場右折」となつている)まで南進す
るものであるが、同区間は四五〇メートルの舗装された片側一車線の道路である。
同道路は車道幅員七・五メートルの片側一車線道路で、歩車道の区別のある道路で
ある(疎乙第9号証)。
イ 交通量
前記道路は、国道が建設されるまでは埼玉県と東京都を結ぶ主要道路となつていた
ため交通量は現在でも多く、ちなみに本年一〇月一七日(日)の午前八時から午後
一時までの交通量調査結果では、車両三、二三八両、自転車二五二台、歩行者二三
四人となつている(疎乙第9号証)。
ウ 交通規制の状況
同線の交通規制の状況をみるに、最高速度四〇キロ規制の他、駐車禁止及びはみ出
し通行禁止の規制がなされている(疎乙第9号証)。
工 交通事故の発生状況
次に交通事故の発生状況について調査したところ、同線朝霞市<地名略>先から和
光市<地名略>の間に、本年一月から九月三〇日まで人身事故一八件、物損事故一
九件の計三七件が発生し、重傷一名を含む負傷者二〇名を出しているところである
(疎乙第9号証)。
オ 路線バスの運行状況
さらに同線を経路とする路線バスを調査したところ、平日が西武バス一八〇回、東
武バス三〇回、国際興業バス四八回の計二五八回、また、日祭日では、西武バス一
四〇回、東武バス四〇回、国際興業バス四八回の計二二八回の運行となつている
(疎乙第9 6号証)。
(五) 国道の状況
ア 道路状況
本件申請にかかわる経路は、前記旧道を経由し国道を横断、県道東京朝霞線を南進
し途中折り返し後再び国道に至り(ただし県道東京朝霞線は不許可)国道を朝霞市
<地名略>(以下「税務大学前交差点」という。)から、朝霞市<地名略>(以下
「自衛隊正門前交差点」という。)までの約八八〇メートル東進するものである。
この国道はまさに埼玉県と東京都を結ぶ主要道路で、車道幅員一三・八メートルの
片側二車線の歩車道の区別のある舗装された道路である(疎乙第10号証)。
イ 交通量
前記のとおり、同国道は県と都を結ぶまさに主要道路であるため、その交通量、特
に車両の通行量が極めて多く、ちなみに本年九月三〇日(木)、一〇月三日(日)
及び一一日(月)の三日間における午前七時から午後三時までの平均交通量は車両
二三、六二七両、自転車二六四台、歩行者一八五人となつている(疎乙第10号
証)。
ウ 交通規制の状況
このような交通量のため、交通の安全と円滑を図るため最高速度五〇キロ規制の
他、駐停車禁止、右折禁止などの規制がなされている(疎乙第10号証)。
工 交通事故の発生状況
前記のごとく、極めて交通量が多いため交通事故の発生も多く、本年一月から九月
三〇日までの間朝霞市<地名略>先から<地名略>先までの区間に発生した交通事
故を調査したところ、人身事故二九件、物損事故四九件の計七八件が発生し、負傷
者三五名を出しているところである(疎乙第10号証)。
(六) 旧道(相沢畳店前から和光市駅入口まで)の状況
ア 道路状況
本件申請経路は、自衛隊正門前から再度旧道に入り和光市駅入口交差点まで東進す
るものであるが、同区間は八〇三メートルの舗装された片側一車線の歩車道の区別
ある道路で、車道幅員は全線にわたり七・五メートルの幅員を有するところである
(疎乙第9号証)。
イ 交通量
前記(四)のイ記載のとおり(疎乙第9号証)。
ウ 交通規制の状況
前記(四)のウ記載のとおり(疎乙第9号証)。
工 交通事故の発生状況
前記(四)の工記載のとおり(疎乙第9号証)。
オ 路線バスの運行状況
さらに同線を経路とする路線バスの運行状況を調査したところ、平日が国際興業バ
ス四八回、東武バス三〇回の計七八回に対し日祭日は国際興業バス四八回、東武バ
ス四〇回の計八八回となつている(疎乙第9 6号証)。
(七) 和光市駅前通りの状況
ア 道路状況
本件申請にかかる経路は、旧道から和光市駅入口交差点を左折し、和光市駅前通り
に至り和光市駅前で流れ解散するものであるが、同経路は四七五・五メートルの舗
装された片側一車線の道路で、車道幅員は広い所で八メートル、狭い所で七・五メ
ートル緩やかに右曲した道路である(疎乙第11号証)。
イ 交通量
ちなみに同通りの交通量につき調査したところ、本年一〇月一七日(日)午前八時
から午後一時までの間車両二、七七九両、自転車八六四台、歩行者二、七五四人で
あつた(疎第11号証)。
ウ 交通規制の状況
さらに同通りの交通規制の状況を調査したところ、最高速度三〇キロ規制の他に駐
車禁止及びはみ出し通行禁止の規制がなされている(疎乙第11号証)。
エ 交通事故の発生状況
ちなみに本年一月から九月三〇日までの交通事故の発生状況を調査したところ、人
身事故八件、物損事故八件の計一六件が発生し、重傷一名を含む負傷者一一名を出
しているところである(疎乙第11号証)。
オ 路線バスの運行状況
同通りを経路としている路線バスの運行状況を調査したところ、一系統で平日は七
九回、日祭日は六三回の運行がなされている(疎乙第6 11号証)。
カ 和光市駅の乗降客の状況
東武東上線和光市駅に乗降客数につき照会したところ、平日で約二八、〇〇〇人、
日祭日で約二六、〇〇〇人とのことであつた(疎乙第12号証)。
第三 当日の特殊事情及び交通上の問題点
一 特殊事情
(一) 自衛隊観閲式の開催
ア 当日は、自衛隊観閲式が行われる。自衛隊観閲式は、昭和四七年までは東京都
内神宮外苑において開催されていたが、昭和四八年から自衛隊朝霞訓練場(以下
「式典会場」という。)で開催され、本年も来る一〇月三一日(申立人が集団行進
を行おうとする日)に式典会場において開催することが決定している。
この観閲式は、自衛隊記念日の記念行事として行われる国家的行事(自衛隊法第六
条、同法施行規則第一〇条、第一二条)であり、自衛隊の平素の訓練及びその成
果、装備等を国民に披露して、自衛隊に対する国民の信頼を深めるとともに、自衛
隊員自身についてもその使命を自覚させ、士気の高揚・団結の強化を図る目的で実
施されるものである(疎乙第13号証)。
イ 自衛隊(東部方面総監部)からの通知によると、観閲式は内閣総理大臣が観閲
官となり、陪閲官として防衛庁長官など、主賓として衆・参議院議長、その他特別
招待者としてアメリカ合衆国、連合王国、フランス共和国、中華人民共和国、ソビ
エト社会主義共和国連邦等六三か国の大使、武官等多数の要人の出席を予定してい
る他、協力団体等も招待しており、一般観客を含めると合計約五三、〇〇〇名の参
加が見込まれている(疎乙第13号証)。
ウ これらの者は、当日午前九時ころから午後零時ころまでの間(観閲式典午前一
〇時三〇分から午後零時、付帯行事午後零時から午後三時)に式典会場に出入りす
ることとなる。
また、同時間帯を含めた前後には観閲式に参列する自衛隊車両二九七両、自衛隊員
五、四二〇名が出入りする他、観客輸送としての大型バス廷べ約一七〇両を含め、
式典会場への連絡や管理業務のため自衛隊車両約五二〇両が数回にわたつて出入り
することとなる。そのうえ、一般観客車両約二、六〇〇両、警察車両約三〇〇両を
はじめ報道関係車両等相当数の車両が当日式典会場に出入りすることとなる。
ちなみに、昨年度(昭和五六年一一月一日)の入場人員等を見るに、会場への出入
り総人員(含む自衛隊員)は、五二、五四七名、車両総数三、六一七両となつてい
る(疎乙第13 14号証)。
自衛隊からの連絡によると、本年度も昨年と同程度の出入りを見込んでいるところ
である(疎乙第13号証)。
しかも、これらの参集者のうち徒歩で参集する観客のほとんどは、朝霞駅若しくは
和光市駅を利用していることから、おのずから本件集団行進の経路となつている
「朝霞駅前通り」、「和光市駅前通り」、「旧道」及び「国道」で競合することと
なる。また、自衛隊関係車両を含む式典会場に出入りする車両は、東京(大泉方
面)方面から参集する車両はともかくとして、その他の車両はすべて朝霞市内及び
和光市内のいずれかの道路を通行することとなるが、本件申請経路がいずれも式典
会場に通じる両市の主要道路であるところから、これらの車両も同経路の通行を余
儀なくされているところである。
しかも、本件申請経路の中で特に旧道及び国道は、式典会場出入口が県道東京朝霞
線に設置されているため車両での参集者はもちろんのこと、徒歩参集者も同所の通
行を余儀なくされているところから、例え本件集団行進と競合しなくても両道の混
雑は必至なものとなつている。
エ そのため、陸上自衛隊東部方面総監部幕僚長からも例年どおり、観客並びに付
近を通行する市民に対する安全を確保するため国道部分をはじめ、朝霞駅から式典
会場に通ずる主要道路及びその周辺道路について、特に午前七時から午後三時まで
の間、交通規制の善処方の要請を受けているところである(疎乙第15号証)。
あわせて自衛隊では、これまでの観閲式において式典参加者及び一般観客等に急病
者(貧血、その他の急病人)が出たことから、本年も式典会場に救急車九台を配置
し、応急輸送対策を講じることとしているところからもこれらの輸送経路につい
て、交通確保方を要請しているものでもある(疎乙第13号証)。
(二) 観閲式に反対する諸団体の動向
自衛隊観閲式に対して、従来過激派集団をはじめとする革新団体が、反自衛隊及び
式典反対の立場から朝霞市内を中心に集会デモを行つて来た(疎乙第16号証)。
本年の自衛隊観閲式に向けた各団体の集団行進は、申立人の申請にかかる「ニユー
ウエイヴ80」(以下正式名称「ニユーウエイヴ80運動」という。)が五〇〇人
規模の集団行進を計画している他
○ 「反戦・反核・三里塚全埼玉行動委員会」(中核派系、以下「中核派」とい
う。)が一五〇人規模
○ 「一〇・三一自衛隊中央観閲式粉砕実行委員会」(革労協「狭間派」、以下
「革労協狭間派」という。)が七〇人規模
○ 「戦争への道を許さないごまめの会」、「基地と闘う朝霞市民の会」、「練馬
戦争への道を許さない女達の会」(旧べ平連系、以下「ごまめの会」という。)が
五〇人規模
○ 「県労評」、「朝霞地区市民会議」、「社会党」、「共産党」、「護憲反安保
埼玉県民会議」「安保破棄埼玉県実行委員会」(社共系、以下「社共系」とい
う。)が三、〇〇〇人規模
○ 「自衛隊観閲式粉砕東京実行委員会」(革労協「反狭間派」以下「革労協反狭
間派」という。)が一二〇人規模の計六団体が三、八九〇人規模の集会及び集団行
進を計画している(疎乙第17号証)。
これらの集団行進は、それぞれ式典反対の立場から式典会場直近道路の行進を申請
してきているところである。
すなわち、朝霞駅北口広場を出発地としている本件申請団体を含めた「中核派
系」、「革労協狭間派」、「社共系」及び「革労協反狭間派」の計五団体三、八四
〇人は、いずれも「朝霞陸橋」から「朝霞駅南口通り」を経て「旧道」若しくは
「国道」に至り、いずれも「和光市駅前通り」を経由後、和光市駅で流れ解散する
ものとしているものであるが、これらの団体はいずれも午前八時から午後一時まで
の五時間の間に集会及び集団行進を計画し、その出発時間もほぼ同一時刻に出発す
ることが予想されているところから前記道路、特に集団行進の重複する道路につい
ては計り知れない混雑が生じることは明らかである。
また、これら朝霞駅北口広場を出発地としている集団行進の他に「ごまめの会」
が、新座市<地名略>地内の「栄会館」前を出発地として「東京朝霞線」を北上
し、「国道」を至て「市道一一九号線」から「朝霞駅前通り」に至り「朝霞駅北口
広場」までの逆コースで前記五団体とほぼ同一時間帯に計画しているところである
(疎乙第17号証)。
(三) 観閲式に賛成する諸団体の動向
自衛隊観閲式に対して、いわゆる右翼団体は一様に賛成又は激励の立場から強い関
心を示しており、過去の観閲式に際しても数団体が宣伝カー等を繰り出し、式典会
場周辺を中心に朝霞、和光市内の全域において活発に街頭活動を展開してきている
