弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原決定および東京地方裁判所が昭和四七年八月一六日にした申立人に対
する執行猶予取消決定は、いずれもこれを取り消す。
     申立人に対する本件執行猶予取消請求を棄却する。
         理    由
 本件抗告の趣意は、違憲(三二条、三一条違反)をいうものであるが、所論に対
する判断に先だち職権をもつて調査すると、次のとおり、原決定および東京地方裁
判所が昭和四七年八月一六日にした申立人に対する執行猶予取消決定は、いずれも
取消を免れない。
 記録によれば、東京地方裁判所が昭和四七年八月一六日申立人に対する執行猶予
取消決定をしたところ、申立人はこれを不服として即時抗告を申し立て、東京高等
裁判所は、同月二四日これを棄却する旨の原決定をし、即日申立人に対する原決定
謄本の執行官による送達の手続をとり、右は、同月三〇日申立人に送達されたもの
の、申立人に対する執行猶予期間は、その前日の二九日に満了したことが認められ
る。
 ところで、執行猶予取消決定につき即時抗告がされた場合、有効に執行猶予が取
り消されるのは、執行猶予期間内に、即時抗告棄却決定が被請求人に告知された場
合でなければならないことは、最高裁昭和四〇年(し)第二一号同年九月八日大法
廷決定・刑集一九巻六号六三六頁の明らかにするところである。したがつて、執行
猶予期間の満了前に即時抗告棄却決定謄本が送達されなかつた本件においては、も
はや有効に申立人に対する執行猶予を取り消すすべを失つたものといわなければな
らず、結局、本件執行猶予取消請求は排斥を免れないのである。(検察官は、執行
猶予期間満了前の昭和四七年八月二六日、原裁判所が、特別送達の方法により申立
人に対する原決定告知の手続をとつたところ、これが、執行猶予期間内に申立人に
送達されなかつたとしても、付郵便送達として有効視できるから、執行猶予期間内
に適法に即時抗告棄却決定の告知があつたものと解すべきであつて、有効に執行猶
予が取り消されたものであるというが、原裁判所がしたのは、特別送達であつて付
郵便送達ではなく、両者はその手続、効果を異にするものであるから、所論のよう
に、特別送達を付郵便送達として有効視し、有効に執行猶予が取り消されたものと
することはできない。)それゆえ、原決定および前示執行猶予取消決定は、いずれ
もこれを取り消さなければ著しく正義に反するものと認める。
 よつて、刑訴法四一一条一号を準用し、同法四三四条、四二六条二項により、裁
判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
  昭和四七年一二月二六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    天   野   武   一
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    関   根   小   郷
            裁判官    坂   本   吉   勝

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