ところである(疎乙第16号証)。
本年も式典当日
○ 「光庸塾総本部」が車両二両、人員二〇人の車両パレード
○ 「日本青年社」が車両五両、人員五〇人の車両パレード
○ 「大日本愛国党」が車両五両、人員三〇人の車両パレード
○ 「大日本誠流社」が車両三両、人員一六人の車両パレード
○ 「日本青年雄志会」が車両一両、人員三〇人の徒歩行進
○ 「防共挺身隊」、「防共特機隊」、「大東亜義塾」、「防共青年隊」が車両九
両、人員七〇人の車両パレード
○ 「大日本新鋭青年党」が車両一両、人員二〇人の車両パレード
の計七団体車両二六両、人員二三六人(昨年九団体、車両四五両人員二九一人)の
集団行進の申請がなされているところである(疎乙第17号証)。
これらの右翼団体は、いずれも反共主義に徹している他、理論より行動を重んずる
極めてぐ犯性の強い団体であり、ちなみに最近の違法行為を抽出してみても
○ 日本青年社は
昭和五四年四月七日東京都知事選に際し、新宿駅東口で公務執行妨害で検挙
○ 大日本愛国党は
昭和五七年六月二八日から七月一日までの間長崎県島原市内で開催された「日教組
第五七回大会」に車両一三台、六九人を動員し、道交法違反で二人を検挙
○ 大日本誠流社は
昭和五五年七月一〇日ソ連大使館に侵入し、建造物侵入で一人を検挙
○ 日本青年雄志会は
昭和五七年六月一三日日共党員に対する暴行事件で三人を検挙
○ 防共挺身隊は
昭和五三年六月六日「日教組第五二回大会」に火炎ビンを投てきし、二名を検挙
○ 大日本新鋭青年党は
昭和五五年四月二七日日共川口市委員会事務所投石事件で五人を検挙
の事件を敢行してきているところである(疎乙第18号証)。
また、これらの右翼団体は過去の観閲式当日の集団行進途上においても、昭和五〇
年防共挺身隊が道路使用許可条件を無視し、左翼(反対)デモへ車両を突入せんと
した事案(疎乙第19号証)及び、昭和五六年大日本愛国党が左翼(反対)デモに
車両突入を図り、相手方の街官車に衝突させた事案(疎乙第20号証)に見られる
ように一方では観閲式に賛成、自衛隊に激励の立場をとるかたわら、もう一方では
観閲式反対集会デモに対しては実力で粉砕を企図している団体である。
従つて、過去の自衛隊観閲式警備では賛成及び反対の立場から申請されてくる集団
行進に対しては、両者の衝突を避けながらいかにして憲法の保障する「表現の自
由」を効果的かつ最大限に行使させていくかが問題の焦点になつてきたところであ
る。
本年も決して例外となるものではなく、必要な警備措置(右翼車両の規制措置等)
を施こさなければ随所で左翼(反対)デモと衝突し、重大な結果を招くことは想像
に及ばないところである。
二 交通上の問題点
申立人の申請によれば、本件集団行進は当日午前九時ころ朝霞駅北口広場に集結
し、集会後おおむね午前九時三〇分ころ同広場を出発し、疎乙第1号証の経路によ
り旧道、国道を経由して和光駅に至り、同駅前広場で解散するというものである。
してみると
(一) 自衛隊観閲式観客と競合する
前述のとおり、申立人申請にかかる集団行進が午前九時三〇分ころ出発したとすれ
ば、式典に参加する観客と競合することが明白である。なぜならば、列車利用で式
典会場に赴く観客は朝霞駅をおおむね午前九時四五分ころから午前一〇時ころ下車
し、同駅南口から朝霞駅南口通りを経て市道九七〇号線から旧道、国道を横断し、
式典会場に赴くこととなる。
また、マイカー使用の観客についても、駐車場所が式典会場内に設けられていると
ころから、おおむね午前一〇時ころから午前一〇時一五分ころにかけて式典会場周
辺道路を通過することが予想されている。特に県中央部(浦和・大宮・上尾等)か
ら車両でもつて式典会場入りする観客は、本件申請経路である、朝霞駅前通り、旧
道及び国道等の通行を余儀なくされているところでもある。
してみると、本件集団行進は式典会場に向う観客と時間的に競合することが明らか
であり、このため毎年本件集団行進の申請経路及びその周辺道路は著しい交通の混
雑が生じているところである(疎乙第14号証)。
(二) 観閲式主催者側の車両等と競合する
本件集団行進は、前記観閲式観客と競合するばかりでなく、その出発時間(前述の
とおり)から考察して自衛隊観閲式に参加する政府要人及び国内外の高官(ほとん
どが東京方面から会場入りする)の車両をはじめ、自衛隊の関係車両、報道関係車
両等と競合することが時間的に明白である。
特に、朝霞駅前通り、その他の道路はともかくとして国道部分については通行を余
儀なくされているところから、本件申立人の集団行進が前記のごとく午前九時三〇
分ころ出発したとすれば、おおむね午前一〇時三〇分ころから午前一〇時三五分こ
ろにかけて国道部分に入ることとなり、これら主催者側車両と競合することも明ら
かである。
なぜならば、申立人申請にかかる過去の集団行進の速度は、時速約二、三キロメー
トルであり、そして朝霞駅北口から税務大学校前交差点まで二、四七三メートルで
あるところから、例年の速度で進行したとすれば午前一〇時三五分ころ国道部分に
さしかかることとなる(疎乙第21号証)。
(三) 他の集団行進と競合する
また、前述のごとく観閲式当日は、「観閲式反対」の立場から六団体の集団行進が
計画されているが、このうち五団体はほぼ同一経路、すなわち朝霞駅北口広場を出
発地として朝霞駅南口通りを経て旧道に至り、和光市駅までの経路で申請がなされ
ている他、その実施時間帯も午前八時から午後一時までの間で多少の前後はあつて
もほぼ同一時間帯に集団行進を計画しているところである(疎乙第17号証)。
また、観閲式賛成の立場から、右翼団体七団体、車両二六両、人員二三六人が車両
パレード等を計画しているが、これら右翼団体も式典会場直近道路を式典開始直前
に行進することを標準としているところである。
従つて、前記申立人申請にかかる集団行進をはじめ、その他「反対の立場」から計
画されている集団行進及び賛成の立場から計画されている集団行進と競合すること
も十分に予想されるところである(疎乙第17号証)。
また、当日は前記(一)、(二)及び(三)の特異事情がある他、通常の日曜日に
おける一般交通量をみた場合、ちようど本件集団行進の経路となつている「朝霞駅
前通り」の午前八時から午後一時までの間交通量は車両二、一六七両、自転車五九
四台、歩行者三七三人であり、これらの車両等と本件集団行進が競合することもま
た明らかである(疎乙第5号証)。
このように観閲式当日は、本件申立人申請にかかる集団行進の他、式典反対の立場
から六団体三、八九〇名規模の集団行進が計画されている。また、式典賛成の立場
からも七団体、車両二六両、二三六人の集団行進若しくは車両パレードが予定され
ており、これら賛否両者の集団行進等とあいまつて自衛隊観閲式典への参加車両を
はじめ、観閲式観客の歩行者、車両、加えて一般交通車両等が通行することとな
る。
まして、本件申請経路は国道部分を除き全て片側一車線の道路で、その幅員も一三
メートルから五・八メートルという狭い道路であることから計り知れない混雑を生
じ、他の一般交通に与える影響はまさに想像を絶するものがあると言つても決して
過言ではない。
被申立人としては、自衛隊観閲式典から派生的に生ずるこのような交通上の混雑と
危険を除去、若しくは解消するためあらゆる交通関係者すなわち自衛隊観閲式の主
催者側に対しての通行方法、指導及び集団行進参加者に対しての行政指導並びに当
日の一般車両のう回措置等を講じてきているところであるが、年々増加する交通量
に対応しかねない状況に置かれているところである(疎乙第22号証)。
第四 申請団体及び共闘が予想される団体の実態
一 申請団体である「ニユーウエイヴ80運動」の実態
本件申請団体の名称は「ニユーウエイヴ80運動」(代表D)であるが、この「ニ
ユーウエイヴ80運動」は、昭和五五年七月埼玉県反戦青年委員会(主体と変革
派、以下「県反戦」という。)、ウラワロツクンロールセンター(現称「風船爆
弾」=昭和五七年八月ころ改称)及び申立人が代表する浦和市民連合(旧べ平連)
の三団体が中心となつて、韓国の光州暴動に呼応して「韓国民衆の闘いを支持し、
これに連帯し『反徴兵・反安保』の新しい大衆闘争の波を作り、闘争を盛り上げ
る」ことを企画して組織した団体である(疎乙第23号証)。
昭和五四年までの七回にわたる「自衛隊観閲式反対闘争」には、極左暴力集団の一
派である革命的労働者協会(以下「革労協」という。)、第四インターナシヨナル
日本支部日本革命的共産主義者同盟(以下「第四インター」という。)、共産主義
者同盟蜂起派(以下「共産同蜂起派」という。)、日本労働者階級解放闘争同盟
(以下「人民の力派」という。)等のぐ犯性の強い団体と共闘を組み「実行委員
会」形式で取り組んできたが、一昨年(昭和五五年)から「ニユーウエイヴ80運
動」と銘打つて市民集団を標榜し、ロツクバンドを参加させるなど、表面的には極
左グループとは別組織であるかのごとき建前をみせてきている。
しかし、申立人申請にかかる集団行進には、依然として極左暴力集団の第四インタ
ーが参加し申立人指揮のもとに同一行動を取つている他、その闘争目的とするとこ
ろが「反徴兵・反軍・反安保」であり、極めて高度な政治的性格をおびているとこ
ろからみても市民生活、つまり市民の意としたところとはあまりにもかけ離れてい
るところである。
また「ニユーウエイヴ80運動」を構成している前記三団体の実態及び性格をみて
も後述のとおり、極めて極左暴力集団と親密かつ不可分な間柄にあるところから、
どのように考えても市民団体とは言い難い団体である。
(一) 浦和市民連合
浦和市民連合(代表申立人)は、申立人が中心となつて結成した「埼玉べ平連」の
改称後の名称であつて、昭和五〇年一〇月ころベトナム終戦を機に「浦和市民連
合」と改称しただけであつて、その構成員も同一であり、かつ改称後も「反軍・反
基地・反安保」を前面にかかげ、いわゆる反戦闘争を中心に活動を展開してきてい
る団体である。同団体は、改称前の「埼玉べ平連」以来極左暴力集団である第四イ
ンター等と親密な間柄であり、過去数回となく共闘を組むなど、その性格は極めて
極左暴力集団に近い団体である。
また「ニユーウエイヴ80運動」の中では、構成団体の中核となり主導している団
体である(疎乙第24 25号証)。
(三) 県反戦
県反戦は、昭和四〇年六月ころ「ベトナム侵略反対」、「日韓条約批准阻止」の闘
争目標を掲げ、総評主導のもとに全国反戦が結成されたが、これに呼応して県労評
主導のもとに県内の全逓埼玉地区青年部が中心となつて組織した団体である。その
後昭和四二年五月ころ「反安保県民会議」の結成に際し、前記県反戦の加入をめぐ
つて紛糾し、このころから県労評の指導に反発するようになり、あえて「主体と変
革派」を前面に打ち出すようになつた。
その後は県労評の主導には全く従わず独自の闘争方針を打ち出してきている団体で
ある。
現在では「成田闘争」、「狭山闘争」、「反戦反安保闘争」を闘争課題として唱
え、また自衛隊観閲式が前記式典会場において開催されるようになつた昭和四八年
から申立人申請にかかる集団行進に参画し、反対運動の主導的役割をなしてきてい
るところである。
また県反戦は「ニユーウエイヴ8〇運動」の中にあつて、最も動員力を有する組織
であり、かつ「ニユーウエイヴ80運動」の代表として県反戦の元議長であるD
(三九歳)が就任しているところからみても、県反戦は「ニユーウエイヴ8〇運
動」の母体であり、文字通り中核的存在になつているところである(疎乙第26号
証)。
ちなみに、観閲式反対闘争当日の参加人員をみるに一昨年(昭和五五年)は三七
名、昨年(昭和五六年)は三五名を動員し行進に移つてからは、道路いつぱいに広
がつてのフランスデモ及び蛇行進、停滞、座り込みなどを繰り返し、警察部隊の規
制を受けるなどをし終始違法デモの主体的役割を演じてきているところである(疎
乙第27号証)。
(三) 風船爆弾
風船爆弾(代表E二三歳)は、昭和四五年ころ結成されたウラワロツクンロールセ
ンターを昭和五七年八月ころ改称し風船爆弾としたものである(疎乙第28号
証)。
ウラワロツクンロールセンターの名で結成された昭和四五年当初は政治色は認めら
れなかつたが、昭和五四年に実施された申立人の市議会議員選挙の応援を機とし
て、浦和市民連合と親密になり、その後昭和五五年七月「ニユーウエイヴ8〇運
動」の結成に参画し、昭和五五年の自衛隊観閲式反対闘争に初めて参加するなど
し、除々に政治的主張や色彩を前面に打ち出すに至つた(疎乙第28号証)。
特に昨年及び一昨年は、申立人申請にかかる集団行進に参加し、普通貨物自動車
(ロングボデイー)の荷台に乗車してロツク演奏を試み、昨年は警察部隊の規制を
受け、これをなしとげなかつたが、一昨年はこれを容認したところ行進途上規制に
入つた警察部隊に同車を衝突せしめ、道交法違反で同車の運転手が現行犯逮捕され
ている団体でもある(疎乙第29号証)。
風船爆弾の名称のみから判断すると、本年始めて参加する団体のように思われる
が、実態及び構成員とも前記ウラワロツクンロールセンターと同一であり、しか
も、一昨年来から「反軍・反安保・反戦・反核」など反戦闘争を前面に打ち出す
等、今では極めて政治的色彩の強い団体である(疎乙第28号証)。
また前述のごとく、一昨年(昭和五五年)普通貨物車の運転手を逮捕したことを昨
年(昭和五六年)の観閲式反対闘争の呼びかけビラの中に
「昨年(昭和五五年のこと)は弾圧ありがとう、本年(昭和五六年のこと)はお礼
タツプリ・・・・・・」と記載して参加呼びかけしたところからみても、逮捕=弾
圧と受けとめ、反権力闘争にも力を注いできているところである(疎乙第30号
証)。
二 参加団体の実態
本件申立人申請にかかる集団行進は、昭和五七年一〇月一六日配付したビラ(疎乙
第31号証添付)によると「ニユーウエイヴ8〇運動」の構成団体である前記三団
体の他に「戦争への道を許さない女たちの埼玉集会」、「三里塚を闘う埼玉青年共
闘」、「四・二七叛軍兵士裁判事務局」、「労働者調整委員会」、「福生市民連
合」及び「叛軍学生委員会」の九団体の参加がうかがえるところである。
これらの団体の一部は、その実態・性格とも不明確なものもあるが、他はいずれも
極めてぐ犯性の強い極左暴力集団等が主導し組織している団体であつて、過去の自
衛隊観閲式反対闘争では、いずれも申立人申請にかかる集団行進に参加し、申立人
の指揮のもとに違法行為を繰り返してきている団体である。
これら参加団体の性格とその実態について詳述すると次のとおりである。
(一) 戦争への道を許さない女たちの埼玉集会
戦争への道を許さない女たちの埼玉集会(代表F)は、昭和五五年一二月、大東亜
戦争宣戦布告の日(布告から四〇周年目)にちなんで東京都渋谷区において、いわ
ゆる進歩的文化人らが中心となつて戦争への道を許さない女たちの集会(約一、〇
〇〇人参加)を開催したことに呼応し、申立人らが中心となつて組織した団体とう
かがえるところである。
県内での主な活動は
○ 昭和五六年四月二九日 浦和市内での集会・デモ
○ 昭和五六年一一月二九日 浦和市内での映画と講演会
○ 昭和五七年五月三〇日 浦和市内での集会・デモ
○ 昭和五七年八月八日 浦和市内での集会
であるが、これらの集会・デモの呼びかけビラ及び会場借り上げ者等を調査するに
間合せ先及び事務局がいずれも申立人の住所・電話番号が記入されている他、過去
二回(昭和五六年四月二九日、昭和五七年五月三〇日)実施した集団行進の届出に
はいずれも主催者として申立人がなつているところから考察して、同人が中心とな
つて組織している団体であることがうかがえる。
過去の集会・デモの実施状況から、参加人員はその名称のごとく、婦人を中心に約
一五〇名であると思料される(疎乙第32号証)。
(二) 三里塚を闘う埼玉青年共闘
三里塚を闘う埼玉青年共闘(略称「埼玉青年共闘」代表G)は、極左暴力集団であ
る第四インターの学生青年統一組織である日本共産青年同盟(略称「共青同」)の
活動家で組織されていた埼玉労働運動研究会(略称「埼玉労研」)の活動家が中心
となつて、昭和五二年四月三里塚闘争に向けた「鉄塔決戦勝利埼玉青年決起集会」
と称する集会を開催したが、同集会において
「埼玉の地から戦闘的青年の統一戦線を構築し『四・一七集会』への全国からの結
集に合流する全ての職場・地域から総決起し、四・一七決戦=鉄塔決戦を闘う実力
闘争部隊=青年共闘を『三里塚現地』に登場させる。」
として三里塚を闘う埼玉青年共闘を結成したものである。
同団体は
○ 共青同埼玉県委員会の事務所と電話番号が同一であること
○ 代表者であるGは、共青同埼玉県委員会専従の活動家であること
等からして、極左暴力集団の第四インターの学生・青年組織である共青同の傘下組
織と認められるところである(疎乙第33号証)。
第四インターは、革共同の流れをくみ、合体分裂を繰り返した後、昭和四〇年二
月、トロツキスト理論を純粋に受け継ぐ第四インターナシヨナルの日本支部として
結成(再建)され、現在に至つている極左暴力集団の一派であることは前述のとお
りである。
現在では、機関紙・誌として「世界革命」、「第四インターナシヨナル」、「青年
戦線」等を発行し、「成田闘争」、「日韓連帯」等を主要闘争課題として取組んで
いる団体である。
特に最近では、成田現地に構成員を常駐させ空港粉砕を企図している他、昭和五三
年度には、現地空港反対同盟が主催した集会デモに参加しデモ行進中、火炎車で空
港内に乱入する等し、一六三人にものぼる大量逮捕者を出しているところである
(疎乙第34号証)。
同団体と「ニユーウエイヴ8〇運動」の関連性を見た場合、昭和五五年七月の「ニ
ユーウエイヴ8〇運動」結成時の賛同、呼びかけ人に第四インター構成員である
芝浦工業大学学生自治会執行委員長

三里塚闘争を闘う埼玉青年共闘代表

三里塚三・二六第九ゲート事件被告人

埼玉労働問題研究会代表
Jこと

らが名前を連らねているところから見ても、第四インターと本件申請団体とは密接
不可分の関係にあることがうかがえる(疎乙第23号証)。
また、第四インターの観閲式反対闘争の取組状況を見ても、過去九回行われた観閲
式に対し、申立人申請にかかる集団行進に、同団体の象徴となつている赤ヘルメツ
トをかぶつて参加し、行進途上激しい蛇行進、フランスデモをし、
警察部隊に突き当たる等の違法行為を繰り返している団体である(疎乙第27 3
5号証)。
(三) 四・二七叛軍兵士裁判事務局
昭和四七年四月当時、現職自衛官であつた与那嶺均ら六人が“沖縄派兵阻止”を主
張したため、自衛隊法違反として懲戒免職処分されたがこれを不服として、同人ら
が処分撤回を求めて提訴したのを機として組織した団体であつて、極左暴力集団で
ある第四インター及び沖縄自決連帯委員会準備会(略称「沖自連」)などが中心と
なつて支援している団体である。
現在までに把握した事実によると、昭和四八年一二月に結成され、その勢力(動員
力)は約二〇人とのことであり、その活動は単に前記裁判闘争のみでなく、本件申
請団体や後述の福生市民連合等と共闘し反軍・反基地闘争を展開している団体であ
る(疎乙第36号証)。
(四) 労働者調整委員会
労働者調整委員会は、昭和五三年三月ころ、極左暴力集団である
○ 第四インター
○ プロレタリア青年同盟全国協議会(略称「プロ青同」)
○ 共産主義者党(前衛派)
及び
○ 全国一般東京地本南部支部
○ 神奈川県労評
○ 主体と変革全国委員会
などが中心となり、成田空港の開港をゲリラ戦術によつて阻止することを目的に結
成した組織である。
結成当初の勢力は、約一、〇〇〇名位であつたが、現勢力は必ずしも明確ではな
い。しかし、昨年の成田現地闘争に際し四〇〇人の参加届出をなしているところか
らみても、相当の勢力(動員力)を有する団体である。
また、過去の活動状況をみても、「成田現地闘争」には必ず参加し、特に昭和五三
年七月には五〇人の行動隊を編成し空港突入を図つた他、自衛隊観閲式反対闘争で
は昭和五四年に二四人を動員し、本件申立人申請にかかる集団行進に参加してきて
いるところである(疎乙第37号証)。
(五) 福生市民連合
福生市民連合は、昭和五五年九月ころ、東京都福生市議Lが中心となつて組織した
約五〇人の勢力(動員力)を有する旧べ平連系の団体である。活動の中心は「反
戦・反軍・反基地」闘争であり、過去の自衛隊観閲式反対闘争にも、申立人の申請
にかかる集団行進に必ず参加している団体である(疎乙第36号証)。
(六) 叛軍学生委員会
叛軍学生委員会については、その実態及び存在についてすら不明確な団体である。
団体名が叛軍学生委となつているところからみて、一応は叛軍を目的とした学生の
組織であることがうかがえる。もちろん申立人申請にかかる集団行進に過去参加し
た事実もない。いずれにしても、前記他の参加団体が極左暴力集団若しくは極左暴
力集団と親密な間柄にある団体であるところから、同委員会についても極左暴力集
団の構成員等で組織している団体であると思料されるところである。
(七) 日本はこれでいいのか市民連合
みだしの団体が、申立人申請にかかる集団行進の参加団体として判明したのは、申
請団体らが一〇月二四日浦和駅頭で実施した「戦争への道を許さないマラソン演説
会」と題する演説会場で配布したビラにより判明したものである。同ビラは前述の
一〇月一六日配布したビラと同一であるが、参加団体の中に「日本はこれでいいの
か市民連合」が追加されていたものである。
「日本はこれでいいのか市民連合」(略称「日市連」)は、昭和五五年一二月、旧
べ平の代表世話人であつたM・Nらが中心となつて組織した団体であつて、既成の
思想や組織にあきたらない者達で構成し、現在ではその動員勢力等から推測して約
四五〇人の勢力を有する団体である。
日市連が掲げている当面の中心課題は
安保体制の廃棄
憲法の実質化=憲法改悪阻止
であり、最近では極左暴力集団と結合を深める一方、集団行進においてフランスデ
モ等の違法行為を繰り返したり、また規制中の警察官に暴行を加えたりしている団
体でもある(疎乙第38号証)。
三 その他共闘が予想される団体の実態
(一) 東京叛軍行動委員会
東京叛軍行動委員会は、共産同蜂起派で組織し活発な活動を展開している青年組織
である。
共産同蜂起派は、共産同系の流れをくむ極左暴力集団の一派で、昭和四六年六月に
元共産同議長Oを最高指導者として発足した組織で、別名「さらぎ派」とも呼ばれ
ている団体である。
同派は政府・自衛隊に対する「連続的攻撃」を基本路線としているところから毎年
「東京叛軍行動委員会」の組織名称で観閲式反対闘争に参加している団体である。
同派の違法行為を抽出すると数限りないが、例えば反軍行動の一環としての違法行
為をみると、昭和四七年五月熊本市所在自衛隊西部方面総監部の塀外に時限式鉄パ
イプ爆弾を仕掛け爆発させ(四名逮捕)た他、昭和五〇年七月には、自衛隊市ケ谷
駐屯地で、立哨警戒中の自衛隊員に火炎ビンを投てきし、同隊員に一か月の治療を
要する火傷を負わせ(一名逮捕)るなどの事件を敢行している団体である(疎乙第
39号証)。
同委員会も、昭和五四年までは申立人申請にかかわる集団行進に参加し、申立人の
指揮のもとで行動を同じくしてきた団体であるが、一昨年(昭和五五年)から後述
の革労協、人民の力派等と「実行委員会」形式により別に集団行進の申請をなし、
反対闘争を展開してきているところである(疎乙第16号証)。
(二) 東京北部労働者実行委員会
東京北部労働者実行委員会(以下「東京実行委」という。)は、昭和五二年一〇月
自衛隊観閲式を粉砕する目的で結成された実行委で、構成員は東水労北二支部青年
婦人部等数団体で組織されている。この東京実行委の中核的構成団体は、過去の自
衛隊観閲式反対闘争から見て右青年婦人部と武蔵大学を拠点としている「レーニン
主義学生同盟」であるとみられる。
なお、前記東京実行委は、申立人申請にかかる集団行進に過去六回(昭和四九年か
ら昭和五四年まで)共闘参加し、同一行動をとつてきた団体である。しかし一昨年
(昭和五五年)からは、「実行委員会」形式で別個に集会デモを実施してきたとこ
ろである。
この東京実行委は、過去の集会デモで明確になつたように、一部の団体を除いて極
左暴力集団である革労協の象徴となつている青ヘルメツトを公然とかぶり、観閲式
反対集会デモに参加していることから、革労協に所属すると認められる団体である
(疎乙第4〇号証)。
この革労協は、社会党が昭和三五年一〇月党青年部を中心に結成した日本社会主義
青年同盟(以下「社青同」という。)に加入したトロツキスト系の一部活動家が社
青同の方針に飽き足らず、昭和四九年九月に結成した団体であつて、今では極左暴
力集団の中でも中核派、革マル派につぐ大組織であると同時にセクト性を強く主張
するところから、「内ゲバ三派」と呼ばれている団体でもある。この革労協の敢行
した過去の違法行為は数えればきりがないが、昭和五〇年九月以降のゲリラ事件だ
けを抽出してみても五一件に及ぶものである(疎乙第41号証)。
ちなみに最近の主たる事件のみ抽出しても
○ 昭和五五年五月一六日運輸省横車両炎上事件
○ 昭和五六年五月一一日国鉄鹿島線第二宮中架道橋切断事件
○ 昭和五六年五月二〇日千鳥ケ渕付近車両炎上事件
○ 昭和五七年三月一六日土屋石油ターミナル火炎車事件
等の極めて悪質な「ゲリラ」事件を敢行し、また、本県内においても
○ 昭和五四年五月一九日狭山警察署に対する時限式可燃物による放火事件
を敢行してきているところである(疎乙第41 42号証)。
その他、革労協では特に革マル派との党派闘争を展開する一方、内部でもその活動
の意見対立からいわゆる内々ゲバ闘争を展開していることから、組織は事実上二分
され、昨年(昭和五六年)の観閲式反対闘争でもみられたようにいわゆる「狭間
派」と「反狭間派」に分かれて集会デモを実施しているところである(疎乙第16
 43号証)。
また、東京実行委の構成団体である前記「レーニン主義学生同盟」は、人民の力派
に属する団体であり、過去観閲式反対闘争においても違法行為を繰り返してきた団
体である。
この人民の力派は、昭和四六年一月、社会主義協会の路線に飽き足らないとして新
たに神奈川県支部を中心に結成された団体である(疎乙第44号証)。
(三) 戦旗・共産主義者同盟
戦旗・共産主義者同盟(以下「戦旗荒派」という。)は、昭和四五年三月結成され
た極左暴力集団の一派であり、自ら共産主義青年同盟の“正統”と主張し、その革
命論としては、その国状つまり帝国主義国家では武装蜂起、後進国では内乱、労働
者国家ではプロレタリアート独裁による政権奪取を企図した「第三ブロツク同時革
命論」を基本路線としている団体である。
また最近では、安保・日韓体制打倒・三里塚開港阻止及び狭山闘争の永続的発展を
強調し、特に三里塚闘争では昭和五三年に他の極左集団とともに、車両火炎ビンを
使用して空港内に突入を図つた他、管制塔に侵入して機器類等を破壊する悪質事犯
を敢行し、大量の検挙者を出した。
この中には本県居住の活動家(P)らも含まれているところである(疎乙第45号
証)。
さらに本年に入つてからも、九月七日文部省、自民党本部などに火炎ビンを投てき
するゲリラ事件を敢行するなど、過激な活動を行つている(疎乙第46号証)。
同派は観閲式闘争に昭和五三年(第六回目)から参画するようになり、
同派が参加した昭和五三年には二一人参加し、その後昨年(昭和五六年)まで連続
参加しているところである。
同派も前記ア・イの団体と同様、昭和五四年までは本件Q申請にかかる集団行進に
参加してきたところであるが、一昨年からは前記「東京実行委」に入り、集会デモ
を実施してきているところである(疎乙第16、45号証)。
(四) 共産主義者同盟戦旗派
共産主義者同盟戦旗派(以下「戦旗両川派」という。)は、昭和四八年六月に共産
主義者同盟戦旗派(指導者 R)から分裂し、結成された極左暴力集団の一派であ
る。
直接の分裂原因は、昭和四七年五月、二〇〇名にのぼる大量検挙者を出したことに
よる指導部への不信と指導者(R)の独裁的な組織運営への批判によるものであ
り、基本的性格は前記(三)に記述した戦旗荒派と何んら変わるものではなく、
「第三ブロツク同時革命論」を基本路線とし、世界共産主義革命をめざしている団
体である。
過去の活動状況は、「成田闘争」、「狭山闘争」に常時一〇〇人前後を参加させ、
違法行為を繰り返している他、特に昭和五〇年には皇太子、同妃両殿下の沖縄行啓
に際し、火炎ビンを投てきする事件を敢行して二名の逮捕者を出しているところで
ある。
観閲式反対闘争では、昨年(昭和五六年)初めて約三〇人を動員し、前記東京実行
委主催の集会に参加した団体である(疎乙第47号証)。
前記(一)~(四)までの団体は、一昨年(昭和五五年)以来「実行委」形式で、
申立人申請にかかる集団行進とは別個に集会デモを計画し実施しているところであ
る。
しかし、前述の共産同戦旗派・革労協及び人民の力派は昭和四八年の第一回目から
昭和五四年の第七回目までは、申立人申請にかかる集団行進に参加した他、共産同
荒派にあつても昭和五三年、五四年と申立人申請にかかる集団行進に参加している
ところである。
また、本年は特に申立人らは後述のとおりこれらの団体に共闘を要請しているとこ
ろからみても、申立人申請にかかる集会デモに参加が予想されるところである。
第五 申請団体の過去の反対闘争の概要と本年の取組状況
一 過去の反対闘争の概要
(一) 集団行進の概括的状況
過去朝霞訓練場で開催された自衛隊観閲式は、昭和四八年以来九回(第一回目昭和
四八年一〇月二八日、第二回目昭和四九年一〇月二七日、第三回目昭和五〇年一一
月二日、第四回目昭和五一年一〇月三一日、第五回目昭和五二年一〇月三〇日、第
六回目昭和五三年一〇月二九日、第七回目昭和五四年一〇月二八日、第八回目昭和
五五年一〇月二六日、第九回目昭和五六年一一月一日)にわたるが、そのつど申立
人は主催名称、主催団体名こそ違うが、今回とほぼ同一時間・経路で集会デモを計
画してきたものであるが、ひと言で言つて過去一度も警察部隊の規制を受けずに集
団行進を終了させた事実はない。つまり毎回被申立人が、交通の安全と円滑を確保
するために付した道路使用許可条件を遵守したためしがないばかりでなく、経路各
所において座り込み、ジグザグ行進若しくはフランスデモを繰り返した他、特に、
式典会場直近の税務大学前交差点や、自衛隊正門前交差点では毎年旗竿を横に構え
て、自ら交通を遮断するなどの行為を繰り返してきているところである(疎乙第2
7号証)。
このため、被申立人としては交通の安全と円滑を確保し、これらの違法行為を制止
させるべく、やむを得ざる措置として部隊をもつて警告・制止しているところであ
る。また、本件申立人申請にかかる集団行進の参加者らは、この警察部隊の警告・
制止を排除するため特に昭和四九年には集団で規制中の警察部隊に竹竿等で襲いか
かり、一六名が公務執行妨害で検挙されている(疎乙第5〇号証)。さらに昭和五
三年には、同じく規制に入つている警察部隊に対して大小の石を投てきし、さらに
警察部隊に突き当たる等の行為を繰り返した他、道路端のブロツク塀に警察部隊員
を押し付け、ブロツク塀もろとも約二メートル下方に突き落とす等の行為を敢行し
ているものである(疎乙第4〇号証)。さらに一昨年、つまり昭和五五年には後記
詳述のようにデモ隊列に付随した普通貨物自動車(ロングボデイー)をして警察部
隊の規制活動を排除、若しくは妨害すべく蛇行運転・急発進・急後退を繰り返し、
警察部隊に同車を衝突させ、警察官三名に傷害を負わせたため同貨物自動車の運動
手が検挙されているものである(疎乙第29号証)。
申立人は、過去申立人申請にかかる自衛隊観閲式反対の集団行進に宣伝カー以外の
車両を付随したが、そのことによつて過去一〇年間、何らの「危険」も「交通の安
全と円滑を妨害する事実も発生しなかつた」旨主張する。
なるほど、申立人の主張のごとく一部の例(昭和五五年度)を除いては、申立人か
らみれば交通上の安全と円滑がそこなわれたとは思えないであろう。しかし、特に
申立人が現認できないデモ行進の後方は警察の交通整理或いは必死の努力にもかか
わらず何百メートルにもわたる交通渋滞が生じているところである(疎乙第48号
証)。
被申立人としては、これらの交通渋滞を緩和させるべく、交通整理要員約三五〇名
を従事させて、これら交通渋滞の解消に努めてきたところである。このような交通
整理専門の警察官を配置しても、なおかつデモ行進経路及びその周辺道路では前述
のごとく、交通渋滞が生じているところである。しかも、申立人申請にかかる過去
の集団行進は、所轄警察署長が交通の安全と円滑を図るために付した道路使用許可
条件を遵守したことがないことは疎明によつて明らかである(疎乙第27号証)。
しかも、一昨年(昭和五五年)は申立人申請にかかる集団行進に貨物自動車の付随
を容認したところ、前記第五の一の一の(二)に記述したとおり付近周辺の交通を
完全に麻痺させた他、負傷事案まで発生させるに至るまでエスカレートさせ、さら
に昨年も同様貨物自動車を行進に参加させようと企図したところである。
被申立人は、一昨年の状況からこの貨物自動車を規制し、交通の安全を確保したも
のである(疎乙第35 48号証)。
してみると、申立人の「過去一〇年間何らの危険も、交通上の安全と円滑を妨害す
る事実も発生していない」との主張は全くの歪曲であり、申立人の集団行進によつ
て交通の危険を惹起したことはもとより、円滑をも著しく阻害していることは明ら
かである。
(二) 当該車両を付随した集団行進の状況
申立人は、昭和五五年すなわち第八回目の自衛隊観閲式反対の集団行進から同集団
行進にロツクバンド演奏と称して、普通貨物自動車(ロングボデイー、車幅二・一
八メートル、高さ二・三五メートル、全長八メートルのキヤブオーバー以下「当該
車両」という。)を付随することを計画してきたものであるが、特に一昨年(昭和
五五年度)はこの付随行進を容認したところ、執拗な警察部隊の警告を無視し、随
所において停滞、ジグザグ運転を繰り返したため一般交通に多大の障害を生ぜしめ
た他、違法行為の警告・制止に入つた警察部隊に衝突させ、負傷事案まで生ぜしめ
ているものである。すなわち、一昨年当該車両を申立人にかかる集団行進に付随を
容認したところ、
次のごとき違法行為を敢行した
ア デモ隊員及び規制中の警察官に対して負傷事案まで発生させるという危険を惹
起している。
デモ隊員は、集団行進出発時から道路いつぱいの蛇行進・フランスデモ及び随所に
おいて停滞等を繰り返したため、警察部隊は執拗な警告を数回となく繰り返した
が、一向にこの警告に従うことなく道路使用許可条件を無視した違法行為を繰り返
した(疎乙第49号証)。
このため、被申立人はやむなく道路における安全と円滑を確保するため部隊をもつ
て規制に入つたところ、その際、同集団行進の先頭部に位置していた当該車両は規
制に入つた警察部隊を排除・妨害すべく急後退、そして急発進を繰り返した(疎乙
第49号証)。
また、当該車両を警察部隊と併進走行させていわゆる幅寄せ運転を行い、当該車両
の側面を警察部隊に衝突させる等の運転を繰り返した他、後方の安全も確認せずに
急後退・急発進したため車両側近に位置していた警察部隊及びデモ隊員にも当該車
両を衝突せしめ、警察官三名に全治一週間から三日間にわたる傷害を負わせた。
このため、当該運転手を現行犯逮捕しているところである(疎乙第29号証)。
イ 荷台乗車者に転落の危険性を惹起している
前記当該車両の荷台には、ロツクバンド演奏と称して五、六人を常時乗車(以下
「荷台乗車者」という。)させて走行したものであるが、その速度は集団行進と同
一であり、低速度であるところから一見安全そうに認識されるが、長時間にわたつ
て低走行させることは不可能に近く、随所で急加速、急停止運転がみられ、そのつ
ど荷台乗車者は転落を防止するため、サイドアキリ等の固定物を途端に把持する状
況がみられた(疎乙第49号証)。
しかも、荷台乗車者は設備外許可処分に付した条件を遵守せず、荷台に立ち上がり
ロツクバンド等を演奏していたため、転落の危険性は極めて高いものがあつた(疎
乙第49号証)。
まして当該車両の運転手は、警察部隊がデモ隊列の規制に入るや、同警察部隊の規
制活動を妨害・排除するため、当該車両を急発進・急後退及び急停止を繰り返した
ため、荷台乗車者は演奏を中止し手すり等固定物を把持し転落を防いでいたもので
あり、仮に荷台乗車者の中に幼児・子供等の腕力弱体者が乗車していたとしたらそ
の急発進等の状態から推察して必ず振り落され、転落し重大な結果を招いたことは
間違いないところである(疎乙第48号証)。
ウ 一般通行車(者)に対して交通上の危険を惹起している
集団行進に付随して走行した当該車両は、警察部隊が規制活動に入る以前、デモ先
頭部を走行していたものであるが、その際、デモ隊列のジグザグ蛇行進にあわせ、
道路いつぱいのジグザグ運転を繰り返してきたものである(疎乙第48号証)。
このため、特に道路幅員の狭い朝霞駅前通り等では、一般通行車両は道路端に一時
停止したり、若しくは出発を見合わせたりし、当該車両の通過をまつて走行してい
る状況であつた。
また、歩行者にあつても歩行中止を余儀なくされ、電柱等の遮へい物に身をゆだね
る等している状況であつた(疎乙第49号証)。
これらは、当該車両が低速度の中で実施したため、幸いに惨事を招くことはなかつ
たが、高速度若しくは思わぬアクセルの踏み込み等から急加速になつたとしたら重
大な結果を招いたことが明らかであつた。このように申立人は、前記ア・イ・ウ記
載の具体的危険を惹起させたものである。
さらに、申立人は当該車両を前記記載の経路に従つて走行させたものであるが、特
に朝霞駅北口広場から同駅南口及び同南口から永峰フトン店前交差点までの朝霞駅
南口通りは道路幅員が極めて狭いため、当該車両が通過する際、一般歩行者は通行
停止を余儀なくされ、路地又は道路端に身を寄せざるを得なくなつた他、反対方面
から進行してくるいわゆる乗用車型の車両でも道路左端に停止し、通過をまつて再
走行させる状況であつた(疎乙第49号証)。
さらに、朝霞駅南口を終始発としている定期バスとのすれ違い時には、まさに道路
いつぱいを使用し道路左右側端とも余地がなく、歩行者とて通行不可能の状態とな
つた(疎乙第49号証)。
このように、同経路を通行する一般車両、歩行者とも多大な障害を被つた他、観閲
式観客の車両・歩行者が相まつて同経路における交通の混雑は、かつて例を見ない
ものがあつた。
また、このように道路幅員の狭い道路を徒歩部隊のみの集団行進であればともか
く、前記のごとく車長かつ車幅の広い当該車両が集団行進に付随して走行したた
め、後続の車両は追い越し不可能となり、集団行進の後を歩行速度で追従せざるを
得なく、後方は車両の渋滞が数キロにわたつて発生した(疎乙第49号証)。
(三) 昨年(昭和五六年)の集団行進の状況
また、昨年(昭和五六年)は、申立人申請にかかる集団行進に当該車両の付随を容
認した場合は、前述のような交通上の危険を惹起し、ひいては交通の円滑に多大な
障害を及ぼすことから、道路使用許可条件で「集団行進に付随する車両は街宣車二
台」に制限した(疎乙第51号証)。しかしながら、申立人は当日(昭和五六年一
一月一日)この許可条件を無視し、前年度(昭和五五年)と同様、ロツクバンド演
奏と称して当該車両を持参し、デモ隊列に混つて走行させようとした。このため、
被申立人は申立人に対し、道路使用許可条件に違反する旨数回となく説得並びに警
告を繰り返したがこれを無視し、集団行進に混つて当該車両を走行させようとした
がため、被申立人はやむを得ず部隊をもつて、これを規制した。
しかしながら、申立人は被申立人のした規制措置を不服として執拗に抗議・牽制
し、あえて当該車両を走行させようとしたため出発時間の大幅な遅延と朝霞駅北口
周辺に多大な交通渋滞が生ずるに至つた(疎乙第52号証)。
さらに、集団行進に移つてからは各悌団ごとに道路いつぱいの蛇行進・フランスデ
モを実施した他、経路各所において前記当該車両の規制措置に抗議し、停滞・座り
込みを繰り返し大幅な交通渋滞を生じせしめるに至つた。
このため、経路途上からやむを得ず警察部隊をもつて警告・規制をしたところ、警
察部隊に突き当たる等の行為を数回となく繰り返したものである(疎乙第35号
証)。
昨年は、このようにして当該車両を集団行進から規制したものであるが、もし仮に
一昨年(昭和五五年)のごとく当該車両の付随を容認したとしたら、前記(二)に
記述したのと同様の危険を惹起したことは疑う余地のないところである。
二 本年の取組状況
本件申請団体である「ニユーウエイヴ8〇運動」は、本年度も一〇月三一日に実施
される自衛隊観閲式に反対するため、本件集団行進を計画し一〇月二六日被申立人
に対し、集団行進の届出並びに道路使用の許可申請をなしてきているところであ
る。
ちなみに、本件集団行進に先立ち申請団体等(申立人申請にかかる集団行進に参加
する団体を含む)がした取組み状況をみると後述のとおりであるが、例年に比し極
左暴力集団等に積極的に参加呼びかけをしていることが特徴的なことである。
(一) 自衛官殺害事件被告人AことBの支援映画会で本件集団行進の参加を呼び
かけた昭和五七年一〇月一六日浦和市内において、自衛官殺害事件の被告人である
AことBの支援を目的とした映画会が「Fighting 30’s」主催により
開催されたが、その席上において本件集団行進への参加を呼びかけるビラを配布し
た(疎乙第31号証)。
このAことBは、昭和四六年八月二一日陸上自衛隊朝霞駐屯地内で発生した自衛官
殺害事件の犯人として全国に指名手配され、一〇年余にわたつて逃走続けたもので
あるが、本年八月八日川崎市内で逮捕され、現在浦和拘置所に拘留中の被告人であ
る。また、昭和四〇年代のいわゆる全共闘運動の指導的存在であつたことから今で
も“過激派の教祖”“爆弾事件の黒幕的存在”として世間の注目を浴びている者で
もある。
この映画会は、被告人の裁判闘争を有利に展開するため、その資金の収集を目的に
開催したもので、同映画会の参加者は五〇名前後と見うけられるが参加者及び支援
者はいずれも前記被告人に共鳴若しくは同調するいわゆる過激派系の構成員と認め
られるところである。
なお、前記映画会の主催は「Fighting 30’s」であるが、この連絡先
として記載されている「〇四八八-八五-一三三八」は、申立人の所属する「ニユ
ーウエイヴ80運動」の事務局の電話番号であるところからしても支援団体と密接
な関係にあることがうかがえる(疎乙第53号証)。
また、申立人は被告人が朝霞警察署留置中の本年八月九日及び八月二一日の二回に
わたつて、被告人に下着、靴下等を差し入れているところからみても「(被告人
と)特につながりはない」と申し立てているものの、密接なつながりをもつている
と思われるところである(疎乙第54号証)。
(二) 極左暴力集団等で構成する団体に共闘を呼びかけた
申立人らは、情報によると極左暴力集団等で構成している前記東京叛軍行動委、東
京実行委に対し、共闘して集会及び集団行進を実施するように呼びかけている事実
がうかがえる、現在までの状況から考察して、共闘し統一した集団行進は不可能に
近いと思われるが、これらの団体は前述のとおり昭和五四年、つまり第七回目まで
の観閲式反対闘争では共に共闘した団体であるところろから、必ずしも共闘は皆無
であると決して言い切れないところである。
(三) 浦和駅頭で開催した「マラソン演説会」で参加を呼びかけた
本件申立人所属の「ニユーウエイヴ80運動」では、
本年一〇月二四日(日)国鉄浦和駅西口において
「戦争への道を許さないマラソン演説会」
と称する演説会を開催したが、その中で弁士として立つた申立人をはじめ、浦和市
民連合構成員、風船爆弾構成員らがそれぞれ一〇月三一日に開催される本件申立人
申請にかかる集団行進への参加呼びかけをした他、前記(一)に記述したビラを通
行人に配布し、参加呼びかけをした(疎乙第55号証)。
三 申立人の執行停止申立の状況
本件申立人は、朝霞訓練場において自衛隊観閲式が実施されることとなつた昭和四
八年以来前述のとおり、毎回観閲式当日同式典反対の立場から集団行進を計画、実
施してきたものである。
そのつど被申立人は、申立人の道路使用許可申請時において申立人に対し、前記第
三記述の当日の特殊事情を踏まえ、やむを得ざる措置として県道東京朝霞線(式典
会場側近道路)の行進は差し控えるよう毎回要請をなしてきているところである。
にもかかわらず、申立人はこの要請を無視し、公安条例は届出制であることを理由
として同線の行進を毎回申請してきているところである(疎乙第16号証)。
被申立人は、やむを得ざる措置として同線の行進を不許可処分としたところ、申立
人は同処分を不服として過去六回(昭和四九年一〇月二六日、昭和五〇年一一月一
日、昭和五一年一〇月三一日、昭和五二年一〇月二九日、昭和五三年一〇月二八
日、昭和五四年一〇月二八日)貴裁判所に同不許可処分の執行停止の申立てをなし
たが、いずれも却下されているところである(疎乙第56号証)。
このような事実があるのにかかわらず、申立人はその後、つまり昭和五五年、昭和
五六年、昭和五七年の集団行進の申請に際してあえて同線を行進する旨の申請をな
している他、今回の申請に際しても被申立人の要請を一切無視し、同線を行進する
旨の申請をなしてきているものである。
また、昨年は前年(昭和五五年)の例、すなわち貨物自動車を同集団行進に付随し
た行進を容認したところ、前述のとおり著しい交通の障害を生ぜしめた他、負傷者
まで出すに至り、そこで被申立人は昨年は貨物自動車を集団行進に付随した場合、
交通上の安全と円滑を確保できないと認め集団行進に付随する車両は「街宣軍二
台」とした許可条件を付したところ、申立人は同許可条件を無視し貨物自動車を付
随させ行進しようとしたため、警察部隊で警告・制止したものである。
また、本年度の自衛隊観閲式反対闘争の集団行進の届出のため、申立人ら二人が一
〇月二六日朝霞警察署に来署したが、その際被申立人が当日の特殊事情を踏まえ、
交通上の安全と円滑を図るべく申立人らに対し
○ 「言伝カーの付随は、デモ隊列の前後各一台にとどめてもらいたい」旨申し向
けたところ
そんなことは警察の方針であつて、私達には関係ない。もし制限したら訴訟を起こ
しても闘う。
宣伝カーは二台持つてくる。他にランドクルーザー一台、資材運搬車、救護車等で
二〇台位になる。
○ また、「宣伝カーの屋根には乗らないでもらいたい」と申し向けたところ
車の上には私が乗ります。逮捕されてもかまわない。
○ さらに、例年不許可処分となつている前述の県道東京朝霞線の行進について
は、不許可にする旨を申し向けたところ一応書いておきます。
等申立て、許可申請書にあえて付随車両として「宣伝カー、その他の車両」と記載
した他県道東京朝霞線を行進する旨記載して申請しているものである(疎乙第57
号証)。
このように、申立人は被申立人が必要最小限に付した条件はもちろんのこと、集団
行進に際して交通の安全と円滑を確保するためにする要請は一切無視してきている
ところである。
本件もこのようないきさつを経て執行停止の申立てに及んだものである。
少なくとも申立人は、市民の代表たる浦和市議会議員の地位にあり、人一倍常識を
わきまえ、法を遵守し、市民の安全な生活を保護すべき立場にあるのにかかわらず
あえてこのような混乱を意図した申請等をなしてきているものである。
第六 本件許可条件を付した具体的理由
一 本件集団行進に当該車両等を使用する意図
申立人は、本年度も一〇月三一日に実施される自衛隊観閲式に反対するため、本件
集団行進を計画し一〇月二六日、被申立人に対し集団行進の届出並びに道路使用の
許可申請をなしたが、その際被申立人が交通の安全と円滑を計るべく本件集団行進
に必要以上の車両の付随は容認できない旨告知したところ、申立人らは
「そんなことは警察の方針であつて、私達には関係ない、宣伝力ー二台とランドク
ルーザー一台、資材運搬車、救急車等で二〇台位になりますよ。」
と申立て、同許可申請書にあえて「宣伝カーその他の車両」と記載し、許可申請を
なしたものである(疎乙第57号証)。
こうしてみると、申立人らは本件集団行進に宣伝カー二台はともかくとして他にラ
ンドクルーザー(トヨタ製ジープ車)資材運搬車、救急車等(以下「当該車両等」
という。)約二〇台の車両を本件集団行進に付随させ走行させる意思をほのめかし
ているところである。これだけでは当該車両等の種別・型式については不明確では
あるが、申立人らの昨年及び一昨年の集団行進の例からみて前記第五の一の(二)
で記述した貨物自動車も当然に含まれているものと予測されるところである。
申立人らが、これら二〇台の車両をどのような意図のもとに使用するのかはなはだ
疑義の残るところであるが、宣伝カーについては二台と申立てているところからみ
ても宣伝カー以外の車両であることがうかがえる。
これら当該車両等が本件集団行進に付随して走行する必要性から判断してはなはだ
疑問であると言わざるを得ない。
すなわち、本件集団行進は「自衛隊観閲式反対」を訴えるものであり、当該車両等
を使用しなければその目的が達成されない性質のものとは到底考えられず、多数人
の徒歩行進による示威により十分にその目的が達成しうるものと考える。
もつとも、同行進は憲法の保障する表現の自由の一形態であることにかんがみ、後
記第七に記述するところによりいわゆる宣伝カーについてはやむなきと認め、必要
台数に限つて付随することを認容しているところである。
ところで、申立人が当該車両等を使用する真の意図について換言すれば、すなわち
申立人が主催した過去の集団行進をみると、そのつど所轄警察署長が一般交通の安
全と円滑を確保するために付した許可条件を遵守したことがないことは前記第五の
一で記述したとおりであり、一昨年(昭和五五年)はロツクバンド演奏と称して荷
台乗車した貨物自動車を付随させ警察部隊の規制や警告を妨害・排除しようとした
もので、その結果負傷事案まで発生させるに至つたものである。
このことを本件集団行進の申請団体は、昨年度(昭和五六年)各共闘団体に送付し
た招請状の中で「昨年(昭和五五年のこと)は、ロツクバンドを登場させて埼玉県
警や自衛隊当局のど肝をぬきました・・・・・・」と述べているところからみて
も、負傷事案まで発生させた一昨年(昭和五五年)の集団行進が成功裡に終つたと
自負しているところである(疎乙第58号証)。
すなわち、申立人らが当該車両等を本件集団行進に付随させ走行させる真の意図
は、まさにこの点にあると言わざるを得ない。つまり申立人申請にかかる集団行進
は、違法行為を繰り返したため、そのつど警察部隊の警告や規制を受けていること
にかんがみ、障害物利用による物理的方法、すなわち当該車両等を物理的かつ規
制・警告を妨害若しくは排除することにより申請団体が意図する目的を達成しよう
とするものにほかならない。
あわせて、当該車両等を使用することにより交通混雑を助長させ、観閲式典へ参加
する主催車両及び観客の交通を足止めすることにより結局は式典そのものを妨害し
ようとするものである(疎乙第49号証)。
申立人は、集団行進の一形態として当該車両等を使用する旨主張するが、当該車両
等を使用しなければその目的が達成できない性質のものではなく、後述のとおり宣
伝カー二台をしてその目的は十分に達成できることは他団体の集団行進をみても明
らかであり、なぜ申立人申請にかかる集団行進のみが一般交通の支障を省みず当該
車両等を本件集団行進に付随させようとしているのか、その理由はこのように理解
することにより納得できるのである。
つまり、本件申立人の申請内容をみれば「宣伝カーその他の車両」と区分して記載
しているところから考察して「その他の車両」は当然に宣伝カーとは推測されない
ところである。
しかしながら、申立人はあえて「その他の車両」として当該車両等を付随し走行さ
せようとしているものである。
また、申立人らの申請時の言動からして「その他の車両」の中にランドクルーザ
ー、資材車などが含まれていると思われるが、なぜ集団行進に全くなじまないこれ
らの車両まで付随走行させようとしているのか、その意図はまさに警察部隊の妨
害・排除以外にないのである。
従つて、本件申立ては合理性を有さないものであるから当然に却下されるべきもの
である。
二 本件集団行進に当該車両等を使用した場合に予測される事態
申立人は、集団行進の一形態として当該車両等を使用する旨主張するが、前述のと
おり本件集団行進の経路は幅員八メートル以下の道路が全体の約五七パーセントを
占めているうえ、当日は自衛隊観閲式開催という特殊事情からくる交通上の混雑に
加え、観閲式に賛成・反対の立場から一三団体の集団行進が予定されている(疎乙
第17号証)。
しかも、いわゆる車両パレードはともかくとして、申立人申請にかかる集団行進を
除く他の五団体はいずれもこれら交通上の特殊事情を踏まえ、自ら行進に付随させ
走行させる車両は、いわゆる言伝カーに限りしかもその台数も最小限に限つて使用
せんとしているところである(疎乙第 号証)。
このような実情があるのにかかわらず、申立人が当該車両等を使用する意図は純粋
に表現の自由の一形態として使用するものではなく、自衛隊観閲式の妨害及び自己
の不法行為を規制・警告せんとする警察部隊活動の妨害・排除の手段として使用せ
んとしているものに他ならない。
してみると、本件申立てが認容された場合、当該車両等を本件集団行進に付随させ
行進することとなり、一昨年(昭和五五年)と同様の行動に出ることが明らかであ
る。すなわち、当該車両等が集団行進に混じつて走行した場合、随所においてジグ
ザグ蛇行運転を繰り返すばかりでなく、警察部隊が違法行為の警告・制止のため規
制に入るやこれを妨害・排除すべく当該車両等を物理的に利用することが明らかで
ある。そうなれば、警察部隊を含めた集団行進参加者や付近通行中の一般車両・歩
行者に対しても、その生命・身体に重大な結果を及ぼすおそれが十分に考えられる
ばかりでなく、加えて一般交通の円滑を著しく阻害することが明白である。
また、本件集団行進が例年のごとく午前九時二〇分ころないし九時三〇分ころ、朝
霞駅北口広場を出発したとしたら、その経路でちようど自衛隊観閲式に参加する主
催車両及び観客と競合することが明らかであるところから、当然これらの車両等も
足止めを余儀なくされることになり、ひいては観閲式そのものにも重大な影響を及
ぼしかねないところである。
第七 本件許可条件で使用車両は「宣伝カー二台」に制限した理由
一 集団行進に車両等を付随させることの危険性
本来、集団行進は多数人が徒歩により行進することにより、自己の主義主張を行進
参加者以外の第三者に訴えるものであり、その通行形態が通常の道路の利用方法と
異なるところから、道交法第二章・第三章において例外的な利用方法が認められて
いるものと思われる。すなわち道交法第一一条第一項及び同施行令第七条は「集団
行進は、車道の右側端に寄つて通行しなければならない。」と規定し、右側端を通
行しなければならないことを義務づけている趣旨からみても、道交法第一一条第一
項の適用を受ける行列には車両の付随は予定していないとみるべきである。
なぜならば、同行列等に車両の付随を予定しているとなれば車両が右側走行するこ
ととなり、はなはだ矛盾の生じることはもちろんのこと、道交法の安全と円滑を目
的とした同法条にそぐわない結果となることは明らかである。
また、集団行進の隊列の中に車両が混つて進行することは、いわゆる車両パレード
等であればともかく、多数の徒歩行進者の中に混つてしかも歩行者の直近を進行す
るところから、歩行者に対して当該車両等による交通上の危険が伴うことが明白で
ある。
すなわち、車両は道交法第二章・第三章に規定する通行方法の趣旨からみて、当然
歩行者と分離して進行させることにより、車両の機敏性を確保しようとしているも
のであり、あわせて車両と歩行者を分離することにより一般歩行者を交通上の危険
から除去せしめようとしているものである。そもそも車両は、一定の高速性を有し
ているものであり、その機能からみても歩行者と同一速度で走行させることは短距
離であればともかく、長距離にわたる場合は、不可能に近いばかりでなく、また技
術的にも高技術を有すると言つても過言ではない。
特に車両を低走行させた場合、思わぬアクセルの踏み込みにより急発進することが
度度みられ、本件のごとく直近を行進参加者が歩行していることから、思わぬ惨事
を招く結果となりかねない状況にあるものである。
してみると、そもそも集団行進に車両がなじまないものであるばかりでなく、必要
以上の車両を隊列に混合させ走行させることは、極めて危険発生の蓋然性が高いと
言わざるを得ない、それが本件のごとく表現の自由の一形態としての集団行進だと
しても決して例外になるものではない。
申立人は、このような危険性は十分な徒歩行進との間隔をとることにより防止でき
る旨主張するが、申立人の主催した過去の集団行進をみても、いわゆる宣伝カーを
含む付随車両は隊列の直近、すなわち後方一、二メートルの間隔で走行している状
況にある。それは、昨年及び一昨年度の自衛隊観閲式反対の集団行進に付随して走
行した車両の例をみても明らかである(疎乙第49 59号証)。
さらに、本件申請にかかる集団行進をみた場合「自衛隊観閲式反対」を主張するも
のであつて、申立人が使用せんとしている当該車両等を使用しなければその目的が
達成されない性質のものでないことも明らかである。
してみると、本件集団行進にいわゆる宣伝カー以外の車両を付随しなければならな
い特別の理由はないのであるから、本件申立ては却下されるべきものと信ずる。
二 いわゆる「宣伝カー」の付随を容認した理由
本来、集団行進に車両がなじまないものであることは前記一で記述したとおりであ
り、また、本件申立人申請にかかる集団行進をつぶさに検討してみても、いわゆる
宣伝カーを使用しなければその目的が達し得ない性質のものとは到底考えられない
ところである。つまり、申立人申請の集団行進は「自衛隊観閲式反対」を主張する
ものであつて、しいて宣伝カーを使用しなくても旗・ノボリ・プラカード及び多数
人の徒歩行進によつて、その目的は容易に達成することが可能であると考えられる
ところである。
そもそも宣伝カーと言えども車両の一種であつて、デモ隊と付随して走行する限り
他の交通に与える影響及び行進参加者に対する危険性を有していることは、他の車
両と何らかわるものではないのであるから、徒歩による集団行進と車両パレードと
は別に考え、徒歩による集団行進には車両は当然除外されてしかるべきと考える。
しかしながら、表現の自由の一形態である集団行進にいわゆる宣伝カーを付随し使
用を認めようとする理由は、宣伝カーが
○ 表現の効果を助長させる機能
表現の方法を第三者の視覚のみならず聴覚にも訴えんとするもの
○ 集団行進参加者を指揮統制する機能
往々にして集団行進は指揮者の統制から逸脱し、群集心理のもとに暴徒化する可能
性を包含しているため、これを抑制し指揮統制せんとするもの(疎乙第60号
証)。
等の特質を有していることは否定できないところから、集団行進に付随し使用する
旨の申請があつた場合は、必要最小限の台数に限り容認し、しかも交通の安全と円
滑を確保するため一定の条件を付し許可しているのが実情である。
申立人申請にかかる集団行進の場合、あえて宣伝カーを使用しなければ集団行進の
目的が達成できないものとは到底思えないことは前述のとおりである。しかし、申
立人申請にかかる集団行進とて決して例外となるものではなく、本件のごとく申立
人があえて宣伝カーを使用する旨の申請をした場合は、集団行進に付随して使用す
る宣伝カーが前記機能と特質を有しているがため、当日の交通上の事情と比較衡量
し必要最小限の台数に限り、しかも交通の安全と円滑を確保するため、条件を付し
て容認したものである。
つまり、本件許可条件で後記二に記述の理由により使用宣伝カー台数を二台認容す
るとともに、またその走行位置を「デモ隊の前後尾」とし指定した他「交通安全上
必要な距離を保つこと」としたものである。
してみると、本件許可条件は適法妥当な処分であることが明らかである。
三 いわゆる「宣伝カー」と言えども二台に制限した理由
前記一で記述したとおり、本件許可条件はいわゆる宣伝カーに限り、本件集団行進
に付随して走行するのを容認しているものであるが、例え同車であつても無制限の
台数を容認しているものではなく、本件集団行進の目的・参加予定人員及び当日の
特殊事情等をつぶさに検討した結果、その台数を二台に限定して容認しようとする
ものである。
申立人が被申立人に提出した許可申請書への記載によれば、「宣伝カーその他の車
両」としているところからみると宣伝カー以外の車両を本件集団行進に付随させる
ことを申立人は意図していると認められる。また、申請時の言動として「宣伝カー
二台・・・」と申立てているところからいわゆる宣伝カーの使用は一応は二台と予
測されるところである。しかしそれ以上の台数まで認めるものではない。
すなわち、被申立人は本件集団行進の目的・参加人員等から、いわゆる宣伝カーの
必要台数についてつぶさに検討した結果、「デモ隊列の前後各一台」の計二台を使
用すれば、表現の効果は十分に確保できるものである。また、前記二に記述したい
わゆる宣伝カーの機能が最も効果的に発揮されうる台数について、本件集団行進の
参加人員等から考察しても、「二台」が適切、妥当な台数と思われる。
ちなみに、本件集団行進の参加予定人員は五〇〇人であるところから考察するに五
〇〇人を大幅に上回る場合はともかく、例え五五〇余人になつたとしても一悌団一
〇〇人とした場合、一悌団の長さは約一五メートル、各悌団の間隔を約五メートル
とつたとしても、デモ隊全体の長さは約一〇〇メートルとなる。通常約一〇〇メー
トルのデモ隊であれば、前記二に記述したいわゆる宣伝カーの効用は一台であつて
も十分に達成できうるものであつて、それは他団体の過去の集団行進に付随してい
る宣伝カー台数をみても明らかである(疎乙第61号証)。
まして、申立人が通常使用している宣伝カーには異常な高音を発揮できるスピーカ
ーが四個(通常宣伝カーには、車両前後部に各一個の計二個)も取り付けてあり、
仮にも九二メートルの範囲、つまり五〇〇人の集団行進参加者全員に行き届かない
ということは到底考えられないだけでなく、自己の主義・主張を行進参加者以外の
第三者に訴えるとしても、本件申請経路の沿線は商店・民家が密集し、かつその側
近を行進するがため、同車一台をもつてしても、その機能は十分に発揮しうるもの
と信ずる次第である(疎乙第51号証)。
言いかえれば、全長九二メートルというデモ行進の間に行進参加者の自由な意志の
もとに二台以上のいわゆる宣伝カーが付随したとすれば相互のスピーカーから出る
音声が競合し、いわゆる騒音だけが聞こえるだけとなり、第三者への訴えの効果は
もちろんのこと、集団行進参加者を指揮統制するという宣伝カーの機能は半減はお
ろか、皆無化してしまうおそれが多分にあるところである。
したがつて、本件集団行進に付随し走行するいわゆる宣伝カーの台数を二台に制限
したことは、その効用面からみても適切・妥当であつて本件の場合、例え一台の付
随であつてもその目的は十分に達成しうるものであると考える。
そもそも宣伝カーと言えども車両であつて、車両が集団行進に付随して走行するこ
との危険性は、前記一で記述したとおりであるが、しかし前記二で記述したとお
り、いわゆる宣伝カーは集団行進に特有の効用を有しているがため、本件許可条件
で付随を容認しているものであるが、例え宣伝カーと言えども無制限の台数の使用
を容認するものではなく、そこは公共の福祉との比較衡量において当然制約を受け
るべき性質のものと考える。
そこで、申立人は宣伝カーの台数を制限することは表現の自由がそこなわれる旨主
張するが、前述のとおり表現の自由と言えども絶対無制限のものではなく、公共の
福祉の立場から制約を受けるのは当然であつて、本件の場合参加予定人員五〇〇人
の集団行進であり、また、その目的が「自衛隊観閲式反対」であるため本件許可条
件で二台に制限したとしても格別支障を生じるものではなく、その目的は十分に達
成できうるものである。また、該車両を二台に制限することによつて行進参加者自
身にも及ぶ危険性をも除去せしめると同時に宣伝カー同志が競合する音声を制約さ
せることにより、宣伝カーの効用がより効果的に発揮しうるものと考える。
四 申立人が使用せんとしている車両を規制する理由
申立人が一〇月二六日集団行進の届出におとずれた際の言動では、本件集団行進に
宣伝カー二台、ランドクルーザー(トヨタ製ジープ)、資材車、救急車、その他の
車両で計二〇台位になる旨申立てている。宣伝カーはともかくとして、ランドクル
ーザー、資材車、救急車及び車種型式は不明確な二〇台もの車両をなぜ本件集団行
進に付随走行させなければならないのか、はなはだ疑問であると言わざるを得な
い。
ランドクルーザーと申立てているところから、一応総輪駆動の車両と思料されてい
るところであるが、この車両は通常比較的凸凹のある工事現場等で使用する車両で
あつて、なぜ、このような比較的車高の高い総輪駆動の車両を本件集団行進に付随
させるのか納得できないところである(疎乙第63号証)。
また、申立人は救急車を付随させる旨申立てているが、この救急車とは私設の救急
車であつて、道交法上緊急自動車としての適用を受ける車両でないことが明らかで
ある。
本来、急病(傷)人の搬送は、緊急自動車としての救急車を利用することが最も至
便な方法であつて、本件の場合、集団行進の経路付近に朝霞消防署及び和光消防署
があり、通報によつて数分で赴くことができる(疎乙第62号証)。
してみると、あえて私設の救急車を使用せず公共の救急車を使用した方が至便かつ
病(傷)人の生命・身体の安全により効果的であることは明らかである。
さらに、申立人は資材車を付随走行させる旨申立てているが、資材車と申立ててい
ることからデモ行進に使用する旗・ノボリ等の資器材運搬用の車両と思われる、こ
のような車両であれば一般に行われているデモ行進では前もつて解散地に先回り
し、デモ行進の到着を待つて資材を回収するのが各種団体で実施している方法であ
り、こうすることによつて少しでもデモ行進路における交通の円滑を確保しようと
しているところである。
したがつて、本件の場合においても解散地である和光市駅前に先回りして待つてい
ればよいのであつて、あえて集団行進に付随させ走行させる必要の全くないことは
明らかである。
してみると、申立人が用途を明らかにして申立てているランドクルーザー、救急車
及び資材車については、あえて本件集団行進に付随走行させる必要性は全くないこ
とが明白である。
そもそも、集団行進に二〇台もの車両が付随走行した場合、いわゆる車両パレード
であればともかく徒歩行進の中間、若しくは前後に付随し走行したとすれば、車両
は安全確保のための相当な距離をもつて走行しなければならないこととなる。して
みると、本件集団行進の悌団が長くなり、まして本件集団行進の経路は国道部分を
除き片側一車線の道路であり、集団行進に追従する他の一般車両は追い越し不可能
となり、後方を集団行進の速度にあわせやむを得ず追従することとなるので交通の
円滑を損うことが明らかである。
さらに、前記第七の一で記述したとおり徒歩行進に車両が付随走行する危険性は、
付随車両台数が増すにしたがつて高くなることも明らかである、と言わざるを得な
い。
まして、本件申立人申請にかかる過去の集団行進に付随走行した車両を見ても、そ
の際の許可条件を無視し徒歩行進者の一、二メートル直近を走行しているのが過去
の例であり、本件の場合、道路使用許可条件を付したとしてもその条件を無視する
ことが明らかであるところから、条件によつて安全性を担保することは不可能と思
われる。
五 ランドクルーザーを認めない理由
申立人は、本件集団行進は、参加人員約五〇〇人というかなりの人数の参加が予想
されるため、先頭車両にデモ指揮として後部隊列の状況をは握できる車両(ランド
クルーザー)を配置することは、デモを整然と指揮し「交通の安全と円滑」を図る
うえで必要なことである旨主張するが、申立人が主催した過去の集団行進の届出人
員と実際の参加人員とでは大きな差があり、昭和五五年は、届出五〇〇名に対し実
際の参加者一二〇名、昭和五六年は、届出人員三〇〇名に対し実際の参加者は一三
三名であり、届出人員に対する実際の参加人員比は二四%~四四%であり実際の参
加人員は届出人員を大きく下回つているのが実情である。
したがつて、先頭車両に乗車しないと後部隊列の状況をは握できないということは
あり得ないことである。(疎乙第16号証)
また、申立人は、従来の集団行進においていわゆるランドクルーザーを使用したの
は昭和五六年の観閲式反対の集団行進の際だけであり、それ以外はいわゆる宣伝カ
ーを使用してきたところであり従来からランドクルーザーを使用してきた事実はな
い。
しかも、ランドクルーザーなる車両は、本来の使用目的は作業用の車両であり、徒
歩による集団行進に付随し進行するに適さない車両であり同車両の座席に立つて後
方の集団行進を指揮する等の行為は、それ自体危険を伴う行為であり、まして、集
団行進に介在した場合、急発進、急停車等も伴ない乗車する者はもちろん集団行進
参加者に対する危険も伴うおそれがあるので、同車両を使用して集団行進を指揮す
ることは不適切であることは明らかである。(疎乙第63号証)
さらに、観閲式当日朝霞市周辺で行なわれる集団行進をみてもそのすべてが集団行
進の先頭、及び後尾に宣伝カーのみを使用しているのが実情であり、しかも宣伝カ
ーによる宣伝効果が有効であることは否定できない事実である。
申立人のいう「宣伝カーの内部からのデモ指揮はデモ後部を見渡すことが不可能な
ゆえにデモ指揮者の塔乗車両として不適当である。」にはあたらず宣伝カーの内部
からでも充分後方を見渡すことができる構造を有しており、集団行進の指揮に使用
する車両としては、現在最適のものと認められる。
ちなみに、毎年行なわれている観閲式反対を訴える集団行進を行つている社会党、
共産党、総評系の約三、〇〇〇名規模の集団行進においても指揮車両は宣伝カーの
みを使用し指揮者は徒歩により集団行進を統制し整然と行進を行つてきていること
も事実である。
六 昨年度(昭和五六年)から集団行進に付随する車両台数、種別を制限した理由
申立人は、昭和五四年度まで、朝霞市内で行つてきた自衛隊観閲式反対の集団行進
に際しては、一切車両の台数制限規制はなく、特に昨年から道路使用許可条件で台
数及びその種別を規制したことは不当である旨主張する。
そもそも、道交法第七七条第三項は、所轄警察署長は交通の安全と円滑を確保する
ために条件を付することができる旨規定しているのであつて、その条件は所轄警察
署長の裁量にゆだねられていると言わねばならない、そこで被申立人は、モータリ
ーゼーシヨンの発達に伴つて年々増加する交通事情に鑑み、特に過去申立人申請に
かかる集団行進に何台もの車両を付随走行させその都度警察においては道路におけ
る交通の円滑を図るため、これを整理規制してきたところであるが、その措置にも
限界があり、年々大幅な交通渋滞をきたすに至つた。
特に被申立人申請にかかる集団行進で一昨年つまり、昭和五五年度の自衛隊観閲式
に際しては、車両の付随走行を容認したところ、ロツクバンド演奏と称して貨物自
動車を(ロングボデイー)付随走行させ随所において同車を停滞させ、さらにデモ
隊と併進し、あるいは急発進、急後退を繰り返しこれを警告制止し交通の円滑を確
保しようとした警察部隊に対し急発進、急後退等を繰り返し部隊員に衝突させ負傷
事案まで発生させる事案を惹起した。
こうした違法行為の繰り返しによつて付近の交通に多大な影響を与え長時間にわた
つて交通を麻痺させたものである。
このような実情を勘案し、昭和五六年度から、本件申立てにかかる条件を付し許可
するに至つたものである。
一 昨年(昭和五五年度)は申立人申請にかかる車両の付随を容認したところ前記
第五の一の(二)に記述したとおり周辺道路の交通を長時間完全に遮断し、麻痺さ
せてしまつたものである。
そもそも、集団行進に車両が付随していない場合はたとえデモ隊がジグザグ、蛇行
進の違法行為を繰り返し交通遮断したとしても警察部隊の規制によつて交通の安全
と円滑は確保できるものである。
しかしながら、これに車両が付随した場合車両まで警察部隊で規制することは物理
的に不可能であるところから、一昨年(昭和五五年)のごとく付近の交通を完全に
麻痺させるに至つたものである、しかし、その際、車両が付随していなかつたとし
たら少なくとも片側一車線の通行は十分確保でき、一般交通に与えた影響は最少限
に喰い止めることができたはずである。
本件の場合、申請時の言動からは、一昨年のごとき貨物自動車を使用しようとして
いるのかその意図は不明確ではあるが、いずれにしても二〇台もの車両を本件集団
行進に付随走行させようとする意図の裏には申請団体の性格等からしても一昨年も
しくはそれ以上の交通の麻痺状態を創出しようとしていることが明白であり到底認
容することはできない。
さらに、本件申請経路の交通事情について付言すれば、朝霞駅北口から南口に通じ
る前述の朝霞陸橋及び旧米軍キヤンプドレーク内の縦断する朝霞市道九七〇号線が
一昨年頃開通したことにより、県中央部等と結ぶ主要幹線であるところから、交通
量が極めて多くなつてきているところである。
また、最近のモータリゼーシヨン発達に伴い県内の自動車保有台数も約一六五万台
におよび交通事故の発生も人身事故だけを見ても、昭和五〇年以降は年々増加し、
ちなみに五六年度だけを見ても約二四、〇〇〇件発生してきているところである
(疎乙第64号証)。
申立人は昭和五五年度までの自衛隊観閲式反対の集団行進には車両の付随を容認
し、昨年度から車両の台数、種別を規制することは不当であると主張する。
しかしながら前述のごとく交通事情は年々悪化の一途にあるほか、申立人が集団行
進を計画している一〇月三一日は前記第三に記述した特殊事情にあることから、交
通の安全と円滑を確保するためやむを得ず本件許可条件を付すにおよんだものであ
る。
第八 本件申立の不適法性
一 本件申立は緊急の必要性がない
本件許可条件はすでに述べたとおり、本件集団行進を許さないことを内容とするも
のでないばかりか、その形態に制限を加えようとするものでもなく、かえつて一般
交通の安全と円滑を確保するのみならず集団行進に付随し走行する車両を制限する
ことにより、行進参加者に生ずる交通上の危険の排除をも配意し、安全かつ効果的
に集団行進を行わせしめんとするものであり、本件許可条件に従つて行進すること
によりその目的を達するについて格別の支障があるとは到底認められないのであ
る。
すなわち、集団行進は本来多数人の徒歩による行進で、その示威を示すことにより
自己の主義・主張を第三者に訴えようとするものであり、いわゆる宣伝カー以外の
車両は当然排斥せられるべきものである。また、いわゆる宣伝カーであつても必要
以上の台数を付随走行させることは、交通混雑を助長させるばかりでなく、一般通
行者(車)及び交通参加者自身に対する危険性をも助長させる結果となりかねず、
こうしてみると宣伝カーであつても二台に制限したことは適切・妥当な処分であ
る。また、本件集団行進は、前述のとおりいわゆる宣伝カー二台をもつてすればそ
の目的は十分に達成され、いささかも表現の自由の行使に影響を与えるものではな
い。まして申立人の主張のごとく当該車両等を使用しなければその目的が達成でき
ない性質のものとは到底考えられないところである。道交法第七七条第三項は、所
轄警察署長に対し道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を図るため必要な
条件を付することを容認しているものであるが、その趣旨は右の目的達成のために
いかなる条件を付するかは、所轄警察署長の裁量にゆだねられているものと言わね
ばならない。
こうしてみると、申立人に付した本件許可条件の効力の停止を求むるべき何ら緊急
の必要性は存在しないものである。
二 本件申立が認容された場合は公共の福祉に重大な影響を及ぼす
本件集団行進が、仮に申請どおり当該車両等を付随した行進が行われた場合、現に
予測される事態については、前記第六の二で詳述したとおりである。
すなわち、本件集団行進の経路となる道路幅員だけをとつてみても、全コースの約
五七パーセントは道路幅員が八メートル以下の狭い道路であり、しかも当日は自衛
隊観閲式から生ずる特殊事情もあいまつて、交通上多大な支障を及ぼすことが明白
であるのみならず、デモ隊に直近して走行することからして、集団行進参加者自身
に対して不測の事態の発生も懸念しかねないところである。また、申立人が本件集
団行進に当該車両等を使用する真の意図が表現の自由の一形態と主張はするもの
の、自衛隊観閲式の妨害、そして警察部隊に対する規制の排除・妨害の物理的手段
として使用することを意図しているものに他ならない。そのうえ、申請団体は過去
の集団行進において、交通の安全と円滑を保持するために付した条件に従うことな
く、フランスデモ・渦巻行進及び蛇行進を繰り返してきたところであり、本件集団
行進のみがこれらの条件を遵守して行進することは到底期待できないと言わざるを
得ない。
してみると、申立人の申立てを容認した場合は公共の福祉に重大な影響を及ぼすこ
とは明白であるから、本件申立ては却下されるべきである。
三 本件許可条件が申立人に回復困難な損害を与えるものではない
前述のとおり、本件許可条件は申立人申請にかかる集団行進を禁止しようとするも
のでなく、また、その経路若しくは時間に変更・制限を加えたり、形態に制限を科
するものではないのであつて、かえつて申立人を含めた集団行進参加者自身にも危
惧される交通上の危険をも除去しようとしているものである。
こうしてみると、本件許可条件が申立人申請にかかる集団行進に何ら不利益を科す
ることとならないのであるから、申立人に対し回復困難な損害を与えるものでない
ことも明白である。
したがつて、本件申立てはすみやかに却下されるべきものと考えられる。
第九 本件許可処分の適法性
一 憲法第二一条と本件許可条件との関係
申立人は、本件許可条件は憲法第二一条に保障する表現の自由を侵害するものであ
つて無効である旨主張する。
けだし本件申立ての対象となつている車両の種別、台数を制限し、並びに走行位置
を指定した許可条件を付したがため果たして申立てにかかる集団行進の目的とする
表現の自由がいかなる点において侵害されるのか、はなはだ疑問であると言わざる
を得ない。
つまり集団行進は、徒歩による多数人が通常の道路使用形態と異なる通行方法で行
進し、自己の主義主張を第三者等に訴えようとするものであつて、車両の使用はご
く限られた場合に例外的に容認されるものと思われる。
そして申請人から車両を使用する旨の申請があつた場合は、いわゆる宣伝カーでか
つその台数も制限し、付随を容認してきているところである。
ところで申立人申請にかかる集団行進にはいわゆる宣伝カー二台に限つて容認しよ
うとするものであるが、該車両二台をもつてすればその目的は十分に達成しうる性
質のものであることは数回となく記述してきたところであり、いささかも申立人の
主張する如く表現の自由を侵害したり、また、制約するものではない。
また、仮に申立人の主張の如く本件許可条件によつて申立人の意とする表現の自由
が制約を受けたとしても、本来表現の自由は絶対無制限のものではなく、公共の福
祉との調和から制約を受ける性格を有するものであることは、学説、判例の示すと
おりである。
してみれば、申立人申請にかかる集団行進に付した許可条件は、公共の福祉を保持
する立場から必要かつ最小限のものであるから、違法視されるゆえんは全くない。
しからば、本件許可条件が申立人の意にそぐわないものであるとしても、以上のと
おり公共の福祉との比較衡量において当然受忍しなければならないと言わざるを得
ない。
こうしてみると、申立人の主張は全く不当であり、早急に却下されるべきものと考
える。
二 公安条例と本件許可条件との関係
申立人が申請した集団行進は、公安条例第一条及び道交法第七七条第三項の適用を
受けるべきものであるので、当然同法条例から規制の対象となるものである。
本件許可条件は、既に述べたとおり集団行進を不許可とした内容でないばかりか、
集団行進隊列の中に車両が走行することによる行進参加者自身にも及ぶ危険性を排
除し、あわせて一般交通の安全と円滑を保持するため、必要最小限に付したもので
ある。
しかし申立人は、公安条例は届出制であり、これに基づき適法に届出のあつた本件
集団行進を道交法の不当な適用によつて、かかる処分をしたことは公安条例の届出
が無意味になる旨主張する。
しかしながら道交法と公安条例とはそれぞれ立法の趣旨・目的を異にするものであ
り、条例の規制の及ばない範囲において道交法の規定に基づいて規制を加えること
は、当然というべきである。
されば条例が届出制であるとしても、これに道交法上の規制を付することは何ら不
当ではない(最高裁判決昭五〇・九・一〇疎乙第65号証)。
したがつて、申立人の主張は採用せられるべきでないことはいうまでもない。
第一〇 結語
以上のとおり本件許可条件は、集団行進に付随し走行する車両を必要最小限に制限
し、かつその走行位置を指定することにより一般交通の安全と円滑を保持するとと
もに、集団行進参加者自身にも危惧される交通上の危険をも除去しようとするもの
であり、特に当日の特殊事情から考察して公共の福祉を保持するためには必要で、
かつ最小限の措置というべきである。
したがつて、本件許可条件によつて申立人の申請どおりの集団行進ができないとし
ても、そのことをもつて本件許可条件が違法視される理由は何ら存在しない。
よつて本件申立ては、すみやかに却下されるべきものである。
御庁においてはこの点につき、十分御審理のうえ公正に御判断されることを望むも
のである。

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